「気が付いたみたいね」
目を覚ましたシャーリーが最初に見たのは、長い黒髪の女学生だった。
介抱してくれた礼を言おうとして視界のクリアさから自分が今仮面をかぶっていないことに気付く。
介抱してくれた礼を言おうとして視界のクリアさから自分が今仮面をかぶっていないことに気付く。
「大丈夫よ。君の秘密を誰かに言いふらしたりはしないわ。
シャーリー・フェネットさん」
シャーリー・フェネットさん」
「え?」
ピタリと言い当てられた本名に思わず固まったシャーリーに堀北は努めて優しくアッシュフォード学園に立ち寄ったのよ、と答える。
「……幻滅したかな?仮面の下が、こんなので」
「多分似たような別人とは言え、恋人相手にあそこまで言ってなお戦おうとする人に幻滅なんてしないわ」
前までの自分だったら、どうだっただろうかな?と思いながら鈴音は剣を取るとサイドテーブルに置かれていたゼロの仮面を渡す。
「行きましょう。
みんな、それぞれ出来ることをやっているはずだから」
みんな、それぞれ出来ることをやっているはずだから」
「……ああ」
ベッドから起き上がるともう口調だけはシャーリーの物でなくなっていた。
マントを羽織り、仮面をかぶる。
少しだけ特別だった少年に恋した少女という個性が救世主という記号に埋没する。
マントを羽織り、仮面をかぶる。
少しだけ特別だった少年に恋した少女という個性が救世主という記号に埋没する。
『行こうか。寝ていた分、働かなくては』
英雄ゼロが部屋を出た。
「そっか。じゃああの時私が戦った紫の鎧は、そのイザークさんって人だったんだね」
「うん。放送で呼ばれてないってことは、今のところはくるみちゃんと一緒で無事なんだと思う」
「南さんも一ノ瀬君や……はるかさんのお友達と一緒なんだよね。
よかった」
よかった」
片目を眼帯で隠した友達のその声が、全く会っていなかった人というより初めてあった人の様に感じて、東ゆうはいささか以上に居心地が悪く感じた。
「……駄目だな、私」
「ゆうちゃん」
「美嘉ちゃんもくるみちゃんも、南さんも他のみんなも頑張ってるのに、なんか私だけあんまり……」
「そんなことないよ」
「え?」
「私、ゆうちゃんが私みたいになってたらこの先頑張る気なくなっちゃってたと思う」
「そう、なの?」
「だからゆうちゃん、無事でいてくれてありがとう」
そう言って美嘉がゆうの手を取った。
同じタイミングで二人が話し終えるだろうタイミングを見計らっていたラクス、そして偶然同じタイミングで入室することになったギギストにドラえもん……そしてゼロと鈴音が集った。
同じタイミングで二人が話し終えるだろうタイミングを見計らっていたラクス、そして偶然同じタイミングで入室することになったギギストにドラえもん……そしてゼロと鈴音が集った。
「あなたが、ゼロさん?」
『ああ。ろくな出迎えも出来ずに申し訳なかった。
だが、もう大丈夫だ。
諸君らの安全は鉄華兵団が保証する』
だが、もう大丈夫だ。
諸君らの安全は鉄華兵団が保証する』
そうゼロが宣言する。
その後ろ姿を共に出てきた堀北鈴音は痛ましいものを見る目で見ていた。
その後ろ姿を共に出てきた堀北鈴音は痛ましいものを見る目で見ていた。
『立ち話もなんだ。全員で集まって話せる場所に移動しよう』
ゼロの号令に一同は会議室まで移動した。
『そうか……総司令官は、そんなことを……』
会議室に集まり、それぞれの報告を聞くなかでやはりゼロの心を傷つけたのは総司令官の暗躍に関いてだ。
ギギストによって明らかになったセルメダルの危険性、密かに用意されていた兵隊になり得る存在。
どんな理由があったにしても他の面々から伝え聞く自分が倒れていた間の総司令官の動きや言動から穏当に許せる段階は過ぎてしまっていると言えた。
ギギストによって明らかになったセルメダルの危険性、密かに用意されていた兵隊になり得る存在。
どんな理由があったにしても他の面々から伝え聞く自分が倒れていた間の総司令官の動きや言動から穏当に許せる段階は過ぎてしまっていると言えた。
「……彼らが戻ってきたら改めて話を聞くべきではあるけども、僕個人の意見を言わせてもらえば総司令官を野放しにはしたくないわ」
