民家に留まって情報交換の続きを行う。
考えた末にロロが出した答えはそれだった。
考えた末にロロが出した答えはそれだった。
「一応理由を聞いても?」
「君の話を聞く限り、リボンズや自称アスランは相当手強いんだろう?もし出発を急いでまた遭遇したら、情報を明かす所じゃなくなる。
それに君もまだ万全じゃないだろうし、もう少し休んでからでも良いと思うんだ」
「そこまで柔ではないが、気遣いは受け取っておこう。沙耶香も構わんか?」
「うん、私はロロに任せるって言ったから……」
「君の話を聞く限り、リボンズや自称アスランは相当手強いんだろう?もし出発を急いでまた遭遇したら、情報を明かす所じゃなくなる。
それに君もまだ万全じゃないだろうし、もう少し休んでからでも良いと思うんだ」
「そこまで柔ではないが、気遣いは受け取っておこう。沙耶香も構わんか?」
「うん、私はロロに任せるって言ったから……」
直接自分の目で見た訳では無いが、聞く所によるとリボンズ・アルマークやアスランを名乗る狂人は機動鍵込みでも相当な強さの持ち主達。
遭遇した場合、まず間違いなく苦戦は免れない。
一方で沙耶香の警戒具合や話の内容から察するに、タギツヒメもかなりの実力者。
消耗が足を引っ張りリボンズ達には苦渋を舐めさせられたとはいえ、万全ならばまた違った結果になっただろう。
危険人物に出会った際の対抗策として、彼女をアテに出来るよう体力は回復してもらいたい。
そういう利己的な目論見もあった。
遭遇した場合、まず間違いなく苦戦は免れない。
一方で沙耶香の警戒具合や話の内容から察するに、タギツヒメもかなりの実力者。
消耗が足を引っ張りリボンズ達には苦渋を舐めさせられたとはいえ、万全ならばまた違った結果になっただろう。
危険人物に出会った際の対抗策として、彼女をアテに出来るよう体力は回復してもらいたい。
そういう利己的な目論見もあった。
同時にロロ自身、体はともかく精神的に安定してるとは言い難い。
己のミスを悟った動揺と、罪悪感により内心は掻き乱されている。
こんな状態で移動しトチ狂ったアスランにでも襲われたら、戦闘中に後れを取るんじゃないか。
若しくはどこかでボロを出し、一護殺害が明るみに出るのでは。
危惧を解消する為に、冷静さを取り戻す時間がもう少し欲しかった。
悠長にしてもいられないが既に軽くない失敗を犯したのもあって、頭を冷やしてからでも遅くない。
己のミスを悟った動揺と、罪悪感により内心は掻き乱されている。
こんな状態で移動しトチ狂ったアスランにでも襲われたら、戦闘中に後れを取るんじゃないか。
若しくはどこかでボロを出し、一護殺害が明るみに出るのでは。
危惧を解消する為に、冷静さを取り戻す時間がもう少し欲しかった。
悠長にしてもいられないが既に軽くない失敗を犯したのもあって、頭を冷やしてからでも遅くない。
内面を見せずに居間へ戻り、三人揃ってソファーに腰を下ろす。
まず明かしたのは、互いの住まう世界の大前提について。
神聖ブリタニア帝国、刀使と荒魂。
どちらもその世界に生きる人々からすれば、知らない方が有り得ない。
殺し合いが始まった直後だったら何らかの語弊が生まれた可能性もあるが、タギツヒメの話で既に異なる世界の存在は把握済み。
驚きはしても受け入れるのに抵抗は無い。
まず明かしたのは、互いの住まう世界の大前提について。
神聖ブリタニア帝国、刀使と荒魂。
どちらもその世界に生きる人々からすれば、知らない方が有り得ない。
殺し合いが始まった直後だったら何らかの語弊が生まれた可能性もあるが、タギツヒメの話で既に異なる世界の存在は把握済み。
驚きはしても受け入れるのに抵抗は無い。
流れで話はロロと同じ世界の出身者、ルルーシュへ移る。
参加者の中では堀北鈴音や一ノ瀬宝太郎に並び、大々的に顔を知られた者。
最初の場で堀北に奇妙な術を使ったのみならず、殺し合いが本格スタートを切ってからも大きなアクションに出た。
と言ってもルルーシュの放送が行われた時、タギツヒメはまだ生きていた頃の一護共々戦闘の真っ最中。
映像どころか音声を確認出来たかも怪しい上に、常時キレ散らかす狂人が相手ではそんな余裕は皆無。
ロロの口から初めて放送の大まかな内容を聞かされた。
参加者の中では堀北鈴音や一ノ瀬宝太郎に並び、大々的に顔を知られた者。
最初の場で堀北に奇妙な術を使ったのみならず、殺し合いが本格スタートを切ってからも大きなアクションに出た。
と言ってもルルーシュの放送が行われた時、タギツヒメはまだ生きていた頃の一護共々戦闘の真っ最中。
映像どころか音声を確認出来たかも怪しい上に、常時キレ散らかす狂人が相手ではそんな余裕は皆無。
ロロの口から初めて放送の大まかな内容を聞かされた。
「……随分と大胆な真似に出たな」
或いは命知らずと言うべきか。
電波を利用し大々的に呼びかける策の有用性は理解出来る。
高津雪那を駒に使っていた時には公共の放送で、折神紫にヘイトが向くよう虚偽の会見を行った。
だがルルーシュの場合、彼自身へ敵意が集中しても不思議はない内容。
防御を固める術を有するにしろ、火力に優れた術や支給品を持つ参加者とて少なくはない。
リボンズや偽アスランのような好戦的な連中には恰好の的となるだろうに。
そういったリスクも承知の上で放送を行ったのか。
電波を利用し大々的に呼びかける策の有用性は理解出来る。
高津雪那を駒に使っていた時には公共の放送で、折神紫にヘイトが向くよう虚偽の会見を行った。
だがルルーシュの場合、彼自身へ敵意が集中しても不思議はない内容。
防御を固める術を有するにしろ、火力に優れた術や支給品を持つ参加者とて少なくはない。
リボンズや偽アスランのような好戦的な連中には恰好の的となるだろうに。
そういったリスクも承知の上で放送を行ったのか。
(少なくとも、ロロの方針を決定させるだけの効果はあったらしいがな)
ルルーシュについて説明する間、ロロは随分と饒舌になっていた。
これだけでも如何に兄へ信頼を置いているかが分かる。
下手に放送内容への批判を口走れば、即座に険悪となるだろうとも察しが付く。
だから「大胆な真似」という言葉で濁すに留めた。
尤も、ルルーシュのいるテレビ局へ向かうのを反対する気は無い。
放送で見せた顔が本性でロロのことも道具として使っているに過ぎないなら、相容れない存在と見なす。
逆に真意を別の所へ隠してるのであれば、その時はまた違った展開になるだろう。
殺し合いを打破する方針を変える気はない、だが己のみで解決へ導くのが厳しいとも身に染みて理解している。
ルルーシュの配下になるのは御免だが、協力出来る可能性がゼロでないなら会って損は無い筈。
これだけでも如何に兄へ信頼を置いているかが分かる。
下手に放送内容への批判を口走れば、即座に険悪となるだろうとも察しが付く。
だから「大胆な真似」という言葉で濁すに留めた。
尤も、ルルーシュのいるテレビ局へ向かうのを反対する気は無い。
放送で見せた顔が本性でロロのことも道具として使っているに過ぎないなら、相容れない存在と見なす。
逆に真意を別の所へ隠してるのであれば、その時はまた違った展開になるだろう。
殺し合いを打破する方針を変える気はない、だが己のみで解決へ導くのが厳しいとも身に染みて理解している。
ルルーシュの配下になるのは御免だが、協力出来る可能性がゼロでないなら会って損は無い筈。
(それにだ、ロロについても深く知る機会になるだろう)
初対面で、しかも人間では無い自分を拾い介抱してくれた少年。
一護を野晒しにせず遺体を屋内に運んでくれたのもあり、信じたいとは思う。
だが一方で本当に真実のみを語っているのか、どこか疑いを捨て切れずにいる。
兄と再会しロロの素顔に近付き、それが一護に何が起きたのかを具体的に知る足掛かりになるのなら。
テレビ局まで同行するのも一つの手だ。
一護を野晒しにせず遺体を屋内に運んでくれたのもあり、信じたいとは思う。
だが一方で本当に真実のみを語っているのか、どこか疑いを捨て切れずにいる。
兄と再会しロロの素顔に近付き、それが一護に何が起きたのかを具体的に知る足掛かりになるのなら。
テレビ局まで同行するのも一つの手だ。
「お前がそこまで信頼する相手なら、一度会ってみても良い。テレビ局には我も行こう」
「っ!そっか…!ありがとうタギツヒメ……!」
「っ!そっか…!ありがとうタギツヒメ……!」
反対され余計ないざこざになる可能性も考えたが、そうはならず内心で安堵を抱く。
何と言われようとテレビ局行きを変えるつもりはない、なれど兄の為にも利用できる人材は多い方が助かる。
湧き上がる罪悪感から目を逸らし、あくまで純粋な感謝と偽り頭を下げた。
何と言われようとテレビ局行きを変えるつもりはない、なれど兄の為にも利用できる人材は多い方が助かる。
湧き上がる罪悪感から目を逸らし、あくまで純粋な感謝と偽り頭を下げた。
テレビ局行は決まったがそれより先に向かうのは美濃関学院。
全国五ヵ所に存在する刀使養成学園の一つ。
可奈美と舞衣の母校でもあり、彼女達がいる可能性は低くない。
全国五ヵ所に存在する刀使養成学園の一つ。
可奈美と舞衣の母校でもあり、彼女達がいる可能性は低くない。
「十条姫和と、それから……薫って人も信用して良いの?」
「我のいた時間では、お前と肩を並べて剣を振るう間柄だったぞ。向こうがどの時間から参加しているかは知らんが、少なくとも益子薫なら協力も難しくはないだろう」
「我のいた時間では、お前と肩を並べて剣を振るう間柄だったぞ。向こうがどの時間から参加しているかは知らんが、少なくとも益子薫なら協力も難しくはないだろう」
本来であれば追手として現れた燕結芽との戦闘を挟み、高津学長にハッキリと反抗の意思を伝え、舞衣や可奈美との友情を結んだ。
なれど沙耶香はその正史を辿る直前で殺し合いに招かれた。
当然益子薫や古波蔵エレンとも会っておらず、タギツヒメの話を聞いていなければ赤の他人としか思わなかったろう。
薫の指揮下に入り、荒魂に対する益子家の教えを通じ彼女とも距離を縮める。
あった筈の未来を知る由もなく、少し先の時間軸で仲間になっているとだけ聞かされ何とも言えない想いを抱いた。
なれど沙耶香はその正史を辿る直前で殺し合いに招かれた。
