破壊の時
二人の少女が居た。
一人は紫色の柔らかな髪を二つに結んだ、怯えた目の少女。
もう一人は光度の低い金髪を長く伸ばした、冷たい目の少女。
二人は暗闇の中で出会い、顔を見合わせていた。
すぐ近くに森林が連なっている。少し離れれば橋もある。海も近い。
少女達はお互い止まったまま、虚ろに視線を彷徨わせた。
一人は紫色の柔らかな髪を二つに結んだ、怯えた目の少女。
もう一人は光度の低い金髪を長く伸ばした、冷たい目の少女。
二人は暗闇の中で出会い、顔を見合わせていた。
すぐ近くに森林が連なっている。少し離れれば橋もある。海も近い。
少女達はお互い止まったまま、虚ろに視線を彷徨わせた。
「ねぇ、どうしたの、あなた」
金髪の少女、シャーリィ・フェンネスが口を開いた。
紫髪の少女、メルディは身を縮めると、おずおずとした調子で答える。
「メルディ・・・死にたくないよ・・・怖い・・・」
「そう、怖いのね・・・」
金髪の少女、シャーリィ・フェンネスが口を開いた。
紫髪の少女、メルディは身を縮めると、おずおずとした調子で答える。
「メルディ・・・死にたくないよ・・・怖い・・・」
「そう、怖いのね・・・」
シャーリィが一歩前に進む。メルディは一層怯え、後ずさった。
「やだよ・・・来ないで」
メルディの精神は乱れていた。
先程の、覆面の男の急襲により、彼女が恐れる『死』はより現実的なものとして彼女に突きつけられてた。
そんな少女の様子に、シャーリィは口元を緩ませ──しかし目は冷酷なまま──更に歩み寄った。
「怖がらないで、みんながたくさん死んで怖いんでしょうけど、逃げちゃ駄目なの。
ちゃんと気持ちを落ち着かせて、しっかりと行動しなくちゃ。ね?」
シャーリィの言葉は年長者が年下の子供をあやすような、暖かな含みがあった。
その言葉に、微かにメルディは張り詰めた気持ちが緩んだ様に、震える手を止めた。
「怖く・・・無い?」
不思議な発音で喋る少女。
「私は怖くないの。お兄ちゃんに会えるから」
「お兄ちゃん・・・?」
「あなたにも、居るでしょう?どんなことがあっても会いたい、大切な人が」
「大切な、人・・・」
「やだよ・・・来ないで」
メルディの精神は乱れていた。
先程の、覆面の男の急襲により、彼女が恐れる『死』はより現実的なものとして彼女に突きつけられてた。
そんな少女の様子に、シャーリィは口元を緩ませ──しかし目は冷酷なまま──更に歩み寄った。
「怖がらないで、みんながたくさん死んで怖いんでしょうけど、逃げちゃ駄目なの。
ちゃんと気持ちを落ち着かせて、しっかりと行動しなくちゃ。ね?」
シャーリィの言葉は年長者が年下の子供をあやすような、暖かな含みがあった。
その言葉に、微かにメルディは張り詰めた気持ちが緩んだ様に、震える手を止めた。
「怖く・・・無い?」
不思議な発音で喋る少女。
「私は怖くないの。お兄ちゃんに会えるから」
「お兄ちゃん・・・?」
「あなたにも、居るでしょう?どんなことがあっても会いたい、大切な人が」
「大切な、人・・・」
メルディはその時、たくさんの人物を思い浮かべた。共に旅をした仲間達、父と母、ヒアデス、ガレノス、故郷の人々・・・
彼らの姿を思い浮かべて、少し気分が楽になった気がした。
そうだ、また、会いたい。その思いが少女に起こった。
この島には、怖い人もたくさん居るけど、確かに少女の仲間もまた、居るはずだった。
彼らの姿を思い浮かべて、少し気分が楽になった気がした。
そうだ、また、会いたい。その思いが少女に起こった。
この島には、怖い人もたくさん居るけど、確かに少女の仲間もまた、居るはずだった。
「会いたい・・・メルディ、みんなに会いたいよ・・・」
「そう・・・私も、お兄ちゃんに早く会いたいの」
シャーリィはまた一歩少女に歩み寄った。
しかし少女はさっきの様に怯えはしなかった。黙ってそこに立っている。
「そう・・・私も、お兄ちゃんに早く会いたいの」
シャーリィはまた一歩少女に歩み寄った。
