東方ファイトスレ @まとめウィキ

30スレ第2戦(2)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集


村はずれ、生徒役として呼ばれた村人三人(ここでは便宜上の名前で>>46>>47>>48と呼称する)が起立した状態で震えている。
場所は何もない野原、季節は冬の夜、確かに震えるくらいは寒い。だが震えているのはそれが原因ではない。
彼らはどうせ教師なんだから優しくしてもらえると思っていたが、その思考が間違っていることを思い知らされていたのだ。
刀を盛大な音ともに地面に突き立て、大声で演説する依姫によって。

「私が訓練教官の綿月依姫……
 話しかけられたとき以外は口を開くな、口でクソたれる後に“依姫様”と言え!
 分かったか、ウジ虫ども!」
「「「わ、分かりました依姫様」」」
「ふざけるな! 大声だせ! タマ落としたか!」
「「「分かりました依姫様!」」」
「貴様ら雌豚どもが私の訓練に生き残れたら……各人が月人の兵器となる、戦争に祈りを捧げる死の司祭だ」
*1
「その日まではウジ虫だ! 全宇宙で最下等の生命体だ!
 貴様らは地上人ですらない! 両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!
 貴様らは厳しい私を嫌う! だが憎めば、それだけ学ぶ!
 私は厳しいが公平よ、種族差別は許さないわ……
 地上人、妖怪、妖精、すべて平等に 価 値 が な い !
 私の使命は役立たずを刈り取ることよ、愛する月の害虫を!
 分かったか、ウジ虫ども!」
「「「分かりました依姫様」」」
「ふざけるな! 大声だせ!」
「「「分かりました依姫様!」」」

夜の帳の下でハート○ン軍曹ばりの演説を行った後、依姫はパチンと指を鳴らした。
同時に随行してきた玉兎によって、手錠を填められた鈴仙が空中から蹴り落とされる。
今日は新月。明かりの少ない幻想郷、村人たちには突如闇の中から現れたように見えただろう。
カツカツと音を立てて鈴仙に歩み寄り、無理やり叩き起こす鬼教官。

「久しぶりねおふざけ屋」
「す、すみません、依姫様!」
「父親と母親の愛情が足りなかったのか、貴様?」
「いいえ、違います、依姫様! 私が臆病だったからです、依姫様!」
「正直なのは感心よ……気に入った、家に来て姉をファックしていいわ」

昔の感覚を取り戻したのか、冷や汗をかきながらもピンと背筋を伸ばす鈴仙。
その様子に満足したような表情を依姫は見せて……鈴仙の腹に盛大なボディブローをぶち込んだ。
当然鈴仙は悶絶するが、依姫は全く意に介する様子はない。

「貴様もこいつらと共に訓練し直しだ脱走兵! じっくりかわいがってやる!
 以前から貴様は能力があることにかまけて怠けていたな、泣いたり笑ったり出来なくしてやる!
 さっさと立て! クビ切り落としてクソ流し込むぞ!」
「分かりました依姫様!」

声を張り上げる鈴仙を見て>>46>>47>>48が死を覚悟する一方、永琳サイドでは。

「ふふ、だから間違ってるって言ってるじゃない。ここはこう書いて、ね……」
「は、はい……」

特別に開放された寺小屋の一室、永琳の言葉を女生徒が書き写していた。いや、書き写させられていた。
その顔が真っ赤なのは、永琳が体を密着させて腕を取り、直接書かせているから。
そのままタイミングをを見計らったかのように、首筋にゆっくりと息を吹き替える永琳。

「ひぁっ! ち、近すぎますよ先生!」
「あらごめんなさい。
 あなた達は人里から私が直接指名して選んだ子だから、つい手取り足取り教えたくなっちゃうのよ……」

そう言いながら、永琳は体を離さない。ちなみに、生徒三人は全員女の子である。
夜のため明かりが付いているが、その明かりの光量はどこか頼りなく光色も怪しく、まるで秘め事のように錯覚させる。
永琳に密着された生徒の瞳が蕩けはじめた頃、一人が声を上げた。

