空中にて、赤き戦闘機のようなMAがMS・ディンの群れを相手取る。
機銃やミサイルを用い迎撃するそれらを避けようとすらせず受け、傷ひとつつかない様子のMAはビーム砲を放って蹴散らした。
機銃やミサイルを用い迎撃するそれらを避けようとすらせず受け、傷ひとつつかない様子のMAはビーム砲を放って蹴散らした。
「……つくづく空気読めないよねー、あなたたちは」
憂さ晴らしには丁度いいかもだけど、と明るげにしかし悲しみを滲ませた声色を隠せないまま、MAに変形しているイモータルジャスティスを身に纏う少女聖園ミカは新たな目前の敵と相対する。
現れるはKMF。攻撃を仕掛けてきたそれを、MS形態に変形した上で盾を用いて受けた。
カウンターと言わんばかりに盾を至近距離からシールドブーメランとして射出し、コックピット部分と思われる箇所に直撃させる。
現れるはKMF。攻撃を仕掛けてきたそれを、MS形態に変形した上で盾を用いて受けた。
カウンターと言わんばかりに盾を至近距離からシールドブーメランとして射出し、コックピット部分と思われる箇所に直撃させる。
「…わーお、そっちの方が強そうだね☆」
しかし一撃は中から現れたコードが繋がった筋骨隆々の素顔の見えない騎士に止められてしまった。
おどけながらも驚いたのは事実。さりとて手を緩める事はせず、己の感情を込めるかのようにミカは攻撃を仕掛け続ける。
対し騎士は己の拳でそれを迎え撃った。
おどけながらも驚いたのは事実。さりとて手を緩める事はせず、己の感情を込めるかのようにミカは攻撃を仕掛け続ける。
対し騎士は己の拳でそれを迎え撃った。
……少しの間近接戦闘が続くも、主は不在、不滅でもないとはいえ再生する騎士を機能停止に追い込むには現状の装備のミカでは些か足りず。しかし騎士もまた現状では装甲をぶち抜く事が出来ないと膠着状態に陥る。
(今回ばかりは、ミーティアもベロバもまだ使えなくて助かったよ。
……今の私じゃ、考え無しに使っちゃってただろうから)
……今の私じゃ、考え無しに使っちゃってただろうから)
なんて何処か他人事みたいに思いつつ、ミカはここで距離を取り同時に、起動鍵を変更した、
比較的使い慣れているバルバトス・ルプスレクスを身に纏い…納刀した日本刀を腰に下げる。
比較的使い慣れているバルバトス・ルプスレクスを身に纏い…納刀した日本刀を腰に下げる。
『泣かないで…………』
(……篝、ちゃん…っ…)
(……篝、ちゃん…っ…)
刀を振るっていた、今はもう居ない/自分のせいで命を落とした刀使の最期の言葉がフラッシュバックするも……ごめんねと、その一言だけを絞り出すかのように胸中で告げた彼女は距離を詰めメイスを振りかぶる。
回避行動に出た騎士だったがそれは予測済み。同時に動かしていたテイルブレードを勢い付けて刺突し妨害。そこから勢いよく蹴り上げ作った隙を突き……後は動かなくなるまでメイスをぶつけるだけだった。
何度も、何度も、心をグチャグチャにしている激情を少しでも発散させたいと言わんばかりの打撃を全身に受け続けた結果……KMF共々騎士は爆散、残るはスクラップとドロップしたソードスキルのみだ。
回避行動に出た騎士だったがそれは予測済み。同時に動かしていたテイルブレードを勢い付けて刺突し妨害。そこから勢いよく蹴り上げ作った隙を突き……後は動かなくなるまでメイスをぶつけるだけだった。
何度も、何度も、心をグチャグチャにしている激情を少しでも発散させたいと言わんばかりの打撃を全身に受け続けた結果……KMF共々騎士は爆散、残るはスクラップとドロップしたソードスキルのみだ。
(…魔女の、ううん…疫病神の私でさえ使えちゃうんだ。
……ほんとに使い手を選ぶ刀なのかな?だとしたらキラくんや篝ちゃんと一緒で、見る目が無さ過ぎるよ…)
……ほんとに使い手を選ぶ刀なのかな?だとしたらキラくんや篝ちゃんと一緒で、見る目が無さ過ぎるよ…)
この殺し合いでは御刀は、使い手が女性なら万全でこそ無いが誰にだろうとその力を与えるようにされていた。
故にそれが魔女だとしても、疫病神だとしても恩恵を得て戦える事には変わりはない。ルプスレクスの鍵と八幡力により更に強化された身体能力を以てすれば不滅なはずだった騎士を滅する事程度造作もなかった。
故にそれが魔女だとしても、疫病神だとしても恩恵を得て戦える事には変わりはない。ルプスレクスの鍵と八幡力により更に強化された身体能力を以てすれば不滅なはずだった騎士を滅する事程度造作もなかった。
(……この御刀の、本来の持ち主が可奈美ちゃん、だったよね。
なら……もし見つけたらその時は、篝ちゃんの分まで……。
…そんな資格なんて無いのはわかってるけど、でも…キラくんがああなっちゃった以上……!)
なら……もし見つけたらその時は、篝ちゃんの分まで……。
…そんな資格なんて無いのはわかってるけど、でも…キラくんがああなっちゃった以上……!)
若干頭も激情も冷え落ち着きを取り戻し始めるものの、考えが纏まらず思考がどんどん移ろいで行くミカ。
思わず考え無しにスキルを習得してしまう程度には、今の彼女の思考には纏まりが無かった。数時間前の復讐の為優勝すると無軌道に動きながらもルルーシュの狙いを考察出来ていた彼女は何処へやらと、今頃主催者達は嗤っているのだろうか。
思わず考え無しにスキルを習得してしまう程度には、今の彼女の思考には纏まりが無かった。数時間前の復讐の為優勝すると無軌道に動きながらもルルーシュの狙いを考察出来ていた彼女は何処へやらと、今頃主催者達は嗤っているのだろうか。
「…そう言えばここ、何処だったっけ…?」
思考は更に移る。道中取得し使用した高速化のエナジーアイテムもあって、それほど時間が経ってないにも関わらず…チェイスらが居た地点から結構な距離が離れてしまっていた。
キョロキョロと見回した後、ホットラインを確認しようとしたその刹那──飛来して来た銀色の金属をミカは咄嗟に躱してみせる。
キョロキョロと見回した後、ホットラインを確認しようとしたその刹那──飛来して来た銀色の金属をミカは咄嗟に躱してみせる。
「へえ?そういうこと出来るNPC…ってところかな?」
受けずに避けて正解だったかもと言いつつ、姿を戦闘機のようなMSに変えていく金属生命体・ELSに対し再びイモータルジャスティスの鍵を使用。
今度はフルートバスターと、鞘から取り出した御刀千鳥を構え…ELSが放ったミサイルを斬り飛ばし……勢いのまま本体をも乱雑に斬り捨てた。
今度はフルートバスターと、鞘から取り出した御刀千鳥を構え…ELSが放ったミサイルを斬り飛ばし……勢いのまま本体をも乱雑に斬り捨てた。
振るい方も構えも乱雑、そもそもこの殺し合いに巻き込まれるまで剣系の武器に触れた事すら無かったのもあるとはいえ…その二刀流は黒の剣士キリトや大荒魂タギツヒメに比べれば児戯もいいところだ。
だがそれでも…八幡力と迅移を併用し速度と筋力を向上させた上で放てば、並大抵の相手はどうにか出来てしまえるくらいには彼女は強かった。
だがそれでも…八幡力と迅移を併用し速度と筋力を向上させた上で放てば、並大抵の相手はどうにか出来てしまえるくらいには彼女は強かった。
(…姿を変えるNPC…もしかして)
「……チェイスおにいさんが、言ってた『先生』は──」
それ以上思考をする暇はミカには無かった。
もしもう少し考える時間があれば、先生の死…とまではいかずとも、姿を利用されているという所までは辿り着けたかも知れないが…そうならなかった事が幸か不幸かはまだわからない。
…ともかく、強烈な凍てつく風と殺気を感じた彼女は言葉を考え諸共に飲み込み、繰り出された手刀を千鳥により受け止めた。
もしもう少し考える時間があれば、先生の死…とまではいかずとも、姿を利用されているという所までは辿り着けたかも知れないが…そうならなかった事が幸か不幸かはまだわからない。
…ともかく、強烈な凍てつく風と殺気を感じた彼女は言葉を考え諸共に飲み込み、繰り出された手刀を千鳥により受け止めた。
(…なんで、いまっ……!!)
