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  • 王の罠 -First fake-

テイルズオブバトルロワイアル@wiki

王の罠 -First fake-

最終更新:2019年10月13日 20:11

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だれでも歓迎! 編集

王の罠-First fake-



少年は散々たる有様だった。
腹の両側は見事に裂かれ、内容物が外から分かる程度に開いていた。
左の方が右に比べて少し深く、脇まで明いて白い肋をチラつかせている。
左の指は小指から三本捩り折れ、その手首から甲にかけて突き抜けるような斬り穴から血が鈍く流れている。
右手は二の腕までを完全に何処かに置き忘れて、肩からは向こう側が覗けるようになっている。
左胸から腹を通り、椎間板を抜けた穴の間にあった心臓は疾うに無い。
そして、立ち上がるための二肢は腿から下を綺麗さっぱりに欠かし、
それでも残った右腿は黒く穢された傷を未だに残していた。
ユグドラシルの姿だったらば傷で済んだであろう箇所も、子供の姿では致命傷になりかねない。
欠損と存在の比率が逆転して、残った箇所の方が要らないものになっている。
生きている部分の方が悪性となっている。バグとなっている。
きっとそうなのだ。人はいずれ死ぬ。それが遅いか速いか、
いや、創世から今日までの距離に比べればどんな生だろうと一瞬でしかない。
長い長い歴史の中、ふらっと現れる一瞬のノイズ。それがきっと、命と貴ばれるものの正体だ。
長い長い時を生きるためには命としての機能を捨て、人として死ぬしかなかった。
無機生命体化の技術そのものが証明している。
生きていることこそが、きっと間違いだ。
だけど、だからってはいそうですかと首を振ると思ったら大間違いだ。

現実に逆らい続けた少年は惨々たる有様だったが、それでも未だ尚笑っていた。

青なのか、それとも紫だろうか。ともかく暗色系の色合いだろう。
そう漫然と納得した少年の眼は混濁し、光を失ったことを如実に示していた。
嘗ての輝くような青色の瞳はくすみ切って、もう受けた光の波長から色を区分けする力を失っている。
それでも彼は、此処がそういう色なのだろうという認識を持っていた。
彼もまた選ばれた者だからだろうか。
時間を渡る者しか見たことの無い時の渦。
肌が、神経が、脳が、彼らしか持ち得ない何かの領域が、ここが「路」なのだと憶えていた。
それは、河、と呼ぶのが最も近しい表現だった。
遅く早く流れる空間は奥から前へ大河のように彼の身体を時間軸方向に運んでいく。
暗色の河の水底にいる彼を、乱反射した水面からの光が眩しく照らす。
その眩むような光も、彼は恐れ一つ無く受け取った。
赤子が違和感なく胎内に棲むような、超然的な有り方をしている。
折れた鼻から血を垂らし、金の髪は薄汚れ、打撲は痣となって残った部分を染め上げて、
そんな様で、いや、そんな有様で嗤うからこそ、彼は確かに神懸かっていた。