鈴音の意見はこの場にいるほぼ全員の代弁といってもよかった。
あまりよくない話が続く中、ギギストが手を上げる。
あまりよくない話が続く中、ギギストが手を上げる。
「我から一つ、今後鉄華兵団として戦力を充実させていくための提案がある」
『提案?それはいったいどういったものだ?』
「この場では少し説明が難しい。
歩いてもらうことになるが、そのひみつ道具のある場所で話そう」
歩いてもらうことになるが、そのひみつ道具のある場所で話そう」
ギギストが席を立つ。
このままでは戦力不足の現状は変わりない。
少しでも事態を好転させられるならばとゼロが立ち上がる。
残る全員もそれに続いた。
このままでは戦力不足の現状は変わりない。
少しでも事態を好転させられるならばとゼロが立ち上がる。
残る全員もそれに続いた。
ギギストに案内されて向かったのは、一目で元は厳重に封印されていたと思しき一室だった。
相当無理矢理開けたらしく、周囲には大破した警備ロボットの残骸と破壊された扉の残骸がそこらに散らばっている。
若干引いてる一同を気にせずどんどん歩みを進めるギギスト。
明確に爆弾の形をした物や刃物の形をした物は分かるが調味料やカメラの形をした物や紙テープのような物まであった。
ギギストはそのどれにも一瞥をくれず、まっすぐに大きな水槽のついた道具の前に立つ。
相当無理矢理開けたらしく、周囲には大破した警備ロボットの残骸と破壊された扉の残骸がそこらに散らばっている。
若干引いてる一同を気にせずどんどん歩みを進めるギギスト。
明確に爆弾の形をした物や刃物の形をした物は分かるが調味料やカメラの形をした物や紙テープのような物まであった。
ギギストはそのどれにも一瞥をくれず、まっすぐに大きな水槽のついた道具の前に立つ。
「これって、ミュータント製造機!?
な、なんでこんなものが……」
な、なんでこんなものが……」
「これそんなにやばいものなの?」
一瞬で白かった部分まで青くなったドラえもんに思わずゆうが尋ねる。
「やばいもなにも!これで生み出されたミュータントたちが勝手に仲間を増やして人類を支配しようとしたりして国連軍が出動する騒ぎになったとんでもない道具だよ!」
「なんで態々作られたのこの道具……」
ゆうのごもっともすぎるツッコミをスルーしてギギストは自身のアイデアを語り続ける。
「これを我の錬金術の補助として使い、レプリケミーと錬金人形を量産し、ルルーシュがNPCモンスターを洗脳し軍隊にしたように我らも兵を得る。
動かす分には問題ないのは実験済みだ」
動かす分には問題ないのは実験済みだ」
そう言ってギギストはレプリミテミラーのケミーカードを掲げて見せる。
「ふざけるな!
この道具がどれだけ危険な物か分かっていってるのか!?」
この道具がどれだけ危険な物か分かっていってるのか!?」
真っ向から怒りを見せるドラえもんに、ラクスも続ける。
「必要から生まれる命と言えば聞こえはいいかもしれませんが、それは命を道具にするやり方……決して肯定されてはいけない禁忌です」
「じゃあ、レプリケミーだけならどうですか?」
「美嘉ちゃん?」
このまま全員反対してくれるだろう。
心のどこかでぼんやり思っていたゆうの期待を砕いたのは、ようやく再開できた友達だった。
心のどこかでぼんやり思っていたゆうの期待を砕いたのは、ようやく再開できた友達だった。
「私の冥黒の魔女なんか特に汎用性が上がるし、乗り物のレプリケミーを足にしてもいい。
使いつぶすわけじゃないなら、どうですか?」
使いつぶすわけじゃないなら、どうですか?」
その言葉に揺れたのはゼロだった。
あのブリタニアですら禁断の技術は改造人間止まりであったのに、それに対抗する黒の騎士団を率いる自分がそれ以上のことをやってしまって正義や倫理があるのと言えるのか?
頭ではそう思うゼロだが、同時にこれから戦うことになる四凶、五道化相手にそんなこと言ってられるのか?という感情も鎌首をもたげている。
このまま議論が極限まで紛糾するかに思われたその時だった。
あのブリタニアですら禁断の技術は改造人間止まりであったのに、それに対抗する黒の騎士団を率いる自分がそれ以上のことをやってしまって正義や倫理があるのと言えるのか?
