一般にファルージュ、ノエイン、ウォルブランの三家を指す。
【ファルージュ家】優れた結界術士を輩出する一門であり、祖は帝国軍人の家系であったが中央における役職からは長らく離れている。現在は魔道流派としてよりも、独自の多角魔道産業によって財を成しファルージュ財閥として一般に広く名を知られる。城砦配備の大規模結界術機構から家庭の防犯までを売り文句に始めた魔晶利用産業は今や応用結界術に留まらず、あらゆる分野の魔道商品を扱う一大企業グループとして大陸中にその名を轟かせる。宗家直系の者にのみ伝えられる空間圧縮術式が存在し、この亜流である術式を流用した圧縮配送便は大陸の物流・商流に大きな変革を与えることとなったベストセラー商品である。
魔道・魔技術の恩恵を一般社会へ還元し、魔術士の社会的立場の向上という点において多大な貢献を果たしたファルージュであるが、一方では魔術の兵器転用・戦場運用にも熱心であり魔道戦術研究所を抱え戦術級魔術式や魔道兵器の開発と軍部への供与等に余念がなく、総領家はあくまで帝国臣下の立場を取りつつも、グループ傘下末端の企業からは他国と魔武具や魔道兵器の取引をも行う等、死の商人としての一面をも有する。
過去に事故として処理された大規模な魔術暴発事故の幾つかや、それに起因した紛争などの裏にファルージュの暗躍があったといった噂が絶えない。
【ノエイン家】大陸魔道協会創設メンバーの一員として大陸魔道史に記されるのを皮切りに、多数の魔道協会理事メンバーを排出する一門にして現代元素魔術の基本術式の開発と体系化を図った一族でもある。国家に所属しない組織である魔道協会の歴代理事に一門を送り込む一方で、総領家はウィスタリア帝国筆頭宰相や宮廷魔道師長を輩出する帝国譜代の重臣にして政治家でもある。
ウィスタリア帝国に名高い
魔道学院の創始者にして魔術士の聖人として奉られるリュミエール卿の直弟子をその祖とし、往時の魔力制御は師をも上回ったといわれる初代の名に恥じぬ大魔導師を幾人も血統より輩出し続けていることから大家三家の中では最も魔術士一族としての色合いが濃い。
【ウォルブラン家】 かつてウィスタリア帝国と干戈を交えた国家に用いられていた傭兵団を率いた人物をその祖としており、他のニ家と異なり帝国譜代の家柄ではない。優れた魔術士を多数直系より輩出もしているが、その真価は配下に抱えた独自の攻城魔術部隊にある。攻城魔術(戦術級大規模魔術)は統律者(コンダクター)以下、個別の役割を担った複数の魔術士によってその発動・制御が行われるために魔術小隊としての練度がその正確性・威力を大きく左右するが、ウォルブラン家臣団を中心とした攻城魔術隊の練度は他のそれの追随を許さぬ域にまで研鑽されており、その打撃力は他国にとって脅威の的である。然しながら、ウォルブラン家の名声は破壊力ではなく、大出力でありながら針を通すと称される制御力とともにあり、他国の戦術級魔術の迎撃相殺や城砦の鉄門のみを撃ち貫いた強力にして鮮やかなる正確無比な技を戦史に多数刻んでいる。
帝国の魔道技術を背景に、さらなる国土拡張を主張するファルージュに対して、ウォルブラン家はあくまで大規模戦術級魔術は自国へと向けられた暴威に対する対抗策にして抑止力・攻城戦の死傷者を最小限とする為の技術であって殺戮兵器に非ずという態度を貫き、魔術の力を律することを家訓としている。
ファルージュの家紋が盾、ウォルブランが戦槌をその意匠としていることから、ニ家の対立は『盾にして凶槌、槌でありながら大盾』などといわれている。
最終更新:2012年10月19日 02:43