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テラカオスバトルロワイアル外伝
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フルアーマーとネイキッド

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フルアーマーとネイキッド ID:VNAl2QYD


重い音を響かせながら、今や歩道と変わらぬ車道を歩く男がいた。

「ここがあの人で賑わっていた渋谷とは……とても思えませんね……」

辺りをぐるりと見回し、鎧の男、混沌を自ら名乗る騎士はため息をついた。
彼には仲間の騎士がいたのだが、今は一人だ。
ちょっと待っていろと言われ、しばらく待ってもその騎士が帰ってくることはなく……
混沌の騎士は、幾つかの可能性を考えた。
ひとつ、ここがバトルロワイアル会場である以上、騎士が何者かに殺害された可能性。
ひとつ、騎士が普通に道に迷ってさまよっている可能性。
ひとつ、歩くダークパワーとやら、あるいは例の白いけだものを追跡し続けている可能性。
いずれにしろ、あれだけ待っても仲間が帰ってこなかったのは普通ではない。
そして同時に、ぼんやり待ち続けるのは得策ではないと混沌の騎士は判断したのだ。
ただ、仲間の騎士が無事であり、待ち合わせ場所に帰ってくる可能性も否定できない。
そのため、あの場所には支給品の紙をちぎり、拾った石で固定した書き置きを残してきた。
「先に例の獣を追っています。ご無事であれば、いずれまたお会いしましょう」
あえて名前を出さず、新たな合流場所を決めることもしていない、簡素な伝言。
だが万が一危険人物に先にメモを見られた時のリスクを考えると、これが限界だった。
あの騎士であれば、例の獣で話が通じるだろうし、彼も自分も誰かを助けるために動いている。
追う敵も同じ、ならばいつかは再び合流できるだろう。
だから、混沌の騎士は一人であてもなくふらつき、誰かを探す。
彼なりの考え、思うところあっての行動だ。

もっとも、そんな混沌の騎士であっても。
まさか仲間が自分の存在を忘れ、金髪美少女をはべらせて楽しくお茶会を楽しんでいるなど……
まったくもって考えつかなかったのだが、それが普通なのは言うまでもない。


※


「前はこの辺りで芸を披露しましたっけ……」

混沌の騎士は歩きながら、無人の何の変哲もない公園を懐かしげに見つめる。

記憶を求めて世界各地を旅してきた混沌の騎士は、定職にはついていない。
旅費その他は、その場所その場所で披露した大道芸や手品、腹話術などで稼いでいた。
混沌の騎士も、それらに関してはそこら辺に転がる連中よりも優れていると思っていた。
事実、それだけで食っていくことができる程度の腕前が、彼には確かにあった。

「別に練習したわけでもないんですが……」

そこで混沌の騎士は、ああ、とだけ漏らして苦笑いを浮かべる。

「記憶が無くてはそれも定かではない……か。だがせめて、何故私が鎧を手放せないのかくらい……」

すでに太陽は沈みつつあるが、それでも混沌の騎士の額には汗が滲んでいる。
この黒い鎧は、熱を吸収するだけではなく、普通に重く通気性もいいわけではないのだ。

「……公園の水道、使いますか」

発汗による水分の喪失、それを取り戻すために騎士は水道の蛇口を捻る。
なかなか妙な光景であるが、当の本人は気にせずに水分補給に勤しむ。

(……水は出る。毒が入っている様子もない。電車が動いているのも確認できた。
人がいないこと以外は、以前と変わらない渋谷の風景……
人に苦痛を与えたければ、ライフラインを絶ってしまえばいいはずなのに……
あくまで、日常の中での殺し合いを眺めたい?ひからびて死なれては困る?)

水を飲みつつ、混沌の騎士は主催者の思惑を探ろうとするが、まるで答えはでてこない。
全くもって、このバトルロワイアルの目的がわからない。
人を殺したいのなら、全員の首輪を今すぐ爆発させれば済む。
人の争いを見たいのであれば、あの集められた広場ですぐに強制戦闘を行えばよかった。
何故猶予を、時間を、機会を与えたのか。こんな会場まで用意して。
そしてさらに言えば、何故、何故……

「何故、私の支給品はこんな可愛くない人形なんですかっ!」
『甘い、甘いぞっ!』

乱暴に握りしめた瞬間に人形のボタンが押され、それがまた混沌の騎士に頭痛をもたらす。
どうせ人形なら、普段の自分の商売道具の人形の方がよかった。
それが駄目なら、せめてマジックステッキやトランプでも……
そう思う程、混沌の騎士の中でのこの人形の評価は低かった。