頭ではそう思うゼロだが、同時にこれから戦うことになる四凶、五道化相手にそんなこと言ってられるのか?という感情も鎌首をもたげている。
このまま議論が極限まで紛糾するかに思われたその時だった。
「うわぁああ!?」
「何今の音!?」
『爆発?地震?いや、敵襲か!』
奴が来た。
奇しくも午後7時45分ジャスト。
そいつはインターフォンを押すような気軽さで成人男性の身の丈10人分はあるだろう大扉を粉々に破壊して、肩で風を切って表れた。
そいつはインターフォンを押すような気軽さで成人男性の身の丈10人分はあるだろう大扉を粉々に破壊して、肩で風を切って表れた。
『ハロハロー!鉄華兵団の諸君!
このメラ様が直々にあいさつに来てやったぜ!』
このメラ様が直々にあいさつに来てやったぜ!』
純白の装甲に無数に生えるように配置された色とりどりのボトルから供給される七色のラインに金のレリーフ。
本来ラブ&ピースの為に地球どころかあらゆる惑星を蝕む脅威を跳ね除ける戦士であるはずのビルドだが、今のビルドジーニアスフォームにそんな高潔さは感じられない。
あるのはどこまでも自身の退屈と欲求を満たすために破壊と殺戮を楽しんで行う星狩にも等しい邪悪……神将ビルドジーニアスフォームである。
本来ラブ&ピースの為に地球どころかあらゆる惑星を蝕む脅威を跳ね除ける戦士であるはずのビルドだが、今のビルドジーニアスフォームにそんな高潔さは感じられない。
あるのはどこまでも自身の退屈と欲求を満たすために破壊と殺戮を楽しんで行う星狩にも等しい邪悪……神将ビルドジーニアスフォームである。
『お、無駄にでっけーワープ装置。
もしかしてこれが運営につながるなんとやらってやつ?』
もしかしてこれが運営につながるなんとやらってやつ?』
自分の独り勝ちを目指すメラとはいえ、運営肝いりで用意されたギミックにはゲーマーとしての好奇心を擽られるのか、初期型どこでもドアを眺めていると、左右の上側の端から白い蒸気が噴き出た。
同時に神将ジーニアスビルドの肉体がドア内に存在する虹色のワープ空間に引き寄せられる。
別に自身のスペックをもってすれば簡単にあらがえる程度の強制力だが、折角いじらしくも用意した対抗手段。
突撃訪問かました側が言うのもなんだが、押しも押されぬ神殺しとして逃げネズミが精いっぱい砥いだ前歯を見るだけ見てやる程度の度量はある。
同時に神将ジーニアスビルドの肉体がドア内に存在する虹色のワープ空間に引き寄せられる。
別に自身のスペックをもってすれば簡単にあらがえる程度の強制力だが、折角いじらしくも用意した対抗手段。
突撃訪問かました側が言うのもなんだが、押しも押されぬ神殺しとして逃げネズミが精いっぱい砥いだ前歯を見るだけ見てやる程度の度量はある。
『そーれっと!』
飛び出たビルドは真っ先に自身を引っ張った力の源、カムカムキャットをパンチ一発で破壊すると、周囲の状況を確認する。
そこにあったカプセルから飛び出したらしい同じ背格好の黒い戦士たち……コピーロボットを使って用意されたレディキズナブラックに人型から動物型、果ては大型まで様々なロボットが待ち構えていた。
そこにあったカプセルから飛び出したらしい同じ背格好の黒い戦士たち……コピーロボットを使って用意されたレディキズナブラックに人型から動物型、果ては大型まで様々なロボットが待ち構えていた。
『ざっと百体か?いいねぇ!
ウォームアップにはちょうどいいじゃん!』
ウォームアップにはちょうどいいじゃん!』
そう言って駆けだそとしたビルドだったが
「飛べ!」
誰かの声と同時に文字通り足元を掬われた。
見ると鳩の顔と羽のついた雨靴のようなひみつ道具、クルクックが紐で結ばれた状態で突っ込んできていた。
同時に数体のレディキズナブラックが突っ込んでくるが、神将ジーニアスビルドは全く焦った様子を見せずにフルボトルが装填された状態のフルボトルバスターを実体化させる。
見ると鳩の顔と羽のついた雨靴のようなひみつ道具、クルクックが紐で結ばれた状態で突っ込んできていた。
同時に数体のレディキズナブラックが突っ込んでくるが、神将ジーニアスビルドは全く焦った様子を見せずにフルボトルが装填された状態のフルボトルバスターを実体化させる。
<タカ!ニンジャ!ユニコーン!キリン!
