75 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[テンプレってなんぞ] 投稿日:2009/11/07(土) 22:28:17 ID:H7Ypvn9Y
ある程度経過して紙飛行機は宙空で燃え尽きた。
「ぜぇ…はぁ…オシリス+無限の手札ですか!?」
「言いたいことは奇跡的に分からないが落ち着ケ。仕事ダ」
「ぜぇ…ええ…?」
長はゆっくりと目を瞑り気を集中させる――
「(キコエルカ)」
「(え、何ですかこれ?口で言って下さいよ!)」
「(お前は新聞部を潰す気カ。盗聴される危険の少ない念話で伝えるゾ)」
「(わ、分かりました編集長!シリアスモードですね)」
「(生徒会の全容を外部から知るのは不可能ダ。そこで今回は再びお前に風紀委員に属し
てもらっテ『委員会会議』に潜入してもらいたイ)」
「(…んー、淑女部隊のみんなが許してくれるかな?)」
「(なあ二、しばらく向こうに属しながら情報をくれればいイ)」
「(それは…公平な報道に反しはしないでしょうか)」
「(なラ、お前は公平な視点から情報をくれればいイ。
別に完全に委員会サイドに立てト言ってる訳じゃなイ。
そして…公平な報道以前に購読者達が三大勢力の活動に疑問を抱いていルのも事実、
まずはそこをズバッと開示して読者達を落ち着かせる必要があル)」
「(…もし、今回の調査で三大勢力がすんごいボロを出したら?)」
「(無いとは思うガ…その時はその時ダ)」
念話の体感時間も現実では圧縮された時間である
これだけの会話にも関わらず現実時間は1分足らずなのだ
学園寮 B棟(男子棟?) 某部屋
部屋の中は所狭しと置かれた筋トレグッズとブレンドされたプロテインのボトルで埋め尽
くされている。
その真ん中には細いながらもガッチリとした肉体を持つ男があぐらをかいて座っていた。
ハンガーに掛けられた制服の右肩には生徒会腕章が巻かれている。
「ノックも無しに漢の部屋に入るとは礼儀が悪いな、シズク」
「…済まない、発見された」
「何だと?本当か」
「…ああ」
男は宙空に向けて会話しているが、相手がそこに居ることは超感覚で気付いている
(服の絹擦れ、微少な呼吸、心音、様々な音から位置を読んでいる)
会話の相手は女性の様であるが…
「フン、Sランクのお前の能力(インビジ)すら見破れるのはこの学園では俺だけだと思ってい
たが…」
「…どうするんだ、強也?」
「決まっているだろう。挨拶だ、ついでに手合わせも」
「…相手は女だぞ」
「ぬ、ぬぅ…ならば茶にでも…」
「…気持ち悪いな」
気配が帰り支度をしているのを感じて男は慌てて引き留めた。
「お、おい!その見破った奴のデータはどうした!?」
「…導 慶(たお けい)、中国からの留学生にして学業優秀。能力は…導術」
「導術…マンガで読んだこと有る。符術とかそういう類か?」
「…そんな所だ。…だがそれだけじゃ説明が」
「恐らく心を読んだな。微妙な音を聞き分けるのは俺でも苦労した、それを初対面で見破
るんだ
いくらお前が仕事に心を閉ざしていても完全に無心とは行くまい…」
「…成程」
「しかし、これでは監視は出来ないということになるな…しばらく泳がせておくとするか
」
「…懸命だな。私はこれで」
「うむ、報酬は口座に振り込んである。…済まなかったな、こんな事に付き合わせて」
「…構わない」
女の気配が完全に消えたのを感じると男はぽつりと呟いた。
「新聞部…導慶…この学園に居ると強者に退屈せん!」
76 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:29:08 ID:H7Ypvn9Y
「ど、ども。久しぶりです皆さん…」
『わーわー』『ちょ、ひさしぶりー』『わーわー』
しらせは淑女部隊の詰め所を再び訪れた。
前回の取材から二週間しか経っていないので久しぶりでも無いのだが。
「いらっしゃい、新聞部の君」
「隊長、しらせさんです」
相変わらずの二人が出迎えに訪れる。
淑女部隊隊長の朱鷺塚 楓子と副長の黒薔薇の君=涼村 冷耶である。
息のあった掛け合いに帰ってきた事をしみじみとしらせは実感した。
「いけないいけない…しらせさん、今回は何の用向きですの?アポは貰っていないのだけ
ど」
「あ、はい!実は…部長に『この前の一件で思い知ったなら修行してこい』って部を追い
出されちゃいまして…」
もちろんウ・ソ(原案 部長)
「へえ…一寸待ってなさい、抗議して来てあげますから」
「…待って下さい、隊長!確かに今のままのしらせさんでは能力者の取材を任せていられ
ません。
ここは私達が育成に一肌脱いでみては…」
黒薔薇の君がチラリと右目でウインクする。
恐らく既に何かを察している様でもある。
(ありがとう、冷耶さん)
「黒薔薇の君…貴女がそこまで言うのなら。良いでしょう、いらっしゃい新聞部の君。
これから一ヶ月間、みっちりと共に鍛錬しましょう」
生徒会会議は日程だけ全校生徒に明かされている。
開始場所、開始時間当の詳細は参加者に知らされない。
これをどうにかして漏洩しようものなら生徒会の手の物が拘束しにやってくるだろう。
今年の開催日は11/1、今が10/5日…うまくすれば行ける!
