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  • 心と翼に燈火を

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

心と翼に燈火を

最終更新:2019年10月13日 17:30

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心と翼に燈火を


足だけが重力を失ったような気がして、でもやっぱり全身に重力が働いて、のしかかってきて、ひざまづいた。
お人好しで田舎者で寝起きが悪くて、馬鹿みたいに安らかに笑う、そんな英雄が眠っていた。




今目の前にいる彼をどう表現したらいいか、と聞かれれば、戦神、というのが相応だろう。
氷の力により保護された清澄たる青の小剣、否、大剣を片手に、
全身に纏う凍てつく青いオーラを立ち上らせる容姿と、開けた前髪から覗くそれ自体が刃のような眼光は、
他に言い換えられる言葉を見失わせる。
尤も、彼はれっきとした一人のヒトであり、力は人ならざるものだとしても、神ではない。ただ、形容するならばの話でだけ。
そして、彼に対峙する一人の人物。
赤ずくめ、トレードマークの首の白い布が無くなった故にである、時空剣士の少年ロイドだ。
漆黒の翼のリーダー、不屈の精神を持つグリッドは、彼がライバルと呼ぶ英雄スタンと彼が持つディムロスを求め、西方へとやって来た。
そして更に、彼は「スタンを呼んでくる」と西へと走り出す。
今はロイドの目前にいる仲間、ヴェイグを救う為に。
誰も傷付けないことを願って、誰かを傷付ける矛盾。

屈折したそれを知らない二人は、何故ヴェイグが剣を向けてくるかも、皆目見当がつかない。
ただ分かることは、剣と眼と殺気が、明らかに自分達に向けられていることのみだ。
だからグリッドが駆け出した時、ロイドは彼に駄目だと言おうとした。ヴェイグは彼を追おうとした。
その行動は互いに反発し合う。中途半端に開いた口を閉ざし、凄まじい瞬発力の足を止めた。
ロイドには、ヴェイグが道具なしには出来ない技が二つある。
その内の一つ、「魔神剣」。剣気を地に這わせ飛ばす、剣士にしてみればロングレンジの技。
剣士から離れた気が地を駆ける。足に命中した衝撃にヴェイグは、独立した存在である、小さくなっていくグリッドから目を離し、背後のロイドに振り向く。
拡大する赤い影。風になびく落ちないオールバック。月に光る剣。真っ直ぐな鳶色の瞳。
「はぁぁぁぁっ!!」
──激突。
突撃と振り上げが、振り上げと振り下ろしが、突きと突き、それぞれが繰り出され、衝突し合う。
ヴェイグの重い剣戟を、使えない手の一本の剣で受け止める。
走る痛みに顔を歪めるも、離すことはしない、許されない。

ヴェイグがどうしてしまったのかは、ロイドには分からない。ただ、否応なしに暴れる姿を見る以上、止める方々は一つしかない。
戦って止める。気絶させるか、説得するか。どちらにせよ、その行為の合間に戦闘は避けられないだろう。
増大した、尋常でない殺気。これがマーダーだった頃のヴェイグなのだろうかと、一瞬ロイドは思った。
時間はない。体力もままならない以上、持久戦になったら分が悪いのは非を見るより明らかである。
何より、今のヴェイグの気迫を長く受け止められる自信が…ない。
両手に持った片手剣、それを勢い良く振り上げ下ろす、虎牙破斬系の奥義「猛虎豪破斬」。
虎牙破斬系の技は威力が高い。今、一刀しかないロイドにまともな効果を期待出来るのはこれと先程覚えた次元斬くらいだ。彼は跳躍する。
しかし、手応えはない。切り上げは空を切る。切り下げは時間差で一撃を無に帰す多段の斬撃で相殺される。
最後に会得した技「無影衝」。守りには徹しない。攻撃は最大の防御。
ロイドは軽く一回舌打ちをし、とん、とんと二回バックステップをして間合いを取る。
改めて欠けたもう一刀のありがたみを感じる。手数で押せないのがこれ程までに辛いとは。

