~トライセラの紅旗の聖女まとめ~

【境界の剣】

古代文明時代の遺産の一つ。

古代文明の魔導師により『遠く青き水の月』より召喚された旧き神々の一角、大地の女神に仕えた従属獣の魂が刀身に刻まれた束縛の古ルーン詩文により繋がれ、封じられている。

従属獣は蛇の姿をしており、女神の命により海に落ちた竜の屍の上を這い、その跡を女神は陸と川、人と人ならざるものの境目となした。
かの獣の魂によって、境界の剣は大地に突き立てれば地割れを、海に突き立てれば道を開くと伝承にはあり、手にしたものを境界なき王の中の王となすと伝わる。

実際は剣閃によって成した線を境界とし、理を曲げて空間ごと切断する能力や、強固な結界を発生させる力を秘める。
その築きたる護りの壁は一軍の展開した騎兵の突進をことごとく撥ね飛ばすほどに強力。

意思を持ち、現界において獣が女神もしくは女神の代行者と認めた者にしか口をきくことは無く、力の行使も拒否する。
然しながら束縛の詩文の内に隠されている、強要の呪を発動することで強制制御する方法が古代文明末期に研究されていたが、その発動方法に関する知識は失われたとされる……。


【背景】

長らく古代王国の滅亡と共に失われたと思われていたが、凡そ400年前にそれと思しき剣が東部列強トライセラで古代王国時代の研究所と思われる遺跡より、幾重にも鎖で壁に繋がれて発見された。

時のトライセラ王は魔道協会との盟約である古代文明に連なる遺跡・遺物の報告・処置委任の条項に反してこれを秘匿。
解析を進め、伝承の力を国益に用いようと画策するも、何者かの介入によって事が露見、協会及び盟約国から批判を受ける中、剣自体をも紛失するという失態を演じる。

剣の紛失により、トライセラは図らずも遺跡の届け出責務の抵触のみを咎められたに留まるも、盟約違反を理由とする魔晶をはじめとした魔道技術の供給制限による国内生産力の低下や、国際的信用を著しく失墜。
トライセラ王は数年後、心労により崩御。

跡を継いだ新王は、王太子時分より、境界の剣秘匿~露見、紛失まで一連の事件は帝国による陰謀と固く信じており、下がり続ける王家の権威に業を煮やした結果、突如帝国領へ布告無く侵攻するという暴挙に及ぶ。

強襲により開戦当初こそ優勢を誇るトライセラ軍。

しかしすでに国力を著しく減退させていたトライセラ軍に長期戦は戦えず、伸びきった補給線を通う物資はあまりに少なく……。

報復に出た帝国軍によってじりじりと占領地を追われ、やがて自国領への侵入をも許してしまう。


当時連邦国家として形を成し始めた商工連邦にとって、北に隣接するトライセラを滅ぼされることは、自国を帝国領によって囲まれることとなる。
帝国・列強双方を顧客に持つ連邦にとってそれは好ましい事態ではなかった。
また帝国にとっても無用な圧力を連邦にかけることで、防衛措置として連邦が列強と攻守同盟を結ぶような事態は避けたいことから、あくまで領土を侵したトライセラに対し、国としての面子を立てた上、一郡割譲程度で済ませたかったが、皇帝の思惑を理解できなかった東部方面軍の司令官は、そもそも国力が衰え長期戦を戦えず、王家の求心力低下に伴って士気も低いトライセラ軍を蹴散らしたことに気を良くし、トライセラ王都に迫る勢いで進軍を継続。
時勢はトライセラに非ありと当初静観していた列強諸国をも巻き込む戦に発展するのは時間の問題であった。

王都を目前とした帝国軍に、国外逃亡を図るトライセラ王家と一族。
混乱する軍部と国民。
この先どのように転んでもトライセラは滅び、その領土を帝国、列強、場合によっては連邦とで奪いあい、『小麦実る黄金の丘陵 その美しさは筆舌に尽くしがたし』と謳われたトライセラの地は、激しい戦火に蹂躙される運命しか残されていないかと思われた……。

