自由民主党参議院議員<選挙区>2013年公認候補者7
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≪自由民主党参議院議員<奈良県選挙区>公認候補者≫
自由民主党 // 堀井 いわお氏 / HP / FB /B/ V

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  • 「平成30年を迎えて」
    •  いつも大変お世話になり誠にありがとうございます。来夏の参院選を控え、本年は合区解消に向けて正念場の年となります。引き続き何卒よろしくお願い致します。   昨年は60年に1度の丁鳥(ひのととり)の年で、変化の激しい革命の年とも言われ、海外では北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題や尖閣諸島等の領土問題、米国、EU、ロシア等との通商問題など、内政ではデフレ脱却や東京一極集中の解消、人口減少問題など、内外の山積する課題に正しい選択を行っていけるのか、大変重要な年でありました。 自公政権の政策は十分とは言えないものの、あるべき方向性の下一定の理解を得つつ進めていましたが、森友・加計問題など安倍総理への疑惑が十分払拭されない中で10月に急な解散総選挙があり、当初、小池都知事を党首とする大都市ファーストの希望の党の誕生を皮切りに、民進党分裂、立憲民主党結成など野党再編があり、自民党には大変厳しい選挙でしたが、北朝鮮問題や経済再生、合区解消を含む憲法改正等の公約を掲げて戦った結果、284(定数465)の単独過半数の議席を得させて頂き何とか安定した政治を維持できました。石破・赤沢先生へのご支援を含め、厚く感謝、御礼申し上げます。 一方、先の衆院選は、必ずしも自民党が議席に応じた支持を得たわけではなく、野党の敵失によるものであることを肝に銘じ、自民党の一員として、初心を忘れず、謙虚に正直に、引き続き有権者の皆様と血の通う政治の実現に向けて最大限努力して参ります。 さて、国会議員として5年目を迎えさせて頂いた私も、参議院自民党での役職は変化ないものの、昨年秋より、参議院では憲法審査会幹事の継続のほか、農林水産委員会の筆頭理事、予算委員会の委員を拝命したほか、党では水産部会長代理のほか、憲法改正推進本部の役員など様々な役職を頂き、改めて責任の重さを痛感しています。 本年は1月22日から第196回通常国会が開会し、H29年度補正予算、H30年度当初予算その他関連法案の早期成立を図り、未だ不安定なデフレからの確実な脱却や働き方改革の推進のほか、人づくり・生産性革命を車の両輪とする少子高齢化対策等を力強く進めることとしています。厳しい財政状況での予算編成でしたが、適度な円安や好調な株価等による企業業績の回復に支えられ、補正予算約2.7兆円のほか、当初予算では約1 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 「第193回通常国会を終えて」
    • いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。  本年1月からの第193回通常国会は、大臣の失言、政務官のスキャンダル・暴言、森友・加計問題に係る安倍総理や総理夫人への疑惑等々、偏った野党の質問やマスコミ報道への是非はともかく、政府・自民党への不信感を払拭できないまま閉会となり、何とも後味の悪いものでした。その後の都議選での大敗もあり、改めて襟を正し、謙虚に、十分な説明や透明性に留意しながら国政の重要課題に取り組んでいくことで、信頼回復に努めて参りたいと思います。 さて、そのような中、先の国会では、天皇陛下の一代限りの退位を可能とする「天皇退位皇室典範特例法」のほか、企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定を大幅に見直した120年ぶりの民法改正、性犯罪を厳罰化した110年ぶりの刑法改正、現役並み所得の高齢者の介護サービスの自己負担を2→3割に引上げる介護保険法改正(対象者は約12万人で受給者全体の約3%)、外国人観光客の急増等に対応すべく民泊のルールを定めた住宅民泊事業法、地域経済を牽引する事業への支援や土地改良事業の負担軽減、全ての農産品を対象にした収入保険制度の創設など、多くの重要法案が成立しました。  その中で与野党が最も対立した、いわゆるテロ等準備罪処罰法の解説をします。まず、①組織的犯罪集団であること、②重大犯罪を計画すること、③その準備行為を行うことの3点が揃わない限り処罰されませんし、常識的に、善良な一般市民であれば処罰されることはなく、あくまで重大犯罪から国民を守るための法律です。この法律の背景には、テロの頻発など、国際的な治安の悪化があります。2020年の東京オリ・パラが近づく中、過去のミュンヘンオリンピックでのテロやオウム真理教の地下鉄サリン等の事件を忘れてはなりません。東京オリ・パラ等でテロ等をできる限り防ぐためにも法律を成立させ、国連加盟196カ国の内187カ国が加盟しているTOC条約(国際組織犯罪防止条約)に加盟し、直接警察当局間での犯罪情報の共有や捜査協力等を可能とする必要があります。民進党は法律がなくとも条約は締結可能と主張しますが、条約をよく読めば絶対に必要なのは明らかですし、そもそも民主党政権の際も今回の法律より対象範囲の広い法案を提出しており、反対のための反対 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 「平成29年を迎えて」
    • いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。昨年に続き、本年も何卒よろしくお願い致します。  昨年は、日本、そして地元鳥取県にとっても多難で試練の年でありました。北朝鮮による4・5回目の核実験、過去最高頻度の弾道ミサイル発射による挑発のほか、公船ではなく中国海軍の軍艦による尖閣諸島周辺の接続水域への初の侵入、日米同盟の継続に係る厳しい対応やビジネス重視が予想されるトランプアメリカ大統領の誕生、共同経済活動や北方領土・平和条約問題、ウクライナを巡る制裁等複雑な関係にあるロシアとの信頼関係構築の取組等、日本を取り巻く安全保障環境は今後一層厳しさを増す見込みのため、最大限の緊張感を持って対処する必要があります。国内では4月の熊本地震、8~9月の北海道・東北における大規模な台風被害に続き、10月には震度6弱の鳥取中部地震が発生しました。中部地震では住宅の全半壊が260件、一部破損が1万4千件以上生じたほか、公共土木、文化観光、農地・農林漁業用施設等の被害とともに、晩生梨等の農作物やワインボトル、梨や西瓜のJAの共同利用施設など多くの被害が生じました。さらに、観光面の風評被害もあり、宿泊施設のキャンセルは4万4千件以上、観光施設も約2万件発生し、松葉ガニが旬で観光客のかき入れ時に大きなダメージを受けました。加えて、12月には岩美町田後漁協所属の漁船「大福丸」が転覆し、4名が死亡、5名は行方不明という痛ましい事故が起きました。この度の地震・事故で被害に遭われた皆様に対し心からご冥福とお見舞いを申し上げます。地方創生の推進が喫緊の課題である中、風評被害対策含め地震からの復旧・復興とともに、水産日本の復活に向けて、老朽船の代船建造の推進や安全対策の徹底など、県や市町村と連携し全力で取り組んで参ります。 さて、国会議員として4年目を迎えさせて頂いた私も、昨年秋より、参議院農林水産委員会で理事を、憲法審査会で幹事を拝命したほか、党では農林・水産部会の副部会長の継続に加え、政治改革実行本部や憲法改正推進本部の役員、行政改革推進本部の主査等様々な役職を頂き、責任の重さを痛感しています。特に、昨年11月には、夏の参議院選挙で憲政史上初めて導入された、人口が少ないとの理由で県と県を一括りに 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『TPP協定締結の経済効果について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第55回  本年2月4日、ニュージーランドで環太平洋経済連携協定(以下、TPP協定と略す)の署名式が行われました。マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド等で国内手続きが進んでいます。米国でも、オバマ大統領は年末までに国内手続きを完了させる旨の声明を発表しました。日米を始め主要参加国の国内手続きが順調に進めば、TPP協定は2年後の2018年4月4日に発効することになります。 今回は、TPP協定締結による経済効果について説明します。● 政府の経済効果分析の概要 内閣官房TPP政府対策本部はH27年12月24日、『TPP協定の経済効果分析』を公表しました。同報告は、H25年の政府統一試算と同様、一般的な経済モデルである最新版GTAP(ジータップ)を使用し、TPP協定が発効した場合、わが国のマクロ経済にどのような経済効果がもたらされるかを分析したもので、その分析結果は以下のとおりです。・実質GDP水準は+2.6%増2014年度の実質GDP524.7兆円を用いて換算すると、約13.6兆円の拡大効果・労働供給は+1.25%増2014年度の労働力人口は6,593万人なので、労働供給は約80万人の増加 この分析結果は、TPP交渉参加前の2013年政府統一試算結果(実質GDP変化+0.66%、+3.2兆円)を大幅に上回っています。この違いの理由は、①2013年当時は関税撤廃、それもすべての関税の即時撤廃を想定、したことによる効果のみを対象にしていたのに対して、今回の分析においては、関税に関する効果に加えて、②貿易円滑化等によるコスト縮減、貿易・ 投資促進効果、さらには貿易・投資が促進されることで生産性が向上することによる効果等も含めた、総合的な経済効果分析を行ったためです。 TPPの合意内容は、その全体像が示すように、関税交渉の合意だけではありません。関税以外の投資・サービスに係る市場アクセスの改善、30章にも及ぶ分野におけるルールの規定等、多岐にわたります。そのため、その経済効果も関税撤廃、削減による効果にとどまらず、上記②の効果も考慮に入れることは、ある意味妥当といえます。 今回の分析では具体的に、(i) 輸出入拡大→貿易開放度上昇→生産性上昇、(ii) 生産性上昇→実質賃金率上昇→労働供給増、という経済を動かす成長メカニズムが新たに想定され ています。● 10~20年を要する新たな均衡状態への移行 この政府の分析結果について、国会審議では野党側から、(1)いつの時点で効果は実現するのか、(2)政府の分析は楽観的すぎるのではないか、(3)現下の労働力不足が効果の実現の制約となるのではないか、等の疑念が示されています。こうした疑念に対してもう少し説明を加えます。 まず、(1)についてですが、これはGTAPモデルのシミュレーションの制約上、特定の時点 をあらかじめ設定することはできません。分析は、TPP協定の発効時点(a)とTPPが発効し、その効果により日本が新たな成長経路上の均衡状態に移行した時点(b)において、時点(b)と時点(a)の間のGDP等の変化(拡大幅)を明らかにします。通常、ある成長経路から新しい成長経路上の均衡状態へ移行するには、おおよそ10~20年要すると想定されますので、仮に時点(a)が2018年だとすると、経済分析の効果が実現する時点(b)の目安は、2030年代後半となります。 次に、(2)についてですが、世界銀行は今年1月6日公表の『Global Economic Prospects』でTPPの経済効果に関するモデル分析を紹介し、TPPが日本のGDPを2030年までに約2.7%押し上げると試算しています。この結果は、内閣官房の分析結果(GDPを約2.6%押し上げ) と近い数字です。このことからも、政府の分析結果が意図的に楽観的なものではないと考えられます。● 上振れの可能性が大きい経済効果  最後に、(3)についてですが、今回の分析においては結果の頑健性をチェックするため感応度分析も行われています。感応度分析とは、モデル分析の前提条件の変化が分析結果にどの程度の影響を与えるかを点検する分析のことです。前提条件の変化に対して分析結果が余り左右されず、安定的なことを“頑健性がある”といいます。 感応度分析では、国内の人手不足が制約となるケースを「労働供給の実質賃金弾性値が半減するケース」として分析したところ、GDPの変化は+1.94%(+10.2 兆円)でした。実質GDPの増加額は確かに抑えられ(+13.6兆円→+10.2兆円)ますが、その影響度は比較的小さいといえます。 むしろ、今回の分析では明示的に含めていない、①インバウンド消費・投資の可能性(注) や、②数値化できないが日本企業の海外進出にプラスの材料を加味すると、もっと効果が期待できると主張する有識者も存在するように、総合的な経済効果は下振れリスクよりも上振れする可能性のほうが高いかもしれません。(注):対内直接投資のGDPに対する比率が 1%増えると、生産性向上によりGDPは3%(15 兆円) 増加すると見込まれます。日本の対内直接投資残高(GDP 比)は 3.8%(2007~2011 年の平均)で、TPP12か国のなかで最下位です。大半の加盟国の数値は20~50%ですので、日本は対内直 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『農林水産関係予算の概要について(その2)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第54回 今回は林業と水産業のH27補正及びH28当初予算の概要について説明します。(林業)● 大臣折衝の結果、次世代林業基盤づくり交付金は2.3倍の61億円 林業関係予算はH28当初3,090億円と前年度当初から80億円の増加となりましたが、H27補正で540億円が確保され、合計3,620億円(前年度当初比20.3%増)となりました。 概算要求段階で林野庁が最も重視した予算項目のひとつに、「次世代林業基盤づくり交付金」があります。概算要求の200億円に対し、当初財務省は前年度と同額の27億円を内示しましたが、大臣折衝の結果、34億円上乗せされ、61億円が確保されました。 本交付金は、地域の実情に応じた川上から川下までの取組を総合的に支援するもので、間伐・路網整備や中高層ビルの材料に使える強度を持った木材パネル(CLT【直交集成板】)等を製造する木材加工流通施設、木質バイオマス関連施設、苗木生産施設等の整備を支援します。 また、H27補正のTPP対策として「合板・製材生産性強化対策事業」290億円が盛り込まれました。合板の関税はTPP発効から11年目に撤廃されるため、原木供給の低コスト化を含めて合板・製材の生産コストの引き下げや新たな販売先の開拓に取り組み、国際競争力を強化する必要があります。そのために、大規模・高効率の加工施設の整備、そうした加工施設への原木の安定供給のための間伐・路網整備を支援するものです。本事業は基金化されるので、長期的な取組が可能となります。 次世代林業基盤づくり交付金以外では、以下のような施策が拡充されます。*新たな木材需要創出総合プロジェクト 30億円(H28当初12億円+H27補正18億円) 中高層建築等に活用できるCLT・耐火部材など新たな製品・技術の開発 4億円 地域材の利用拡大支援 9億円+補正18億円*花粉症対策の推進 4億円 成長に優れた品種や花粉の少ない品種等を対象として、採種園等の造成・改良、コンテナ苗の生産技術研修を支援するほか、花粉症対策苗木への植え替えを促進する *違法伐採対策の推進及び緊急対策事業 2.4億円(H28当初0.4億円+H27補正2億円) 違法伐採対策の体制整備にむけて、現地の違法伐採情報等の収集・蓄積を図るとともに、合法木材の普及を促進する なお、鳥獣被害防止対策は、H28当初では前年度と同額ですが、H27補正で各々上乗せが図られています。① 鳥獣被害防止総合対策交付金 H28当初95億円+H27補正12億円 鳥獣被害対策実施隊の増設・捕獲活動の実施、進入防止柵の設置、捕獲技術高度化施設や処理加工施設の整備、ジビエ活用の推進等を支援する② シカによる森林被害緊急対策事業 H28当初2億円+H27補正1億円 シカによる森林被害が深刻な地域において、国と自治体の広域的な連携の下、シカの計画的な捕獲・防除等を緊急的に支援する● 森林吸収源対策関係予算は総額1,890億円 2013~2020年における地球温暖化防止の国際公約を達成するために求められる森林吸収量を間伐実施面積に換算すると、年間52万haになります。今回、森林吸収源対策関係予算は1,890億円(H28当初1,390億円+H27補正500億円)が確保され、47万ha分の間伐は実施可能となりますが、52万ha分の間伐達成にはまだ5万ha分の予算が不足しています。過去数年間と同様、不足分は来年度の補正予算を期待せざるを得ない状況です。 なお、森林吸収源対策関係予算とは、主に公共事業の森林整備事業や治山事業の中の保安林間伐事業のことですが、非公共の「合板・製材生産性強化対策事業」(H27補正のTPP対策290億円)にも間伐事業が含まれています。● 一定の道筋がついた森林環境税(仮称) ところで、予算ではなく税制改正に係ることですが、長年の懸案であったいわゆる森林環境税について、一定の道筋がつけられました。 昨年末に策定されたH28年度税制改正大綱において、「森林吸収源対策の財源確保に係る税制措置」については、次のように位置づけられました。a) 地球温暖化対策税について、木質バイオマスのエネルギー利用の本格的な普及にむけたモデル事業や技術開発、調査への活用の充実を図ることとし、経済産業省、環境省、林野庁の3省庁は連携して取り組むb) 森林環境税(仮称)について、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求める税制等の新たな仕組みを検討する。その時期については、適切に判断する この上は、大綱の記載が絵に描いた餅に終わらないよう、3省庁の連携を促進するとともに、できる限り早期に新税の創設を図り、日本として責任ある地球温暖化対策を進めてまいりたいと思います。