「あ、ありがとうございます!」
「その代わり、貴女は準風紀委員として朝晩の集会にはきちんと参加すること。いいわね
?」
「はい!それぐらいへっちゃらです」
「それじゃあどこの部活もまだ使ってないし…グラウンド三周!」
グラウンドには両手両足に2kの重りを付けたブルマ淑女達が集まり
列を崩さず整然と広く長いグラウンドを疾走していた。
「ぜぇ…ぜぇ…こんなの前は無かったですよね…冷耶さん…?」
「はぁ…ええ、客人にそこまでさせるほど隊長も鬼…じゃないよ?」
「…ぜぇ…あの…その…ゴスロリ、好きなんですか?」
黒薔薇の君=涼村 冷耶は常にゴスロリチックな衣装に身を包んでいる
現在も走るという目的を度外視して黒いレースのフリル付きに身を包んでいる。
ズレるスカートをたくし上げて走る様はさながら12時を迎えたシンデレラの様である。
もっともあちらは真っ白にガラスのヒール、こちらは真っ黒な上に皮のブーツなのだが。
「はぁ…はぁ…着てるとね、何だか落ち着くの。…はぁ…最初はお母さんが縫ってくれた
のを
…着てたんだけど…そのうちね、自分で縫うようになったの」
(見てるこっちは落ち着かないです。しかもどんな家庭なの…)
今回も突っ込みに回るしかないのか、しらせはそう思いつつ黒薔薇の君に併走した。
77 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:30:06 ID:H7Ypvn9Y
屋上からグラウンドを見下げる影二つ。
一つは生徒会随一の肉体武闘派、極ヶ原 強也(きわめがはら きょうや)
一つは流離いの運任せ風紀委員、鈴泉 忠道(すずいずみ ただみち)
見下げるものは同じだが思うことは違った。
「…おおう、帰って来てたのか鈴泉!」
「おかげさまでな。不幸続きでもう6は出ないと思った矢先に6が出て学園内に居たはずが
気が付いたらエジプトで遭難してた」
「そりゃ災難だ」
「…というか、年功序列というものをだな…もっと」
「我等生徒会は実力主義!…年齢なぞ意味を持たないのだ!!」
「まあ、子猫ちゃん達も気軽に呼んでくれるからそれは良いんだけど…」
「…何故此処に?」
「淑女な猫ちゃん達の観察。遥ちんに頼まれたんだなー、これが」
「一戸か…ふむ、失念していた」
「全く、お前らしいや。で、お前は?」
「観察という点では変わらん。ただ俺のは趣味だ。…あの中で一番強いのは誰だ?」
「お言葉だけど、お前にガチで勝てる奴なんか地球上にいねーよ」
「それは分からんだろ。あくまで仮定で構わん、挙げてみろ」
「じゃあ、俺なら絶対狙撃と黒薔薇の二強を挙げるね」
「銃弾は俺の体を貫けまい。その黒薔薇とやらは?」
「瞬間冷却…だったかな」
「話にならん。所詮は風紀委員の二軍だな…興が削がれた、帰る」
強也が十分離れて行ったのを確認して冷泉は子供の様に皮肉をたれた。
「にどとくんな!」
そしてまたグラウンドのブルマ達に目を落とした。
しかし直後、狙撃の君=エリィ・マドリーアの眼下からの威嚇射撃で
顎髭を僅かに剃られて撤退することになる。
「おおう、怖い怖い…」
78 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[何かズレたな] 投稿日:2009/11/07(土) 22:33:14 ID:H7Ypvn9Y
生徒会室(仮)――とは名ばかりの高等部の空き教室、
ここでは一戸 遥(いちのへ はるか)率いる政務派が
次の生徒会会議に向けて、生徒達が『目安箱』に投げ入れた意見達を
費用、時間等の様々な面で実現可能かを計算し、
黙々とゴミ箱に突っ込む作業をしている。
「…これも、これも。初等部の目安箱は撤去しようかしら…」
「そんなこと言わずに見て下さいよ、一戸さん」
そう言って遥に書類を一枚渡したのは同級生であり、同僚の六道 太平(りくどう たいへい)である。
「…学園の真ん中に全長21メートルの滑り台?面白いけど却下。」
「ですよねー…」
バン!
