「えっと……今回の勝負は白玉楼内部に潜入して食料を回収。それを博麗神社で待つ飢えた巫女に届けるというレースだね。言うまでもなく途中で捕まったり撃墜されたりでチームが全滅したら失格になるから、サバイバル要素も含まれるよ」
勝負の当日、冥界の白玉楼へと続く石段脇に身を潜めた対戦者一同は、審判代理の小町が声を潜めて語る競技説明に耳を傾けていた。
無理もない。今回の競技は様々な危険(場合によっては命にかかわる)が含まれるため、競技に直接参加しない小町ですら小声になるほど緊張感が高まっているのだ。
その光景は、要人救出任務でテロリストのアジトへと突入する直前の特殊部隊を彷彿させる。
無理もない。今回の競技は様々な危険(場合によっては命にかかわる)が含まれるため、競技に直接参加しない小町ですら小声になるほど緊張感が高まっているのだ。
その光景は、要人救出任務でテロリストのアジトへと突入する直前の特殊部隊を彷彿させる。
「君たちはある意味戦闘のプロだからいいけど、僕は既に生きた心地がしてないんだが……」
「相性の上で有利な私が囮になるから、貴方たちはその間に神社まで走りなさい」
「まぁ、確かに単純な足の速さは私が一番だと思いますけど……」
「相性の上で有利な私が囮になるから、貴方たちはその間に神社まで走りなさい」
「まぁ、確かに単純な足の速さは私が一番だと思いますけど……」
「いい? 今回はレースだから、盗るもん盗ったら最短距離を最速で突破するのよ!」
「当たり前のように無茶なこと言わないでください!」
「当たり前のように無茶なこと言わないでください!」
しっかりと役割を分担する作戦の○ーりんチームに対し、早くも怪しい雲行きを見せる緑髪チーム。
果たして勝者は? いや、まず無事に生還できるのか?
果たして勝者は? いや、まず無事に生還できるのか?
「んじゃ、あたいは神社で待ってるよ」
距離を弄ったのか、恐ろしいスピードで遠ざかる小町。やっぱり早くこの場から離れたかったのか……。
…………
両チームともに妖夢のいるであろう石段を迂回するように別れ、それぞれが別ルートから白玉楼内部へと侵入する。
白玉楼内部には、幽々子の食欲に応じる必要性からなのか、食料庫の広さが通常の屋敷では考えられないぐらいのレベルだった。
適当な食料を抱え、緑髪チームは正面玄関へ。○ーりんチームは裏口から石段迂回ルートへと失踪する。
白玉楼内部には、幽々子の食欲に応じる必要性からなのか、食料庫の広さが通常の屋敷では考えられないぐらいのレベルだった。
適当な食料を抱え、緑髪チームは正面玄関へ。○ーりんチームは裏口から石段迂回ルートへと失踪する。
ここで最短距離を選んで石段へと駆け出した緑髪チームに重大な問題が発覚する。
花映塚をやった人なら知っていると思うが、幽香はとてつもなく足が遅いのだ。
そんなスピードで正面突破ルートなど選べば発見されないはずもなく、妖夢どころか幽々子にすら余裕で追い付かれて最悪のピンチを迎えた。
花映塚をやった人なら知っていると思うが、幽香はとてつもなく足が遅いのだ。
そんなスピードで正面突破ルートなど選べば発見されないはずもなく、妖夢どころか幽々子にすら余裕で追い付かれて最悪のピンチを迎えた。
一方、妨害を受けなかった○ーりんチームは周囲を警戒しながら移動したために多少速度が落ちていたものの、結局は妨害もなく博麗神社へと辿り着いて勝利した。
「こりゃあ、もうダメかもわからんね」
と呟いた小町は博麗神社を離れ、自身の職場である三途の川で幽香と早苗が来ないかを見守ることにした。