もうすぐだ。ミトスは時空の回廊を漂いながら、目的の場所が近づいているのを実感した。
あの腐った世界は間違いなく異空間だと、天使は狂う前に当りを付けていた。
そうでなくば魔方陣などを用いて参加者を運搬する必要性が無い。
そして異なる世界からの召喚、異なる術式の同時成立等あの島の仕組みは通常空間を組み替えて作るには複雑すぎる。
こういう世界は1から作るのが手っ取り早い。
なによりも、この島で最初から通行が不可能な禁止エリアが存在しなかったことから、
少なくとも歩いていける場所には、眼に見える場所にはあの王様は居ない。
断層を作って隠しているだけか、それとも完全に別チャンネルか。
少なくとも、ミクトランの居るだろう世界、このイカれた戦いが始まったあの大広間のある世界はあの島の中には無い。
この島の中心にあるとキールが推論した制御装置“を”管制する世界は、また別の場所に存在するはずだ。
それが彼の導いた結論だった。
ならば、まずは其処に還らなければならない。
正しい時空転移には座標設定が重要となる。此処が何処か、が明瞭しない限りは何処にも飛ぶことは出来ない。
それが分かるとすれば、それはミクトランの居城たる場所しかない。
其処にさえ辿り着ければ、後は簡単だ。
直にそこの絶対座標を判定して、デリス・カーラーンとの時間的空間的距離を算出し、改めて時空転移を行う。
首輪など知ったことではない。そこまで逃げ切ってしまえば間違いなく制御装置とやらの圏外だ。
いや、爆破されても構わない。
物資も何も無いあの島ならばともかく、エクスフィアさえ無事ならばヴィルガイアで幾らでも処置が可能だ。
何なら適当な天使を捕まえて身体を奪ってしまえばいいのだ。首など幾らでも呉れてやる。
首を刎ねられて生きてこそ神じゃないか。
そう、抜け出してしまえば何一つ問題無いのだ、そこには姉様がいるし、器・コレットもクラトスが押さえている。
楽園だ。こんな場所とは比べ物にならない楽園。
そこでもう一度、いや、何度でもやり直せる。万全に、こんどこそ万全に。

光の粒の一つが大きくなる。それが出口、現時点で唯一移動可能な世界だと確信した。

ああ、ここが、楽園――――



この物語はテイルズオブバトルロワイアルのつまらない舞台裏を淡々と描く寸劇です。
過度な期待はしないでください。

あと、部屋は明るくして深淵から∞メートルは離れて見やがってください。





黒き闇が延々と広がっている。
敷き詰められたタイルは床を全て縦と横、もしくは横と縦に区切って四角形を増殖させていた。
その中で、強烈な光が闇を照らした。光源は空気抵抗を受けて舞い落ちる羽のように弱弱しくも確実に床に近づいていく。
白い光は地面との距離が縮むほどに徐々にその強度を弱め、完全に床に落ちたとき、
そこに残ったのは一人の天使の残骸、ミトス=ユグドラシルだったものだけだった。
四肢の内三つを失い、残った一つに魔剣を強く握り締める彼は、必然うつ伏せに倒れたような格好で出現した。
「こ、ここは……か…カプッ」
何かを喋ろうとして、既に片方の肺も穴空きだったことに彼は吐血と共に漸く気付いた。
なんと虫ケラ、そして見事なまでの虫の息だ。それ以外に形容する言葉を知らなかったし、気の利いた言葉を紡ぐ力は残されていなかった。
首だけをあちらこちらに振り、瞳孔が開き切った狂眸であたりを見回すが何の情報も彼には与えられなかった。
(眼が、見えない…………此処は、何処なんだ、糞、僕はちゃんと通常空間に抜け出たのか?)
剣を持ったまま、伸びる限りの範囲で左手を這わせる。もし万全の身体だったならば唯の物臭にしか見えない行為こそが、
彼に与えられた最後の捜索範囲だった。
「アト、いが……オリ、ズン……ごだえろ……ごごヴぁ……どごだ……?」
ずるずると短くなった脚の先で血の線を曳き捜索範囲を少しずつ動かしながらミトスはか細い声で、救いを求めるように言った。
『ミトス……ここは……』
オリジンの甲高い声が、ミトスの脳に直接響く。
そしてそれと同時に、彼の人差し指がずぶりと何かに触れた。
「な、んた……これ……ひ、だい?」
自分が呼んだことを最初から無かったかのように、オリジンを無視したミトスはほんの少しだけ更に寄って、残った2本の指でそれを弄る。
衣の擦れる音、張りを失った肉の弾力がそれを死体だと教えていた。
そして、死体を這うその指が首元に指しかかったとき、今までの感触とは正反対のものを感じた。
揺るぎようの無い金属のそれは紛れも無く、たった三日とはいえ慣れ親しんだ首輪のそれだった。
(首輪だとしたら……これは参加者か? それに、この首、そうか)
ある推測を立てたミトスは、それをどうしても確かめたい欲求に駆られた。
それさえ確かめられれば、全てが確定する。
ミトスは幾つかの手段を考え、棄却し、一番手軽な手段を取った。
指を胸の輝石に当てて、残る力を注ぐ。
天使の羽根が舞い散るような荘厳さの欠片もなく、伏せる彼の上にノイズ交じりに半透明のミトスが出現する。
幽体――――アストラル体と呼ばれる姿をとって、ミトスは仮初の視力を現実化させた。
『ハハ……やっぱりだ、は、アハハ、ハハハハハハハハ!!!!!!!!!』
嗤いながら見続けるそれは、唯の死体だった。脚も腕もミトスと異なりしっかり存在し、安らかとまで言えるほどに整然と倒れている。
唯一点、それが通常の死と一線を画すとするならば、それは完全に有らぬ方向へ曲がりきった、
内出血に赤黒くなってしまった肉だけで身体と頭部を繋ぐ、圧し折れた首だった。
ミトスはこの劣悪種に覚えがあった。この戦いが始まる前にミクトランに文句を付け、
その制裁をミクトランの手で下される前に自身の配下、五聖刃・マグニスが下してしまった、名もない劣悪種だ。
それが、その肉塊がここにあるということは、
『還ってきたんだ。ここに、正しい空間に、やっと、ただいまと言える場所に!!』
そう認識したと同時に、ようやく死体の周囲が見えてくる。
黒一色の闇と、延々と続くタイル。それは紛れも無く、彼の記憶にあったこの腐った世界の入口だった。
『ここまで来れたんだ!! もう全てが終わった!!
 さあ、オリジン、路を再び繋げ!! 時間指定などこの際如何でもいい。
 此処より彼方へ!! ウィルガイアへ、ヴェントヘイムへ、僕と姉様の母なる大地へ!! デリス・カーラーンへ!!』
存在しない両手を大きく広げ、幽体のミトスは高らかに、
実際のミトスの肉体は、ほんの少しだけエターナルソードの握る手を強め、掠れるように宣言した。