遥はやり場のないイライラを机にぶつける。
「大体、あの脳筋とその一味は生徒会選挙の準備だか知らないけどそういうものは仕事を終えてからにして欲しいわ。
『会長を目指す』のなら仕事の出来る人のが望ましいし」
「それもこれも状況がですね…」
「…全ての元凶は新聞部によるこの学園の暗部の露見、
恐れをなしたリフィターの間からは『強い指導者』が求められるようになってしまった。
これまでの実務派は今度の選挙では苦境に立たされるでしょうね」
「一戸さんは会長選挙に出ないの?」
「…今回は無理だ。リフィターである私なんて…」
遥はそれから俯いたまま何も言わない。
太平はやれやれと目を瞑り自らの力に火を灯す。
太平の能力は平たく言えば世界を見通す力。
過去・未来、平行世界、死後の世界や前世・来世、物語や他人の夢にまで及ぶ
――その力は何を見る?
「…そんなの、らしくないよ。下馬評だけで戦う前から逃げ出す英雄なんて居やしない。
文民統制(シビリアンコントロール)の考え方は間違っちゃいないと思う」
「そう…だな。それに、強也にこの学園を牛耳らせるわけには行くまい。
今日の作業終了後、選挙対策会議を開く。時間に余裕のある者はこの場に残るように伝えて。」
79 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:34:12 ID:H7Ypvn9Y
トントン トン トトン
空き教室に一定のリズムを持ったノックが響く。
遥はインターホン越しに生徒会用のノックを知る来客に応対する。
『合い言葉は』
「嗚呼、我等が学舎(まなびや)よ、天高く、高らかに、いつまでも」※校歌の一節。
『どうぞ』
ドアのロックが外され来客は上機嫌でドアノブをひねった。
「淑女な猫ちゃん達の観察、終わったよ~」
来客は風紀委員の鈴泉 忠道だった。
「ご苦労様です、鈴泉先輩。早速報告をお願いします」
「新聞部の迷い猫ちゃんが加わった以外は異常なし。
あと、強也も気を配ってはいたみたいだが、すぐに帰っていったぜ」
「そうですか…あの男も」
『ぶっちゃけ、あれから出馬する気になったの?遥ちん』
遥が当面の強敵に思索を巡らせている間に傍らの六道に忠道は耳打ちした。
『ええ、まだ不確定ですけど…おそらくは』
『…良かった、このままじゃ脳筋男の下、むさ苦しく
残り少ない学園生活を享受させられる所だった』
『はは…とは言え、一戸さんもまだかなり不安を抱いているようです、引き続き先輩も支援を…』
『わーってるよ、子猫ちゃん達の為なら何処までも働いてやるさ』
『でも、そういえば何故生徒会と繋がりを?』
忠道は珍しく少し考え込んで言葉を絞り出す。
『ぶっちゃけ、風紀委員も三つに分裂してる。
一つはタカ派、自警団の行動を是としてむしろ黙認してる奴ら。
二つは独立派、風紀委員を一大勢力としてその威を得ていたい奴ら。
三つはハト派、生徒会に忠誠を誓う古風な奴ら…俺もその一人な訳だが』
『独立派の人達はタカにもハトにも抵触していないんですか?』
『良い質問だ。独立派の連中はあくまで地位を維持したいから残ってる訳であって
大別すればタカ派とハト派のほぼ半々な訳』
『いずれは自警団と生徒会の二大勢力の闘争になる…と?』
『そういうこと。まあ、独立派とタカハト連合で1:1、内部崩壊も時間の問題だ』
