アルベインという名の黒い剣
力が欲しい。
僕の体は既にボロボロで、あの天井にぶら下がっている朽ちた拷問危惧の様に無能だ。
立っているのか、座っているのかも分からない。
生きているのか、死んでいるのかも明瞭しない。
ああ、色彩が加速度的に赤みがかっていく。
甘かった、僕はなんて愚かだったんだろう。
皆で力を合わせて脱出する?全員殺して勝者になる?
目の前の人も満足にどうこうできないのに?
僕の体は既にボロボロで、あの天井にぶら下がっている朽ちた拷問危惧の様に無能だ。
立っているのか、座っているのかも分からない。
生きているのか、死んでいるのかも明瞭しない。
ああ、色彩が加速度的に赤みがかっていく。
甘かった、僕はなんて愚かだったんだろう。
皆で力を合わせて脱出する?全員殺して勝者になる?
目の前の人も満足にどうこうできないのに?
問題外だ。
僕はまだ、‘選択できる立場に居ない’じゃないか。
僕には選んだ選択肢を成就する力が絶対的に欠けている。
それを、さも当然のように僕の力なら優勝できる、とか脱出できる、とか思っていたのか。
高々少し強くなった程度でこの思い上がり。
なんて傲慢だ、自分じゃ無かったら殺したいほどの醜悪。
殺したい。
僕が、僕がするべきは。
瞼が腫れて塞がったか、何も見えない。僕は何も見ない。
僕はまだ、‘選択できる立場に居ない’じゃないか。
僕には選んだ選択肢を成就する力が絶対的に欠けている。
それを、さも当然のように僕の力なら優勝できる、とか脱出できる、とか思っていたのか。
高々少し強くなった程度でこの思い上がり。
なんて傲慢だ、自分じゃ無かったら殺したいほどの醜悪。
殺したい。
僕が、僕がするべきは。
瞼が腫れて塞がったか、何も見えない。僕は何も見ない。
力だ。
僕の体が何かに無理矢理起こされる。
力が欲しい。
自分が自分で無いようで、でも何処かに確実にいる。
ここは、何だ?
全てを選ぶ資格が。
全てを斬り裂き、斬り開き、斬り捨てる為の力が。
僕の目の前には剣の突き刺さった膨大な地平。
自分が自分でないような、それでもやっぱり自分のような、奇妙な高揚感。
主義も、主張も、信念も、全部要らない。
感覚のない右手が剣を握る。
湧き上がる闘争の衝動が、肉体を統べる。
ここは、僕だ。全てが僕であり、剣であり、そして死だ。
幾千幾万の武具の数々、その全てが今までの鍛錬の結実。
その全てを一個人の命に叩き込む。
その全てであの男を殺す。その為の力が欲しい。
それ以外は何も要らない。力だけで良い。
敵は構えを取った。僕と敵、ここには2人しかいない。
全てを内包していると同時に、何も無い空であるかのような感覚。
僕の体が何かに無理矢理起こされる。
力が欲しい。
自分が自分で無いようで、でも何処かに確実にいる。
ここは、何だ?
