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  • 真贋バトルロワイヤル
  • 空と虚① プルス・ケイオス

真贋バトルロワイヤル

空と虚① プルス・ケイオス

最終更新:2025年04月21日 08:37

sinjitsurowa

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だれでも歓迎! 編集
 アビドス高校に現れた宇蟲王ギラを中心とした乱戦。
 アビドスを悪と定めたダークマイトの進軍と標的となった少女たちの戦闘。
 その舞台となるアビドスの気候はお世辞にも快適とはいいがたい。
 砂一面の環境の気温は日中では40度を超えることも珍しくないというが、体感してみると熱気以上に乾燥と日差しが厳しい。暑いというより痛いのだ。
 ゲームエリアに造ったキヴォトスの贋作なんだから気温くらいもう少しましにならないのかと、アビドスにある民家の屋根の上で真人は思う。
 2つの戦いを一望できる立地ではあるが贋りの陽光を遮るものはない。 キレた漏瑚の近くに居る時よりはマシとはいえ呪霊の彼でも暑いものは暑い。
 同意を求めるように隣に佇む少女に真人は尋ねる。真人と逆方向から向かっていたその女は柊真昼と名乗った。

「アンタは暑くないの?探せば日傘くらいあると思うけど。」
「お気遣いどうも、暑いけれどこのくらい問題ないわ。」
「別に気遣ったつもりじゃないんだけど。」
「なら口説いているのかしら?
 汗で下着が透けちゃってる女の子をじろじろ見るなんて、えっち。」
 その額には汗が浮かび一張羅のセーラー服がところどころ張り付いていた。
 真昼は悪戯っぽい笑みを浮かべ身をくねらせたが、言葉とは裏腹に恥じらう様子はまるでない。
 その様子に真人はどこか馬鹿にするように目を丸くした。

「……驚いた、半分呪霊みたいなアンタでもそんな冗談言うんだね。」 
 その言葉に真昼の目つきが変わる。
 真人は他人の魂を感じ取れる。柊真昼の中身が人間のそれとは違うことを感覚的に理解していた。

「……私の世界では鬼っていうのよ。
 意外と紳士なのねツギハギ君、私のことを半分も人間として扱ってくれるなんて。そう言えば名前は?」
「名簿には先生って載ってる。アンタは柊真昼だっけ?
 俺の知ってる奴らとは違うけど、呪術師ってことでいいんだよね?」
「陰陽師ってほうが通りがいいけど、まあそういうことになるわね。」

 柊真昼は既に出奔した身とは言え、呪術の名家柊家に属し肩書としては呪術師である。
 偶然か、真人と敵対する連中と同じ名前だ。刀使だの仮面ライダーだのよりよほど親近感がある。
 一方の真昼は真人の格好を物珍し気に眺めていた。
 青白く継ぎ接いだ肌もそうだが、真人はバックパックを背負わず代わりに巨大なバズーカを背中にしょい込んでいたのだ。

「同業者……じゃないわよね。というか人間じゃないでしょ。呪霊っていうのかしら?
 バズーカを背負ってるのは呪霊なりのファッション?」
「んなわけないでしょ。
 ちょっと好戦的な参加者に襲われてさ、俺のバックパック焼けちゃったんだよ。
 ロボットをけしかけて襲い掛かってきたアンタくらいのガキどもだよ。イザークだかキャルだかくるみだか言ったかな?」
 真人がバックパックを失うきっかけとなったイザークらとの戦いは、襲い掛かったのも真人ならその原因として黒鋼スパナを殺し花村陽介の恨みを買ったのも真人である。
 悪びれもせずイザークら数名の特徴と悪評を吹聴した真人だったが、ふと真昼の顔を見るとまるで信じていないと言わんばかりに冷たい視線を浮かべていた。

「随分目つきが悪いけど何か癪に障ったかい?それともコンタクトに砂でも入った?」
「いいえ。私の知っている悪霊の類とは違うみたいだと思っただけよ。
 人間みたいに口が回るのね。自分で思考して嘘をつくなんて。」

 魂がへし折れた花村陽介のような嗤えるものでは到底ない、殺気の籠った警戒心。
 にこりと目を細めた真昼とは対照的に、真人はやりづらそうに肩をすくめた。

「マジ?もうばれたの?沙耶香は騙せたんだけどなぁ。
 嘘を見抜いたり心を読む術式……ってわけじゃないよね。」
「育ちが悪いからね。
 隠す気のない嘘を見抜けないようじゃ、私はとっくに死んでいるわ。」
「そこまでバレるのね。
 ちょっと甘く見てたよ。陽介とかいう式神使いや沙耶香みたいな平和ボケした連中だけだと思っていたけど。」

 花村陽介や糸見沙耶香とは比にならないほどに策謀渦巻く環境で育った真昼には真人の嘘を看破するのは難しくない。
 家族同士で当然に殺し合い、通信機器は全て盗聴され、敵も味方も疑う以外の関りが出来ない世界が真昼のいた場所である。
 「呪術師はクソ」とは真人が戦った一級術師七海の言葉であるが、柊真昼の世界でもその実情は例外ではない。
 警戒し臨戦態勢に入りながらもピクニックしているように穏やかな揺らぎを魅せる柊真昼の魂が、真人には酷く気持ち悪い。
 この程度の害意は、彼女にとって日常のそれと変わらないのだろう。