『それは不可能だ、ミトス』
しかし魔剣は一切輝きを見せず、その代わりというには余りにもぞんざいな返答だった。
『……は?』
呆気に取られるミトスの声は闇の中で響かない。
暫くして、堰を切ったようにミトスは半ば自動的に言葉を綴った。
『何を、何を言っている、オリジン。お前が出来なくてなんだっていうんだ。
 ああ、そういうことか。契約違反だと云いたいのか。心配しなくてもいい。
 この世界から抜け出した後なら世界の一つや二つ幾らでも救ってやる。だからさっさと僕を帰らせろ!
 ここは間違い無く始まりの場所だ。此処からなら距離も座標も跳躍先の障害状況も全てがオールグリーンな筈だろ?』
『………そうだ。ここは確かに始まりの場所だ。お前達が知る、最初の場所だ。だが……』
『だったら僕の云うことを聞けよ!! 一分でも一秒でも一寸でも早く!!
 ロイドもクレスも居ない! もう担い手はここにしかいない! 精霊の癖に我侭を抜かすな!!』
錯乱寸前の金切り声が喚き散らされるが、オリジンは何も言い淀むばかりで話が進まない。
ミトスが奥歯を割りかねないほどに噛み締めるが、アストラル体には意味が無い。
『ミトス、そうではないのだ。これが真実だというのならば、ここは……』
それでも、本来の歯ならば割れようかというほどに力が溜まったその時だった。


「無駄なのだよ。入口と出口は必ずしも一致しない」
深く、そして何処までも不快な声だった。靴音は響かず、無音のまま何かが存在を誇示し始めた。
『お前……』
ミトスの幽体が、そちらを向いた。オリジンは魔剣の中で無言を貫く。
闇の中から現れた白い大外套と纏められた金の髪がふわりと靡く。