(水産業)● 補正予算で重点予算を先取り確保 水産関係予算はH28当初では前年度当初より22億円減の1,897億円ですが、H27補正との合計は2,404億円で、対前年度当初比25.3%増を確保することができました。H27補正は507億円と500億円の大台となり、その内、結果的にH28年度の重点施策を先取りする格好となったTPP関連対策は280億円に上ります。 TPP関連対策は、(1)持続可能な収益性の高い操業体制への転換を図るための「水産業競争力強化緊急事業」225億円と(2)高品質な我 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『農林水産関係予算の概要について(その1)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第53回 衆議院予算委員会の予算審議も佳境を迎えています。今回と次回で農林水産関係予算を取り上げたいと思います。H28当初予算だけでなく、その前倒し的性格をもつH27補正も合わせて説明します。● H28当初とH27補正の合計で4,010億円増の2兆7,100億円 最初に農林水産関係予算の全体像と予算配分の構成を概観します。 農林水産関係予算は、TPP(環太平洋経済連携協定)の発効に備え、農地の大規模化や農林水産物の輸出促進など「攻めの農林水産業」への転換を強く目指す内容になっています。H28年度予算総額は2兆3,091億円で、前年度当初に比べ1億円増とほぼ横ばいですが、前倒しで計上したH27年度補正4,008億円と合わせると、合計額では対前年度比17.4%増の2兆7,100億円が確保されました。 H28当初とH27補正の合計額について、公共事業と非公共事業の区分でみると、公共事業費は8,209億円(対前年度比24.5%増)、非公共事業費は1兆8,890億円(同14.5%増)で、公共事業の伸び率が大きくなっており、主な要因は、農業農村整備の伸び率(43.6%増)が際立って大きいのがあげられます。【分野別の公共事業費一覧】(単位:億円、%)[分野] [H27当初] [H28当初+H27補正] [増加額] [増加率]========================農業農村整備 2,753 3,952 1,199 43.6林野公共 1,819 2,020 201 11.1・治 山 616 647 31 5.0・森林整備 1,203 1,374 171 14.2水産基盤整備 721 780 59 8.1海岸 40 40 0 0.0農山漁村地域整備交付金 1,067 1,067 0 0.0一般公共事業費計 6,399 7,859 1,460 22.8災害復旧等 193 351 158 82.2公共事業費計 6,592 8,209 1,617 24.5 なお、林野庁と水産庁が予算配分面で割を食う構図は、H27補正でTPP対策予算が農業、畜産・酪農に重点的に盛り込まれていることから、非公共事業の分野でもみられます。また、農協法、農業会議所法、農地法など一連の農政改革の実行を裏付ける予算も以下のとおり確保されているのが、今回の予算配分の特徴と言えるかと思います。*農業委員会の活動による農地利用最適化の推進 73億円 農業委員会の積極的な活動を支援*機構集積支援事業 22億円 遊休農地の所有者の利用意向調査、農地台帳の情報更新・システム維持管理、農業委員等の資質の向上にむけた研修等を支援● 農業全般の重点施策 基本方針は、競争力強化と輸出の促進を通じた“農業の成長産業化”にあります。 競争力強化のために、①農地の大区画化による農地の生産性向上、②農業者の若返り、③産地のパワーアップが以下の施策などを通じて、重点的に計上されています。①農地の大区画化や農地の集約を進め、競争力の高い大規模農家を増やす・農業農村整備事業 2,962億円+H27補正990億円・農地中間管理機構による農地の集積・集約化 81億円 農地中間管理機構の事業運営、農地の出し手に対する協力金の交付等を支援・農地耕作条件改善事業 123億円 前年度より23億円増加。中間管理機構の利用を更に促進するため、基盤整備の実施により農地の集積・集約化が“今後行われると見込まれる”地域にまで対象が拡大されます。そして、区画拡大、暗渠排水等に加え“土壌改良をはじめとする借り手のニーズ”に対応した基盤整備も支援するとされており、使い勝手の向上が期待されます。②現在平均66歳の農業者の若返りを促す・新規就農・経営承継の総合支援 193億円+H27補正23億円(うち青年就農給付金は116億円+23億円)(1)就農前後の青年就農者・経営継承者への給付金の給付、(2)雇用就農を促進するための農業法人での実践研修への支援のほか、(3)就農後の相談体制の整備、農業大学校・農業高校の新規学卒者等を就農に結び付ける取組等へも支援する・農業経営の法人化支援 7億円 集落営農・複数個別経営の法人化(定額4,000万円補助)及び集落営農の組織化(定額2,000万円補助)等の取組みを支援。また、都道府県段階において、法人化推進体制を整備し、法人化・経営継承に関する専門家(税理士、中小企業診断士、農業経営アドバイザーなど)派遣、研修会の開催、相談窓口の設置等の取り組みを推進する③産地のパワーアップを促す・強い農業づくり交付金 208億円 生産から流通までの強い農業づくりに必要な共同利用施設の整備等を支援するもので、大変人気がある交付金。前年度より23億円減少となりましたが、次項のとおり、補正予算で大幅な増額が実現。基金化により複数年度にわたり安定的な財源が確保されます。なお、208億円のうち、15億円は優先枠として「次世代施設園芸の地域展開の促進」に充てられます。・産地パワーアップ事業 H27補正505億円(TPP対策;基金化) 営農戦略を策定した平場・中山間地域などで、高性能な機械・施設の導入や集出荷施設等の再編、改植等による高収益作物・栽培体系への転換を支援・水田活用の直接支払交付金 3,078億円+H27補正160億円 大臣折衝の結果、当初内示2,770億円から3,078億円へ307億円の上乗せが図られています。本交付金は、飼料用米、麦、大豆等の本作化を進めるとともに、産地交付金により、多収品種の入、地域の特色ある魅力的な産品の産地創造、自主的な生産拡大を促す取組を支援するものです。● 前倒し達成を目指す1兆円の輸出目標 一方、輸出について政府は「2020年に農林水産物・ 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成28年度予算の概要について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第52回 1月4日から第190回通常国会が始まり、同日国会に提出された平成27年度補正予算(総額3.3兆円:経済対策は3.5兆円)は1月14日に衆議院を通過、20日に参議院で可決、成立しました。28年度当初予算は1月22日に国会へ提出され、安倍首相の施政方針演説等が行われました。今回は、来年度当初予算の概要を説明します。● 経済再生を優先した平成28年度当初予算 H28年度当初予算の歳出総額は96兆7,218億円(対前年度当初予算比3,799億円増、0.4%増)と4年連続で過去最高を更新しました。政府は本予算を「経済再生と財政健全化を両立する予算」と強調していますが、安倍首相が掲げる「一億総活躍社会の実現」や「積極的平和主義」、「地方創生の本格展開」といった政権の主要方針を色濃く反映し、やはり重点は経済再生にあります。 アベノミクスは4年目に入り、デフレ脱却まであともう一息の段階まできましたが、未だ、地方まで景気回復の実感が行き渡らない状況が続いています。今夏の参議院選挙、そしてH29年4月からの消費増税を見通すと、今年はなんとしても景気の底上げ、日本経済の成長軌道への復帰を早期に達成しなければなりません。 主な項目は以下で説明しますが、その前に歳入歳出全体を数字で確認しておきましょう。ポイントは次のとおりです。*歳出総額は過去最大の96兆7,218億円*税収は57兆6,040億円で、25年ぶりの高水準*地方交付税交付金は地方税収増の関係で15.3兆円へ減額*社会保障費は32兆円弱へ拡大*防衛費は5兆541億円で、初めて5兆円を突破*政府開発援助(ODA)は17年ぶりの増額で、5519億円*公共事業は微増ながら4年連続増加で6兆円弱*新規国債発行額は34.4兆円で、前年度から2.4兆円減額●「新しい日本のための優先課題推進枠」を活用した重点施策 前回の活動報告(「一億総活躍社会の実現について」)で、地方創生の本格展開を含む一億総活躍社会関連施策の概要はすでに説明しましたので、今回は「新しい日本のための優先課題推進枠」に盛り込まれた重点施策の中から主なものを取り上げます。数字はH28年度予算額で、カッコ内は対前年度増減です。・農業農村整備事業等 3,085億円(+232億円)「攻めの農林水産業」に向けた施策を推進するもので、農地中間管理機構と連携しつつ高収益作物への転換を図る農地整備等や、集中豪雨等により甚大な被害の発生のおそれのある地域の防災・減災対策を推進・国際コンテナ戦略港湾の機能強化 747億円(+60億円)京浜及び阪神の国際コンテナ戦略港湾において国際水準の大水深ターミナルの整備等を実施・首都圏空港の機能強化 145億円(+5億円)羽田空港において旅客や航空会社の利便性を一層向上させるため、国際線・国内線地区を結ぶトンネル整備等を実施・無償資金協力・技術協力 3,120億円(+50億円)伊勢志摩サミットの議長国として、充実した外交予算により「地球儀を俯瞰する外交」を推進難民対策などグローバルな課題に対応すべく、JICA(国際協力機構)の運営費交付金を増額・防衛省の調達改革等のもとで実施する装備品取得 1,117億円(+583億円)装備品のまとめ買い、長期契約の活用等による合理化・効率化を推進。防衛力の着実な整備 装備品の調達改革という特殊要因による増加を除くと、農業農村整備事業等の増加(+232億円)が際立ちますが、いまだ民主党政権前の水準を回復していないことを忘れてはなりません。 また、大学教育の質向上に向けた取組(国立大学運営費交付金1兆945億円)や科学技術の基盤強化の推進(科学研究費助成事業2,273億円)も、前年度と同額ながら、推進枠に含まれています。前者 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『一億総活躍社会の実現について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第51回 皆様、新年明けましておめでとうございます。昨年も大変お世話になり誠にありがとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。 安倍首相は年頭にあたり、「本年、新たな挑戦が始まります。少子高齢化という構造的な課題に真正面から立ち向かう。“一億総活躍・元年”の幕開けです」と決意表明しました。 今回はまず一億総活躍社会実現に向けた政府の取組の全体像を示すとともに、H27年度補正予算及びH28年度当初予算における一億総活躍関連予算の概要を説明し、後半では地方創生との関係についても説明します。● 新3本の矢で「一億総活躍社会の実現」へ 安倍首相は昨年9月、自民党の総裁に再選されると、アベノミクスが第二ステージに入ったと述べ、従来の三本の矢を強化して強い経済を実現するとともに、わが国の構造的な課題である少子高齢化に正面から取り組み、「一億総活躍社会の実現」を図ることを宣言しました。一億総活躍社会とは、国民一人ひとりが、若者も高齢者も、女性も男性も、難病や障害のある方々も、失敗を経験した人も、誰もが、家庭で、職場で、地域で、それぞれの希望が叶い、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会のことです。国全体としては、①将来に対する不安や悲観を払拭して少子高齢化に歯止めをかけ、②多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出を通じ、③持続的成長と分配の好循環を実現し、50年後も人口1億人を維持する社会のことを意味しています。 その一億総活躍社会の実現に向けて新しく3つの明確な「的」が掲げられ、新しい「3本の矢」が放たれます。内容は以下のとおりです。第一の矢『希望を生み出す強い経済』 標的:名目国内総生産(GDP)を現在の500兆円から戦後最大の600兆円へ 手段:成長戦略を含む従来の三本の矢を強化、地方創生の本格化第二の矢『夢をつむぐ子育て支援』 標的:結婚や出産等の希望が満たされ、希望出生率1.8がかなう社会の実現 手段:待機児童解消、幼児教育の無償化の拡大(多子世帯への重点的な支援)等第三の矢『安心につながる社会保障』 標的:介護離職者数をゼロに 手段:多様な介護基盤の整備、介護休業等を取得しやすい職場環境整備、「生涯現役社会」の構築 等 政府は昨年10月、この「新三本の矢」の実現に向けたプランの策定等を審議するため、安倍首相を議長とする一億総活躍国民会議(以下、国民会議と略す)を創設し、国民会議は11月に『一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策 -成長と分配の好循環の形成に向けて- 』を取りまとめています。国民会議は本年春頃を目途に、『ニッポン一億総活躍プラン』を策定する予定ですが、H27補正及びH28当初予算には国民会議の緊急実施対策の内容が先取りされています。 なお、一億総活躍国民会議は内閣官房に事務局を置き、13名の関係閣僚と15名の有識者から構成され、加藤勝信・一億総活躍担当大臣が議長代理として司令塔の役割を果たします。● H27補正では、一億総活躍関連 約1.2兆円 H27補正(総額3兆3,213億円)は、「一億総活躍社会の実現」に向けた対策やTPP大筋合意を踏まえた農業対策が柱となっています。一億総活躍関連では、緊急に実施すべき対策等として1兆1,646億円が確保され、「希望出生率1.8」及び「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策等に3,951億円が当てられます。具体的には、以下のような事業です。[希望出生率1.8]・保育所等の整備 511億円・保育士修学資金貸付等事業 566億円・ひとり親家庭への支援 117億円・三世代の近居や同居の促進 161億円・児童虐待防止対策の強化 91億円・地域における結婚にむけた活動の支援 36億円[介護離職ゼロ]・介護基盤の整備加速化事業 922億円・介護人材の育成・確保・生産性向上 444億円・サービス付き高齢者向け住宅の整備 189億円 また、アベノミクスの果実の均てんによる個人消費の底上げを図るため、低所得の年金受給者に1人3万円の臨時給付金を支給する事業(「年金生活者等支援臨時福祉給付金」総額3,390億円+別途事務費234億円)も盛り込まれました。 なお、第一の矢「名目GDP600兆円」に直結する施策にも、投資促進・生産性革命2,401億円及び地方創生の本格展開等1,670億円が計上され、主要な事業は以下のとおりです。*ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金 1,021億円*中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進補助金 442億円*地方創生加速化交付金 1,000億円● H28当初予算では2.4兆円 一方、H28予算では国費ベースで 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『国土交通省関係予算の概算要求』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第50回 今回は国土交通省関係予算の概算要求の概要について説明します。● 2年連続で6兆円超の要求 国土交通省がまとめたH28年度予算の概算要求は、前年度当初予算比15%増の6兆6,791億円で、このうち公共事業関係費は16%増の6兆93億円です。予算編成の方針が昨年度と同様のため、いずれもH27年度要求額とほぼ同じ規模で、2年連続で6兆円を超える要求となっています。 概算要求に際し国土交通省は、重点政策として次の4つの柱を立てています。即ち、1 東日本大震災からの復興の加速2 国民の安全・安心の確保3 成長戦略を通じた日本経済の再生4 豊かで利便性の高い地域社会の実現 また、一般会計のうち来年度予算の特別枠となる「新しい日本のための優先課題推進枠」では、限度一杯の1兆4,187億円を要求し、一般会計とは別枠の東日本大震災復興特別会計予算(復興庁扱い)には13%増の7,398億円を要求しています。● 国民の安全・安心の確保 安全・安心に関する主な項目は、国交省の目玉政策となった防災・減災対策やインフラの老朽化対策の推進です。 防災・減災対策では、頻発する水害・土砂災害や火山災害に備えるため、既存施設を賢く使う取組と選択と集中による対策5,984億円(H27当初比24%増)が推進されます。そのうち、ダム再生や河川堤防の整備といった治水対策に5,039億円が計上されました。桜島や箱根山で噴火の懸念が高まるなど、注目を集める火山災害対策では、噴火に起因する土石流等への対策を強化するため、「火山噴火緊急減災対策事業」を創設し、噴火に備えて、火山周辺に緊急用の土木資材などを予め配備しておく事業を始めます。また、南海トラフ巨大地震や首都直下地震対策は2,028億円です。 インフラの老朽化対策には、インフラ長寿命化計画に基づき、将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるための取組を推進するために、道路の2,053億円を始め4,769億円(H27当初比21%増)が要求されています。社会資本総合整備のうち、防災・安全交付金はH27当初比17%増の1兆2,853億円計上されました。同交付金は自治体が実施するインフラの点検や土砂災害対策などを支援するものですが、道路施設の定期点検の義務化を受けて本格化する橋梁やトンネルの点検を後押しします。