「気付かれるとは、奴から距離を取るには使えたが所詮ドロップアイテムか。暗殺には使えそうにない」
「……キラ、くんっ……!!」
「その御刀をお前が持っている……なるほど。柊篝は死んだみたいだね」
「気付かれるとは、奴から距離を取るには使えたが所詮ドロップアイテムか。暗殺には使えそうにない」
「……キラ、くんっ……!!」
「その御刀をお前が持っている……なるほど。柊篝は死んだみたいだね」
悲痛な声を零すミカに対して、被っていたドロップアイテムを取りながら何もかも無意味だと、虚しいだけだと冷酷に呟くは、キラ・ヤマトの成れの果ての氷竜。
ムウ・ラ・フラガとラウ・ル・クルーゼのように空間認識能力持ち特有の感応を起こされて位置を特定されるのではと思い、もうひとりの…未来のキラ・ヤマトの追跡を躱す為被り逃走。一先ず撒いた所ミカを発見し奇襲を試みた形である。
(よりにもよって、アリウスみたいな事を……!)
「っ……誰!?キラくんをどうしたの!?」
「奴なら凍ってるよ、二度と表に出てこれないようにしておいた。
…そうだね、名乗るとするなら……『絶暴の氷竜』とでもしておくとしようか。以後、お見知りおきを」
「っ……誰!?キラくんをどうしたの!?」
「奴なら凍ってるよ、二度と表に出てこれないようにしておいた。
…そうだね、名乗るとするなら……『絶暴の氷竜』とでもしておくとしようか。以後、お見知りおきを」
一瞬言葉を詰まらせながらも返答次第じゃタダじゃおかないと言わんばかりに、二刀流をやめフルートバスターのみを向けるミカに対してそう氷竜は名乗る。
想起するはキラがこうなった主因のひとつ、魔王を名乗し最悪の錬金術師。
想起するはキラがこうなった主因のひとつ、魔王を名乗し最悪の錬金術師。
「へぇー、つまりあなたはグリオンの手先ってことでいいのかな?」
「寧ろ敵対関係にある。それと心外だよ、アレと一緒にされるのは」
「元のキラくんを凍らせておいてそういう事言うんだ?
……今すぐキラくんを解放して。でなきゃ──出て行ってよ、キラくんの身体から!!」
「寧ろ敵対関係にある。それと心外だよ、アレと一緒にされるのは」
「元のキラくんを凍らせておいてそういう事言うんだ?
……今すぐキラくんを解放して。でなきゃ──出て行ってよ、キラくんの身体から!!」
大真面目な様子で宣う氷竜に、我慢ならないと言わんばかりにミカは斬りかかった。
(氷を盾代わりに…!)
「無駄な事はやめてよね。
…こいつの身体は僕の願いの為に必要なんだ。無理なお願いをするものじゃないよ…虚しいだけだって…どうして分からない?」
「無駄とか無理とか虚しいとか、そーいう事ばっかり言うのやめてくれないかな?しかもキラくんの口で……とっとと出て行ってくれれば一発で終わらせてあげるからさ☆
…で、その願いって??」
「無駄な事はやめてよね。
…こいつの身体は僕の願いの為に必要なんだ。無理なお願いをするものじゃないよ…虚しいだけだって…どうして分からない?」
「無駄とか無理とか虚しいとか、そーいう事ばっかり言うのやめてくれないかな?しかもキラくんの口で……とっとと出て行ってくれれば一発で終わらせてあげるからさ☆
…で、その願いって??」
伝わる感触は斬り砕いた物のみ。
形成され向かってくる氷の枝を切り払いまた盾で受けながら、苛立ちと怒りを隠さずに反論しつつも一応願いとやらを聞いてみようとするミカ。
形成され向かってくる氷の枝を切り払いまた盾で受けながら、苛立ちと怒りを隠さずに反論しつつも一応願いとやらを聞いてみようとするミカ。
「そうだね…どれだけ頑張っても断ち切れない憎しみの連鎖を、綺麗さっぱり終わらせる事になる。
その為に……全てを凍らせる、それが僕の、いやキラ・ヤマトにとっての──」
「あっそう。もういいよ。皆殺しにすれば何も残らないとかそういう理屈なんだろうけど…キラくんの身体でそんな事、させようって言うならさー……消えてよっ!」
その為に……全てを凍らせる、それが僕の、いやキラ・ヤマトにとっての──」
「あっそう。もういいよ。皆殺しにすれば何も残らないとかそういう理屈なんだろうけど…キラくんの身体でそんな事、させようって言うならさー……消えてよっ!」
言ってる途中にも関わらず、目前の竜はゼインと同じ対話不能と判断…見切りを付けたミカはシールドブーメランを射出し直撃させた。
「…たしかにキラくんは傷つきやすい所はあったけど…でも篝ちゃんと一緒に私みたいな疫病神にすら、手を差し伸べてくれた凄く優しい男の子だから…。
…そんなキラくんが、あなたの狂った願いが叶ったとしても…喜ぶわけない事ぐらいは分かるよ!」
…そんなキラくんが、あなたの狂った願いが叶ったとしても…喜ぶわけない事ぐらいは分かるよ!」
「…ひとつ言っておくと、僕はキラ・ヤマトが抱いていた虚無感と無力感、絶望…それとグリオンとギギストの力の介在によって生まれた。だからお前よりはずっと、奴の事を分かっているさ…殺し合いに乗っているキヴォトス人、聖園ミカ。
…奴がどんな思いで戦って来たかを知ろうともしない癖によく言うよ」
…奴がどんな思いで戦って来たかを知ろうともしない癖によく言うよ」
手刀とフルートバスターで近距離から切り合う両者。
毅然とミカは言い切るも、反論しながら竜は氷でドラグーンを生成し、彼女目掛けて放つ。
反論出来ず、回避か盾や撃ち落としなどの防御に専念する外無かった。
毅然とミカは言い切るも、反論しながら竜は氷でドラグーンを生成し、彼女目掛けて放つ。
反論出来ず、回避か盾や撃ち落としなどの防御に専念する外無かった。
『……何も知らないくせにさ、わかったようなこと…言わないでよキラくん。
…大切なものを全部奪われて、悪党の人殺しに成り下がった私の事なんて、あなたにわかるわけがないんだから…!!
──うしなったことがないから!!だからあなたは…わかったようなことが言えるんだよ!!取り返しなんてもう、つかないのに!!』
…大切なものを全部奪われて、悪党の人殺しに成り下がった私の事なんて、あなたにわかるわけがないんだから…!!
──うしなったことがないから!!だからあなたは…わかったようなことが言えるんだよ!!取り返しなんてもう、つかないのに!!』
…最初にわたしが、キラくんと篝ちゃんと出会って戦った時吐き捨てるかのように言った言葉が浮かんだ。
……たしかに、記憶を読んでいるあの竜の方がキラくんのことを知ってるとは思う。
…情報交換の時に、軽く聞いたりしただけで……深く知ろうとか、思う前にああなっちゃったから。
…なにもしらなかったのは、わたしの方だ。
……たしかに、記憶を読んでいるあの竜の方がキラくんのことを知ってるとは思う。
…情報交換の時に、軽く聞いたりしただけで……深く知ろうとか、思う前にああなっちゃったから。
…なにもしらなかったのは、わたしの方だ。
「お前にとっては今僕に構うメリットは無いだろう?参加者をもっと減らしてから殺しに来ればいい話だったというのに…」
そう言いながら竜は光の柱を出現させてきて…ふっ飛ばされちゃいそうなのをどうにかシールドで抑える。
……わかってるよ、優勝を狙う以上今は放置して、消耗したところを…ってした方が賢いんだろうねってことくらい。
…でも……あんなことしたグリオンや力を与えたギギストに、攻めてきたエターナルが悪いのはそうだけど……彼を、キラくんを目の前の化物にしちゃった一番の原因は私だから。差し出された手を取らなかったせいで、私なんかを庇ったせいで、私が手を届かせれなかったせいで……!!