アルティメットマッチデース!>
アルティメットマッチデース!>
『いーくーぜー!』
<アルティメットマッチブレイク!>
タカフルボトルの能力で飛翔。
次いで放った斬撃でユニコーンの角を模した分身するエネルギーの刀身を生成し、群がってきたロボットたちの頭部を寸分たがわず貫いた。
しかも刺さった瞬間に刀身がキリンの能力で伸びてその背後にいたロボットたちも破壊、またはそれなり以上のダメージを負った。
次いで放った斬撃でユニコーンの角を模した分身するエネルギーの刀身を生成し、群がってきたロボットたちの頭部を寸分たがわず貫いた。
しかも刺さった瞬間に刀身がキリンの能力で伸びてその背後にいたロボットたちも破壊、またはそれなり以上のダメージを負った。
『ん~~、変な姿勢で技使ったから巻き込めた範囲微妙だな。
ま、初球は様子見ってことで……一回表から本気でいっちゃうぜ~~!』
ま、初球は様子見ってことで……一回表から本気でいっちゃうぜ~~!』
フルボトルバスターを担ぎなおした神将が残るロボットたちに向かって走り出した。
「な、なんて奴だ……」
スパイ衛星よりも隠密性能に優れるスパイセットを使って様子を見ていたドラえもんはモニター越しに大暴れする
『オソウジシマス オソウジシマス』
『御掃除されんのはお前だっつーの!』
<消防車!バラ!扇風機!ハサミ!
アルティメットマッチデース!>
アルティメットマッチデース!>
回転と突風を加えられた高圧水流とそれに交じったハサミの両断性を有するバラの花弁が巻き込んだロボットたちを微塵切りににしてスクラップに変えてしまう。
そしてそんな攻撃を放った本人は周囲に派手にまかれた水のおかげで架かった虹の下で決めポーズまでしている余裕っぷりを見せつけてくれる。
そしてそんな攻撃を放った本人は周囲に派手にまかれた水のおかげで架かった虹の下で決めポーズまでしている余裕っぷりを見せつけてくれる。
「これでは大した時間稼ぎにならんな。
もって数分、といったところか」
もって数分、といったところか」
一回目はカムカムキャットの誘いに乗ってくれたが、二回も散会も同じ手に乗ってくれる保証はないし、なんなら最初の一手も通用しているとは言い難い。
<掃除機!ヘリコプター!UFO!マグネット!
アルティメットマッチデース!>
アルティメットマッチデース!>
鬼は外ビーンズやスプレー式ドリーム缶を満載にしたドローンや空気砲を装備したロボット、自爆するようにバッテリーに細工した芝刈り魚などこまごまとした戦力も投入するが、掃除機、UFO、そしてマグネットの力で一か所に集められたところをヘリコのローターを模した刃で粉々に粉砕されて先にやられた者たち同様鉄くずの仲間入りを果たした。
では巨体で押しつぶすならどうだとタイタニックロボが前に出るが
では巨体で押しつぶすならどうだとタイタニックロボが前に出るが
<ゴリラ!ロボット!ピラミット!スパナ!
アルティメットマッチデース!>
アルティメットマッチデース!>
ゴリラの腕力を付与された神将ビルドが振り回すピラミット型のメリケンサックと無数のスパナ型の突起のついた巨大ロボットアーム型のエネルギーを纏ったフルボトルバスターの一撃で左半身を大きく損なう形で壁に激突。
黒い煙と真っ赤な炎を噴き上げて爆発してしまった。
黒い煙と真っ赤な炎を噴き上げて爆発してしまった。
『ホームラーン!へいへいどうした!?
一回なのにもうコールド負けしそうじゃねえの?
もっと頑張れほらどうした!?』
一回なのにもうコールド負けしそうじゃねえの?
もっと頑張れほらどうした!?』
無残にやられていくひみつ道具たちに苦虫をかみしめた顔を作るゆう。
実力不足は痛感していた。
自分ひとりが戦ったところでどうにもならないとは思っていた。
思っていたが
実力不足は痛感していた。
自分ひとりが戦ったところでどうにもならないとは思っていた。
思っていたが
(程度って物があるじゃん……)
こいつと勝負になる奴なんているんだろうか?
