The abandoned gambit
ティトレイは、森の木の実を事務的に嚥下した。
向かいに腰掛ける、クレスもまた同じく。
ミクトランから配られた食料も、いい加減この2日で底をついた。
今彼らが口にしているのは、焚き火の火で適当に炙っただけの木の実。
はっきり言って生焼けだし、渋い。
この深い森の中なら、頭上の木々が煙を漉し取り、火を焚いてもそうそう周囲には分からないであろうことが唯一の救いか。
それでも、何か食べないことには力も出ない。
(カレギアを旅していた頃、たまにこんな食事をしていたことがあったっけか)
ティトレイは、木の実の渋みに顔を歪めながら、もう戻らぬ過去の思い出を掘り出していた。
「…………」
クレスは食べる。ただ黙々と。
鎮静剤を先ほど投与してから、ようやくクレスは人心地ついたらしく、「まともな」状態に戻った。
だがそれはただ、禁断症状の苦痛に苛まれずに済むようになっただけに過ぎない。
ひと時ばかり、地獄の再来を防いだに過ぎないのであるが。
既にデミテルに渡された小瓶は、クレスの足元で空になっていた。
これで、正真正銘後はない。クレスに残された時間は、わずか9時間。次の放送があるまで。
それを過ぎればどうなるか。後はクレスに残されるのは、地獄の苦痛と悪夢のみ。
そして最後には、人間としての尊厳を甚だ欠いた、惨めな死。
最も、それはティトレイもある意味同じことであるが。
(…やっぱ、イーフォンが怒り狂ってるぜ)
ティトレイには、体内の異常をそんな風に評してみた。
体内のフォルスの状態が、先ほどから芳しくない。
まだフォルス自体は問題なく使える。だが、異常はすぐそこまで迫っていることはひしひし感じる。
いわば、嵐の前の静けさ。ティトレイのフォルスの今のあり方を一言で説明するなら、この表現が最も適切か。
このまま行けば、確実に闇の力は自身に牙を剥く。そして、ティトレイの身を冒す。
(ほんと、おっさんがまだ生きててくれりゃ、これも何とかなったかも知れねえってのに)
がりりと奥歯で木の実が砕ける。少し、甘苦い。
ティトレイも出会って以降、デミテルの様々な奇策をその身を以って知っている。
ユージーンすら思いもよらなかったような、樹のフォルスの新たな使い道も見つけ出した。
そして、自らの手駒と手札を用い、あれほど完璧な滅殺の布陣を張ってのけた。
結果的にその策は成らなかったものの、彼の知力を以ってすれば、
上手いことこの闇の力を抑え込む策も、あるいは思いついていたかもしれない。
クレスが木の実を噛む音が、朝霧の晴れかかった森に響く。
(ま、別にそんときゃそん時だ。どうせもう、俺は一度死んだ身だしな)
ティトレイ・クロウという人間はもう既に死んだ。
ここにあるのは、4000年もの間世界を裏から統治してきたクルシスの指導者、
ミトス・ユグドラシルすら腹芸で踊らせ、そして成功させた1人の殺人鬼。
(これが、あのおっさんの置き土産ってとこかな)
我ながら、ハッタリや駆け引きは上手くなったと思う。
今なら、サレやジルバのような手合いですら、心理戦に持ち込めば手玉に取れるやも分からない。
泣いたり笑ったり怒ったり、そう言った心の雑音が消えた今、ティトレイの心はどこまでも透徹している。
感情という余分な荷物を振り捨てた今の彼は、その精神力を以前の数倍は思考能力に向けられるのだ。
(さて、これからどうすっかな)
ティトレイは、森の泉で救ってきた水を一口、口に含んだ。
クレスは、既に命運は定まっている。次に放送が来るまで。それが、クレスに残された時間と考えていい。
ティトレイもアニーに聞いたことがある。
麻薬による中毒症状を完治させるのは、たとえ陣術を使える腕利きの医師でも、かなり長期間の治療が要ると。
クレスを保たせる麻薬はもうない。中毒症状を癒す手段もない。
迫り来る運命から、逃れる手段はない。
そして、ティトレイもまた同じく。いつイーフォンの罰が己が身に下るかも知れたものではない。
いわば、ティトレイもいつ爆発するか分からない爆弾を背負いながら、戦わねばならないようなものである。
この島での戦いをここまで生き延びた強運も、どこまで通じてくれることか。
ジェイの手により一度は「詰み」に追い込まれても…その「詰み」から脱したほどの、この強運が。
ティトレイはしぱんとあぐらをかいた膝を叩きながら、しばらくぶりに言葉を発してみる。
「クレス、これから俺達はどうするか?」
狂人と狂人の会話。傍目に見ればこれほど超現実的で、また滑稽なやり取りはあるまい。
そして、クレスの答えはやはり単純明快そのもの。
「…殺したい」