とは言え無い物は仕方がないし、自分の感情にも整理はついていない。
改めて剣を構える。一本足りない、不慣れな一刀流。
先程彼は赤ずくめだと言ったばかりだが、実際問題まだ白は残っている。
右手にディフェンダーを括り付けるための、裂かれた細い布。骨折した箇所を覆う包帯と見て取れないこともない。
骨折した手で打ち合うのは正直辛い。現に先刻のヴェイグの剣を受け止めた時だってそう。
それでも、止めなくてはいけない。ヴェイグを見た時に過ぎった所思は、グリッドと全く同様だ。
「ヴェイグ…何でだよ! お前あの時、もう誰も殺さないって決めたんだろ!!」
切っ先に言葉を乗せ、ロイドは言う。
ヴェイグは無口だ。ただ、興奮で上下する肩と荒い呼吸音だけが答える。
マーダーであった彼が出会った、ゲームに立ち向かう三人の仲間と交わした、尊い約束。
彼は心から悔いていた。
それは彼が名簿を手にしたことで明確なものとなったし、何よりもハロルドがプリムラを殺そうとした時、彼はあんな状態からでも止めた。
それほどにも、彼にとって「ルーティに償う」という思いと約束は強かった。
故に、人を殺すことはヴェイグにとって禁忌に近かった。

だが、彼のフォルス…いや、彼の手によってそれが崩壊された今、彼を責めるのは、自分。
血に染まった体で誰にも近付いてはならぬと、血塗られた手で誰にも触れてはならぬと、彼は思った。
今自分が成そうとしている行為が、鏡映しの行為であるということも知らずに。尚更後悔を増させる行動だということも知らずに。
知らないから、剣を向ける。かつて共に行動した仲間だとしても。
チンクエディアは、正に氷の輝きを発していた。
「俺に…」
ぼそりと出た呟きに、ロイドはぴくりと反応し、僅かに剣を構える。
「…近付くなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして再び、剣を交わらせる。左に薙る剣を幅広の剣の平で受け止める。…重い!
「うあぁぁぁぁぁ!!」
彼らしからぬ蛮声と共に、冷気を纏う剣「絶氷刃」、そして絶え間なく繋がれる神速の九連突き「連塵龍影刃」が繰り出される。
片手分しかない以上、空いた左手をディフェンサーに添え猛攻を何とか防ぐ他、手立てはない。防御に秀でた剣であることが幸いだった。
「…ッ、何なんだよ…どうしたんだよ、ヴェイグ!!」
その問い掛けに、ふと何となくデジャ・ヴュを覚える。既視感なのは、己が正気を失っていたから。

そう、クラトスの無残な死に様に動揺したロイドを諭してくれたカイルの言葉が、その記憶の正体だった。
叫ぶヴェイグ、止めるロイド。奇しくも同じ光景が二度繰り返されたのだ。
しかし、ヴェイグはその問いにも答えない。言葉を「拒絶」する。
唯々ヴェイグは、ロイドの声を掻き消すかのように叫び、まるで戦士は武器で語るものだと言うかのように剣を振るう。獰猛で、粗暴で、言葉なんて分かりやしない。
もう何合打ち合ったかも覚えていない。剣を重ねては間合いを取るエンドレスリピート。
交錯する剣の向こうに見える瞳。マーダーの時の冷却されきったものともまた違う。
怒りでも、悲しみでもない、云うならば、恐れ。
決してロイドは知っている訳ではないが、それだけは、秘められたある意味純粋な思いだけは感じ取れた。
「…どっちなんだよっ!!」
それでもヴェイグは答えなかった。答えることを拒絶した。





遅かった。
もう、体は冷たい。濡れているからじゃない。少しも動かないのだから、そういうことだ。
こんな時でも寝やがってと思って期待して揺り起こしたら裏切られたじゃねぇか畜生。

ひっくり返したらこんな晴れやかな笑顔。何で死ぬ前にこんなに笑えるんだ。
何でお前が死ぬんだよ。俺より明らかに強いだろ。
グリッドは落胆した。打ち砕かれた希望の先にあるのは、その名の通り絶望なのだと今更知った。
思えばあの期待も、嫌な予感を無理矢理消す為の感情だったのかもしれない。
神の眼を巡る騒乱の英雄、ソーディアン・マスター、スタン・エルロンは死んだ。死んでいた。死んだのだ。
もう、どうしようもない。
…違う、まだだ。彼はぶんぶんと首を左右に振る。そのソーディアン、ディムロスは何処に?
クィッキーの姿もない。来ていないのか? まさか。距離を考えれば明らかにあちらの方が早い。
じゃあ何処か寄り道してるか、誰かに掠われたか…渡しても、駄目だったか。
色々考えたが、どれだっていいと思った。ディムロスはここにない。それが唯一の真実であり現実。
首を垂らす。自然とそうなった。このままじゃ、ヴェイグを助けられない。それどころか、助けに来た…ロイドって奴も。
視界は暗い。夜と自分が作る影がブレンドされたからか、それとも言葉通り絶望感からか。
…ふと、違和感を覚える。俯いた視界に何かが映る。

