なぁに?
重力操作と物体操作による浮揚術の違いを教えてくれ?

んーそうねぇ、物体操作術は魔術の内でも最も基本かつ基礎的なものね。
でもって重力操作ってのは、習得して身に付ける類の技術じゃなくって天賦の才によって得うる、個人的な能力といっていいわね。

物体操作はその名の通り『物体』を魔力を介して操作する術式で、その骨子は念動ってのは始めにならったわね。
その念動を延長することで魔力によって編んだ見えない手、これで物体を操るのがその要諦よ。
【浮揚】の術式は引力・斥力・静止しようとする力といった、これらの理を上回る念動によって物を浮かせたり、飛ばしたりするわけ。

例えば羽根を浮かせるには、羽根にかかる重力以上の念動によって"浮かせ"ればいいわけ。
個人の魔力量と念動への変換力によって許容量は異なるから、術者によって操作できる重量や質量、同時に操作できる数なんかには差異が出るわね。

物を浮かせるという行為に限って言えば重力操作も似ているけれど、これは操作する対象が『物体』ではなく『重力』という理そのものに変わるわ。
自然の状態でも常に変化するものである四大属性なんかとは違って、原則的に不変の理、つまりは世界の成り立ちを変えるわけだから、大変な術よ。当然持っていかれる内練魔力も尋常じゃないでしょうね。

物を浮かせるという結果を重力操作によって得る場合は、物体に掛かっている重力を相殺したうえで浮揚力となる斥力を与える必要がありわ。一口に言えば重力の逆転ね。けど一概に逆転しても、すごい勢いですっ飛んでっちゃうから、この力加減を制御することまで含めての重力操作式ね。

重力を操る方向・範囲・威力制御この三つで一纏めのイメージかしら。
物体操作との決定的違いは対象が『理の力』そのものだから、さっきの例とは逆に操作範囲の重力を増すことも可能よ。

念動でも同様の加圧を行うことは不可能ではないけど、念動自体が『力』だから、それを上回る念動によって破壊もしくは相殺されれば効果は解けちゃうけど、重力操作の場合は重力という自然の理が操作されているからこれを防ごうと思うとなかなかに大変でしょうね。
ぱっと思いつく範疇では同様の術で相殺するか、術者もしくは術式自体を破壊、もしくは妨害しなきゃいけないかな。
大地の精霊力を高めることで、重力操作によって加えられた不自然な干渉を止めることも可能かもしれないけれど、並の精霊の力では難しいかもね。
最終更新:2012年07月14日 12:37