『…僕たちにタカハト派の保証人になれと?』
『強制するつもりは無いさ。だが、勝った際には結構な戦力の増強になり得るし
悪い話でもないと思うが…?』
『じゃあ、まずは話し合っておきます。よくよく考えたら僕に決定権は無い訳ですし』
『ふはは…食えないなお前も。だが、お前は立派な遥ちんの側近だ。それは誇りに思って良い』
『…どうも』
80 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:35:17 ID:H7Ypvn9Y
再び新聞部部室。
慶はしらせの周囲に常に式紙を付けることで監視者を監視していた。
「風紀委員のサイコロさんと委員会のガチムチさんカ…排除するには厄介な相手だネ。
…ていうカ、何故にしらせは取材の度に強者を引きつけルのかネェ…」
「ほほう、強者か。お主がそう言ってくれるとは光栄の極みだ」
「何奴ッ?!」
見ればノブがへし折られたドアが情けなく倒れている。
そしていつの間にか部屋の中には屈強な肉体を持つ生徒会所属の男が一人―――
「俺の名は、もう知ってるよなあ」
男の右腕にはしらせに付けていて反応をロストした式紙二枚が握られていた。
「流石は新聞部だ。これで覗き見も自由自在と言ったところか」
慶は式紙への追求をスルーしつつ、ともかく冷静に応対する。
「生徒会がウチに何の用だネ?」
「知れたこと。例の一件で生徒会は『アクターを生徒会長に!』という意見で混乱が起きている」
「知らんナ。それは学園側が徹底的に秘匿していタ体制に問題が有ルと見るガ?」
「だが、火を付けたのはお前達新聞部だ。この行為は『生徒会公務執行妨害』に相当する」
「…生徒会長候補は責任転嫁の仕方も違うネ。で、私達にどうしろト?」
「即時、部は活動停止の上、解体。新聞部員は謹慎処分相当の罪になるだろう」
慶はデスクの下で折り紙を折る。
「おっと、手はデスクの上に出していて貰おうか」
出された手には折りかけの折り紙が握られている。
「…一つ、無罪放免にする条件がある」
「それは何だネ?」
「力で俺を撃ち倒して見せよ!!!さあどうだ、簡単だろ?」
「何ダ、それだけカ。…良いだろウ、その挑戦を受けてやル!」
81 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:39:07 ID:H7Ypvn9Y
夜、しらせが淑女部隊詰め所で『淑女のこころえ』を朗読している頃
グラウンドには二つの影が立っていた。
「…執行妨害云々は建前で戦いたかったのだろウ?この私ト」
「何だ、お見通しか。だが、もしお前が負けたら罪状は執行させて貰うぞ。本気で来い!」
「もう終わっテいル」
「!?」
強也の足下の地面には砂で書かれた呪縛式が展開されている。
並の能力者ならここで敗北を認めるだろう。
しかし
ドゴォ
「何だ、お前の終わりってのはこの程度か?」
いとも簡単に拳圧で砂の式を掻き消して見せる。
「指一本動かせないはずだガ…これガ身体強化系ノ極みか!」
「まだ本気の一割も出してないぜ」
いつの間にか強也は慶の後ろを取っていた。
「くッ…!?」
「1downだ!!」
ガスッ
重いアッパーが慶の背中を貫いた
――はずだったが
「変わり身だと…?」
強也が拳を放った瞬間、慶の身は砂人形に変わった
ならば本体は何処に?
