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選択翅

最終更新:2019年10月13日 17:44

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選択翅


半信半疑であったティトレイ=クロウの情報は
放送で流れた死者の名前、及び発表順を鑑みると1つの空白と1つの否定を除いて実に正鵠を射ている。

E2城内とE3丘での顛末は先に述べた内容に問題は無いように思う。
ではこの1つの空白…リッド=ハーシェルの死について少し可能な限り想像してみよう。
ティトレイの情報からE2の状況は手持ちの画像で補えばありありと浮かんでくるのだが、
サウザンドブレイバー発射以降(厳密にはティトレイは発射の直前に気絶している)の
リッドとキールの行動が把握できない。情報が欠落しているのだ。
だがティトレイがE2の東から西へ、僕が南から西、そして北に移動したことで
リッドの死体がE2城の北にあることは消去法で導き出せる。
ならば考えられるE2城の戦闘に介入できない理由は西、或いは北からの何か、に対応した為だ。
つまり満たすべき条件はリッド達の南下よりも遅れたタイミングでE2城に北・西から来る事ができ、
尚且つあの出鱈目な力を備えたリッドを殺せる何かであること。

メルディである可能性は高いと思う。
と、言うのはメルディならばサウザンドブレイバーの発射と結果までの空白を一番合理的に埋めることが出来るからだ。
実物を見ていないから何とも言えないがI・ジャッジメントを更に高めた技を更に押し返すという非常識な事柄を
やってのける存在なんてあの化け物以外に思い浮かばない。
C3から逃げたと思われたメルディが近隣に潜み、残党追撃にかかりリッドとキールが相対した、と考えるのが妥当だ。

大方、また躊躇ったのだろう――――だから殺しておけと忠告したのに。

が、それだけでは説明が付かない点もある。
リッドがメルディの手に掛かったのならば何故キールは生きているのか?
全ての戦力を見切った訳ではないが、リッドが死んだならキールを殺すのに労力なんぞ要らないだろうに。
キールを殺せない程に消耗して逃げたと言うなら西か北に逃げるはずだが、僕の行動半径には引っかかっていない。
危険を冒して砲撃先の東かロイド達がいる南を突っ切るのは論外、ならばメルディは何処へ逃げたのか?
まさかリッドの言っていた通り何か戻れる方法が見つかってそれを命と引き替えに実行し、メルディを回収…
普通ならそう考えても良いのだが、その慢心があの村での惨めな結果を引き起こしたのだから信じることは難しい。
気絶させた程度で油断していたから、殺しておかなかったから。