あの物理的に光っていた女やルルーシュ、鈴音から話に聞いた蛮野。
強い奴なら幾人か心当たりがあるが(直接出会ってないのを差し引いても)思い当たらない。
あの物理的に光っていた女やルルーシュ、鈴音から話に聞いた蛮野。
強い奴なら幾人か心当たりがあるが(直接出会ってないのを差し引いても)思い当たらない。
(いくらなんでも、ずるくない?)
「来たか」
ゆうがそんな風なことを考えているとギギストがミュータント製造機の試運転で造ったらしいレプリミテミラーを除きながらつぶやいた。
「逃げ支度を整えておけ」
「どちらに行かれるのですか?」
「じゃじゃ馬娘が戻ってきたのでな。
奴と交代で我ら三人で対応する。
これで時間稼ぎすらできなかった場合は、覚悟を決めてもらうほかない」
奴と交代で我ら三人で対応する。
これで時間稼ぎすらできなかった場合は、覚悟を決めてもらうほかない」
そう言ってギギストはその場を後にした。
『ちょいちょいNPCにしちゃ歯ごたえある奴はいたけど、まー意志のないロボットなんてこんなもんか!
さーて、館内はどんなもんか……』
さーて、館内はどんなもんか……』
神将ビルドが足元の歯車を蹴飛ばし、さてどこから探そうかと適当などこでもドアに足を向けようとした。
<月闇!未読!クロス斬り!>
しかしそれを星の聖剣と闇の聖剣による斬撃に阻まれた。
見上げると深紅に染め上げられたKMFに星の煌めきをそのまま装甲にしたような仮面ライダー、そして無数の腕と金色の仮面で構成された明らかに異形の姿の三人がそこにいた。
見上げると深紅に染め上げられたKMFに星の煌めきをそのまま装甲にしたような仮面ライダー、そして無数の腕と金色の仮面で構成された明らかに異形の姿の三人がそこにいた。
『やっとでてきたな!しかし、このメラ様相手に立った三人ぽっちか?ええ?』
「何を言っている?」
ギギストが錬金術でメラが片付けた、というより散らかしたロボットたちのスクラップをかき集め新たにゴーレムを造り直しながら告げた。
「ここからは一回裏だ」
ゴーレム軍団とともに走り出す3人の戦士を前にここからは攻撃の種類にあわせて手数も欲しいと判断し、神将の手にドリルクラッシャーとビートクローザーが生成される。
ゴーレム軍団が残らず斬り倒されるまで5分と掛からなかった。
ゴーレム軍団が残らず斬り倒されるまで5分と掛からなかった。
梔子ユメは別に完璧超人ではない。
底抜けの善性と前向きさを持ち合わせてはいるが、特別優秀でもないし、どちらかと言えば騙されやすい方で、いったい何度後輩の小鳥遊ホシノに命や学校を巻き込んだ詐欺といった危機から助けられたか分かった物ではない。
それでも彼女は現状最後のアビドス高校生徒会長としてふさわしい人物には違いなかった。
どこぞの悪逆皇帝が一番星の片割れに語った言葉を借りるなら、『それでもと明日を望める者』だ。
しかしそれでも、高校三年生の女の子で、銃弾の応酬程度ちょっと乱暴な喧嘩でしかないキヴォトスの住人だ。
人の死は縁遠く、ましてや自分が誰かを手にかけるなどといった事態は想定、想像できているはずがなかった。
底抜けの善性と前向きさを持ち合わせてはいるが、特別優秀でもないし、どちらかと言えば騙されやすい方で、いったい何度後輩の小鳥遊ホシノに命や学校を巻き込んだ詐欺といった危機から助けられたか分かった物ではない。
それでも彼女は現状最後のアビドス高校生徒会長としてふさわしい人物には違いなかった。
どこぞの悪逆皇帝が一番星の片割れに語った言葉を借りるなら、『それでもと明日を望める者』だ。
しかしそれでも、高校三年生の女の子で、銃弾の応酬程度ちょっと乱暴な喧嘩でしかないキヴォトスの住人だ。
人の死は縁遠く、ましてや自分が誰かを手にかけるなどといった事態は想定、想像できているはずがなかった。
(ミカちゃんのお友達のお友達を斬っちゃった……)
何もかもを嘲るようなデスマスクの言葉に感じた身を焦がす程の強い怒り。
それが落ち着けば後悔と、自分が一つの命を摘み取ったという感覚が遅れて蝕むようにやって来る。
動けるようになるまでの約30分間ユメの心は仄暗い場所にあった。