全てを選ぶ資格が。
全てを斬り裂き、斬り開き、斬り捨てる為の力が。
僕の目の前には剣の突き刺さった膨大な地平。
自分が自分でないような、それでもやっぱり自分のような、奇妙な高揚感。
主義も、主張も、信念も、全部要らない。
感覚のない右手が剣を握る。
湧き上がる闘争の衝動が、肉体を統べる。
ここは、僕だ。全てが僕であり、剣であり、そして死だ。
幾千幾万の武具の数々、その全てが今までの鍛錬の結実。
その全てを一個人の命に叩き込む。
その全てであの男を殺す。その為の力が欲しい。
それ以外は何も要らない。力だけで良い。
敵は構えを取った。僕と敵、ここには2人しかいない。
全てを内包していると同時に、何も無い空であるかのような感覚。
そうか、僕が成るべきはマーダーでも救世の剣士でもなかった。
僕は、力そのもの―――最強の剣に成るべきだったんだ。
僕は、この拳闘士を殺すと決めた。そこからは能く覚えていない。
僕は、この拳闘士を殺すと決めた。そこからは能く覚えていない。
青年は漠としてその景観の果てを眺めていた。
視界の中の赤黒い澱みは時間と共に減衰して行く。
首筋にかかった光を感じて、彼は太陽の方角を向いた。
膨大な光量に瞼を細めて眼球が得る光の量を調節する。
白い、なんとも白い太陽だった。皮膚が痛みを感じていない。
熱のない、死んだ太陽が彼の目線の先、地平線の向こうにあった。
首筋にかかった光を感じて、彼は太陽の方角を向いた。
膨大な光量に瞼を細めて眼球が得る光の量を調節する。
白い、なんとも白い太陽だった。皮膚が痛みを感じていない。
熱のない、死んだ太陽が彼の目線の先、地平線の向こうにあった。
「どうした?そんな所に立って何をしている?」
少し耳障りな鳴子の音を聞いて、彼はそちらの方を向いた。
景色は変わらない。変化を証明する推移が無い。
「いえ…少し考え事をしていました」
彼は左手を右頬に寄せて中指と人差し指二本で骨のラインをに沿って拭った。
「愉しいことを?」
男の顔はさっきまで其処にあったはずの太陽を背にしていて影掛かってよく分からない。
「どうして?」
「血を拭っているのにお前が笑っているからさ」
ぬるり、と音がしたように思う。滑りの良い指二本を顔の前に運んで漸くその血に気付いた。
すみません、だったか御免なさい、だったか―――そう言った彼は男に背を向けた。
白光に赤いマントの彩度が上がる。
「さっき、1人斬りました。それを思い出していました」
「お前が?人を斬って?冗談にしては笑えないぞ」
いや、本当ですよ―――彼がそういって正面に12歩、右に7歩進んで
そのべっとりとした右手で剣を無造作に引き抜いた。
「さっきの…金髪の青年は、とても強かった。掛け値も、贔屓もなく、強かった」
両刃の大剣を軽く振り回して最後に縦に真一文字、鍔の辺りに埋め込まれたレンズが輝いていた。
「実際、あと半歩転移が遅かったら焼け死んでいたのは僕の方だった。
その彼を斬って、僕はとても嬉しかった。愉しくないという方が無理ですよ」
その剣の感覚を確かめるように強く握り、新しい剣をまた地面に突き刺す。
剣がまた一つ増える。それだけが唯一無上の至福。
また一歩強くなった、力を得た。それだけが価値だ。
だがまだだ、まだ足りない。これでは敵を倒せない。
もっと速く、もっと大きく、もっと鋭く、もっと強く。
更なる研鑽とまだ見ぬ死闘だけが僕に力を与える。
少し耳障りな鳴子の音を聞いて、彼はそちらの方を向いた。
景色は変わらない。変化を証明する推移が無い。
「いえ…少し考え事をしていました」
彼は左手を右頬に寄せて中指と人差し指二本で骨のラインをに沿って拭った。
「愉しいことを?」