● 成長戦略を通じた日本経済の再生 経済再生に関しては、成長を支える基盤整備として、以下のような事業が要求されており、主に東京圏を中心とした大都市圏における物流の効率化や民間投資の誘発を通じて、持続的な経済成長を実現しようという狙いが窺えます。・三大都市圏の環状道路、空港や港湾へのアクセス道路の整備などによる物流ネットワークの強化 3,779億円・羽田国際空港における国際線と国内線の両地区を結ぶトンネルの整備、C滑走路などの耐震化 498億円・都市鉄道ネットワークの充実 190億円・国際コンテナ戦略港湾の機能強化 912億円 人口の東京一極集中や東京圏と地方との格差是正が大きな問題であるといわれながらも、投資対効果の観点だけからみると、インフラ整備の「ストック効果」は膨大なインフラが既にある大都市圏ほど有利です。その有利な状況をさらに発展させるのもよいですが、不利な地域の開発を後回しにするのでは、これまでの政策と変わらず、東京一極集中を止めることはできません。故に、開発の遅れた地域こそ整備を優先させ、経済成長を確かなものとする視点が重要です。この点、鉄道と航空では地方へのネットワークの拡充が要求されているのは、わずかながらも一歩前進といえます。*整備新幹線の着実な整備   755億円*地方航空ネットワーク活性化 387億円● 豊かで利便性の高い地域社会の実現 日本経済の再生と並ぶ政府の最重要課題は「地方創生」です。この「地方創生」を国土交通行政の観点から意訳したのが、「コンパクト+ネットワーク」の考え方です。この考え方は、2月に閣議決定された国土交通政策基本計画や国土形成計画で今後の国土交通行政の指針として示されており、以下のような具体的な施策が要求されています。◆ 地域の公共交通ネットワークの再構築 349億円(H27当初比20%増)鉄道とバスを中心に交通全モードを統合する広範な用途に充当される。例えば、バス高速輸 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成28年度農林水産関係予算の概算要求(その3)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第49回  今回は、林業の概算要求等について説明します。● 林業関係予算の概算要求は2,461億円 H28年度の林業関係予算の概算要求は、H27当初予算より約498億円増の2,461億円です。森林整備事業や治山事業などの公共事業費が約312億円増の2,131億円と、概算要求の8割以上を占めていますが、そのなかでも森林整備事業は概算要求基準の枠一杯の対前年度比17.5%増の1,414億円が要求されています。 森林整備事業では、施業の集約化を図り、間伐、路網整備等を推進するほか、森林吸収量の確保にむけた条件不利地域等における間伐や森林整備の低コスト化を推進します。とくに以下の施策の推進を要求しています。・間伐や森林作業道の継続利用による効率的な間伐の推進・伐採と造林の一貫作業システムの導入による森林整備の低コスト化の推進・林業専用道の整備による防災機能の強化の推進 森林吸収源の確保は、わが国が地球温暖化防止目標を達成するうえで欠かせない目標です。その目標値は、必要とされる森林吸収量を間伐実施面積に換算すると、年間52万ha(H25~32年度までの8年間の年平均)になります。そのうち、47万ha分の間伐等の予算が、森林整備事業と「次世代林業基盤づくり交付金」200億円で要求されています。 次世代林業基盤づくり交付金とは、非公共事業の予算項目ですが、間伐・路網整備や木材による高層建築を可能とするCLT(直交集成板)等を製造する木材加工流通施設、木質バイオマス関連施設、苗木生産施設等の整備など地域の実情に応じた川上から川下までの取組を総合的に支援するものです。間伐材の供給力強化や路網整備、伐倒・搬出の支援を重点的に芽出しし、H27当初の27億円から大きく増額しているのが今回の特徴といえます。 これまで森林吸収源対策の財源確保は、農林水産省の他部門とのバランスや概算要求の枠に縛られ、当初予算では十分に対応することができず、H21年度補正で“森林整備加速化・林業再生基金”が造成されて以降、補正予算を頼りになんとか地球温暖化対策にかかる日本の目標値を満たす水準の間伐をやってきました。しかし、毎回補正予算があるとは限らず、万一補正予算による財源手当がなされない場合、日本に課せられた、期待された地球温暖化対策の目標を達成することができなくなり、国際社会からの信用も失われます。いつまでも補正頼みでは不確実のため、今回の要求は、非公共の「次世代林業基盤づくり交付金」という項目ではありますが、間伐等を当初予算にしっかりと位置づけるという意味で画期的です。 それでもなお、地球温暖化対策の目標を達成するためには、まだ5万ha分の間伐事業等の予算が足りず、新たな財源が必要な状況です。林野庁は昨年に引き続き、H28年度税制改正要望で「森林環境税」創設の要求を提出しているほか、排出源対策の財源となっている石油石炭税の一部を森林吸収源対策に充当すること等を要望しています。 なお、再確認しますが、本年6月の骨太方針には、H27年度自民党税制改正大綱と同じ内容が以下のとおり引用されています。「森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた2020年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに具体的な姿について結論を得る。」  本年は、COP21で2020年以降の温室効果ガス削減目標が設定されるところ、上記に明記されたとおり、森林吸収源対策の安定的な財源確保に一定の決着をつける必要があります。財源確保にあたっては、新税の創設や石油石炭税の一部移譲や増税等が検討されていますが、石油石炭税の新たな増税や新税創設には、国民・企業負担の増が伴うだけに、相当難航することが予想されます。 そこで、林野庁によれば、森林吸収源対策の目標達成に必要な追加財源は、単年度あたり当初予算ベース 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成28年度農林水産関係予算の概算要求(その2)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第48回今回は、畜産・酪農、水産、林業の概算要求を説明します。● 畜産・酪農予算の概算要求は2,260億円 畜産・酪農分野の概算要求は、H27当初よりも約334億円増の約2,260億円です。畜産・酪農で緊急性が高いのは、日豪経済連携協定(EPA)の発効、さらに大筋合意に達したTPP(環太平洋経済連携協定)の将来の発効を見据えた、畜産・酪農家の経営安定化と国際競争力の強化です。近年、輸入飼料の高騰や多額の設備更新投資負担などを背景に、わが国の畜産・酪農家数は減少傾向にありますが、ここ数年、TPP交渉等の成り行きが不透明だったことから、将来に希望を持てず、とくに北海道では若い世代でも、畜産・酪農から離れる農家が目立ってきました。 そこで概算要求は、①「畜産・酪農経営安定対策」1,708億円(H27当初1,708億円)により、離農を抑え、意欲ある生産者が経営を継続できる環境を整備するとともに、②「畜産・酪農の収益性向上」354億円(同、76億円)により、昨年度からの畜産クラスター構築事業を一段と推進し、地域ぐるみで高収益な畜産への転換、生産性の向上等を支援する、といった考え方で組み立てられています。新規事業などの注目すべき事業は以下のとおりです。[畜産・酪農の収益性向上]・畜産収益力強化対策 350億円(H27当初、75億円)要求金額が4倍を超える規模になっており、農林水産省は非常に意欲的です。畜産クラスター計画に位置付けられた中心的な経営体が導入する、①搾乳ロボット(複数導入も可)、えさ寄せロボット、飼料収穫機械など収益性向上に必要な機械のリース補助や②牛舎や畜産環境対策施設等の整備を支援する。なお、「家畜の導入」が②の対象に新しく盛り込まれています。・国産畜産物の新たな市場獲得のための技術開発促進事業 3億円(新規)国産畜産物を活用した新商品(例:生ハム、ソーセージ、鶏肉・鶏卵加工品、チーズ)の開発を可能とする生産加工技術の開発等を支援する[畜産・酪農の生産力強化]・畜産・酪農生産力強化対策事業 20億円(新規)受精卵移植・性判別技術等を活用し、①肉が高値で売れる和牛の子牛の生産拡大、②優良な乳用種後継雌牛の効率的な確保を図る取組を支援。また、繁殖雌牛の歩数や体温等から人工授精の適期等を判断する機器(発情発見装置)の導入などICTを活用した繁殖性の向上を図るための取組を支援。[自給飼料の生産拡大]・草地難防除雑草駆除対策 6億円(新規)飼料増産総合対策の一環として、従来の草地改良では防除が難しい難防除雑草の駆除を集中的に実施するため、高位生産草地への転換を図る取組を支援。● 人口減少社会のもとで変化する補助金の交付条件 ところで、上述の「畜産収益力強化対策」で言及した、畜産クラスター計画に位置付けられた中心的な経営体とは、どのような生産者のことでしょうか。それは地域の畜産農家、新規参入者、飼料生産組織など畜産関係者のいずれでもよいのですが、地域ぐるみで畜産クラスター(高収益型畜産体制)を構築する推進役でなければなりません。その地域を担う複数の畜産農家が結集して新しい経営体が組織されるのがこれまで理想的、あるいは望ましい姿と考えられてきました。 しかし、畜産農家の戸数減少に伴い、複数の生産者の集約化・グループ化を交付の条件とする考え方は地域の実情と合わず、今では一つの経営体でも交付対象とするように変わっています。これは非常に大きな補助金交付に関する考え方の変化と言えるでしょう。というのは、従来財政当局は、補助金が個人財産の増加に資することがないよう、補助金の交付要件の厳格化を求め、農林水産省は交付要件にグループ化や集約化・集落経営を加えることによって、その要求に応えてきました。今後、農林水産業のあらゆる分野で補助金の交付要件の考え方を抜本的に考え直す必要があるかもしれません。その際には、グループ化や集約化よりもむしろ、一つの経営体の経営持続可能性の評価が重視されていくことが予想されます。● 水産予算の概算要求は1,543億円 水産予算の概算要求は、H27当初を266億円上回る1,543億円です。構成は、水産基盤整備などの公共事業が120億円増の841億円で、それ以外の非公共が146億円増の702億円となっています。水産日本の復活のためには、担い手、船、資源(漁場)の3つの充実が不可欠で、さらに輸出の促進も強化しないと国際市場で存在感を示せません。今回の概算要求では、この問題意識が目玉政策や新規事業に適切に反映されています。 一つ目の目玉は、資源管理・資源調査の強化(概算要求46億円;H27当初37億円)です。自民党水産部会では、“資源管理は、漁業及び関連産業や浜の活力再生にとり、魚を持続的に獲るための基本となる役割を担うもの”との基本的考え方の下、浜田靖一衆議院議員を座長とする「資源管理WT」を立ち上げ、H26年11月からH27年5月まで7回にわたって会合を開き、水産庁、専門家並びに現場の生産者から現状ヒアリングを実施し、議論をとりまとめました。そのなかで重要な論点は以下のとおりです。1)資源調査・研究の充実①資源の水準や動向、海洋環境と魚群分布との関係、未成魚や成魚など異なる成長段階における漁獲が資源へ与えるインパクト等について、更なるデータの蓄積と精細な解析を行い、資源評価の精度向上が不可欠 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『H28年度農林水産関係予算の概算要求(その1)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第47回  本題に入る前に、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意について触れます。安倍総理は10月6日(火)、大筋合意後の記者会見で、「私が先頭に立って取り組んで参ります。(中略)政府全体で責任を持って、できる限りの総合的な対策を実施してまいります。(中略)農家の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら、生産者が安心して再生産に取り組むことができるよう万全の対策を実施していく考えであります」と述べました。 TPPにかかる総合対策のうち農業分野の対策は、党政調の農林水産戦略調査会(西川公也会長)のもとで党の要望案が取りまとめられることになりますが、私としても、参議院農林水産委員会の委員として、日本の農業、農村の発展につながるよう適切に対応して参ります。● 要求総額2兆6,500億円弱、農業農村整備事業関係予算4,588億円 H28年度農林水産予算概算要求額は2兆6,497億円で、H27年度予算額の2兆3,090億円を3,400億円余上回り、対前年度比14.8%増の伸び率となりました。公共と非公共の別でみると、公共事業費が7,826億円(対前年度比18.7%増)、非公共事業費が1兆8,671(同13.2%増)で、公共事業費が概算要求基準の上限(17%増)を超える増額要求となっているのが注目されます。 公共事業費の内訳は以下のとおり大別されます。公共事業費 合計 [H27予算額] 6,592 [H28要求額] 7,826 [対前年度比] 118.7%一般公共事業費 小計 [H27予算額] 6,399 [H28要求額] 7,633 [対前年度比] 119.3%農業農村整備 [H27予算額] 2,753 [H28要求額] 3,372 [対前年度比] 122.5%林野公共 [H27予算額] 1,819 [H28要求額] 2,131 [対前年度比] 117.2%水産基盤整備 [H27予算額] 721 [H28要求額] 841 [対前年度比] 116.5%海岸 [H27予算額] 40 [H28要求額] 47 [対前年度比] 116.5%農山漁村地域整備 [H27予算額] 1,067 [H28要求額] 1,243 [対前年度比] 116.5%災害復旧等事業費 [H27予算額] 193 [H28要求額] 193 [対前年度比] 100.0%(単位:億円) この内訳のなかで伸び率の最も大きいのが農業農村整備事業(3,372億円)です。同事業は、農地の大規模化を促進するための田畑の区画整理や用水路の整備・維持などの水利施設整備等を行うもので、農業の生産基盤整備において最も重要かつ不可欠な事業です。 当該事業については、予算額推移をみると、H21年度(自公政権)5,772億円だったのが、民主党政権の3年間はなんとH21年度の6割減の2,129億円に落ち込みます。削減分は、当時、民主党の目玉政策だった農家戸別所得補償制度の原資に回されました。自民党は政権奪還後のH25年度予算から“民主党農政からの転換の象徴”として同事業予算のV字回復を図ろうとしていますが、未だその道のりは遠いところです。 ただ、「農業農村整備事業関係予算」というやや大きめの区分でみると、この区分には①H21年度当時は存在しなかった「農山漁村地域整備交付金(農業農村分)」(H28年度要求857億円)および②H27年度に設けられた「農地耕作条件改善事業(非公共)」(H28年度要求359億円)が含まれます。合計すると農業農村整備事業関係予算の要求額は4,588億円に上り、H27年度当初予算より1,000億円増の積極的な要求になっています。この背景には、自民党農村基盤整備議員連盟や農林部会等からの強い要請等の結果と思いますが、蓋を開けてみれば昨年とほぼ同額程度になることも予想されるところであり、最終的に原案が確定するまでしっかり働きかけて参りたいと思います。● 新農政改革が本格的に展開し始めるH28年度 概算要求に際し農林水産省は、今年策定された「食料・農業・農村基本計画」及び「農林水産業・地域の活力創造プラン」(H25年12月に閣議決定)に基づき、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するための施策を展開する、との考え方を示しています。言い換えると、産業政策と地域政策を車の両輪として、両者のバランスを取りながら新農政改革を完遂しようとする考え方ですが、8月28日には一連の農政改革法の最後となる農業協同組合法等の改正案が成立しました。H28年度は一連の法制化が本格的に展開し始める段階に入ります。以下、主な重点分野について説明します。(1)農業委員会の活動による農地利用最適化の推進 78億円(H27当初 53億円) 改正農業委員会法では、農業委員会について①農業委員の選挙を廃止し、市町村長が任命する、②農業委員の原則、過半数を認定農業者とする、③農業委員のほかに農地利用最適化推進委員を設ける等の改正が行われました。推進委員は新設のポストで、その定数は全国農業会議所の要望を反映し、政令案では「農業委員会区域内の農地面積100haに1人」とされています。 この予算は、農業委員会法改正に伴う農業委員会の積極的な活動を支援するためのもので、農業委員及び推進委員の待遇向上、事務局機能の強化等に使われます。(2)農地中間管理機構による農地の集積・集約化 124億円(同 190億円) 担い手への農地集積・集約化等を加速化するため、農地中間管理機構の事業運営、農地の出し手に対する協力金等に係る経費が措置されています。内訳は、機構運営費が64億円、協力金が60億円です。H26当初に約300億円、H27当初も190億円手当てされ、各道府県で基金が造成され、基金から必要な額が交付されています。今回はその不足分を要求するもので、各道府県の要望額が反映されています。 なお、農地の出し手に対する協力金の交付単価は以下のとおりですが、この金額はH27年度までですので注意が必要です。H28年度の単価は財務省と折衝中でまだ未定ですが、取組が遅れているだけに、できる限り単価の維持に努めて参ります。*地域集積協力金 2.0万円/10a~3.6万円/10a(地域で機構にまとまった農地を貸付けた割合に応じて変動) 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『地方創生関連予算の概算要求について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第46回 来年度当初予算編成と税制改正に向けて、各省庁は8月31日、財務省に予算の概算要求と税制改正の要望を提出しました。