「ここからでは時を越えることは出来んのだ。実に徒労だったな」
天上王ミクトランが、言葉と裏腹な笑みを見せる。その一挙一動の洗練された様は確かに、王の其れだった。


『ミクトラン』
ミトスは後ずさろうとするが、実際の体が動けない以上移動はできない。
ミクトランはその様を見て口の端を歪めた。
『何を、何を言っている』
「お前の耳は節穴か何かか? “ここから帰還することは叶わない” そう言った」
ゴクリ、と喉を鳴らし、ミトスは息を詰まらせる。
『馬鹿を言うな! ここは紛れもなくお前が僕達を集めた場所だ!!』
「認めよう」
何故だ、何故脱出できない。ミクトランも認めているのに。
何が、何が足りないと言うんだ。
『あの異空間から抜け出し、お前のいる空間に到達できれば魔剣で脱出することが可能なはずだ!!』
「条件付きで認めよう」
偉そうな口を利くなよ、僕は、僕は神なんだぞ。
劣悪種は馬鹿みたいにYESって言えばいいんだよ。ああ、もうとっくに言っているのか。
『ならば跳べるはずだ!! 僕は全ての条件を満たしている!!』
ミトスが半ば泣きそうな語勢でミクトランに吼える。
何が何が間違っている。首輪か、制限か。
違う、こいつの顔はそんなのじゃない。何でこんな事に気付かないんだっていう、そういう厭らしさに充ち満ちている。





「何、単純な、単純なことをお前は見落としているだけだ」

王は神に背を向ける。すらりと伸びた背は、まるで絶対たる自信によって支えられているかのように微動だにしない。

「確かに、私のいる空間からならば、万全のオリジンをして各世界に転移することもできるだろう。
 我がバテンカイトスの内側では正確な座標が確定できないからな。どのような経緯を至ろうがお前達は一度ダイクロフトに来るしかない」

王が右手を横に伸ばす。

「確かに、ここは私が55人の前でこの舞台の開幕を宣言した場所だ。
 そしてお前達がここを拠り所にして転移するのも分かる。お前達と私が顔を合わせたのはここだからな」

王が左手を横に伸ばす。

闇が、質量を持ったように重苦しかった。
幻のミトスは自らの胸を掴み、今にも叫びそうな胸の裡を懸命に締め上げる。
厭な予感が、現実の物になりそうな気がした。
“出口と入口が違う”。
入口は、どこ? 僕は、真逆。
出口は、ここ? 僕は、真逆。

「だが、お前の論理を繋ぐ一本は欠落している。上を見てみろ」

ミクトランがミトスの方に向き直り、ゆっくりと横に出した右手を上に向けた。
繰り糸でも付いているのかと言うほどの追随性でミトスは上を見上げる。
何という見落としをしていたんだろう。
ここは確かに闇だらけだ。でも、完全な闇じゃない。
微かな一点が、ほんのり赤く光っている。

「ここは、お前達の開幕の場所。あの島における座標C4・C5・D4・D5――――便宜上仮称シド湖の湖底、水深1000だ」
水の底より眺める夕日の赤は既に落ちかけて、黒に変質しかけていた。