「どうしたの?」
「なんか、変な感じがします……頭ははっきりしてるんですけど……」
「今この部屋で焚いているお香はね、眠気を覚まして頭の回転をよくする成分が含まれているの。
 その中にはカフェインみたいなのも含まれているから、薬も過ぎて毒となったのかしらね。少し休みましょうか」
「あ……」

そう言って永琳は生徒から離れた。
密着されていた生徒が名残惜しそうな声を上げたのに、他の二人は気づかない。

「そのお香、大丈夫なんですか?」
「うーん、量からしてお香にしたくらいで害があるはずじゃないのだけれど……
 ま、仮に毒になったとしてもすぐ治るものばかりだから安心なさい」

席から立って外の空気を吸いに行く女生徒たち。廊下の位置の関係上、
彼女たちには自分たちの背後でほくそ笑んでいる永琳の顔を見ることは出来なかった。

(……本当は、違う作用の成分もあるのだけれど、ね)

ちなみに残念ながら、パチュリーは「なぜか」「ちょうどよく」食中毒にかかって寝込んでいるので、いけない永琳先生を止めるものは誰もいない。


一ヶ月後、寺子屋の一室。
慧音、妹紅、輝夜の立ち会いのもと、教育の成果を見せてもらう時が来た。

「私は暇つぶしに慧音についてきただけだけど、なんで輝夜がいるんだ?」
「イナバはもう審判やれないから月のやり方知ってるのはもう私だけでしょ。だから月の見地で審判やれ、だそうよ」
「さて、生徒たちにどれほど支持されているのか、ということを見せてもらうわけだが、
 月ではどんな教育をやるのかな。教育者の端くれとして興味がある」
「……まあ、見れば分かるんじゃない、きっと」

微妙に顔を背ける輝夜に慧音は何か嫌なものを感じたが、もう遅い。
既に教室には依姫とその生徒が入ってきている。
入場するや否や、どん、と教室内であることを完全無視して依姫は刀を床に叩きつけた。

「本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する、本日から貴様らは玉兎特別隊員である。
 貴様らのくたばるその日まで、どこにいようと月の玉兎は貴様らの姉妹だ。
 肝に銘じておけ、玉兎は死ぬ、死ぬために諸君らは存在する。
 だが諸君らが仕える月は永遠である――つまり、貴様らも永遠である!」
「「「分かりました、依姫様!」」」
「……あ……あ?」

その後も、依姫の演説と生徒の軍隊式応答は続く。
一通り終えた後その光景に唖然とする慧音を放っておいて、依姫と元村人たちは退場していった。
妹紅が慧音を揺り動かしたものの、一応同じ人里に住んでいる者が完全に別物となったショックで慧音は惚けたまま。
彼女が立ち直るより早く、永琳とその生徒が入ってきた。

「残念だけど、あなたたちへの授業はここまでよ」
「そんな……私、寂しいです……」
「あたし、師匠につきっきりで授業してほしいです」
「ずるい、わたしだって……」
「ふふ……豊姫達と同じことを言うのね。
 それならこれが終わっても個人個人で研究を重ねて何か発表しに来て頂戴。
 その成果が優秀なようならその研究を兼ねて後で個人授業をじっくりと……ね?」
「「「はい!」」」
「…………」

艶かしく言う永琳に抱きつく生徒たち。
その光景に硬直した妹紅の腕に鳥肌が立つ。同時に、どすんと音がした。妹紅が慌てて視線を戻すと慧音が卒倒して地面に打っ倒れている。
妹紅にも慧音の気持ちは分かった。生徒が永琳を思っているのは伝わってくる。伝わってくるが……何かおかしい。
薬が過ぎれば毒となるように、行き過ぎて何か別なものを感じる。DIE妖精的なアレを。
輝夜の方へと振り向く妹紅。

「……なぁ輝夜、月の教育ってなんなんだ」
「こういうとこだったから帰りたくないのよ……」
「あと、お前んとこの月兎が見当たらないんだけど」
「幻想郷からも脱走して外の世界に行ったらしいわ」
「…………」






















タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー
注釈

*1 (え? いつから俺たちそんなことになったの?