「クソっ、出て来なければ不戦敗だ!出て来い!!」
「仕方なイなア」
「…上か!」
慶は自らの作った銀色の大折鶴に乗って空を舞っていた。
「まさカ、この子まで使うハメになるとはネ…」
大折り鶴は次第に強也に向けて猛スピードで滑空していく。
「力比べか。良いだろう、来い!!」
真っ正面から抱き寄せる形で大折鶴を受け止めようとするも、寸前で強也は回避した。
避ける刹那に投げ入れたポケットの中の『んまい王』は鋭利な刃物で切られた様に真っ二つだ。
「て、鉄製かよ!危ないだろ!」
「レディーのボディーに躊躇無く拳を入れル奴の方がよっぽど危ないネ」
「だから、本気で来いと言ったはずだ!」
「本気も何も…これが私の戦闘スタイルアルね」
「…そうか、なら『本気』を出して貰おうか」
強也は右手に闘気を込めるとそれを折鶴目掛けて振り下ろす。
すると、鉄の折鶴は粉々に爆散した。
慶は慣性に逆らえず落下して行く体に札を一枚貼り付ける。
すると体は重力の頸城から解き放たれ、さながらバズーとシータの出会いのシーンを彷彿させる構図となる。
バズーはシータの顔面を思いっきり殴りつけようとするも
それより先にシータに顔を殴りつけられた。
「…チィ、何だこの威力。久々に痛ぇぞ」
「やはり闘気使いには効果が薄いナ…この戦法も駄目カ」
慶が試した戦法は拳の触れた箇所に気の強波動を流し込むといったものだ。
現代医療にも使用され、気の過多による患者の爆発事件も頻発しているため技術の完成が待たれる。
~とある施術(せじゅつ)の治療記録(カルテット)80巻 民明書房刊~
「ようやく地ベタに下りてきたな…決着を付けようぜ、お前の後輩が来る前によ!」
慶は式紙でしらせの巡回の分担を知っている。
今夜は女子棟の巡回の為、出会うことはない。
…しかし、どちらにせよここで風紀委員に介入されたらマズいのはこちらだ。
ここは強也のペース(を馬鹿にしながら)に乗っておく。
「そうだナ…そういヤお前、13歳までお母さんとお風呂に入ってタって?」
「…なッ?!…そ、そんなことは無い!」
「ホウ、好きな子の名前ハ――」
「…止めろ!!分かったから止めろ!!」
互いに大声で叫び合う。
「負け、認めル?」
「…み、認めんぞ!」
「名前ハ――」
「止めろ、分かった!!負けで良いから!」
「分かれバよろシ」
慶はニコリと微笑むと過去を散々暴露されて打ちのめされた強也を置いて学生寮に帰っていった。
「やっぱリ人の心を読むのは楽しいネ…まズは一人。さて、サイコロさんはどうするかネ…」
82 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:39:56 ID:H7Ypvn9Y
さらに、こんな書き置きを置いて行っている
()は闘気のあぶり出し。
- dear生徒会(糞忌々しい生徒会へ)
- 今後は新聞部へノ追求を控えるこト(お門違いだボケェ)
- 罪状を取り下げるこト(全校生徒にお前の性癖をバラすぞ)
- 以上が成されなイ場合は総力を挙げテあなた方を弾劾シます。
(お前の好きな子【○○ ●●】)※ちゃんと正解している
この手紙を読んだ強也はこれ以降二度と新聞部に挑むことはなかった。
(しかし、ガチだったら術を全部使ってもヤられてたかもしれないネ…やっぱりあの男は危険だネ)
砂人形に変わり身を使った際、あまりに早い強也の拳は僅かに慶の背中を撃っていた。
気で防御したため威力は抑えられているが、それでもこぶし大の教訓をしばらく残す結果となった。
学園寮 B棟(男子棟?) 某部屋
強也は床に並べられたプロテインボトルを蹴り飛ばし空いた場所にどっかと座った。
「…なんたるザマだ」
「見てたぜ」
忠道はドア越しに声をかけた
「お前、本当は…」
「…何も言うな。俺の独断行動で処理出来ていれば一戸も俺を切るだけで済んだ…はずだったが」
「遥ちんには上手く言っておくよ」
「…恐らく次のターゲットはお前だ。スパイを監視していた人間を片っ端から黙らせるのが目的か」
「だろうね…たく、明日にでも話を付けに行くか…」
83 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/07(土) 22:40:57 ID:H7Ypvn9Y