……わかってるよ、優勝を狙う以上今は放置して、消耗したところを…ってした方が賢いんだろうねってことくらい。
…でも……あんなことしたグリオンや力を与えたギギストに、攻めてきたエターナルが悪いのはそうだけど……彼を、キラくんを目の前の化物にしちゃった一番の原因は私だから。差し出された手を取らなかったせいで、私なんかを庇ったせいで、私が手を届かせれなかったせいで……!!
…それなのに、知らんぷりして…救われる筈だった、救われるべきだった彼を放置なんて、出来ない。責任を……ケジメを果たさないといけないから。
…私を庇ったせいで、死んじゃった篝ちゃんの分まで……死なせた身で烏滸がましいとは思うし、情けないことに、最期の言葉も未だに果たせそうにないし…でも……きっと篝ちゃんならそうするはずで。
──やることなすことぜーんぶうまくいかないけど、この憎悪を投げ捨てることもできないけど……少なくともキラくんを放ったらかして平然と優勝を狙うことは、今のわたしにはできそうになかった。
…そんなこと、したくもない。
…私を庇ったせいで、死んじゃった篝ちゃんの分まで……死なせた身で烏滸がましいとは思うし、情けないことに、最期の言葉も未だに果たせそうにないし…でも……きっと篝ちゃんならそうするはずで。
──やることなすことぜーんぶうまくいかないけど、この憎悪を投げ捨てることもできないけど……少なくともキラくんを放ったらかして平然と優勝を狙うことは、今のわたしにはできそうになかった。
…そんなこと、したくもない。
「…そう、だね。放置してた方が賢いんだろうね。でも…放っておけないよ…あんな優しい子に、これ以上、殺させたくない…!!」
「…ならもうひとつ言っておこう。僕は既にもうひとり殺している。頭を砕いたよ、こんな風にね!」
「…──ッ!」
「…ならもうひとつ言っておこう。僕は既にもうひとり殺している。頭を砕いたよ、こんな風にね!」
「…──ッ!」
…最悪の事態として、想定はしていた。してはいても…胸の奥が痛む。またわたしはまにあわなかったんだって。心底自分が嫌になる。
……目の前に氷の竜の首が迫ってきていた。
……目の前に氷の竜の首が迫ってきていた。
「……なら、なおさら放って置くなんてこと…無理だよ!!」
これ以上、彼に殺させない。殺させたく…ない!
それにあの時はそれとなくぼかしたから、気付かれてないとは思うけど…本格的にアレの、ゼインの 殺す対象になったってことだから…だからここで、竜を止めて…キラくんを、助けなくっちゃ!!
キラくんまで、殺させるわけにはいかない…!
それにあの時はそれとなくぼかしたから、気付かれてないとは思うけど…本格的にアレの、ゼインの 殺す対象になったってことだから…だからここで、竜を止めて…キラくんを、助けなくっちゃ!!
キラくんまで、殺させるわけにはいかない…!
迫ってた首を避けて側面から殴り付けた後私は、御刀の力で加速して──手を届かせた。
…考え無しに覚えちゃったけど、こうやって使うスキルだってのは…なんとなく、わかったから。
…考え無しに覚えちゃったけど、こうやって使うスキルだってのは…なんとなく、わかったから。
触れた相手や周囲をも凍らせる今の自分に、起動鍵越しとは言え触れてくるとは予想していなかった為……ソードスキルは発動した。
瞬間、確かな冷たさと痛みを感じながらも聖園ミカの目前の光景は変化していく。
瞬間、確かな冷たさと痛みを感じながらも聖園ミカの目前の光景は変化していく。
「え?これ、って……キラ、くん…??」
見渡しても氷竜の姿は何処にも在らず、呆然としている中…広がったのは日常を送るキラ・ヤマトの姿。
思わず触れようとするがその手はすり抜け虚を掴む。
思わず触れようとするがその手はすり抜け虚を掴む。
『ったく…昨日渡されたのだってまだ終わってないのに』
(…あの竜も居ない…もしかして私、キラくんの過去の記憶を視てる…?)
「…何もなかったら、こんなことも言うんだね…キラくん…」
(…あの竜も居ない…もしかして私、キラくんの過去の記憶を視てる…?)
「…何もなかったら、こんなことも言うんだね…キラくん…」
学友と思わしき相手と話し、年相応にぼやく彼の姿を目に映したミカは驚きつつ呟いた。
直ぐにでも戻らなければ追撃を受けるのではという懸念は浮かびはしたものの、雲散する。
直ぐにでも戻らなければ追撃を受けるのではという懸念は浮かびはしたものの、雲散する。
(…これがキラくんの過去の記憶なら……向き合わなきゃいけない気が…する。…もしかしたらなにか、手がかりが掴めるかもしれないからね☆)
という考えの元見届けようと決めたミカ。視線を戻すと、フレイという赤毛の少女とその取り巻きがキラ達と──最もキラはろくに話せてなかったが──会話を終えた所であった。
友人2人にからかわれ『僕は、別に!』とか『しつこいぞトール』なんて言っている彼と、自らが知っている彼があまり結びつかないでいる。
友人2人にからかわれ『僕は、別に!』とか『しつこいぞトール』なんて言っている彼と、自らが知っている彼があまり結びつかないでいる。
(…てっきりキラくんは彼女ちゃん…たしかラクスって子だっけ?一筋だと思ってたけど…)
なんて首をひねりながら考えてる最中も彼らは動く。目的地へと着き、先の少女に手紙を送ったらしい渦中の相手を前にまたもやキラがからかわれていた。
だが突如事態は動く。逃げて来る人達に思わず声を漏らすと、タイミング良く状況を把握出来る会話が聞こえてきた。
キラの方を見ると、友人達とは一緒に逃げずすぐに戻るとだけ告げて、金髪の中性的な少女を追いかけていく。
だが突如事態は動く。逃げて来る人達に思わず声を漏らすと、タイミング良く状況を把握出来る会話が聞こえてきた。
キラの方を見ると、友人達とは一緒に逃げずすぐに戻るとだけ告げて、金髪の中性的な少女を追いかけていく。
『何してるんだよ!?そっち行ったって…』
『何で付いてくる!?そっちこそ早く逃げろ!』
(…うん、口調が荒くなっちゃってる所もだけど、私の知ってるキラくんだ。この頃から…優しかったんだね)
『何で付いてくる!?そっちこそ早く逃げろ!』
(…うん、口調が荒くなっちゃってる所もだけど、私の知ってるキラくんだ。この頃から…優しかったんだね)
その後、少女を引っ張っていく形になったキラは紆余曲折を経てシェルターを発見。しかし満員と言われてしまった彼は『なら、一人だけでもお願いします。女の子なんです。』と有無を言わさず少女をシェルターに押し込め、教えられた別の所へと向かう。
(…あー、そういう所あるよねキラくん。ギギストに頼んだ時とかもだけど、即決即断できちゃうって言うか…)
向かっている最中、キラは鉛玉の飛び交う現場に出くわしてしまった。
そして視界の先には撃たれそうになっていた女性がいて…『あっ!?危ない後ろ!!』と、彼は思わず声を上げ警告。
その結果回避する事に成功した彼女により連れ出された先にあったのは1機のMSである。
そして視界の先には撃たれそうになっていた女性がいて…『あっ!?危ない後ろ!!』と、彼は思わず声を上げ警告。
その結果回避する事に成功した彼女により連れ出された先にあったのは1機のMSである。
「…しれっとドアしか無いとか聞こえたんだけど……改めて命が軽くて、物騒な世界だよね…」
等と呟きつつも、場面は移り変わる。
『……アスラン?』
『……キラ?』
『……キラ?』
その場では互いに確信を持てずにいたが、かつて別れた幼なじみが敵同士として再会を果たしていた。
(…あれがミームじゃない、本物のアスランくんかぁ。
……幼なじみ…ナギちゃんと子供の頃に別れて、次に会った時は敵同士だった……みたいな感じ、なのかな)
……幼なじみ…ナギちゃんと子供の頃に別れて、次に会った時は敵同士だった……みたいな感じ、なのかな)
キラの現状(最も過去だが)を目にし、自分に置き換えて考えてみようとするミカ。
それを待たずして状況は目まぐるしく変わっていく。
それを待たずして状況は目まぐるしく変わっていく。
(…ガンダムって名付けたの、キラくんだったんだ…。でも、ルプスレクスの鍵使った時はあんな表記は出なかった…阿頼耶識…だったっけ?そういう単語も聞こえてこない辺り、別の世界の『ガンダム』ってことかな?多分。
……書き換えるの、めちゃくちゃ速いじゃん☆)
……書き換えるの、めちゃくちゃ速いじゃん☆)
成り行きでMSに乗り込む羽目になったキラはOSにぼやきつつ即興でそれらを書き換えてしまい、初戦で敵MSを撃破に成功。
……しかし彼とその友人達は最新鋭の戦艦アークエンジェルに乗り込む羽目となり否応なしに戦火に巻き込まれる事となる。
……しかし彼とその友人達は最新鋭の戦艦アークエンジェルに乗り込む羽目となり否応なしに戦火に巻き込まれる事となる。
彼は友を守る為に戦い続ける。
コーディネイターな事を初手で察したムウによってバラされたり、幼なじみと改めて互いが敵同士になってしまった事を認識。
コーディネイターな事を初手で察したムウによってバラされたり、幼なじみと改めて互いが敵同士になってしまった事を認識。
『お前が何故地球軍にいる!?何故ナチュラルの味方をするんだ!?』
『僕は地球軍じゃない!