―――間接的にとはいえ、そのせいで、姉様は。

総括して、メルディはまだ城付近で息を潜めている物と思う。
それが人の居ないところか、気絶した振りをして人の中に紛れているのかは分からない。


多少の誤差はあるだろうが、これで私達が居なくなった後のあの城の顛末だ。
まあ、お前には必要の無い補完ではあったが、じゃあ――――

「感想を聞こうか?劣悪種」

不自然な直角のみで縁取られた窓から朝日が家屋に漏れる。
ユグドラシルは地図をテーブルに広げてただ黙していた。
金髪を掻き上げてユグドラシルは柱に目を向ける。
足下から奥へ奥へと目線を延ばし、耳障りな嘆息の音源へと目を向ける。
四肢を縛られたミントは顔を半分床に打ち付けたまま、おぼろげに声のする方に目を送った。
「術を止めてまで放送を聞かせてやったのだ。感想くらいは聞かせて貰っても良いと思うのだがな」
嘲ってみるが、彼は内心は別の所にあった。
彼が彼女に与えた悪夢は総計六度、それでも尚彼女はここにいる。
(生意気なことこの上ないが…これ以上の悪夢となるとウィルガイアで無くば叶うまい。
現在展開中のサイレンスの事もある。これ以上の力の消耗は大局的に見てナンセンスだ)
罠敷設の上で術2つ。その消耗を推して量るのは実に容易な話である。
先の通り、もう一度メルディと一戦交える可能性を考えれば自身の精神力も万全の状態に持ち込まねばならない。
(ここで壊せれば一番速かったのだがそうも都合良くは、ということか。初期の計の通り進める他無いな)
「…が」
累積する思考の中に澱みが混じる。彼は彼女をもう一度凝視した。
「あなたが…あなたのせいで、スタンさんが…」
ミントは暗闇の中そこにいるはずの天使にただ怨嗟の気を吐く。
ユグドラシルは喉を鳴らして綺麗に苦笑した。この女が、怨む?
「まるで私がスタンを殺したみたいな言い草だな。私の読みには奴の死は勘定に入っていない」
ミントは軽蔑か侮蔑かあるいはそのどちらもかの表情をミトスに与える。
「そもそも私はあの男に死なれては困る側だぞ?奴を識っているスタンは後の駒として使いたかった位だ」
実の所、目的の遂行の障碍にならなければそれほど率先して手を汚す気は彼には無かった。
そんな暇もないし、寧ろ目的が成功した場合、事実上脱出という手段に移らなければならないため駒が必要になってくる。
ミクトランに一度勝ったことのあるらしいスタンは、駒としての条件を十分に満たしていた。
「尤も、目的が達成した後では動き難いからな…後の展開を易くする為、
 今の内から戦力は削っておくに越したことはない。連中を盥回しにしているのもその一環だ」
ミトスは地図の隣に広げた名簿を見てほくそ笑んだ。
こうやって戦いを煽れば使えない駒は篩い落とされ、使える駒は弱体化し手中に収めるのも殺すのも易くなる。
「私としては出来ればリアラ以外は、まだ死んで欲しくはなかったよ。
 そもそも最初のシナリオではE2に確実に来るのはロイド達とスタン達だけだったのだ。
 30分も足止めできれば充分のという程度の期待だったが。まあ…誘爆要素は考慮していたがな」
C3に現れた厄災の数々、それらもまた南下してくるかも知れない、とは彼も考えていた。
厄は厄を寄せる。スタン達の戦いはそう言う厄を惹き付ける囮の意味も含んでいたのである。
「…第一もうE2で何が起こったかは教えてやっただろうが。スタンを殺したのは他でもないお前の
「やめてください!」
突如のミントの怒声に部屋中の空気が震えたような気がする。
既に何も写さない彼女の瞳は、確かにミトスを捉えていた。
「そんな、そんな嘘…あなたが…」
「まあ又聞きの情報では信憑性が無いだろうな。第一私は一度お前に嘘をついていたのだから、信じないのは賢明だ」
ああ、やっぱりクレスか。それしか無いか。
「私も全部鵜呑みにするつもりは無いが…せめてカイルが生きていたことは信じるべきだと思うがな?」

少しだけ視線を移し、名簿の顔を確認した。
「カイル…生きていたとはな…いや、生きながらえてしまった、かな?」
ユグドラシルは一瞬ミントの顔を伺い、直ぐに視線を別に移した。
ティトレイの話では地下に突き落としたとの事だったが、それでも生きている。
「奴は今頃どうしているか?命のあることを謳歌しているか?
片翼を堕とされ藻掻いているか?既に両翼が堕ちたことに絶望したか?どう思う!?」
「それも…貴方の、貴方が…」
沈痛を眉に讃えたミントの声に、ユグドラシルは過大に嘲る。
「つくづく劣悪種は物分かりが悪いな。
 選択を強いたのはこの私だが、選択肢を作ったのは守ることにやたら意固地になったスタンだし
 スタンを選んだのはカイル自身だ。カイルが選ばなかったから2人とも守れなかったのだ」
「酷い…」
「そうか?だが私はカイル=デュナミスを高く評価している。
 ロイドやリッドのような腑抜けとは違い…彼奴は良い英雄になるぞ?
 全てを失い、初めて英雄の理は見えてくる。英雄の最も英雄たらしめる力…選ぶ力だ」
ユグドラシルの表情は顔にまでかかった金髪によってミントには窺い知れない。
こいつは同類だ、ミトスはあの黄昏の戦いでそう確信していた。
だからこそ、カイルには特に生きていて欲しいとミトスは強く願っていた。
カイルの苦悶が手に取るように分かる。
スタンを選んだつもりで、その癖リアラに未練を残して、その迷いこそがスタンを殺した。
英雄は常に何かを選び、何かを捨てなければならない。しかも時間制限付きだ。
それが出来ない無能が出来る奴を英雄と呼び、責任を押しつける。英雄なぞ所詮は汚れ役。
カイルがこの真理に辿り着いたならば、もう一度聞いてみたい物だ。お前は何を選んだのかと。
リアラとスタンの死なぞ真なる英雄になる為の授業料としては破格に安い。