予算の要求総額は102兆4,000億円程度で、3年連続で過去最大を更新する規模となっており、年末にかけて激しい折衝が予想されます。 これから、いくつかの省の概算要求の概要を説明していきます。初回は、安倍政権の成長戦略の目玉の一つである地方創生関連予算を取り上げます。●地方創生関連予算は事業費ベースで約2兆円規模 まち・ひと・しごと創生本部が発足したのは昨年の9月12日です。当初予算の概算要求は今回が初めてで、以下のように大きく3つの部分からなります。1.地方創生の深化のための新型交付金1,080億円(事業費ベースで2,160億円)2.まち・ひと・しごと創生事業費(地方財政計画)1兆円3.総合戦略等を踏まえた個別施策 7,763億円 「地方創生の深化のための新型交付金」とは、従来の「縦割り事業」を超えた取組を支援するものです。新型交付金の交付率は1/2なので、事業費ベースでは2,160億円の規模となり、内閣府としては、以下のような事業を想定しています。①官民協働や地域間連携、地方創生の事業推進主体の形成、中核的人材の確保・育成、といった先駆性のある取組(例:観光地域づくり法人(日本版DMO)、生涯活躍のまち(日本版CCRC)、小さな拠点)②既存制度に合わせて事業を行うのではなく、地方公共団体自身が既存事業の隘路を発見し、打開するために行う取組(いわゆる政策間連携)③先駆的な優良事例の普及・すそ野を広げる取組  鳥取、島根両県は本年9月1日、山陰への外国人観光客誘致を進めるための新組織「山陰版DMO」を来年4月に向け、共同設置する検討を始めると明らかにしました。両県は、この原資にH26年度補正の地方創生関連の上乗せ交付金を充てる計画です。これは上記タイプ①の分かりやすい事例と言えるでしょう。 今回の地方創生関連予算のなかで最も注目を集めたのが、この新型交付金の規模でした。概算要求が締め切られる前の8月の自民党の部会では、当時マスコミで騒がれていた新国立競技場建設費(約2,600億円)と比較してその半分にも満たないではないか、と声を荒げて政府の本気度を問う議員もいたところです。 確かに、新型交付金の規模が大きいに越したことはありませんが、これだけが地方創生に使われる予算ではありません。上記の他の2つについて説明を加えます。●内閣府で窓口のワンストップ化が図られる「総合戦略等を踏まえた個別施策」 総合戦略等を踏まえた個別施策」(7,763億円)は、各省庁が個別に実施してきた施策をまとめたもので、最終的に内閣府で一括計上されます。 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」には4つの基本目標が掲げられていますが、各施策を基本目標ごとに仕分けると、以下のとおりです。i)地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする  2,191億円(農水省、経産省、厚労省を中心に11府省庁の施策)ii)地方への新しいひとの流れをつくる 772億円(大学等への支援、テレワーク推進事業など7府省の施策)iii)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる 1,064億円(文科省、厚労省の子育て支援や非正規のキャリアアップ事業等)iv)時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域間連携を図る 3,736億円(沖縄振興が1,800億円余。国交省で1,000億円を超えるなど、7府省の施策) もっとも、個別施策が省庁ごとに羅列されているだけでは、使い勝手が悪く、いくら良い施策でも伝わらなければ意味がありません。例えば、上記基本目標i)に分類される総務省の「地域経済循環創造事業交付金(別名、ローカル10 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『日朝合意から1年』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第45回  6月7日の日曜日、自民党青年部・青年局の全国一斉街頭行動で、鳥取県西部のアスパル日吉津と中部のハワイ夢マートで、「北朝鮮による拉致問題」と「憲法改正」を主なテーマとして街頭演説を行いました。今回は、日朝合意から1年経つ現状やこの間の日朝間の動き等について説明します。● 日朝合意の内容 北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信は4月2日、日本政府による①国連での人権問題の提起、②朝鮮総連議長の家宅捜索を理由に、政府間対話を行うことができなくなっていると、日本側に抗議してきました。 相変わらず北朝鮮は何を考え、どういう行動を起こしてくるか予測困難な独裁国で、抗議の内容は理解に苦しみます。一体どういう経緯でこういう事態に至ってしまったのか。昨年の日朝合意から現在までの両国の動きを振り返ってみたいと思いますが、その前に日朝合意についてもう一度、確認します。 昨年5月26~28日にスウェーデンのストックホルムで日朝政府間協議が開かれ、29日に「北朝鮮によるすべての日本人に関する調査に関する合意文書」(以下、「合意文書」と略す)が発表されました。合意文書は前文、北朝鮮側の実行項目、日本側の実行項目から構成されており、主な内容は各々、以下のとおりです。〔前文〕・北朝鮮が「従来の立場はあるものの、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施」・北朝鮮が「最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明」〔北朝鮮側〕・日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施・(全ての機関を対象とした調査を行うことのできる)特別権限が付与された特別調査委員会を立ち上げる〔日本側〕・日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する意思を改めて表明・北朝鮮側が包括的調査のために特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、制裁措置を一部解除・適切な時期に、北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討● 日朝合意からの1年の動き 合意文書は、日本側が一貫して主張してきた、「行動対行動」の原則に従っており、合意文書の発表以降、事態は次のように動き始めます。(平成26年) *7月1日 北京で日朝政府間協議が開催。北朝鮮が特別調査委員会の組織、構成、責任者等を説明 *7月4日 北朝鮮が特別調査委員会を設置。日本独自で課している制裁措置を一部解除。①人的往来の規制措置(全面解除)、②送金報告等の規制措置、③人道目的の北朝鮮籍船舶の入港(万景峰号を除く) 7月初旬頃までは、北朝鮮による調査内容の最初の通報は、「2014年の夏の終わりから秋の初め頃に行うことが望ましい」との認識が日朝間で共有されていました。 しかし通報がないまま夏は過ぎ、9月中旬以降、事態は膠着化し、拉致被害者との再会を心待ちにしてきた家族らを失望させました。 *9月18日 北朝鮮から「調査は全体で1年程度を目標としており、現時点でこの段階を超えた説明はできない」と日本側へ伝達。 *9月29日 瀋陽で日朝外交当局間会合が開催。北朝鮮側は「平壌の特別調査委員会と面談を行えば、より明確に聴取できる」と発言 *10月20日 日本政府、政府担当者を平壌に派遣することを決定 *10月28~29日 平壌にて特別調査委員会との協議が開催。特別調査委員会が「過去の調査結果にこだわらず調査を深めるとの方針」や「拉致被害者の調査状況」等について日本側に説明 特別調査委員会との協議を踏まえた当時の日本政府の反応は、「調査報告は常識的には年内だろう」というものでした。しかし大変遺憾なことに年明け後も通報はなく、冒頭に述べたとおり、4月2日に朝鮮中央通信が一方的に通知文をよこしたのです。● 日本政府の活動 北朝鮮の対応は我々の期待を裏切り続けていますが、この1年間、日本政府はなにもせずに、ただ待っていたわけではありません。この点、成果が出ていないだけに歯がゆい状況ですが、政府は様々な手段を駆使して北朝鮮にさらなる圧力や揺さぶりをかけ続けてきました。その活動は、概ね次の4つに分けられます。 第一に、日本独自の制裁措置を引き続き維持していることです。政府は国連安保理決議に基づく制裁に加え、本年3月、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置及び北朝鮮との輸出入禁止措置の2年間延長を決定したところです。また、昨年7月に一部解除された制裁措置の再強化については、北朝鮮側から前向きな、具体的な行動を引き出すうえで何が最も効果的かという観点から、絶えず検討を行っています。 ところで、米国の北朝鮮事情を掲載するウエブサイトに、北朝鮮船籍の貨物船が本年3月に境港港に入港したとの記事が掲載されました。わが国が特定船舶入港禁止法を違反したかのような報道ぶりでしたが、入港したわけではなく、事実関係は以下のとおりです。・3月9日午後3時ころ、隠岐諸島の南西を航行中の北朝鮮籍貨物船から、海上保安庁に、海上荒天のため“緊急入域”したいとの通報かあった。・海上保安庁は、当時の海上模様やその後の気象、海象予報を勘案のうえ、人道上の観点から、鳥取県美保湾への“緊急入域”を認め、同船は沖合で錨泊した。・海上保安庁が立入検査を行ったが、特異事象は確認されなかった。・本件は、国交省・海上保安庁が内 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『「CIQ体制の強化」について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第44回  政府は5月20日、4月に日本を訪れた外国人旅行者数が前年同月より43.3%多い176万4,700人だったと発表しました。政府が掲げる2020年までに年間2,000万人という目標を達成するには月平均約167万人受け入れる計算となるので、4月は単月で初めて目標をクリアしたことになります。訪日外国人年間2,000万人越えは、意外と早くやってきそうです。今回は、政府の「CIQ体制の強化」に関する取組状況について説明します。● 多省庁が関与する「CIQ体制の強化」 CIQ体制とは、税関(custom)、入国管理(immigration)、検疫(quarantine)の三つの英語の頭文字を取った略称で、外国人が日本に入国する際に受けなければならない入国審査手続の体制のことです。この体制には、三つの業務を担当する専門職員だけでなく、入国審査が実際に行われる施設、つまり、外国人旅行者が到着する空港や港のターミナルビル等の施設も含まれます。そのため、CIQ体制に関わる省庁は、法務省(入国管理局)、財務省(関税局)、厚生労働省(医薬食品局)、農林水産省(動植物検疫所)、国土交通省(航空局、港湾局)、そして観光庁と、多数にわたります。 「CIQ体制の強化」の目的は、「2020年までに訪日外国人年間2,000万人受け入れ」に適切に対応できる体制を整備することにあります。そのため、政府が策定した観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014では、以下の二つの目標を定めています。(1)CIQに係る予算・定員の充実を図り、必要な物的・人的体制の整備を進め、2016年度までに空港での入国審査に要する最長待ち時間を20分以下に短縮することを目指す。(2)地方空港における外国人旅行者の受入に必要となるCIQ体制を確保。特に、入国手続に要する待ち時間が著しく長期化している地方空港や、近隣官署からの応援に支障がある地方空港につき、待ち時間の短縮等を図るため、緊急に所要の体制整備を実施。 以下に、H26年度以降の主な取組状況を説明しますが、その前に外国人旅行者が主にどの空港・港湾から入国しているか、その内訳を紹介します。● 4大空港が74%を占める外国人の受入れ 法務省の毎月港別外国人数からの推計値によると、H26年(2014年)の入国外国人は1,415万人で、空港・港湾の利用内訳は、以下のとおりで成田、関空、羽田、中部の4空港が全体のほぼ4分の3を占めています。成田空港 493.2万人(35%)関西空港 317.0万人(22%)羽田空港 175.2万人(12%)中部空港  69.9万人( 5%)その他地方空港 295.7万人(21%)港湾  64.0万人( 5%) 地方空港のなかでは、福岡空港(88.4万人)、新千歳空港(66.2万人)、那覇空港(65.3万人)が中部空港と遜色がない人数の外国人の入国を受け入れています。なお、港湾は国際クルーズ船等の寄港にともなう外国人の上陸です。● 出入国管理体制の整備 入国審査待ち時間短縮のために、①人的強化、②ハード面の拡充、③運用・ソフト面の改善が図られてきました。①ではH26年7月に入国審査官30人が10か所の地方空港へ緊急増員(米子、鳥取は含まれず)され、H27年度も202人の増員が認められました(現在の入国審査官数は2,379人)。②ではH26年度に緊急増員された地方空港等で審査ブースが25増設され、自動化ゲートも40台から70台へ増設されました。H27年度も羽田、新千歳、那覇ほか11空港において審査ブースが増設され、一度に審査できるキャパシティー(能力)の増強が図られます。そして、③では次のような取組が行われています。a)審査機動班の設置(地方空港等への審査応援をより効率的に行うため、福岡、羽田、千歳に設置)b)通訳や審査ブースコンシェルジュの配置(EDカードの確認・記入補助、バイオ読取装置の手順案内・補助、空いている審査ブースへの誘導の実施など)c)事前旅客情報システムの効果的な活用(航空機の到着前に乗員・乗客名簿の提出を受けることで、出入国管理上問題のない外国人には迅速な手続きが可能に) こうした入国審査体制の強化で、審査待ち時間はどの程度改善したでしょうか。 緊急増員が図られた10か所の地方空港では、最長審査待ち時間が増員前(H25年8月~26年3月)の平均40分から増員後(H26年8月~27年3月)の平均31分へ9分間短縮しました。なお、緊急増員の対象外だった米子空港では、H27年1月~3月の外国人入国者数は前年同期の2.5倍に急増したため、最長審査待ち時間は平均20分から平均33分へ悪化しています。引き続き、地方空港の審査体制の強化を求めてまいります。 一方、外国人入国者数が多い4大空港では、H27年の最長待ち時間(1月から3月の平均値)は、成田20分(前年比5分短縮)、羽田24分(同1分増)、中部22分(同4分短縮)と関空34分(同7分増)とで対照的な結果となっています。特に関空は、外国人入国者数が急増中で、しかも特定の時間帯に到着便が集中するため、すべての審査ブースで対応しても対応しきれない事態がたまに発生しており、こうした問題への対処も急がれます。● 財務省や国交省等の取組状況 税関や検疫所の人員は以下のとおり増員されました。【税 関】H26年度 57人増(うち、43人は危険ドラッグに係る緊急増員)H27年度146人増【検疫所】H26年度 検疫官30人増(エボラ出血熱などの検疫体制強化のため、21の地方空港へ配置。米子空港も増員)H27年度 検疫官24人増(輸入食品の審査・検査体制の強化も)【動植物検疫】H26年度 家畜防疫官19人増、植物防疫官22人増H27年度 家畜防疫 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『国土強靱化関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第43回 4月下旬から箱根山の火山活動が活発化しています。昨年9月の御嶽山噴火を始め、各地の火山でも小規模な噴火や火山性地震が頻繁に観測されており、地球自体が生きていることを思い知らされます。一方、災害は忘れた頃にやってくると言われますが、今後発生が予想される首都直下地震や南海トラフ巨大地震も忘れてはなりません。今回は、国土強靱化関係予算の概要と地方自治体の国土強靱化地域計画の策定状況について説明します。● 国土強靱化が必要とされる背景 日本は、国土の特性から台風、梅雨期の大雨、局地的豪雨、豪雪、火山噴火、そして地震等に頻繁に襲われてきました。度重なる大災害により、様々な被害がもたらされてきましたが、災害から得られた教訓を踏まえ、対策の強化もなされてきました。 ところが、H23年の東日本大震災は、観測史上最大のM9.0の巨大地震と最大の遡上高が40mを越える大津波となり、防潮堤などは津波を遅らせる等の効果がありましたが、完全に防ぐことができず、多くの犠牲者がでた大災害となりました。東日本大震災は、これまでの「防護」という発想によるインフラ整備中心の防災対策だけでは限界があることを教訓として残しました。今後は平時から大規模災害等に対する備えを行うことが一段と重要になっています。そこで登場したのが、「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」という考えです。 「国土強靱化」とは、強靱な国土、経済社会システムの構築に向けた、平時からの継続的な取り組みのことです。“強靱な”とは聞き慣れない言葉ですが、「強くてしなやか」という意味で、反対語は“脆弱な”です。もう少し言葉を加えますと、強靱な国土、経済社会システムとは、私たちの国土や経済、暮らしが、災害や事故などにより致命的な被害を負わない強さ(あるいは、抵抗力)と、速やかに回復するしなやかさをもつ、安全・安心なシステムのことです。● 国土強靱化の基本目標及び事前に備えるべき目標 国土強靱化には、以下の4つの基本目標があります。