白の中の赤、田舎者に似合わない輝き。
改めて確認しておこう。グリッドが求めたのは、「武器」ではなく「炎」であった。
彼はロイドが二刀流であることを知らない。だから、ディムロス以外の武器という思考は端からない。
彼に少しの記憶があった。元は自分が持ち、今はプリムラ団員が持っている指輪の存在を。覚えが正しければ、その指輪からは炎が出る筈だ。
彼には時間がない。だから他を探す余裕もなく、そもそも地下室の存在も知らなかったし、暗い中では気付かなかった。
それらから導き出される、行動の結果。
彼は首にかかった、細い透明の糸でくくり付けられた、柘榴石の指輪をもぎ取る。糸が中々頑丈で手に食い込み痛くなった。
このバトル・ロワイアルには、全然知らない世界から来ている奴もいる。この指輪は──ひょっとしたら、異世界のソーサラーリングかもしれない!
何というか、自分でも馬鹿馬鹿しく思えて吹き出しそうになったが、それに賭けたい気持ちも確かだった。
これしかないのだ。手ぶらで戻る訳にはいかないのだ。
時間はないが、赤い透石を月にかざしてみる。青い月は赤くなり、赤い月は更に赤くなった。

綺麗で不吉な希望の色。少し体に熱が戻ったような感覚がした。
グリッドはスタンに少しの間黙祷を捧げた後、また置いてけぼりなのかと無力感を痛感しながら、再び東へ再び全速力で駆け出す。
手にぎゅっと、小さな指輪を握って。

その指輪はソーサラーリングではない。ただ、奇しくも、その指輪は炎だった。



「…ッ!!」
痛みの度合いが半端ではない。右手が限界だ。もっと骨折が酷くなっているかもしれない。
鋭い痛覚が手の力を抜けさせ、結果的に剣の勢いも鈍らせる。
最早ディフェンダーはその名称が示すように、守るもの、つまり盾代わりとなっていた。
そして守りに徹していては、暴走する能力者を止めることは出来ない。更なる破壊を生むのみ。
ヴェイグの勢いは依然衰える気配を見せない。どこからこの底無しの体力が来るのだろうと思う。
「消えろ…皆、消えろおぉぉぉぉぉぉっ!!!」
もう一つ、変わらないものは彼の瞳だ。
行動とは裏腹に、何かを恐れ揺れる瞳。何を怖がっているのかまでは、ロイドには分からない。訳が分からなかった。
離れている間に何があったのか、それを考える暇も、ロイドにはなかった。いや、正式には、少し考えた。

一瞬の思考に気を取られた、一瞬の隙。狂戦士である今のヴェイグが見逃す理由はない。
眼が肉薄する。
迫み込んだ足が僅かに土煙を上げる。
遅れてディフェンダーの平面を前に突き出す。
疾速の三連突き、「瞬連塵」が白い布を裂く。
風を纏う下方からの振り上げ、体を捻らせ繰り出す飛翔斬り、「絶空衝裂破」が剣と切れ端を空へ旅立たせる。
驚きを含んだ小さな呻きは金属音に消える。。
ひらひらと雪に似た布は舞い落ち、剣は湿った大地に綺麗に突き刺さる。
飛躍の分、隙があった。ロイドは手元を離れた剣に向かって走り出す。ヴェイグは着地し彼を追跡する。
剣との距離はそこまでない。ヴェイグとの距離もそこまでない。
飛び掛かり柄を掴む。赤い背中に向かって剣を振り上げる。転がる。落ちる。
仰向けの状態から横にかざした剣と、巨躯から落とされた剣が、金属音を立ててぶつかり合う。
両手で掴む片手剣と両手で掴む大剣。重力に背く片手剣と重力に従う大剣。
体力の差も相乗し、押されるのはロイドの方だった。
必死に支える腕が震える。次第に剣が自分に近付く。このままでは手も剣も保たない。
氷剣チンクエディアが迫る。
思わず目を閉じる。もう、駄目だ、と。

(コレット、みんな、親父…父さん、母さん、ごめん…俺…っ!)
その名達を思い浮かべた瞬間、今までの記憶に残された光景が目まぐるしいスピードで通り過ぎ、そして不意に胸を突かれる。
終わり? 終わっていいのか? このまま、皆の下へ…違う。終わりじゃない。俺はまだ、終わっちゃいけない!
左の青いエクスフィアが光った。月に煌めいたからか、それとも──。

