お前の番だと、半ば引っ張り出されるかのような形でゲートをくぐる。
その先は森の中だった。
不可思議な力によって飛ばされる感覚――それは初めての経験ではないが、いつまで経っても慣れない。
(不思議な力…か)
カイルは心を寄せる少女の事を思い出した。
人々を救う使命を背負った聖女、自分を英雄と認めてくれた大好きな人。――リアラ。
彼女は確かにあの会場の中にいた。
(それからロニとジューダスと、ハロルドも……)
ナナリーの姿だけは見えなかったが、
人殺しをさせられるという状況下にあっては、姿が見えないというのは逆に安心すべきことなのかも知れない。
勿論そんなふざけた事に乗るつもりは更々無いが。
その先は森の中だった。
不可思議な力によって飛ばされる感覚――それは初めての経験ではないが、いつまで経っても慣れない。
(不思議な力…か)
カイルは心を寄せる少女の事を思い出した。
人々を救う使命を背負った聖女、自分を英雄と認めてくれた大好きな人。――リアラ。
彼女は確かにあの会場の中にいた。
(それからロニとジューダスと、ハロルドも……)
ナナリーの姿だけは見えなかったが、
人殺しをさせられるという状況下にあっては、姿が見えないというのは逆に安心すべきことなのかも知れない。
勿論そんなふざけた事に乗るつもりは更々無いが。
はやく仲間たちと合流しなくては。
きっとリアラもロニも心配しているだろう。
それにジューダスとハロルドだったらこの事態を打開する策を何か思いついているかもしれない。
皮袋を背負いながら、カイルは一人森の中足を進める。
荷物の重さだけが原因でなく、足取りは重い。
様々な感情が混ざり合うようにしてカイルに纏わり付いていた。
きっとリアラもロニも心配しているだろう。
それにジューダスとハロルドだったらこの事態を打開する策を何か思いついているかもしれない。
皮袋を背負いながら、カイルは一人森の中足を進める。
荷物の重さだけが原因でなく、足取りは重い。
様々な感情が混ざり合うようにしてカイルに纏わり付いていた。
異様な状況に放り出された事に対する困惑と不安。
見ず知らずとはいえ、罪も無い人が殺された事に対する怒り。
――そして、期待。
見ず知らずとはいえ、罪も無い人が殺された事に対する怒り。
――そして、期待。
カーレル=ベルセリオスの生命と引き換えに倒され、
長いときを経て復活した後も、四人の英雄によって野望は永遠に阻止された筈の天上王『ミクトラン』
その名前を聞いた瞬間、困惑を覚えたと共に、もしかしたらという期待もカイルの中に生まれていた。
そして仲間の姿を探している時、同時に探していたら案の定というべきか、やはりその姿はあったのだ。
18年前の父と母。
他の四英雄の姿は探した限りでは見えなかったが、カイルにはそれだけで十分であった。
(こんな状況なのに、また父さんと一緒に過ごせるかもしれない事に期待しているんだ、オレは……)
長いときを経て復活した後も、四人の英雄によって野望は永遠に阻止された筈の天上王『ミクトラン』
その名前を聞いた瞬間、困惑を覚えたと共に、もしかしたらという期待もカイルの中に生まれていた。
そして仲間の姿を探している時、同時に探していたら案の定というべきか、やはりその姿はあったのだ。
18年前の父と母。
他の四英雄の姿は探した限りでは見えなかったが、カイルにはそれだけで十分であった。
(こんな状況なのに、また父さんと一緒に過ごせるかもしれない事に期待しているんだ、オレは……)
だが今は、仲間と合流するほうが先決だ。
カイルは他の四人より先にゲートを越えたが、通じる場所が無作為に選ばれているのならば
仲間が来るのを待つのではなく、自分から探さなければならないだろうと考える。
とりあえず"ゲーム"に乗るのは却下だ。人の命を奪う事、そんなゲームなど認められない。
しかしならば状況を打開するためにどうするべきか、それは今のカイルには思いつかなかった。
とにかく皆と合流しなければ、そう思いながら歩き続ける。
カイルは他の四人より先にゲートを越えたが、通じる場所が無作為に選ばれているのならば
仲間が来るのを待つのではなく、自分から探さなければならないだろうと考える。
とりあえず"ゲーム"に乗るのは却下だ。人の命を奪う事、そんなゲームなど認められない。
しかしならば状況を打開するためにどうするべきか、それは今のカイルには思いつかなかった。
とにかく皆と合流しなければ、そう思いながら歩き続ける。
ふと、
木々の向こう側に人の気配を感じた。
薄暗い森の中でははっきりとした姿は見えないがそれが男のものだという事はわかる。
父だ。
何故かカイルはそう思った。その瞬間、発作的に駆け出す。
荷物の重さも気の重さも忘れて、カイルは木々を掻き分けて進んだ。
距離はあまりなく、気配の主の元にはすぐに辿り着くことが出来た。
木々の向こう側に人の気配を感じた。
薄暗い森の中でははっきりとした姿は見えないがそれが男のものだという事はわかる。
父だ。
何故かカイルはそう思った。その瞬間、発作的に駆け出す。
荷物の重さも気の重さも忘れて、カイルは木々を掻き分けて進んだ。
距離はあまりなく、気配の主の元にはすぐに辿り着くことが出来た。
「……父さんっ!!」
相手の顔も見ずに、思わずそう呼んでしまった事に対して、カイルははたと我に返りしまった、と思った。
過去の父親が自分の事を知るはずも無い。
否、もしかしたらダイクロフトで共闘した事を"覚えているスタン"かも知れないが、
いずれにしろ今の自分の発言は、相手に不審感を持たせてしまうだけだろう。
「すみませんっ!人違いだったみたいです!」
誤魔化そうと慌てて目の前の人物に頭を下げる。
そして再び頭を上げたとき、カイルが見たのは鳶色の髪をした長身の青年。
彼は忙しないカイルの様子に黙って首を傾げていた。
過去の父親が自分の事を知るはずも無い。
否、もしかしたらダイクロフトで共闘した事を"覚えているスタン"かも知れないが、
いずれにしろ今の自分の発言は、相手に不審感を持たせてしまうだけだろう。
「すみませんっ!人違いだったみたいです!」
誤魔化そうと慌てて目の前の人物に頭を下げる。
そして再び頭を上げたとき、カイルが見たのは鳶色の髪をした長身の青年。
彼は忙しないカイルの様子に黙って首を傾げていた。
―――どうやら本当に人違いだったようだ。
【カイル 生存確認 所持品不明
現在地:F3 森林地帯
第一行動方針:リアラ、ロニ、ジューダス、ハロルドとの合流
第二行動方針:両親との再会】
【クラトス 生存確認 所持品不明
現在地:F3 森林地帯
第一行動方針:不明】
現在地:F3 森林地帯
第一行動方針:リアラ、ロニ、ジューダス、ハロルドとの合流
第二行動方針:両親との再会】
【クラトス 生存確認 所持品不明
現在地:F3 森林地帯
第一行動方針:不明】