当然益子薫や古波蔵エレンとも会っておらず、タギツヒメの話を聞いていなければ赤の他人としか思わなかったろう。
薫の指揮下に入り、荒魂に対する益子家の教えを通じ彼女とも距離を縮める。
あった筈の未来を知る由もなく、少し先の時間軸で仲間になっているとだけ聞かされ何とも言えない想いを抱いた。
(逆に、十条姫和はどの時間からだろうと協力は難しいだろうな……)
参加者である刀使の中で、最もタギツヒメに敵意を向けているのが姫和だ。
殺し合いに乗る気が無いと伝えたとて、はいそうですかと即座に納得してもらえるとは思っていない。
沙耶香やロロが共にいれば一応話は聞くだろうが、最悪なのは姫和が沙耶香よりも前の時間軸から連れて来られている場合。
御前試合での襲撃を発端に可奈美と逃走劇を繰り広げる更に前、本当に一人で大荒魂を葬る刃を研いでいた頃から呼ばれた。
なんて事も無いとは言い切れず、そうなっては説得の難易度も困難を極める。
同じく母である篝とも、すんなり協力は難しい。
彼女の先輩達へやったことを思えば、怒りを覚えるなとの方が無理難題だ。
主催者達へ抗う方針に変わりなくとも、前途多難な現状に自分のことながら気が重くなった。
殺し合いに乗る気が無いと伝えたとて、はいそうですかと即座に納得してもらえるとは思っていない。
沙耶香やロロが共にいれば一応話は聞くだろうが、最悪なのは姫和が沙耶香よりも前の時間軸から連れて来られている場合。
御前試合での襲撃を発端に可奈美と逃走劇を繰り広げる更に前、本当に一人で大荒魂を葬る刃を研いでいた頃から呼ばれた。
なんて事も無いとは言い切れず、そうなっては説得の難易度も困難を極める。
同じく母である篝とも、すんなり協力は難しい。
彼女の先輩達へやったことを思えば、怒りを覚えるなとの方が無理難題だ。
主催者達へ抗う方針に変わりなくとも、前途多難な現状に自分のことながら気が重くなった。
「ちょっと待ってタギツヒメ、この人は沙耶香の仲間とは違うの?」
名簿を見ながら信用出来る参加者を整理していたロロが、ふと疑問を口にする。
指差した箇所にはアンクの三文字。
タギツヒメと柊篝の間に記載されており、並び的にもまず間違いなく刀使の関係者。
だというのに先程からアンクについては一切言及しておらず、流石に気になったのだ。
指差した箇所にはアンクの三文字。
タギツヒメと柊篝の間に記載されており、並び的にもまず間違いなく刀使の関係者。
だというのに先程からアンクについては一切言及しておらず、流石に気になったのだ。
「そやつに関して我も分からん。名前の位置を見るに我や沙耶香と同じ世界出身か、そうでなくとも刀使や荒魂と何らかの関係がある者だとは察せるが……」
「私も知らない。てっきり薫って人みたいに、少し先で知り合うのかもって思ったけど…」
「まあ、お前や衛藤可奈美達の交友関係を全て把握してはいないのでな。我が知らんだけで、向こうはお前を知っているかもしれん」
「私も知らない。てっきり薫って人みたいに、少し先で知り合うのかもって思ったけど…」
「まあ、お前や衛藤可奈美達の交友関係を全て把握してはいないのでな。我が知らんだけで、向こうはお前を知っているかもしれん」
だとしても少々不自然な人選だと思わないでもない。
エレンや元親衛隊の面々等、現代でタギツヒメと浅からぬ因縁を持つ刀使。
若しくは藤原美奈都や折神紫といった20年前の事件に深く関係する者ではなく、何故あえてアンクなる者を参加させたのか。
何と言えば良いのやら、強引に捻じ込んだようなちぐはぐさを感じる。
エレンや元親衛隊の面々等、現代でタギツヒメと浅からぬ因縁を持つ刀使。
若しくは藤原美奈都や折神紫といった20年前の事件に深く関係する者ではなく、何故あえてアンクなる者を参加させたのか。
何と言えば良いのやら、強引に捻じ込んだようなちぐはぐさを感じる。
まさか十条姫和が二人存在し、片方は偶発的に自我を得たNPCが憑り付いているとは夢にも思わず首を傾げるばかり。
真実を知る術は現状三人共持っていない。
真実を知る術は現状三人共持っていない。
何より、長々と考え込む時間は与えられなかった。
「――――っ!」
目では捉えられないナニカが肌に突き刺さる感覚。
殺気という、他者へ害を為す瞬間に発せられるモノ。
自分達へ向けられたと理解し、体は無駄を削ぎ落とした速さで動く。
立ち上がり双剣を引き抜くのに5秒と掛からない、刃同士が激突する音が響く。
殺気という、他者へ害を為す瞬間に発せられるモノ。
自分達へ向けられたと理解し、体は無駄を削ぎ落とした速さで動く。
立ち上がり双剣を引き抜くのに5秒と掛からない、刃同士が激突する音が響く。
人外故の反射速度を見せたタギツヒメに少々遅れ、沙耶香も抜刀。
写シを張る隣では、敵襲と察したロロが機動鍵を使いパワードスーツを装着。
3人共に戦闘準備が完了し、襲撃者を己が視界に収める。
写シを張る隣では、敵襲と察したロロが機動鍵を使いパワードスーツを装着。
3人共に戦闘準備が完了し、襲撃者を己が視界に収める。
「…………は?」
「うそ……」
「うそ……」
呆けた声が自分の口から出たと、タギツヒメも沙耶香も果たして自覚出来たかどうか。
己の瞳に映る襲撃者の姿が、現実のものとは思えない。
所々が破れた布は、見間違える筈の無い美農関学院の制服。
見え隠れする素肌を縫い目が走り、まるで綿が零れないよう修復されたぬいぐるみを思わせる。
結われた栗色の髪も、その下の顔も記憶にあるのと全く同じ。
人形染みた無表情という一点を除いて、だが。
己の瞳に映る襲撃者の姿が、現実のものとは思えない。
所々が破れた布は、見間違える筈の無い美農関学院の制服。
見え隠れする素肌を縫い目が走り、まるで綿が零れないよう修復されたぬいぐるみを思わせる。
結われた栗色の髪も、その下の顔も記憶にあるのと全く同じ。
人形染みた無表情という一点を除いて、だが。
「お前、は……」
酷く掠れた、老人の如き声だと。
どこか現実逃避気味に考えるも、目の前の光景は何も変わらない。
斬り掛かり今も鍔迫り合う者の名を、タギツヒメが忘れる筈も無かった。
どこか現実逃避気味に考えるも、目の前の光景は何も変わらない。
斬り掛かり今も鍔迫り合う者の名を、タギツヒメが忘れる筈も無かった。
「衛藤可奈美……?」
問い掛けられても向こうからの答えは言葉に非ず、刃に乗せた殺意。
刀身に掛かる重さが増し、八幡力と察するや両足が縺れる。
己のつまらないミスへ舌を打ち、斬首を狙った剣を迅移で回避。
斬り合うのに民家の居間は狭過ぎる、窓を突き破り外へ出れば逃がさぬと敵も背を追い掛ける。
刀身に掛かる重さが増し、八幡力と察するや両足が縺れる。
己のつまらないミスへ舌を打ち、斬首を狙った剣を迅移で回避。
斬り合うのに民家の居間は狭過ぎる、窓を突き破り外へ出れば逃がさぬと敵も背を追い掛ける。
狙い通り舞台を外へ移し、背後からの斬撃に対処。
双剣を水平に斬り払う【水面斬り】へ、同じく二振りの刀を叩き付けた。
刀使の術が使えるのは可奈美だけではない、タギツヒメも八幡力で強化。
共に剣が弾かれ、隙を突かれる前に再度攻撃へ打って出る。
一手早いのは可奈美、両の切っ先が首と心臓を同時狙う。
【雫波紋突き】は鬼の頸を落とすのには向かないが、逆に相手が鬼でないなら必殺の技と化す。
双剣を水平に斬り払う【水面斬り】へ、同じく二振りの刀を叩き付けた。
刀使の術が使えるのは可奈美だけではない、タギツヒメも八幡力で強化。
共に剣が弾かれ、隙を突かれる前に再度攻撃へ打って出る。
一手早いのは可奈美、両の切っ先が首と心臓を同時狙う。
【雫波紋突き】は鬼の頸を落とすのには向かないが、逆に相手が鬼でないなら必殺の技と化す。
「チッ…!」
先手を譲る形となったが、大人しく死を受け入れるのまで許してはいない。
記憶に残った可奈美の動きと違う初見の技なれど、防げないかと言うなら否。
烈風丸で剣の腹を叩き、天鎖斬月の刀身で切っ先を押し返す。
ノーダメージで凌ぎ反対に斬り付けるも、宙を舞う紙切れのような掴み所の無い動きで躱される。
【流流舞い】で回避する間も瞳はタギツヒメから離さない、死角へ移動し敵の目が捉えるのを待たずに腕を振るう。
狙うは急所、写シを剥がし再び張られる前に仕留める気だ。
記憶に残った可奈美の動きと違う初見の技なれど、防げないかと言うなら否。
烈風丸で剣の腹を叩き、天鎖斬月の刀身で切っ先を押し返す。
ノーダメージで凌ぎ反対に斬り付けるも、宙を舞う紙切れのような掴み所の無い動きで躱される。
【流流舞い】で回避する間も瞳はタギツヒメから離さない、死角へ移動し敵の目が捉えるのを待たずに腕を振るう。
狙うは急所、写シを剥がし再び張られる前に仕留める気だ。
「随分と、お前らしからぬ戦い方だな…!」
視界のみに頼るつもりは最初からない。
針を毛穴に捻じ込まれる痛みにも似た感覚が、可奈美の位置を嫌でも知らせて来る。
弾き返し両手の剣を同時に叩き付ければ、交差させた得物で防御。
衝撃までは殺せずに後退を余儀なくされるも、踏み込まれる前に迅移でタギツヒメへと接近。
針を毛穴に捻じ込まれる痛みにも似た感覚が、可奈美の位置を嫌でも知らせて来る。
弾き返し両手の剣を同時に叩き付ければ、交差させた得物で防御。
衝撃までは殺せずに後退を余儀なくされるも、踏み込まれる前に迅移でタギツヒメへと接近。
(まさかとは思ったが、やはりそうなのか……)
表情を変えずに剣を振るう可奈美と斬り結びながら、紛れもない現実を受け止める。
見慣れぬ技や得物を我が物にしているが、目の前にいるのは衛藤可奈美だ。
ルルーシュの持つ異能のような、他者を操る術の支配下にあるのではない。
苛烈な剣に殺意はあれど、嘗て自分と斬り合った時の熱は微塵も感じられない。
剣を振るう姿をこの目に映して尚、生者の気配は漂って来ない。
ここにあるのはただの肉袋に過ぎず、可奈美本人はもう現世にはいないのだろう。
見慣れぬ技や得物を我が物にしているが、目の前にいるのは衛藤可奈美だ。
ルルーシュの持つ異能のような、他者を操る術の支配下にあるのではない。
苛烈な剣に殺意はあれど、嘗て自分と斬り合った時の熱は微塵も感じられない。
剣を振るう姿をこの目に映して尚、生者の気配は漂って来ない。
ここにあるのはただの肉袋に過ぎず、可奈美本人はもう現世にはいないのだろう。
「……っ」