「アンタみたいなバケモノもいるんだね。
 ……この殺し合い、ロクでもない参加者がいるもんだ。困っちゃうよ。」

 真人は真昼から視界をそらし、アビドスの大地で起きた戦いを見下ろした。
 アビドス高校では赤い青年が剣を振るい、その向かいでは秀吉といった巨漢が建物でも粉々に出来そうな拳を軽々振るう。
 住宅地のど真ん中では趣味の悪い金髪の男が派手な演説と共に少女たちに襲い掛かる。
 言ってることはアホらしくて聞く気にもならないが、実力で言えば柊真昼や豊臣秀吉と大差ないように見え、すなわち真人との実力にも大きな差はないだろう。
 その何れも普通の人間とは一線を引く実力者であり。わずかに感じる魂の揺らぎに恐怖や怯懦は見られない。
 戦闘に慣れており、殺し合いに適応している。柊真昼がそうであるし、アビドスで暴れている連中も間違いなくそのような側だ。
 そんな連中は真人が思っていたより多いのだろう。それもカタログスペックでは真人と遜色ない連中が。
 はぁと真人は深いため息をついた。そんなバケモノを相手どるのはイザークや陽介のような甘ちゃんを相手するより遥かに厄介だ。

 「そっちのアンタもそう思わない?
 バケモノみたいな参加者呼びすぎでしょ。」
 視線を真昼から反らし、隣の建物を見下ろし真人は投げかけた。
 誰もいない場所に声をかける奇行に柊真昼は何も言わない。
 そこに誰かがいることは、ずっと前から真人も真昼も気づいていた。
 建物の影に隠れる何者かは姿を見せず、気取ったような声だけを返した。

「何時から気づいてた?」
「最初からだけど。隠れるの下手すぎ。
 柊真昼以上に魂が人間のものじゃないの、めちゃくちゃ目立つよ。」
 「そっかぁ~。
 高性能高密度に帝具(おもちゃ)を詰め込んだアタシの体。この魔獣装甲のエケラレンキスに隠れてコソコソなんて柄じゃアないってことか♪」
 悪びれもせず、異質な気配をその帝具(けんのう)で隠そうともせず。
 鼻歌交じりの声と共に金色の髪に青い瞳をした少女が姿を見せ、ひらひらと手を振りながら2人のいる屋根に飛び乗った。
 その腕には参加者の証である令呪もレジスターも存在しない。
 魔獣装甲のエケラレンキス。最強のNPCの一騎にして神殺しに対するジョーカー。
 その少女の服装に柊真昼は見覚えがあった、益子薫の制服と同じ長船女学園のものだ。

「その恰好、薫ちゃんのお友達?
 まさかNPCにいるなんて思わなかったわね。
 それとも……運営側ってことかしら?」
「その2つに大きな違いは無いし、アナタは前提を間違えている。
 私は冥黒の五道化が一騎、魔獣装甲のエケラレンキス。
 益子薫のオトモダチな古波蔵エレンじゃあないの♪ アナタならその違いが分かるでしょう。鬼に食われた元人間。」
「……ただのNPCじゃないみたいね。随分詳しいじゃない。」
 柊真昼の中身も過去も知っていなければ出てこない挑発に、薄ら笑いを浮かべエケラレンキスを睨む。
 その様子が面白かったのかにたりと笑う姿は、人と言うより呪いのように真人は見えた。

「こっちとしては特級呪霊に柊の鬼子が仲良く観戦なんて意外~。
 自分より強そうな相手を前に怖気づいた?」
「喧嘩なら買わないよ。
 アビドス高校の赤い男や街中で暴れてる金髪ゴリラのことを言ってるんだろうけど、俺たちが介入して得なんかないでしょ。」
 今度は挑発が効かなかったからか、エケラレンキスはむすっと頬を膨らませた。

「あの男たちと戦ってるのは、見えているだけでそれぞれざっと5,6人はいる。1人2人ならまだしも介入して引っ掻き回すには数が多すぎ。」
「そのうち半分以上は殺し合いに乗り気じゃない参加者でしょうね。
 私や彼のような殺し合い上等の参加者が多人数側に加勢したとして、苦労するのは戦いが終わった後。
 下手に動けば次に全員を敵に回すのは私達になるわ。」
「デカい方についたとしても、恩や協力ができるツラには見えないしね。
 どっちについても俺たちには損しかないの。」
「……成程。
 貴方達クラスの参加者となればスペックに胡坐をかいて無策に場を荒らしまわると思っていたけど、意外としっかり考えているのね。」
「ま、ここまで来るのに色々あったからね。」
 むき出しのバズーカを背負う背中に真人は視線を向け、納得したようにエケラレンキスは目を細めた。
 リュックを失うほど手痛い損害からの言葉には、嫌に説得力がある。