…けどあの船には仲間が、友達が乗ってるんだ!君こそなんでザフトになんか!?』
『僕は地球軍じゃない!
…けどあの船には仲間が、友達が乗ってるんだ!君こそなんでザフトになんか!?』
いくら幼なじみが相手でも、今いる友達を見捨ててザフトへ下ることはできなかった。
どうにか退け最寄りの基地に向うもそこでは裏切り者のコーディネイター呼ばわり。
どうにか退け最寄りの基地に向うもそこでは裏切り者のコーディネイター呼ばわり。
襲撃を切り抜けるが、水の確保の為遺体がまだ浮いているコロニーの残骸付近の氷を取る事となって…流されるままではなく守る為明確に自分から、殺すという選択を取ってしまい…キラは嗚咽を漏らす。
そんな時だった、拾った救助艇から出てきたピンク髪の少女と出会いを果たしたのは。
そんな時だった、拾った救助艇から出てきたピンク髪の少女と出会いを果たしたのは。
「そっか、ここで…ラクスちゃんと会うんだ」
(天然って感じはするけど…それだけじゃなさそうなような…)
(天然って感じはするけど…それだけじゃなさそうなような…)
キラの心が傷付き軋む様を視る度、胸に去来する痛みに耐えながらも彼女は…聖園ミカは目を逸らさず、いや…逸らせずにいた。
『僕は!…僕もっ…コーディネイター、ですから…』
『…そうですか。でも貴方が優しいのは、貴方だからでしょう?』
(…ラクスちゃんの言う通りだよ、キラくんが優しいのは…キラくんだからで、コーディネイターだからとかじゃない)
『…そうですか。でも貴方が優しいのは、貴方だからでしょう?』
(…ラクスちゃんの言う通りだよ、キラくんが優しいのは…キラくんだからで、コーディネイターだからとかじゃない)
しかし戦闘後赤毛の少女…フレイから受けた糾弾に耐えれず、ひとり絞り出すかのように彼は泣く。
『あんた、自分もコーディネイターだからって、本気で戦ってないんでしょう!?』
『パパ…パパを返してよぉ…!!』
『パパ…パパを返してよぉ…!!』
その言葉を否定できず、結果彼女の父を守れなかった事を悔うキラは、偶然出会ったラクスに内心を吐露した。
『……僕は…僕はっ、本当は戦いたくなんてないんです。
僕だって…コーディネイターなんだし…アスランは…とても仲の良かった友達なんだ……』
僕だって…コーディネイターなんだし…アスランは…とても仲の良かった友達なんだ……』
ラクスとの対話の末、キラは彼女を逃す事を決める。
「…キラくんらしいや」
そう呟きながらも、過去を視ているに過ぎないが故になにもしてあげれない、できない事がミカにとってはもどかしくて仕方がなかった。
…もしできたとしてその結果、殺し合いに巻き込まれて以降のように上手く行かなかったとしても。
…もしできたとしてその結果、殺し合いに巻き込まれて以降のように上手く行かなかったとしても。
ラクスをアスランに引き渡し、次は討つという彼の宣言に『僕もだ…!』と返したキラ。
だが覚悟が決まりきった訳でもなく…守ってくれたお礼と自分に折り紙をくれた少女が乗ったシャトルを、守り切れずに撃ち落とされてしまうといった事もあり更に彼の心は傷ついていく。
だが覚悟が決まりきった訳でもなく…守ってくれたお礼と自分に折り紙をくれた少女が乗ったシャトルを、守り切れずに撃ち落とされてしまうといった事もあり更に彼の心は傷ついていく。
それまでの度重なる戦闘や意図してでない物も含めた心ない言葉、相手の殺害による罪悪感や自分が戦わねばみんな死ぬという状況から来ている心理的な重圧等により…肉体的にも精神的にも疲弊している状態にあった彼に近付いてきたのはフレイ。
父を守れなかったと責めた件を謝りながら、擦り減り荒むキラに寄り添うかのように近付き……地球へと降下した直後2人は身体すら重ねてしまった。
父を守れなかったと責めた件を謝りながら、擦り減り荒むキラに寄り添うかのように近付き……地球へと降下した直後2人は身体すら重ねてしまった。
「…………わーお」
顔を真っ赤にしながらミカはそう呟き、またここからどうやってキラくんはラクスちゃんと…?と浮かんだりしたがそんな事誰も知る由もなく。
(あんなにコーディネイターのこと嫌ってたのに、キラくんと……?)
「…ダメだよキラくん!!絶対なにかあるって!!その子絶対キラくん利用してロクでもないこと考えてるって!!」
「…ダメだよキラくん!!絶対なにかあるって!!その子絶対キラくん利用してロクでもないこと考えてるって!!」
視ているのがキラ視点での記憶だけで無かったら、フレイがキラを利用し復讐を目論んでいた事にも気付けただろうがそこまでは出来ず。
しかし謀を企てているだろう事はわかる。
届かないとは、変えられないとは分かっていても思わず叫んでしまっていた。
しかし謀を企てているだろう事はわかる。
届かないとは、変えられないとは分かっていても思わず叫んでしまっていた。
『やめてよね、本気で喧嘩したらサイが僕に勝てるはずないだろ…!』
『フレイは…優しかったんだ…。
ずっと付いててくれて…抱き締めてくれて…僕を守るって…!
……僕がどんな思いで戦ってきたか、誰も気にもしないくせに!!』
『フレイは…優しかったんだ…。
ずっと付いててくれて…抱き締めてくれて…僕を守るって…!
……僕がどんな思いで戦ってきたか、誰も気にもしないくせに!!』
時は進み、やがて感情を爆発させたキラは以降コクピット内で生活し始めてしまう。
(……戦わなきゃみんなが死んで、戦ったら同胞を殺して……そんな重圧受け続けてたら、こうもなっちゃうよね……。
…明らかに、フレイちゃんが居なかったらキラくん…潰れちゃってそうだなあ…)
荒む様に悲しみを抱き、見ていられないと目を 閉じそうになるも……彼女は開く事をやめなかった。
…明らかに、フレイちゃんが居なかったらキラくん…潰れちゃってそうだなあ…)
荒む様に悲しみを抱き、見ていられないと目を 閉じそうになるも……彼女は開く事をやめなかった。
(目を閉じて耳を塞いでじっとしてれば、その内これも終わってるとは思うけど……でも、ここで逃げちゃうのは、違うじゃん)
そんな中、かつて逃がした少女であるカガリとの思いがけない再会や交流があり、また気分転換にと連れ出された先で、敵同士だと知らないまま交流した相手との戦いと…その決着が付いた。
『僕はっ……殺したくなんかないのにぃぃぃっ!!!!』
「……ごめんっ…ごめんね、キラくん…」
「……ごめんっ…ごめんね、キラくん…」
慟哭が響く。先の発言から、氷竜の言っていたことはおそらく真実の可能性が高いとミカは判断していた。断定は出来ないが、このまま過去を視続ければ嫌でもわかるだろう。
…自分を庇った結果巡り巡って殺しを嫌がる彼に、他人を殺させてしまった。その重たさに対し彼女は俯き瞳を潤ませながら謝る事しか出来なかった。
…自分を庇った結果巡り巡って殺しを嫌がる彼に、他人を殺させてしまった。その重たさに対し彼女は俯き瞳を潤ませながら謝る事しか出来なかった。
それは、その後フレイが自分を本心では好いていないと察して突き放し…居場所が無くひとり泣いていたキラの姿を視た時も同様であった。
またも場面は切り替わる。突き放して以降もなあなあで続いていたキラとフレイの関係は、オーブ寄港時に破綻を迎えた。
『可哀相なキラ…独りぼっちのキラ…戦って辛くて…守れなくて辛くて…すぐ泣いて…だから、だから…うぅ…!