翌日、忠道は新聞部の戸を叩いた。
扉は鍵もかかっておらず開け放しである。
部屋の長は教室の奥でデスクチェアに座ったまま眠りこけていた。
彼女の手元には書きかけのメモらしき物が無造作に置かれている
「なんだ…これ?」
メモを拾い上げると『起こすナ超危険』とだけ書かれていて後は何も書かれていない。
「…升目ぇ、モーニングコーシーを入れに…ム、君はサイコロさんカ!?」
慶は慌てて飛び起き、涎を白いハンカチーフで拭った
「何だよそのあだ名…ああ、落ち着いて。俺は話しに来ただけだ」
「…そうカ、来ると思っていたヨ」
慶はデスクの下からコーヒーメーカを取り出し、カップを二つ用意した。
「飲むかイ?」
「頂こうか。…で、何のつもりなんだい?説明も頂こうか」
「ゴメンネー、説明はもう売り切れだヨ」
「真面目に聞け。これは君を思ってだな」
「言うこと聞かなイと生徒会が部隊を派遣しテ私を拘束すルとかかイ?」
「っ?!」
早速話の中身を当てられた。
強也の話によると読心術の使い手らしいので
心を閉じる練習はしたのだが…どうにも一晩の付け焼き刃じゃ不足だったらしい。
「無駄無駄ァ、今ので完全に心が揺れちゃったネ」
「チキショー…これまでか」
「まあ、私のやりたいことも君のやりたいこととと目的は一緒だヨ」
「…何だと?」
「君は風紀委員のハト派を生徒会に、私はしらせの報告を待って『生徒会こそが正義』と新聞に書き、自警団の穏健派と風紀委員の独立派を扇動すル」
「あの記事を載せたのも…」
ここでコーヒーメーカが蒸気を上げてコーヒーが入ったことを知らせる。
慶は席を立って二つ分のカップにコーヒーを注いだ。
慶も忠道も一旦話を止めて静かにブレンド豆を堪能する。
忠道が予想外のコーヒーの旨さにポケーとしていると
慶は両手の平に顎を乗せてニコニコとそれを眺めている。
この時、彼女は自分のブレンドを分かってくれた客に少しばかり心を開きつつあった。
「…全ては扇動される客を稼ぐためとこの流れを加速させるためダ。
次第にこの学園は生徒会が絶対的力を持つものとなル」
「もし、生徒会が悪政を働いたら?」
「ふふん、それは君の疑問だロ?私に取っては些末な問題に過ぎなイ。
その時は生徒達の意志を持って新聞部が生徒会を攻撃するのサ。
自警団などと規模だけで組織体型が脆弱な勢力に改革を任せてはいられなイ」
「そこは同感だ。…なら、俺がスパイをやる必要もないわな」
「ム、升目を見張るのを止めるというのカ?」
「ああ。少なくとも目的は一緒なんだしな」
「分かってくれてありがとネ。だけど…生徒会には内緒にしててくれないカ?」
「OK、約束する。んじゃあ、授業も始まるし…これで」
時計は既に朝のホームルームギリギリの時間を指していた。
「アア、もうこんな時間カ?!…また飲みに来いヨ、ご馳走すル」
「…また来るぜ」
最初に忠道を揺さぶった発言は式紙で知り得たことであって読心で得た情報ではない。
初めはこうして式紙で得た情報で揺さぶって突き崩すのが慶の常套戦術だったのだが…
「口で言う割にハ揺さぶられた後も殆ど読めなかっタ…。サイコロさんもなかなかネ…」
色々考えることは有るものの『カロリーの友 めんたい味』を口にくわえつつ、
慶は自分のクラスへと走った。
放課後、忠道は再び一戸 遥の事務所(空き教室)を訪れた。
いつもの様に案件を整理するキーボードとパソコンの音が密室を更に詰める。
しかし、室長である遥は何故か室内に居ない。
仕方なく忠道は作業に打ち込む六道 太平に話しかけた。
「どう?作業の方は」
「絶好調です。強也くんとその一派も頭下げて戻って来たからもうビックリで」
後ろの方の席に目をやると肉付きのいい体の男が
自分の体の大きさのせいで小さく見えるPCに立ち向かっている様子が見て取れた。
「状況も大分変わったなあ…これで遥ちんも大人しくなるね」
「まだ一戸さんにこのことは伝わっていないんですが…とりあえずは一安心です」
「ま、来たら『とりあえずは異常なし』って伝えといてよ」
「了解です」
様々な波乱を含みつつ生徒会は忠道の口添えもあり、以後暫くは沈黙。
(慶との密約は誤魔化しつつ)
そして物語の舞台は『生徒会会議』に移る――
前編 完
長文スマソ
後編はもうちょっと短めになりやす。
次回をお楽しみに!
