【魔核結晶(コアクリスタル)】


~とある臨時教導師と魔技師課程生徒の会話より~

動力内蔵型の人形などに使われる魔核結晶(コアクリスタル)ってのは、魔晶とその特性を利用して構築された晶石回路(クリスタルサーキットまたはエーテルサーキットともいう)のことで、単一の結晶のことを指しているわけではないわ。

高純度の魔晶を同じ形にカットし、同属性の魔力で賦与して特定の距離で配置すると、二つの魔晶はその相似性から互いを同一のモノと認識して、賦与された魔力が互いに影響しあって共振作用を起こすの。
これを『魔力共振』と言うんだけど、共振によって互いの魔力同士が励起されて、さらに微弱な魔力を新たに発することが発見されたわけね、さらに別の【増幅】や【ろ過蓄積】の機能賦与させた魔晶回路……えーと、エーテルアンプ?やリアクタ?で囲むように配置することで、魔晶が蓄えている魔力以上の出力を引き出すよう設計されたもののことよ。

増幅元となる魔晶は一対からでも可能だけど、より出力・持続性を高めるには共振し合う魔晶の対数が多ければ多いほどいいわ。


一時期この特性を利用して、巨大な対魔晶を幾つも並べることで都市規模の使用魔力を生み出す魔力炉建設や、大型魔道機関の動力として利用できないかなんて構想もあったんだけど、高純度魔晶はそもそもその産出量が少ないことや、ある程度大きく育った魔晶は純度が下がっちゃうなんて欠点も見つかって計画は立ち消えになったそうよ。

そんな理由で、魔核結晶を構築可能な結晶のサイズが主に小さいものに限られるから超大出力の動力には向かないこと、回路設計は魔晶ごとにその配置が異なるからワンオフでコスト高、量産性と整備性が悪い…なんて理由から現在は小型の魔道機関や、人形の動力などでのみ使用されているわ。





※主に動力内蔵型魔人形に使用される動力としては

① 魔力を充填した魔晶

② 魔力を充填した魔力槽

③ 魔核結晶を用いたもの

④ ③と②を接続したもの

主にこの4つに分かれます。

①は魔晶の純度によって蓄魔力容量が異なるが、いずれにしても低稼動時間・低出力

②は魔道器である魔力槽を①の代わりに用いているが、①に比べると稼動時間と出力の向上は見られるが高コスト。またサイズ・重量ともに①に比べて跳ね上がる。

③は①②からさらに高コストとなり、製作・調整の難度が上がるものの、稼働時間・出力は飛躍的に向上する。
個々に異なる回路設計が必要なことは量産性にこそ乏しいが、結晶配置の微妙な設定や調整により個体差が出る仕様が逆に職人である人形師たちの技術屋魂を揺さぶると共に、価値を高めることから好んで使用される。

④は共振を促す為の魔力を賦与された魔晶をさらに外部魔力槽で補うことで、巡行稼動時間の伸長並びに、高出力状態の維持時間を高めたもの。
しかしながら、やはりサイズアップの問題を抱えており、この機構を有するのは大型の人形に限られる。



自律思考型の魔人形などは思考回路用と、擬体動力用にそれぞれ魔核結晶を備えるものが多い。


これは人形ごとに、配置した魔晶の数・配列・距離・位置など人形師のもつノウハウによって同じ材料を用いても効果・出力が異なったり、それぞれの人形が個別の模様(魔核結晶は魔晶をはめ込んだ紋様や装飾のようにも見て取れる:もちろん露出して搭載されているケースは戦闘行動を想定した人形の場合は稀)があったりすると楽しいなと思ってのものです。

結晶の配置とかから、製作者に思い当たったりする人形に造詣深いキャラがいても面白いですね。
最終更新:2013年04月18日 21:00