訳も分からず胸がざわめく。
タキリヒメやイチキシマヒメと違い、自分と刀使は敵同士のまま殺し合いに招かれた。
可奈美が死んだとて多少の驚きこそあれど、激しい動揺を抱く程ではない筈。
だというのに、今感じているのは既にこの地で二度味わったものと似ている。
大事なナニカを取り零してしまったような、喪失感とも呼ぶべき痛み。
タキリヒメやイチキシマヒメと違い、自分と刀使は敵同士のまま殺し合いに招かれた。
可奈美が死んだとて多少の驚きこそあれど、激しい動揺を抱く程ではない筈。
だというのに、今感じているのは既にこの地で二度味わったものと似ている。
大事なナニカを取り零してしまったような、喪失感とも呼ぶべき痛み。
「いや、そうか……」
困惑はやがて納得に変わる。
ただ気付かない振りをしているだけで、本当は自分でも分かっていたのだ。
思えば一護と斬り合った時もそう。
己の全てを出し切るような技と技の応酬で、認めたくなかったが自分の孤独が埋まる気がした。
言葉では無く剣を通じ、互いを理解する。
一護が自分にやったことであり、可奈美が多くの者にやってきたこと。
ただ気付かない振りをしているだけで、本当は自分でも分かっていたのだ。
思えば一護と斬り合った時もそう。
己の全てを出し切るような技と技の応酬で、認めたくなかったが自分の孤独が埋まる気がした。
言葉では無く剣を通じ、互いを理解する。
一護が自分にやったことであり、可奈美が多くの者にやってきたこと。
だから多分、心の奥底では期待していたのだろう。
衛藤可奈美ならば、埋まらない筈の孤独を癒してくれる。
どの刀使よりも強く、それでいて斬り合いを心から楽しむ彼女だったら。
剣と剣で奇妙な、だけど自分にとっては救いとなる「縁」を作ってくれるのではと。
そんな風に願っていたかもしれないと、救われた今ならそう思う。
衛藤可奈美ならば、埋まらない筈の孤独を癒してくれる。
どの刀使よりも強く、それでいて斬り合いを心から楽しむ彼女だったら。
剣と剣で奇妙な、だけど自分にとっては救いとなる「縁」を作ってくれるのではと。
そんな風に願っていたかもしれないと、救われた今ならそう思う。
「もう遅いがな…」
呟きに可奈美は何の反応も見せない。
当たり前だ、これは可奈美の姿をしているだけの骸。
彼女を彼女たらしめる心は二度と戻っては来ない。
当たり前だ、これは可奈美の姿をしているだけの骸。
彼女を彼女たらしめる心は二度と戻っては来ない。
左右から首へ迫る刃に、身を屈めて躱し懐へ潜り込む。
頭上で刀身がかち合う音は無視、脇腹へと己の剣を走らせた。
虚やネウロイを斬る筈の得物が、人ならざるものと化した刀使を黄泉へ送り返す。
だが自我が無くとも終わりを受け入れる気は皆無、跳躍しタギツヒメの頭上を取る。
人間と大荒魂、共通の脆い箇所へ【滝壷】を繰り出した。
頭上で刀身がかち合う音は無視、脇腹へと己の剣を走らせた。
虚やネウロイを斬る筈の得物が、人ならざるものと化した刀使を黄泉へ送り返す。
だが自我が無くとも終わりを受け入れる気は皆無、跳躍しタギツヒメの頭上を取る。
人間と大荒魂、共通の脆い箇所へ【滝壷】を繰り出した。
「馬鹿者が……」
四文字に籠められた感情をタギツヒメ自身も理解しないまま、振り下ろされた一撃を迎え撃つ。
一護も、刹那も、そして可奈美も。
誰かの心を揺り動かし、大きく変える事が出来る者達に限って死んでいく。
本当に馬鹿ばかりだと苦い顔で剣を振るった。
一護も、刹那も、そして可奈美も。
誰かの心を揺り動かし、大きく変える事が出来る者達に限って死んでいく。
本当に馬鹿ばかりだと苦い顔で剣を振るった。
○
(何だこのデタラメな戦いは……)
シビトと化した刀使と、孤独から解放された大荒魂の闘争。
パワードスーツのレンズ越しに見つめるロロは、内心で肝を冷やしていた。
生身で超人的な戦闘能力を持つ者には心当たりがある。
ジェレミア・ゴットバルトや篠崎咲世子、自分と同じ参加者の枢木スザク。
三人共ギアス無しに馬鹿げた身体能力を持つが、タギツヒメと可奈美の速さは彼らをも超える。
パワードスーツや仮面ライダーの恩恵に与ったのとは違う、刀使の術と純粋な剣術を最高レベルに発揮した剣戟。
沙耶香の話から強いとは察したがこれ程なのか。
パワードスーツのレンズ越しに見つめるロロは、内心で肝を冷やしていた。
生身で超人的な戦闘能力を持つ者には心当たりがある。
ジェレミア・ゴットバルトや篠崎咲世子、自分と同じ参加者の枢木スザク。
三人共ギアス無しに馬鹿げた身体能力を持つが、タギツヒメと可奈美の速さは彼らをも超える。
パワードスーツや仮面ライダーの恩恵に与ったのとは違う、刀使の術と純粋な剣術を最高レベルに発揮した剣戟。
沙耶香の話から強いとは察したがこれ程なのか。
「可奈美……どうして……」
その沙耶香は苛烈な斬り合いを前に呆然と立ち尽くしていた。
襲って来たのは可奈美の偽物、或いは何らかの方法で洗脳されただけ。
都合の良い方に考えようとしても、目に映る彼女の姿にハッキリ否定を突き付けられる。
自分達の知らない所で可奈美がどうなったのか、生々しい縫い目がその証拠だ。
襲って来たのは可奈美の偽物、或いは何らかの方法で洗脳されただけ。
都合の良い方に考えようとしても、目に映る彼女の姿にハッキリ否定を突き付けられる。
自分達の知らない所で可奈美がどうなったのか、生々しい縫い目がその証拠だ。
「私は……」
どうすれば良いのかが分からない。
突然斬り掛かって来た事からも、今の可奈美が無差別に人を襲う存在なのは疑いようもない。
タギツヒメに加勢し、共に可奈美を斬る。
刀使としての役割や殺し合いに抗う者の方針としては、きっとそれが正しい。
突然斬り掛かって来た事からも、今の可奈美が無差別に人を襲う存在なのは疑いようもない。
タギツヒメに加勢し、共に可奈美を斬る。
刀使としての役割や殺し合いに抗う者の方針としては、きっとそれが正しい。
(私に出来るの……?)
以前までの、高津学長に言われるがまま動くだけの自分だったら迷いも無かっただろう。
だけど、可奈美と再戦を約束し、舞衣の優しさに触れた今では躊躇が生じる。
魂が無いからといって、自分に可奈美を斬れるのか。
もし舞衣にそれを知られたら、一体どう思われるのだろうか。
一方でここで可奈美を斬らねば、舞衣にも容赦なく襲い掛かる。
自分以上にショックを受けるだろう舞衣へ、余計に精神的な負担と危険を強いるくらいなら自分が手を汚すべきでは。
なまじ人間らしい情緒が育っただけに、却って迷いが剣を鈍らせた。
だけど、可奈美と再戦を約束し、舞衣の優しさに触れた今では躊躇が生じる。
魂が無いからといって、自分に可奈美を斬れるのか。
もし舞衣にそれを知られたら、一体どう思われるのだろうか。
一方でここで可奈美を斬らねば、舞衣にも容赦なく襲い掛かる。
自分以上にショックを受けるだろう舞衣へ、余計に精神的な負担と危険を強いるくらいなら自分が手を汚すべきでは。
なまじ人間らしい情緒が育っただけに、却って迷いが剣を鈍らせた。
「沙耶香……」
目に見えて動揺する沙耶香へ同情の素振りを見せつつ、内心では無理もないかと独り言ちる。
沙耶香にとっての可奈美や舞衣は、自分にとってのルルーシュと同じ。
使われるだけの人生を変えてくれた存在が、あろうことか骸となり自我無き殺戮人形へ堕ちたのだ。
自分だって沙耶香の立場なら、まともな思考が出来たか自信は無い。
ルルーシュを殺し使役した相手を憎むだろうけど、それ以上にショックで動けなかったろう。
とはいえずっと見物に徹する訳にもいかない。
あの可奈美がルルーシュに危害を加える可能性が高い以上、出来ればここで排除しておきたかった。
沙耶香にとっての可奈美や舞衣は、自分にとってのルルーシュと同じ。
使われるだけの人生を変えてくれた存在が、あろうことか骸となり自我無き殺戮人形へ堕ちたのだ。
自分だって沙耶香の立場なら、まともな思考が出来たか自信は無い。
ルルーシュを殺し使役した相手を憎むだろうけど、それ以上にショックで動けなかったろう。
とはいえずっと見物に徹する訳にもいかない。
あの可奈美がルルーシュに危害を加える可能性が高い以上、出来ればここで排除しておきたかった。
「いやぁ、派手にやってるねぇ」
沙耶香に向けて言い掛けた言葉を引っ込め、弾かれたように振り返る。
聞き覚えの無い声の主はすぐに見付かった。
長髪に全身の継ぎ目が特徴の、見ていると不安を覚える男。
戦場には似つかわしくないヘラヘラとした笑みを浮かべ、呑気に斬り合いを眺めていた。
聞き覚えの無い声の主はすぐに見付かった。
長髪に全身の継ぎ目が特徴の、見ていると不安を覚える男。
戦場には似つかわしくないヘラヘラとした笑みを浮かべ、呑気に斬り合いを眺めていた。
「誰だ…?まさか彼女をああしたのは…!?」
「その通り、って言ったら俺も楽しいんだけどね。生憎無関係だよ。あっ、因みに俺は…藤丸立香っていうんだけどさ」
「その通り、って言ったら俺も楽しいんだけどね。生憎無関係だよ。あっ、因みに俺は…藤丸立香っていうんだけどさ」
ロロの警戒もお構いなしに名を告げ、近付いて手を伸ばす。
偶然出会った友人へするような、気安い動作。
余りに自然に行うものだから、ロロも沙耶香も反応が遅れる。
可奈美の件もあって混乱から抜け出せない沙耶香の肩に、ポンと手が置かれ――
偶然出会った友人へするような、気安い動作。
余りに自然に行うものだから、ロロも沙耶香も反応が遅れる。
可奈美の件もあって混乱から抜け出せない沙耶香の肩に、ポンと手が置かれ――
「失せよ下郎が!」
その寸前で、不可視の刃が男を襲う。
手を引っ込めて飛び退き、唇を尖らせて顔を上げる。
斬り合いの真っ最中のタギツヒメが、烈風丸から真空刃を放ったのだ。
手を引っ込めて飛び退き、唇を尖らせて顔を上げる。
斬り合いの真っ最中のタギツヒメが、烈風丸から真空刃を放ったのだ。
「迂闊にその男には近付くな!荒魂よりも質が悪いぞ!」
「そんなあっさりネタバラシとか、空気読もうよ。ってか君こそ俺をどうこう言える側じゃないでしょ」
「そんなあっさりネタバラシとか、空気読もうよ。ってか君こそ俺をどうこう言える側じゃないでしょ」
人ならざる者として、何より怒りを原動力に生きたタギツヒメだからこそすぐに分かった。