かちゃりと、クレスの右手に握られた魔剣が鳴る。
「もっと殺して、この島を人の血で赤く染め上げたい…人を壊したい」
まるで、まだ肉体から禁断症状が抜けやらぬかのように、クレスの手からは震えが消えていなかった。
ティトレイはそれを見て、諦め半分に肩をすくめて見せた。
「ま、お前の返事はそんなこったろうとは思ってたけどな…。
となると、俺らに残された選択肢は大きく分けてこの二つだ」
ヴェイグ達を何らかの手段で挑発して、ミトスも巻き込んだC3村での「宴」に招待するか。
さもなくばミトスの策に乗らず、こちら2名は単独で行動し、先遣隊としてヴェイグ達を潰しに行くか。
「ミトスの奴は、エターナルソードのありかはどこに行こうと分かるっつってたよな。
俺たちがどこにいるかはあいつには筒抜けだ。俺らがもしあいつの策に乗らなきゃ、どうなる?」
ミトスの持ちかけた筋書きは、すなわち次の通り。
ティトレイとクレスはC3の村の近くに配置。そしてミトスはC3の村でロイドらの来訪を待つ。
侵入者が来たところでC3の村の鐘を鳴らし、ティトレイとクレスもそこに乱入。
そして乱戦の中上手いこと漁夫の利を狙うというのが、ミトスの腹づもりであろう。
(おっさんもミトスの奴も、結局どいつもこいつも狙うのは漁夫の利ってわけか)
だが、ティトレイはそれも道理と頷ける。デミテルもしばしばティトレイに説いていた。
三つ以上の勢力が争いを繰り広げているなら、のらりくらりと矛先をかわし、
自分以外の勢力が共倒れになるよう仕向けるのが、一番安全な策であると。
(…けど、向こうは冷静になれば、俺達は取り引きに乗らないって判断くらい、すぐ下せるはずだ)
昨夜のミトスとの話の際、彼は「ティトレイたちは焦っている」と看破していた。
そしてティトレイはそれを婉曲的ながら、肯定してみせた。
「何らかの刻限が迫っている仲間の剣士」は、クレスであるという推理くらい、彼なら軽くやってのけるだろう。
何せ、今日の放送でクレスが呼ばれなかったのだから。
放送自体はろくに聞いていないが、ミクトランは嘘はつかない。クレスは呼ばれていないという確信のようなものがある。
また、ティトレイは「クレスは死んだ」とは言っていない。
クレスは死んだのだと相手に誤解させられるよう、断片的に真実を述べたのだ。
これでミトスは、自身とクレスが同盟関係にあると…腹芸で踊らされたと看破するであろうことはほぼ間違いない。
断片的に真実を述べたというティトレイの行為が、可能性を確信へと変えるのだ。
(ま、ミトスの奴ならこれくらい簡単に推理してみせるだろうな。
『俺たちが焦っている』って事実を向こうがブラフととるこたぁねえだろうから…
すると、ミトスが俺らを意のままに従わせるつもりなら、ミトスは俺らに何らかの『縛り』を施す必要がある。
その『縛り』としての候補は…)
言うまでもない。クレスの持つ、エターナルソード。先述の通り、これのありかはミトスに筒抜け。
ミトスのブラフを信じているティトレイは、その前提の下更に思考する。
(…だが、こいつはまともな『縛り』にはならねえだろうよ)
『まずその愛する所を奪わば、すなわち聴かん』。デミテルに聞かされた、兵法書の一節。
敵を自らの手の上で踊らせるならば、敵が後生大事にしている何か、守らねばならぬ行為を知り、それを逆手に取る。
ティトレイの守るべきものは、すなわちクレス。ヴェイグ殺しの剣。
そして、さすがのミトスでもそこまでの推理は出来るか。否。知ることが出来ても、真相の断片が限界だろう。
刻限が迫っている剣士がクレスであることを知っても、クレスをヴェイグ殺しの剣に使うとまでは、彼には推理できまい。
そこまで推理するためのパズルのピースを、ティトレイはミトスに与えていないのだ。
エターナルソードとミトスのブラフにより、いつでも命を奪いに来れるという脅迫が、精々の『縛り』の限界。
そして、命を惜しまぬ者に殺意をほのめかしても、そんな脅しには屈しないのは言わずと知れたこと。
(ま、それでミトスが俺らを殺しに来たなら、そんときゃそんときだ)
そうなれば、エターナルソードを人質にとって、また上手いこと立ち回ればいい。ティトレイは考える。
それに、エターナルソードを手にしたクレスとティトレイならば、まずどんな相手でも1人なら無傷では済むまい。
むしろ、ここに全てを知る者が存在したなら、こう判断するだろう。
いかなミトスでも、ティトレイとクレスを一度に敵へ回したならかなりの苦戦を強いられる、と。
現実には、ミトスにとっては2人の戦闘力は伏せ札になっているが、これもまたティトレイらには追い風。