…なのに!なのになんで私が!あんたに同情されなきゃなんないのよ!うぅぅっ…!!』
『フレイ、もう止めて……もう止めようよ。
僕達…間違ったんだ……』
『なによ…!なによそんなの!!』
(……フレイちゃんのこと、絆しちゃってるじゃん…)
…なのに!なのになんで私が!あんたに同情されなきゃなんないのよ!うぅぅっ…!!』
『フレイ、もう止めて……もう止めようよ。
僕達…間違ったんだ……』
『なによ…!なによそんなの!!』
(……フレイちゃんのこと、絆しちゃってるじゃん…)
利用する為近くに居続けた結果、キラの抱えてる苦しみ悲しみを知ってしまったのもあり余計に情緒不安定になったフレイが半ば衝動的に破局を告げてしまう形となる。
(……あー……チェイスおにいさん達のところから逃げた時の私だ……)
感情任せに動いた結果の後悔が蘇り頭を抱えるも、そうこうしてる間も彼らの戦いは続き……半ばなあなあ状態だったキラとアスランが殺し合う事態へと到達してしまった。
事故でキラが強奪されたガンダムの内1機をパイロット諸共破壊、アスランの仲間の内誰かを殺してしまったんだと落ち込む最中の次の戦いで……キラの友人だったトールがアスランに殺されてしまう。
投げられたシールドがコックピット部分に直撃し、頭が千切れた後爆散する様を…MS越しとは言えキラの瞳は収めてしまっていた。
事故でキラが強奪されたガンダムの内1機をパイロット諸共破壊、アスランの仲間の内誰かを殺してしまったんだと落ち込む最中の次の戦いで……キラの友人だったトールがアスランに殺されてしまう。
投げられたシールドがコックピット部分に直撃し、頭が千切れた後爆散する様を…MS越しとは言えキラの瞳は収めてしまっていた。
(……あの時キラくんが、左手犠牲にしてでも助けてくれてなかったら…私も、首を……)
『よくもトールを!!』
『お前がニコルを!!ニコルを殺したぁぁぁっ!!』
『アァァスラァァンッ!!』
『キィィラァァァッ!!』
『よくもトールを!!』
『お前がニコルを!!ニコルを殺したぁぁぁっ!!』
『アァァスラァァンッ!!』
『キィィラァァァッ!!』
怒りと憎しみと悲しみのまま、両者は死闘を繰り広げた後…アスランが引き起こしたイージスガンダムの自爆にストライク諸共キラが巻き込まれる形で戦いは終わった。
涙を零しながら、呆然と視ている他に聖園ミカにできることはなく……ベッドの上で寝かされてたキラが起きる所に移ってようやく、あの状況でどうやって生き残れたんだろうという疑問が浮かぶ様相である。
涙を零しながら、呆然と視ている他に聖園ミカにできることはなく……ベッドの上で寝かされてたキラが起きる所に移ってようやく、あの状況でどうやって生き残れたんだろうという疑問が浮かぶ様相である。
(…うん、そうもなるよねー……)
アスランと戦って死んだはずだと混乱するキラに共感しつつも、ラクス達の元で静養する彼を、トールの凄惨な死を夢に見る彼を見守る形となっていたミカ。
だがやがて状況は変動し……ラクスとの交流の中キラは地球へと戻る事を決意する。
だがやがて状況は変動し……ラクスとの交流の中キラは地球へと戻る事を決意する。
『何も出来ないって言って、何もしなかったら…もっと何も出来ない。何も変わらない…何も終わらないから』
『僕達は……何と戦わなきゃならないのか。少し、解った気がするから…』
『僕達は……何と戦わなきゃならないのか。少し、解った気がするから…』
「わーお。ラクスちゃん、すごい大胆なことするじゃん☆」
極秘裏に開発されていたMSフリーダムを、勝手にキラに渡した事をそう称しながらも…彼女がキラに伝えた言葉をまるで噛み締めるかのように呟いた。
「『想いだけでも…力だけでも…』」
それは偶然にも、記憶の中のキラと重なる。
地球へと降下し、絶体絶命の危機に陥っていたアークエンジェルを救援。
そして地下にサイクロプスが仕掛けられている事を知ったキラはその場で脱出勧告を行う。
そして地下にサイクロプスが仕掛けられている事を知ったキラはその場で脱出勧告を行う。
(…キラくんが地下にしかけられてるかもって警戒してたやつだよね…。
…あれは…!)
…あれは…!)
フリーダムに斬りかかるはデュエルガンダム、キラからすればシャトルを撃ち落とした仇であった。
記憶がフラッシュバックし、コックピット毎ビームサーベルで斬り裂こうとするも……寸前で下に下げて無力化に留まる。
記憶がフラッシュバックし、コックピット毎ビームサーベルで斬り裂こうとするも……寸前で下に下げて無力化に留まる。
(…アイツのせいでキラくんは…あの子を護れなかったのに……なのに思い留まれるなんて、すごいなぁ……)
自分が情けなく思えてきた所であったが時間は待ってはくれない。
サイクロプスが起動し巻き込まれたMSや戦艦が吹き飛んでいく中…危うく巻き込まれかけた敵MSの手を掴み助けようと試みるキラ。
サイクロプスが起動し巻き込まれたMSや戦艦が吹き飛んでいく中…危うく巻き込まれかけた敵MSの手を掴み助けようと試みるキラ。
『何故……助けた…?』
『そうしたかったからです』
『殺した方が、早かっただろう…に……』
『…クソぉっ!』
『そうしたかったからです』
『殺した方が、早かっただろう…に……』
『…クソぉっ!』
サイクロプスから逃がす事には成功したものの、致命傷を負っていたパイロットはキラの目前で息絶える。
地面を殴るキラの姿からミカは、結局救えなかった事への悔しさや悲しみを…感じ取れた気がした。
地面を殴るキラの姿からミカは、結局救えなかった事への悔しさや悲しみを…感じ取れた気がした。
ともかくアークエンジェルと合流を果たしたキラは地球軍にもザフトにも与さない事を決め、またアークエンジェルに対してもデータを取ろうとするなら断りここを離れ、奪おうとするなら敵対してでも守ると宣言。
『あれを託された、僕の責任です』
(…せめてキラくんがああなった責任は……きちんととらないと、だよね…)
(…せめてキラくんがああなった責任は……きちんととらないと、だよね…)
改めてその想いを強める中、キラはやめてよねの一件で半ば喧嘩別れになってたサイと和解を果たせたり、オーブでの戦いにてアスランと再会。
共闘した後、カガリのとりなしもあって和解を果たす事が出来た。
共闘した後、カガリのとりなしもあって和解を果たす事が出来た。
その後紆余曲折を経て、廃棄されたコロニーメンデルへと向かうこととなったキラ達。
だがザフトや地球軍との戦闘が勃発し、捕虜から味方となったバスターのパイロットディアッカが、敵にいるデュエルのパイロットイザークと話をしたいと言う。
だがザフトや地球軍との戦闘が勃発し、捕虜から味方となったバスターのパイロットディアッカが、敵にいるデュエルのパイロットイザークと話をしたいと言う。
『分かりました。でも…僕とアスランみたいなことには、ならないで下さいね』
(…自分達みたいになって欲しくないって言えちゃうんだよね、キラくん…)
(…自分達みたいになって欲しくないって言えちゃうんだよね、キラくん…)
了承しつつそう言うキラの言葉には、酷く実感が籠もっていた。
兎も角、ムウと共にメンデル内に突入すると…そこに待つはこの殺し合いの主催の一角でもある仮面の男、ラウ・ル・クルーゼ。
クルーゼはキラの生存等に驚きつつ、彼や自らの出自を話す。
兎も角、ムウと共にメンデル内に突入すると…そこに待つはこの殺し合いの主催の一角でもある仮面の男、ラウ・ル・クルーゼ。
クルーゼはキラの生存等に驚きつつ、彼や自らの出自を話す。
『あなたは何を言ってるんだ!?』
『君は人類の夢、最高のコーディネイター』
『そんな願いの元に開発されたヒビキ博士の人工子宮、それによって産み出された…唯一の成功体。彼の息子、数多の兄弟の犠牲の果てにね…』
「…それ、って…!?」
(…ここにあるのが全部……キラくんの兄弟達の……!)