それが落ち着けば後悔と、自分が一つの命を摘み取ったという感覚が遅れて蝕むようにやって来る。
動けるようになるまでの約30分間ユメの心は仄暗い場所にあった。
「ユメちゃん、動けそうかい?」
「はい。戦える程ではないですけど」
「もしNPCモンスターや交渉の余地のないプレイヤーと遭遇してしまった場合は私が前に出よう。
幸か不幸か私は全くと言っていいほど消耗していないからね」
幸か不幸か私は全くと言っていいほど消耗していないからね」
マクギリス・ファリドと名乗った軍人と共に2人は適当なG-4の民家にあった自動車に乗るとひみつ道具博物館を目指して出発した。
「傷になっちゃったりはしてる?」
「多少擦り傷切り傷はありますけど、直接酷いことにはなってないんで、休めば大丈夫だと思います」
(俺でもかなりきついってぐらいには消耗してるけど、ユメちゃんは実際にもう動けている……キヴォトス人の頑丈さの御蔭ってわけか。
問題は、心か)
問題は、心か)
自分でさえ、いまだに呑み込めていないのだ。
つい最近まで治安最悪の街でとはいえ普通の高校生として過ごしていたユメにとって命を奪ってしまったことは筆舌に尽くしがたい重さで心に伸し掛かっているはずだ。
つい最近まで治安最悪の街でとはいえ普通の高校生として過ごしていたユメにとって命を奪ってしまったことは筆舌に尽くしがたい重さで心に伸し掛かっているはずだ。
「……味方を殺してしまったのは俺も初めてだ」
「っ!」
「……」
バックミラー越しにマクギリスが後部座席の二人を見る。
(この移動中に少しでも心身を休めてくれるといいのだがな)
ソウジは真顔で、暗い感じや陰りは見えない。
対してユメは一目で落ち込んでいるとわかる。
対してユメは一目で落ち込んでいるとわかる。
(運営が死んだ者の名前の横に下手人が表示される機能を追加したのは仇討ちやこういった事故に近い殺害の下手人を心理的に追い込んでプレイヤーが減るペースを確保するのが目的か)
「冷たい風に聞こえるかもしれないけど、今の俺には罪を数えて後ろ向きになってる時間がない。
でも、ユメちゃんは良くも悪くもこのことを考える時間があると思う」
でも、ユメちゃんは良くも悪くもこのことを考える時間があると思う」
「ソウジさん?」
ソウジの言い方にユメが違和感を覚えるが、ソウジはそれより早く告げた。
「他の誰が何と言おうと、あれは君のせいじゃないし君が弱いせいでも、ましてや俺のせいでもない。
その上で、あの感触と最期を忘れられないっていうのなら……」
その上で、あの感触と最期を忘れられないっていうのなら……」
その後に続く言葉にユメは目を丸くし、しばらく呆けていたがすぐにまた考え込む。
そう簡単に頭を切り替えれる物でもなければ、持ち前の善性ゆえに飲み込める物でもないのだろう。
そうこうしている間に車はひみつ道具博物館に辿り着いた。
入り口の方から黒い煙が上がっている。
そう簡単に頭を切り替えれる物でもなければ、持ち前の善性ゆえに飲み込める物でもないのだろう。
そうこうしている間に車はひみつ道具博物館に辿り着いた。
入り口の方から黒い煙が上がっている。
「ギギスト君……」
「何やらひどく消耗している様子だが、非常事態だと理解しろ。
お前は他の者たちと合流して下がれ。侵入者を迎撃する」
お前は他の者たちと合流して下がれ。侵入者を迎撃する」
「なんで皆で戦わないの?」
「此度の一戦、我や立風館ソウジで最低レベルだ」
ユメに語った言葉が全くの嘘でなかったことを文字通り痛感する。
重ね張りにした障壁をすべて破られてふきとばされたギギストは再び空間を錬成陣でつなげて何とか着地する。
見上げると、ジャアクリードで出現させた魔法の絨毯と自前のエナジーウィングで飛翔し、剣戟を繰り出す。
重ね張りにした障壁をすべて破られてふきとばされたギギストは再び空間を錬成陣でつなげて何とか着地する。
見上げると、ジャアクリードで出現させた魔法の絨毯と自前のエナジーウィングで飛翔し、剣戟を繰り出す。
<ヒッパレー!スマッシュヒット!>
<ボルテックブレイク!>
シマウマボトルを装填したドリルクラッシャーからは縞模様のエネルギー斬が、ビートクローザーは白い炎を纏った斬撃が繰り出される。
