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  • The stray's fragment
  • その世界の名は記憶

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

その世界の名は記憶

最終更新:2019年10月13日 18:05

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だれでも歓迎! 編集

The stray's fragment/その世界の名は記憶


「紅茶を濁らせると、何になると思う?」




空にはたくさんの星が輝いている。誰かが、それは「宇宙」という名なのだと言った。
何故そんな名前なのかは分からない。そこに本当は何があるのかも、誰も知らない。ただ、誰かが宇宙だと言った。
隣にいる誰かがある日の夜空を見上げて言った。
「もし星の海に浮かべたら、とても綺麗な景色なんでしょうね」
俺は「いつか連れてってやるよ」と答えた。



残念でした。宇宙に星なんて輝いていない。あったのは机とストーブと絵と本棚とメモボードと――そんな物だった。
一目で俺の家だと分かった。家具の位置や形、空間の広さが瓜二つだ。
机には落書きもしっかりと残っていて、けれど文字は重なっていた。
最初はよく分からなかったけど、じっと見てみるとそれは
「姉貴、石けん返せ」と「俺はガジュマなんて大嫌いだ」という文章が重なっているのだと分かった。
ここは俺の家じゃない。
飛ぼうともしていないのに地に足が着いていない奇妙な浮遊感(どこかで1度味わった気がする)。
どこに向かっているのか。そもそも本当に浮いているのか。曖昧。
その場に留まっているのに、そこに居るという感覚すらない。地を踏みしめる感触は己の存在を確認するためにあるのだ。
星は欠片も見えない。けれど確かにそれは存在している。
それらが、ここが家じゃないという証拠だった。
寒い。光は寒々として冷たい。
遠くに見えた時は温かいのに、近いとすごく冷たいなんて不思議だ。
星全てが自分に視線を注いでいる。数多のコウモリが侵入者を見ている。
それらは何か1つの痛烈な意思を持っている。俺をじっと見つめている。そう思うだけで、正体が何なのかは分からない。
ヒトどころか勝手に考えた星の気持ちさえ分からない。馬鹿みたいだ。
見られたくない。それだけは確かに思った。



ふと振り返ると、何か1つ増えていた。緑色の長い髪が目についた。とても見覚えがあった。
天使に空へ誘われたかのように、背に広がる赤い羽。「あの時」と同じ場所にいた。

『姉貴ぃ!』
ありもしないドアが勢いよく開かれる音がし、誰かが駆け込んで来る。
誰かは分かっている。俺は1番に見つけた人物を知っている。
"そいつ"と目が合った。
『お前が……お前が殺したのかぁっ!!』
そいつが俺に飛び掛ってきた。あまりに浅慮かつ短絡的な思考。その時俺は手が赤いことに気がついた。
その時だけ何故か突如現れた壁に身体が叩きつけられる。感覚は特にない。
胸倉を掴むそいつの目は動揺で揺れ、血走っていた。下手すれば暴走しかねない。
壁に押さえつけられたまま、その瞳をじいっと見つめていた。多分一寸の表情も浮かんでいない。
「どうして怒ってんだよ? 俺が憎いのか?」
眉がぴくりと動く。今度は床に叩きつけられた。
『ふざけんなっ!! そうだよ、憎いんだよ! 姉貴を……姉貴を殺しやがって……!! 返せ! 姉貴を返せっ!!』
そのまま掴まれた胸倉が何度も揺らされる。視界が揺らぐ。