これだけは、姉様のためではなく、彼自身の願望なのかも知れない。

「それでも、でも…」
ミントの呻きにユグドラシルは彼女に聞こえない程度に歯軋りをする。
そして一瞬だけ呼吸を整えて、自分でも思うくらい厭な笑い方をした。
「…余程認めたくはないようだが、お前も中々悪人だな?自分の男の罪を認めたく無いから私に責任転嫁か」
その一言にミントは瞼を大きく迫り上げ眼を見開いた。
自分が言った言の葉の意味を租借して自己嫌悪に嗚咽上げようとするが、伸びたユグトラシルの腕がミントの口を塞ぐ。
駄目だ。吐いて楽になどさせるか。こいつはとっくりと自分の変遷を理解させなければならない。
「ああ、気にするな。お前を責めている訳では無い。
 お前の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。…面白すぎて堪らんぞ」
ミントの頬を押しつぶす様に頭部を床に押しつけて、ミトスは不自然に高らかに笑う。
幾度の悪夢の賜物か、難攻不落と思われていたミントの精神は確実に綻びを見せている。
「私に罪を転嫁したいならばそれも構わないが…そんなことに意味など無い」
もう何も写さないその瞳は大きく揺れ動いている。
その確かな手応えを感じて、ミトスは大きな悦びと一抹の落胆を覚えた。
「理解しろ。お前が拒もうと、否定しようと殺人鬼は殺人鬼。不思議なことなど何もない」
ユグドラシルはそこまで言って、ミントを掴んだ腕に震えを感じた。
ミントの眼から伝う体液に気付いてユグドラシルは一層不機嫌な顔をする。
今更、今更泣くか?万の苦痛よりもクレスを貶められるのを拒むか?
最低だ。反吐が出る。ミントにか、クレスにか、僕にか。
ユグドラシルはミントを手放し、彼女に背を向ける。その金髪の向こうで必死に何かを整えていた。


「…フン、まあそんなこと、今はどうでもいい話だ。
 1つ確認したい…お前はあの森で出会った劣悪種から何を聞いていた?」
一拍おいてユグドラシルは揺さぶった彼女の脳髄から記憶を引き出す。
かつてのアトワイト同様、自己を維持するのに精一杯のミントの脳を解体していく。
彼は本来、G3での事が済み次第東に向かう予定だった。
エターナルソードを連中に探させるためには島の東に奴らを陽動する必要性があったからだ。
だが、それが出来なかった。言葉として体外に出せば途端に霧散しそうな何か。
そんな何かが彼に征東を拒否させた。ユグドラシルは何かを忘れていないことを忘れている。

そもそもグリッド達は何故このタイミングで此方に来たのか?
洞窟で待ち合わせ?後詰めの集団が東に来るのか?
ヴェイグの重傷が、そうではない。忘れているのはグリッドの傷の方だ。
傷は何処に?左肩の応急処置は何の為か?銃創、銃創?

