#44 南町の怪異
『週刊少年ジャンプ』2026年36号収録
エピソード概要
普通のお便り
| 七不思議メール |
ラジオネーム |
「僕のおばあちゃんは少々の揚げ物なら 手でひっくり返しているのですが これは七不思議ですか?」 |
増えるもずく |
元ネタ解説
- 「岩おこしください」「『またお越しください』でしょ」
- 「岩おこし」は、細かく砕いた米を水飴や砂糖などで固めた、大阪の伝統的な「おこし」の一種。一般的な粟おこしよりも米粒をさらに細かく砕いて作られるため、名前の通り岩を思わせる硬い食感が特徴。伝統的なものには黒砂糖や生姜が使われ、甘さの中に生姜の辛みが感じられるほか、商品によっては煎り胡麻なども加えられている。
- 「おこし」は、蒸して乾燥させた米や粟などを炒り、水飴で固めて作る菓子。大阪では江戸時代中期ごろから広まり、「身をおこす」「家をおこす」「福をおこす」などの言葉にも通じる、縁起のよい菓子として親しまれてきた。岩おこしという名称については、江戸時代の大阪で運河工事を行った際に多くの岩が掘り出されたことから、「大阪の掘り起こし」と硬いおこしを掛けて名付けられたとされている。
- 「好きだと思う 故に興味あり」「それオカルトじゃなくてデカルトだよ」
- フランスの哲学者 ルネ・デカルトが提唱した有名な命題 「我思う、故に我あり」をもじったもの。
- デカルトは、何が本当に確かなのかを突き止めるため、感覚や常識をいったん徹底して疑う「方法的懐疑」を行った。目に映るものは錯覚かもしれず、現実だと思っている世界も夢かもしれない。さらには、自分が何者かに欺かれている可能性さえ考えた。
- しかし、たとえすべてが疑わしいとしても、「今、自分が疑い、考えている」という事実だけは否定できない。そして、考えている主体としての自分が存在することもまた、疑いようがない。そこから導かれたのが「我思う、故に我あり」であり、デカルトはこれを確実な認識の出発点とした。
- ここでいう「思う」は、単に何かを予想したり好んだりするという意味ではなく、疑う・考える・感じるなどの精神活動全般を指している。
- 「ごめんで済んだら検察いらないよ」「裁判になってる...」
- 決まり文句の「ごめんで済んだら警察はいらない」をもじったもの。「ごめんで済んだら警察はいらない」とは、何か悪いことをした相手に対して、「謝るだけですべて許されるわけではない」と責める際に使われる言い回し。本当に警察へ通報するという意味ではなく、相手の謝罪を簡単には受け入れられないことを、大げさに表現したもの。子供同士の喧嘩など、実際には警察が関わらないような場面でも使われることがある。
- 警察は、事件や事故が起きた際に現場へ駆け付け、関係者への聞き取りや証拠の収集、容疑者の逮捕などを行う機関。犯罪の疑いがある事件について捜査し、その結果を検察へ送る役割を担っている。そのため、元の決まり文句における「警察」は、「謝罪だけでは済まず、事件として扱われる」という大ごと感を表している。
- 一方で、検察は警察から送られた事件について改めて捜査を行い、被疑者を裁判にかけるかどうかを判断する機関。十分な証拠があり、処罰を求める必要があると判断した場合は起訴し、裁判では検察官が犯罪事実を立証して刑罰を求める。
- したがって、「警察」ではなく「検察」を持ち出すと、すでに警察の捜査を経て、起訴や裁判が視野に入る段階まで話が進んでいるように聞こえる。
- 「あれ? 声が ふるえて 聞こえるよ」「いっこく堂みたいに言わないで」
- 腹話術師・いっこく堂の有名なネタ「あれ? 声が遅れて聞こえてくるよ」をもじったもの。