「まあいっか。私がアビドスに戻る前に確認したかっただけだしね♪
 貴方達が見に回るってのなのは正直期待外れで退屈だけど、楽にはなるし結果オーライかな。」
 エケラレンキスとしても真人や真昼ほどの危険人物がアビドスの戦いに本格的にかかわるかどうかは立ち回りが変わってくる。
 2人が動かないことを確認したエケラレンキスはくるりと背を向け歩き出したが、思い出したように真昼に尋ねた。

「そういえば柊の鬼子。貴女益子薫ちゃんとと遭遇したの?」
「ええ、別れた方向から考えてこのあたりにいないのならアビドス高校にでも隠れているんじゃない?」
「へぇ。それは都合がいいね♪」
 益子薫。エケラレンキスの肉体を構成する古波蔵エレンの相棒。
 一度会ってみたいとは思っていたが、まさかこうも早く会える機会があるとは思わなかった。

「今からアビドスに行くの?あの赤い人が居る以上下手な潜入はおススメしないけど。」
「下手じゃないならいいんでしょ?
 あてがあるから黙って見てなさい。」
 言い終わるや否やエケラレンキスは屋根から飛び降りる。着地の心配は真人も真昼もしなかった。
 初めから誰もいなかったように舞い上がる砂埃を前に、真人は深々とため息をついた。

「運営の手駒があのレベルか。
 厄介な参加者は思ったより多そうだなぁ。」
 先ほどまでよりわずかに険しい目つきで零す真人。
 その言葉は嘘じゃなかった。真昼にしては珍しく疑う気さえしなかった。

「まったくもって、嫌になるわね。」
 彼女も全く同じ気持ちだった。

 ◆

「このレベルが闊歩しているのか……この会場は……。」
 アビドス高校に向かう道中、電柱の影に潜みながらアヤネは苦々し気に呟いた。
 屋根の上でかわされた柊真昼と真人の談合を前に、参加者の中でも上位の悪意を宿す2人にマルガムの姿でも震えが走った。
 何より途中から参加したレジスターを持たぬ少女。
 グリオン様の作品ならば自分が知らないはずがない。だがただのNPCにしては行動が理性的なうえにその存在感は真昼や真人と比べても遜色がない。
(となると生み出したのはギギストなるもう一人の冥黒王か?
 或いは類似の能力を持つ別の参加者……。)
 グリオンと同等の参加者がいることは分かる。ノノミの出会った鬼龍院羅暁やもう一人の冥黒王であるギギストのように、屋根の上にいる薄紫の髪をした女学生とツギハギの青年もその類だろう。
 だが参加者でないとなると話が変わる。その正体を考えることにアヤネは集中し、周囲への警戒がわずかに薄れた。

「『劣化複製:煉獄招致(ルビカンテ)』」
 頭上から声が響き、次の瞬間影の中にあったアヤネの――ムーンマルガムの姿はアビドスの砂交じりの空気に引きずり出される。
 頭上には影の行き場を無くすようにごうごうと炎が燃え盛り、先ほどまで潜んでいた電柱もどろどろに崩れ去っていた。
 煉獄招致ルビカンテ。業火を射出する帝具の力がムーンマルガムの潜む影を生み出す物体ごと消し去っていた。
 炎を左腕から吐き出していたエケラレンキスは、炎を止めると同時に右腕を勢いアヤネに伸ばした。

「『劣化複製:超力噴出(バルザック)』」
 宙に浮きバランスを崩したムーンマルガムの首を、エケラレンキスはその細腕で掴み上げる。
 潜在能力を十全に引き出されたエケラレンキスにとって、116.9kgのムーンマルガムは純粋な力で組み伏せられる存在でしかない。

「炎で影を消し、影を生み出す物体も消すとは。
 随分強引な手を使うんだな。剣士人形。」
「借り物のケミーの力でコソコソやってる錬金術師の泥人形ちゃんと一緒にしないでほしいな。」
「そういうお前の力はケミーではないようだ。
 てっきりギギストの作品かと思っていたがだとしたら妙だな。どういうことだ?」
「アタシは冥黒の五道化が一騎、魔獣装甲のエケラレンキス。
 最強のNPCが一騎にして、神殺し殺し。貴方のような造り物とは格が違うの♪」
 さらりともたらされた恐るべき情報に、アヤネはわずかな動揺を見せる。人間ならば冷や汗の1つもたらしていただろう。

「……成程、運営側か。
 実力からもその情報を疑う余地はないな。」
 エケラレンキスは神殺しこと仮面ライダークロスギーツを討伐するための手駒である。
 金マルガムとはいえそう簡単に勝てる相手ではない。
 一参加者が生み出した怪物としては規格外だが、運営側の存在と言うのであればむしろこの程度の力は必要だろうとアヤネには思えた。

「それで、何の用だ。
 殺す気ならとっくにやっているだろう。私に何をさせるつもりだ。」
「頭のいい子は好きよ。話が速くて助かる。
 貴方、アビドス高校に行くつもりでしょ。
 その影に入っての潜入に、ヒッチハイクさせてほしいの♪」
「……そんなことのために私に接触したのか?」
 エケラレンキスの提案にアヤネは首を傾げた。
 理屈は分かるが自分に声をかける理由が分からないのだ。