「でも、お前も今同じことをしようとしてるんだぜ?」
そいつは今更はっとして視界の下に映る首元を見た。
いつの間にか首へと伸ばされていた手は僅かに緩み、気道の圧迫感も乗じて弱まる。発音やや良好。
「まるで自分は正しいことしてる、みたいなさ……。
 そうだよなぁ、ヒトって生き物は自分を正義と決めた瞬間、どんなに残酷なことも平気でするようになるもんな」
手を取り払うこともなく、何も答えずにただ黙っている。目はまた揺れている。
「表では善人ぶって、裏じゃあ平気で見下したり悪口言ったりしてる。そういうもんなんだよな」
『黙れ……黙れぇっ!!!』
また気道が塞がるのを感じる。苦しくはない。声も普通に出る。
「それより、お前何か勘違いしてないか? まるで自分と目の前の自分が別人だ、みたいに思ってるだろ?」
声は聞こえない。何の表情も浮かべない。
「ダオスを殺したのは俺じゃない。ジェイを殺させたのは俺じゃない。
 サウザンドブレイバーを撃とうとしたのは俺じゃない、むしろ止めた……そうだろ?
 馬鹿言うなよ。
 感情が消えても、フォルスは残ってた。つまり、少しでも"お前"はいたんだ。だからヴェイグと会った時、目を覚ましたんだ。
 でもよ、何かきっかけがなきゃ駄目だったとか、そんな言い訳するつもりはないよな?
 "お前"は確かにそこにいた。やろうと思えば起きられたんだ。だからデミテルのおっさんに騙されてるって分かってたんだろ?」
均等に篭められた握力が継続する。
「そう。殺したのはお前だよ。
 E2の城でジェイや赤い髪のおっさんを見捨てたのも、しいなを見殺しにしたのも、みんなみんなお前だよ」

きっと血走る目の赤が増加する。骨がくっきりと顕わになる程に、指が首に食い込む。
『うるさいッ……黙れ黙れ黙れぇっ!!!』
「そうだよ。そうやって殺せばいい。それでお前は逃げる奴から本当に人殺しになれるぜ」
『俺はこんなゲーム認めない……! 殺し合うなんて間違ってる……!!』
言葉と真逆の力を感じる。
「でもいいじゃねぇか。負の感情は"お前"がヒトである証拠だし、それに、その気持ちはお前自身のモンだよ」
『無意味な死なんて意味がないんだ……! ミクトランを許してたまるか……!!』
恐らく最大限の力が首に掛かっている。
「ま、そしたら俺はヒトじゃねーけどさ」
俺はゆっくり目を閉じた。光景がブラックアウトしていく。
最後に、少し笑ってみせた。

「人殺し」





目を開けた時には、部屋も星も死体も"あいつ"も消えていた。
まるで闇の洪水でもやって来たかのように、何もかも一気に呑まれていった――気付けば全て無くなっていた。

言い難い空虚感に襲われた。
虫に食われた林檎のように。外側は普通に残っていても、中はめちゃくちゃだ。

ふと、身体が浮いていた感覚から、足が地に着いた感覚に変わる。世界が左に90度動いた。
色は何も変わっていない。ふと見れば浮いているように見えるのには変わりない。
黒く広すぎる影、否、黒い床で影などないのだ、果てしなく広がる白い部屋と同じだ。
そこからぬるりと2本の腕が現れる。

「ティトレイ」
白く黒い手が差し出される。

「ティトレイ・クロウ」
黒く白い手が差し伸べられる。


現れた2つの手は俺に絡みつき、俺はあるがままに全てを委ねていた。
心地いいのか、煩わしいのか。表裏一体過ぎる。分からない。

また誰かの声が聞こえた。誰の声かは分からない。さっき俺を呼んだ声に似ていた気もしたし、全く似ていない気もした。
白い手か、黒い手か。それすらも超越した1つの存在か。
けれど、俺はその声だけには首を横に振った。多分笑ってた。にやりとしてたか、にかっとしてたかは分からないけど――