現れた男は荒魂が宿す喪失感や復讐心よりも尚おぞましい、純然たる悪意で構成された存在。
謂わば呪いが人の形を取った、正真正銘の化け物だと。
現れた男は荒魂が宿す喪失感や復讐心よりも尚おぞましい、純然たる悪意で構成された存在。
謂わば呪いが人の形を取った、正真正銘の化け物だと。
同じく男…真人もまたタギツヒメの本質は自分達呪霊に近いと即座に察した。
だからこそ本心から呆れを抱く。
人間を庇い、利用するのではなくまるで仲間のように扱う姿勢。
それは違う、そんなものが呪いの在り方な訳が無いだろうと。
だからこそ本心から呆れを抱く。
人間を庇い、利用するのではなくまるで仲間のように扱う姿勢。
それは違う、そんなものが呪いの在り方な訳が無いだろうと。
美農関学院から飛び去り、道中でNPCの集団を相手に実験がてら無為転変を使い魂を弄り続けた。
運が良い事に、人間タイプのNPCになら自分の術式は有効と判明。
質は低いが数を揃えるだけなら十分だと、改造人間のストックを増やすのに成功。
秀吉相手に使った分はある程度補充し、移動再開となった所でタギツヒメ達を見付けたのだった。
運が良い事に、人間タイプのNPCになら自分の術式は有効と判明。
質は低いが数を揃えるだけなら十分だと、改造人間のストックを増やすのに成功。
秀吉相手に使った分はある程度補充し、移動再開となった所でタギツヒメ達を見付けたのだった。
「まっ、こっちはこっちで勝手に楽しむから良いんだけどさ」
アッサリ切り替え、右腕から棘を生やして沙耶香に伸ばす。
肉の鞭の襲来へ迅移を用いて回避、速度を維持したままで接近。
一瞬で懐に潜り込み御刀を突き出すも、真下からの攻撃に弾かれる。
膝を斧に変えての蹴り上げだ、がら空きの胴体目掛け左拳を放った。
肉の鞭の襲来へ迅移を用いて回避、速度を維持したままで接近。
一瞬で懐に潜り込み御刀を突き出すも、真下からの攻撃に弾かれる。
膝を斧に変えての蹴り上げだ、がら空きの胴体目掛け左拳を放った。
ノコギリを思わせる刃を生やした拳は、空しく宙を切り裂くのみ。
再び迅移を使い死角へ移動、間髪入れずに斬り込む。
速さに特化した沙耶香が得意とする戦法だ。
並の相手は反撃の暇もなく細切れと化すも、此度の敵は変幻自在の特級呪霊。
人間の関節では有り得ない動きで全身が曲がり、刃を掠めさせもしない。
再び迅移を使い死角へ移動、間髪入れずに斬り込む。
速さに特化した沙耶香が得意とする戦法だ。
並の相手は反撃の暇もなく細切れと化すも、此度の敵は変幻自在の特級呪霊。
人間の関節では有り得ない動きで全身が曲がり、刃を掠めさせもしない。
大口を開けると舌が刺突剣に変化、沙耶香の顔面狙いで伸びた。
首を動かし躱すも、避けた先には鎌状へ変えた右腕。
刀で防ぎつつ一旦距離を取れば、枝分かれした鎌が頭上より飛来。
首を動かし躱すも、避けた先には鎌状へ変えた右腕。
刀で防ぎつつ一旦距離を取れば、枝分かれした鎌が頭上より飛来。
雪原を赤く染める刃の群れ、それを阻むは軽快な音を立てる銃弾。
ロロがアサルトライフルを連射し、沙耶香から脅威を遠ざける。
更には左腕のグレネードランチャーが火を吹き、真人を直接狙い撃つ。
両足を獣に変え疾走、回避しつつも腕を肉の盾に変化し爆風から身を守る。
無論避けるだけでは真人自身つまらない、砲撃を躱しながら接近し肥大化させた拳を叩き付けた。
ロロがアサルトライフルを連射し、沙耶香から脅威を遠ざける。
更には左腕のグレネードランチャーが火を吹き、真人を直接狙い撃つ。
両足を獣に変え疾走、回避しつつも腕を肉の盾に変化し爆風から身を守る。
無論避けるだけでは真人自身つまらない、砲撃を躱しながら接近し肥大化させた拳を叩き付けた。
「くっ…!」
ランドスピナーの回転数を速め、拳の範囲内から脱出。
入れ替わりに沙耶香が突撃、対する真人も次の手を選択済みだ。
改造人間複数体をばら撒くと、干し柿のような姿は一変し異形が出現。
魚や虫に似た、生理的嫌悪を誘発する怪物が涎を垂らしながら襲い来る。
入れ替わりに沙耶香が突撃、対する真人も次の手を選択済みだ。
改造人間複数体をばら撒くと、干し柿のような姿は一変し異形が出現。
魚や虫に似た、生理的嫌悪を誘発する怪物が涎を垂らしながら襲い来る。
近付く異形を撃ち殺すロロに倣い、沙耶香も刀を振り被った。
人に害を為す怪物の相手は今に始まったものではない。
斬るのに躊躇はいらないと仕留めに掛かり、
人に害を為す怪物の相手は今に始まったものではない。
斬るのに躊躇はいらないと仕留めに掛かり、
「たす……け……」
己が剣をピタリと止めた。
「え……?」
目を見開く沙耶香へお構いなしに異形達は手を伸ばす。
まるで救いを求めるかのように。
まるで救いを求めるかのように。
「ころ……して……くれ……」
「だれか……おかーさ……」
「だれか……おかーさ……」
途切れ途切れの嗄れ声だが、確かに人語を発している。
荒魂とは違う、かといって大荒魂とも別物。
嫌な予感に背筋を冷たいものが滴り落ち、それを見計らってか楽し気な声が掛かった。
荒魂とは違う、かといって大荒魂とも別物。
嫌な予感に背筋を冷たいものが滴り落ち、それを見計らってか楽し気な声が掛かった。
「ああそうそう、言い忘れてたけどそいつらは元々人間なんだ。まあ気にしないでよ、そうなったらもう助からないからさ」
毒のように真人の言葉が沙耶香を蝕む。
一体残らず人の形をしていないが、嘗ては間違いなく人間だった。
醜悪な形に変えられたが、人としての自我はまだ残っている。
そんな彼らを殺すのか。
真人が言ったように助かる方法が無い以上、斬る以外に道はない。
刀使として彼らの魂を解放する事こそ、最も正しい選択。
一体残らず人の形をしていないが、嘗ては間違いなく人間だった。
醜悪な形に変えられたが、人としての自我はまだ残っている。
そんな彼らを殺すのか。
真人が言ったように助かる方法が無い以上、斬る以外に道はない。
刀使として彼らの魂を解放する事こそ、最も正しい選択。
「……っ」
そう理解して尚も動けない。
最初から人では無い荒魂を斬るのと、元は人で自我を残された改造人間を斬るのでは全く違う。
例え異形に変えられたとしても、彼らを斬るのは人殺しと同じになるのではないか。
効率的に敵を倒すだけの機械、そうはなりたくないから殺し合いを拒否した。
舞衣や可奈美がくれた温かさを手放したくないからこそ、主催者の言い成りにはならないと決めたのに。
これでは結局、自分の手を人の血で汚すのと一緒なんじゃないのか。
最初から人では無い荒魂を斬るのと、元は人で自我を残された改造人間を斬るのでは全く違う。
例え異形に変えられたとしても、彼らを斬るのは人殺しと同じになるのではないか。
効率的に敵を倒すだけの機械、そうはなりたくないから殺し合いを拒否した。
舞衣や可奈美がくれた温かさを手放したくないからこそ、主催者の言い成りにはならないと決めたのに。
これでは結局、自分の手を人の血で汚すのと一緒なんじゃないのか。
生まれた迷いは致命的な隙へと直結する。
「ありがとう、分かり易いくらいに動揺してくれて」
「っ!」
「っ!」
傍らで囁かれた声に強張るも遅い。
群がる改造人間を撃ち殺したロロが気付いて銃口を向ける。
ギアス卿団の暗殺者として屍を積み上げ、殺し合いでも既に一人を手に掛けた故に元人間だろうと躊躇は抱かない。
尤も、トリガーを引くより真人の方が早かったが。
群がる改造人間を撃ち殺したロロが気付いて銃口を向ける。
ギアス卿団の暗殺者として屍を積み上げ、殺し合いでも既に一人を手に掛けた故に元人間だろうと躊躇は抱かない。
尤も、トリガーを引くより真人の方が早かったが。
「折角だし、色々試してみるのも悪くないよね」
翳した掌が齎すのは魂を弄ぶ術式、ではない。
本来の真人が持ち得ない、主催者から与えられた異能。
沙耶香の視界を光が覆い隠し、思考が瞬きの間に塗り替えられた。
寝起きの時にも似た気の抜けた顔を真人が覗き込む。
本来の真人が持ち得ない、主催者から与えられた異能。
沙耶香の視界を光が覆い隠し、思考が瞬きの間に塗り替えられた。
寝起きの時にも似た気の抜けた顔を真人が覗き込む。
「おーい、俺の声聞こえてる?」
アサルトライフルの銃撃を傘に変えた腕で防ぎ問い掛ければ、すぐに反応があった。
ハッとしたように肩を揺らして、コクコクと慌てて頷く。
色白の頬は紅潮し、瞳を潤ませた様はどう見ても呪いに向ける表情ではない。
効果ありを確信、内心で嘲笑しながら新しく手に入った“玩具”に命令を下す。
ハッとしたように肩を揺らして、コクコクと慌てて頷く。
色白の頬は紅潮し、瞳を潤ませた様はどう見ても呪いに向ける表情ではない。
効果ありを確信、内心で嘲笑しながら新しく手に入った“玩具”に命令を下す。
「早速だけど、あっちにいる鉄男を殺して来てよ」
「う、うん……!」
「う、うん……!」
首を縦に振り迅移を発動、一気に零陽炎を纏ったロロの元へ到達。
未だ事態を飲み込めず困惑する相手へ、一切構うことなく剣を振り被る。
暗殺者として育てられたのが活きたのだろう、殺意へ自然と体は動いた。
両腕を交差し防御、腕部へ走る衝撃は沙耶香が叩き付けた御刀の一撃。
未だ事態を飲み込めず困惑する相手へ、一切構うことなく剣を振り被る。
暗殺者として育てられたのが活きたのだろう、殺意へ自然と体は動いた。
両腕を交差し防御、腕部へ走る衝撃は沙耶香が叩き付けた御刀の一撃。
「沙耶香!?急に何を…っ!?」
「ごめんねロロ。でも、彼の為にやらなきゃいけないから」
「ごめんねロロ。でも、彼の為にやらなきゃいけないから」
理解も納得も出来ない答えと共に、続けて刃が襲い来る。
速度に物を言わせたお得意の攻撃に加え、八幡力で威力も強化。
更に得物は破壊困難な御刀、愛用する妙法村正なのも影響し油断ならない斬撃の嵐だ。
KMFの耐久性で凌いではいても、一方的に受けてばかりではダメージの蓄積は免れない。
速度に物を言わせたお得意の攻撃に加え、八幡力で威力も強化。
更に得物は破壊困難な御刀、愛用する妙法村正なのも影響し油断ならない斬撃の嵐だ。
KMFの耐久性で凌いではいても、一方的に受けてばかりではダメージの蓄積は免れない。
(まさか、兄さんのギアスと同じような力か!?)