男の顔はさっきまで其処にあったはずの太陽を背にしていて影掛かってよく分からない。
「どうして?」
「血を拭っているのにお前が笑っているからさ」
ぬるり、と音がしたように思う。滑りの良い指二本を顔の前に運んで漸くその血に気付いた。
すみません、だったか御免なさい、だったか―――そう言った彼は男に背を向けた。
白光に赤いマントの彩度が上がる。
「さっき、1人斬りました。それを思い出していました」
「お前が?人を斬って?冗談にしては笑えないぞ」
いや、本当ですよ―――彼がそういって正面に12歩、右に7歩進んで
そのべっとりとした右手で剣を無造作に引き抜いた。
「さっきの…金髪の青年は、とても強かった。掛け値も、贔屓もなく、強かった」
両刃の大剣を軽く振り回して最後に縦に真一文字、鍔の辺りに埋め込まれたレンズが輝いていた。
「実際、あと半歩転移が遅かったら焼け死んでいたのは僕の方だった。
その彼を斬って、僕はとても嬉しかった。愉しくないという方が無理ですよ」
その剣の感覚を確かめるように強く握り、新しい剣をまた地面に突き刺す。
剣がまた一つ増える。それだけが唯一無上の至福。
また一歩強くなった、力を得た。それだけが価値だ。
だがまだだ、まだ足りない。これでは敵を倒せない。
もっと速く、もっと大きく、もっと鋭く、もっと強く。
更なる研鑽とまだ見ぬ死闘だけが僕に力を与える。
徐に彼は左手を伸ばしそこにあると決まっていたムーンファルクスを掴む。
同時に体を半回転させてその背後からの拳を防御、
さらに手を緩めることはなく右手のS・Dで敵の首目掛けて突く。
同時に体を半回転させてその背後からの拳を防御、
さらに手を緩めることはなく右手のS・Dで敵の首目掛けて突く。
隆々とした筋を備えたスキンヘッドの男が、喉から夥しく血を溢れさせて笑っている。
「だがそれはオメェが戦闘狂になる理由にはなっても、殺人狂になる理由にはならねえぞ?」
発生と等間隔のリズムでぶすぶすと気泡が血と共に漏れ出す。
彼はそのまま無造作に頸を刎ねてそのまま朱がこびり付いたS・Dとムーンファルクスを投げ捨てた。
力無く崩れた巨漢の死体の背後から一つの屍体が彼に手を伸ばす。
肌は生来の色黒さに生気を失った陰を上塗りして実に虚ろ。
辛うじて残った頭髪の赤色から判別つくあの屍は、津波のように湧く害虫と彼ににじり寄る。
「鼠が一匹居ました。あの城に」
外套と鎧越しに甘い腐臭を彼は嗅いだ。背後から頸に腕が絡む。
女神の上半身が彼を背後から抱きしめている。その目は洞の様に赤黒く血を垂れ流していた。
「彼はあの鼠を潰した。何の一遍の躊躇も無く」
後ろから当てられている胸の感覚を味わっているのか、彼は首一つ動かそうとしない。
既に蟲の巣は彼の目の前にまで到達していた。
「僕はそれを黙認、いや、肯定していたんですよ」
蛆を纏った両の手で屍は彼の頬に優しく触れる。
「僕は最初から死を認めていた…殺すことに一遍の迷いも無かった」
屍たちが耳元に甘く声を囁く。
(ドウシテ…ワタシ…コロシタノ……)
「殺せたから殺した」
いつの間にかその右手にあった出刃包丁を素早く背後の死体の頭部に打ち付ける。
ずぶり、と音がして死体は嘲りながら剥がれてゆく。
殺すたびに何かが亡くなっていく気がする。それが良い。
(かゆい…カユイカユイカユイカユ…)
「来い。何度でも殺してやる」
最初からその左手にあったブロードソードが瞬時に屍を微塵と割いた。
血が虻となり骨が蛆となり生きていたという残滓が蝿となり霧散していく。
この喪失感が不純物を取り除き、純粋な暴力装置として力を再構築していく…そんな信仰が今の彼には有った。
迷いが無くなっていく爽感、人を殺す快感、人を辞める悦楽。
とても愉しい。