戦闘力不明。戦闘という行為に対するリスクは、ミトスには計算不能。
更には、エターナルソードの処理権限は今のところティトレイらにある。
これら二重の抑止力が働く以上、ミトスはティトレイらの積極的撃破を下策と判断するはずだ。
(長々考えちまったが、要するにミトスには事実上、俺らがどう動こうとそれを封殺する手段はねえってこった。
ミトスだって、俺らが取り引きに乗るかどうかを考えれば、せいぜい『あわよくば』程度にしか考えてねえはず。
とにもかくにも、俺らは自らミトスが待ち構えてるC3の村に入るまでの間は、
ミトスの手でもたらされるリスクは、度外視して動き回れる)
ティトレイは、わずかながらに笑みを浮かべた。笑みを浮かべる真似をしてみた。
結局昨夜のミトスの牽制は、ティトレイを意のままに操るには不完全。
ティトレイの『愛する所』を…ヴェイグ殺しの剣を奪えなかったミトスは、ティトレイという駒を制御できない。
神の視点から見れば、もしティトレイが気まぐれでエターナルソードを禁止エリアにでも捨ててしまえば…
その瞬間、ミトスの思惑は一つを残して『詰み』になることが見て取れるだろう。
すなわち、シャーリィ・フェンネスと同じく、血にまみれた勝者となる道を除いては。
ティトレイとミトス。主導権を握るのは前者。
これはミトスの失策というよりは、ティトレイの箍(たが)の外れた精神性の勝利である。
常人相手ならば、殺意をほのめかせばその恐怖にほとんどの者を屈させることが出来る。
だが、常人の道理は狂人に通じない。この島の戦いを見続けた者には、分かりきった真理。
(さて、ミトスが俺らの行動を邪魔しないなら、どうする?)
ティトレイは小さく燃える火を眺めながら、髭のほとんどない顎を撫でる。
ティトレイの目的は、ただ一つ。クレスをけしかけたヴェイグ殺し。もしくはヴェイグを再びマーダーに復帰させる。
そしてクレスは、ただ人を殺す。死そのものと化す。
ヴェイグを殺すことぐらい、クレス単騎でもそれほど難しいことではあるまい。
だが問題は、いまやヴェイグの友人となったロイド。そして、ロイド以外にも、もう1人仲間がいることを確認している。
名簿をざっと眺めて、判明した男の名はグリッド。
(つまり、だ)
ティトレイにとって最も有り難いのは、ヴェイグをロイドやグリッドから孤立させ、
そしてヴェイグの心を再び追い詰めてマーダーに返り咲かせる、という流れ。
ティトレイには、ヴェイグの心を追い詰める策ならいくらでも考え付く。
根を詰めやすい性格の彼を追い詰める策なら。彼の心の弱い部分を、最も間近で見たのはティトレイなのだ。
つまり、ティトレイはヴェイグの弱点を知り尽くしている。
(あの純粋熱血馬鹿のロイドが死んでりゃ、ヴェイグを『堕とせる』可能性もますます上がるんだが…)
ティトレイは嘆息した。先ほど呆けて放送を聞いていなかったのは、やはり痛い。
死者も禁止エリアも知らない。禁断症状の悪夢の中悶絶していたクレスは言うに及ばず。
下手を打てば、この隣のエリアが禁止エリアかも知れない。
ここから移動するなら…いや、移動しなくとも、ここから先の行軍はある種の地雷原突破になる。
C3の村のミトスに放送内容を聞きに行こうかとも一瞬思ったが、止めた。
たとえクレスに『留守番』をしていてもらうにせよ、ティトレイの手元にはミトスと取り引きできる札がない。
何より、ミトスが放送を聞いているという前提で話を進めるならば、ミトスはティトレイに騙されたと確信せぬはずもない。
そんな相手に臆面もなく情報など聞きに言ったら、まず情報料として命を持っていかれるだろう。
もとより既に命などに執着を持たぬティトレイだが、そんな犬死にだけはさすがに避けたい。
よしんばミトスを撃退したとしても、ヴェイグらを殺すための舞台装置を失ってしまう。下策以外の何物でもない。
(こんなことなら、いっそフォルスなんて使えない方が良かったぜ)
放送を全て聞き流したティトレイに、唯一与えられた情報。それは、ヴェイグの生存。
放送があった頃に感じた、あの冷たい波動。ヴェイグは、生きている。
フォルスがなければ…
ヴェイグの死さえ知ることがなければ、後はただ何も考えずに他の参加者を殺すだけで心安らかになれるのに。
わずかばかりの恨み言。しかしティトレイは、すぐさまそんな未練を心の大海に沈めることになる。
(まあ、なるようになるぜ)
結局はそこ。その結論は、わずかながらに彼が彼であったゆえんをほのめかしていた。
禁止エリアも分からない。闇の力のリバウンドが、いつ来るかも分からない。
ロイドやグリッドの生死も分からず、彼らの今の居場所はより一層分からない。