どれくらいの時がたっただろうか、実時間としてはさほどではなかったが、
自らが次の言葉を用意するまでの時間が、ミトスにはとても長く感じられた。
『そうか……あれだけ暗かったのはここがそう言う意匠で構成されていたのではなく』
「そう、深度の関係もあるがここがあの説明を行った時点ではこの島は“夜“だったからだ」
ミトスの言葉にミクトランはさも感心しているような大仰さで答えた。
『……なんだよ、どういうことだよ……』
泣き出しそうな顔を必死に押しとどめながら、ミトスはミクトランに聞いた。
「簡単なことだ。“お前達は私の居城――――ダイクロフトの大広間に集められて、そこから魔方陣でバテンカイトスに飛ばされたのではない”。
 “最初からバテンカイトスの、この島に用意された張り子の大広間に集められて、そこから各スタート地点にランダムで飛ばされた”のだ」
 お前達が昏睡している内に、本当の移送作業は全て完了していたのだよ。多少語弊を招きそうな表現ではあるがな」
『なんで、そんな』
ミクトランがやれやれという素振りを手で示す。
「何でそんな面倒なことを? 決まっている。お前達がこの島から抜け出せぬようにするためだ。
 お前達がその時の剣を手にすれば、いや、他に幾つか手段があるかと仮定しても、なんにせよダイクロフトへのワープを試みる。
 理由は貴様が先ほど述べた通りだ。そしてワープそのものを完全に防ぐことは難しい。
 完全なセキュリティというものは実際上存在し得ぬ。完全を目指せば目指すほど何処かに欠陥が出来るものだ。
 貴様ら下賤の民はどんな悪道に手を染め私の思いもよらぬ手を講じるか分かったものではないからな」
顎を上げてミクトランは見下ろすようにミトスを眺め、もう一度にやりと笑った。
「ならばどうすればいいか。お前達の認識に初手の段階で“間違い”を与えてやればいい。それだけで全ては180度反転する。
 開始地点=ダイクロフト=現実世界という認識を植え付けられたお前は、迷わず“開始地点=この湖”に飛んだ。
 いや、他の時空剣士なり全く別の手段なり用いようが、この認識は避けられぬ。お前達はどうやって此処に来たのかを知らぬのだからな。
 嘘と真実を批評する尺度を持たないものは平気で毒を自ら煽るということだ」
ククク、とミクトランの上品そうな中に確かな臭気を漂わせた笑い声が響く。
十を、百を、千万億を積んできた物語。しかし、もし、我らが“-1”だったとしたならば、
幾ら掛けても、幾ら掛けても、その全ては一体何の為に有るのか。

『……まだだ、まだ終わっちゃいない!!』
唸るような声でミトスはミクトランになけなしの怒りをぶつける。
瀕死の実体が、魔剣を強く握った。
『ああ、よく分かったさ。僕達は揃いも揃って最初からお前の手の内に居たとでもいいたいんだろ。
 認めてやる。ああ、認めてやるとも。だがな、些か油断しすぎたな。
 態々僕の目の前に現れたのが運の尽きだよ、ミクトラン! ここで、ここでお前を殺してしまえばそれで片が付く!!』
エターナルソードがゆっくりとミクトランの方に向き直り、その剣の先に火球が一つ生成される。
「びゃヴぃあ、ヴぉヴ!!」
「無駄なことを。前例は、見せてあったはずだがな」
ミクトランに向けて放たれた一発のファイアボールは、嘗てダオスが放ったテトラスペルと同様にミトスの方へ向かい、
主を忘れたかのように容赦なくミトスの居た場所に爆発を起こす。
「自滅で終わりとは。まだまだ愉しむべき――――」
「どっだぞ、ミクトラン」
ミクトランの嘆息が響いた瞬間、その王の背後に天使が出現した。
ボロボロではあるが子供の姿ではない、ユグドラシルとしての姿を取ったミトスの左手には、オーラが纏った魔剣が振りかぶられていた。
成長速度を上げることで無理矢理体力を底上げしたユグドラシルの最後の奇襲だった。
「うぜろ、王。神の御前だァァァァ!!!!!!!!」
ミクトランの身体は振り向こうとしない。
当然だ、とミトスは判断した。この世界のマナの位相が全て奴の掌中にあるのならば、
こちらが仕掛けるべき攻め手は物理攻撃にせざるを得ない。しかし、このボロボロの身体では、真正面から突撃しても唯の虐殺だ。
だからこそ、奴を油断させたまま必殺の間合いに持ち込む。
莫迦のように魔術を使い自らに喰らったと見せかけて、背後を取った。反応は不可能、このまま真っ二つに切り落とす。
偉そうに講釈を垂れて、この様だ。
矢張り劣悪種、神を前にしてその不遜な態度の対価に相応しい末路だ。さあ、神罰を受けよ。