金色の獅子を伐って到達した次の深淵。
「だがそれはオメェが戦闘狂になる理由にはなっても、殺人狂になる理由にはならねえぞ?」
発生と等間隔のリズムでぶすぶすと気泡が血と共に漏れ出す。
彼はそのまま無造作に頸を刎ねてそのまま朱がこびり付いたS・Dとムーンファルクスを投げ捨てた。
力無く崩れた巨漢の死体の背後から一つの屍体が彼に手を伸ばす。
肌は生来の色黒さに生気を失った陰を上塗りして実に虚ろ。
辛うじて残った頭髪の赤色から判別つくあの屍は、津波のように湧く害虫と彼ににじり寄る。
「鼠が一匹居ました。あの城に」
外套と鎧越しに甘い腐臭を彼は嗅いだ。背後から頸に腕が絡む。
女神の上半身が彼を背後から抱きしめている。その目は洞の様に赤黒く血を垂れ流していた。
「彼はあの鼠を潰した。何の一遍の躊躇も無く」
後ろから当てられている胸の感覚を味わっているのか、彼は首一つ動かそうとしない。
既に蟲の巣は彼の目の前にまで到達していた。
「僕はそれを黙認、いや、肯定していたんですよ」
蛆を纏った両の手で屍は彼の頬に優しく触れる。
「僕は最初から死を認めていた…殺すことに一遍の迷いも無かった」
屍たちが耳元に甘く声を囁く。
(ドウシテ…ワタシ…コロシタノ……)
「殺せたから殺した」
いつの間にかその右手にあった出刃包丁を素早く背後の死体の頭部に打ち付ける。
ずぶり、と音がして死体は嘲りながら剥がれてゆく。
殺すたびに何かが亡くなっていく気がする。それが良い。
(かゆい…カユイカユイカユイカユ…)
「来い。何度でも殺してやる」
最初からその左手にあったブロードソードが瞬時に屍を微塵と割いた。
血が虻となり骨が蛆となり生きていたという残滓が蝿となり霧散していく。
この喪失感が不純物を取り除き、純粋な暴力装置として力を再構築していく…そんな信仰が今の彼には有った。
迷いが無くなっていく爽感、人を殺す快感、人を辞める悦楽。
とても愉しい。
金色の獅子を伐って到達した次の深淵。
その進行は既に悪夢を殺戮するにまで至っていた。
「そうか、そうか…私は貴様を見誤っていたようだ…」
遥か遠く地平線の向こうから彼は声を聞く。佳く聞いたあの声だ。
「私は貴様を三重に拘束した。麻薬による精神破壊、禁断症状による肉体支配、そして呪術による操作」
彼は両の武器で蟲と血を払い、次を探す。
「走狗に貶めて戦という餌をやれば犬は傅く。逆らうならば禁断症状という首輪を引けばよい。
後は呪によって野良犬を飼い犬として飼い主を認識させればそれで磐石。
その全ては大前提として貴様が全うに人間で有ることを前提として式を組んであった」
彼は次はそれと得物を選び、再度地面から引き抜いた。
「お前は私が手を下す前から‘狂い’だった訳だ。道理で私の言うことを聞かぬわけだ。
犬を貶めれば虫ケラ以下になるは自明の理、人間の言葉など聞く事も適わぬ。
そんなゴポッ」
遥か遠く地平線の向こうから彼は声を聞く。佳く聞いたあの声だ。
「私は貴様を三重に拘束した。麻薬による精神破壊、禁断症状による肉体支配、そして呪術による操作」
彼は両の武器で蟲と血を払い、次を探す。
「走狗に貶めて戦という餌をやれば犬は傅く。逆らうならば禁断症状という首輪を引けばよい。
後は呪によって野良犬を飼い犬として飼い主を認識させればそれで磐石。
その全ては大前提として貴様が全うに人間で有ることを前提として式を組んであった」
彼は次はそれと得物を選び、再度地面から引き抜いた。
「お前は私が手を下す前から‘狂い’だった訳だ。道理で私の言うことを聞かぬわけだ。
犬を貶めれば虫ケラ以下になるは自明の理、人間の言葉など聞く事も適わぬ。
そんなゴポッ」