「お前の能力は恐らくどこかの世界の兵器か異能を再現するもの。
 私が運営なら転移や転送の類の力は真っ先に生み出す。お前が使えないとは思えんが。」
「使えるけど、転送先の情報は分からないの。
 跳んだ先が宇蟲王の射程圏内とかなったらシャレにならないし、かといって深層に飛んだら絶対エルちゃんに小言言われてめんどくさいし~。」
 姉に怒られた妹のような悪態をつきながら、ムーンマルガムを握る首がギリギリと音を立てる。
 武器から生まれた人形であるアヤネに窒息は無いし痛みも薄いが並の人間ならとうに気管を潰されているだろう握力だ。
 そんな状況にもかかわらず、エケラレンキスは心から愉しそうな笑顔を浮かべ続けた。

「奥に入りすぎたら、薫ちゃんにこのツラ見せられるかわかんないしね♡」
「そっちが本音だな。ノノミと同じタイプか。
 薫ちゃんとやらも不運なことだ。」
「それで、この話乗ってくれる?
 賢い賢い金メッキの脳味噌で考える時間が欲しい?」
「首根っこを掴む提案を交渉とは言わんだろう。」
「まいどありぃ~♪」
 諦めたようなアヤネの言葉を了承と捉え、エケラレンキスは凶悪に笑う。

「……まったく、あの性悪みたいなやつが他にもいるとはままならんな。」
 本物の古波蔵エレンなら絶対にしない笑顔は、ノノミを思い出すようで腹立たしかった。

 ◆◇◆◇◆

「へっくち!
 ……今誰か私の話しませんでした?」
「ダークマイトが私達を追ってるんでしょ。
 ……それにしてもあんたもクシャミなんてするのね。グリオンの作った怪物のアンタも。」
「グリオン様は全能です。
 その創造物である私は当然クシャミも出来ます。」
「ああ、そう。」
 ダークマイトから距離をとるために、ノノミとシノンはアビドスの街中を駆ける。
 ノノミがみせた気の抜けるような可愛らしいクシャミについ質問をしてしまったが、恍惚とした表情でグリオン賛美を始めたノノミにシノンは数秒前の質問に後悔していた。
 くしゃみは単なる生理現象だ。そこに善意も悪意もない。
 その一瞬だけ。シノンにはこの女が悪意ある人造人間ではない普通の少女のように見えた。
   ・・・・
 そう錯覚したことに、後悔していた。

「本物の十六夜ノノミが出来ることで。私に出来ないことはないと言っていいでしょう。」
 プテラノドンマルガムは異形の姿のまま、少女の声色で蕩けるように断言する。
 はぁと呆けたように漏れた息には妙に色気があり、そのことがシノンには酷く気持ちが悪い。
 本物の十六夜ノノミであれば間違いなくこんな気色悪い声色は出さないだろう。カリスの装甲の下で猫妖精族(ケットシー)のアバターの肌がわずかに粟立った。

「私はノノミを知らないけどさ。
 アンタみたいな偽物にいい顔されて、本物のノノミはたまったもんじゃないでしょうね。」
「それは、黒見セリカや十六夜ノノミへの同情からの言葉ですかぁ?」
 同情はしていた。この殺し合いには黒見セリカの先輩がいて、恩師がいて、職場があって、学園がある。その上学友の偽物が悪逆な人造人間として我が物顔で動いている。
 過去の裏切りと今の友たちを想うシノンに、その友情を踏みにじるグリオンの凶行を許せないのは間違いない。
 では、ノノミに対する不快と嫌悪が同情からくるものだけなのか。
 30分前のシノンならそうだったのだろう。

「それとも、キリトの凶行を偽者の行いだと断じる貴女自身の言葉ですかぁ?」
 ぐるりと首を曲げたノノミの嘲笑に満ちた濁った眼がシノンを捉える。
 反射的にシノンは足を止めカリスアローを思いっきり切り上げた。カリスの仮面の奥でアバターの目が血走っていた。

「どっちもよ!」
 力強くシノンは叫ぶ。これまでの人生で何度もない腹の底から出た言葉だった。
 言語化できなかった感情が形となってに頭がすっと軽くなる。胸の内に渦巻く感情をシノンははっきりと自覚した。

 黒見セリカにとっての十六夜ノノミは大好きな先輩だが、シノンのように偽者しか知らない者にとっては(亀井美嘉のように協力関係である者であっても)悪の錬金術師に心酔する外道の名前だ。
 同じようにキリトはシノンにとっては友であり恩人であるが、夜島学郎と亀井美嘉にとってキリトは悪辣な殺人鬼である。
 藤乃代葉を嘲笑と共に殺した。本物のキリトを知るシノンにとって考慮にさえ値しない話でも、キリトを知らない人たちには”キリトは平気で人を殺す悪意ある男”だと知れ渡る。
 キリトが何者かに操られているのか、あるいはキリトの偽物がそのような凶行に及んでいるのか分からない。
 確かなことは、藤乃代葉を殺した偽キリトが行動している限りキリトと言う男の尊厳は踏みにじられる。
 目の前でカリスアローを躱しケラケラと嗤う女がいる限り、十六夜ノノミの尊厳が踏みにじられるように。
 そんな理不尽を飲み込めるほどシノンは大人ではなかった。
 他人に対する同情ではなく、それは既にシノン自身の感情になっていた。

