【三主神】
 創生を終えて大地を見守ることに飽いた古き神々に変わって大地(現・聖臨山)へと降り立ち、その後継を宣じて古き神々に立ち去るよう告げた若き神々のうち最もはじめに現れた三神。
 二の神は破壊を司りはするものの、破壊に伴う変化を貴ぶ神であり、邪神というわけではない。

  ※宗教立国であるアインジード聖教国においては一の神は絶対神とされ、二の神以下は全て一の神の御使いと位置付けられる。
  ※三主神は本来一つの神格の異なる性質を、それぞれ神格化したものではないかとの説もあり。アインジード聖教国においては異端的解釈。
  ※一般にアレウスは男神、セクティアとウェルテアは女神とされる。

略 称 神 名 司るもの 聖 印 モットー 聖徴獣
一の神  アレウス 光と創造・進歩 太陽と翼 あまねく輝きの前に全ての迷いは払われる 金色の大鷲
二の神 セクティア 闇と破壊・変化 神の眼 我ら日々死して、日々新たなる生を受けん 黒狼
三の神 ウェルテア 時と秩序・停滞 月と円環 不変なる安息の守護者たれ 銀鱗の大蛇

【十二柱神】
 三主神を支持して聖臨山へと続いて降り立った若き神々の中でも力ある神々。三主神より世界を支える柱を預けられたとされる。
 それぞれが一柱を担う炎と風の双子女神や癒しの兄弟神とは異なり、雷神のみは何故か夫婦一対の信奉対象として定義される。
 夫婦で個を示す場合は一般に雷轟神マレウス、雷光女神ルイーナと称される。
 下表※は女神、天地神スタシアのみは季節によって男神・女神に変化するとされる。

略 称 神 名 司るもの 聖 印 モットー 聖徴獣
契約神  リブルム 法と契約・商売と公正 天秤と筆 天秤の示したる神意を欺くなかれ 獅子
大地母神※ エスティナ 豊穣と収穫・慈愛 盾と麦穂の冠 大地のごとく慈しみ、断崖のごとく護らん 一角馬
舞炎神※ ファティ 悦びと愛・美と感情 揺炎と指輪 囚われを解き、魂を刹那の炎にくべよ 火喰鳥
奏風神※ レキュア 芸術と文化・理性 旋風と扇 あやまつことなく聴け、理と時節を奏でし風の歌 白鳥
海神  ホルクト 航海の安全と海の恵み・循環 錨と綱 信念の舳先は波濤を切り裂く 白鯨
戦雷神 マレウス 戦いと勝利・変革 稲妻と拳 勇ましきこと雷轟の如し、苛烈なること稲妻の如し
戦雷神※ ルイーナ 戦いと勝利・変革 稲妻と拳 勇ましきこと雷轟の如し、苛烈なること稲妻の如し
知識神 ゾルブ 書物と秘められた真実 杖と燈し火 我が智無きを恥じ、他の慧無きを責むるなかれ 大鴉
炉神※  シェリグ 竈と鍛冶・工芸と人の営み 鉄槌と車輪 愛せよ日常を、守りたまえ還るべき場所を 金眼の黒猫
更夜神 レキノス 死と眠り・夜と精神の癒し 星と竪琴 生者に明日の活力を、死者に悠久なる静謐を 夜啼鳥
清水神 ラファウル 酒と医療・清めと肉体の癒し 水瓶と乙女 穢れを厭えど、人を憐れみ人を愛せよ
狩猟神※ シルウィス 山森と獣・狩猟と成長 矢筒と鞭 森羅の恵みを讃え、在りようのままに育め 鹿
天地神 スタシア 天空と季節の運行 大樹と陽光 まつろわぬ雲のように、万物もまた変幻自在に一つ形ならず 揚羽蝶

【裁定神】
 新しき神々は、継続と緩やかな進化を見守り促すことを本義とする神々であるが、同時に世界の終焉を見定める役をも担っているといわれる。
 世界の継続を決議するのは三主神であるが、彼らにその為の意見を具申する者として裁定神の存在がある。
 一説に女神といわれる裁定神は、節目となる時代時代で人々に試練を与え、その導く答えを総評して世界の継続か、あるいは終焉の審議を始めるかを三主神に問う役目を担っている。

 苛烈にして非情と解釈されがちで、破壊神と混同されがちな裁定神だが、人に飽いた神々に世界の継続を強く訴える神だともいわれ、常に人を見守り、最も愛情を注ぐ神だとする説もある。

 三主神への意見奏上を中立なものとする為に、自らを信奉することを禁じている為、裁定神を奉る神殿は存在しない。
 (個人的に信奉する者は存在するが、信徒と言うべき集団は存在しない)

 裁定神は別名『刈り取る者』と呼ばれ、大鎌と巻物を手にし、仮面で素顔を覆った姿でしばしば描かれる。
 巻物には試練を与えた者が歩んだ記録が納められるという。


 罪と罰・運命と道・希望を司る神(裁定神)(クルセア) 聖印:大鎌と巻物


以下余談

【旧き神々と新しき神々】

 旧き神々はクリエイター集団とも言うべき存在で、世界を造って後は飽き、また新たな世界を求めて渡っていったのだが、伝承では飽いて世界を滅ぼそうとした神々が新たな世代の神々によって放逐されたとされている。

 現極東王朝以前に存在した国家で奉られていた、曙光の女神などはこの世界に残った旧き神々の一人ではないかという説もある。

 同様に新しき神々に名を連ねない、土着信仰の神々の多くは、旧き神々の残留者と解釈されている。



【聖人信仰】

 生前の行いにより、準神格として信仰の対象となったかつて生きた存在を表わす。
 天使、御使いなどとも称される。

 その認定は聖臨山に存在する三主神及び十二柱神の本山神殿もしくは各地に建立された大聖堂(大聖堂の呼び名は本山の許しを得た特定の聖堂にのみ与えられる)に人知れずその名が刻まれる奇跡により行われる。※必ずしも名で記されるわけではなく、理由は不明ながら特徴や通称のみで記される場合もある

 聖人信仰は、聖人認定を行った神殿への信仰に等しいと言うのが通例。

 聖人信仰を行う信徒が神聖魔法を用いる場合は、聖人認定を行った神殿の主である神の信徒とみなされる。

 アインジード聖教国においては当然ながら聖人崇拝は禁止されている。(※但し一の神によって認定された聖人崇拝によって神聖魔法を発動しようとも、その恩寵は一の神から贈られる為、第三者によって神聖魔法行使者に聖人崇拝の有無があったかを判ずる術はない)




 例外として英霊と呼ばれる、野良聖人というものも存在する。
 準神格として思念を保った霊的存在となりながら、いずれの神殿にもその名が刻まれない。

 英霊自身が生前信仰の対象を持たなかった場合このようなケースになるのではないかとも言われるが真偽の程は定かではない。
 彼らを信仰しても神聖魔法の恩寵が得られることは無い。
 魔道学院の開祖でもあるルクス=リュミエールなどはこれに該当する。

 生前強い想いを残して没したり、英雄視され広く惜しまれたりした場合、本人或いは大衆が造り出した残留思念となり、世界の要素として散らばったものを魔術的に結集、生前の能力や知識の欠片を一時的に具現化する術によって現れる思念についても英霊と称するが、これは召喚者を必要としない自律した存在である前述の英霊とは似て非なるものである。


 魔道学院内郭と外郭街との間に存在する小規模の聖廟は三主神と十二柱神のものであり、それ以外の下位・従属神の神官修行を希望する場合は学院領から推薦を受け、各地の神殿での修行を行うこととなる。
最終更新:2021年09月21日 15:31