メッシュのかかった髪を乱しながら魔術師は大きく口から血を吐いた。
魔術師の目が下方に泳ぐ。体の真芯を貫いて穴が開いている。
落ち着いて首を背後に回す。
魔術師の背後には、ローブの切れ端と少量の肉片と朱に塗れたグーングニル。
その認識の瞬間に魔術師の視界がぐらりと落ちた。
彼の左手には魔術師の右足を飛ばしたバルディッシュ。
間断無く右手のハルバードが左足を叩き付け、足を乗せて体重を掛けて寸断する。
彼は2本の戟を投げ捨て背後に手を回す。その表情は前髪に隠れて歪んだ唇の形しか分からない。
何処からとも無く剣が、槍が、戟が、斧が、彼の掌に納まっていて、
それを一切の躊躇も無く魔術師の残りに埋め込んでいく。
魔術師の目が下方に泳ぐ。体の真芯を貫いて穴が開いている。
落ち着いて首を背後に回す。
魔術師の背後には、ローブの切れ端と少量の肉片と朱に塗れたグーングニル。
その認識の瞬間に魔術師の視界がぐらりと落ちた。
彼の左手には魔術師の右足を飛ばしたバルディッシュ。
間断無く右手のハルバードが左足を叩き付け、足を乗せて体重を掛けて寸断する。
彼は2本の戟を投げ捨て背後に手を回す。その表情は前髪に隠れて歪んだ唇の形しか分からない。
何処からとも無く剣が、槍が、戟が、斧が、彼の掌に納まっていて、
それを一切の躊躇も無く魔術師の残りに埋め込んでいく。
フレアパセラード、ヴェルダン、ワルーンソード、コルセスカ、ムラマサ、ドラゴントゥース、
十余年営々と積み重ねてきた剣技、その具現を1つ1つ死の形に換えていく。
ファインサーベル、セントレイピア、サディングレイブ、シンクレアー、デストロイヤー、
遠い。殺している僕が酷く遠くに離れていくようだ。
バトルアクス、セントハルバード、ドゥームブレイド、ヴァンガード、エクスカリバー、
違う、そうではない。離れていくのは夢の中の僕だ。
ラックブレイド、スレイヤーソード、ホーリィソード、ロングソード、ハードグリーヴァ、
1つ武器を差し込む度に更に僕を呼ぶ声は遠くになっていく。
メックハルバード、レーザーブレイド、レイピア、ナイウサーベル、フェイムフェイス、
亡者の声も、過去からの声も酷く遠い。
サーベル、ストライクアクス、アークウィンド、アイスコフィン、クリシュマルド、
僕を止めようとする声を殺していく。
デュエルソード、ワジールレイピア、クレセントアクス、バハムートティア、
僕を否定する夢が殺されていく。僕を拒む僕が‘死’に成っていく。
ポールアクス、金属バット、オーガアクス、グラディウス、ダマスクスソード、
その位の力でないと彼女が、彼女?
十余年営々と積み重ねてきた剣技、その具現を1つ1つ死の形に換えていく。
ファインサーベル、セントレイピア、サディングレイブ、シンクレアー、デストロイヤー、
遠い。殺している僕が酷く遠くに離れていくようだ。
バトルアクス、セントハルバード、ドゥームブレイド、ヴァンガード、エクスカリバー、
違う、そうではない。離れていくのは夢の中の僕だ。
ラックブレイド、スレイヤーソード、ホーリィソード、ロングソード、ハードグリーヴァ、
1つ武器を差し込む度に更に僕を呼ぶ声は遠くになっていく。
メックハルバード、レーザーブレイド、レイピア、ナイウサーベル、フェイムフェイス、
亡者の声も、過去からの声も酷く遠い。
サーベル、ストライクアクス、アークウィンド、アイスコフィン、クリシュマルド、
僕を止めようとする声を殺していく。
デュエルソード、ワジールレイピア、クレセントアクス、バハムートティア、
僕を否定する夢が殺されていく。僕を拒む僕が‘死’に成っていく。
ポールアクス、金属バット、オーガアクス、グラディウス、ダマスクスソード、
その位の力でないと彼女が、彼女?