だが、ヒントならばある。
(こいつ、だな)
ティトレイは瞳をつぶり、右手を地面に着ける。体内のフォルスの律動を、草木のそれと同調させる。
感じる。
風にそよぐ草から風向きを。
木に当たる日差しから、日の方向を。
フォルスを用いた、不可視の索敵網。
ヴェイグはこの存在を、知っているはず。
ならば、行動は予測できる。
(ヴェイグ達が行く先は、おそらく植物のないところだ)
樹のフォルスの弱点。それはすなわち、植物のないところではその力を活かしきれないこと。
ティトレイらを撃破する布石としてであれ、単純にフォルスの索敵網から逃れるためであれ…
とにかく、植物のないところに、ヴェイグらが逃げ込む公算は高い。
植物のない地形は、攻めにも守りにもおあつらえ向きなのだ。
ティトレイは手元の地図を開き、候補地を次々指してゆく。
北から順に、D3~E3の砂漠地帯。
「サウザンド・ブレイバー」で焦土と化したE2城の跡地。
F2からF4・G4にまで連なる、大きな街道。
G3の山岳地帯やその洞窟。
更には、F4・G4の川辺。
ざっと挙げたところは、この辺りか。
ついでに言えば、海辺の砂浜もヴェイグらが逃げ込む候補に考えてもいいかも知れない。
もっとも、ロイドやグリッドが存命なら、この目論見は狂う可能性もある。
不確定要素も多い想定だが、これが一番ありえそうな行動だろう。
(さて、考えることも考えたし、と)
「クレス、もう一眠りするぜ」
「…ああ」
ティトレイは呼びかけ、クレスはそれにただ淡々と応じる。
クレスはともかくとして、ティトレイはまだ体力気力共に不十分。辛うじてまともに動ける程度。
睡眠をとった上で錬術を併用すれば、正午には何とか戦えるようになるだろう。
とにかく、時間がない。クレスに残された時間はあと9時間。
ティトレイは、いつ爆発するか分からない『爆弾』を抱えている。
正午までの休憩は、満身創痍の体と迫り来る時間をすり合わせ、ギリギリのところで妥協できる一線。
とにかく、今は休まねば。
ティトレイはそう決めるや否や、どっかと地面に体を横たえる。
焚き火は、こんな湿度の高い森の中でなら、放っておけばそのうち消えるだろう。
禁止エリア、不透明なヴェイグの仲間関係、闇の力のリバウンド、クレスにかかる制限時間。
それだけ多くの問題を抱えておきながらも、ティトレイの心は不思議と焦燥感を感じなかった。
どうせ死ぬ時には死ぬ。心の片隅で、ティトレイは思う。
ティトレイ・クロウという人間はあの時…フォルスを暴走させた時点で、既に死んだ。
今この緑髪の青年に残された命は、その時の燃え残り。
だがその燃え残った命は、ただ漫然と燃え尽きるのを待つには、あまりに長過ぎる。
だからこそ、彼はヴェイグの『処理』にその残る命を捧げている。
極論ながら、所詮この計画を練ること自体も、黄泉の獄卒がティトレイの身を捕らえるまでの『暇潰し』に過ぎない。
だが、彼の命と共に燃え残ったひとかけらの心は、今何を思うのか。
ティトレイの心は、既に彼自身の手綱すら離れ去っていってしまった。
向かいに腰掛ける、クレスもまた同じく。
ミクトランから配られた食料も、いい加減この2日で底をついた。
今彼らが口にしているのは、焚き火の火で適当に炙っただけの木の実。
はっきり言って生焼けだし、渋い。
この深い森の中なら、頭上の木々が煙を漉し取り、火を焚いてもそうそう周囲には分からないであろうことが唯一の救いか。
それでも、何か食べないことには力も出ない。
(カレギアを旅していた頃、たまにこんな食事をしていたことがあったっけか)
ティトレイは、木の実の渋みに顔を歪めながら、もう戻らぬ過去の思い出を掘り出していた。
「…………」
クレスは食べる。ただ黙々と。
鎮静剤を先ほど投与してから、ようやくクレスは人心地ついたらしく、「まともな」状態に戻った。
だがそれはただ、禁断症状の苦痛に苛まれずに済むようになっただけに過ぎない。
ひと時ばかり、地獄の再来を防いだに過ぎないのであるが。
既にデミテルに渡された小瓶は、クレスの足元で空になっていた。
これで、正真正銘後はない。クレスに残された時間は、わずか9時間。次の放送があるまで。
それを過ぎればどうなるか。後はクレスに残されるのは、地獄の苦痛と悪夢のみ。
そして最後には、人間としての尊厳を甚だ欠いた、惨めな死。
最も、それはティトレイもある意味同じことであるが。
(…やっぱ、イーフォンが怒り狂ってるぜ)
ティトレイには、体内の異常をそんな風に評してみた。
体内のフォルスの状態が、先ほどから芳しくない。