今の今まで敵対していた相手の命令を、急にすんなり受け入れた。
不可解極まる現象にはロロも心当たりがある。
兄であるルルーシュが持つ、絶対遵守の王の力。
制約はあるが一度支配下に置かれれば、どんな命令も実行するギアス。
それと同じような洗脳能力の類を使われ、沙耶香は敵の操り人形となった。
よもやルルーシュ以外にも似た力を持つ者が現れるとは、厄介な敵にぶつかったと歯噛みする。
不可解極まる現象にはロロも心当たりがある。
兄であるルルーシュが持つ、絶対遵守の王の力。
制約はあるが一度支配下に置かれれば、どんな命令も実行するギアス。
それと同じような洗脳能力の類を使われ、沙耶香は敵の操り人形となった。
よもやルルーシュ以外にも似た力を持つ者が現れるとは、厄介な敵にぶつかったと歯噛みする。
スラッシュハーケンを伸ばすも紙一重で躱され、再び刃が迫る。
零陽炎も反応速度が致命的に低くは無いが、速さで言うなら沙耶香が上。
ましてジェレミアや咲世子と違い、ロロは白兵戦に秀でた戦士という訳でもない。
KMFの操縦とは勝手の違う戦いの分は沙耶香にあった。
零陽炎も反応速度が致命的に低くは無いが、速さで言うなら沙耶香が上。
ましてジェレミアや咲世子と違い、ロロは白兵戦に秀でた戦士という訳でもない。
KMFの操縦とは勝手の違う戦いの分は沙耶香にあった。
(どうする?ギアスを使えば…でも……)
自身のギアスなら、抵抗を許さず無力化も不可能ではないだろう。
が、課せられた制限が使用に躊躇を抱かせる。
もし沙耶香を大人しくさせる間、一護殺害の時と同じ違和感が発生しタギツヒメに気付かれたら。
疑念を向けられ廻り廻って一護を殺した件が明るみに出てしまえば、洗脳中の沙耶香のみならずタギツヒメまでもを敵に回してしまう。
襲って来た可奈美や藤丸立香(真人)が味方になる筈も無く、この場でロロは孤立を余儀なくされる。
が、課せられた制限が使用に躊躇を抱かせる。
もし沙耶香を大人しくさせる間、一護殺害の時と同じ違和感が発生しタギツヒメに気付かれたら。
疑念を向けられ廻り廻って一護を殺した件が明るみに出てしまえば、洗脳中の沙耶香のみならずタギツヒメまでもを敵に回してしまう。
襲って来た可奈美や藤丸立香(真人)が味方になる筈も無く、この場でロロは孤立を余儀なくされる。
「隙だらけだよ鉄男。自分から的になってくれるなんて、気が利いてるね」
「っ!ぐあああああああああっ!?」
「っ!ぐあああああああああっ!?」
判断の遅れと沙耶香に意識を割き過ぎたツケが回って来た。
沙耶香へ命令を下したが、真人自身が何もしないと言った覚えもない。
NPCを相手取った際に手に入れた武器、二つセットのバズーカ砲を構え連続で発射。
戦国乱世に名高い武将達とも渡り合った、愛の伝道師の得物だ。
高火力の砲撃が命中、悲鳴を上げて吹き飛ばされる。
沙耶香へ命令を下したが、真人自身が何もしないと言った覚えもない。
NPCを相手取った際に手に入れた武器、二つセットのバズーカ砲を構え連続で発射。
戦国乱世に名高い武将達とも渡り合った、愛の伝道師の得物だ。
高火力の砲撃が命中、悲鳴を上げて吹き飛ばされる。
「がふっ……」
雪の上を転がり、止まった時には衝撃でパワードスーツも解除。
アッシュフォード学園の制服へ水分が染み込むのも、全身を苛む痛みで気にならない。
ギアスの副作用で感じる苦痛とは別種の苦しさだ。
機動鍵が無かったら今頃は火達磨になっていたに違いない。
何とか立とうとする意思とは裏腹に、軽くない傷を負った体は意識を落とす。
小さく漏れた悪態はロロ自身にしか拾われないまま、視界が黒に染まった。
アッシュフォード学園の制服へ水分が染み込むのも、全身を苛む痛みで気にならない。
ギアスの副作用で感じる苦痛とは別種の苦しさだ。
機動鍵が無かったら今頃は火達磨になっていたに違いない。
何とか立とうとする意思とは裏腹に、軽くない傷を負った体は意識を落とす。
小さく漏れた悪態はロロ自身にしか拾われないまま、視界が黒に染まった。
「へぇ、人間の武器ってのも中々面白いね。あ、そういや巻き添えとか食らってない?」
「うん大丈夫。えっと、心配してくれて、あ、ありがとう」
「うん大丈夫。えっと、心配してくれて、あ、ありがとう」
心配と言うには軽い態度で聞かれたが、思考がまともでない沙耶香にはそれだけでも歓喜を抱くものだったらしい。
赤い顔でもじもじと礼を告げる姿に、内心で馬鹿を見る目を真人は向けた。
赤い顔でもじもじと礼を告げる姿に、内心で馬鹿を見る目を真人は向けた。
倒れたロロなど眼中にないとばかりの態度は、可奈美を相手取るタギツヒメにも見えた。
状況は悪化の一途を辿り、一向に改善の兆しは見えない。
自分の焦りも敵には無関係、心臓目掛け切っ先が突き出される。
烈風丸で弾いた傍から脇腹へと刃が駆け、身を捩ってどうにか躱す。
攻撃の勢いは衰える気配を見せず、既に死人の相手には体力消耗も期待出来ない。
そうこうしている間にも、ロロの方へ真人が近付きつつあるというのに。
状況は悪化の一途を辿り、一向に改善の兆しは見えない。
自分の焦りも敵には無関係、心臓目掛け切っ先が突き出される。
烈風丸で弾いた傍から脇腹へと刃が駆け、身を捩ってどうにか躱す。
攻撃の勢いは衰える気配を見せず、既に死人の相手には体力消耗も期待出来ない。
そうこうしている間にも、ロロの方へ真人が近付きつつあるというのに。
「いい加減に…せんか貴様ァッ!!!」
リボンズの時に始まり、敵へ良いようにやられてるだけの自分。
悉く自分との縁を奪おうとする襲撃者達。
以前までの原動力とは違う理由で湧き上がった怒りが、タギツヒメの剣を一層激しいものへ変える。
感情的な攻撃は戦いを有利にも不利にも動かすが此度は前者だ。
怒涛の攻めは水の呼吸の型を繰り出す隙を与えない、可奈美の防戦一方へと変化。
生前ならば焦りと高揚の混ぜ合わさった表情を浮かべたろうけれど、生憎シビトに感情は存在しない。
別方向から同時に飛来する刃を金剛身で防御し、体勢を立て直される前に【雫波紋突き】で射抜く。
刀をタギツヒメが引き戻し防ぐも勢いは可奈美が上、得物が両手から弾かれた。
悉く自分との縁を奪おうとする襲撃者達。
以前までの原動力とは違う理由で湧き上がった怒りが、タギツヒメの剣を一層激しいものへ変える。
感情的な攻撃は戦いを有利にも不利にも動かすが此度は前者だ。
怒涛の攻めは水の呼吸の型を繰り出す隙を与えない、可奈美の防戦一方へと変化。
生前ならば焦りと高揚の混ぜ合わさった表情を浮かべたろうけれど、生憎シビトに感情は存在しない。
別方向から同時に飛来する刃を金剛身で防御し、体勢を立て直される前に【雫波紋突き】で射抜く。
刀をタギツヒメが引き戻し防ぐも勢いは可奈美が上、得物が両手から弾かれた。
「貴様は…一護や刹那と同じような馬鹿者だった筈だ!」
だが得物の損失にもタギツヒメは慌てない。
金剛身で掌を硬質化させ、襲い来る刃を掴み引き寄せる。
可奈美の顔目掛け自身の額を叩き付ける、頭突きという原始的な手段。
痛覚は薄くとも衝撃は受けるらしく、よろけた隙にもう一撃食らわせるべく動いた。
金剛身で掌を硬質化させ、襲い来る刃を掴み引き寄せる。
可奈美の顔目掛け自身の額を叩き付ける、頭突きという原始的な手段。
痛覚は薄くとも衝撃は受けるらしく、よろけた隙にもう一撃食らわせるべく動いた。
「それが本物の大馬鹿者に成り下がりおって…!!」
八幡力を発動し、伸ばした足が腹部へ吸い込まれる。
靴底が叩き、蹴り飛ばされた可奈美は見えない手に襟を引っ張られているかのよう。
激突の瞬間までを見送らず、落ちた得物を拾うや否やロロの元まで疾走。
気付いた沙耶香が迎え撃たんとするも、本来の意思を失った剣で止められはしない。
靴底が叩き、蹴り飛ばされた可奈美は見えない手に襟を引っ張られているかのよう。
激突の瞬間までを見送らず、落ちた得物を拾うや否やロロの元まで疾走。
気付いた沙耶香が迎え撃たんとするも、本来の意思を失った剣で止められはしない。
「寝ていろ!」
「きゃっ……!」
「きゃっ……!」
一刀の元に写シを剥がし字面へ転がす。
残る標的は呪い一体、五指を鞭に変え四方八方から振るう。
先端は鉤爪状に変化し、紙切れのように切り裂くつもりだ。
なれどタギツヒメには何ら脅威足り得ない攻撃、視線は真人から外さないまま全方向からの刃を弾く。
距離を詰められれば左手を肥大化、叩き潰すべく放つも細切れにされた。
再生させつつ両脚をバネに変形、大きく跳びながら腕を突き付ける。
残る標的は呪い一体、五指を鞭に変え四方八方から振るう。
先端は鉤爪状に変化し、紙切れのように切り裂くつもりだ。
なれどタギツヒメには何ら脅威足り得ない攻撃、視線は真人から外さないまま全方向からの刃を弾く。
距離を詰められれば左手を肥大化、叩き潰すべく放つも細切れにされた。
再生させつつ両脚をバネに変形、大きく跳びながら腕を突き付ける。
銃口へと変え、改造人間を弾丸代わりに発射。
本物のマシンガンもかくやの勢いだが、タギツヒメ相手には足止めにもならない。
一体残らず斬り落とされた挙句、烈風丸から真空刃が飛来。
目には見えないが空気の揺れで攻撃の正体を察知、上半身を下げると煎餅のように平たくなる。
頭上を刃が通過し終えるや否や元に戻り、ついでに両腕を巨大な網に変えてタギツヒメを閉じ込めた。
本物のマシンガンもかくやの勢いだが、タギツヒメ相手には足止めにもならない。