戦場に一振りの剣と、白く風に揺れるトライセラ国旗を掲げた少女が現れるまでは。



境界の剣を発掘してしまったトライセラから剣を持ち去り、深い湖の底に再び鎖をかけて沈めた黒騎士とブリュンヒルデの名を持つ剣戟の自動人形と、緑髪紅眼の魔女。
彼らに協力したトライセラ生まれの一人の神官見習いであった銀の髪の少女。

報復としてトライセラへと攻め込みすぎた、帝国東部方面軍を預けられた司令官。

はじめに踏み込んだのは祖国、けれどやがて報復の軍靴に踏み荒らされ、焼かれてゆく祖国と同胞の為、湖に分け入り剣を呼ぶ神官見習いの声は剣の獣に届き…… 

『汝を女神の代行者と認めよう』

低く響く声と震える湖面。

帝国軍が憎いわけじゃない、王家を妄信しているんでもない。
儀礼用に習った剣の腕が戦争で役立つなんて思ってない。
そもそも戦争なんてしたくない。
耳をふさいで嵐が過ぎ去るのをただ屈んで待っていたい。
でもそれじゃ何もかもなくなるから。
大好きな人たちが一緒に暮らせる場所が無くなるから……。

ただ止めたかった、大切な隣人たちが奪われていくのを止める力が欲しかっただけ。
あまりに無力な自分でもかの剣の力を借りられれば……漠然とした願いで持って振るわれた、あまりに強大な力。
ただの一薙ぎで断ち割られた兵士の胴体、首、先刻まで身体だったはずの肉の塊が落ち、散乱する光景。

立ち込める臭気に少女は膝を折る。
その指は柄を握ったまま凍りつき、涙混じりの嘔吐を何度も何度も繰り返す。

少女の漠然とした願い、突きつけられた戦争と言う文字の先にあった現実。
こんな恐ろしいもの放りだしてしまいたかった。
本当はもうそのまま何もかも忘れて目を閉じていたかった。
膝を抱えて誰かに優しく守られていたかった、誰かに護って欲しかった。

けれどその間に誰かが奪われていくから、私は護る術を手に入れてしまったから……。

旗を掲げ、剣を従えて人々の前を行く。
白銀の甲冑に身を包み、誰よりも朱く染まりながら。


やがて画策されるトライセラ領の大幅な割譲を条件とした講和。
王家がただ王家として存在するためだけの、民を養う穀倉地を支配権の継続と引き換えに結ばれようとする、国を国でないものへと変えてしまう形ばかりの講和条件。

一度は国土と王座を取り戻す役に立ったものが邪魔となる……。



遥か極東の地より飛び立つ一つの影。
取り上げなくては、あの剣を。
あの娘が聖女などと呼ばれ、数えきれない命をその名に背負っていたなんて。
なぜ封印場所を見せてしまったのか、なぜ剣は応えてしまったのか……。
『この国も人も大好きなんです』そう言って笑ったあの娘。
止めなくては、取り上げなくては……
翼よ、もう二度と飛ばなくていいから、お願い翼よ、間に合って。


『陛下はこの土地を講和条件として帝国へ割譲されることをお定めになられました。しかしこの穀倉地に実る小麦はトライセラの民の生活を守るために必要なものです。五年十年は過ごせるかもしれません、けれどいずれ国民は飢え、パン一つ買えぬ家が溢れるでしょう』

たった二人で始めた進軍に、自ら馳せ参じてきた者たちの前を輪乗りで駆け、馬上から語りかける。

『国には再び餓えと嘆きと死が満ち、その時には恐らく国も民も別たれトライセラという国は地図より消えるでしょう。私はそのような未来を望みません、あなた方にとってそれは望むものですか?』