① 人命の保護が最大限図られること② 国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず、維持されること③ 国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化④ 迅速な復旧復興 そして、基本目標を実現するための「事前に備えるべき目標」が次のとおり、より具体的に設定されています。1.大規模災害が発生したときでも人命の保護が最大限図られる2.大規模災害発生直後から救助・救急、医療活動等が迅速に行われる(それがなされない場合の必要な対応を含む)3.大規模災害発生直後から必要不可欠な行政機能は確保する4.大規模災害発生直後から必要不可欠な情報通信機能は確保する5.大規模災害発生後であっても、経済活動(サプライチェーンを含む)を機能不全に陥らせない6.大規模災害発生後であっても、生活・経済活動に必要最低限の電気、ガス、上下水道、燃料、交通ネットワーク等を確保するとともに、これらの早期復旧を図る7.制御不能な二次災害を発生させない● H27年度予算の基本方針 事前に備えるべき目標に照らして、「国土強靱化基本計画(H26年6月3日閣議決定)」及び「国土強靱化アクションプラン2014(同日に国土強靱化推進本部決定)」は、45の「起きてはならない最悪の事態」を特定し、それらを回避するための府省庁横断的なプログラム(施策のパッケージ)の策定を求めています。H27年度はそのうち、国の役割の大きさ、影響の大きさと緊急度の観点から、15のプログラムを重点的に推進することとなりました。また、府省庁に横串をさす「リスクコミュニケーション」、「老朽化対策」、「研究開発」の分野についても、重点化プログラムと適切に連携しながら推進するとされています。 なお、15の重点化プログラムにより回避すべき起きてはならない最悪の事態とは、以下のような事態のことです。具体的なイメージを一人一人が共有することが重要ですので、少し長くなりますが、記載します。〔事前に備えるべき目標の1〕(1)大都市での建物・交通施設等の複合的・大規模倒壊や住宅密集地における火災による死傷者の発生(2)広域にわたる大規模津波等による多数の死者の発生(3)異常気象等による広域かつ長期的な市街地等の浸水(4)大規模な火山噴火・土砂災害(深層崩壊)等による多数の死傷者の発生のみならず、後年度にわたり国土の脆弱性が高まる事態(5)情報伝達の不備等による避難行動の遅れ等で多数の死傷者の発生〔事前に備えるべき目標の2〕(6)被災地での食料・飲料水等、生命に関わる物資供給の長期停止(7)自衛隊、警察、消防、海保等の被災等による救助・救急活動等の絶対的不足〔事前に備えるべき目標の3〕(8)首都圏での中央官庁機能の機能不全〔事前に備えるべき目標の4〕(9)電力供給停止等による情報通信の麻痺・長期停止〔事前に備えるべき目標の 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『中小企業・小規模事業者関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第42回  政府が昨年8月、「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」(インターネット調査)を行ったところ、移住する上での不安・懸念や困っていることとして、「日常生活や公共交通が不便」、「どこに相談に行ったらよいかわからない」が上位でしたが、最も多かったのは「働き口が見つからないこと」でした。地方の経済を支えるのは、農林水産業、観光業、小売・サービス業で、中小企業・小規模事業者が圧倒的多数を占めます。地方創生が叫ばれる中、大企業優先の施策から中小企業優先の施策にシフトしていく必要があるほか、地方でいかに職場を確保するかは、いかに効果的な中小企業・小規模事業者政策を実行するかに懸かっています。今回は、H27年度の中小企業・小規模事業者関係予算について説明します。● 日本再興戦略における中小企業・小規模事業者政策 中小企業白書2014によると、我が国には中小企業385万社(うち小規模事業者334万社)があり、企業数の99.7%を占め、従業者数の69.7%が中小企業で働いており、GDPの6割を占めています。小規模事業者だけをとると、企業数の約87%、従業者数の約26%を占めます。新しい雇用機会はほとんど中小企業・小規模事業者で創出されています。 2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略-Japan is Back-」の日本産業再興プランの中で、中小企業・小規模事業者の革新政策に次のような重要目標値が定められています。①2020年までに黒字中小企業・小規模事業者を70万社から140万社に増やす②開業率・廃業率10%台(現状約4.5%)を目指す③今後5年間(2017年度まで)で新たに1万社の海外展開を実現する 以下では、①と②を中心に、進捗状況と施策の内容を説明しますが、その前に中小企業と小規模事業者の定義を確認します。 中小企業基本法では、中小企業の範囲を資本金額や従業員数で業種別に以下のように定義しています。・製造業その他 資本金3億円以下 又は 従業者数300人以下・卸売業 資本金1億円以下 又は 従業者数100人以下・小売業 資本金5千万円以下 又は 従業者数50人以下・サービス業 資本金5千万円以下 又は 従業者数100人以下 雇用規模を一つの目安とすると、300人(製造業)や50~100人(商業・サービス業)が中小企業と大企業との境目と言えるでしょう。 一方、小規模事業者とは、製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では従業員5人以下の事業者のことです。 ところで、以前は中小企業・小規模事業者と両方を明示することなく、まとめて「中小企業」と表現されていました。しかし、雇用創出面での創業・小規模事業者の重要性の高まりや昨年の「小規模企業振興基本法」の成立等にみられるとおり、安倍政権は小規模事業者の振興を重視していますので、「中小企業・小規模事業者」と表現していきます。● 黒字中小企業・小規模事業者 日本再興戦略では、2020年までに黒字中小企業・小規模事業者を70万社から140万社に増やすことを重要目標と位置づけています。その進捗状況は2011年70万社、12年73万社、13年80万社(国税庁調査)となっています。企業の経営状況は景気により左右されますし、全般的に好業績が伝えられる14年度の実績が集計されていない段階では何とも言えませんが、目標達成は非常にチャレンジングであることに変わりはありません。 この目標達成のために、H27年度は(1)競争力強化や新事業創出を図るため、研究開発、試作品・新サービス開発、設備投資等を支援、(2)地域経済の担い手である小規模事業者に焦点を当てた支援策を強化する方針が採られ、次のような施策が盛り込まれました。〔技術開発・生産性向上〕 *ものづくり・商業・サービス革新補助事業 H26補正 1,020億円 *革新的ものづくり産業創出連携促進事業 H27当初 129億円 *商業・サービス競争力強化連携支援事業 H27当初 10億円〔販路開拓支援〕 *小規模事業者支援パッケージ事業 H26補正 252億円 *ふるさと名物応援事業 H26補正 40億円、H27当初 16億円 これらのなかで、H27年度予算でまだ応募が可能な事業について説明します。 「革新的ものづくり産業創出連携促進事業」は、中小企業・小規模事業者が、大学・公的研究機関等と連携して行う、ものづくり技術を活用した研究開発等を支援する事業です。研究開発だけでなく、販路開拓への取組まで一貫して支援するのが特徴です。補助上限額は4,500万円で、費用の2/3が補助され、事業期間は2~3年です。H24年度から始まった事業で、年間110~150件が採択されてきました。H27年度から、対象となる「特定ものづくり基盤技術(注)」に、マーケットインの発想に基づく製品開発を促進するために、「デザイン開発技術」が追加されました。デザイン開発技術とは、ユーザビリティの向上、安全性・安心の向上、環境性の向上など感性価値を創出する技術です。なお、応募状況にもよりますが、事業の公募期間は6月までの予定です。(注)特定ものづくり基盤技術とは、デザイン開発、情報処理、精密加工、製造環境、接合・実装、立体造形、表面処理、機械制御、複合・新機能材料、材料製造プロセス、バイオ、測定計測の12技術 「商業・サービス競争力強化連携支援事業」は、中小企業・小規模事業者が、産学官連携して行う新しいサービスモデルの開発等のうち、特に地域産業の競争力強化に資すると認められる事業について支援するものです。支援対象は、機械装置費、人件費、マーケティング調査費等のサービス開発に係る経費です。補助上限額は初年度3,000万円で、費用の2/3が補助されます。2年目は、初年度と同額を上限として補助されます。本事業はH27年度の新規事業なので、事業の公募期間は4月末頃から1ヶ月余りの予定です。 なお、「ふるさと名物応援事業」はH26年度補正に前倒し実施されたため、H27年度の公募も2月中に終了してしまいましたが、中小企業・小規模事業者が行う、地域資源を活用した「ふるさと名物」の開発やその販路開拓等の取組を支援するものです。H26補正で219件、H27で187件が採択されました。鳥取県ではH26補正で3件の事業が補助金を獲得できました(①認知症判定補助・予防プログラムの事業化②高速加工と長寿命化を実現したドリルの事業化③カニ殻から抽出される「キチン」「キトサン」を活用した高付加価値商品の製造、販売事業)。引 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『幼児教育関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第41回 新年度となる4月から、暮らしにかかわる様々な制度やサービスが変わります。子ども・子育て支援新制度のスタートに伴い、内閣府に4月1日、「子ども・子育て本部」(本部長・有村治子少子化担当相)が発足しました。これまで厚生労働省と文部科学省が担っていた保育所や幼稚園、認定こども園などへの支援策・予算について、今後は一括して担当します。 今回は、子ども・子育て支援新制度や幼児教育の段階的無償化を中心に幼児教育関係予算について説明します。● 子ども・子育て支援新制度の主なポイント 子ども・子育て支援新制度とは、H24年8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下「子ども・子育て関連3法」という)に基づく制度のことで、その主なポイントは以下のとおりです。(1)認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付((「施設型給付」)及び小規模保育等への非施設系の給付(「地域型保育給付」))の創設※とくに「地域型保育給付」は、都市部における待機児童解消とともに、子どもの数が減少傾向にある地域における保育機能確保にも対応。(2)幼保連携型認定こども園制度の改善※認可・指導監督を一本化し、学校及び児童福祉施設として法的に位置づけ。(3)利用者支援、地域子育て支援拠点、放課後児童クラブなどの「地域子ども・子育て支援事業」の充実※教育・保育施設を利用する子どもの家庭だけでなく、在宅の子育て家庭を含む全ての家庭及び子どもを対象とする事業として、市町村が地域の実情に応じて実施。(4)市町村が実施主体※国、都道府県は市町村を重層的に支援。(5)社会全体による費用負担※消費税率の引き上げにより恒久財源を確保。(6)政府の推進体制の整備※内閣府に子ども・子育て本部を設置。(7)子ども・子育て会議の設置※有識者、地方公共団体、事業主代表・労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等が、子育て支援の政策プロセスなどに参画・関与することができる仕組みとして、国に子ども・子育て会議を設置。● 社会保障の充実1.35兆円の内訳 子ども・子育て支援新制度に関わる予算の概要を説明する前に、その発足の経緯を見ておきましょう。話は民主党の野田佳彦首相の時代に戻ります。民主・自民・公明による「社会保障と税の一体改革に関する三党合意」に基づきH24年8月、消費増税関連8法(この中に、子ども・子育て関連3法が含まれていた)が成立しました。これにより、消費税率引上げによる増収分は、すべて社会保障の充実・安定化に当てられることとなり、同時に“社会保障”の対象にこれまでの年金・医療・介護のほか、子ども・子育てが追加されました。以後、子ども・子育て支援の財源が明確になり、子ども・子育て会議で、新たな支援制度の下で実施すべき事項の検討が進められてきました。 当初予定されていた今年10月の消費税率10%への引上げは先送りされ、H27年度の消費税増収額は8.2兆円にとどまります。そして、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から、増収分は以下のように配分され、社会保障の充実には1.35兆円が配分されています。*基礎年金国庫負担割合2分の1 3 兆円*社会保障の充実 1.35兆円*消費税率引上げに伴う社会保障4経費の増 0.35兆円*後代への負担のつけ回しの軽減(国債発行額の減額) 3.4 兆円 「社会保障の充実」1.35兆円の内訳は、主な事業を列挙すると次のようになります。・子ども・子育て支援 5,189億円・病床の機能分化・連携、在宅医療の推進等 1,296億円・地域包括ケアシステムの構築 2,011億円・医療・介護保険制度の改革 3,054億円・難病・小児慢性特定疾病への対応 2,048億円 子ども・子育て支援は、①子ども・子育て支援新制度の実施4,844億円(前年度当初2,915億円)、②社会的養護の充実283億円(同左80億円)、③育児休業中の経済的支援の強化62億円(同左64億円)という内訳で、①と②が前年度より大幅に増えています。以下では、H27年度の広義の支援新制度予算について説明していきます。● H27年度の子ども・子育て支援新制度予算の概要 子ども・子育て支援新制度の目玉として、「待機児童の解消」がことさら強調されますが、都市部の働く女性や児童のみの制度ではありません。前述の主なポイントの(3)にあるとおり、地方で子育て中の専業主婦や妊娠中の女性のための制度でもあります。この点を見逃してはならず、国の予算配分等が財政力の高い大都市部の待機児童の多い自治体へ偏ることがないよう、制度の適切な運用に注視していきたいと思います。 いずれにせよ、子育ての様々なニーズに応える受け皿が十分に整っていなかったのは確かです。しかし、単に受け入れ先を 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『地方創生関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第40回 3月16日からようやく参議院で予算審議が始まりました。安倍晋三首相は、地方創生に関し、「『霞が関発』ではなく、『地方発』の地方創生を進めていかなければならない」と強調し、「各地域が知恵を絞り、実効性のある地方版総合戦略を策定、実施してもらうことで若者が将来に夢や希望を持てる個性豊かな地方を創生してもらいたい」と述べ、地域の自主的な取組を促しています。 地方創生に関する予算は多くの省庁で計上されていますが、政策は石破地方創生担当大臣の下で一元的に調整されることになっています。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局によると、H27年度当初予算におけるまち・ひと・しごと創生関連事業の予算総額は約7,225億円に上りますが、まずH26補正予算から説明します。● 地方創生に関する政策 5つの原則 H26補正では新しく「地域住民生活等緊急支援のための交付金」4,200億円が確保されました。この新交付金は、地域消費喚起・生活支援型(2,500億円)と地方創生先行型(1,700億円)の2つのタイプがあり、自治体からの申請に基づき、3月中に支給される予定です。 各々について具体例等を説明する前に、地方創生施策に関して国が定める5原則を以下に確認しておきます。(1)自立性(自立を支援する施策)地方・地域・企業・個人の自立に資するものであること。この中で、外部人材の活用や人づくりにつながる施策を優先課題とする(2)将来性(夢を持つ前向きな施策)地方が主体となり行う、夢を持つ前向きな取組に対する支援に重点をおくこと(3)地域性(地域の実情等を踏まえた施策)国の施策の「縦割り」を排除し、客観的なデータにより各地域の実情や将来性を十分に踏まえた、持続可能な施策を支援するものであること(4)直接性(直接の支援効果のある施策)ひと・しごとの移転・創出を図り、これを支えるまちづくりを直接的に支援するものであること(5)結果重視(結果を追求する施策)プロセスよりも結果を重視する支援であること。このため、目指すべき成果が具体的に想定され、検証等がなされるものであること なお、地方創生を本格的に推進するため、政府内で体制強化が1月20日に図られ、各地方自治体が作成する地方版総合戦略をワンストップで支援する体制が整備されています。*内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部事務局」は、地方創生に関する政府の司令塔とする。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のフォローアップ・深化等を担当。新たに地方創生総括官等を設置。*内閣府「地域活性化推進室」を「地方創生推進室」に改組する。現行の地域活性化の事務(特区計画の認定、補助金の交付等)に加え、①地域住民生活等緊急支援交付金の交付、②人的支援(地方創生人材派遣制度、地方創生コンシェルジュ)等を担当。また、地方版総合戦略等の相談体制(ブロック別の担当制)を新設。● 地域消費喚起・生活支援型交付金(2,500億円)の概要 地域の消費喚起など景気の脆弱な部分にスピード感をもって的を絞った対応をすることを目的に、①地方公共団体(都道府県及び市町村)が実施する、②地域における消費喚起策やこれに直接効果を有する生活支援策に対し、国が支援するものです。 