彼が行為を止めたころには既に魔術師は顔以外は武器に‘なっていた’。
「私の式は完璧だった。‘私’がその呪を触媒に掛ける瞬間を見ていたことを除けば」
ぞるりと外套の奥から2本の剣。右手にフランヴェルジュ、左手にヴォーパルソード。
炎の魔剣は、王の片割れはあの瞬間を目撃していた。
振りかぶって彼は魔術師の両の肩に双剣を貫いて、抉って腕を外す。
しかし魔術師は悲鳴を上げることなくただ嗤う。
彼は背中に手を回し、最後の一刀を引き抜く。
「確かに、確かにそれならば呪術破壊の一つや二つ容易かろうよ。
今のお前は‘生きている者’が御するには手が余る」
出でたるは美麗な大剣。全てを切り裂く魔剣エターナルソード。
「だが忘れるな!私の呪を砕いたとしても壊れた杯に水を汲むこと適わぬ!!
飼い犬が野良犬に戻るだけだ!人に戻るなど有り得ない!‘私’の力では叶わない!!
お前はどうする!?クレス=アルb
ぞるりと外套の奥から2本の剣。右手にフランヴェルジュ、左手にヴォーパルソード。
炎の魔剣は、王の片割れはあの瞬間を目撃していた。
振りかぶって彼は魔術師の両の肩に双剣を貫いて、抉って腕を外す。
しかし魔術師は悲鳴を上げることなくただ嗤う。
彼は背中に手を回し、最後の一刀を引き抜く。
「確かに、確かにそれならば呪術破壊の一つや二つ容易かろうよ。
今のお前は‘生きている者’が御するには手が余る」
出でたるは美麗な大剣。全てを切り裂く魔剣エターナルソード。
「だが忘れるな!私の呪を砕いたとしても壊れた杯に水を汲むこと適わぬ!!
飼い犬が野良犬に戻るだけだ!人に戻るなど有り得ない!‘私’の力では叶わない!!
お前はどうする!?クレス=アルb
さくり、さくりと貫けば、黙らぬ人間は居らず、死なぬ人間など居るはず無く。
「君がまさかこうなるとは、流石の僕でも検討もつかなかったよ」
ああ、あなたですか。
「東西に分断されたよ?獲物が減るかもね」
構いません。生きている奴がいるなら転移してでも殺します。
「沢山死んじゃったねえ?感傷とかは」
僕が殺せなかったことだけは。
「君は殺人鬼の更に上に行く心算なんだね?」
ええ、貴方にはお礼が言いたかった。
「‘死を与える者’ではまだ足りない。者は殺されてしまう…だから君は」
貴方が鼠を殺さなければ僕はこうは成れなかった。ありがとう。
「死、そのものに成りたい訳だ」
そうです。僕は殺せる力が必要なんです。
「人間一人が望むには過ぎたる願いだ。全てを犠牲にしても?」
はい。そうしなければ僕は前に進めません。
「だが君はあのツンツン頭の少年に手加減したよね?時空剣技ばかり使って…
君は君の本来の技を使うことを拒んでいる。それは偽善じゃないのかい?」
あれだけ技を見せて上げれば、少しは良い勝負が出来るでしょう。
その上で殺さないと僕が強く成れないじゃないですか。
「傲慢だねえ」
貴方程じゃ無いですよ。
「…成程、そこまで自己改竄が進んでいるのか」
え?
「何の為に?」
え?
「人間を辞めてまで求める力で君は何をしたいんだい?」
え?
「…そうか、君の戦いはまだあの地下で止まっているのか。
‘敵を滅ぼしたとしても囚われのお姫様を助け出さなければ物語が終わるはずが無い’」
え?
「大体分かった。これが今のお前か…お帰りはあちら。
とっとと帰ったほうがいい。剣と死しかないここは人間には辛過ぎる」
え?何を言って…帰る?何処に?どうやって?