「成程、もう一つの仕掛けについても真実を知りたいようだな」
しかし、振り向きもしないミクトランの語勢は一切の変わりも無かった。
いや、強いて言うならば微かな哀れみが、少しだけ混じっていたことを、ミトスは聞き逃さなかった。
「二人一組で後衛が、瀕死の前衛に回復術をしたと仮定する。しかし、詠唱中に前衛が戦闘不能になってしまった』」
ミクトランの頭に刃が入る。豆腐を切るかのように、スムーズに入る。
「『この場合、中断せず続行して詠唱を完成させた場合、術は失敗するか? 答えは否だ。術は後衛に掛かる』」
鼻を割り、口を割り、首を二等分に、それでも左眼は憐憫を湛える。
『「では、これが攻撃術だった場合どうだ? 
 余程のタイミングがシビアでもない限り、術を唱えている間に敵が全滅していた場合、術は発動しない。
 味方に発動しないように敵味方識別の安全装置が働くからだ」』
食道を割りに入った頃に、ミトスは漸く異変に気付いた。
『「だが、もしだ、この安全装置が無かったら?』
頭部に切った後が無い。
『もし、回復術と同様に攻撃術が作動したら?」』
鼻が切れてない。口は未だ歪んだままで、腸を裂くが胃に傷は無い。

『最初から存在しない敵を目掛けて詠唱を行ったら、完成した術は何処に行くと思う?』

外傷も、内傷も無く、切断した事実すらない。
(なんだよ、それ……)
ユグドラシルは、剣を振り切り、そのまま地面に倒れこんだ。
その時には彼は既にこれら全ての異変に、正しい解を実感していた。
このミクトランは、つまり……

「立体、映像<ホロ、グラム>だと……?」
『そう、この場所でお前達にルールを説明し、ダオスにテトラスペルを撃たれた私は唯の映像。
 この高貴な天上人たるこの私が、何故地上の愚物に拝謁を許可せねばならんのだ? 立体映像で十分だろう?
 あの莫迦な魔王はこともあろうに居もしない人間に魔術を振るった。
 あの時点でその他有象無象は敵でも味方でも認識が成されていない。
 攻撃すべき対象を失って困った魔術は消去法で自らの主を焼き貫き落とし穿ったのだ』
ミトスは最後の一滴の力すら失い、這い蹲ったまま、半ば無意識に尋ねた。
「マナの位ぞう、を…かべばん、じゃ……」
『ああ、そんな出鱈目を言ったこともあったな。それをこの島に実装するにはあと500年は掛かる。
 そんな無駄な時間を費やすくらいなら、こうして最初から絶対に安全な手段をとった方がコストも低い。
 重要なのは真実ではない。現実を凌駕する虚像こそが、この島に必要な力なのだよ』
息も絶え絶えになりながら、ミトスの中であの開幕の物語の一節一節が蘇り、全てが符合していくのを感じた。
広間に並べられた55人と、それをバルコニーから睥睨するミクトラン。
この状況下では攻撃手段は自ずと術に限定される。そして、この仕掛けを発動させて自身の力を示す。
そして続く二つの言葉に言外の呪いを仕込んだのだ。
“闘気による攻撃の無効化”と“武器の喪失”の二つを教えたのは圧倒的な自分の力からの余裕などではなく、
「直せづ、ごう撃を、うげだぐ、なかっだがら……」
『まあ、そういうことだ。尤も、立体映像だと露見した所で私には一切の問題も無い。
 もし生身を曝して55人にあの場所で一斉に襲い掛かられて殺されるリスクに対して、当然の処置だとは思わないか?
 私としても全員を爆殺する様を眺める為にこの計画を行った訳でもないのだ』
白々しいほどの声でミクトランは言う。
自身を守っていた嘘を自ら暴きながらも、その立ち振る舞いに一切の揺らぎも感じられなかった。
そう、嘘がバレようが、バレまいが、自身の安全は確実に確保される。
これほど腐った二択がこの世にあっただろうか。いや、あるのだ。現にこの目の前に。