一体残らず斬り落とされた挙句、烈風丸から真空刃が飛来。
目には見えないが空気の揺れで攻撃の正体を察知、上半身を下げると煎餅のように平たくなる。
頭上を刃が通過し終えるや否や元に戻り、ついでに両腕を巨大な網に変えてタギツヒメを閉じ込めた。
内側には無数の棘、いやドリルが飛び出している。
網を狭めれば回転数を速めるドリルに貫かれ、全身串刺しの上にミンチだ。
逃げ場無し、と諦めるのは並の力しか持たない者の弱音。
無ければ自ら切り開くのみ、両腕が搔き消えたと思えば次の瞬間には網がバラバラと落ちた。
網を狭めれば回転数を速めるドリルに貫かれ、全身串刺しの上にミンチだ。
逃げ場無し、と諦めるのは並の力しか持たない者の弱音。
無ければ自ら切り開くのみ、両腕が搔き消えたと思えば次の瞬間には網がバラバラと落ちた。
「やってくれるね」
腕の再生と共に改造人間を吐き出し、大技に打って出る。
二つ以上の魂を合わせ、拒絶反応を攻撃に利用した術。
秀吉相手にも使ったソレは気軽に撃てるものでもないが、改造人間はNPCで補充済みだ。
巨大な芋虫にも似た呪霊を筆頭に、波がタギツヒメへと押し寄せる。
二つ以上の魂を合わせ、拒絶反応を攻撃に利用した術。
秀吉相手にも使ったソレは気軽に撃てるものでもないが、改造人間はNPCで補充済みだ。
巨大な芋虫にも似た呪霊を筆頭に、波がタギツヒメへと押し寄せる。
大質量が迫りつつある中、タギツヒメは目を細め静かに見据える。
成程、単に肉体を変形させるよりも危険だ。
写シを張ってはいても直撃は避けるに限る、だが回避に動く必要も無い。
真っ向より捻じ伏せる技が、今の自分にはあるのだから。
成程、単に肉体を変形させるよりも危険だ。
写シを張ってはいても直撃は避けるに限る、だが回避に動く必要も無い。
真っ向より捻じ伏せる技が、今の自分にはあるのだから。
「――月牙天衝」
黒き刀身が力を帯び、振るえば斬撃が呪霊を喰い殺す。
波を打ち消して尚も勢いは衰えず、継ぎ接ぎの呪い本体をも飲み込まんとする。
命中を受け入れるのは真っ平御免だ、両脚を獣に変え大きく飛び退いた。
波を打ち消して尚も勢いは衰えず、継ぎ接ぎの呪い本体をも飲み込まんとする。
命中を受け入れるのは真っ平御免だ、両脚を獣に変え大きく飛び退いた。
「…ちょっとヤバいかも」
ニヤつく顔のままで敵の脅威の度合いを引き上げる。
秀吉のような派手な破壊力とは違う、しかし負けず劣らずの強さを持つ。
体術や武器の扱いに優れた呪術師は知っているも、タギツヒメはそれらの追随を許さない剣術の使い手だ。
加えて面倒なのは得物の片方、黒い刀身の刀。
チラと目を落とせば躱し切れなかった箇所に痛みを感じ、真人に事の重大さを認識させる。
肉体ではない、魂にダメージが入った。
難しく考えるまでもなく、当然と言えば当然の話か。
呪霊が参加しているのだから、ソレを祓(ころ)す呪具の類とて配られていても不思議は無い。
秀吉のような派手な破壊力とは違う、しかし負けず劣らずの強さを持つ。
体術や武器の扱いに優れた呪術師は知っているも、タギツヒメはそれらの追随を許さない剣術の使い手だ。
加えて面倒なのは得物の片方、黒い刀身の刀。
チラと目を落とせば躱し切れなかった箇所に痛みを感じ、真人に事の重大さを認識させる。
肉体ではない、魂にダメージが入った。
難しく考えるまでもなく、当然と言えば当然の話か。
呪霊が参加しているのだから、ソレを祓(ころ)す呪具の類とて配られていても不思議は無い。
真人は知らないがタギツヒメが振るったのは天鎖斬月。
黒崎一護が残した斬魄刀、その卍解形態。
元々斬魄刀とは虚(ホロウ)と呼ばれる、魂が悪しき霊体へと堕ちた存在を浄化する死神の得物。
世界は違えど魂を斬る為の剣故に、呪霊である真人を葬る武器としても機能する。
黒崎一護が残した斬魄刀、その卍解形態。
元々斬魄刀とは虚(ホロウ)と呼ばれる、魂が悪しき霊体へと堕ちた存在を浄化する死神の得物。
世界は違えど魂を斬る為の剣故に、呪霊である真人を葬る武器としても機能する。
「まさか二度も破られるとは思わなかったけどさ。自信無くしちゃうよ、俺」
おどけて言うが驚きは本心からだ。
秀吉に続き二度も大技を打ち破られるとは予想外。
まあ特級クラスの呪具を使ったタギツヒメはまだ納得のいく範囲内。
人間にも関わらず拳で捻じ伏せた秀吉の方がおかしい。
「何なのかなあのゴリラは」とボヤく真人だが、タギツヒメは会話に興じるつもりもない。
コレを相手に対話へ持ち込むのは流石に不可能だと分かる、早々に片付けるまで。
秀吉に続き二度も大技を打ち破られるとは予想外。
まあ特級クラスの呪具を使ったタギツヒメはまだ納得のいく範囲内。
人間にも関わらず拳で捻じ伏せた秀吉の方がおかしい。
「何なのかなあのゴリラは」とボヤく真人だが、タギツヒメは会話に興じるつもりもない。
コレを相手に対話へ持ち込むのは流石に不可能だと分かる、早々に片付けるまで。
「だめ…!」
「なっ…!?」
「なっ…!?」
しかし、この場で唯一真人の死を望まない少女が割って入る。
写シが剥がされても構わず、己の体を盾に沙耶香が立ち塞がった。
敵なら真人共々切り捨てるが、洗脳されただけの相手を殺す訳にもいかない。
間一髪で振り被った腕を止め、生まれた隙を逃さず真人が沙耶香を抱き寄せる。
写シが剥がされても構わず、己の体を盾に沙耶香が立ち塞がった。
敵なら真人共々切り捨てるが、洗脳されただけの相手を殺す訳にもいかない。
間一髪で振り被った腕を止め、生まれた隙を逃さず真人が沙耶香を抱き寄せる。
「ありがと沙耶香!そんじゃ、俺達はそろそろお暇するよ!」
「待て貴様…!」
「待て貴様…!」
肉体変化を駆使し飛び去る真人へ斬り掛かろうとするも、沙耶香の存在が待ったを掛ける。
烈風斬や月牙天衝なら威力・範囲・速度全てが真人を地に落とすのに十分な技。
だが放てば確実に沙耶香を巻き込んでしまう。
恋人に抱きしめられた気分でうっとりしている彼女は、望まぬ思考に支配されている被害者。
大荒魂である自分に歩み寄ってくれた沙耶香まで斬る、それをタギツヒメは出来なかった。
烈風斬や月牙天衝なら威力・範囲・速度全てが真人を地に落とすのに十分な技。
だが放てば確実に沙耶香を巻き込んでしまう。
恋人に抱きしめられた気分でうっとりしている彼女は、望まぬ思考に支配されている被害者。
大荒魂である自分に歩み寄ってくれた沙耶香まで斬る、それをタギツヒメは出来なかった。
「くそっ…」
悪態を吐いても事態は変わらず、あっという間に真人達は見えなくなった。
自分もいつまでも立ち尽くしている訳にはいかない。
蹴り飛ばした可奈美が戻って来たら、有無を言わさず戦闘再開は確実。
いらぬ被害が生まれる前に仕留めておきたいが、意識の無いロロに気を遣ったまま勝てる相手ではない。
疑念を抱いているとはいえ、自分を拾ってくれた恩人。
見捨てる選択肢は選べず、ロロを連れて可奈美が戻る前に離れる事を決めた。
自分もいつまでも立ち尽くしている訳にはいかない。
蹴り飛ばした可奈美が戻って来たら、有無を言わさず戦闘再開は確実。
いらぬ被害が生まれる前に仕留めておきたいが、意識の無いロロに気を遣ったまま勝てる相手ではない。
疑念を抱いているとはいえ、自分を拾ってくれた恩人。
見捨てる選択肢は選べず、ロロを連れて可奈美が戻る前に離れる事を決めた。
写シを解除し、ダブルオーライザーの機動鍵を仕様。
使い慣れたとは言い難いが、MSの機動力は迅速な移動に持って来いだ。
片手で担ぎ、民家の方へと振り返る。
使い慣れたとは言い難いが、MSの機動力は迅速な移動に持って来いだ。
片手で担ぎ、民家の方へと振り返る。
「……すまん一護」
自分を救ってくれた男を、埋葬するでもなく民家に置き去りにする。
抵抗はあるが時間が無いのも事実、申し訳なさで心が重くなるも振り切るように飛び立つ。
美農関学院へ向かう当初の目的から大きく外れたが、それについてもロロが起きてから改めて話せば良い。
何より、操られたままの沙耶香も放っては置けない。
抵抗はあるが時間が無いのも事実、申し訳なさで心が重くなるも振り切るように飛び立つ。
美農関学院へ向かう当初の目的から大きく外れたが、それについてもロロが起きてから改めて話せば良い。
何より、操られたままの沙耶香も放っては置けない。
「護るというのは……」
難しいものだな。
その呟きは誰にも聞こえず、冷えた空気に溶けていった。
その呟きは誰にも聞こえず、冷えた空気に溶けていった。
【エリアA-12/南部/9月2日午前9時】
【ロロ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】
状態:ダメージ(大)、罪悪感(大)、羂索たちへの殺意(大)、気絶中
服装:アッシュフォード学園の制服(男子用)、フードパーカー
装備:零陽炎の起動鍵@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ
令呪:残り三画
道具:ホットライン、ランダムアイテム×0~2(一護)、一護の腕(レジスター付き)、一護のホットライン
思考
基本:兄さんを生還させる。
00:……。
01:美濃関学院に寄りつつ、兄さんのいるテレビ局へと向かう。マーヤと合流したい所だけど…。
02:兄さんをこんなことに巻き込んだ連中は皆殺しにする。
03:沙耶香は兄さんのギアスと似たような力を受けたのか…?