まだフォルス自体は問題なく使える。だが、異常はすぐそこまで迫っていることはひしひし感じる。
いわば、嵐の前の静けさ。ティトレイのフォルスの今のあり方を一言で説明するなら、この表現が最も適切か。
このまま行けば、確実に闇の力は自身に牙を剥く。そして、ティトレイの身を冒す。
(ほんと、おっさんがまだ生きててくれりゃ、これも何とかなったかも知れねえってのに)
がりりと奥歯で木の実が砕ける。少し、甘苦い。
ティトレイも出会って以降、デミテルの様々な奇策をその身を以って知っている。
ユージーンすら思いもよらなかったような、樹のフォルスの新たな使い道も見つけ出した。
そして、自らの手駒と手札を用い、あれほど完璧な滅殺の布陣を張ってのけた。
結果的にその策は成らなかったものの、彼の知力を以ってすれば、
上手いことこの闇の力を抑え込む策も、あるいは思いついていたかもしれない。
クレスが木の実を噛む音が、朝霧の晴れかかった森に響く。
(ま、別にそんときゃそん時だ。どうせもう、俺は一度死んだ身だしな)
ティトレイ・クロウという人間はもう既に死んだ。
ここにあるのは、4000年もの間世界を裏から統治してきたクルシスの指導者、
ミトス・ユグドラシルすら腹芸で踊らせ、そして成功させた1人の殺人鬼。
(これが、あのおっさんの置き土産ってとこかな)
我ながら、ハッタリや駆け引きは上手くなったと思う。
今なら、サレやジルバのような手合いですら、心理戦に持ち込めば手玉に取れるやも分からない。
泣いたり笑ったり怒ったり、そう言った心の雑音が消えた今、ティトレイの心はどこまでも透徹している。
感情という余分な荷物を振り捨てた今の彼は、その精神力を以前の数倍は思考能力に向けられるのだ。
(さて、これからどうすっかな)
ティトレイは、森の泉で救ってきた水を一口、口に含んだ。
クレスは、既に命運は定まっている。次に放送が来るまで。それが、クレスに残された時間と考えていい。
ティトレイもアニーに聞いたことがある。
麻薬による中毒症状を完治させるのは、たとえ陣術を使える腕利きの医師でも、かなり長期間の治療が要ると。
クレスを保たせる麻薬はもうない。中毒症状を癒す手段もない。
迫り来る運命から、逃れる手段はない。
そして、ティトレイもまた同じく。いつイーフォンの罰が己が身に下るかも知れたものではない。
いわば、ティトレイもいつ爆発するか分からない爆弾を背負いながら、戦わねばならないようなものである。
この島での戦いをここまで生き延びた強運も、どこまで通じてくれることか。
ジェイの手により一度は「詰み」に追い込まれても…その「詰み」から脱したほどの、この強運が。
ティトレイはしぱんとあぐらをかいた膝を叩きながら、しばらくぶりに言葉を発してみる。
「クレス、これから俺達はどうするか?」
狂人と狂人の会話。傍目に見ればこれほど超現実的で、また滑稽なやり取りはあるまい。
そして、クレスの答えはやはり単純明快そのもの。
「…殺したい」
かちゃりと、クレスの右手に握られた魔剣が鳴る。
「もっと殺して、この島を人の血で赤く染め上げたい…人を壊したい」
まるで、まだ肉体から禁断症状が抜けやらぬかのように、クレスの手からは震えが消えていなかった。
ティトレイはそれを見て、諦め半分に肩をすくめて見せた。
「ま、お前の返事はそんなこったろうとは思ってたけどな…。
となると、俺らに残された選択肢は大きく分けてこの二つだ」
ヴェイグ達を何らかの手段で挑発して、ミトスも巻き込んだC3村での「宴」に招待するか。
さもなくばミトスの策に乗らず、こちら2名は単独で行動し、先遣隊としてヴェイグ達を潰しに行くか。
「ミトスの奴は、エターナルソードのありかはどこに行こうと分かるっつってたよな。
俺たちがどこにいるかはあいつには筒抜けだ。俺らがもしあいつの策に乗らなきゃ、どうなる?」
ミトスの持ちかけた筋書きは、すなわち次の通り。
ティトレイとクレスはC3の村の近くに配置。そしてミトスはC3の村でロイドらの来訪を待つ。
侵入者が来たところでC3の村の鐘を鳴らし、ティトレイとクレスもそこに乱入。
そして乱戦の中上手いこと漁夫の利を狙うというのが、ミトスの腹づもりであろう。
(おっさんもミトスの奴も、結局どいつもこいつも狙うのは漁夫の利ってわけか)
だが、ティトレイはそれも道理と頷ける。デミテルもしばしばティトレイに説いていた。
三つ以上の勢力が争いを繰り広げているなら、のらりくらりと矛先をかわし、
自分以外の勢力が共倒れになるよう仕向けるのが、一番安全な策であると。
(…けど、向こうは冷静になれば、俺達は取り引きに乗らないって判断くらい、すぐ下せるはずだ)