『君は人類の夢、最高のコーディネイター』
『そんな願いの元に開発されたヒビキ博士の人工子宮、それによって産み出された…唯一の成功体。彼の息子、数多の兄弟の犠牲の果てにね…』
「…それ、って…!?」
(…ここにあるのが全部……キラくんの兄弟達の……!)
思わず絶句し、せり上がってくるものを抑えるミカ。
続く自らがクローンとして生み出され、テロメアに問題があると知った途端捨てられたというクルーゼの過去も合わさり…殺し合いに乗ってる身でありながら、命を何だと思ってるのかと言いたくなってしまう程であった。
続く自らがクローンとして生み出され、テロメアに問題があると知った途端捨てられたというクルーゼの過去も合わさり…殺し合いに乗ってる身でありながら、命を何だと思ってるのかと言いたくなってしまう程であった。
クルーゼに逃げられたキラ達は戦場へと戻るも、ここでクルーゼは人質としていたフレイを宙域に放出。
『キラ…』
『フレイ!』
『キラ!嘘…!』
『フレイ!』
『キラ!嘘…!』
一度行方不明になる直前、ギクシャクしながらも帰ったら話すとキラはフレイに言っていたが…果たせず今に至る。
そんな彼女が居ると知り助けようとするも、地球軍側の猛攻もあり果たせないまま終わってしまった。
そんな彼女が居ると知り助けようとするも、地球軍側の猛攻もあり果たせないまま終わってしまった。
『僕が傷つけた…僕が守ってあげなくちゃならない人なんだ!!』
(…キラくん…背負い込みすぎだよ…)
(…キラくん…背負い込みすぎだよ…)
自分が生きてていいんだろうか、生まれて来なかったほうが良かったのではとすら悩むキラを励ますラクスといった一幕を挟みつつ…ナチュラルとコーディネイター、互いに相手を滅ぼし合おうとする絶滅戦争は終幕へと向かう。
『昔…母に言われました。世界はあなたのもので、そしてまた、あなたは世界のものなのだと。
生まれ出て、この世界にあるからには……と。
……あなたを見つけて、わたくしは幸せになりました』
(……もう告白みたいなものだよね、これ…)
生まれ出て、この世界にあるからには……と。
……あなたを見つけて、わたくしは幸せになりました』
(……もう告白みたいなものだよね、これ…)
キラへ向けたラクスの言葉に、なんとも言えない表情を浮かべるミカなんて一幕を挟みながら。
敵も味方も死んでいく激戦の最中、キラはプロヴィデンスガンダムに乗り込んだクルーゼとの決戦を迎える事となる。
『また君か!厄介な奴だよ!君は!』
『あなたは!』
『在ってはならない存在だと言うのに!』
『なにを!』
(…好き勝手言って…!)
『あなたは!』
『在ってはならない存在だと言うのに!』
『なにを!』
(…好き勝手言って…!)
ビームの応酬の中、舌戦も交わす2人。
キラが心身共に追い込まれていく様を視てるしか出来ない中…救助艇を彼は発見。
フレイが乗っている物だと気付いた彼は守ろうとし…どうにか守りきれたと安堵した……その時だった。
キラが心身共に追い込まれていく様を視てるしか出来ない中…救助艇を彼は発見。
フレイが乗っている物だと気付いた彼は守ろうとし…どうにか守りきれたと安堵した……その時だった。
プロヴィデンスの放っていたドラグーンが、救助艇を貫いたのは。
『フレェェェイ!!!』
「……守れたって一度思わせてからとか、ムカつくことするね。殺し合いの主催なんてやるくらいはあるって、言えるのかな?」
「……守れたって一度思わせてからとか、ムカつくことするね。殺し合いの主催なんてやるくらいはあるって、言えるのかな?」
守れず慟哭し、譫言のように後悔の念を呟くキラ。その様を視ながら、呟く少女の瞳には涙が溢れる。
(……キラくんを利用しようとしてたのは間違いないけど、でも…それでも、省みようとしてたのは…わかるし。私なんかよりはよっぽど、救われるべきだったのに……しかもこれじゃ、キラくんが…あまりにもっ……!!)
救われないじゃないかと。気付けば口に出てしまっていた。
だがそんな事は露知らず、戦いは続き…
だがそんな事は露知らず、戦いは続き…
『あなたは!あなただけは!!』
キラの目からハイライトが消え動きが良くなる。
だが負けじとクルーゼも抗いそして口撃を仕掛けていた。
だが負けじとクルーゼも抗いそして口撃を仕掛けていた。
『それだけの業!!重ねてきたのは誰だ!?』
『君とてそのひとつだろうが!!』
『それでも!』
『守りたい世界があるんだっ!!!』
「…キラくんが勝った、でもこれじゃ巻き込まれて……!?』
『君とてそのひとつだろうが!!』
『それでも!』
『守りたい世界があるんだっ!!!』
「…キラくんが勝った、でもこれじゃ巻き込まれて……!?』
クルーゼを討った直後、あわやザフト軍の大量殺戮兵器ジェネシスの直撃に巻き込まれそうになるも寸でキラは助かった。
だが機体の損傷は激しく…しかもパイロットスーツとはいえキラは宇宙に投げ出され漂流状態となっていた。
だが機体の損傷は激しく…しかもパイロットスーツとはいえキラは宇宙に投げ出され漂流状態となっていた。
『…僕たちは……どうして、こんなところまできてしまったんだろう……僕たちの…世界は……』
「……きら、くんっ……!」
(戦争を止めることはできた、でも…キラくんは……キラくんの心は……っ)
「……きら、くんっ……!」
(戦争を止めることはできた、でも…キラくんは……キラくんの心は……っ)
涙を浮かべうわ言のように呟くキラが、探しに来たアスランとカガリに見つけられる様を…ミカは泣きながら視ていた。
守れたはずのフレイを目前で喪い、彼の心は限界を迎えてしまってるのだと察してしまっているが故に。
守れたはずのフレイを目前で喪い、彼の心は限界を迎えてしまってるのだと察してしまっているが故に。
……気づいたら場面は、知らないストライクガンダムのテストをするキラくんに変わっていた。
…あなたは……どんな気持ちで、その機体を使ってるの?だってその装備は……フレイちゃんの命を、キラくんの目の前で奪ったあのガンダム(プロヴィデンス)の武器を参考にしてる、みたいなのに……。
…あなたは……どんな気持ちで、その機体を使ってるの?だってその装備は……フレイちゃんの命を、キラくんの目の前で奪ったあのガンダム(プロヴィデンス)の武器を参考にしてる、みたいなのに……。
そうは思っても、時は止まってはくれない。また場面は移り変わって、よくないことをしようとしてる人達を止めるため…その機体をキラくんが使って、殺さないように戦っている所で。その人達を追いかけて、戦うキラくんを視てて……胸の奥が痛くなった。悲しくて仕方がない…って言うのかな…。
……あんなつらい目に遭ってなのに…まだ戦わなきゃいけないなんて……!
……あんなつらい目に遭ってなのに…まだ戦わなきゃいけないなんて……!