『さて、もう時間だ』
ミクトランの立体像が歪み、足先から消滅していく。
『もう直ぐ放送の時間でな。まったく、アレに慣性は全て任せてあるとはいえ何かと忙しいのだ、私は。
ミトスはもう体を振るほどの余力も無く、ただ王をぼうっと見つめるしかなかった。
『お前が時間と空間を超えるために使い、そして“たった1エリア分しか飛ばなかった”その差額の無駄なエネルギーは確りと、
 このバテンカイトスに還元、いや、神の餌として余すことなく使わせてもらった。
 これで本体のオリジンも少なからずダメージを受け、神は更なる力を得、来る精霊王との決戦は磐石に進行できるだろう。
 セイファートもネレイドも滄我もこの戦いで少なからず弱体化した。私の神を止められる超存在は最早存在せぬ。
 ――――礼を言うぞ、旧き天使よ。まさかここまでお前が私の思惑通りに動いてくれるとは“思いもよらなかった”ぞ』
ミクトランの言葉は既に音の羅列に成り下がり、ユグドラシルの耳には入らなかった。
ただ、何か、莫迦にされているということだけは分かった。
『褒美だ。もう一つ教えてやる。お前が出現した座標はC4とC5の境界だ。
 そして私のバルコニーはC5。お前が先ほど私の背後に回った時点で、禁止エリア内だよ。
 後40秒、精々全力で生き抜くが良い。そら、大サービスをしてやろう。
 お前は知らんだろうがこの湖から南を打ち抜けば首輪の制御装置もあるぞ?少なくとも壊せば今この瞬間の爆死は免れよう。
 その後何もすることは無いがな! さあ、もっと諦めずに戦って見せろ!! その無為すらも祈りとなって神を喚ぶ!!
 なあに、“考えようによってはここで祈り終わるほうがまだ幸せ”だ!!』
甲高いほどの笑い声が響き、深海を震わせている。まるで、湖全体が、笑っているようだった。
いや、実際笑っていた。水が、笑いながら、あちらこちらから、噴出すようにこの大舞台を満たし始めていた。
既に頭だけになったミクトランが、途端に笑いをピタリと止めて、吐き捨てるように最後の言葉を放ち、消失した。

『尤も、ここは海に面しているからな。どの道入ってきたものは全て爆殺か、注水後に圧殺するように出来ている。
 お前のような天使など私の神が作る新世界に無用だ、この屑石が。あと15秒、全速力で死ね』



ユグドラシルは水に呑まれ崩れ行くハリボテの世界で、だらりと壁に寄りかかっていた。
足は無く、伸びきってもう細々としか繋がっていない血痕は、彼がこれ以上動くこともままならないことを教えていた。
既に輝きを失った魔剣は手放していた。時間が経てばどうにかなるかもしれないが、力を使い切った彼にはそれも無かった。
考える力も、碌に残されて居なかった。
15、カリ、14、カリ、13、カリ。
ユグドラシルは、もう何も見えぬ目で、ただ、完全に壊れたようにただ何かを弄っていた。
12、姉様、11、姉様、10、姉様。
手の中で大いなる実りを回し、器用に一枚一枚の花弁を毟り取って行く。
9、帰る、8、私は、7、帰る。
二本の指で、一枚、一枚、だんだんと小さくなっていく。
6、帰る、5、僕は、4、帰る。
最後の一枚を、捲る。

ユグドラシルの手に、何かが落ちた。

なんだろう、コレ。小さな輪っか?
水が、天使の体を攫ってしまう。

2

ああ、これを、僕は知っている。アトワイトが知って、死って、死。
濁流が、全てを洗い流す。後には何も残らない。

1

チャネリ<ボン>

0

湖の水面は、ほんの少しだけ泡立ち、直ぐに掻き消えた。
いつまでも穏やかな輝きだけが、そこに残ったものだった。




【ミトス=ユグドラシル 死亡確認】


notice:真実が一部解禁されました

  • 最初(=第一話)の場所はCD45の湖の湖底に作られたホールです
  • 何も知らずにミクトランの居城に向かって転移した場合、自動的に移動先が最初の場所になります
  • その際に発生するエネルギー損失は全てミクトランに回収されてしまいます
  • 相対座標が断定できないバテンカイトスから“通常の世界に”移動することは出来ません
  • 最初の場所に侵入した場合、禁止エリア発動およびホールへの注水が開始されます。いずれも1分で完了します
  • ミクトランはマナの位相を操っていません
  • ××××××××××××××××××××××××××××××××××××

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