「そこまでよ! その帽子、私が貰うんだから!」
「むっ、はたて。ずいぶんといいタイミングね……これから届けるのに」
「文が今日撮ってきた写真を念写してそっちの位置を掴んだのよ」
「ふん、その様子だと河童も近くに隠れてるんでしょうけど……
実力行使は間違いだったわね。はたてみたいな引きこもりが私に敵うはずが無い」
「言うわねー。でもその割には腕が震えて帽子がぷるぷるしてるじゃない。びびってるんでしょ?」
「は、腕? 何を言っ……て……?」
「――え」
「むっ、はたて。ずいぶんといいタイミングね……これから届けるのに」
「文が今日撮ってきた写真を念写してそっちの位置を掴んだのよ」
「ふん、その様子だと河童も近くに隠れてるんでしょうけど……
実力行使は間違いだったわね。はたてみたいな引きこもりが私に敵うはずが無い」
「言うわねー。でもその割には腕が震えて帽子がぷるぷるしてるじゃない。びびってるんでしょ?」
「は、腕? 何を言っ……て……?」
「――え」
■
諏訪子が帽子を無くしたので取ってきて渡す、というのが今回のファイト内容である。
文&霖之助ペアが採った手段として文は順当に片っ端から取材、
霖之助は店に来る客から情報を集める、ということになった。
なので、霖之助一人だけ動かず自分の店に篭りきりだ。それは別にいい。いいのだが。
文&霖之助ペアが採った手段として文は順当に片っ端から取材、
霖之助は店に来る客から情報を集める、ということになった。
なので、霖之助一人だけ動かず自分の店に篭りきりだ。それは別にいい。いいのだが。
「僕だけじゃなくて他の全員も手がかりすら見つけられてないとしても、これはおかしいんじゃないか……?」
半日近く経ったのに、音沙汰が無い。文からの連絡も、ファイト終了の通知も。
夕食も終え、店じまいも九割方終わっている。頭の中に疑念を浮かべつつ最後の片付けに入った瞬間、その声は届いた。
夕食も終え、店じまいも九割方終わっている。頭の中に疑念を浮かべつつ最後の片付けに入った瞬間、その声は届いた。
「やい半人! 届けもの!」
霖之助が振り向いて外を見ると、そこにいたのは敵の一人であるにとり。
そのまま、彼女は必死の形相で息を切らせながら店内に走り込んできた。なぜか、服はボロボロだった。
そのまま、彼女は必死の形相で息を切らせながら店内に走り込んできた。なぜか、服はボロボロだった。
「いったい、なんの用……」
「半分盟友のあんたにこれ、やるよ。返さなくていい!」
「……これは、どう見ても噂の帽子じゃないか。
もしこれが本物じゃ僕たちの勝ちになるだけだし、偽物だとしても僕に渡すのはあまり意味がないね」
「どっちでもいい! あげる! 持ってけ!」
「半分盟友のあんたにこれ、やるよ。返さなくていい!」
「……これは、どう見ても噂の帽子じゃないか。
もしこれが本物じゃ僕たちの勝ちになるだけだし、偽物だとしても僕に渡すのはあまり意味がないね」
「どっちでもいい! あげる! 持ってけ!」
そう言うやいなや、暗闇の中を脇目も振らずに走り去っていくにとり。
そのただならぬ様子に、霖之助は首を傾げる。
調べてみても、この帽子は帽子らしくちゃんと頭に被るものだと示しているのだが……
そのただならぬ様子に、霖之助は首を傾げる。
調べてみても、この帽子は帽子らしくちゃんと頭に被るものだと示しているのだが……
「……いきなり持っていこうとするのは危険かもしれないな」
どちらにせよもう夜、妖怪の山の頂上に向かうことはできない。
というわけで今日は眠り、明日帽子の正体を探ってから持ち主の元に向かうことにした。
というわけで今日は眠り、明日帽子の正体を探ってから持ち主の元に向かうことにした。
「さて、となると……下手に中に置いて爆発でもされると困る。外に掛けておこう」
■
深夜零時。布団にもぐっていた霖之助は、ふと目を覚ました。
何か、物音が聞こえる。
何か、物音が聞こえる。
「……こんな時間に、いったい?」
体を起こしてメガネを掛ける過程で、物音の発生源が分かった。
店のウエスタンドア風味な扉が音をたてている。
何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているかのような音を。そちらに目を向ける。
店のウエスタンドア風味な扉が音をたてている。
何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているかのような音を。そちらに目を向ける。
「ん……あの手は何だ……いっ、窓に! 窓に!?」
■
「あ、帰ってきたの? ふーん、で最後に持ってたのは誰?
……なるほど、じゃあ、そいつの勝ちにしておこうか」
……なるほど、じゃあ、そいつの勝ちにしておこうか」
結果:最後に持っていた霖之助が返してきたと諏訪子に判断され、霖之助・文ペアの勝利