否定を叫んで打ち鳴らされる兵士たちの剣と盾。その数僅かに二百と八十八。

『私たちがこれから赴く戦は陛下の命に叛くものです、領の接収に進んでくる帝国軍は七千の大軍。勝敗に関わらず我らは逆賊の名を負い、大軍を相手取らねばなりません、それでも……それでも、この地に踏み留まるという者は……左右の臣に惑わされ、お迷いになられている陛下に、ただお気付き頂く為だけにここから一歩も退かず抗うという者だけは残って、その命をもう一度、私に下さい』

シンと鎮まる丘に再度高らかに上がる国と聖女を称えて上がる声は二百と八十八から一つも欠けることは無く。

前方に領土受領の調印の為に粛々と進む、名高き精霊騎士団を含む帝国先遣軍。
背後には逆賊とされた聖女討伐の命を受けたトライセラ正規軍。

苦悩の果てに自ら聖女の名を受け容れた少女。
その最後の戦いの火蓋は、雲間を切り裂いて飛ぶ緑の魔女の祈りも虚しく、間もなく切って落とされようとしていた。



謁見の間に呼び出され、下された命令に復命の務めも忘れて我が耳を疑った。

「恐れながら、我らが国の窮地を救った聖女を討てとは、いかなるご所存でありましょうか」

片膝をついた視線の先には、失政の末薨去した父王の残した国際的非難や、民の不信の念、帝国への根拠の無い疑念に耐えかねた挙句、自ら巻き起こした戦火すらも怖れ、城を、都を、国と民を捨てて一度は逃げ出した男の足が見えた。

「左将軍、お前まで聖女かぶれか?」

華美な室内履きの上から苦々しげな声音が降る。

「一武人として認めるところはあれど、かぶれなどと、そのような…。しかし兵達には聖女を崇める者も多く、ご下命の理由いかんによっては士気に影響致します」

『…兵卒をたぶらかすとは何を企んでいたのやら…』
『戦場に若い娘がおれば人気も出ようよ…』
『旗を持ち、立っているだけで英雄とは…』

脇に居並ぶ近臣達がざわめき、扇の内で下卑た囁きを交わす。

戦塵に身を置く全ての者と、何より血濡れた我が手に震え、自らの名を叫び、倒れ逝く命の重みを一身に受け止めて月明かりの下で慟哭した、まだ大人でさえなかった娘に対する侮蔑に、目眩む程の怒りを覚え、口中に錆びた味が滲む。

「帝国との講和条件は聞き及んでおろうな左将軍……いや、将軍はその条件には反対を唱えておったようであるから当然知っておるな」

聖女の働きによって一度は対等の戦況に持ち込むこんだことで、少しはまともな条件を引き出すお膳立てが整ったというのに、退位を迫られた我が身の権益可愛さに、自ら王であり続けることと引き換えに国を支える穀倉地帯を売り渡すという余りに愚かな条件提示を呑んだ、滑稽な王の声が冷たく降り注ぐ。

あの娘が我が身を誰よりも朱に染めながら白き旗を守り続けたからこそ、貴方は素足で逃げ出したこの王城におめおめと舞い戻り、そのような室内履きに今も足を包んでいられるというのに……。

「……決定事項として既に拝命仕っております」

その講和条件がいずれこの国にもたらす未来が見えない王にいくら諫言しようとも、耳心地良く囁く近臣に囲まれ、視界に映る煌びやかな玉座さえ守れればそれで満足な男には届かず、響かない。

それだけでも、あの娘に……この胸倉を掴んで"聖女"と呼ばないでくれと泣いたあの子にどれほど詫びればいいのかわからないというのに、この私に『聖女を討て』とは……。

「越境を許可した帝国先遣隊との領土割譲と講和条約調印の為派遣したビュラード侯が、国境守備軍との合流前に暴漢に襲われ拘束されたとの報告が入っておる。暴漢の先頭に立っておったのが、あの小娘だという報とともにな」