- いっこく堂は、口元をほとんど動かさずに声を出し、人形が実際に話しているように見せる腹話術で知られる。なかでも「声が遅れて聞こえてくるよ」は、本人の口の動きと声が出るタイミングを意図的にずらし、映像と音声がずれているかのように見せる芸である。通常、発声と口の動きは同時になるが、いっこく堂は先に口だけを動かし、その少し後から声を出すことで、声だけが遅れて届いたような不思議な感覚を生み出している。
- 「逃げたら首リュックね」「知らない罰ゲーム怖すぎるって...」
- 「首リュック」は、少なくとも一般的な慣用句や定番の罰ゲームではなく、くらげがその場で作った名称。具体的な方法は作中で説明されていないが、文字どおりに受け取れば、リュックを肩ではなく首に掛けさせる、あるいは背負っているリュックを後ろから引っ張り、肩紐を首元へ食い込ませるような罰なのかもしれない。どちらにしても、名前を聞いただけで首への負担が想像される物騒な罰ゲームである。
- 「走ったらお腹すいちゃった 人間食べようかな」「怪異すぎるって...」
- 「怪異」とは、常識や科学では説明しにくい、不気味で不可思議な現象や存在を指す言葉。幽霊や妖怪、都市伝説上の化け物なども、広い意味では怪異として扱われる。
- また、本話ではくらげの過去の何げない行動が誤解され、「一口女」や「セミ女」といった都市伝説に変化していたことが判明。くらげ本人には人を怖がらせる意図などなかったが、南町では「怪異」として存在を噂されていた。
- 皿屋敷
- 全国各地に伝わる「七不思議」について記事を書いているオカルトライター。名前の「皿屋敷」は、女性・お菊と皿をめぐる日本の怪談「皿屋敷」に由来すると思われる。
- 皿屋敷伝説には複数の型が存在するが、一般には、家宝である皿を紛失・破損した責任を負わされたお菊が命を落とし、死後、井戸などから「一枚、二枚…」と皿を数える声を響かせる物語として知られている。皿は十枚一組とされることが多く、九枚まで数えたところで一枚足りないことに気付き、悲しげな声を上げる場面が怪談を象徴するものとなっている。
- 代表的なものには、姫路を舞台とする「播州皿屋敷」がある。姫路に伝わる筋では、お菊は城の乗っ取り計画を探るため青山家へ入り、陰謀を知らせていたが、正体を知った町坪弾四郎から求婚される。これを拒んだことで恨みを買い、家宝の皿十枚のうち一枚を隠され、紛失の責任を負わされた末に殺害されて井戸へ投げ込まれた。その後、井戸から皿を数える声が聞こえるようになったとされる。
メール解説
- 「僕のおばあちゃんは少々の揚げ物なら 手でひっくり返しているのですが これは七不思議ですか?」
- 一見すると人間離れした行動だが、科学的に考えてみると、長年の料理や家事によって指先の角質が局所的に厚くなっていることや、加齢によって熱さを感じ取る感覚がやや鈍くなっていることが関係している可能性がある。
- ただし、年齢を重ねるほど皮膚全体が厚くなるわけではない。加齢によって表皮や真皮はむしろ薄くなる傾向にある一方、指先のように日常的な刺激を受ける部分では、皮膚を守るために角質が厚くなる場合がある。長年台所に立ち続けた結果、指先だけが妙に仕上がっているのかもしれない。
- また、高齢になると温度や痛みに対する感覚が低下し、熱さに気付くまでが遅くなることもある。ただし、熱さを感じにくいことと、火傷しないことは別である。本人が平然と揚げ物を返していても、安全性まで保証されているわけではない。
キャッチコピー&アオリ文
扉絵ページ
絶世のラジオリスナー・ミズオパトラ!
冒頭ページ
ᯤ和装メイドでアルバイト!
最終ページ
ᯤ不吉の44話...
最終ページ
次号は明るく楽しい回!大人気センターカラー!!
作者コメント
こち亀50周年おめでとうございます!そして
単行本への推薦帯いただき光栄です...!
最終更新:2026年08月09日 23:28