「……俺はもう戻れねぇよ」


現れた2つの手は俺に絡みつき、俺はあるがままに全てを委ねていた。


沈んでいく、深く、深く、どこかも分からない、俺なのに、俺が知らない場所へ、でも知っている場所へ――……

ああ、分からない、見たくない、何も、何も、何も、 、 、  、  、    









「…………」
目を開けると、深緑が彼を包んでいた。
何の変哲もない普遍的な光景。夜床につき、朝目覚めて見る、訪れるべくして訪れたような光景。
何故こうなのか、と問う理由さえ見当たらないほどに普通過ぎる。
ただ1つ例外、普通ではないもの――ありえない、どうして首筋にある――が、彼の目にもはっきりと映った。
深い、どこまでも深い深い紫の大剣だった。更にその先の柄を掴む銀色の篭手、黒い肌着、微かに見え隠れする真紅のマント。
顔を上げると切っ先がほんの少し皮膚に食い込む感触がした。見つけた微笑は何故か心に食い込んだ。
「クレス……」
名を呼ばれた者は剣を納める気などないようだった。
「殺してくれ、ってうわ言で何度も言ってたよ」
引っ込める気もない笑顔で、クレスはそう告げる。
そう、と彼は答えた。
それでやっとクレスは魔剣を納めた。相変わらず緩く浮かべられた笑みは消えていない。
その笑みの奥では、彼を殺せなかったことをどれだけ恨めしく思っているのか、思っていないのか――
霧が消え差し込んできた太陽の光に隠れて、それは上手く見えない。光が全てをさらけ出させるとは限らないのだ。
クレスは彼の隣に片膝を立てて座った。
その理由の8割は彼と話をしたいからではなく、身体を休めるという悲しくも剣士として正しい本能からである。

「死にたいの?」
「さあ。どうなんだろうな」
「分からない?」
「ああ」彼は言った。
「どうして?」
「どっちでもいいからだよ」
「じゃあ死んでもいいのかい?」クレスは尋ねた。
「そん時はそん時だ」
「生きるのも?」
「多分同じ」
「なら、君はどうしたいんだ?」
その問い掛けに彼は口をつぐんだ。
どうしたい、というのは実に主観に溢れた答えを導き出させる言葉である。
「俺を放棄できればいい。あいつを殺して、それか変化を見て、俺を放棄できればそれでいい」
ふぅん、とクレスは答えた。少しだけ興味がありそうな音の響きだった。
「どうして?」
全く、こいつは自分に何故を聞くことはしないのに、他人には聞くのか。
自分の行動には絶対的な確信があると思っている人間は己に問いかけることはしないのだ。迷いを抱く者への一種の軽蔑だ。
それよりも質問責めなんて子供のすることだろう。先生に尋ねてことあるごとに「どうして?」と聞き返すようなものである。
子供は純粋故に残酷とも言う。ある意味では正しい。

「中途半端ってのは1番辛ェことなんだよ。勝ってる訳でも劣っている訳でもねぇし。
 そもそも優劣で話していいことじゃねぇとは思うけど、とにかく、邪魔なんだよ。これは」
指示語の内容が分からない、と言いたげな顔だった。
あまりに抽象的かつ観念的過ぎて、正当な思考能力も持たないクレスには理解が及ばない。
彼も懇切丁寧に説明してやる気などなかった。
ついでに言えば、クレスに何故を聞く気もなかった。何となくまだ早いと思った。
そもそも――心を失った(この場合は知識や意志ではなく感情を指す)という点では、2人には共通するものがある。
しかし、あまりにも度合が違うのだ。
クレスは善意という性善論を信ずる人間にとっては決定的なものを失った。
だが、彼は善も悪も失くしてしまったのだ。性善も性悪もない。無性、まさしく中立の感情である。
単純に善と悪を半々のピースに分けるなら、クレスは片方のみ、彼は両方である。
ピザを半分食われたか全部食われたかだ。それだけでいかに喪失の大きさの違いが窺える。
それに、クレスは笑おうと思えば、篭める感情は何にせよ、いつでも笑える。現に今でも薄く笑っている。
だが彼は笑みに篭める感情すらない。結果として、笑えない。
あるとしても――恐らく、それは彼でありながら今の彼とは乖離しているものであり、
そして断片的過ぎるが為に有り余ったものなのだろう。
手は伸ばしても届かない。