「ぐっ!」
「うう!」
呂号乙型特斬刀と闇黒剣月闇のダミーが破壊されるも、二人とも歴戦の戦士。
すぐさま体制を整えると残る輻射波動と星の聖剣を繰り出す。
すぐさま体制を整えると残る輻射波動と星の聖剣を繰り出す。
『ほうらほら!もっと頑張れ!』
「言ってくれる!」
「これでまだ本気でないとは恐れ入るよ!」
紅蓮の背部ミサイルポッドから追尾ミサイルが発射される。
当然神将ジーニアスビルドはダイヤモンドフルボトルのパワーを発現して前方からの攻撃を全弾受けきるが、背後に回ったクロスセイバーが斬りかかる。
当然神将ジーニアスビルドはダイヤモンドフルボトルのパワーを発現して前方からの攻撃を全弾受けきるが、背後に回ったクロスセイバーが斬りかかる。
「あまいってぇの!」
<潜水艦!ガトリング!>
ボトルから迸った成分がミサイル発射管と機関砲になり迎撃する。
しかしクロスセイバーもやられるために突っ込んできたわけではない。
しかしクロスセイバーもやられるために突っ込んできたわけではない。
<煙幕幻想撃!>
喰らう瞬間その姿が霧になってほどけ、すべての攻撃が素通りする。
しかも紅蓮のミサイルによる爆風や粉塵に紛れて居場所が分からない。
しかも紅蓮のミサイルによる爆風や粉塵に紛れて居場所が分からない。
『なるほどミサイルは二重の目くらましぃ!?』
煙の向こうから一対のスラッシュハーケンが飛び出す。
両方ともビートクローザーで斬り捨てたが先に飛んできた方にドリルクラッシャーを叩き落とされた。
両方ともビートクローザーで斬り捨てたが先に飛んできた方にドリルクラッシャーを叩き落とされた。
「あいにく三重で四重だよ!」
輻射波動が頭上から叩き込まれる。
起動が読まれるのを避けるために先端が破壊された瞬間にスラッシュハーケンはリールごとパージしていたらしい。
起動が読まれるのを避けるために先端が破壊された瞬間にスラッシュハーケンはリールごとパージしていたらしい。
『考えたじゃん。でも所詮旧人類の発想なんだよ!』
どれだけ肉体を高質化させても輻射波動の性質上防御は不能だ。
完全に上を取られた以上、変身者が生体でないにしてもそれなりのダメージは期待できる。
怯ませさえできればあとは人数差でごり押しも可能だろう。
完全に上を取られた以上、変身者が生体でないにしてもそれなりのダメージは期待できる。
怯ませさえできればあとは人数差でごり押しも可能だろう。
『はい、残念!』
発動より早く神将ジーニアスビルドのオクトパスのような触手が細かい針ほどの細さで右腕部の機構内に入り込み、次いでライトとクワガタのエレメントを発動。
内部を高圧電撃で無茶苦茶に破壊する。
内部を高圧電撃で無茶苦茶に破壊する。
「ちぃっ!」
寸前で紅蓮はもともと有線射出機能がついていることを利用してパージにこそ成功したが、実質的に片腕が使えない状態にされてしまった。
迫る神将。
迫る神将。
<インセクト!ショット!>
「トリニティストレイザー!」
しかし煙に紛れて潜んでいたクロスセイバーがその凶刃を跳ね除けた。
白い悪魔がタカなりフクロウなり空の飛べるパワーを展開するより早く紅蓮のもとに仮面ライダーと怪人が集う。
白い悪魔がタカなりフクロウなり空の飛べるパワーを展開するより早く紅蓮のもとに仮面ライダーと怪人が集う。
「退くぞ!」
「なにを言うギギスト!まだ全員戦える!」
「一番武器のない貴様が言うか!?」
ギギストがゴーレムの残骸を使って目くらましのベールと防壁、そして移動のための錬成陣を作り三人は廃墟同然の有様になってしまったロボット館を後にした。
砂煙が晴れる。
そこには当然のようにほぼ無傷の神将ジーニアスビルドが立っていた。
とはいえ連戦相応に消耗はしているらしく、ゴキゴキと身体を鳴らしながら適当に座れそうな場所を探す。
そこには当然のようにほぼ無傷の神将ジーニアスビルドが立っていた。
とはいえ連戦相応に消耗はしているらしく、ゴキゴキと身体を鳴らしながら適当に座れそうな場所を探す。
『ま、流石は俺たちに出会わないという超幸運があったとは言えここまで生き残ったプレイヤー諸君、ってところかな?