対象事業の例は以下のとおりで、上述した内閣府「地方創生推進室」は、「実施計画」の策定(適切な客観的指標の設定を含む)から実施までを支援する、相談体制を整えています。*プレミアム付商品券(域内消費)(例:商工会議所などが発行する商品券に一定額を上乗せする)*ふるさと名物商品券・旅行券(域外消費)*低所得者等向け灯油等購入助成*低所得者等向け商品・サービス購入券*多子世帯支援策(例:第3子以降の保育料の無償化) 交付は(a) 都道府県と市町村の配分比を4:6(1,000億円:1,500億円)とし、(b) 人口、財政力指数、消費水準等、寒冷地 などの諸点を踏まえる、という考え方で、前述したとおり、3月末までに配分されます。 申請は3月6日に締め切られましたが、申請の多くはプレミアム付商品券の発行事業のようです。鳥取県は「とっとりふるさと旅行券(仮称)」という県内の宿泊施設で使えるプレミアム付旅行券を4月1日から全国の大手コンビニ約4万9,000店舗で発売します(3月11日、日本海新聞)。額面総額で1億4,000万円分が発行される予定です。利用者は1枚につき額面1万円の旅行券を5,000円で購入し、1泊につき1人2枚(額面2万円)まで利用できます。● 地方創生先行型交付金(1,700億円)の概要 しごとづくりなど地方が直面する構造的な課題への実効ある取組を通じて地方の活性化を促すことを目的に、①地方公共団体(都道府県及び市町村)による、②地方版総合戦略の早期かつ有効な策定と、これに関する優良施策等の実施に対し、国が支援するものです。 対象事業は、地方版総合戦略の策定及び総合戦略における「しごとづくりなど」の事業で、メニュー例は以下のとおりです。*「地方版総合戦略」の策定(必須)*UIJターン助成*地域しごと支援事業等*創業支援・販路開拓*観光振興・対内直接投資*多世代交流・多機能型ワンストップ拠点(小さな拠点)*少子化対策(地域消費喚起型対応等を除く) 1,700億円は、基礎交付1,400億円と上乗せ交付300億円に分けられ、基礎交付分は次のような考え方で3月末までに配分されますが、前述の地域消費喚起・生活支援型の配分方法とは異なり、人口規模の小さな団体や人口動態指標等の悪い地域ほど手厚くされます。(a)配分比は、都道府県4:市町村6 即ち、560億円:840億円とする(b)地方版総合戦略策定経費相当分として、1都道府県2,000万円、1市町村1,000万円は確保する(c)以下の点を踏まえて、配分に配慮するi.人口を基本としつつ、小規模団体ほど割増すii.財政力指数iii.就業(就業率)、人口流出(純転出者数人口比率)、少子化(年少者人口比率)の状況に配慮(つまり、現状の指標が悪い地域に配慮) 一方、上乗せ交付分の300億円は当面、内閣府地域創生推進室に留保され、「しごとづくりなど」の事業のうち、非常にユニークで先駆的なもの(例えば、市町村の広域連携的な観光振興、あるいは小さな拠点事業)に対して、重点的に投入される予定です。地域創生推進室は、そうした事業が成功モデルとなり、全国的に普及することを期待しているのです。なお、“ユニークで先駆的な事業”というのは奇抜な発想に基づくものという意味ではなく、前述した「地方創生に関する政策を検討するに当たっての5つの原則」からみて“十分に考え抜かれた”事業ということです。 また、地方公共団体の中にはいち早く地方版総合戦略の策定準備に取り掛かり、今夏までに策定完了するところもあると聞いています。そうした地方公共団体がH27年度中に着手する事業に必要な資金も上乗せの交付金から手当てされる予定です。● 地方創生コンシェルジュ制度と地方創生人材支援制度 次に人的な支援の仕組みについて説明します。一つ目は、「地方創生コンシェルジュ」という国が相談窓口を設けて、地方公共団体の地方版総合戦略づくりや地域の具体的な取組みを実施する際の相談に“親身に”当たる、という仕組みです。2月27日に立ち上げられ、現在、担当する地方公共団体 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『水産業関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第39回  前回の林業予算に続き、今回は残りの水産業関係予算について説明します。水産予算 補正と当初の合計で2,375億円と2割超の増加 水産予算はH27年度当初予算が前年度(1,939億円)をやや下回る1,918億円ですが、26年度補正に前倒しされた456億円と合わせると2,375億円(対前年度比22.5%増)と大幅な増加となりました。補正と当初予算の合計額について、その構成をみると、水産基盤整備(762億円)などの公共事業が約62億円増の907億円で、非公共が約374億円増の1,468億円となっています。 水産予算の特色は、「資源管理の推進」を新規事業として盛り込み、資源管理の考えに沿って「漁船漁業・担い手確保対策」や「増養殖対策」の拡充を図っていることです。しかし、「資源管理の推進」について説明する前に、漁業者にとって死活的な問題だった燃油価格等高騰対策を取り上げます。 燃油価格等高騰対策は、主として26年度補正予算として、以下の事業が確保されました。① 漁業経営セーフティーネット構築事業(27当初40億円、26補正100億円) 漁業者と国の拠出により、燃油価格や配合飼料価格の高騰時に補填金を交付する基金について、国の拠出金を積み増し② 省燃油活動推進事業(26補正80億円) 燃油使用量を削減するために漁業者グループが行う省燃油活動を支援。燃油の価格は下落傾向であるものの、円安等の影響で依然として厳しい状況であることから前年度と同額を確保③ 省エネ機器等導入推進事業(26補正40億円) 漁業者グループがLEDや省エネ型エンジンなどを導入する場合の機器設備費用を支援。前年度は応募が殺到し補助率を50%から42.5%に下げて対応したため、25年度の28億円から増額を確保。 なお、「漁業経営セーフティーネット構築事業」のH26年10~12月期の補填は、原油価格が大幅に下落し、補填の基準価格を下回ったことから、行われないこととなりました。● 資源管理の推進 「資源管理の推進」は新規の目玉政策で、27当初に15億円、26補正と合わせると50億円が計上されています。①効果的な資源管理にむけて、IQ方式導入の効果実証等を実施するとともに、②漁業者等が行う資源管理計画の評価・検証、③他魚種転換等の経営多角化等を支援するもので、主な内容は以下のとおりです。(1) 資源管理高度化推進事業 4億7,700万円(新規) マサバ及びスケトウダラを対象に上記の①と②を支援(2)包括的な国際資源管理体制構築事業 3億9,200万円(新規) 国際的に厳しく資源管理されているカツオ・マグロ類について、漁獲報告の電子化、体制強化、DNA検査の強化等による輸入水産物の適正化等を包括的に実施(3)広域種資源造成型栽培漁業推進事業 1億1,300万円(新規) 早急に資源回復が必要なトラフグについて、資源管理と連携した集中的な放流を実施。ヒラメ、マツカワ等について、各県が行う適地放流の効果実証等を支援(4)漁業構造改革総合対策事業 5億円(新規)、補正に前倒し34億8,800万円 他魚種転換等の経営多角化、収益性向上のための取組を支援 対象は、大幅な漁獲可能量の削減等強度な公的資源管理措置が導入される場合で、具体的にはスケトウダラが想定されます なお、「漁船漁業・担い手確保対策」では上記(4)及び新規漁業就業者総合支援事業(27当初6億円、26補正3億円)が手当され、漁業への就業前の青年に対する給付金の給付、就業・定着促進等のための研修等を支援します。 また、「増養殖対策」では①さけ・ますの回帰率向上にむけた新たな種苗放流(3.1億円へ拡充)、②シラスウナギの大量生産システムの実証事業(3.1億円へ拡充)、③カワウ・外来魚の新たな駆除方法の開発等(3億円へ拡充)を支援します。● 水産物の加工・流通・輸出の促進 水産物の加工・流通・輸出の促進に向けた取組は、前年度の 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『林業関係予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第38回 前回は農林水産関係予算のうち農業と畜産・酪農に関係する予算について説明しましたが、今回は林業関係予算について説明します。● バランスよく確保された林業関係予算 H27年度林野関係予算は2,904億円とH26年度当初予算額より12億円少なくなりましたが、26年度補正予算で824億円を前倒し確保できたことで合計3,728億円を確保できました。ここ数年懸案だった課題に対して予算が相応に手当てされ、林業分野全体でみると、まあまあの仕上がりになっているものと考えられます。 懸案だった課題のなかで最大の関心事は、森林整備加速化・林業再生基金(以下、基金と略す)の継続でした。基金はH21年度補正予算で造成され、本年度末で終了する予定になっていましたが、本事業は、地域の実情に応じて、関係者の合意の下で、間伐・路網整備、木材加工・流通施設や木質バイオマス利用施設の整備等、川上から川下に至る対策を総合的に実施するもので、森林・林業・木材産業の成長産業化に大きく貢献し、森林の多面的機能の維持・発揮のほか、山村地域における新規就業者の増加など、これからの地方創生に欠かせない事業であり、来年度以降も絶対に延長すべきと主張していたところです。今回も補正予算の中で約546億円が確保されました。補正だけに、再来年度以降も確実に措置されるよう、引き続き働きかけていく必要があります。 事業の内訳としては、①森林整備加速化・林業再生交付金が526億3,000万円、②森林整備加速化・林業再生事業が20億円です。後者は、木質バイオマス発電施設の整備を、都道府県に設置されている森林整備加速化・林業再生基金を活用し資金融通により支援するものであり、前者は以下のような幅広い取組を支援します。(1)モデル的な木造公共施設の整備、公共施設の内装木質化(2)木質ボイラー、未利用間伐材等の収集・運搬機材、木質チップ・ペレットの製造施設等、木質バイオマス利用施設等の整備(3)CLT(直交集成板)建築の施工性のデータ収集等を目的とした建築物の実証、開発・普及等、新規用途の導入促進(4)木材加工流通施設等の整備(5)路網の整備(6)高性能林業機械等の導入(7)7齢級以下の森林を対象にした未利用間伐材の利用促進(8)原木しいたけの競争力強化に資する生産資材の導入、特用林産物の安全・安心の確保や消費の拡大に向けた取組 なお、(8)の原木しいたけに対する支援は、基本的に25年度補正とほぼ同じメニューで、生産のサイクルと予算のサイクルとのズレに対しては、25年度時よりも一層細やかかつ、弾力的に運用されることになります。● 温暖化対策目標の達成にむけ、間伐事業が大幅増加 もう一つの懸案は、間伐事業に対する十分な予算の確保及び森林吸収源対策の財源確保でした。わが国は地球温暖化防止目標として、2020年度の温室効果ガス削減目標を3.8%(2005年度基準)と掲げており、その目標達成には二酸化炭素の森林吸収量2.8%以上を確保することとしています。これは、間伐実施面積に換算すると、年間52万ha(H25~32年度まで8年の平均)の間伐が必要になります。今回、26補正と27当初を合わせると、年間47万haの間伐事業予算が手当されており、これまでより10万ha分の増額となっています。年間52万haの間伐には未だ5万ha分足りませんが、今後の事業拡大に向けて大きな一歩といえます。 また、森林吸収源対策の財源確保についても、昨年に続き、また一歩前進がみられました。与党の税制改正大綱に、検討事項として以下のとおり記載されています。<平成27年度税制改正大綱(抜粋)(自民党・公明党 平成26年12月30日)> 第三 検討事項 森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた2020年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに具体的な姿について結論を得る。 つまり、新たな仕組みの導入に関し、「COP21に向けた2020年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに」という期限が初めて書き込まれたのです。COP21は今年12月に開催される予定ですので、それまでに何らかの結論が得られるものと考えられ、税制にしろ財政 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『農畜産業予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第37回 安倍首相は2月12日、衆参両院で施政方針演説を行い、「戦後以来の大改革」に力強く踏み出そうと訴えかけました。その改革断行の一番手に挙げられたのが農政で、「強い農業を創るための改革。農家の所得を増やすための改革を進める。」と強調されました。 今回は、農業関係予算のうち、農畜産業に関係する予算について説明します。● 補正予算と当初予算の合計で11.2%増の2兆5,871億円 農林水産分野のH27年度当初予算はH26年度当初予算に比べ0.8%減の2兆3,090億円となりましたが、H26年度補正予算(2,781億円)と合わせると前年度比11.2%増の2兆5,871億円となります。 H27年度予算の主な柱は、以下のように4つあります。①米価下落への対応に必要な予算を措置。②農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化など構造改革を引き続き推進。③日豪EPA(経済連携協定)の発効など貿易自由化に対応できるように、畜産・酪農の競争力を強化。④農林水産物の輸出推進や6次産業化の支援など農林水産業の成長産業化を推進。 各々の内容について、順次説明します。● 米価下落に対する緊急対策及び収入減少対策 H26年産米の深刻な米価下落に対して、農林水産省は米の直接支払交付金(10a当たり7,500円)の早期支払いを希望する農家には、昨年の12月12日までに交付を完了するとともに、5月以降となるナラシ対策(収入減少影響緩和対策)の支払いまでの資金繰り対策として、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金について融資の円滑化や無利子化を行っています。その他、売り急ぎ防止対策により、26年産米の出荷を後送りし、27年11月以降に出荷されるものに対し米穀機構が保管料等を支払うことにより、米の需給の安定を図る(20万トン程度)など、米の需給の安定を図ることとしています。 また、補正予算により、新たな対策として、「稲作農業の体質強化緊急対策事業」200億円を緊急的に実施しています。この事業は、(A)27年産米生産むけの肥料・農薬代などの資材費引下げや労働時間短縮の取組み、あるいは(B)直播栽培の実施、(C)農業機械の共同利用のいずれかひとつに対して、支援するものです。支援額は各々異なりますが、例えば15項目の取組メニューがある(A)に対しては、1haで3万円(1ha未満は2万円)、さらに面積が1ha増えるごとに2万円を助成(20ha以上は41万円に固定)し、稲作農家のコスト縮減を後押しするものです。 当初、3月末までの交付に間に合わせたいとの思いが先走り、交付申請期限を1月30日までとしていましたが、使い勝手が悪い等の意見が多かったほか、現場への周知期間も十分ではなかったため、1月30日時点では十分な申請がなされませんでした。これを受けて、現在、弾力的な運用ができる旨のQ・Aを発出した上で、応募期間を2月27日(金)まで延長しています。まだ間に合いますので、積極的にご活用を検討頂くとともに、念のため、今回の追加申請にかかる交付は5月以降になりますことにご留意下さい。 H27年度当初予算では、ナラシ対策に802億円、ナラシ移行円滑化対策に385億円が計上されました。ナラシとは、米や麦、大豆などを作る農家の収入減少分の9割を国と農家の積立金(拠出割合は、農業者1:国3)で補填する、収入減少の影響を緩和するセーフティネットの仕組みです。これまでは、認定農業者と集落営農のうち一定規模以上の方しか加入できませんでしたが、H27年産からはナラシ対策への加入要件を緩和し、加入者の増加に努めることとしています。具体的には、①規模要件を廃止する、②集落営農について、法人化要件は設けないなど、要件を2要件のみに簡素化しています。 ナラシ移行円滑化対策とは、H26年産において規模要件が残るナラシ対策に加入できない方が、27年産からナラシへ円滑に加入していけるように、26年産に限り、農業者の拠出を求めず、臨時で補助する予算措置です。もし仮に、26年産のナラシ対策で米の補填が行われる場合は、ナラシ対策の国費相当分の5割が交付されることになります。● 農地中間管理機構の本格稼働に伴い協力金を増加 農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化には当初予算で190億円、補正予算と合わせると390億円が計上され、H26年度の305億円に引き続き構造改革が推進されます。全都道府県に設けられた機構が本格稼働するのに伴い、農地の出し手が増えると見込み、協力金を増やしています。ところが、読売新聞の調査によると、機構の仲介により、今年度に貸付けのめどが立っている全国の農地面積は、目標の1割程度の約1万2,400haにとどまります(平成27年2月1日(日)の記事)。今後、農地の出し手が安心して機構へ任せられる環境をさらに醸成していく必要があるとともに、地域における話合いが一層進むことを期待しています。 このほか、耕作放棄地を再生利用するための雑草・雑木除去や土づくり等の取組を支援する「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」が、補正と当初合計でH26年度と同額の19億円が確保されるとともに、大臣折衝により、新規で農地集積加速化のための生産基盤づくり(「農地耕作条件改善事業」)に100億円が盛り込まれました。