…そんなことを考えてる間も、彼の記憶は進んでいく。
事件の黒幕の、シヴァって女の人と直接対峙して…勝つことは出来たけど。でも…自分を殺すかここで死ぬかの2択を迫られて……悲痛な叫びをあげながら殺すことしかできなかった。
旦那さんと子供を理不尽に奪われたって言ってた辺り…きっと、自分じゃもう止まれなくなってたのかもしれない。
…だからって、もしそうだとしても…よりにもよって壊れかけてる状態なキラくんに…自殺の手伝いをさせたことは、許せそうにないや。
事件の黒幕の、シヴァって女の人と直接対峙して…勝つことは出来たけど。でも…自分を殺すかここで死ぬかの2択を迫られて……悲痛な叫びをあげながら殺すことしかできなかった。
旦那さんと子供を理不尽に奪われたって言ってた辺り…きっと、自分じゃもう止まれなくなってたのかもしれない。
…だからって、もしそうだとしても…よりにもよって壊れかけてる状態なキラくんに…自殺の手伝いをさせたことは、許せそうにないや。
『僕は……っ、また…救えなかった……っ!!』
コックピットの中でひとり泣いて、ラクスちゃんに慰められてたキラくんの姿を視て…余計にそう思う。
…そして、あの時キラくんが篝ちゃんと一緒に私を止めようとしてくれた理由も…わかった。
……お人好しの優しい子だからってのも大いにあるんだろうけど…シヴァって人の件があったら、止めようとするよね。
…そして、あの時キラくんが篝ちゃんと一緒に私を止めようとしてくれた理由も…わかった。
……お人好しの優しい子だからってのも大いにあるんだろうけど…シヴァって人の件があったら、止めようとするよね。
…なんて考えてたら、背景が変わった。
『そうでない者たちも居るが、一応はじめまして。
私の名前は羂索。
私と同じ世界の出身者、或いは呪術を知る者には呪胎九相図を造り出した加茂憲倫と同一人物だと言えば伝わるかな?』
私の名前は羂索。
私と同じ世界の出身者、或いは呪術を知る者には呪胎九相図を造り出した加茂憲倫と同一人物だと言えば伝わるかな?』
……知っている声が聞こえて、知っている相手が立っていた。…ここからは、殺し合いに巻き込まれてからの記憶みたい。
……最初見た時はアビドスの人としか思わなかったけど……死体のまま操られてる可奈美ちゃんの有様やキラくんの記憶の中のメンデルの惨状を視た後だと……嫌だなあって、嫌悪感が湧き出て来た。
……最初見た時はアビドスの人としか思わなかったけど……死体のまま操られてる可奈美ちゃんの有様やキラくんの記憶の中のメンデルの惨状を視た後だと……嫌だなあって、嫌悪感が湧き出て来た。
……それに、辛い思いばっかりしてるキラくんをこの殺し合いに巻き込んだ事への怒りも。仮面の人…クルーゼ辺りが入れたとかだろうけど……今キラくんがああなってるのは、あの人にとって想定通りなのか、喜ばしいことなのか…考えてもわからない。
…けれど所詮記憶で過去、今まで通り私の気持ちになんて何の配慮もしてくれないまま進んでいって……見せしめとして2人が殺され、殺し合いが始まる。
…けれど所詮記憶で過去、今まで通り私の気持ちになんて何の配慮もしてくれないまま進んでいって……見せしめとして2人が殺され、殺し合いが始まる。
『…クソっ、僕は…僕はまた、っ…!!』
血が出ちゃいそうなくらい拳を握りしめ、悔やんでたキラくんの前に……それは現れていきなり殴りかかった。
『キラァァァァッ!!!!馬鹿野郎!!!!』
…あー、これがキラくんや篝ちゃんが言ってた本物じゃない、ビーム…じゃなかった、ミームの方のアスラン・ザラなんだ。
本物よりちょっと大人っぽくて…めちゃくちゃうるさくてまるで壊れたスピーカーみたいじゃん☆
…なんて思ってる場合じゃない、キラくんがサンドバッグにされてるのに…!!と思った次の瞬間、割って入ったのは……
本物よりちょっと大人っぽくて…めちゃくちゃうるさくてまるで壊れたスピーカーみたいじゃん☆
…なんて思ってる場合じゃない、キラくんがサンドバッグにされてるのに…!!と思った次の瞬間、割って入ったのは……
『止まって!…どうして貴方が、彼を殴ってたかは私には分からないけど…だからといって見過ごせません!このままじゃ彼は…!』
もう会えない彼女。私のせいで死なせちゃった刀使の女の子…篝ちゃんだった。
キラくんを下がらせた篝ちゃんは、最初は生身で、途中からガンダムになったミームのアスランと戦う……無抵抗で万全とは言い難いけれど、「やめてよね」出来るキラくんを生身でボッコボコにして、御刀持ってる篝ちゃんに凄まじいって言わせるくらい動けるんだ。
…ミームの方がこれだけなら、本物の方もこれくらい動けるのかな?なんて思うけど…目は離せずにいた。
…ミームの方がこれだけなら、本物の方もこれくらい動けるのかな?なんて思うけど…目は離せずにいた。
『一度ネットの海に拡散されたミームは消えない!!!!!俺が消えるには、存在其の物の消滅というこの望みを…叶えるしかない…!!!!公式にすらおもちゃにされる気持ちが分かるか!?!?!もうおもちゃにされるのはウンザリなんだ!!!!!俺は!!!!』
終始うるさくって仕方ないミームのアスランだったけど、その叫びにはどこか…キラくん達と別れてから戦って…エターナル相手に一緒に戦う事にもなった黒い仮面ライダーみたいな悲壮さがあった気がして。
…まああの人からしたら、同じにされたくないかもしれないけどさ☆
…まああの人からしたら、同じにされたくないかもしれないけどさ☆
レジェンド?ガンダムってのになってから、一時は追い詰めるけど…やがて篝ちゃんはフレイちゃんを殺した奴に似た武器のせいで追い詰められて。けどここで……キラくんは立ち上がってみせた。
…そうだよね。傷つきやすくて、でもそれ以上にとっても優しいから…何もできないのは嫌なんだよね…キラくんは。だから……【立ち上がれちゃった】んだって…今ならわかる。
…そうだよね。傷つきやすくて、でもそれ以上にとっても優しいから…何もできないのは嫌なんだよね…キラくんは。だから……【立ち上がれちゃった】んだって…今ならわかる。
『五月蝿い!!!!優勝は望みの為必須だが!!!お前達をここで討つ以上に、まずやらなくては行けない事があったのを思い出したんだ!!!!俺は!!!!』
「うるさいのはあなたの方だって…ほら、篝ちゃんも目がそう言ってるよ」
「うるさいのはあなたの方だって…ほら、篝ちゃんも目がそう言ってるよ」
届かなくてもそう言いたくなるくらい、喧しいミームはどこかへ逃げ去っていっちゃった。
そのまま2人は話しはじめて……へぇー、最初は「柊さん」 呼びで、篝ちゃんは出会った時に聞いてたんだね。
そのまま2人は話しはじめて……へぇー、最初は「柊さん」 呼びで、篝ちゃんは出会った時に聞いてたんだね。
『…それと、泣きたい時は、堪えないで泣いていいんですよ。
私は仮初の存在ですが、それでも…受け止めてあげるくらいなら、出来ますから』
『…──…ありがとう、ございます。でも…僕はまだ、大丈夫ですから…』
私は仮初の存在ですが、それでも…受け止めてあげるくらいなら、出来ますから』
『…──…ありがとう、ございます。でも…僕はまだ、大丈夫ですから…』
ハッとした顔を浮かべたキラくんが見える。……私があの時、2人の手を取ってれば……!