昨夜のミトスとの話の際、彼は「ティトレイたちは焦っている」と看破していた。
そしてティトレイはそれを婉曲的ながら、肯定してみせた。
「何らかの刻限が迫っている仲間の剣士」は、クレスであるという推理くらい、彼なら軽くやってのけるだろう。
何せ、今日の放送でクレスが呼ばれなかったのだから。
放送自体はろくに聞いていないが、ミクトランは嘘はつかない。クレスは呼ばれていないという確信のようなものがある。
また、ティトレイは「クレスは死んだ」とは言っていない。
クレスは死んだのだと相手に誤解させられるよう、断片的に真実を述べたのだ。
これでミトスは、自身とクレスが同盟関係にあると…腹芸で踊らされたと看破するであろうことはほぼ間違いない。
断片的に真実を述べたというティトレイの行為が、可能性を確信へと変えるのだ。
(ま、ミトスの奴ならこれくらい簡単に推理してみせるだろうな。
『俺たちが焦っている』って事実を向こうがブラフととるこたぁねえだろうから…
すると、ミトスが俺らを意のままに従わせるつもりなら、ミトスは俺らに何らかの『縛り』を施す必要がある。
その『縛り』としての候補は…)
言うまでもない。クレスの持つ、エターナルソード。先述の通り、これのありかはミトスに筒抜け。
ミトスのブラフを信じているティトレイは、その前提の下更に思考する。
(…だが、こいつはまともな『縛り』にはならねえだろうよ)
『まずその愛する所を奪わば、すなわち聴かん』。デミテルに聞かされた、兵法書の一節。
敵を自らの手の上で踊らせるならば、敵が後生大事にしている何か、守らねばならぬ行為を知り、それを逆手に取る。
ティトレイの守るべきものは、すなわちクレス。ヴェイグ殺しの剣。
そして、さすがのミトスでもそこまでの推理は出来るか。否。知ることが出来ても、真相の断片が限界だろう。
刻限が迫っている剣士がクレスであることを知っても、クレスをヴェイグ殺しの剣に使うとまでは、彼には推理できまい。
そこまで推理するためのパズルのピースを、ティトレイはミトスに与えていないのだ。
エターナルソードとミトスのブラフにより、いつでも命を奪いに来れるという脅迫が、精々の『縛り』の限界。
そして、命を惜しまぬ者に殺意をほのめかしても、そんな脅しには屈しないのは言わずと知れたこと。
(ま、それでミトスが俺らを殺しに来たなら、そんときゃそんときだ)
そうなれば、エターナルソードを人質にとって、また上手いこと立ち回ればいい。ティトレイは考える。
それに、エターナルソードを手にしたクレスとティトレイならば、まずどんな相手でも1人なら無傷では済むまい。
むしろ、ここに全てを知る者が存在したなら、こう判断するだろう。
いかなミトスでも、ティトレイとクレスを一度に敵へ回したならかなりの苦戦を強いられる、と。
現実には、ミトスにとっては2人の戦闘力は伏せ札になっているが、これもまたティトレイらには追い風。
戦闘力不明。戦闘という行為に対するリスクは、ミトスには計算不能。
更には、エターナルソードの処理権限は今のところティトレイらにある。
これら二重の抑止力が働く以上、ミトスはティトレイらの積極的撃破を下策と判断するはずだ。
(長々考えちまったが、要するにミトスには事実上、俺らがどう動こうとそれを封殺する手段はねえってこった。
ミトスだって、俺らが取り引きに乗るかどうかを考えれば、せいぜい『あわよくば』程度にしか考えてねえはず。
とにもかくにも、俺らは自らミトスが待ち構えてるC3の村に入るまでの間は、
ミトスの手でもたらされるリスクは、度外視して動き回れる)
ティトレイは、わずかながらに笑みを浮かべた。笑みを浮かべる真似をしてみた。
結局昨夜のミトスの牽制は、ティトレイを意のままに操るには不完全。
ティトレイの『愛する所』を…ヴェイグ殺しの剣を奪えなかったミトスは、ティトレイという駒を制御できない。
神の視点から見れば、もしティトレイが気まぐれでエターナルソードを禁止エリアにでも捨ててしまえば…
その瞬間、ミトスの思惑は一つを残して『詰み』になることが見て取れるだろう。
すなわち、シャーリィ・フェンネスと同じく、血にまみれた勝者となる道を除いては。
ティトレイとミトス。主導権を握るのは前者。
これはミトスの失策というよりは、ティトレイの箍(たが)の外れた精神性の勝利である。
常人相手ならば、殺意をほのめかせばその恐怖にほとんどの者を屈させることが出来る。
だが、常人の道理は狂人に通じない。この島の戦いを見続けた者には、分かりきった真理。
(さて、ミトスが俺らの行動を邪魔しないなら、どうする?)