しかし少女はさっきの様に怯えはしなかった。黙ってそこに立っている。
二人の距離は二メートルほど離れていた。シャーリィもそこで立ち止まり、静かに口を開く。
「私はお兄ちゃんに、何があっても会いたい。だから、ね」
シャーリィはそこで言葉を一旦切り、目前の少女を黙って見つめた。そして、
「あなた、悪いけど、死んで」
そう言い放ち、手にしたマシンガンを少女に向け、引き金を引いた。
メルディは一瞬、何を言われたのか、何が起こったのか理解できなかった。
しかし自身の体に突如激痛が走ったことが、彼女を一気に恐慌させた。
「っ!痛っ!!」
銃弾によって撃ち貫かれた左腕をかばいながら、困惑の表情をシャーリィに向けた。
しかしシャーリィは冷酷な表情のまま、躊躇うこと無しに銃を乱射した。
ぱらららら、という甲高い音が響く。
その黒い金属の筒は少女が扱うにはやや重過ぎるのか、狙いはあまりよくなかった。
だがそれでも連続的に撃ち出された弾丸は、メルディの右足首をかすめ、左肩を貫通した。
「嫌だ、やめて!」
涙交じりに、叫ぶ。しかしシャーリィは全く動じなかった。
メルディは森の中へ駆け出した。
その背中目掛けてシャーリィは銃を乱射する。
今度は当たらなかった。その隙にメルディは木々の中に隠れた。
「私はお兄ちゃんに、何があっても会いたい。だから、ね」
シャーリィはそこで言葉を一旦切り、目前の少女を黙って見つめた。そして、
「あなた、悪いけど、死んで」
そう言い放ち、手にしたマシンガンを少女に向け、引き金を引いた。
メルディは一瞬、何を言われたのか、何が起こったのか理解できなかった。
しかし自身の体に突如激痛が走ったことが、彼女を一気に恐慌させた。
「っ!痛っ!!」
銃弾によって撃ち貫かれた左腕をかばいながら、困惑の表情をシャーリィに向けた。
しかしシャーリィは冷酷な表情のまま、躊躇うこと無しに銃を乱射した。
ぱらららら、という甲高い音が響く。
その黒い金属の筒は少女が扱うにはやや重過ぎるのか、狙いはあまりよくなかった。
だがそれでも連続的に撃ち出された弾丸は、メルディの右足首をかすめ、左肩を貫通した。
「嫌だ、やめて!」
涙交じりに、叫ぶ。しかしシャーリィは全く動じなかった。
メルディは森の中へ駆け出した。
その背中目掛けてシャーリィは銃を乱射する。
今度は当たらなかった。その隙にメルディは木々の中に隠れた。
「はあっ、はあっ・・・」
メルディは一本の大きな気の裏側に隠れた。丁度シャーリィに背を向ける格好である。
「う、うう・・・」
目に涙を浮かべ、しゃがみこむ。所々傷ついた箇所が、強く痛んだ。
だがしばらくすると、再びぱららら、という音が聞こえた。
そして同時に、メルディが隠れた木の裏側でバキバキと樹木の砕ける音がした。
「・・・嫌、怖い・・・!!」
メルディはしゃがみこんだ体勢のまま、頭を抱えて縮こまった。
やがて音は止み、辺りは急に静かになった。
少女はゆっくりと顔を上げ、後ろを向く。
あの人は、どこかへ行ってしまった・・・?
そう思った次の瞬間、突然地面が揺れだした。
地震?
そうでは無かった。
草花が微かに生い茂る地面は、一斉にその姿を変え、鋭い岩盤となって隆起し始めた。
大地が走り、少女を激しく打ちつけた。
少女は全身を高速で飛び出してくる土の塊にぶつけながら、やがて派手に吹き飛ばされた。
メルディは一本の大きな気の裏側に隠れた。丁度シャーリィに背を向ける格好である。
「う、うう・・・」
目に涙を浮かべ、しゃがみこむ。所々傷ついた箇所が、強く痛んだ。
だがしばらくすると、再びぱららら、という音が聞こえた。
そして同時に、メルディが隠れた木の裏側でバキバキと樹木の砕ける音がした。
「・・・嫌、怖い・・・!!」
メルディはしゃがみこんだ体勢のまま、頭を抱えて縮こまった。
やがて音は止み、辺りは急に静かになった。
少女はゆっくりと顔を上げ、後ろを向く。
あの人は、どこかへ行ってしまった・・・?
そう思った次の瞬間、突然地面が揺れだした。
地震?