 「セリカには耐えてなんてカッコつけて言っちゃったけど。
 今なら分かる。これは無理ね。耐えられない。
 私は、アンタたちを認められない。
 アンタも、グリオンも。キリトの姿をした人殺しも。」
「……まあ、頑張ってくださいね。応援してますよ。」
「心にもないことをよくもまあすらすら言えるわね。」
「本心ですよ。貴方は下手な言葉よりもつらいつら~い現実に直面したほうがいい表情を見れそうですから。」
 鬼気迫る様子のシノンに対し、ノノミは薄ら笑いを崩さない。
 背後にワープゲートをつくりだし、自分たちがさっきまでいた一点をノノミは指さした。

「1つアドバイスをするのなら。
 そういうセリフはダークマイトを倒してから言うべきですよね。」
「分かってるわよ!!」
 ノノミが指さす先がキラリと光ったと思えば、巨大な拳状の黄金の塊がミサイルのように轟音と共に2人を襲った。
 ノノミはワープゲートで転移し、シノンは思いっきり両足を蹴り上げ飛び上がる。
 黄金の塊の正体はダークマイトの個性”錬金”によって変質したコインだ。支給品ではあるが何ら変哲のない金貨。
 それが質量を持ったレーザーとでもいうべき威力で家三軒を粉々に粉砕していた。
 苦虫を嚙み潰したような表情のシノンの前に、砂埃をの中から筋骨隆々とした男が姿を見せた。

 「なかなか逃げ足が速いじゃないか。
 こうもはっきり避けられるとおじさんちょっと悲しいなぁ。」
 ちっとも悲しくなさそうな薄ら笑いを浮かべ、肩についた砂を鬱陶しそうに払いのけた。
 その姿がシノンにはどこか造り物のように見える。よく見るとこの炎天下に汗1つかいていなかった。

「聞きたいんだけどさ。
 その姿、アンタもアバターか何か?」
「オールマイトを知らないとはモグリだね。
 まあ、りんねのように別世界の人間と言うのなら仕方のない話か。見たところ個性も使えないらしい。」
「オールマイト……。」
「俺の世界では平和の象徴と呼ばれた最強の男だ。
 最強のヒーロー。その力に弱者は憧れ悪は恐れた。その力は希望となり平和を生んだ。
 だが彼は今や力を失った……。その象徴を継ぐべき男こそこの俺、ダークマイトというわけだ!」

 筋肉を見せつけるように大きくねじりダークマイトは拳を構える。
 シノンとの距離は数mはある。拳の射程には大きく外れていたが、銃口を向けられた時のような寒気がシノンの両足を動かしダークマイトとの距離を広げた。

「勘がいい。
 だが象徴の力の前には、遅すぎる!」
 ダークマイトがしたり顔で振りぬいた拳。無論ただのパンチではなく”錬金”の個性による増強が加わる。
 その指先で金色の指輪がキラリと光ると、指輪を触媒に金色の巨大な拳が形作られ殴りつけるようにシノンめがけて射出された。

「速い!」
『トルネード』
 とっさにラウズカードをスキャンし、カリスアローから風のエレメントを纏った矢が放たれる。
 だが一発の射撃で拳の威力は殺しきれない。
 シノンの体ほどはある巨大な拳はシノンを巻き込みミサイルのようにねじ込まれ、電柱をへし折り家1つを粉々に粉砕した。

 その様子をダークマイトは満足げに眺めていたが、次第にその顔が怪訝なものに変わる。
 黄金の拳が叩き壊した瓦礫の中に、仮面ライダーカリスの姿は無かった。
 一撃で殺したのか?仮にも仮面ライダーだ。死体さえ残らないということは無いだろう。
 仮にも欧州最大マフィアのボスである彼の眼は節穴ではない。

「こっちよ!!」
 『フロート』『ドリル』『トルネード』
「やはり生きていたか!!」
 だから背後から聞こえたシノンの声に反応しダークマイトは振り向きざまに殴りかかる。その拳は黄金のように輝き肥大化していく。
 シノンもまた3枚のカードをスキャンし、回転しながらドロップキックを叩きこんだ。

『スピニングダンス』
「BOLOGNA SMASH!!!」
 正面からぶつかり合った技の威力は互角。金色に光るダークマイトの拳と風を纏ったシノンの足が互いに火花を散らす。
 互角だ。
 ノノミのワープのおかげで攻撃を躱せたはいいものの、今のシノンではダークマイト相手に決定打が欠けていた。
                                        ・・・・・・
 仮面ライダーに変身して、さらにアバターによる参加者というアドバンテージがあってようやく互角という事実にシノンは歯がゆい気持ちになる。
 運営に茅場晶彦がいることに今だけは感謝していた。そうでなければこの攻防で押し負け死んでいたかもしれない。