85 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:30:20 ID:H7Ypvn9Y
後編でやんす。ここでは後書きも兼ねて。
何だか本スレも設定準拠なメインとなるSSが書かれない限り
動き様もない感じになって
「ここまで来たか」と思うやら「もう潮時かな」と思うやら。
改めてこのスレのSSのLVの高さを再確認。
わしゃはここに居て良いんかのう…とか思いつつ日々精進でやんす。
あと前回の反省を踏まえて名無しは居ません。
今回は能力バトルメインじゃないので
借りたキャラ達もまた名前だけになっちゃったなと、そこちょっと反省。
そいでは、また不定期の号外までおさらばでございます。
86 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:31:13 ID:H7Ypvn9Y
翌翌日、忠道は改めて一戸遥の事務所を訪れ
生徒会一派の会議(あくまで生徒会のみ)に参加した。
この会議での議題は新聞部を今後どう扱うかが主題となり、
本来話されるはずだった『委員会会議に持ち込む議題』は後回しとなった。
この会議の議長には場の全員の総意で一戸遥が選ばれ、
副議長には高等部二年の透楼座が選出された。
書記には中等部三年、時雨静が選ばれるという『能力至上主義』たる生徒会の人事を見せた。
一通りの通過儀礼の後、いよいよ生徒会(中央)は議題についての論議に入る。
その前に遥は忠道にこれまでの淑女部隊、ならびに新聞部の監視記録を述べて貰った。
ただ、慶との密約により今後付け狙う真似はしないと言った手前、忠道は律儀にそれを守り
ここ数週間は両勢力からほぼ目を離している。
その為、発言内容は「動きなし」「異常なし」と要領を得ない物に終わった。
遥はその内容に関して疑問を抱いたものの、今まで働いて貰った手前それ以上追求することはなかった。
続いて新聞部の処遇について議論は続くのだが、
始めに、今回新聞部と直接交戦した重要参考人として強也が召還された。
「…鈴泉、お前上手く言ってくれたんじゃなかったのか」
「すまん、バレてた。アレじゃあ誤魔化しようが無い」
「…チッ」
思い起こせば当時導慶との交戦の際、強也は何回もその強靱な拳を振るった。
当然、その反動と衝撃は凄まじく、翌日のグラウンドは穴だらけになっていた。
その後、遥は独自の情報網と聞き込みによりその『犯人』を割り出したのだ――
「本来なら、これは生徒会にあるまじき越権行為であり、貴男が行った行為は恐喝、さらに暴行罪に当たります
何か弁明の言葉はありますか?」
議長は粛々と原稿を読み上げる。
「無い。全ては俺の独断だ、処分するなら好きにしろ」
「…大方、生徒会の為などと言ったのか?そう言う行動が『生徒会が高圧的』だのと批判を招く」
「しかし、新聞部は危険だ。このままじゃ…」
新聞という自由な立場のメディアの登場で生徒会の威厳は揺らいでしまう!
…と言おうとするのだが口は半開きのまま言葉を紡ごうとしない。
『クははハ…』
強也の精神的虚無の空間に見覚えの有る人影が浮かぶ…
(お前は…導慶!)