忌々しきことに、我が国の旗を掲げての暴挙である。
そう王は言葉を続けるが、それはどこか遠くの雑踏の音のように聞こえる……。

あの娘が何をしようとしているのか、すぐに察しがついた、けれどあまりに無茶だ。
然れどそれをこのような者たちに暴挙などと呼ばれてなるものか……。
誰も彼も国ではなく、民でもなく、己が利権を守ることにのみ執着する舵取りを頂き、この混迷した国の中、あの娘だけが正しく将来(さき)を見据え、何をすべきかを理解し、たった一人行動を起こしたのか……。

かの娘以外、何者がこの白い旗を掲げる資格があるというのだろう……。

「侯を拉致した小娘の一団は何を血迷ったか帝国先遣隊に向かって進んでおるとの報が先ほど参った。帝国軍と当たれるほどの数ではないが、我が国の誠意を疑われては折角の講和が水の泡となる。国をこれ以上戦で疲弊させるはそちとて望むところではあるまい」

貴方がそれを言うのか……。
一欠片も民を顧みることの無い、虚しい誠意とは何だ……。

我が剣と忠誠は国に捧げたはずだ、国とは何だ。王とは国なのか?
このように民を顧みぬ王と、それを取り巻く諂い者たちに頭を垂れる為に我が剣は捧げられたのか……。私は……。

「勅命である。近衛軍を率い、国境守備軍と合してビュラート侯を救出せよ。聖女を語るあの神官崩れの娘アデアット=ラウィーニアとその一団は国賊としてこれを殲滅し、首魁であるアデアットについては首と境界の剣を必ず持ち帰れ。………どうした左将軍、復唱せぬか」



石突をしっかりと大地に突き刺した槍先には、ぐっしょりと朱を吸い、もはや翻ることも無く垂れ下がった旗。
身に纏った甲冑はあちこちが破損し、露になったあまりに細い肩。
槍と同じく切っ先を大地に埋めた大剣に体重を預けるように前のめりに、けれど今もしっかりと守りきった祖国の土を踏みしめて立ち続ける少女に歩み寄る。

「……アデアット」

細い腰を支え、剣の柄を握り締めたままの鎖編みの手袋に包まれた手にそっと触れ、少女の命を吸い尽くしてしまった霊剣を取り払おうと柄を引くけれど、しっかりと握り締められた拳がそれを手放さない。

「もう、いいのよ。あなたは大好きだと言った国を守ったのだから」

もう一度、柄を握り締める拳と指に手を触れて固く握り締めたそれを一本一本緩めてやりながら、俯いたままの少女の顔を覗き込めば、全身と同じく自らと自ら屠った者の返り血に汚れた白い顔。

閉じられた瞼、かんばせに幾条も走る裂傷。

どんなにか怖かったろう、人と人が命のやり取りを行う場所に身を置くことは。
どんなにか辛かったろう、自分の振るった剣の先で命が失われるのを感じることが、自らを聖女と仰ぎ、その名を呼びながら前を駆けていった者たちが戦う光景を見続けるのは……。

でも覗き込んだ少女の顔は苦悶に歪んでいるわけでも、国を守った誇りに包まれて満足気な表情をも浮かべてはいなかった。

ただ、安らかという他にはない、すべきことを終えて安心したかのように静かで穏やかな表情で瞳を閉じる少女を目にして、込み上げたものに思わず肩が震える。

「アデアット……いっぱい頑張ったね、えらかったね……最期まで貴女自身で選んだ"したい"ことをしたのね……」

冷たく固まった指を解きほぐし、愛しげに自らの頬に沿わせながら語りかける。

嗚咽が漏れてコツンと額を美しかった銀の髪、今は血と泥にまみれ硬くなってしまった冷たい髪に押し当てて、私は重すぎる名に押し潰されずに小さな自分を貫いて生きた少女を悼んで泣いた。