太陽の位置はおおよそ50度。時間にて10時半。プラスして10分くらいか。
予定に何の狂いも生じていないのなら、ミトスの放送の1時間半前だ。

「クレス、もう少し寝とけって。これから俺達は……」
左方向を見やると、既にクレスは眠りに落ちていた。
あまりの就寝の早さに彼は少しぎょっとしてみせた。いつでもどこでも愛用の枕もなく寝れるなど、羨ましい奴め。
「殺してくれ、って言わなくなった途端これかよ……要領がいいのか悪いのか分かんねぇ」
あくまで人を殺すという一点に焦点を置くクレスにとって、殺害に必要な活力を蓄えることは必須。
己の最大限の力を出せるようにすること、途中でエネルギー切れなど起こさせないことを考えれば、
クレスにとってこれは必然の行動だ。
本来なら彼も、ミトスの鐘により引き起こされるC3での戦闘に備え眠っておかなければならないのだ。
自身のフォルスが乱れている中、力はまだ完全には戻っていない。
この後のことも考えれば睡眠は極めて重要なアクションなのである。
しかし、目を閉じても睡魔は一向に己を闇には誘ってくれない。招待状が届かぬのではなく、破り捨てている。
どうしようもない、と彼は短く嘆息らしきものをついた。眠れないものは眠れないのだから仕方がない。

彼は自分の荷物から1冊の本を取り出す。読書は安らかな眠りをもたらしてくれる。
(それが単に活字という媒体と相性が悪いからなのかはさておき)
その本は、彼の仲間であった赤髪の少年――名を無、そして穢れなき瞳という――が記している物である。
その為たまに語尾が「ヨ」や「ネ」になっていたりする、癖にしては不思議な本である。
とかく、その本には彼が戦ってきた敵、バイラスと呼ばれる生物(生物とはいえ動物系統から光などの現象等、類は様々である)に
ついて多く記されている。
少年なりのイラストも描かれていることから、歌唱力はなくとも絵心はあるらしい。そういえば歌も全部自作だった。
他にも戦闘回数、倒してきた敵の数、倒れた回数など、いわばこれは「軌跡」とも言えるだろう。

軌跡。彼は軌跡を辿っていた。
アルバムを捲った時のように、自分の中の時が逆行していく感覚が彼を支配した。
ジルバ、ミルハウスト、サレ、トーマ、ワルトゥ、ミリッツァ……シャオルーン、ギンナル、ドルンプ、ユシア、イーフォン……
あまりに長かった旅で戦ってきた、多くの人物。聖獣。出会いが記憶を模っていく。
彼はまたページを捲った。
その先には、彼の仲間の姿があった。

何の感傷もない。ただ漫然と道を歩いているだけだ。記憶という世界の軌跡という名の道を。
読み解くことは今まで頭の中で霞みがかっていた輪郭を、ただはっきりとさせるだけの行為でしかない。
カレギアの黒豹の三つ編みの編み目まで見えるようにし、
黒髪のハーフの女が持っているタロットカードの絵柄まで見えるようにし、
医者の卵が書いていた日記の文字まで見えるようにし、
炎の子が具現化しているフォルスキューブまで見えるようにしているようなだけだ。
モノトーンの中に微々たる色彩が所々に彩られているだけで、世界は白と黒という温かみも何もない単純な色で作られている。
既に施された色彩は剥げ落ちてしまったのだ。塗り直す気もない。
色に溢れた世界を白黒にするだけで、世界はこうも儚く荒んで見える。
その中でこの本に秘められた記憶の数々が、そのモノクロを際立たせる。世界の輪郭を明瞭にする。

