極東における魔術体系
■極東地方における特徴
- 大陸中央部に比べて大地を流れる地脈(気脈・レイライン)が少なく地表に漏れ出る浮遊魔力も少ない
- 大陸中央部に比べて有魔力人種の人口比率が極端に低い
内練魔力の発露は、浮遊魔力の吸引による励起によって引き起こされるとされており、極東において有魔力人口が自然伸長しない要因の一つに前述の地脈の細さによる浮遊魔力濃度の薄さが挙げられる。
この理論を裏返すと、極東地帯には自然発露しないままの潜在的魔力保有者が数多く存在していると思われる。
- 魔術士と思われる人種は古来より貴種とされ、部族・国家の象徴や指導者となったケースが多い(旧王朝である曙光朝における姫巫女アマテラスが代表的)
- 大陸中央部には存在しない妖鬼と呼ばれる人類にとっての霊的脅威が存在する
上記のような特徴から、魔術を用いることのできる存在は
- 貴種であり尊敬の対象
- 人類の脅威である妖鬼との対抗勢力 = 栄誉職
という意味合いを持ち、それ以外の人々に受け容れられている傾向が強い。
また、有魔力人口総数が低いことから【学校】という体制を整える必要性が低く、各魔術体系・流派別に門閥を形成して術の伝承・教授を行っている。
■極東地方における魔術士の体系
大別して【道士型術士】と【武林型術士】に分類される。
1.道士型術士
いわゆる大陸中央部でいうところの魔術士に相応する。
内練魔力を発動力として行使するタイプの術系統を伝承する門派。
遁術士、符術士、影使い、禁術士などが存在するが、門派によるが、大抵は複数の術系統を内包している。
例えば
魔道学院に赴任しているルゥ=ツァンフェイ教導師が師事した鷹鳴流門派では五遁術・符術・使鬼術を伝えており、各個人の資質に基づいて技を修める。
2.武林型術士
武術の延長として魔力を用いる者、またはその武術門派を指す。
前述の通り、極東は内練魔力の自然発露が行われにくい地質といえるが、これは浮遊魔力の体内への採取によって内練能力が励起されないことが要因であるとされる。
これを裏付けるのが武林型術士の存在である。
彼らは武術修練によって己を鍛錬し、型・呼吸法・歩法・心法などによって『気を練る』ことにより、体内の『丹炉』を活性化し人が潜在的に備える力を増幅して操る秘奥を会得し用いるが、大陸魔道協会の調査によれば、彼らが練気によって発現する【発気】【気功】【丹力】と呼ばれるこれらの力は魔力が変換された理力であることが判明している。
つまり、武林型術士とは武術の修練によって潜在的内練魔力を自ら励起した物体制御系 念動特化型の魔術士といえる。
但し、全ての武術門下生が内練能力の自己励起に成功するわけではなく、成功したとしても内練能力の大小は個々の資質によって差が激しい。
魔力を自然発露するに至った者の場合はより大きく、自己修練の研鑽によってそれを得たものは大半の場合は前者に劣るが、これはあくまでも体内での魔力練成能力の多寡であり、練成能力が低くとも、これを蓄積し一気呵成に放つことによって、瞬間的に前者に匹敵する力を用いることも可能である。
もう一つ武林型術士の特徴としては、魔力を放出する際の制御は『体技』によって行われているという点が挙げられる。
一般的な魔術は、魔力を術式構成という回路に通して変換を与えることで、炎や風といった世界を構成する別の力に変えるものが多いが、この術式を編むという行為を体技によって賄う武林型魔術は、より簡便である反面、複雑な変換を行うことはできず、あくまで魔力を純粋な力として変換するに留まる。
また、複雑な構成を持たないことは制御可能射程の短さにも影響しており、武林型術士の用いる技は、拳や体を魔力で覆う、いわゆる纏用がほとんどである。
拳や手刀を覆った魔力を延長して固定し、擬似刀剣のように用いる【気刀】などの技にしても、1~2尺(33~66セミルテ)が有効長とされている。
【遠当て】と分類される射出系の技も存在するが、その射程はせいぜい一丈(3.3メルテ)といったところであり、大陸中央での術式構成によって制御された念動魔術の射程に大きく劣る。
これらの特徴から武林型魔術士は近接格闘型魔術士という位置付けとなる。
魔力を外部に放出、纏用する系統の技を『外気功』魔力によって自己の身体能力を一時的に高める、賦与系統の技を『内気功』と区分する。
最終更新:2013年04月18日 21:15