地に密着する背から、大きな光の翼が広がる。それはそれは大きな翼だった。
赤と青は、空の月の色彩によく似ていた。
伴い、激痛をシャットダウンしていき、鈍痛となりやがて消えた。傷が癒えた訳ではない。唯のシステム上の関係。
剣を握るなら、いや、戦うなら、痛みを感じない方が余程戦いやすい。
剣を握っているという自覚すらないが、それでも、有りったけの力を剣に篭める。試練の時のコレットはいつもこんな感じだったのか、辛かっただろうな、と今更ながら思った。
押されていた剣が、押し返していく。
「…死んでたまるか…」
ヴェイグの瞳が大きく開き、揺れる。
「…コレットと会うまで、皆と帰るまで、死んでたまるか!!」
氷剣に、僅かな亀裂が入る。
「俺は、死なないっ!」

傾いた均衡は、対に水平となる。
弾かれたヴェイグの剣。直ぐさまロイドは立ち上がり、ヴェイグへと駆ける。いつもより速く走っているような気がする。
しかし、当のヴェイグは構えてもいない。両手を頭にあて、苦悶の表情で何かをぶつぶつと呟いている。
普通なら表情は見えず、声は聞こえない距離。しかし見聞出来る。かなり上位の天使なら、己の能力を制御するのも容易い。
駄目だ、来るな、俺の近くにいたら、皆──次に来るだろう言葉は分かっていたから、先に言ってやった。
「俺が証明してやる! 絶対に、死なないって!!」
ヴェイグの真意がやっと分かったからこその、言葉だった。

ロイド、と普段聞き慣れない声が耳に入ったが、特に気になりはしなかった。視界の左に小さく茶に近い橙の髪が映る。
その人物が投げた何かを、空いた左手で掴んだ。握った感覚はない。投擲されている途中に何かは分かっている。
それを握り締めたまま、いや実際はそんな感触はないのだが、ロイドは地を駆けた。
剣に纏う緋色の炎。飛翔。天を駆ける、青き翼を持つ鳳凰。
飛べない天使が、空を飛び、二つの翼は、一つの体に宿る。
「鳳凰…天駆ッ!!」

空中から斜に急降下してくる赤い影を、ヴェイグは見据え、そして氷剣の腹を影を覆い隠すようにかざす。
それでも炎は見えた。親友の秘奥義にも見えた。
ヴェイグは手に激突の衝撃を感じ、ロイドは何も感じない。
ガーネットの加護を受けた剣が、ピンポイントに、氷剣の亀裂へと突撃を喰らわす。
衝撃と一部分にかかる熱が、軋みを広げ、全体に行き渡った亀裂は、見事に悲鳴を上げながら白線に区切られた空間を氷の破片として引き離した。
早い話が、砕け散ったのだ。
氷の断片が光っている、と理性を奪われた思考の隅でほんの少し考え、再び考える。一般的には本能や反射とも呼べるかもしれない。
剣が、自分の体を貫く、と。氷の向こうには赤い彼の姿があったのだから。



痛みは訪れない。自らが具現した冷気を感じる。それが何よりの生の確証だった。
目の前に、少年が倒れている。名前、名前は──今はどうだっていい。
纏っていた炎は消え、彼の背に生える翼は、すうっと溶けるように消えていった。
ロイドは分からないだろうが、強化された視覚や聴覚、消去した痛覚も、翼と共に元に戻った。
もう、彼の体力は限界だった。火の精霊の力を受け繰り出した属性特技、「鳳凰天駆」。

それが最後だった。
渾身の一撃を剣に受け止められた瞬間、いや、氷が砕け散る瞬間、ロイドの意識は闇に落ちた。安堵もあっただろう。
その上、ロイドの手に渡る前から何度も斬撃を受けてきたディフェンダーは、上手い位に中間地点でぱっきりと折れていた。
彼の手に握られているのは、長方形の刃を持つ奇妙な短剣、しかし短剣にしては刃や柄が大柄だった。
長さが極端に減った、本来の姿に戻ったチンクエディアの刃を、彼へと向ける。透き通った青が武器とは思えぬ程綺麗だ。
短い柄を両手で握り、ゆっくり、ゆっくりと持ち上げ──しかし振り下ろされることはなかった。
誰かが腕をむんずと掴む。その誰かは彼の腕が異常に冷たいことに、死人の体より冷たいことに気付く。
寒冷地ご用達の厚手の服越しに感じる、人の肉ではない硬さ。感じぬヒトが持つ温もり。
凍っている。
驚愕。焦燥。ヴェイグの表情を言い表すとしたら、これらの言葉が適任だろうか。
誰かは静かに首を横に振る。してはいけないと諭すように。
ヴェイグは虚ろな目でその人物の目を見る。真っ直ぐな光。
だからこそ、彼は拒絶した。こんな人を、自分のせいで死なせる訳にはいかない、と。