04:枢木スザクとビスマルク・ヴァルトシュタイン、二代目ゼロはとりあえず殺す。
05:沙耶香にも舞衣にも悪いが、沙耶香を最大限利用するために『兄』を演じる。その時が来たら使い捨てる。
06:……こうなってしまった以上、タギツヒメも最大限に利用する。それが…せめてもの。
07:違う世界の、ブリタニア姓の僕…か。
08:…色んな意味で、天鎖斬月を使う気にはなれない。
09:リボンズやアスラン・ザラ?を警戒。
参戦時期:死亡後
備考
※沙耶香から「刀使ノ巫女」世界に関する情報を得ました。
※自身のギアスへの制限を自覚しました。具体的な制限は後続にお任せします。
※タギツヒメから、黒崎一護越しではありますが「BLEACH」世界に関する情報を得ました。
※クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid linerで作った分身は消滅しました。再使用できるか否かは後続にお任せします。
状態:ダメージ(大)、罪悪感(大)、羂索たちへの殺意(大)、気絶中
服装:アッシュフォード学園の制服(男子用)、フードパーカー
装備:零陽炎の起動鍵@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ
令呪:残り三画
道具:ホットライン、ランダムアイテム×0~2(一護)、一護の腕(レジスター付き)、一護のホットライン
思考
基本:兄さんを生還させる。
00:……。
01:美濃関学院に寄りつつ、兄さんのいるテレビ局へと向かう。マーヤと合流したい所だけど…。
02:兄さんをこんなことに巻き込んだ連中は皆殺しにする。
03:沙耶香は兄さんのギアスと似たような力を受けたのか…?
04:枢木スザクとビスマルク・ヴァルトシュタイン、二代目ゼロはとりあえず殺す。
05:沙耶香にも舞衣にも悪いが、沙耶香を最大限利用するために『兄』を演じる。その時が来たら使い捨てる。
06:……こうなってしまった以上、タギツヒメも最大限に利用する。それが…せめてもの。
07:違う世界の、ブリタニア姓の僕…か。
08:…色んな意味で、天鎖斬月を使う気にはなれない。
09:リボンズやアスラン・ザラ?を警戒。
参戦時期:死亡後
備考
※沙耶香から「刀使ノ巫女」世界に関する情報を得ました。
※自身のギアスへの制限を自覚しました。具体的な制限は後続にお任せします。
※タギツヒメから、黒崎一護越しではありますが「BLEACH」世界に関する情報を得ました。
※クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid linerで作った分身は消滅しました。再使用できるか否かは後続にお任せします。
【タギツヒメ@刀使ノ巫女】
状態:ダメージ(大)、疲労(極大)、孤独感から解放された喜び(大)、ソラン(刹那)と一護を失った悲しみ(大)、リボンズへの怒り(大)、可奈美の死に複雑な想い、ダブルオーライザーを装着中、ロロを担いでいる
服装:いつもの服装
装備:天鎖斬月@BLEACH、孫六兼元@刀使ノ巫女、烈風丸@ストライクウィッチーズ2、ダブルオーライザー(最終決戦仕様)の起動鍵@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗ろうと考えていたが…やめだ。抗おう。人の世を滅ぼす気も失せた。
01:ロロを連れて一旦退く。
02:皐月夜見に似た声をした梔子ユメの身体を使っている羂索が、わざわざ御刀に触れたという事は……やはり招かれていたか刀使も。
03:ソラン…一護…お前達が生かしたこの我の命、殺し合いの打倒の為…全力を尽くさせてもらおう。
04:……阿呆共め……。
05:刀使とは極力会いたくない。とりあえず糸見沙耶香には乗ってない事は信じてもらえたようだが…よりにもよって柊篝が巻き込まれているとは……。
06:リボンズ…憎しみに囚われないで欲しいとは言われたとはいえ…貴様は…!
07:ルルーシュのあの異能…我にも通じるのだろうか。
08:ロロの事は信じたい、だが…一護の死は本当に、奴の言った通りなのか…??
09:沙耶香はいずれ取り戻す。藤丸立香なる男(真人)、荒魂より質が悪いな。
参戦時期:アニメ版の第22話「隠世の門」にて、取り込んでいた姫和を可奈美達に救出され撤退されてから。
備考:
※少なくとも残ったランダム支給品は回復系の物ではありません。
※他者への憑依或いは融合は制限により不可能となっている他、演算による未来予測は何度も使用していると暫く使用不能となります。現在使用不能となっていますが、詳細なインターバルが必要になる回数やインターバル期間は後続にお任せします。
※黒崎一護から、「BLEACH」世界に関する情報をある程度得ました。
状態:ダメージ(大)、疲労(極大)、孤独感から解放された喜び(大)、ソラン(刹那)と一護を失った悲しみ(大)、リボンズへの怒り(大)、可奈美の死に複雑な想い、ダブルオーライザーを装着中、ロロを担いでいる
服装:いつもの服装
装備:天鎖斬月@BLEACH、孫六兼元@刀使ノ巫女、烈風丸@ストライクウィッチーズ2、ダブルオーライザー(最終決戦仕様)の起動鍵@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗ろうと考えていたが…やめだ。抗おう。人の世を滅ぼす気も失せた。
01:ロロを連れて一旦退く。
02:皐月夜見に似た声をした梔子ユメの身体を使っている羂索が、わざわざ御刀に触れたという事は……やはり招かれていたか刀使も。
03:ソラン…一護…お前達が生かしたこの我の命、殺し合いの打倒の為…全力を尽くさせてもらおう。
04:……阿呆共め……。
05:刀使とは極力会いたくない。とりあえず糸見沙耶香には乗ってない事は信じてもらえたようだが…よりにもよって柊篝が巻き込まれているとは……。
06:リボンズ…憎しみに囚われないで欲しいとは言われたとはいえ…貴様は…!
07:ルルーシュのあの異能…我にも通じるのだろうか。
08:ロロの事は信じたい、だが…一護の死は本当に、奴の言った通りなのか…??
09:沙耶香はいずれ取り戻す。藤丸立香なる男(真人)、荒魂より質が悪いな。
参戦時期:アニメ版の第22話「隠世の門」にて、取り込んでいた姫和を可奈美達に救出され撤退されてから。
備考:
※少なくとも残ったランダム支給品は回復系の物ではありません。
※他者への憑依或いは融合は制限により不可能となっている他、演算による未来予測は何度も使用していると暫く使用不能となります。現在使用不能となっていますが、詳細なインターバルが必要になる回数やインターバル期間は後続にお任せします。
※黒崎一護から、「BLEACH」世界に関する情報をある程度得ました。
※どこへ向かったかは後続の書き手に任せます。
◆◆◆
真人が沙耶香を操ったのに特別深い理由はない。
別に、スパナや嘗ての吉野順平と同じく無為転変の餌食にしてもそれはそれで良かった。
ただ折角主催者から支給された未知の異能があるのなら、試してみても悪くない。
参加者で遊ぶ方法は千差万別、趣向を変えてみるのも面白い。
子供のような好奇心に突き動かされ、実験台に沙耶香は選ばれた。
別に、スパナや嘗ての吉野順平と同じく無為転変の餌食にしてもそれはそれで良かった。
ただ折角主催者から支給された未知の異能があるのなら、試してみても悪くない。
参加者で遊ぶ方法は千差万別、趣向を変えてみるのも面白い。
子供のような好奇心に突き動かされ、実験台に沙耶香は選ばれた。
「愛(ザ・ラブ/The Love)」。
聖十字騎士団の滅却師、ペペ・ワキャブラーダの聖文字(シュリフト)。
対象を魅了し盲従させる異能こそ、真人に支給されたスキル。
本来、この力は愛が薄い相手には相応に低い効果しか齎さない。
仮に沙耶香がもう少し前の時間軸から呼ばれていれば、真人が思うような結果にはならなかったろう。
皮肉にも可奈美や舞衣、そして共感を抱くロロの存在が情緒を育み、ザ・ラブの効果を引き上げるに至った。
聖十字騎士団の滅却師、ペペ・ワキャブラーダの聖文字(シュリフト)。
対象を魅了し盲従させる異能こそ、真人に支給されたスキル。
本来、この力は愛が薄い相手には相応に低い効果しか齎さない。
仮に沙耶香がもう少し前の時間軸から呼ばれていれば、真人が思うような結果にはならなかったろう。
皮肉にも可奈美や舞衣、そして共感を抱くロロの存在が情緒を育み、ザ・ラブの効果を引き上げるに至った。
今の沙耶香にとって真人は祓(ころ)すべき呪いではない、胸を高鳴らせる初恋の異性に等しい。
相手が嘲笑と嫌悪を織り交ぜた目を向けているとは気付かず、暫し空のデートに身を委ねた。
相手が嘲笑と嫌悪を織り交ぜた目を向けているとは気付かず、暫し空のデートに身を委ねた。
「……?」
と、不意に真人のポケットからはみ出た物体に気付く。
何かのカードらしいソレを見つめ、察したのか真人から説明があった。
何かのカードらしいソレを見つめ、察したのか真人から説明があった。
「ああ、それはロロとかって奴のポケットから落ちたのを拾ったんだよ。呪術師の符とは違うけど、籠められた力は相当なもんさ」
「ロロが……?」
「ロロが……?」
何か違和感を感じた。
支給品を互いに明かし、タギツヒメと御刀を交換し合った時。
ロロは自分の支給品を起動鍵一つと言っていた。
こんなカードを持っているなんて、一言も口にしていない。
支給品を互いに明かし、タギツヒメと御刀を交換し合った時。
ロロは自分の支給品を起動鍵一つと言っていた。
こんなカードを持っているなんて、一言も口にしていない。
(待って、確かあの時……)
疑問は沙耶香の記憶をより鮮明にしていく。
真人が回収したカードを、自分は一度どこかで見ていなかったか。
元の世界ではない、殺し合いに巻き込まれてから。
ややあって思い出す。
一護が既に殺されたとロロが言った際、彼のポケットから端を覗かせていた筈。
あの時は自分も内心では平静でいられなかった為、カードのことなんて頭には入って来なかった。
だがある程度時間が経ち、洗脳下にあるのも相俟って不可解に思えて来る。
真人が回収したカードを、自分は一度どこかで見ていなかったか。
元の世界ではない、殺し合いに巻き込まれてから。
ややあって思い出す。
一護が既に殺されたとロロが言った際、彼のポケットから端を覗かせていた筈。
あの時は自分も内心では平静でいられなかった為、カードのことなんて頭には入って来なかった。
だがある程度時間が経ち、洗脳下にあるのも相俟って不可解に思えて来る。
単に私物のトレーディングカードなら、わざわざ言及しなかったのにも納得はできる。
しかし真人曰く、何らかの力が籠められた物であれば黙っていたのはおかしい。
何故ロロはこのカードの存在を隠したのだろうか。
しかし真人曰く、何らかの力が籠められた物であれば黙っていたのはおかしい。
何故ロロはこのカードの存在を隠したのだろうか。
(ふーん?どうやら、ただ仲良しこよしでつるんでたって話でも無さそうかな?)