「本当嫌になるよ、やることなすことぜーんぶ裏目に出てばっかりでさ……」
放送が終わった後、2人は名簿を元に情報交換をし始める。
最もこれらについては情報交換時に2人から聞いている為、ミカからすれば目新しい情報は無く。
最もこれらについては情報交換時に2人から聞いている為、ミカからすれば目新しい情報は無く。
「……すごく目を逸らしたくなるんだけどー…」
そこからのかつての自らの襲撃、乱入者からの共闘に情報交換と既知の展開を視続けて…自らと別れた後まで場面は移る。
『でもミカが言ってた程、僕は立派な人間じゃない。犠牲の果てに生まれた上に、人間と言えるかすら怪しいし……』
「…人間だよ、ナチュラルとかコーディネイターとか、犠牲の果てに生まれたとか関係ないっ…キラくんは私なんかよりよっぽど…立派な人間だよっ…!!」
「…人間だよ、ナチュラルとかコーディネイターとか、犠牲の果てに生まれたとか関係ないっ…キラくんは私なんかよりよっぽど…立派な人間だよっ…!!」
自称救世主が言い放った人殺しに救われる権利など云々について気にしていたキラの言葉に、ミカの心は悲しみを抱き…気付くと叫んでしまっていた。
既に情緒が不安定極まった状態な彼女だが、そこからの篝の吐露……戦った際彼女が言っていた人殺しの経験についてを聞き更に心を揺さぶられる。
既に情緒が不安定極まった状態な彼女だが、そこからの篝の吐露……戦った際彼女が言っていた人殺しの経験についてを聞き更に心を揺さぶられる。
「…篝ちゃんだって……立派だよ…キラくんも篝ちゃんも…背負わなくていい…のにっ……なんで…!」
他ならぬミカ当人が、キラの氷竜化と篝の死に責任を感じ背負い込んでしまっているにも関わらず、言わざるを得なかった。
そんな中2人は怪物と戦い勝利するもギギストの介入を受け危うい状況に陥る…も、ミカやスザクの乱入にエターナル達の乱入もあってエターナル以外とは共同戦線を張る。
それはそれとして、ギギストに再会したら一発は絶対殴ると決めたミカであった。
それはそれとして、ギギストに再会したら一発は絶対殴ると決めたミカであった。
そして、エターナル達への対応をしていたところでグリオンが現れ……後は既知。彼女の自責の念を改めて強める結果となる。
(……ごめんっ、キラくん……結局…私、バカだから…捨てれ、ないよぉ……)
「……凍ってるって、封じられちゃってる…ってことかな。…なら…呼びかけたりすればもしかしたら…」
「……凍ってるって、封じられちゃってる…ってことかな。…なら…呼びかけたりすればもしかしたら…」
氷竜人格が邪魔になるキラ当人を封印状態にしたのを視て、自分やミームのアスランを止めきれなかった事への後悔もその理由だと知り浮かぶのは……申し訳なさと、それでも錠前サオリへの怒りや恨みを捨てれない事への謝罪と自嘲だった。
それだけでなく、気付きを得た後……次に映るは彷徨う中出くわした虹色の髪の女と戦闘になる様。
それだけでなく、気付きを得た後……次に映るは彷徨う中出くわした虹色の髪の女と戦闘になる様。
「…ゲーミングって感じのおばさんだね☆
…手強そうだなぁ…」
…手強そうだなぁ…」
そう前半はおどけるように、しかし後半部分は真剣そうな声色で呟く中2人…いや2体は激闘を繰り広げた末戦場へと意図せず介入。
周囲の戦況やらを無視して互いに戦う最中、ゲーミング女は氷竜をその場の者に押し付ける。
物量に任せた絨毯爆撃を行いながら暴れた末……
周囲の戦況やらを無視して互いに戦う最中、ゲーミング女は氷竜をその場の者に押し付ける。
物量に任せた絨毯爆撃を行いながら暴れた末……
「っダメ!ダメだよ!キラくん!!」
思わず叫んでしまうが、ここは記憶の中。映し出されるは変えようがない真実。
無慈悲にも氷竜は少女の上半身と下半身を泣き別れにし…挙句生成した氷の竜の首で頭部を壊してしまった。
何の感慨も無く、虚しいと冷たく言い放った上で…屠った少女が身を挺して守った少女もまた、氷竜は殺さんとする。
無慈悲にも氷竜は少女の上半身と下半身を泣き別れにし…挙句生成した氷の竜の首で頭部を壊してしまった。
何の感慨も無く、虚しいと冷たく言い放った上で…屠った少女が身を挺して守った少女もまた、氷竜は殺さんとする。
『…君は、君は一体なんなんだ…クソっ!』
「…ぇ?……きら、くん……准将の、方??」
「…ぇ?……きら、くん……准将の、方??」
その時だった。氷竜をよろめかせMSが舞い降りたのは。
記憶を視てきたのもあり、声や喋り方でミカはそれが誰かに気づく。
記憶を視てきたのもあり、声や喋り方でミカはそれが誰かに気づく。
『…自分同士の争いなんて、虚しいと思わないのか』
『…そうだね。君が本当に過去の僕そのものなら…こんな事はしない。でも…だからこそ、僕の手で君を止める!』
(やっぱり…准将の方でも、キラくんはキラくんだ…)
『…そうだね。君が本当に過去の僕そのものなら…こんな事はしない。でも…だからこそ、僕の手で君を止める!』
(やっぱり…准将の方でも、キラくんはキラくんだ…)
彼の優しさが失われていない事に嬉しくなりつつも、さらなる災害のような介入者によって戦闘が終了したのをミカは見届けた。
…キラくんの記憶を視て、目を背けて、耳も塞いじゃって終わるまでジッとしていたくなったことがなんどもあった。
無自覚な差別意識…みたいなので、キラくんか傷付く度、特別な理由とかも無くゲヘナ嫌いを拗らせてめちゃくちゃをやった私が、益々愚かで滑稽に思えてくる。
でも……改めて、キラくんが優しくて傷つきやすくて、立派な子だってことがわかってよかったって…思ってる私も…たしかにいた。
……私だけが、知ってるってのも…不公平だから、だから助けたらその時は……私も、話さなきゃいけない。
無自覚な差別意識…みたいなので、キラくんか傷付く度、特別な理由とかも無くゲヘナ嫌いを拗らせてめちゃくちゃをやった私が、益々愚かで滑稽に思えてくる。
でも……改めて、キラくんが優しくて傷つきやすくて、立派な子だってことがわかってよかったって…思ってる私も…たしかにいた。
……私だけが、知ってるってのも…不公平だから、だから助けたらその時は……私も、話さなきゃいけない。
それと…こうも思った。──出来るだけ彼には、戦って欲しくないって。
…まあこう言ってもきっとキラくんは戦おうとするし、止めれる気もしないけど…もう十分、彼は苦しんだ筈で…だからこれ以上…苦しんで欲しくなかった。
その為に…これ以上殺させる前に、止めないとね。
…まあこう言ってもきっとキラくんは戦おうとするし、止めれる気もしないけど…もう十分、彼は苦しんだ筈で…だからこれ以上…苦しんで欲しくなかった。
その為に…これ以上殺させる前に、止めないとね。
風景が元に戻る。それは記憶を視る旅が終わり、殺し合いへと引き戻されたということ。
掴んだ手を以て、一度ミカはキラを思いっきり引き寄せ……殴り付けた。
掴んだ手を以て、一度ミカはキラを思いっきり引き寄せ……殴り付けた。
「戻した後どうするかとか、全く浮かんでないけど…でも、今は言えるよ、キラくんを助けるために戦うって!!
…だから、キラくんも……!!」
…だから、キラくんも……!!」
すると氷竜は頭に手を置くような動きをして苦しみだし、周辺を見境無く生成したドラグーンで壊していく。
それに紛れて身隠しの布をまとったのか、猛スピードで何処かへと消えてしまっていた…ように見えて、凍った後が目印となっていた。
それに紛れて身隠しの布をまとったのか、猛スピードで何処かへと消えてしまっていた…ように見えて、凍った後が目印となっていた。
「…こんな時に来るとか、ほんとーに空気読めないよねー…!!」
邪魔をするかのように現れたNPCを、めちゃくちゃな情緒のままに聖園ミカは蹴散らしてから追う。
083:Shout baby | 投下順 | 084:奪い取ってしまった未来はいくつ? |
075:不死鳥のフランメ | 時系列順 | |
055:悲しみが終わる場所とはどこか | 聖園ミカ | |
079:すべて最低だと笑えたら | キラ・ヤマト | |
キラ・ヤマト准将 | ||
054:あんなに一緒だったのに/傷は消えず、仄暗く深き悲しみと共に | 道外流牙 | |
アスラン・ザラ | ||
柳瀬舞衣 | ||
071:空と虚④ ナラティブ | 黒見セリカ | |
079:すべて最低だと笑えたら | 鬼龍院羅暁 | |
067:俺がいる-プロヒーロー 益子薫の負けっぷり- | アスラン・ザラ(ミーム) |