~帝国司法府 施法院について~
■立法省
帝国法の制定・改廃に関する立案・受付・審議・皇帝への草案作成と、その施行・広報を司る。外部機関として学識者による諮問機関を有す。
帝国へ新たに郡国として加入する国家の既成律法と帝国法大綱を照らし、改廃を要する条項等について審議を行う役目も持ち、立法省の審議結果を皇帝が承認することによって郡国は成立する。
■護法省
施法院の下部省庁の一つ。
帝国直轄領都市内において法の体現を行う実行機関。
犯罪の取り締まり、犯罪者の拘束、量刑裁定などを行う。
実動部隊である護法官と、裁判審理を始めとする内務を執り行う裁定官とを抱える。
◇護法官
市中の治安維持警邏隊であるが、犯罪者の捜査追跡の任をも負う。
護法官の活動は帝国直轄領、かつ都市・町・村里の集落に限られ、軍との住み分けがなされているが、管轄内で発生した事件調査に関連する集落外での限定的活動については、これを認められている。
◇裁定官
裁定官は護法官によって確保された犯罪者の罪を明らかにし、量刑を課する官吏である。
護法官を統括する護法庁において事前審議された犯罪者に対し、主裁定官と四名の裁定補佐官によって量刑が審議・裁決される。
主裁定官の役は二等裁定官として裁定補佐官の経験を充分に積み、試験に通過した者にのみ与えられる一等裁定官より選出される。
護法省の活動が原則として帝国直轄領に限られる関係上、裁定官が審理裁決を行う案件もその対象は直轄領に於いて認定された犯罪者に限られる。
帝国直轄領にて外国籍を有する者が罪を犯し拘束された場合、その対象国と外務院での交渉結果に従い、いずれの法によって裁くかが決定されるが、帝国は原則として自国で発生した外国籍者の重犯罪に対しては非常に厳しい態度で交渉に臨むことで知られており、過去外国籍者が本国へ引き渡され無罪放免となったケースは非常に稀である。
設置当初、裁定官の選出は護法省内部の推薦によって行われていたが、その保有する権力が高く、権益との癒着が危惧されたことから、後に試験制度が導入され、監察省に任期ごとの資格継続審査の権を委ねることとなる。
監察省は本来、郡国統治の監視を主とする省庁であるが、上記権限の移譲に伴い立法省、護法省の監察・是正を行う任をも担うこととなった。
~ジャイル=エクスベリア著 『大陸国史』改訂版より抜粋~
膝下に郡国という一部治外法権となる半独立領を抱え、その統制を執らねばならない帝国にとって外国籍の者が犯した犯罪を外交によって本籍国に無条件で委ねる外交姿勢は、即ち郡国への影響力の低下に繋がることから、帝国は外国籍犯罪者の扱いを郡国に対する示威行為に利用していると批判する専門家も存在する。
然し郡国統治制という特殊な国家制度を敷きながら凡そ800年に渡る治世において、内乱による郡規模の版図縮小を招いたのは大公国の乱のみであることや、市街のみならず中央から離れた小規模な集落におけるまで治安水準が他国に類を見ないほどに高く維持されている事実は、貫かれてきたその姿勢が帝国の統治基盤を強固に支えていることを示している。
仮にそれが示威行為であるとしても、それは国民の生活を守ると共に、一人一人に帝国民であることへの自負、つまりは求心力に結びついていることから、国策として相応の成果を上げており国家を維持することにおいては評価すべきものである。
■監察省
施法院の下部省庁の一つ。
郡国における帝国法の施行及び、帝国の統治理念への違憲審査、郡国法と帝国法との乖離が無いかを監督、査察する。
郡国内に地方省を有し、監察官を駐在する監督機関。
郡国の統治に問題ありと判断した場合、監察省長官は郡国への是正命令を発行し、改善が満たされない場合には、郡国への派兵を皇帝に具申することが可能。
その際、監察省長官は軍監として派兵軍を統御する。
また施法院における各省庁・部門の職務が忠実かつ公正に果たされているかの監察を行う任をも担う。
◇高等審問官
監察省長官を輔翼する役目を持つ護法四家の当主を指す。
監察省の設置以前、帝国法制定の父と言われる二代烈帝から三代裁帝に渡って仕え、その要綱作成を支えた四重臣に与えられた名誉職を礎とする。
その役は郡国統治に不正が見られた際、郡国主への問責を行い、場合によっては兵を率い、皇帝及び監察省長官の名代として郡国や直轄領内の郡国主館、関連施設への臨検査察の指揮を執る。
なお、臨検に際しては皇帝の名代であることを示す為、本来皇家にのみ許される紫地銀刺繍の旗を掲げる栄誉を与えられていた。
監察省が設置以降はその任と権は機関に分散され、往時の繁栄は失ったものの、依然法家として監察省長官の相談役としてこれを補佐し、監察官からの報告が審理され要ありと判断した郡国主や国主名代を糾問する際には、相応の家格を有した帝国貴族としてこの任に当たる。
また臨検及び征伐に際しては監察省長官の名代として軍監を務めることが許される。
最終更新:2012年06月26日 22:10