化け物が、化け物が、彼らを―――――――――

「シャーリィ=フェンネス…あの化け物…あの餓鬼…!!」

ミントの埒外でミトスは違和感の正体を掴む。
リアラ殺しの事ですっかり忘れていたが、これこそが彼の東行きを拒ませた根拠に他ならない。

「…何故ミクトランは東西分断に踏み切ったと思う?」
ユグドラシルは慌てたように地図を、そこに書き込まれた禁止エリアを見据えた。
「私達の位置、ティトレイ達、E2の残党、そしてグリッド達とその後詰め…‘諸君等はそこにいていい’…
 これらから主催側がこれからの主戦場と定めたのはこの島の西側であることは想像に難くない」
ゆっくりとスカーフの奥、その金属の感触と、首と金属の隙間を確かめる。
「この島の東西を横断する場合、大別しルートは南北の橋と中央の山岳の裏手から砂漠を突っ切る3つしかない。
 問題はこの封鎖の順番が南から北に行われると言うことだ…ミクトランが位置把握をしていたという前提としても
 E2の連中がマーダーを避けて東に逃げようとした場合…南と中央、この二択は読み切れない」
しかし真っ先に北を放棄できる理由に説明を付けることが出来ればこの二択は消失する。
「北を放棄できたのは私が、私は、まあ煽動はするが厳密にはマーダーではないが…北には私がいるからだ…ならば、
 中央ルートにもまた壁役が居る可能性は…ある」
ミントから抽出したグリッドの言によれば化け物はD5より追い払われたそうだが…有り得る。
それならば少なくともE5さえ封じて仕舞えばもう事実上移動は不可能だ。
この仮説の通りに行けば未確認の生存者はたった3人…内1人は昨日の朝北東エリアから南下したリオン=マグナス。
図らずとも確実に状況は西へ推移している。否、西へ追い立てられている。ならば…いける。

「さて…では此方も備えをせねばならんな」
ユグドラシルはそういってテーブルの上の邪剣ファフニールを手にする。
手にした短剣と共に柱の後ろに回り、上体を立たせた。
ミントの耳元に金髪がちらつく。そのままの位置でユグドラシルは囁いた。
「ここまで耐え抜いた褒美だ…枷は解いてやる…あ、」
ミントの手首と柱に絡まったロープが切られ、そのままの勢いでミントの左の掌に大きく線が入る。
灼くような左手の熱と声にならない喘ぎの中、先ほどよりも少し低い位置でミトスはミントの鼓膜を擽った。
「ゴメンね?手が滑っちゃった。痛い?夢よりもやっぱ現実の方が即物的な反応だね…」
ミトスはそのままファフニールで左手と地面に縫いつける。ミントは唇を固く結んで、消え入りそうに呻く。
「忘れるなよ?姉様がクレスに挿れられたモノはこんなもんじゃ無かったんだからな」
痛い。瞼の奥で何かが痛む。大丈夫だ、これでは死なない。死ねない。死なせない。
「…ます…クレスさんは…そんな人じゃ…ありません…」
啜り泣くミントは唯々譫言を闇に紡いだ。既にミトスに聞かせてはいない。
「お前の解釈なんざ興味も意味も無いけどね、とりあえずして貰うことはして貰うよ」
その状態を確認してミトスはファフニールを引き抜いた。
同時に剣に付いた血を指でなぞり、床下に書かれた方陣をその血で汚す。
部屋中から呪の気配が消えるのを感じながら。ミントは右手に懐かしい杖の感触を握った。
「どうせ頭を働かせる気力も残ってないだろうからシンプルに言うよ。お前治癒術が使えるんだったよな?
お前の精神力限界まで僕にチャージをかけろ。拒んだらコレットを殺す、手を抜いても殺す」
ミントには意味がないことを承知でミトスは親指で自分の後ろの扉を指す。
ミントは何も言わず、苦渋の表情のまま右手だけで杖の頭を少し上げた。

「どうして、そうまでして拒む?」
ミトスはアトワイトを彼女の左手に翳している。
「お前の識るクレスはもういない…それでいいじゃないか」
ミント右手は杖をミトスに翳している。
「片っ端からそうやって見逃してきたんじゃない?今更一人見逃したって大して変わらないよ」
無音だ。サイレンスは疾うに消えて失せているのに、音が響かない。
「…お前が望むなら、全部忘れることもできる。僕なら出来る」
アトワイトのエクスフィアを移せば、最悪でもフィギュアになれば、全てを忘れることも出来る。
「諦めて、僕に委ねろ、そして僕の―――――――――――――――」
贄か、姉様に。

今鏡を覗けば、僕は喜んで自殺するだろう。それほど厭な顔をしていると自覚した。
こんなに近くにいるのに、僕の声は届いているのだろうか。
似ている箇所は少ないほうだ。固有マナだって厳密に言えばコレットのほうが姉様に近い。
タバサをアルテスタに作らせて見ても、結局出来たのは紛い物。
そう、紛い物だ。こいつは紛い物の筈だ。なのに、何故だろう。
理屈でも、造形でもなく、否定すれば否定するほど姉様の影がチラつく。
姉様のようで、姉様ではない。無限遠の距離感と差異が癪に障る。