ま、どこぞの皇帝の坊主君ほど期待しちゃいなかったがこれぐらい足掻いてくれないと面白くない』
ま、どこぞの皇帝の坊主君ほど期待しちゃいなかったがこれぐらい足掻いてくれないと面白くない』
そう言って神将ジーニアスビルドは手じかにあったひみつ道具としては壊れている様子だが、座る分には問題なさそうな椅子を起こして座る。
他にチャレンジャーが見ているならそれなりに立派な椅子でも用意したが、小休憩ぐらい別にこれでいいだろう。
他にチャレンジャーが見ているならそれなりに立派な椅子でも用意したが、小休憩ぐらい別にこれでいいだろう。
『さーて、そのチャレンジャー諸君を探そうと思えばこいつらでいくらでも探せるが……』
手にした潜水艦とスマートフォンのフルボトルを少しの間振ったりキャップをいじったりして考える。
分身とはいえ仮面ライダービルドの最高到達点であるジーニアスの力をさらにブーストした神将、しかも人格や思考能力はオリジナルのメラとほぼ同等。
二兎どころか三兎だろうと四兎だろうと追えてしまうし、もっと言えば一撃でこのひみつ道具博物館を粉々にすることも出来る。
だが前者はただの淡々と行う作業ゲーにしかならないし、後者は派手だが視聴者(オーディエンス)なしでやっても意味はない。
それに折角のスーパーアイテムであるジーニアスボトルの力をもっと派手に使いたい。
分身とはいえ仮面ライダービルドの最高到達点であるジーニアスの力をさらにブーストした神将、しかも人格や思考能力はオリジナルのメラとほぼ同等。
二兎どころか三兎だろうと四兎だろうと追えてしまうし、もっと言えば一撃でこのひみつ道具博物館を粉々にすることも出来る。
だが前者はただの淡々と行う作業ゲーにしかならないし、後者は派手だが視聴者(オーディエンス)なしでやっても意味はない。
それに折角のスーパーアイテムであるジーニアスボトルの力をもっと派手に使いたい。
『あ!そうだ!ジオウの俺ができたんだから同じ俺も出来ない道理はねえよな!』
椅子から飛び上がり、ニンジャボトルとコミックボトルの力を発動。
ペン型の切っ先と四コマ漫画そのもの形の刀身を持つ4コマ忍法刀を生成。
印を結んで逆手で振るう。
ペン型の切っ先と四コマ漫画そのもの形の刀身を持つ4コマ忍法刀を生成。
印を結んで逆手で振るう。
<分身の術!>
描いた奇跡がそれぞれ決めポーズをとったビルドの絵に変化。
白い煙を上げて実体化した。
白い煙を上げて実体化した。
『OH!YEAH!俺様たち、参上!ってね!』
『あれ?でも俺たちベルトにボトルが挿さってねえじゃん。
おい俺!ちゃんと描いてくれよ!』
おい俺!ちゃんと描いてくれよ!』
『あー、これってもしかしてあれか?
俺たち単純なNPCモンスターの領域とか特殊支給品のエフェクトを超越したからプレイヤーの能力制限の範疇になっちまったとか?』
俺たち単純なNPCモンスターの領域とか特殊支給品のエフェクトを超越したからプレイヤーの能力制限の範疇になっちまったとか?』
『ま、でも問題ないんじゃない?』
『ああ。せっかくだ。色とりどりに派手にいこうぜ!』
そう言ってジーニアスフォームが分身たちにボトルを投げ渡す。
それぞれ分身たちは一人につき3から5本程のボトルをキャッチした。
それぞれ分身たちは一人につき3から5本程のボトルをキャッチした。
『変身!』
<ファイヤーヘッジホッグ!YEAH!>
『よぉおーし!それじゃあ二回の表と行きますか!』
どのビルドが言ったかなど些細な問題だった。
悪魔の科学の結晶たちが意気揚々と兎狩りへ繰り出したのには変わりないからだ。
悪魔の科学の結晶たちが意気揚々と兎狩りへ繰り出したのには変わりないからだ。
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