そう、彼は、世界をモノクロにしようとしているだけだ。
   そこには僅かに着彩された自分もいた。



事細かにデータが書き込まれており、少年の解説文もあった。他人の自分への評価を見るというのは中々慣れない。
下方には追記のような形で文章が書き加えられていた。

『弱点:セレーナさん』

何のことはない。いつか話したことだ。
しっかりと書き込んでおくとは、少年も意外と律儀な性格だったようだ。それとも本を任されている者としての使命か。

姉。名はセレーナ・クロウ。唯一の肉親。
同じ職場で働き、器量良しと言われ、そのため多くの男どもが近寄ってきて、それを自分が片っ端から振り払ってきた。
そもそも彼が体得した格闘技術も姉を守るためのものなのだ。
彼女についてだけこんなに記憶が豊かなのもその所為かもしれない。
そういえば、少しだけ見た世界樹の女神の化身に似ていたかもしれない。
共通点は緑色の髪だけだから、無意識に重ねてみているだけだ。サブリミナルといわれる奴だ、きっと。
彼女はもうここにいない上に、長く見ていた訳でもない。ヒトの頭は都合のいいように記憶を書き換える。
その女神の死が、何故か自分と姉との永遠の別れを思わせる。
それを最後に、彼は本を閉じた。

「姉貴……ごめん。俺、帰れそうにない」
たったこれだけの言葉を発するだけで、どうしてこんなにも胸が狂おしく締め付けられるのだろう?


彼は荷物からもう1つ取り出した。
大きさは中々で、燃料は決してなくならない不思議なランタンである。どんな仕組みなのかは彼には分からなかった。
留めてあるベンチレーター(傘に似たような部分にあたる)を無理矢理外し、上部にぽっかりと空洞を作らせる。
そのガラスに囲まれた穴をじいっと見た後、彼はそのまま火を点した。一瞬で炎の熱気が顔に当たるのが分かる。
空いた口の向こうできらつく炎に、彼はフェニアが司る誕生の火を見出したような気がした。
例え全てを失っても、何かが生まれるのだろうか。

彼は持っていた本の隅を、ランタンの内部へと差し込んだ。サイズが違い過ぎてほとんど入らない。
それでも燃え盛る火は本に移り、少しずつ、その身を炎に任せ始めた。
彼は取り出しても燃えていく本を手放さない。彼の琥珀色の瞳には炎の光さえ映らない。
その何もない瞳で、ぱらぱらと燃える紙屑を眺めていた。
時がとてもとても長く思えた。今までの時間に比例しているかのように。
末端から本は黒ずんだ灰へと化していき、落ちては風に舞い、思い出とどこかに飛んで消えていく。
灰の行く先など気にもかけず、ただ眺めていた。
炎はゆっくりと本を侵していく。愛おしく、名残惜しむように――

「――――!?」

彼の瞳に、ぼやけた光が映った。

ばさ、という音と、ぱち、という音が同時に鳴った。
草葉の上で取り落とした本が燃える。記憶が燃える。"彼"が燃える。
何かを失くしていく感覚、水が干乾びていくのに似ているそれは、彼の中で牙を剥いてうねり合う。
その何かが肯定し、否定する。
彼は傍にあったデイパックを両手で乱雑に掴み、本に向かって叩きつける。中身がどうなるという思考は微塵もなかった。
叩きつける。繰り返して。何度も。それは倒れた相手を殴り続ける誰かの様によく似ていた。

――気付けば本の灯火はとうに消火されていた。


息絶え絶えに彼は打ち捨てられた本を見つめる。顔には汗が浮かび、表情は微かに強張っている。
ちょうど真ん中の辺りで本は黒い灰と化していた。半分が塵に消えてしまった。
彼は恐る恐る、といったように静かに本を拾い上げる。ぱらり、と灰が何枚も落ちていった。またちくりと痛んだ。
痛んでもそれを悲しむことはなかった。涙は流れず目も潤んでいない。
ただ、惨めな姿に成り果てた本を、彼はぎゅっと胸に押し当てた。
「どうして俺は本を燃やした? 火を消した? 俺が本当にしたかったことはどっちだ?」
本に、胸に、心に尋ねるように。
答えは返ってこない。
彼は隣にいるクレスを見やる。
答えは返ってこない。