ぐしと袖口で顔を拭うと鼻を啜って、物言わぬけれどまだ意思を残していることを波動で伝えてくる剣を提げ、細い少女の身体を抱き上げる。

翼を拡げ大地を蹴ろうとすると、黙って遠巻きにしていた武人が制止の声を上げた。
黒い甲冑に身を纏った姿はトライセラ正規軍の将だろうか。

「貴女が誰かは知らない、剣は何処へなりと持っていってくれて構わない。けれどお願いだ、どうか彼女を連れていかないでくれ」

実直そうな面立ちをした将は、後悔と恥じ入る感情を押し殺していることを眉に表わしながら言い募る。

「……娘一人救ってやれなかったお前たちに預けろだと?それとも国賊としてまだこの娘に鞭をくれようとでも言うのか?」

自分にも出来なかったことは棚上げにして、行き場の無い悲しみと怒りの溜飲を下げる相手を見つけた私は、みっともなく強い眼差しとともに低い声音で言葉を返すが、将は尚も懇願する。

「アデアットを賊と呼んだ愚かな王はもういない。彼女は丁重にその身を弔うと誓う。貴女がアデアットを思ってくれていたことは見ていて痛いほどよく分かった、貴女が我らに怒っておられることも重々承知だ、けれどそれでも頼む。お願いだ、我々から彼女を連れ去らないでくれ。手遅れだとしても我らが間違いを認め、忘れず、アデアットの願いを果たすことを、国を支えてもう一度歩き出すことで今更だとしても彼女に報いる機会をどうか我々と、トライセラの民から奪わないで欲しい」

勝手ではないか……
命あった彼女を救わなかったのに、間に合わなかったのに、冷たくなってしまったアデアットにもう一度働けと言うのか。

「勝手だということはわかっている。アデアットが聖女と呼ばれるたびに泣きながら傷ついていたことも知っている、けれど、それでも我々にはまだ……」

聖女が必要なんだ……。

血を吐くような表情で懇願する将の顔をしばし見つめ、腕の中に抱いた少女の顔へと視線を落とす。

『確かに今は、この国は問題が山積みですけど、でも……この土地も人も、私この国が大好きなんです』

-だって自分の生まれて育った国ですもの、ステラさま-

別れ際に笑顔でそう告げられた、少女と交わした最後の言葉を思い出す。
……もしも今、この腕の中でまだ少女が口をきくことができたとしたら………
自分になんと言うのか、想像に難くなかった……。

「もしも誓いを破ってみなさい、その時は私がこの手でこの国を滅ぼすわ……」

では……と、呟く将へと歩み寄り、腕の中の少女を託すと片手を伸ばしてもう一度少女の頬を優しく撫でる。

「さようなら、アデアット……」


大陸暦1493年、ウィスタリア帝国との戦時下にあった東部列強連盟トライセラ王国にて起きたクーデターにより、トライセラ旧王家廃さるる。
クーデターと日を同じくして救国の聖女に率いられた一軍と帝国軍との間に行われたイースラー会戦にて、帝国の侵攻を一時退けたトライセラ新王朝は、帝国と改めて講和を結び二群を帝国に割譲、新たな国境線をウィジレ河によって引き直すこととなる。

イースラーの丘にて寡勢を率い、帝国軍を退けながらも壮絶な討ち死にを遂げた救国の聖女アデアット=ラウィーニアの国葬を執り行ったトライセラ新王朝は、聖女に深い敬意と感謝の念を表し、常に聖女とともに戦場にたなびき、穀倉地イースラーの境を一歩も退かぬまま聖女の血に染まった旗にあやかり、国旗を白より赤へと改むる。

故に救国の聖女は『紅旗の聖女』と呼ばれる。
その亡骸を包んだ紅の旗はイースラー国境線に建てられた要塞に安置され、聖女騎士団によって今も堅く守られている。

紅旗の聖女はトライセラ国民にとって誇りであり、彼女の意思を継ぐ証として甲冑・制服に紅布をあしらう聖女騎士団員が現国境線を守ることを指して人々は『聖女は死してなお今もトライセラを支える穀倉地帯を守っている』一様にそう口にするのである。
最終更新:2019年01月04日 20:55