そうでは無かった。
草花が微かに生い茂る地面は、一斉にその姿を変え、鋭い岩盤となって隆起し始めた。
大地が走り、少女を激しく打ちつけた。
少女は全身を高速で飛び出してくる土の塊にぶつけながら、やがて派手に吹き飛ばされた。
メルディは地面に伏しながら、シャーリィがウージーサブマシンガンを片手に、ゆっくりと歩み寄るのを見た。
・・・死にたくない
──ならば我が力を貸そうか?
金髪の少女が近付いてくる。
・・・死にたくない
──ならば我が力を貸そうか?
金髪の少女が近付いてくる。
・・・みんなに会いたいよ
─―ならば戦い、殺せ。
少女はまだ自分に息があることを確認した。
─―ならば戦い、殺せ。
少女はまだ自分に息があることを確認した。
・・・怖い、嫌だ、痛い
──誰にも負けない力をやろう
少女はゆっくりと、銃口をこちらに向けた。
──誰にも負けない力をやろう
少女はゆっくりと、銃口をこちらに向けた。
・・・シニタクナイ
──ナラバワガチカラヲツカエ
──ナラバワガチカラヲツカエ
「あああああああああああ!!!」
メルディの体が突如光り出した。
黒い光、それは彼女の体を包み、やがて闇を生み出した。
その時、凄まじい裂帛の力が起こりシャーリィを弾き飛ばした。
そして、メルディはゆらりと立ち上がった。
その体からは、黒く禍々しい魔力が霧の様に立ち昇っていた。
シャーリィは不意を受け、やや戸惑いがちな表情な浮かべたが、すぐにウージーを構え直すと、メルディへと発砲した。
メルディ、或いは別の誰かは、右手を前に出して黒い魔力の渦を具現化した。
吐き出された銃弾は、吸い込まれる様にそこに入っていき、跡形も無く消失した。
「ブラッディハウリング!」
その声は確かにメルディから発せられたものの筈だった。
しかしその響きは、二人分に聞こえた。少女の声と、もう一人、誰かの。
先程銃弾を吸い込んだそれは、宙から飛来してシャーリィに襲い掛かった。
そして周りの木々、草花ごと消し飛ばした。
「くっ!」
シャーリィは咄嗟に防御技を発動させていた。
半透明の緑色の球体が彼女を包み、襲い掛かる術の威力を軽減した。
しかしそれでも、彼女が負ったダメージは軽くはなかった。
メルディの体が突如光り出した。
黒い光、それは彼女の体を包み、やがて闇を生み出した。
その時、凄まじい裂帛の力が起こりシャーリィを弾き飛ばした。
そして、メルディはゆらりと立ち上がった。
その体からは、黒く禍々しい魔力が霧の様に立ち昇っていた。
シャーリィは不意を受け、やや戸惑いがちな表情な浮かべたが、すぐにウージーを構え直すと、メルディへと発砲した。
メルディ、或いは別の誰かは、右手を前に出して黒い魔力の渦を具現化した。
吐き出された銃弾は、吸い込まれる様にそこに入っていき、跡形も無く消失した。
「ブラッディハウリング!」
その声は確かにメルディから発せられたものの筈だった。
しかしその響きは、二人分に聞こえた。少女の声と、もう一人、誰かの。
先程銃弾を吸い込んだそれは、宙から飛来してシャーリィに襲い掛かった。
そして周りの木々、草花ごと消し飛ばした。
「くっ!」
シャーリィは咄嗟に防御技を発動させていた。
半透明の緑色の球体が彼女を包み、襲い掛かる術の威力を軽減した。
しかしそれでも、彼女が負ったダメージは軽くはなかった。
何が起こったのか。まるで違う少女の様子にシャーリィは幾分か戸惑いを覚える。
だが彼女の心を支配したのはもっと別の感情だった。
「何よ、あんた・・・」
再度術を放とうとするメルディに、小さく言葉を切る。
「何で私がお兄ちゃんに会うのを邪魔するのよっ!!!」
だが彼女の心を支配したのはもっと別の感情だった。
「何よ、あんた・・・」
再度術を放とうとするメルディに、小さく言葉を切る。
「何で私がお兄ちゃんに会うのを邪魔するのよっ!!!」
そう叫び、ウージーを収めて、両手を動かし術を唱える。
そうして二人はほぼ同時に、全く同じ言葉を叫んだ。
「インティグネイション!!」
漆黒の天より雷が生まれ、お互いの位置へ二発同時に落ちた。
先程南西より起こった爆発音より更に凄まじい轟音。
雷が走り、木々は倒れ、砕かれた土塊が舞い上がった。
シャーリィは自身に降りかかった木々の屑を押しのけ、静かに立ち上がった。
周囲を見回す。既にこのエリアの森林の三分の一は消滅したと思われる、壮絶な光景。