頼むから、クレスを敵だと云ってよ。ねえ、聞こえてるの?貴方の裁可が欲しいんだ。

「お前の声は、もう誰にも届かない。闇の中独り、お前は朽ちていくんだ」

ミントはゆっくりと、顔を上げる。
光を二度と湛えることの無い瞳に、僕は、彼女以外の人を見ていた。

「―――――」

太陽は上がり村一番の高さを誇る建物、鐘楼の最上部は光を讃えていた。
手摺に手を伸ばし、ミトスはファラ=エルステッドが見ていた景色を眺める。
いい場所だ。C3村が一望でき、身を屈めれば手摺の影で地上からは死角になる。
罠の配線、配置は上々、這い蹲る劣悪種には何も分かるまい。

状況は予定通り動きますか?
「カイルとロイドは生きている。ならば蒔いた種は必ず咲くよ。考えられる悪性パターンは?」
1・ミント=アドネードが鐘の役割を果たさず自害を選んだ場合。
「コレットがいる。それは不可能だが…まあ死んだら死んだで僕が代役をするよ」
2・ミント=アドネードが鐘の破壊を目論んだ場合。
「あるかなあ…あれ相当に頑丈な作りだよ?まあ…その時は自分の咽喉潰してでも鐘になってもらおう」
3・ティトレイ=クロウが痺れを切らしてE2、或いは此方へ再出撃した場合。
「寧ろ願い所だね。コレットとミントを抑えている限り状況は何も変わらない。
 ここに集めて削るか向こうで削ってからこっちに集めるかの違いだ、大差無い。後者は先の推理通り在り得ない」
4・E2残党がコレット、ミント両名を放棄した場合。
「それは向こうの自由だ、が、オリジンの契約は絶対だ。
 直接間接問わず犠牲を認めたロイドにエターナルソードはもう応えないだろう。
 …僕の構築した物語を上回るためには、向こうはロイドを使ったエターナルソードによる脱出計画を放棄するしかない。
 他の反逆も同様だ。無理に流れに抗えば、自分の首を絞めるだけだよ。
 放って置けば他のマーダーに殺されてしまうから、分かってても来るしかないんだ」
5・その他の予定外の障害が現れる可能性
「第三勢力の介入は欲しいところだ。その為に第二禁止エリア発動の30分前に鐘を設定したんだ」
何故、あの場所でエターナルソードを回収しなかったのですか?
「まあ、僕はオリジンに嫌われているし、ティトレイの小賢しい策に大事をとったからだが…
 何よりあの時点で回収したなら僕は何れクレスとロイド、両方を同時に相手をしなければならなかった。
 その位ならクレスとロイドを殺し合わせて勝った方から魔剣を奪ったほうがシンプルに楽だろう?」
そこまで上手く行きますか?
「行くね。全ては僕の理想通りに動いている。まあ、人間共は今は何も見えていないだろうけど
 鐘が鳴れば分かるさ。気付いたときにはもう手遅れだけどね」

朝日を受けても一向に輝かないアトワイトのレンズ、その代わりといわんばかりに
本来ならアタッチメントディスクが在るべき場所に無理矢理寄生したエクスフィアが爛々と輝いていた。
「さて、ミントはどう出るかな…精一杯悩むといい。何を選んでも結果は変わらないが
 お前が悩んだ分だけ、お前の選択が導いた絶望と後悔が、お前を破壊する」
ミトスは寝転がって、この後の様々な可能性に期待を込めて大きく嗤った。