「なぜわざわざ声を上げたんだい?
 君は私に倒されるヴィランなんだ。不意打ちで蹴りかかればよかっただろう。」
「こいつ……!!」
 やんちゃな子供を諭すような声でダークマイトは尋ねた。
 こちらの最も嫌な部分を探るようなノノミの声とはまた違う。
 こちらのことをモブキャラとしか思ってないような無関心さ。ダークマイトはそんな不誠実な態度を隠そうともしていない。
 実際に興味もないのだろう。個性社会の無法者であり己の実力を誇示するきらいのあるダークマイトだ。元の世界で仮面ライダー級の相手との戦闘経験だって少なくない。
 シノンにとっては命がけで戦わねばならない相手でも、ダークマイトにとってのシノンは数ある強者の1人に過ぎなかった。

「悪いが君程度の相手なら何度も戦っている。
 仮面ライダー。個性に寄らずプロヒーロー並の力を得られる技術は確かに素晴らしい。
 だがこの象徴たるダークマイトの力には劣る!
 オールマイトがそうであるように、並み居るヒーローを上回り蔓延るヴィランをねじ伏せてこその象徴だ!」
「さっきからヒーローだとかヴィランだとか言ってるけど!!
 アンタみたいな暴力装置のどこがヒーローなのよ!!」
 シノンは、オールマイトを知らない。
 8割の人間が”個性”と言う名の超能力を宿す超常社会も、そんな無法が蔓延る社会で平和の象徴として懸命に戦った英雄のことも知らない。
 ただ、こいつは違うと思った。オールマイトなどと言う英雄とは似ても似つかないだろうという確証があった。
 ノノミを前にした時と、亀井美嘉の話を聞いたときと同じ嫌悪感が胸の内で渦巻いていた。

「もううんざりなのよ!!ノノミも、グリオンも、キリトを語る誰かも、アンタも!!!
 アンタらみたいな奴が、他人の正しさも苦しみもこれっぽちも気にしない連中が!
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 誰かの名前を語るんじゃないわよ!!」
「オールマイトを知らぬものにオールマイトを継ぐ偉大さなど伝わらんか。残念だよ。」

 鬼気迫る叫びをダークマイトは鼻で笑った。
 馬鹿にするようにではない。馬鹿にしていた。そう断言できるほど、この男の態度には正しさなんて欠片もなかった。

 こいつはノノミと同じだ。キリトの名を語り藤乃代葉を殺した誰かと同じだ。
 こいつは、オールマイトじゃない。平和の象徴などと言われる男ではない。
 オールマイトがどんな人間なのか想像することしかできないが、勝手に他人をヴィランと罵り平然と暴力を振るう人間が、『平和の象徴』なんて大層な異名を授かるわけがない。
 この男の存在そのものが、『平和の象徴』への侮辱に他ならない。

 シノンが視線を落とすと、ダークマイトの背後にある何もない空間に赤黒いゲートが前触れなく開いた。
 ダークマイトは気づいていない。シノンが囮であることに。
 その先から飛び出た誰かがぎゅっと拳を握り締め、ダークマイトへと殴りかかる。

「あんたもそう思うでしょ――」
 飛び出た誰かに投げかけた。彼女もシノンと同じ……あるいはそれ以上にこの現状が許せない。そう確信していたからだ。
 グリオン配下のノノミの存在が、十六夜ノノミへの悪趣味な嘲笑であるように。
 藤乃代葉を殺した何者かがいることが、キリトの正義を踏みにじる悪意であるように。
 ――羂索が梔子ユメの姿をしていることが、アビドスと梔子ユメに対するこれ以上ない侮辱であるように。

「ユメ!」
「そうだよシノンちゃん!
 この人さっきからずっとずっと……何言ってるのか全然分かんないよ!!」

 振り返るダークマイト、その視界にはアメンの姿になった梔子ユメがすぐそこまで迫っていた。
 防御すべきか回避すべきか、そんな考えが筋肉に届くよりも早く、アメンの拳はダークマイトの脇腹を殴り飛ばした。

「貴方がヒーローなら!オールマイトって人を継いでいるのなら!!
 なんでみんなを助けようしないのよ!!」
 それは梔子ユメの本心からの問いだった。
 己を鼓舞するように声を張り上げ、思いっきり殴り飛ばす。
 爆ぜたような音と共にダークマイトの体が浮きあがり、地面に叩きつけられた巨体が音を立ててアスファルトを削った。

「成程、猫耳娘は陽動か。
 最初の攻撃をかわしたのも今の奇襲も、要はプテラノドンのヴィランが使うワープだね。
 しかしやるじゃないか。流石は羂索というべきかな?俺の顔に傷をつけるとはね。」
 状況を確認するダークマイトが数度瞬きをした後ゆっくりと起き上がる。
 砕き削れた地面と比較してあり得ないくらい男の傷は浅く、数か所の擦り傷と額からわずかに血を流しているだけだ。