ティトレイは小さく燃える火を眺めながら、髭のほとんどない顎を撫でる。
ティトレイの目的は、ただ一つ。クレスをけしかけたヴェイグ殺し。もしくはヴェイグを再びマーダーに復帰させる。
そしてクレスは、ただ人を殺す。死そのものと化す。
ヴェイグを殺すことぐらい、クレス単騎でもそれほど難しいことではあるまい。
だが問題は、いまやヴェイグの友人となったロイド。そして、ロイド以外にも、もう1人仲間がいることを確認している。
名簿をざっと眺めて、判明した男の名はグリッド。
(つまり、だ)
ティトレイにとって最も有り難いのは、ヴェイグをロイドやグリッドから孤立させ、
そしてヴェイグの心を再び追い詰めてマーダーに返り咲かせる、という流れ。
ティトレイには、ヴェイグの心を追い詰める策ならいくらでも考え付く。
根を詰めやすい性格の彼を追い詰める策なら。彼の心の弱い部分を、最も間近で見たのはティトレイなのだ。
つまり、ティトレイはヴェイグの弱点を知り尽くしている。
(あの純粋熱血馬鹿のロイドが死んでりゃ、ヴェイグを『堕とせる』可能性もますます上がるんだが…)
ティトレイは嘆息した。先ほど呆けて放送を聞いていなかったのは、やはり痛い。
死者も禁止エリアも知らない。禁断症状の悪夢の中悶絶していたクレスは言うに及ばず。
下手を打てば、この隣のエリアが禁止エリアかも知れない。
ここから移動するなら…いや、移動しなくとも、ここから先の行軍はある種の地雷原突破になる。
C3の村のミトスに放送内容を聞きに行こうかとも一瞬思ったが、止めた。
たとえクレスに『留守番』をしていてもらうにせよ、ティトレイの手元にはミトスと取り引きできる札がない。
何より、ミトスが放送を聞いているという前提で話を進めるならば、ミトスはティトレイに騙されたと確信せぬはずもない。
そんな相手に臆面もなく情報など聞きに言ったら、まず情報料として命を持っていかれるだろう。
もとより既に命などに執着を持たぬティトレイだが、そんな犬死にだけはさすがに避けたい。
よしんばミトスを撃退したとしても、ヴェイグらを殺すための舞台装置を失ってしまう。下策以外の何物でもない。
(こんなことなら、いっそフォルスなんて使えない方が良かったぜ)
放送を全て聞き流したティトレイに、唯一与えられた情報。それは、ヴェイグの生存。
放送があった頃に感じた、あの冷たい波動。ヴェイグは、生きている。
フォルスがなければ…
ヴェイグの死さえ知ることがなければ、後はただ何も考えずに他の参加者を殺すだけで心安らかになれるのに。
わずかばかりの恨み言。しかしティトレイは、すぐさまそんな未練を心の大海に沈めることになる。
(まあ、なるようになるぜ)
結局はそこ。その結論は、わずかながらに彼が彼であったゆえんをほのめかしていた。
禁止エリアも分からない。闇の力のリバウンドが、いつ来るかも分からない。
ロイドやグリッドの生死も分からず、彼らの今の居場所はより一層分からない。
だが、ヒントならばある。
(こいつ、だな)
ティトレイは瞳をつぶり、右手を地面に着ける。体内のフォルスの律動を、草木のそれと同調させる。
感じる。
風にそよぐ草から風向きを。
木に当たる日差しから、日の方向を。
フォルスを用いた、不可視の索敵網。
ヴェイグはこの存在を、知っているはず。
ならば、行動は予測できる。
(ヴェイグ達が行く先は、おそらく植物のないところだ)
樹のフォルスの弱点。それはすなわち、植物のないところではその力を活かしきれないこと。
ティトレイらを撃破する布石としてであれ、単純にフォルスの索敵網から逃れるためであれ…
とにかく、植物のないところに、ヴェイグらが逃げ込む公算は高い。
植物のない地形は、攻めにも守りにもおあつらえ向きなのだ。
ティトレイは手元の地図を開き、候補地を次々指してゆく。
北から順に、D3~E3の砂漠地帯。
「サウザンド・ブレイバー」で焦土と化したE2城の跡地。
F2からF4・G4にまで連なる、大きな街道。
G3の山岳地帯やその洞窟。
更には、F4・G4の川辺。
ざっと挙げたところは、この辺りか。
ついでに言えば、海辺の砂浜もヴェイグらが逃げ込む候補に考えてもいいかも知れない。
もっとも、ロイドやグリッドが存命なら、この目論見は狂う可能性もある。
