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したらばSS作品 ◆aFvpgnx8Zk 2

1. 失態からの半裸

なんということか――――!
おっとすまない。初っ端から情けない声を上げてしまった。
だが許してほしい。下着を着け忘れて学校に来てしまったと言えばこの心中、察していただけるだろうか。
私は環凪学園中等部三年、霜月ひばな。
「どうしたのひーちゃん。パンツ履き忘れて来たような顔して」
「違う。ブラジャーだ」
朝のホームルームが終わったところで話しかけられた。というかどんな顔だそれは。クラスメイトである坂峰凜のボケは今日も相変わらずである。
しかし、そう、ブラジャーを着け忘れてしまったのだ。これはなんたる失態か。そんな馬鹿なと笑う者がいるかもしれないが事実忘れたことは確かだ。急いでいればそういうこともある。たぶん。
「え? ひーちゃん、ブラジャーなんてしてるの?」
今かけがえのない友人が何か言った気がしたが聞き流すことにする。
私自身自分のことを大雑把だとは思っているが、まさか下着を忘れるなどということは想像だにしていなかった。他の忘れ物ならば「まぁいっか」と済ませられただろうが、これはさすがにショックが大きい。腰に下げたホルスターにそっと手を添える。ブラを忘れてもこれを忘れないあたり、能力者としての生活が板についてきたように思う。だが女としてはどうなのか。
「ねぇひーちゃん、見て見て」
呼ばれて見ると凛は白い素肌を露わにして、
「ほら、手ブラ」
というかもう上半身裸で乳房を両手で覆っていた。
「さすがにそれはバカか!」
この子の羞恥心を見つけた方は一刻も早くご連絡ください。


2. 馬鹿と無口

慌てて脱ぎ捨てられていたシャツを羽織らせる。
「だってひーちゃんが呼んでも返事してくれないから……」
「時々、あんたの頭が蕩けちゃってんじゃないかと心配になるよ」
「何をぅ、失礼な! 私の脳みそはカチカチのツルツルだよ!?」
固さは知らんがツルツルなのは問題が有ると思うわけで。
「おはようございます。ひばなさん、凛さん」
「ああ、おはよう」
馬鹿話に花を咲かせている私たちに挨拶だけ済ますと彼女、坂木羽魅は自分の席に着いた。相変わらず物静かな子ではあるが、毎日の挨拶を欠かさないあたり根は礼儀正しい良い子なのだと思う。
「おはよう、うーみん!」
シャツのボタンをかけ終えた凛が親しげに羽魅に詰め寄った。私の呼び方もそうだが、凛の付けるアダ名はどうも小恥ずかしい。
「ねぇどうしたの? パンツ履き忘れたような顔して」
「いいえ凛さん。ブラジャーです」
おお、同志よ。というか今ここにノーブラ女子中学生三人が集まっているわけだが、変な心強さがあるのはいったいどういうわけだ。いや、断じて変態志向に目覚めたわけではない。あくまで『失態を指摘されても仲間がいることで精神的余裕が保たれる』という意味であることを留意していただきたい。
「じゃあ私たち、皆ノーブラだね!」
だからって声高に言いふらす必要はないぞバカドラゴン。


3. やまなし おちなし いみなし

「ねぇひーちゃん。『霜月』って11月だよね?」
たしかに旧暦では11月を意味している。それになぞって新暦でも11月を霜月と言うらしいが。
「それがどうしたんだ?」
「それで『ひばな』っていうのは逆にすると花火なわけだよ」
凛はしたり顔で続ける。あまり良い予感はしない。
「11月と言えば秋。秋に上がる花火と言えば――――そう体育祭!」
うん、わかりづらい。だが発想の足取りは何とか理解できないこともない。というかそのイベントの多くは9月に済まされるわけだが。
「それで、それがどうしたんだ」
「え?」
「…………」
この子はよくオチの無い話をするので困ります。


4. 文化祭における斬新さの重要性

「運動は好きなので体育祭は楽しみですが、文化祭も好きですね」
休み時間。予習の手を止めて羽魅が会話に参加する。
「良いね! でも今日日どこも変わり映えしない出し物ばかりで新鮮さに欠けると思うんだよ!」
凛はたまに的を射たことを言うから困る。なるほど、占いやお化け屋敷、近年ではメイド喫茶も定番と言えるだろうか。たしかに他と差別化を図る上で避けては通れない問題である。斬新なアイデアか。ふむ、そうだ。
「ドラゴン屋敷などどうだろう」
「それ私しかいないじゃん!!」
部屋に入ったら巨大な竜が待ち構えているわけだ。ただそれだけだ。出し物の名前を伏せておけば、いやドラゴン屋敷のままでも充分肝試しになるのではないか。
「嫌だよそんな見世物みたいなの!」
まったく贅沢なことを言う。変態して立っているだけの楽な仕事なのに。
「じゃあ某RPGの一作目のとあるイベントよろしく、閉じ込められた姫を救い出すべく見張りのドラゴンを倒すというシチュエーションはいかがだろうか」
「それはもう肝試しではなく腕試しですね」
羽魅が今うまいことを言った。
「仮にそれをやるとして、お姫様役は誰?」
「私が姫の格好なんて柄じゃない。羽魅がいいんじゃないか?」
正直ビジュアル的に考えて凛に兼任してもらいたいところだが、文句を言うのは目に見えたので羽魅を推す。
「私ですか」
そう言って少し考え込んですぐに手をポンと叩いた。
「いえ。たとえお芝居でも、そんなシチュエーションで閉じ込められたらつい溶かしてしまうかもしれません」
「ダメだひーちゃん! ドラゴン屋敷は前途多難だよ!」
ちなみに救い出された姫には勇者との夜のお楽しみの時間が待っています。

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最終更新:2010年09月07日 11:03
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