目が必要以上の光を取り込まないように、過剰な食物の摂取が病の起因となるように、
ヒトの身体は通常を越えたものを必要としないのである。
過ぎたものは身体にとって蝕む害でしかない。
そして今の彼にとって、心は例え僅かであっても、身体には有り余るものであり、
決して掴めぬ残滓は煩わしいものでしかないのだ。
時折ちくりと胸を刺す心の針が、異物のようなものに思えて仕方がない。むず痒さにも苛つきにも似ている。
だが、引っ掻くことも取り除くこともできない。
あるかも分からぬ掴めない霧のようなものなのに、確かな痛みを持って留まり続ける。

あの時と同じだ。火に飛び込む儚き蜉蝣の群れの向こうにいた青年を見たあの時と。
突然現れては彼を掻き乱していく。
痛みが孤独を呼び覚ます。痛みが何かを求める。
もう戻れはしない。そうだ、戻れないんだ。元・親友に求めるなんて高望みなんだ――なのに。

「俺はゼロだ。0.1も0.000001もいらない……なのに、何で……!」

「何が俺の手を止める……何が俺を拒む……何が俺を迷わせる……
 こんなんだから中途半端で余計なものはいらない、の……にッ……!!」

胸元を中心に全身に激痛が走る。
ぐらり、と本を抱えたままの身体が倒れ込む。
彼の顔には明らかに暑さのためとは思えない汗と、滅多に浮かべぬ痛みを堪える表情が表れていた。
強く閉じられた目を僅かに開ける。
たった少しなのに受容器が眩しいと感じる。眩しい、眩し過ぎる。草木が、木洩れ日が、世界が――。

「俺が、理想じゃ、ない、から? ティト、レイが求めて、た、理想じゃない、から、罰を下、すって、訳か、よ……」

彼は目を閉じた。開ければきっとまた全てが無くなっているに違いない。

「俺を殺人に走らせているのは……誰だ……」

その答えは、既に彼の中で出ていたのだろうか。







「紅茶が濁る? 簡単簡単! 答えはずばり、ミルクティーだろ!」
「ハズレね。普通じゃない」
「じゃあ何なんだよ。なぞなぞとか苦手なんだっつの」
ふふっ、とその人は笑った。

「答えは2つあるの。
 1つは、D。
 もう1つは、紅茶は濁っても紅茶なのよ」




【クレス=アルベイン 生存確認】
状態:TP全快 善意及び判断能力の喪失 薬物中毒(次の禁断症状発症は午後6時ごろ?)
   戦闘狂 殺人狂 欲求が禁断症状を上回りつつある 放送を聞いていない
所持品:エターナルソード クレスの荷物
基本行動方針:力が欲しい、禁断症状に苦しみたくはない
第一行動方針:強い敵を殺して強くなる
第二行動方針:殺せる生者を殺して弱さを捨てる
第三行動方針:ティトレイはまだ殺さない
現在位置:C2森

【ティトレイ=クロウ 生存確認】
状態: HP40% TP55% 感情希薄 フォルスに異常(リバウンドの前兆? 全身に軽度の痛みが出てます)
放送をまともに聞いていない
所持品:フィートシンボル メンタルバングル バトルブック(半分燃焼) オーガアクス  
    エメラルドリング 短弓(腕に装着) クローナシンボル
基本行動方針:命尽きるまでゲームに乗る(優勝する気は無い)
第一行動方針:正午まで休む
第二行動方針:休息後、ヴェイグ達の索敵を開始する(植物のない地点を重点的に)
第三行動方針:対ヴェイグ組撃破に有効な策を講じる(誘導or先制攻撃orその他の策)。あわよくばヴェイグを仲間に
第四行動方針:事が済めばクレスに自分を殺させる
第五行動方針:最終的には「なるようになれ」
現在位置:C2森

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