不確定要素も多い想定だが、これが一番ありえそうな行動だろう。
(さて、考えることも考えたし、と)
「クレス、もう一眠りするぜ」
「…ああ」
ティトレイは呼びかけ、クレスはそれにただ淡々と応じる。
クレスはともかくとして、ティトレイはまだ体力気力共に不十分。辛うじてまともに動ける程度。
睡眠をとった上で錬術を併用すれば、正午には何とか戦えるようになるだろう。
とにかく、時間がない。クレスに残された時間はあと9時間。
ティトレイは、いつ爆発するか分からない『爆弾』を抱えている。
正午までの休憩は、満身創痍の体と迫り来る時間をすり合わせ、ギリギリのところで妥協できる一線。
とにかく、今は休まねば。
ティトレイはそう決めるや否や、どっかと地面に体を横たえる。
焚き火は、こんな湿度の高い森の中でなら、放っておけばそのうち消えるだろう。
禁止エリア、不透明なヴェイグの仲間関係、闇の力のリバウンド、クレスにかかる制限時間。
それだけ多くの問題を抱えておきながらも、ティトレイの心は不思議と焦燥感を感じなかった。
どうせ死ぬ時には死ぬ。心の片隅で、ティトレイは思う。
ティトレイ・クロウという人間はあの時…フォルスを暴走させた時点で、既に死んだ。
今この緑髪の青年に残された命は、その時の燃え残り。
だがその燃え残った命は、ただ漫然と燃え尽きるのを待つには、あまりに長過ぎる。
だからこそ、彼はヴェイグの『処理』にその残る命を捧げている。
極論ながら、所詮この計画を練ること自体も、黄泉の獄卒がティトレイの身を捕らえるまでの『暇潰し』に過ぎない。
だが、彼の命と共に燃え残ったひとかけらの心は、今何を思うのか。
ティトレイの心は、既に彼自身の手綱すら離れ去っていってしまった。
【クレス=アルベイン 生存確認】
状態:TP全快 善意及び判断能力の喪失 薬物中毒(次の禁断症状発症は午後6時ごろ?)
戦闘狂 殺人狂 欲求が禁断症状を上回りつつある 放送を聞いていない
所持品:エターナルソード クレスの荷物(鎮静剤は服用済み)
基本行動方針:力が欲しい、禁断症状に苦しみたくはない
第一行動方針:強い敵を殺して強くなる
第二行動方針:殺せる生者を殺して弱さを捨てる
第三行動方針:ティトレイはまだ殺さない
現在位置:C2森
状態:TP全快 善意及び判断能力の喪失 薬物中毒(次の禁断症状発症は午後6時ごろ?)
戦闘狂 殺人狂 欲求が禁断症状を上回りつつある 放送を聞いていない
所持品:エターナルソード クレスの荷物(鎮静剤は服用済み)
基本行動方針:力が欲しい、禁断症状に苦しみたくはない
第一行動方針:強い敵を殺して強くなる
第二行動方針:殺せる生者を殺して弱さを捨てる
第三行動方針:ティトレイはまだ殺さない
現在位置:C2森
【ティトレイ=クロウ 生存確認】
状態: HP40% TP30% 感情希薄 フォルスに異常(リバウンドの前兆? 今のところペナルティはなし)
放送をまともに聞いていない
所持品:フィートシンボル メンタルバングル バトルブック オーガアクス
エメラルドリング 短弓(腕に装着) クローナシンボル
基本行動方針:命尽きるまでゲームに乗る(優勝する気は無い)
第一行動方針:正午まで休む
第二行動方針:休息後、ヴェイグ達の索敵を開始する(植物のない地点を重点的に)
第三行動方針:対ヴェイグ組撃破に有効な策を講じる(誘導or先制攻撃orその他の策)。あわよくばヴェイグを仲間に
第四行動方針:事が済めばクレスに自分を殺させる
第五行動方針:最終的には「なるようになれ」
現在位置:C2森
状態: HP40% TP30% 感情希薄 フォルスに異常(リバウンドの前兆? 今のところペナルティはなし)
放送をまともに聞いていない
所持品:フィートシンボル メンタルバングル バトルブック オーガアクス
エメラルドリング 短弓(腕に装着) クローナシンボル
基本行動方針:命尽きるまでゲームに乗る(優勝する気は無い)
第一行動方針:正午まで休む
第二行動方針:休息後、ヴェイグ達の索敵を開始する(植物のない地点を重点的に)
第三行動方針:対ヴェイグ組撃破に有効な策を講じる(誘導or先制攻撃orその他の策)。あわよくばヴェイグを仲間に
第四行動方針:事が済めばクレスに自分を殺させる
第五行動方針:最終的には「なるようになれ」
現在位置:C2森