しかし彼もまた体力は残っていなかった。その証拠に、理性を失う暴走状態にあっても、何の叫びも上げない。
「触るな…」
何も言わない。
「触るな!」
ただ瞳の強さだけが変わらない。
「触るなあぁぁ!!」
彼、グリッドは、馬鹿みたいにリーダーだったから。
ぴきぴきと氷が伝播する。ヴェイグの体を通じて、グリッドの腕が凍結する。それでも腕を離そうという意思はなかった。
「お前は、何でプリムラを助けようとしたんだ。お前を刺したプリムラを」
無言の中、氷が張っていく音だけが聞こえる。
「誰も死なせたくなかったからだろう! だからティトレイを助けようと剣を投げたんだろう!」
見開かれる目。
握られていた小剣がぽろりと落ちる。落ちる中で回転する剣は誰にも刺さらず、からからと音を立てて地に落ち着いた。
彼の言葉と同時に禁忌の記憶がフラッシュバックし、少年の体がばらばらの部位に分けられたマネキンのように砕けた光景が、まざまざと脳裏に浮かんだ。
「う…あ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
彼の叫びに呼応するように、氷結の速度が上昇する。もう肩まで凍っていた。
「現実を認めろ! だが、許すな! 間違いを繰り返してどうする!」

この期に及んでまだ「人を殺すのは間違いだ」と言えるのは、恐らく彼ぐらいだと思う。この世界に正しいやら正しくないやらの境界線はないのだから。
ただ、彼の言葉はストレートで、今のヴェイグには充分過ぎる重みを持っていた。
ぴたっと、時も凍りついたように、氷の広がりが停止する。
「…間違…い?」
低く小さな呟きにグリッドは頷く。
「そうだ…殺すのは間違っている…だから…俺の傍にいては…消えろ…離れてくれ…ッ」
「お前がしようとしていることは、その間違いなんだよ!」
今までの中でより大きく、より強く、グリッドは言った。
団員の危機を救うのはリーダーの役目。団員の間違いを正すのもリーダーの役目。彼はリーダー、導く者。
両手をかざしたまま見つめる。地に倒れる、グリッドに似た瞳を持っていた少年を。地に落ちている、紛れもなく凶器になる小剣を。

俺は──拒絶していた──こういう奴を死なせたくないと──だが──俺は──殺そうと、していた?

グリッドの腕を覆う氷が、引いていく波のように、時間を巻き戻したように、すうっと上方から消えていく。
そして全て元通りになったグリッドの手は、彼の服の向こう側に体温が戻るのを察知する。

振り上げられていた腕が軋んだ人形のように、ゆっくりと、不器用に元の位置に戻っていく。
「俺は…」
落ち着いた、本当に小さな声だった。
「また、過ちを…」
閉じていく視界に金髪の影を見ながら、あの夜のことを思い出す。
彼女は悲しむのに、何故、俺は二度も同じことを繰り返す?
彼が自らの力を恨んだのは、久し振りだった。


倒れ込んだヴェイグを腕で支えたグリッドは、静かに彼を地に寝かせる。
凍りついた余波か、何となく腕に感覚がなく、けれども痛みは感じる。
地に眠る二人を見ながら、今更、激走の疲労がどっと来たことが、不思議と何だか嬉しかった。

【ロイド=アーヴィング 生存確認】
状態:HP5% TP15%  右肩に打撲、および裂傷 右手甲複雑骨折  胸に裂傷 疲労 気絶
所持品:トレカ、カードキー エターナルリング ガーネット
基本行動方針:皆で生きて帰る、コレットに会う
第一行動方針:???

第三行動方針:リッド、キール、ジェイと行動 第二行動方針:ヴェイグを止めて、ティトレイのことを問いただす
第四行動方針:協力者を探す
第五行動方針:メルディの救出
現在位置:E2、E3の境

【ヴェイグ=リュングベル 生存確認】
状態:HP20% TP40% 気絶
所持品:チンクエディア
基本行動方針:???
現在位置:E2、E3の境

【グリッド 生存確認】
状態:顔面強打 左腕に凍傷 中程度の疲労
所持品:マジックミスト、占いの本 、ハロルドメモ ペルシャブーツ
基本行動方針:生き延びる。 漆黒の翼のリーダーとして行動
第一行動方針:二人が目覚めるのを待つ
第二行動方針:ヴェイグと共に行動する
第三行動方針:プリムラを説得する
第四行動方針:シャーリィの詳細を他の参加者に伝え、先手を取って倒す
現在地:E2、E3の境


※折れたディフェンダーはその場に放置してあります。

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