沙耶香の様子に、ロロ達の間には仲間意識以外のナニカがあったのを真人も察する。
具体的な話は降りて沙耶香から事情を聞けば良い。
場合によってはまた一つ、人間達を使った遊びが思い付くかもしれない。
或いは、式神使いこと花村陽介に沙耶香をぶつけても面白い。
スパナの時とは違って元の形を保った少女を、果たしてあの少年はどうするのか。
虎杖悠仁が不在なら、代わりに精々苦しんでもらおうじゃあないか。
具体的な話は降りて沙耶香から事情を聞けば良い。
場合によってはまた一つ、人間達を使った遊びが思い付くかもしれない。
或いは、式神使いこと花村陽介に沙耶香をぶつけても面白い。
スパナの時とは違って元の形を保った少女を、果たしてあの少年はどうするのか。
虎杖悠仁が不在なら、代わりに精々苦しんでもらおうじゃあないか。
刀使を従え呪いは嗤う。
信念も、誇りも、誓いも、何もかも全てを踏み躙る悪童の如く。
信念も、誇りも、誓いも、何もかも全てを踏み躙る悪童の如く。
【真人@呪術廻戦】
状態:ダメージ(中)、楽しい、タギツヒメへの警戒と呆れ、両腕を翼に変形
服装:いつもの
装備:改造人間@呪術廻戦、Lの聖文字@BLEACH、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner
令呪:残り三画
道具:ザビーのバズーカ×@戦国BASARA、ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:いつも通りにする。呪いらしく、人間らしく狡猾に。
00:さて、どうしようかな。
01:そんなホイホイ宿儺もどきがいても困るんだけどね。
02:やっぱ呪いはこうでなくちゃ。
03:沙耶香から話を聞いておく。面白くなりそうだね。
04:あの白い女の子(タギツヒメ)、それは呪いの在り方じゃないでしょ。
参戦時期:少なくとも渋谷事変よりも前
備考
※魂の輪郭を知覚していればダメージはより通りますが、
魂の輪郭を知覚してなくてもダメージは通るようになってます。
※改造人間が没収されてない代わりに支給品が1枠減ってます。
状態:ダメージ(中)、楽しい、タギツヒメへの警戒と呆れ、両腕を翼に変形
服装:いつもの
装備:改造人間@呪術廻戦、Lの聖文字@BLEACH、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner
令呪:残り三画
道具:ザビーのバズーカ×@戦国BASARA、ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:いつも通りにする。呪いらしく、人間らしく狡猾に。
00:さて、どうしようかな。
01:そんなホイホイ宿儺もどきがいても困るんだけどね。
02:やっぱ呪いはこうでなくちゃ。
03:沙耶香から話を聞いておく。面白くなりそうだね。
04:あの白い女の子(タギツヒメ)、それは呪いの在り方じゃないでしょ。
参戦時期:少なくとも渋谷事変よりも前
備考
※魂の輪郭を知覚していればダメージはより通りますが、
魂の輪郭を知覚してなくてもダメージは通るようになってます。
※改造人間が没収されてない代わりに支給品が1枠減ってます。
【糸見沙耶香@刀使ノ巫女】
状態:疲労(中)、真人に魅了、可奈美の死に動揺、真人にしがみついて飛行中
服装:鎌府女学院の制服、フードパーカー
装備:妙法村正@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:未定。でも人を斬るつもりはない。
01:彼(真人)の為に頑張らないと。
02:可奈美が死んだ…?私はどうしたら……
03:タギツヒメ……荒魂を、完全に信じようとはまだ思えない。でも…あの悲しむ様は……。
04:舞衣たちのいるかもしれない美濃関学院に寄りつつ、テレビ局へと向かう。
05:ロロのこと、多分羨ましい。タギツヒメのことも…きっと…。でも、彼(真人)が一番大事だからしょうがないよね。
06:舞衣と合流したい。ちゃんと友達になりたい。
07:私が…可奈美や舞衣、十条姫和達と一緒に……?それに薫って人とも……?
08:どうしてロロはあのカードのことを隠してたんだろう?
参戦時期:高津雪那に冥加刀使にされかけて脱走した後
備考
※ロロから少しだけコードギアス世界に関する情報を得ました。
※タギツヒメから、黒崎一護越しではありますが「BLEACH」世界に関する情報を得ました。
※Lの聖文字の影響を受け、真人に魅了されています。
状態:疲労(中)、真人に魅了、可奈美の死に動揺、真人にしがみついて飛行中
服装:鎌府女学院の制服、フードパーカー
装備:妙法村正@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:未定。でも人を斬るつもりはない。
01:彼(真人)の為に頑張らないと。
02:可奈美が死んだ…?私はどうしたら……
03:タギツヒメ……荒魂を、完全に信じようとはまだ思えない。でも…あの悲しむ様は……。
04:舞衣たちのいるかもしれない美濃関学院に寄りつつ、テレビ局へと向かう。
05:ロロのこと、多分羨ましい。タギツヒメのことも…きっと…。でも、彼(真人)が一番大事だからしょうがないよね。
06:舞衣と合流したい。ちゃんと友達になりたい。
07:私が…可奈美や舞衣、十条姫和達と一緒に……?それに薫って人とも……?
08:どうしてロロはあのカードのことを隠してたんだろう?
参戦時期:高津雪那に冥加刀使にされかけて脱走した後
備考
※ロロから少しだけコードギアス世界に関する情報を得ました。
※タギツヒメから、黒崎一護越しではありますが「BLEACH」世界に関する情報を得ました。
※Lの聖文字の影響を受け、真人に魅了されています。
※どこへ向かったかは後続の書き手に任せます。
◆◆◆
生者が一人もいなくなった戦場跡を見回し、可奈美も踵を返す。
戻って来た時には全員散らばり、遅かったと思い知らされた。
あるのは死神代行の骸が一つ。
生前ならばまだしも、シビトとなった刀使に死者を悼む気持ちなど皆無。
戻って来た時には全員散らばり、遅かったと思い知らされた。
あるのは死神代行の骸が一つ。
生前ならばまだしも、シビトとなった刀使に死者を悼む気持ちなど皆無。
己を蘇らせた永遠の名を持つ悪魔との合流。
並びに彼が望む、参加者の殲滅。
それら二つのみを行動原理にし、衛藤可奈美“だった”モノもまた去って行った。
並びに彼が望む、参加者の殲滅。
それら二つのみを行動原理にし、衛藤可奈美“だった”モノもまた去って行った。
【衛藤可奈美(シビト・非参加者)@刀使ノ巫女】
状態:ダメージ(小)、返り血
服装:美農関学院の制服(両腕、腹部、胸元に破損)
装備:岡田以蔵の刀(複製)、冨岡義勇の日輪刀(複製)、御刀・千鳥(複製)
道具:不明支給品の複製×1(オリジナルは現在アンクが所持)
思考
基本:大道克己との合流及び参加者の殲滅。
00:……
備考
状態:ダメージ(小)、返り血
服装:美農関学院の制服(両腕、腹部、胸元に破損)
装備:岡田以蔵の刀(複製)、冨岡義勇の日輪刀(複製)、御刀・千鳥(複製)
道具:不明支給品の複製×1(オリジナルは現在アンクが所持)
思考
基本:大道克己との合流及び参加者の殲滅。
00:……
備考
『支給品紹介』
【Lの聖文字@BLEACH】
…真人に支給。
聖十字騎士団の団員、ペペ・ワキャブラーダの聖文字。
両手からハート型の光線「ラヴ・キッス」を放ち、命中した相手をは魅了され盲従する。
また能力が解除されても支配下にあった時の記憶は覚えている模様。
誰にでも効く訳ではなく、機械のような無機物や愛を持たない相手には無効となる。
加えて愛が薄い相手には能力の効きも非常に低い。
今ロワでは制限が施されており、
…真人に支給。
聖十字騎士団の団員、ペペ・ワキャブラーダの聖文字。
両手からハート型の光線「ラヴ・キッス」を放ち、命中した相手をは魅了され盲従する。
また能力が解除されても支配下にあった時の記憶は覚えている模様。
誰にでも効く訳ではなく、機械のような無機物や愛を持たない相手には無効となる。
加えて愛が薄い相手には能力の効きも非常に低い。
今ロワでは制限が施されており、
○能力で支配下に置けるのは最大一人のみ。別の相手を魅了するには、現在支配下に置いた参加者の魅了を解除する必要がある。
○魅了された参加者が気を失うなどの強い衝撃を受ければ、能力は自動で解除される。
○魅了された参加者が気を失うなどの強い衝撃を受ければ、能力は自動で解除される。
となっている。
『ドロップアイテム紹介』
【ザビーのバズーカ@戦国BASARA】
…真人が入手。
ザビー教のトップ、ザビーが愛用するバズーカ。二つセット。
高火力の砲撃を行う他、トンファーのように振り回す打撃武器としても使用可能。
…真人が入手。
ザビー教のトップ、ザビーが愛用するバズーカ。二つセット。
高火力の砲撃を行う他、トンファーのように振り回す打撃武器としても使用可能。
051:マイ=ラッセルハートの暗躍カルテ | 投下順 | 053:イザーク・ジュール:オリジン |
065:戦慄のプレリュード | 時系列順 | 066:神様より理解者でいたい |
028:痛み が 重なったら/闇に光を、罪に罰を | タギツヒメ | 063:Marionetteは眠れない |
ロロ・ランペルージ | ||
糸見沙耶香 | 053:イザーク・ジュール:オリジン | |
003:Reverse Position Magician | 真人 | |
044:命の冒涜者 | 衛藤可奈美(シビト) | 054:あんなに一緒だったのに/傷は消えず、仄暗く深き悲しみと共に |