※


一人の全裸の少女が、渋谷をひたすらに走っていた。
少し前に東京都を震撼させた全裸クン○女ではない。
思えば、そんな殺人鬼がうろついていたり、違法薬物料理人がいたり、使徒も普通にいたり……
なんだかバトルロワイアルが開かれる前から十分危険だったのではないかと思われるかつての日々。
下手すれば人数が減っている分、ある意味ではこのバトルロワイアルの方が安全という考えもできる。
ただそういう考えを持てるのは、そんな危険な奴らの相手をしてきた一部のものだけだ。
走り続ける少女、岩崎みなみは、本当に一般人だった。
危険人物が多いのに比例して、平和を守る者もきっと沢山いたのだろう。
そんな彼ら彼女らの活動により、みなみやその友人達は危険とは無縁の平和な毎日を送ってきた。
だがとうとう、その平和が崩れ去った。
確かに人数が減り、危険人物は元々よりも少ないかもしれない。
だがそれは、平和を守ってきた者達も全く同じことなのだ。
危険人物達、それを止める者達、自分や友人、一般人達……
かつての日々というのもおかしい、昨日までは少なくとも均衡はとれていた。
あるいは止める者の数が危険人物の数を上回っていたのだろう。
だからこそ、一般人は何も知らずに生活を続けてきた。
だが、今のこの世界で、比率がどのように変化しているのか、それはわからない。
少なくともみなみに言えるのは、今は平和ではないということだけだ。
そんな彼女も、走り続けて喉がからからだった。

(あ……公園……水……)

そしてふらふらと公園に吸い込まれた彼女は……

「甘い、甘いぞっ!……我ながら、なかなか似てますね」

なんか変な人形に向かって話し掛ける変な鎧の変な男を発見してしまった。

「ひっ!?」
「誰です!?ってお嬢さん!なんですかその格好は!早く隠しなさい!」

変な男は自身のマントを投げて寄越すが、怪しさはまだまだ残っている。
とりあえず恥ずかしくはあるのでマントで体を隠すみなみだが、警戒心は解いていない。
男、混沌の騎士もすぐにそれを察した。全裸で血塗れの少女など普通ではない。
余程のことに巻き込まれたと見るべきだろう。
息を切らし、目に涙を溜めた少女は服は勿論武器も所持していない。
つまりは、少なくとも殺人鬼ということではない。
それならば、ここまで哀れな少女は自分が助けてやらねば。
しかしその前に、どうやって警戒心を解くかだ。
普段なら手品のひとつでも見せ、そこからトークにもっていけるのだが。
こんな人形では腹話術をしてもかえって怖い。別の方法で和ませねばならない。
ならば、ここは折角だから初めてのネタで勝負しよう。混沌の騎士は、そう覚悟を決めた。

「私の名はキャプテン・カオス!本名は秘密!なぜならその方がカッコイイから!!」
「……え?」
「…………」
「…………」
「…………(反応ないのが一番凹むんですよね……)」


【渋谷区・公園/一日目・夕方】
【混沌の騎士@カオスロワオリジナル】
[状態]:記憶喪失・発汗(小)、凹み、葛藤、水分補給済み
[装備]:漆黒の鎧(マントなし)
[道具]:支給品一式、アビシオンのフィギュア
[思考]
基本:死者は極力出さない
0:目の前の少女と話をしたいが、どうしたらいいんだろう?
1:機会があればブロントさんと合流したい
2:歩くダークパワーに興味
3:自分の正体を知りたい
4:キュゥべえは確実に殺す
※キュゥべえとの会話により、魔法少女の仕組みを理解しました

【岩崎みなみ@らき☆すた】
[状態]:ほぼ全裸、恐怖(極大)、混乱、全身血塗れ、混沌の騎士を警戒
[装備]:漆黒のマント
[道具]:支給品一式、首輪探知機@パロロワオリジナル、ランダム支給品(0~2、服の類ではない)
ディエンドライバー、カメンライド・サイガ、ナーシェンの首輪
[思考・状況]
基本:死にたくない
0:マントはくれたけど怪しすぎる……
1:首輪を分解できそうな人に早く渡す
2:首輪を外してバトルロワイアルから逃げる
※参加者に自分の知り合いがいるかどうか知りません。
※脱衣拳を危険人物と認識しました。
※主催者の触手が会場全体を動き回り、参加者達を監視していると思っています

アイテム紹介・漆黒のマント
混沌の騎士が使用している漆黒のマント。
特別な効果は無いが、みなみの全身を覆う程度なら問題ない。
また漆黒色のため、夜であればその闇に溶け込むこともできるかもしれない。

069:CROSS FIRE 投下順 071:奇跡も、魔法も……あるかもしれない
069:CROSS FIRE 時系列順 071:奇跡も、魔法も……あるかもしれない
036:守る、その意味 混沌の騎士 [[]]
057:押し寄せる災禍 岩崎みなみ [[]]

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