「君はクレス=アルベインで、剣士で、寒いダジャレが好きで、
君が待っている人と君を待っている人がいる事を知っていれば良い」
え?意味が分からない。お前は誰だ。誰のことを言っている。
「まあ今答えなくても別に構わないよ。
君が最後の一人の時空剣士になるならば‘私’はもう一度お前の前に姿を現す。
その時もう一度お前に問う。お前は何の為にその力を得る?」
何の…?誰の…?…オリジン?
「然らばだ。願わくばお前がお前の答えを見出すことを」
ああ、あなたですか。
「東西に分断されたよ?獲物が減るかもね」
構いません。生きている奴がいるなら転移してでも殺します。
「沢山死んじゃったねえ?感傷とかは」
僕が殺せなかったことだけは。
「君は殺人鬼の更に上に行く心算なんだね?」
ええ、貴方にはお礼が言いたかった。
「‘死を与える者’ではまだ足りない。者は殺されてしまう…だから君は」
貴方が鼠を殺さなければ僕はこうは成れなかった。ありがとう。
「死、そのものに成りたい訳だ」
そうです。僕は殺せる力が必要なんです。
「人間一人が望むには過ぎたる願いだ。全てを犠牲にしても?」
はい。そうしなければ僕は前に進めません。
「だが君はあのツンツン頭の少年に手加減したよね?時空剣技ばかり使って…
君は君の本来の技を使うことを拒んでいる。それは偽善じゃないのかい?」
あれだけ技を見せて上げれば、少しは良い勝負が出来るでしょう。
その上で殺さないと僕が強く成れないじゃないですか。
「傲慢だねえ」
貴方程じゃ無いですよ。
「…成程、そこまで自己改竄が進んでいるのか」
え?
「何の為に?」
え?
「人間を辞めてまで求める力で君は何をしたいんだい?」
え?
「…そうか、君の戦いはまだあの地下で止まっているのか。
‘敵を滅ぼしたとしても囚われのお姫様を助け出さなければ物語が終わるはずが無い’」
え?
「大体分かった。これが今のお前か…お帰りはあちら。
とっとと帰ったほうがいい。剣と死しかないここは人間には辛過ぎる」
え?何を言って…帰る?何処に?どうやって?
「君はクレス=アルベインで、剣士で、寒いダジャレが好きで、
君が待っている人と君を待っている人がいる事を知っていれば良い」
え?意味が分からない。お前は誰だ。誰のことを言っている。
「まあ今答えなくても別に構わないよ。
君が最後の一人の時空剣士になるならば‘私’はもう一度お前の前に姿を現す。
その時もう一度お前に問う。お前は何の為にその力を得る?」
何の…?誰の…?…オリジン?
「然らばだ。願わくばお前がお前の答えを見出すことを」
僕は…
【クレス=アルベイン 生存確認】
状態:TP60%、善意及び判断能力の喪失 薬物中毒 禁断症状(白昼夢) 睡眠(気絶)
戦闘狂 殺人狂 欲求が禁断症状を上回りつつある デミテルの呪的支配を「殺害」
所持品:エターナルソード
基本行動方針:力が欲しい、禁断症状に苦しみたくはない
第一行動方針:強い敵を殺して強くなる
第二行動方針:殺せる生者を殺して弱さを捨てる
第三行動方針:ティトレイはまだ殺さない
現在位置:C2森
状態:TP60%、善意及び判断能力の喪失 薬物中毒 禁断症状(白昼夢) 睡眠(気絶)
戦闘狂 殺人狂 欲求が禁断症状を上回りつつある デミテルの呪的支配を「殺害」
所持品:エターナルソード
基本行動方針:力が欲しい、禁断症状に苦しみたくはない
第一行動方針:強い敵を殺して強くなる
第二行動方針:殺せる生者を殺して弱さを捨てる
第三行動方針:ティトレイはまだ殺さない
現在位置:C2森