この事業は、機構が農地を 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成27年度当初予算の概要について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第36回 皆様、改めまして新年明けましておめでとうございます。昨年も大変お世話になり誠にありがとうございました。本年も引き続きどうぞよろしくお願い致します。 先月の1月26日から第189通常国会が始まりました。開会日当日に上程された、約3.5兆円の経済対策を柱とする平成26年度補正予算は1月30日に衆議院を通過、2月3日に参議院で可決、成立しました。続く平成27年度当初予算は、今週に国会提出予定であり、安倍首相の施政方針演説の後、いよいよ本格的な論戦が予算委員会を舞台に繰り広げられることになります。今回は、平成27年度当初予算の概要を説明します。● 平成27年度当初予算のポイント 総額約96兆3,420億円で、過去最大だったH26年度当初予算をさらに0.5兆円近く上回る規模になっています。政府は本予算を、経済対策・26年度補正予算や27年度税制改正とあわせ、「経済再生と財政再建の両立を実現する予算」と位置づけ、財政規律も堅持する姿勢を示していますが、やはり重点は経済再生にあります。 デフレ脱却を目指すアベノミクスは3年目に入り、今年こそは景気回復の手ごたえを鳥取県をはじめ地方で暮らす人々にも実感してもらえるようにしなければなりません。昨年12月に消費税の10%への引上げをH29年4月まで先送りすると決定し、その後の解散・総選挙で大勝した安倍政権は、来年夏の参議院選挙までの期間は盤石の体制で日本経済の成長軌道への復帰に専念できる、恵まれた政治状況にあります。ここで経済運営の成果を挙げなければ、長期政権への展望は開けません。その意味で、安倍首相にとって今年は正に正念場となります。 主な項目は以下で説明しますが、その前に歳入歳出全体を数字の面から概観しておきます。ポイントは以下のとおりです。*歳出総額は過去最大の96兆3,420億円*税収は24年ぶりの高水準となる54兆5,000億円*地方交付税交付金は税収増の関係で15兆5,000億円へ減額*社会保障費は31兆円台半ばに拡大*防衛費は微増の4兆9,800億円で3年連続増加*公共事業も微増の6兆円弱*新規国債発行額は前年度から4兆円超圧縮の36兆9,000億円*基礎的財政収支赤字のGDP比半減目標(2010年度比)は達成の見込み● 経済再生の目玉となる地方再生関係予算 経済再生を実現すべく、地方創生関係予算が目玉になります。地方創生政策とは、地方に新しい価値を生み出し、「ひと」が「しごと」をよび、「しごと」が「ひと」をよぶ好循環を構築するもので、政府として初めて、本格的に人口減少問題の克服に取り組むものです。①地方を主役に据え、各府省庁の縦割りを排する、②地方が主役となり、地域特性に応じた地方創生を展開する、という点でこれまでの地域活性化政策とは異なります。石破茂地方創生担当大臣は、主役は地方であることを強調する意味で、国は伴走型支援(情報支援、人材支援、財政支援)を行うと述べています。 地方創生には、「新しい日本のための優先課題推進枠」を活用し、0.7兆円が確保(26年度補正予算とあわせれば1兆円超)されました。加えて、地域の実情に応じたきめ細かな施策を可能にする等の観点から、地方創生の取組に要する経費について、地方財政計画の歳出に1兆円が計上されています。 なお、地方公共団体が求めていた「新たな交付金」は、26年度補正予算で先行的な仕組みの創設(1,700億円)が盛り込まれましたが、本格実施は、27年度に策定・推進される地方版「総合戦略」を踏まえ、その財源等も含め検討され、28年度以降になります。● 微増した公共事業 地方の景気回復、地域の安全安心確保を図る面で、即効性のある公共工事の拡充は欠かせません。公共事業関係費は前年度水準から微増の5兆9,711億円が確保されました。自然災害に対応するための事前防災・減災対策が充実されるとともに、インフラの老朽化対策(修繕・更新)が計画的に推進されます。 今回、整備新幹線の建設前倒し(新函館北斗―札幌間は5年、金沢―敦賀間は3年早く)が政治判断で盛り込まれましたが、効率的な交通・物流ネットワークの整備・拡充は国際競争力の強化だけでなく、訪日外国人観光客の誘客増加にもプラスになると期待されます。この点 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『消費税増税先送りについて』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第35回  安倍首相は11月18日、来年10月1日に予定されていた消費税の10%への引上げを行わず、1年半後のH29年4月に先送りし、税制上の大きな変更となる、この判断について国民の信を問うとして、21日に衆議院の解散を行うことを表明しました。今回は、消費税増税の先送り及びアベノミクスに関する論点をQ&A形式で説明します。質問1:なぜ消費増税を先送りするのか?舞立:11月17日に発表された7-9月期の実質GDP(国内総生産)成長率(速報値)は年率マイナス1.6%でした。4-6月期に続いて2期連続のマイナス成長で、景気が4月の消費税8%への引上げの影響から戻っていないことが明らかになったからです。平成9年の橋本政権時に消費税の引上げ(3%から5%へ)を強行して、わが国経済はデフレに突入してしまい、“失われた15年”を過ごしました。その二の舞にならないように、財政残って国民生活焼け野原ではいけませんので、地方の景気回復を最優先して取り組みます。質問2:景気が問題であれば、補正予算やピンポイントの対策で対応可能ではないか?舞立:確かに、H25年初以降のアベノミクスによる景気回復で、税収の自然増収も見込まれますので、赤字国債を増発することなく補正予算を編成できます。現に安倍首相は、新たな経済対策を指示し、来年の通常国会に補正予算が上程される予定です。 しかし、消費者心理がデフレ・マインドに戻るのを防ぐには不十分です。国民の先行きに対する不安感を払拭するほうが優先されます。財政再建を優先し、また長い不況に陥っては、再度日本が立ち上がることは困難でしょう。景気が腰折れしてしまうと、消費税率を上げても期待通りに税収は増えません。質問3:アベノミクスは失敗したのか?舞立:そうではありません。三本の矢の経済政策は、確実に成果を挙げつつあります。安倍政権発足以来、雇用は100万人以上増加しました。有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。賃金も今春、平均2%以上アップし、過去15年間で最高(連合調査)です。 都市部では、企業収益増加⇒雇用拡大⇒賃金上昇⇒消費拡大⇒景気回復という経済の好循環が実現しつつあります。この流れを、未だ景気回復の恩恵が及んでいない地方に広く普及させる必要があります質問4:衆議院を解散するのはなぜか?舞立:消費税を5%から8%を経て10%へ引き上げるという内容は、民主党政権下で自民、公明、民主の3党が“奇跡的に”合意したものです。しかも、その協議過程で景気条項が追加されました。今回、安倍首相はこの3党合意を無にする判断をし、景気条項も外して18ヶ月後に10%にすると断言したのです。これは国民生活にとっても、国民経済にとっても、大きな変更であり、重い判断です。この判断について国民の信を問うのは議会制民主主義の下では当然と言えるでしょう。 とりわけ、税の問題は国民生活に密接に関わっており、米国の独立戦争の頃より、「代表なくして課税なし」と言われてきました。消費増税先送りの判断とアベノミクスの評価を併せて問うことは理に適っており、解散の大義は十分にあると考えます。 なお、以前から、野党は、特定秘密保護法や集団的自衛権の一部を認める閣議決定、原発再稼働に関して国民の信を問うべきだと主張していたと思いますが、これらを含め、丁寧に国民の信を問うているものと思います。質問5:消費者心理がデフレ・マインドに戻るのを防ぐにはどうすればよいか?舞立:4月以降の家計消費支出動向を世代別にみると、子育て世帯を中心に30歳代世帯及び低所得者層で著しい消費支出の抑制が見られます。将来の雇用や所得に対する漠然とした不安感や社会保障制度の先行きに対する不透明感が、どうしても拭えないからです。そこで、まず景気を4月の消費増税前の成長軌道へ戻すために、新たな経済対策(補正予算)は絶対に不可欠です。安倍首相が指示した新たな経済対策の対象は以下のとおりです。①円安、エネルギー価格高騰・米価下落等への対策、経済の好循環の実現に資する事業者・住民の方々への対応(優先)②「地方創生」の先行的実施③地域における成長戦略④災害復旧・復興加速化を始めとする危機への対策また、消費増税先送りの下でも少子化・子育て支援の拡充を予定通り進め、制度に対する信頼感を高めることも大事です。質問6:消費増税延期により税収が減少するが、社会保障等の対応はどうするのか?舞立:消費税の増収分は社会保 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『ジオパーク活動の取組状況と地域活性化の効果について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第34回 11月5日(水)、自民党と公明党の有志議員で構成する「ジオパークによる地域活性化推進議員連盟」が正式に発足し、石破茂先生(内閣府地方創生担当大臣)に議連会長に就任して頂きました。この議員連盟には88人の国会議員が入会(11月5日現在)し、設立総会は、国会議員本人約40名のほか、ジオパーク所在自治体の首長10人をはじめ、関係府省庁やマスコミなどから多数の出席があり、総勢百数十人の盛況でした。山陰海岸ジオパークからは、榎本武利・岩美町長と銀杏泰利・鳥取県議(山陰海岸ジオパーク推進三府県議会議員の会の幹事長)がお越しになりました。今回は、ジオパーク活動の取組状況、課題、そして地域活性化の効果について説明します。● 世界ジオパークと日本ジオパークジオパークとは、ユネスコが支援するプログラムであり、ジオパークを有する地域においては、科学的に価値が高く、景観としても美しい地質・地形のある自然遺産を保護・保全し、教育や防災、ジオツーリズム等を通じて、地域の持続可能な開発・発展を目指しているところです。2004年に世界ジオパークネットワーク(GGN)が創設され、GGNは、世界各国からの申請に基づき、世界ジオパーク(地質・地形版の世界遺産。ユネスコの正式プログラム化に向けて検討中。)を認定しています。また、日本では、日本ユネスコ国内委員会の支援を受けて、日本各地のジオパークの質を高めること等を目的とする日本ジオパークネットワーク(JGN)が創設されるとともに、世界ジオパーク及び日本ジオパークの審査・評価・推薦を行う組織として、日本ジオパーク委員会(JGC)が設置されているところです。現在、世界で32カ国、111の地域が世界ジオパークに認定されており、日本では、糸魚川、島原半島、洞爺湖・有珠山、山陰海岸、隠岐、室戸、阿蘇の7地域が認定されています。また、世界ジオパークの認定には至らないものの、日本ジオパーク委員会が認定した日本ジオパークは全国に29地域もあるほか、17地域がジオパークを目指している状況にあります。 なお、ジオパークは「大地の公園」とも呼ばれますが、JGC委員長の尾池和夫氏(第24代京都大学総長)は、日本語で説明する際は、「見る・食べる・学ぶための大地の公園」と表現するよう提唱されています。とくにこの「食べる」が重要だと強調されますが、その理由は後で説明します。● ジオパーク活動の取組状況と取組の特徴 ジオパーク活動は急速に広がっています。2009年5月にJGNが発足して5年経ちますが、現在、JGN会員である自治体は、市が104、町が77、村が30の合計211市町村です。全国の市町村の1割を超える自治体がジオパークと関連しているのです。また、ジオパークと何らかの関連を持つ都道府県は39におよびます。この背景には、地域活性化のツールとしてジオパーク活動の有効性が認識され、関係者の積極的な働きかけや取組により、全国に展開されたことがあります。 なぜ、地域活性化のツールとしてジオパーク活動が有効かというと、それはジオパークの審査の仕組みが、地域とそこに住む人々を中心に考えられているからです。この点については、世界遺産や天然記念物の仕組みと比較すると、わかりやすいかもしれません。 世界遺産や天然記念物は、人類あるいは国民にとって大事なものを指定し、社会に広める仕組みです。政府が保護する体制や資金を整備します。保護対象はモノであって、一旦指定されると再審査はありません。一方、ジオパークは、世界ジオパークであれ日本ジオパークであれ、認定後4年ごとに、その利活用状況や地域活性化への貢献等が審査され、認定が取り消される場合もあります。つまり、ジオパークは、大事なものがある地域とそこに住む人が、①大事なものを守るためにはどうしたらいいか(保護・保全)、②大事なものをなくならないように活用して地域の人が元気になるにはどうしたらいいか(教育、観光、地域活性化)をみんなで考えて実行するための仕組みなのです。地域づくりのための人々の活動が最も重要視されているのです。このため、これまで市町村や民間団体等が中心になって継続的な取組が行ってきたかいもあり、多くの住民にとって、ようやく地域全体の宝として認識・定着してきたものと思います。 尾池JGC委員長が「食べる」を強調する理由は、飲食を通じた消費支出が地元を潤すという経済効果があることは言うまでもありませんが、一つには地域の人々が面白がって楽しめないと、ジオパー 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『地方創生に関する観光施策について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第33回  昨年、日本を訪れた外国人旅行者数は1,036万人を記録し、1,000万人の目標を突破しました。本年も外国人旅行者数は1,200万人に達するペースで順調に増加しています。政府の新たな2,000万人の目標を実現すべく、各方面での受け入れ体制の整備が急がれます。この点、地方からみると、海外や国内からの旅行者の増加は、いまや地方創生の有力な起爆剤の一つです。今回は、地方創生に関する観光施策を説明します。● 観光による経済効果 海外からの訪問者の増加は国内に新たな需要と交流をもたらし、経済活動を活発化し、社会に賑わいをもたらします。地方にとっては、外国人旅行者だけでなく、国内観光客、宿泊であれ日帰りであれ、観光客の消費活動等を通じて新たな需要、新しい商品・サービス開発のきっかけ、地域資源の見直し・気づきを生み出し、地域社会を活気づけます。 こうした観光客の増大がもたらす経済効果は多岐にわたりますが、観光庁は消費支出に着目した調査を行っており、その結果は以下のとおりです。*旅行消費額(2013年)(延べ人数)訪日外国人旅行 1.4兆円(1,036万人)邦人の国内旅行 20.2兆円(6億3,095万人)うち、宿泊旅行 15.4兆円(3億2,042万人)日帰り旅行 4.8兆円(3億1,053万人)出所:観光庁 訪日外国人消費動向調査(2013年)、旅行・観光消費動向調査(2013年)1人1回当たり消費額を算出すると、次のようになります。*1人1回当たり消費額(2013年)訪日外国人 137千円邦人の宿泊  48千円邦人の日帰り 15千円 総務省の2013年家計調査によると、定住人口1人当たりの年間消費額は124万円ですから、この消費額は大まかに外国人旅行者10人分にあたります。人口減少に悩む自治体の視点でみると、外国人旅行者10人を呼び込めれば、定住人口が1人減少した分の年間消費額相当は取り戻せる、という計算になります。あるいは、日本人の宿泊旅行者26人又は日帰り旅行者83人を誘客できれば同等の経済効果が生じるともいえるでしょう。 もっとも、この計算は消費額について比べた結果であり、雇用創出効果ではないことに留意しなければなりません。雇用の創出効果は、業種ごとの労働比率や需要増の持続可能性の程度などを加味する必要があり、単純には求められません。観光庁のさらなる調査に期待したいと思います。● 地方創生に貢献する観光施策 観光庁はH27年度概算要求で地方創生に資する観光施策を3つ盛り込んでいます。第一は、「広域観光周遊ルート」形成への支援(新規、14億円)です。目的は、(1)地域の観光資源を磨き上げ、地方を訪れる観光客の流れを戦略的に創出し、交流人口を拡大すること、そして、(2)地域経済を活性化させ、地域における雇用創出と若者の定住促進を図ることです。広域観光周遊ルートとは、①複数の都道府県をまたがり、②テーマ性・ストーリー性を持った一連の魅力ある観光地を、③交通アクセスも含めネットワーク化して、④外国人旅行者の滞在日数(平均6~7日)に見合う周遊ルートのことです。例えば、主に中華圏から中部・北陸9県への誘客を推進する“昇龍道”プロジェクトが中部経済界を中心に検討されています。能登半島を龍頭に見立て、中華圏に人気の龍をモチーフとした企画です。私の地元鳥取では、鳥取県と島根県を中心とした中国地方“古事記謎解き”という物語性のあるコンテンツを基に新しい周遊ルートを開発できるかもしれません。国の支援内容は以下のとおりです。・広域観光周遊ルート形成計画策定に対する支援・外国人受入環境の整備に対する支援・広域観光周遊のための交通アクセスの円滑化(二次交通の利便性増進等)・マーケティングに対する支援・海外への情報発信 等また、この施策には、成田空港や関西国際空港を利用して東京、京都・大阪、富士山等を巡る定番の観光コースに飽き足らないリピーター対策のほか、地方空港の機能強化により、地方空港を玄関口として地方の観光地域を周遊する「地方イン・地方アウ 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『地方創生に関連する予算について』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第32回 政府は9月12日、人口減少対策や地域活性化の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長:内閣総理大臣、副本部長:地方創生相、官房長官)の初会合を開きました。