「だが令呪もなく変身以外に支給品も使っていない。遊びはここまでといったところだろう。」
 鬱陶しそうに砂を払い額の血を拭う。
 そこでシノンとユメは信じられないものを見た。
 むき出しになった額の擦り傷が、急速に塞がっていったのだ。
 ユメが殴り飛ばしたダメージもアスファルトによってできた擦り傷も、初めから傷などついていなかったように男は邪悪な笑みを浮かべた。

「は……?」
「再生……したの??」
 思わず後ずさる。
 怯えたように見開いた目がカリスとアメンの仮面に隠れて見えなかったことは、少女たちにとって間違いなく幸運だった。
 ダークマイトの体は本来の肉体ではない。やせ細った特徴のない姿の上に”個性”で形を変えた装甲を纏っている。
 今の再生も装甲を直しているだけではあるが、オールマイトを知らない2人がその事実に気づくことはできない。

「これが象徴の力だよ羂索。」
 悠然とダークマイトは言ってのける。
 それだけの力がこの男にあるのも、また事実だった。

「なんでみんなを助けようとしないのか。そう言ったね?
 助けるとも!
 この力で悪しきアビドスを駆逐し、君が巻き込んだ全ての人間の代弁者として君をねじ伏せよう!」 
「あのりんねって子も、それを望んだの?」
「彼女は私のヒロインだ。ヒーローには必要だろう?
 彼女の意思は、私の意思だ。ともに羂索どもの企みを打ち砕くことも彼女も望んでいる。
 まあ、多少強情ではあったから少々強引な手を使わせてもらったが。」
「最ッ低……。」
 ”強引な手”がなんであるか2人は考えることを止めた。なんであれ九堂りんねと言う少女の尊厳は粉みじんに砕かれているだろう。
 九堂りんねがダークマイトに従う理由は命れいじゅうによる強制的な隷属だが、そこまでのことは分からない。
 確かなことはダークマイトは九堂りんねを――仮面ライダーマジェードを従えている。おそらくは暴力的な手法で。
 仮面ライダーの1人や2人この男ならただの暴力でねじ伏せられると、九堂りんねの存在が証明していた。

 だからこそシノンとユメはノノミと共に奇襲のような攻撃を実行した。
 結果分かったことは、純粋な戦闘力では二人を上回るうえに再生能力を持つバケモノだという絶望的な実態だった。

 ダークマイトは特記戦力相当たる緑谷出久を含む雄英高校1-Aトップ3が揃ってようやく倒せた相手である。
 錬金の個性を用いた遠距離攻撃では、数枚のコインや拳だけでミサイルのごとき破壊を生み出せる。
 純粋な白兵戦闘では神秘やアバターというアドバンテージのある肉体が変身てようやく互角となるレベルだ。
 おまけに傷は再生する。実際は外部装甲だとしても”再生する外部装甲”の時点でそれはもう起動キーの上位互換だ。厄介極まりないことには変わらない。

「美嘉やセリカ、マジアベーゼがりんねって子をなんとかしてくれるまで、耐えるしかないわね。
 ……そういえばノノミは?」
「りんね側に加勢するってさ。時間稼ぎお願いしますって頼まれたよ。
 ダークマイトに有効打がない以上、今は時間稼いで。なんとか九堂りんねを無力化して全員で叩くしかないだろうって。」
「姿が見えないと思ったらそんなことしてたの。」
 姿を見せない胡散臭い女に肩をすくめたが、最善の手段だろうとは2人も思う。
 ノノミを含めた3人だけで勝つ場合の勝率は0に近いが、今この時において彼女たちには仲間がいた。
 亀井美嘉、黒見セリカ、マジアベーゼ。別働として九堂りんねを相手どっている彼女たちが九堂りんねを無力化し、合流できるまで耐える事ならできるだろう。
 シノンとユメの勝利条件はそれしかない。
 だがそれも、このまま大人しく戦ってくれればの話である。

「……ふむ。このまま戦ってもいいが。他にもヴィランは何人もいる。無駄に消耗するわけにはいかない。
 確実に羂索を打ち倒すために、りんねの力は必要だな。」
 一方のダークマイトは勝利条件など気にしてはいなかった。
 そもそも、オールマイトの後継を吹聴するこの男は負ける可能性など微塵も考えていない。
    ・・・・・・・
 ただ、もっと楽に勝つためだけに、男はポケットから何かを取り出した。
 エメラルドのような色合いの宝石がダークマイトの掌で淡く光る。
 アメンと同じ世界でイドラ・アーヴォルンが研究していたその宝石の名をマナメタルと言った。

「来い!りんね!!」
 一瞬、ギラリとマナメタルが閃光を放つ。
 光が収まると同時に純白のサークルを潜って、太陽と一角獣の錬金術師――仮面ライダーマジェードの姿が虚空から出現し、2人のプランが音を立てて瓦解した。