だがそこに目当ての少女の姿は無かった。
逃げられた?そう自問し周囲の瓦礫を探る。
しかしやがて彼女はその行為があまり意味の無いものだと気付いた。
逃げていようが力尽きていようが、どちらにせよいずれは皆死んでしまうのだ。
自分が生き残り、兄と再会できればそれでいい。
あの少女の一人ぐらい、どうということは無かった。
・・・もしかしたらお兄ちゃんはあっちの方に居るかもしれない・・・
自身に回復爪術をかけた後、彼女は橋の向こうを見つめた。そして歩き出す。
既に彼女の中で、兄のセネルは生きているのか死んでいるのか不明瞭になっていた。
しかし、それでも彼女は歩き続けるしかなかった。
止まってしまえば、耐えられない悲しみに身を潰されてしまうから。
兄が生きていようが死んでいようが、
彼女は最後の一人になるまで殺戮をする以外の選択肢は与えられていなかった。
そうして二人はほぼ同時に、全く同じ言葉を叫んだ。
「インティグネイション!!」
漆黒の天より雷が生まれ、お互いの位置へ二発同時に落ちた。
先程南西より起こった爆発音より更に凄まじい轟音。
雷が走り、木々は倒れ、砕かれた土塊が舞い上がった。
シャーリィは自身に降りかかった木々の屑を押しのけ、静かに立ち上がった。
周囲を見回す。既にこのエリアの森林の三分の一は消滅したと思われる、壮絶な光景。
だがそこに目当ての少女の姿は無かった。
逃げられた?そう自問し周囲の瓦礫を探る。
しかしやがて彼女はその行為があまり意味の無いものだと気付いた。
逃げていようが力尽きていようが、どちらにせよいずれは皆死んでしまうのだ。
自分が生き残り、兄と再会できればそれでいい。
あの少女の一人ぐらい、どうということは無かった。
・・・もしかしたらお兄ちゃんはあっちの方に居るかもしれない・・・
自身に回復爪術をかけた後、彼女は橋の向こうを見つめた。そして歩き出す。
既に彼女の中で、兄のセネルは生きているのか死んでいるのか不明瞭になっていた。
しかし、それでも彼女は歩き続けるしかなかった。
止まってしまえば、耐えられない悲しみに身を潰されてしまうから。
兄が生きていようが死んでいようが、
彼女は最後の一人になるまで殺戮をする以外の選択肢は与えられていなかった。
メルディは走っていた。
──さっきの自分は誰?自分は、一体何をしていたの?──
全身が痛み、あちこちから血が噴き出るのも構わず、闇雲に走り続けた。
ネレイドの干渉をとうとう許してしまった彼女は、最早まともな精神力が残されていなかった。
ただ走っていた。また誰かに会った時、自分がどうなるか、考える気力さえ起こらなかった。
──さっきの自分は誰?自分は、一体何をしていたの?──
全身が痛み、あちこちから血が噴き出るのも構わず、闇雲に走り続けた。
ネレイドの干渉をとうとう許してしまった彼女は、最早まともな精神力が残されていなかった。
ただ走っていた。また誰かに会った時、自分がどうなるか、考える気力さえ起こらなかった。
【シャーリィ 生存確認】
所持品:TP中消費 UZI SMG(30連マガジン残り4つ) ????
状態:極めて冷静
第一行動方針:セネルとの再会(手段は一切選ばない)
現在位置:C5の橋付近から西へ移動中
所持品:TP中消費 UZI SMG(30連マガジン残り4つ) ????
状態:極めて冷静
第一行動方針:セネルとの再会(手段は一切選ばない)
現在位置:C5の橋付近から西へ移動中
【メルディ 生存確認】
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
状態:TP中消費 全身に打撲 背中に刀傷 両手足に浅い刀傷 左腕に銃創 右足首に擦り傷
左肩に銃創 パニック ネレイドの干渉を抑えきれない
第一行動方針:死にたくない
第二行動方針:仲間と合流
第三行動方針:元の世界へ帰る
現在地:C5の森林地帯から移動中
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
状態:TP中消費 全身に打撲 背中に刀傷 両手足に浅い刀傷 左腕に銃創 右足首に擦り傷
左肩に銃創 パニック ネレイドの干渉を抑えきれない
第一行動方針:死にたくない
第二行動方針:仲間と合流
第三行動方針:元の世界へ帰る
現在地:C5の森林地帯から移動中