安倍首相は会合で、東京一極集中の是正や地方自治体の支援に関する基本方針を決定するにあたり、「従来とは異次元の大胆な政策をまとめる。各府省の縦割りやバラマキ型の対応は断固排除する」と述べました。 各府省のH27国当初予算の概算要求は8月末で締め切られましたが、安倍首相は、地方創生関連の政策は石破地方創生相の下で一元的に調整するよう指示しています。そこで今回は、各府省の地方創生に関連する予算要求の概況を説明したいと思います。● 競い合う地方創生政策 人口減少対策や地域活性化策が政府の最優先課題になると意気込んで、各府省は競い合うように地方創生に関連した予算要求をしています。それらは政策の狙いからみると、以下のように3つに大別できるかと思います。1.地方における就職促進策 地方から東京への人口流出を抑えるためには、地方で企業を育成し新たな雇用機会を生み出す対策が不可欠です。経済産業省や総務省だけでなく、国土交通省、厚生労働省等の新規事業も含まれます。各省ごとに想定する対象分野・業種や対象地域が異なる面もありますが、類似した事業は整理していく必要があります。 *起業、新分野への挑戦等の促進支援 25億円(経産省) *海外企業の地方への誘致支援 29.2億円(経産省) *ふるさとプロデューサー育成支援 4億円(経産省) *地域密着型事業創出支援 36億円(総務省) *「地域おこし協力隊」の活動拡充 2.5億円(総務省) *広域観光周遊ルート組成振興 41億円(国交省、新規) *「地域しごと創生プラン」(仮称) 366億円(厚労省、新規)2.コンパクトシティーの推進策 コンパクトシティーの推進とは、空洞化が進む地方の中心市街地を活性化させ、郊外に住む人々を呼び寄せることで地域社会の再生を目指す、都市機能の集約化を通じた社会基盤の整備です。公共施設、医療機関、商店街など都市機能の集約化だけでなく、公共交通機関の路線やダイヤの再編成や中心都市と分散する集落とのネットワーク化も含まれます。国土交通省の事業が中心的な役割を占めますが、総務省、文部科学省、厚生労働省なども事業を打ち出しています。もっとも、どこをコンパクトシティーの中心と考えるかについて、省庁間で考え方・対策が異なっています。例えば、過疎地域でも、比較的大きな集落に集落機能を集約化していくことも対象に含まれているなど、単に中小の市における中心市街地に都市機能を集約化することのみが対象ではなく、それぞれの地域に合わせたコンパクトシティー化を推進、支援していくことが重要と考えます。 *コンパクトシティーの推進 153億円(国交省) *過疎地の「集落ネットワーク圏」形成事業 10億円(総務省) *学校を核とした地域力強化 84億円(文科省) *山村振興 15億円(農林水産省) *中山間地域での保育所とデイサービス施設の統合整備 73億円(厚労省)3.出産・子育て支援策 出産・子育てしやすい環境の整備は、人口減少の歯止めに欠かせませんし、政府が成長戦略で掲げる「女性の活躍推進」にも資するものです。厚生労働省の事業が主となりますが、国土交通省、文部科学省、総務省、内閣府も関連する事業を盛り込んでいます。なお、私見ですが、上記の1と2の政策とは異なり、出産・子育て支援策は必ずしも地方の実情を反映したものになっていません。むしろ、東京圏の足下のニーズに対応したものに多額の予算要求(例、待機児童解消。しかし、無認可保育所を増やしても待機児童解消はなかなか進まないと思います。)がされており、出生率の最も低い&財政力の最も高い東京圏であること等を考慮すると、出生率の高い&財政力の低い地方圏に国費を重点的に投入していく方が、東京一極集中の是正や地方の人口減少対策に資すると思います。 *待機児童の解消 6,200億円(厚労省) *放課後児童クラブの拡充 332億円(厚労省) *仕事と育児の両立支援 179億円(厚労省) *妊娠・出産の支援拠点づくり 33億円(厚労省) *小規模保育の拡充など女性の活躍推進や少子化対策 1,136億円(内閣府) *子育てなどに適した住宅整備 654億円(国交省) *児童を預かる施設の拡充 44億円(文科省) *「テレワーク」活用の実証実験 19.5億円(総務省) このように、事業の対象要件等は異なるものの、概算要求では複数の省庁が類似の施策を要求している事例が少なからずあります。今後、年末の予算編成に向けて、予算のバラマキを避けるためにも、統一できるものは統一し、重複しているものはできる限り排除する工夫が求められます。これに対する総理の切り札が、内閣改造の目玉として新設された地 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成27年度農林水産予算の概算要求(その3)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第31回今回は、前回に続き、水産業関係のH27当初予算概算要求の内容について説明します。● 水産予算の概算要求は2,299億円 水産予算の概算要求は、H26年度当初予算より360億円上回る2,299億円となっています。構成は、水産基盤整備などの公共事業が約160億円増の1,004億円で、それ以外の非公共が約200億円増の1,295億円となっています。 特色としては、「資源管理の推進」(49億円)を新規事業として盛り込み、資源管理の考えに沿って「漁船漁業・担い手確保対策」や「増養殖対策」の拡充を図っていることです。資源管理の推進は、自民党・水産部会「資源管理のあり方検討会」のとりまとめ(H26年7月1日)に即した資源管理措置の実施を以下のように展開することとしています。対象となる魚種は、マサバ(太平洋系群)、スケトウダラ(日本海北部系群)、太平洋クロマグロ、トラフグです。* 資源管理高度化推進事業 5億円(新規)効果的な資源管理に向けて、IQ方式導入の効果実証等を実施。マサバ太平洋系群については、一部漁船が本年秋を目途に着手。* 包括的な国際資源管理体制構築事業 4.5億円(新規)資源評価の更なる向上にむけ、データ収集を強化。太平洋クロマグロについては、2015年以降の未成魚(+) の漁獲上限を半減(4,007トン)し、漁獲をモニタリングしつつ管理。(+)・・・クロマグロの未成魚は3歳以下を指し、「メジマグロ」等と呼ばれる。スーパー等で比較的安く販売され、すしだねにも使われる人気商品。消費量が多いため、乱獲に繋がりやすい。* 広域種資源造成型栽培漁業推進事業 1億円(新規)トラフグについては、統一的な方針の下で資源管理を推進し、放流効果の高い場所での有効な種苗放流等を検討。* 漁業構造改革総合対策事業 38億円(新規)項目を改めて、次に説明します。 なお、「増養殖対策」では①さけ・ますの新たな種苗放流、②シラスウナギの大量生産システムの実証化、③カワウ・外来魚の新たな駆除方法の開発等の支援が拡充されるほか、④二枚貝の養殖等を併用した高品質なノリ養殖技術の開発事業(0.5億円)が盛り込まれています。● 「資源管理・経営多角化支援事業」の新設 漁業構造改革総合対策事業は、漁業者の新しい操業・生産体制への転換を促進するため、改革型漁船の導入等により、収益性向上の実証に取り組む場合に必要な経費を支援するものです。この総合対策事業は、「漁船漁業・担い手確保対策」の中核施策と位置づけられています。「収益性改善、収益性回復を実証する事業」なので、別名「もうかる漁業」支援事業とも呼ばれます。今回、総合対策事業の枠内に、もうかる漁業とは別に、「資源管理・経営多角化支援事業」が新設されます。対象は、①大幅なTAC(生物学的漁獲可能量)削減に伴い、②個別漁獲割当制度等の公的資源管理措置が導入される場合で、具体的には、スケトウダラが想定されます。支援内容は、③関係漁業者全体で、④漁獲対象魚種の転換や付加価値向上の取組等により収益性向上に取り組む場合、水揚げ金額で賄えない“実証経費”の2/3を、3年を上限として支援するものです。実証経費とは、用船料(減価償却費、人件費、漁具等償却費など)のほか、燃油費、えさ代、氷代、魚箱代、販売・事務管理費などの経費が含まれます。● 漁業経営セーフティーネット構築等事業 漁業経営安定対策では、漁業者にとって死活的な問題になっている燃油高騰対策(漁業経営セーフティーネット構築等事業)が前年度の45億円から100億円へ拡充要求されています。これは原油価格が一 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成27年度農林水産予算の概算要求(その2)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第30回 前回は農業農村整備事業関係予算をはじめとする農業、畜産・酪農分野におけるH27当初予算概算要求の内容を説明しました。今回は引き続き林業分野の内容を説明します。● 地球温暖化防止に向けた森林整備 H27年度の林野関係予算の概算要求は、前年度比約494億円増の3,410億円と3,000億円の大台を上回りました。非公共事業費は約73億円増の1,076億円ですが、森林整備事業費や治山事業費などの公共事業費は約421億円増の2,233億円です。特に森林整備事業費は、対前年度比25.4%増の1,500億円が要求されていますが、これは概算要求のほぼ半分を占める規模です。森林整備事業がこれほど重要なのは、森林資源の循環利用における川上事業にあたり、①間伐等の森林施業や②路網の整備等を推進し、国産材の安定供給体制を構築するとともに、地球温暖化防止等の森林の多面的機能を発揮させる重要な事業だからです。わが国は地球温暖化防止目標として、H32年度における新たな温室効果ガス削減目標を3.8%(H17年度基準)と掲げており、その目標達成には二酸化炭素の森林吸収量2.8%以上を確保する必要があります。そして、必要とされる森林吸収量を間伐実施面積に換算すると、年間52万㏊(H25~32年度までの8年間の年平均)の間伐を実施しなければならない、ということになります。前年度まで年間37万㏊の間伐事業しか当初予算で手当できなかったため、今回の概算要求では大幅な増額になっていますが、実はこれでも年間47万㏊に相当し、年間52万㏊の間伐事業には足りません。予算の規模はともかく、引き続き不足部分を補正予算で要求していかざるを得ません。なお、森林吸収源対策の財源確保については、かねてより森林環境税(仮称)の創設など税制上の要望が出ていました。与党税制調査会は昨年12月、平成26年度税制改正大綱のなかで、森林吸収源対策に関する財源の確保について、「森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて専門の検討チームを設置し早急に総合的な検討を行う」と明記しており、本年末までに何らかの具体案が提示されることが期待されます。税制改正の議論の際には、税制による措置か歳出による措置かというよりは、しっかりと森林環境を守り、地球温暖化防止に貢献できる制度の構築に向けて、しっかりと議論に参画していきたいと思います。 川上対策としては、このほかに治山事業があります。治山事業費は、733億円(対前年度117億円増)要求されており、①集中豪雨・地震等による山地災害等の防止・軽減のため、荒廃山地の復旧整備、②津波に対し粘り強い「緑の防潮堤」の整備等の推進が盛り込まれています。● 林業における地域政策と林業を支える担い手確保・育成 川下対策に移る前に、山村に対する地域政策と担い手確保・育成について説明します。この問題については、これから政府が注力する人口減少社会における農山漁村の活性化対策の重要な対策のひとつであり、しっかりと充実していく必要があると思っています。 地域政策としては、これまで「森林・山村多面的機能発揮対策」30億円(前年度と同額)があります。地域における活動組織が実施する森林の保全管理や森林資源の利用等の取組を支援する、非公共のソフト事業です。これに加えて、前回少し触れましたが、新規事業として「山村振興交付金」15億円が盛り込まれています。この交付金は、市町村等に対する定額助成ですが、山村の地域資源を活用した地元の雇用創出や所得向上を実現するために、以下の取組を支援します。* 地域経済活性化推 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
    • 1970/01/01 (木) 09:00:00
  • 『平成27年度農林水産予算の概算要求(その1)』
    • 『まいたち昇治の活動報告』第29回  平成27年度一般会計当初予算編成における各省庁から財務省への概算要求が8月末で締め切られました。各省庁からの概算要求の総額は102兆円に迫る規模で、26年度の要求額(99兆2,500億円)を大きく上回りました。これから、いくつかの省の要求の概要を説明していきます。今回は農林水産関係予算のうち、主として農業と畜産・酪農の分野を取り上げます。なお、予算要求が過大で無駄が多く含まれているのではないかと思う方もいらっしゃると思いますので、一言申し添えます。確かに、無駄がないとは言い切れません。しかしながら、現在の国の予算は、年金、医療、介護の3経費を除くその他の予算は、OECD先進34カ国の中で、GDP比率で最低の水準にあります。平成13年の小泉政権から民主党政権まで、一貫して効率化の名の下に予算の削減に努めてきた結果です。故に、歳出改革も不断の取組が必要ですが、もう一度日本の、そして地方の再生を図っていくためには、必要な予算は確実に措置していかなければならない状況にあることをご理解頂ければ幸いです。● 要求総額は2兆6,500億円超、対前年度14.1%増 農林水産予算の概算要求額は、2兆6,541億円で、前年度の2兆3,267億円を3,000億円以上上回り、伸び率は対前年度比14.1%増となりました。公共事業と非公共事業の別でみると、公共事業費は8,038億円(対前年度比22.2%増)、非公共事業費は1兆8,503億円(同10.9%増)となり、公共事業費の増加要求が目立ちます。 公共事業費は一般公共事業費と災害復旧等に大きく分かれ、一般公共事業費は、①農業農村整備、②林野公共、③水産基盤整備、④海岸、⑤農山漁村地域整備交付金と分類されます。そのなかで増加要求が大きいのが、①の農業農村整備(3,371億円、25.4%増)と②の林野公共(2,233億円、23.2%増)です。①の農業農村整備と⑤の農山漁村地域整備交付金を合計したものを「農業農村整備事業関係予算(27年度要求は4,246億円)」と呼びます。この予算額の推移をみると、麻生政権時(H21年度)に5,772億円だったのが、民主党政権下で3,500億円余り削減され、H24年度には2,187億円まで落ち込みました。今回の要求額は、このボトム時の約2倍の水準まで戻っていますが、民主党政権以前の水準にはまだ回復していない状況です。未だ地方からの要求に十分応えられない状況が続く中、最低でも4,000億円台を確保できるよう努めてまいります。 農林水産省は、今回の概算要求に際し、昨年12月に決定された「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、農林水産業を成長産業化して、農業・農村の所得倍増を目指すとともに、美しい伝統ある農山漁村の継承と食糧自給率・自給力の維持向上に向けた施策を展開する、との考え方を示しています。つまり、今年度と同様、産業政策と地域政策をクルマの両輪として、農政改革を実行する方向に変わりはありません。昨秋以降、次々と農政改革の法制化が進みましたが、H27年度はいよいよ新制度が本格的に動き出しますので、現場で着実に実行されるように、その裏付けとなる予算が要求されています。以下、主な重点分野について説明します● 農地中間管理機構による担い手への農地集積・集約化の推進 成長政策として第一に優先される事業は、構造改革の推進役となる農地中間管理機構を本格稼働させることです。概算要求では、担い手への農地集積・集約化等を加速するため、農地中間管理機構の事業運営、農地の出し手に対する協力金の交付等を支援するためにH26年度当初予算額の約1.9倍に当たる576億円が計上されています。また、農地中間管理機構による農地の借り受け・貸付けとの連携等により、農地の大区画化等を推進するための予算も前年度の約1.4倍の1,429億円が、前述した農業農村整備事業の一つとして要求されています。 一方、担い手の育成・確保については、①就農前後の青年就農者や経営継承者への給付金の給付、②雇用就農を促進するための農業法人での実践研修等への支援、③地域農業のリーダー人材の層を厚くする農業経営者教育の強化に使われる、「新規就農・経営継承総合支援事業」に今年度より67億円多い285億円が要求されました。このうち、①の青年就農給付金が31億円増の178億円を占めています。 なお、この青年就農給付金は就農前後の青年就農者に年間150万円を5年間給付する仕組みで、立ち上がり期の経営を支援するためのものですが、従来は前年の年収が250万円を超えると給付が全額打ち切られ、かえって経営の安定、所得の向上が損なわれるおそれもありました。そこで農林水産省は、就農者の年収合計(年収+給付金)が400~500万円になるまで、前年の年収に応じて給付を段階的に減額する方式に改善することを検討中であり、私としてもできる限りやる気が持てて新規就農が増えるよう、制度の改善に努めてまいります。● 新たな経営所得安定対策の着実な実施 成長政策のもう一つの柱は、新経営所得安定対策の着実な実施です。そのため、①麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ等の畑作物の直接支払交付金2,093億円、②飼料用米、麦・大豆等の戦略作物の本作化や魅力的な産地を創造するための取組を支援する、水田フル活用直接支払交付金2,770億円が、前年度同額で要求されています。 水田フル活用の推進では、とくに飼料 続きをみる 『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
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最終更新:2013年07月23日 22:49