「ノノミちゃんと同じ、ワープ……こんなことまで。」
「はっはっは。あんな悍ましい錬金術と一緒にしないでくれ!
 これは俺と言う象徴とヒロインたるりんねの絆の力と言う奴だ!」
 妄言のようなダークマイトの言葉はあながち間違いではない。
 緊急キズナワープ。という機能がある。
 キズナレッドらが持つキズナブレスの機能であり、強い絆を持つ仲間の場所に転移するというものだ。
 支給品であるマナメタルが起こした現象はそれと同一のものだ。マナメタルもまたキズナブレスと同様絆エネルギーに反応する性質がある。
 ダークマイトはこっそりと九堂りんねのアルケミスドライバーにマナメタルの破片を仕込んでいた。そのためダークマイトの要請に応じて緊急キズナワープが作動し九堂りんねにが姿を見せたのだ。

 「どの口でそんな台詞がはけるのよ!」
 絆の力 などという戯言に何度目か分からない憤慨がシノンの全身を駆け巡った。
 ダークマイトだけは本心からそう思っているのだろう。九堂りんねをヒロインだとするダークマイト伝説に心酔している彼に疑うという思考は存在しない。
                ・・・・・
 ダークマイトと九堂りんねの間に絆などないという誰が見ても明らかな事実さえ、彼の望む真実と異なれば理解しないだろう。
 緊急キズナワープが作動したことにも当然カラクリが存在するが、その真相は九堂りんね含め誰もまだ気づいていなかった。

「それにしても……。」
 突如現れた仮面ライダーマジェードを前に怪訝な顔を浮かべる。
 胸元が大きく破損し右足を引きずっていた。骨が折れているかもしれないし少なくとも数時間は休ませる必要があるだろう。
 その傷も妙だ。引きずっている右足の外相は少ない、内側から衝撃を与えられたような痛め方だ。
 それ以上に胸元の傷は深刻だ。橙色のボディパーツが砕け大槌でも食らったかのようにへこんでいた。
 もし彼女が仮面ライダーマジェードになっていなければ、死んでいたであろう深手にみえた。

 考え込むシノンの隣で前触れなく空間が赤黒く捻じ曲がる。
 わぁ。などと可愛らしい声を上げて尻餅をついたユメの目の前でワープゲートをくぐる者がいる。
 仮面ライダーバルカン――黒見セリカ。エンジェルマルガム――亀井美嘉。
 少し遅れてマジアベーゼ――柊うてな。
 その全員が、怒りに震えていた。

 「何が――」
 「ふっざけんな!!!!」
 尋ねる前に黒見セリカは我慢ならないといった様子でダークマイトを指さした。
 その隣で美嘉はわなわなと震えて拳を握りしめ、唯一表情を読み取れるマジアベーゼは親の仇を前にしたかのような嫌悪の形相を浮かべていた。

「あんた……あんた、あのりんねって子に何をしたの!!」
「たいしたことはしていない。
 少々強情だったからね、俺のヒロインとして従順になるよう教育してやっただけだ。」
「教育?洗脳の間違いでしょ!
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 何をしたら自分で自分の胸を抉るような真似をするのよ!!」
「なっ。」
 思わず絶句する。ユメに至っては今にも泣きそうな悲痛な声を上げていた。
 言葉を失った2人にマジアベーゼが視線を向ける。

「2つ、連絡します。
 九堂りんねを足止めすることは出来ません。
 戦闘不能に追い込まなければ、彼女はダークマイトのために戦いつづけるでしょう。」
「どういうことよ。」
「彼女は、ダークマイトに操られています。おそらく支給品によるものでしょう。
 ルルーシュのギアスと同質のものだと私たちは見ています。彼女の意思を無視して、ダークマイトの望む行動しかとれない状態です。」
「そういうことか……。」
 ルルーシュ・ランペルージの絶対遵守のギアスの威力はこの場の全員が知っている。
 ダークマイトが用いたひみつ道具”命れいじゅう”も効果だけをみればほとんど同じと言っていい。
 ただでしたがっているとは思っていなかったが、九堂りんねの立ち位置はシノンが想像していたよりずっと悲惨だったということだ。

「もう1つ連絡があるのよね。
 これ以上悪いニュースは聞きたくないんだけど。」
「ダークマイト本人が凄まじく強いことはノノミに聞きました。
 ですが安心してください、こっちは良いニュースです。」
「そういえばノノミは?」
「知りませんよ。
 ここに居ないにしても、引き戻す方法が私達にはありません。」
 それもそうだと諦めたようにシノンは息を吐く。
 ダークマイトの強さ、九堂りんねの現状。そんな面倒ごとを前に敵対しないだろう女のことを気にする余裕は残っていなかった。
 辟易するような声にマジアベーゼは少しだけにこやかに返した。

「ここからは私にやらせてください。
 ダークマイトの倒し方が、分かりました。」



070:”今”は過去と未来の先にあるのか? 投下順 071:空と虚② 柊うてなという敵(おんな)
時系列順
061:plazma/ヘミソフィア─目の前をぶち抜くプラズマ─ 柊真昼
053:糸見沙耶香:オリジン 真人
065:戦慄のプレリュード 魔獣装甲のエケラレンキス
060:幕間:かつて生徒だった英雄たちへ(後編) 柊うてな
梔子ユメ
シノン
黒見セリカ
亀井美嘉
冥黒ノノミ
魔王グリオン
冥黒アヤネ
ダークマイト
九堂りんね

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