ミントは一人椅子に座りテーブルに顔を埋めていた。テーブルにはサックが置かれている。
この家を出て行く際、ミトスは彼女を座らせテーブルにサックを置いた。
(今から4時間後…午前11:30に今此処に張ったサイレンスは10分間無効化する)
コレットは扉の前で何をするとも無く杖を持って其処に立っている。
(つまらない推測だけど…クレスとティトレイは恐らく戦力が整い次第E2に残った連中に追撃を掛ける。
 そして、満身創痍で動けない連中はエターナルソードを手にしたクレスに蹂躙されるだろう。誰も助からない。
 それはお前がよく分かっているだろ?)
どこまでが嘘で、どこまでが本当かはもう分からない。
ミトスとティトレイという人はどこまで繋がっているのか、
クレスは敵なのか、信じることが本当の強さなのか、光はあるのか。
(例えばの話、もし…ここに注意を惹きつけ時間を稼ぐことが出来たなら、奴等にも生存の目が出てくるかも知れないね)
布で巻かれた左手を握ってみる。何も見えない今、微かな大気の音と左手の鮮烈な痛みだけが現実に値する。
(一つ、選択肢をあげる、どうするかは自分で選びなよ)
もう一度恐る恐るサックに右手を入れてみる。ごつごつとした感触。
見えずとも知らずとも、ミントは確信している。針金を回収した際にミトスが確保してきたものであろう。
其は昨日ファラ=エルステッドが島の全てに想いの乗せた―――拡声器である。
(コレット、お前はこれ持って此処に待機。こいつが自殺しないよう監視してろ…まあ、後四時間ゆっくり考えたら?)
そう云ってミトスは扉を閉めて出て行った。その衝撃で水に濡れたデッキブラシとバケツが倒れた音が、何時までも響いていた。


ミトスは自覚している。
予定だの計画だのと言い繕った所で、それらの殆どは唯の偶然に過ぎないことを。
もしスタンがジーニアスを見殺しにしたことを後悔していなかったら、城に残るとは言わなかっただろう。
もしリアラがコレットの無機化に対し自責を抱いていなかったら、あそこまでカイルを蔑ろにはしなかっただろう。
もしネレイドが大いなる実りのマナを探知していなかったら、南下はしなかっただろう。
もしグリッドがミトス達に遭遇していなかったら、ミトスは東に向かっていただろう。
もしダオスが大いなる実りを持っていなかったら、何も起こらなかっただろう。
薄氷の上を進むごとく、一歩間違えれば、こうはならなかった。
だがこの偶然、神…女神以外に誰が仕組めようか。
そう、自覚している。この絶対的天運を、勝負の流れが確実に自分にあることを理解している。
ミトスはその流れを形に変えているだけなのだ。
そしてミトスは自分の手札、相手の手札から理詰めで宴までの流れを十中八九読みきっていた。
既にE2残党とティトレイ達は網に掛かっている。
中央部に居ると思わしきシャーリィ=フェンネスもまた網に掛かりかけていた。


そしてこの運気の流れ、その根源を確信している。
女神の導き、マーテルが生きたいと願っているに他ならないと。
マーテルの復活は、天意と言って差し支えない。
あるいはそう思い込む執念が、天運を呼び寄せているのか。

時空剣士2人と災厄、それに纏わる者達をこの地に集め、
どちらか勝った方から魔剣を奪い、宴を生き残った強者を駒とする。

一見無限にある翅も遠くより見れば一つの翼。
宴の支度は未だ整わず。
されど午前11:30、宴の発動権は聖母の掌に。





【ミトス=ユグドラシル 生存確認】
状態:TP80%(チャージで回復) ミント殺害への拒絶反応
所持品:エクスフィア強化S・アトワイト ミスティシンボル
    大いなる実り 邪剣ファフニール ダオスのマント
基本行動方針:マーテルの蘇生
第一行動方針:ミントの出方を静観しながら休憩
第二行動方針:C3村でティトレイ達とロイド達を戦わせて両サイドを消耗させる(可能ならシャーリィを巻き込む)
第三行動方針:最高のタイミングで横合いから思い切り殴りつけて魔剣を奪い儀式遂行
第四行動方針:蘇生失敗の時は皆殺しにシフト
現在位置:C3村・鐘楼最上部

※ミトスはシャーリィが未だフィギュア化していると思っています


【ミント・アドネード 生存確認】
状態:TP0% 失明 帽子なし 重度衰弱 左手負傷(処置済)
所持品:拡声器 サック(ジェイのメモ サンダーマント)
第一行動方針:…どうすれば…
第ニ行動方針:クレスがとても気になる
第三行動方針:仲間と合流
現在位置:C3の村の民家

※ミトスの目的は知りません

【コレット・ブルーネル 生存確認】
状態: 無機生命体化 (疲労感・精神力磨耗無視)
所持品:苦無(残り1) ピヨチェック ホーリィスタッフ
基本行動方針:防衛本能(自己及びミトスへの危機排除。若干プログラムにエラーあり)
第一行動方針:ユグドラシルの言うことを聞く?
現在位置:C3の村の民家

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