『覚えてくれてテ嬉しいヨ』
(俺にこれ以上何の用だ)
『私の邪魔をするナ』
(フン、何かと思えば。俺はお前をこの場で告発する)
『…あの手紙にハ暗示をかケて有るネ』
(チッ…さっきから口が動こうとしないのはそれか)
『私に都合の悪いことは言えない、書けない、伝えられない。
もし無理にでも伝えようとしたラお前の秘密を自分でバラす事になル』
(…無理にでも伝えられるんだな)
『…!?お前何ヲ!』
(あばよ、青春…)
87 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:31:46 ID:H7Ypvn9Y
「このままでは…何?」
「し、新聞部が…俺の好きな子は○○ちゃん!」
「…は?」
――場は凍り付いた。
その場に○○ちゃんが居合わせなかったことが不幸中の幸いだろうか。
「生徒会の威厳を揺るがそうと…実は13歳までお袋と風呂入ってた」
「…先輩。彼、戦闘の際に厄介な所ぶつけたりしてませんか」
傍らの忠道も答えられない。こちらは暗示ではなく、あくまで信頼からの行動である。
「何とか言って下さい先輩。それに先程から先輩の言動も怪しさを感じます」
(参ったな…)
遥の追求に戸惑いながらも口は閉ざしたままだ。
「聞いてくれ、新聞部は、威厳を、○○ちゃん、好き、損なわせる、排除、好き、お前嫌い、好き、グハァッ!…」
必死に自分に掛けられた暗示に立ち向かったものの、精神は過付加(オーバーロード)を起こし
相当量のストレスが肉体ダメージとして転換されてしまった。
強也は白目を剥いて気を失ってなお真実を伝えようとしている。
「…もう、良い。誰か強也を保健室に運んでやれ」
生徒会スタッフが指示に従い、二人がかりで強也の巨体を持ち上げ保健室へと運んでいった
「…ゴホン、だが全く無駄な時間だった訳でもない。
強也は『新聞部によって生徒会の威厳が失われる』と言っていた。
それは恐らく外界のマスコミの様な物のことを指しているように聞こえる。
政権が間違いを犯せばその度批判し民意を悪く煽る
政権が成功を収めればそれを褒め称え民意を良く煽る
…当然、生徒会も間違いを犯すはずなど無い訳だが
それでも細かい粗を探して指摘されれば火種は瞬く間に学園全体に燃え広がる…!」
遥は見抜いていた。
そもそも新聞部が今になってその様な行動に至るまいと思っていたせいで後手に回っていたのだ。
しかし、生徒会もそれを意識して対策に当たらねばならない――
「ここで、強也のように武力で隠密に潰しにかかるのは難しい。
強也ほどの戦闘能力者を退けたのもあるが、これ以上の行動は紙面化されて更なる闘争の火種になる。
さて、どうするか…」
ここで沈黙していた議員達が唸りを上げる。
とは言え、大半の意見は『生徒会の支配による紙面の規制』となっており
やはり隙を付かれたら火種になりかねない。
「まず、その新聞部部長と会談をしてみるのはどうですか?」
副議長である楼座が控えめの声を上げた。
議会は一瞬静まり、一転、『話はそれからだ』という空気となる。
遥も静かに頷き、すぐさま議会を閉会。
帰る足で新聞部への直談判に移った。
88 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:32:29 ID:H7Ypvn9Y
舞台は変わって新聞部部室。
インクとコーヒーの香りが混在する部屋に部長たる導慶は
何かを待ちわびるかのようにデスクの回転椅子を何度も回していた。
「…ようやくハルハルも重い腰を上げたネ、後は…」
「いよう、コーヒーチャイナ」
忠道は抜け道を使って遥より先に部室を訪れた。
「おおゥ、サイコロさン!…でも、すまないネ。今かラ客人が来るからコーヒーはまた今度ネ」
「それはもしかして…遥ちんのこと?」
「当タり、ここまでは筋書き通りネ。…後は、正式に委員会会議への取材を取り付けるだけネ」
「そんなに上手く行くのか?」
「…ハルハルはやり手ネ、正直ここマですぐに辿り着クとは思っても居なかったネ
でも、ここで断ればハルハルは生徒達の不満の火消しに走り回ることになるネ
生徒会会議レポは既に発表した事項ネ。これが成らなかったら生徒会が
いかがわシイ話題を話し合っテるから見せられないという印象を植え付けルことになるネ」
「全ては君の手の平の上か」
「だけど、このカルマを乗り越えルことで生徒会は開かれたモノに変わっテ行く。
それは生徒の総意を根幹とした生徒会の勢力を更に強めることになるネ
ハルハルならそれが分かるはずネ」
「だいたい分かった。…それでもう一つ
「手短にお願いするネ」
「しらせちゃんは何で淑女部隊に預けてるんだい?この計画通りなら…」
「そう、升目は動く必要なんて無い。第一、準部隊員が生徒会会議に出席できる訳無いネ
…今回は荒事的に少々危ないカナと思ってたから保険の為ネ」
「ホント、チャイナには頭が下がるよ…」
「国に下げるナ、私に下げル!」
「はいはい…お、遥ちんが来たみたいだ」
「おイ」
慶がデスク脇の段ボールをどかすと
そこには人一人すっぽり入りそうな抜け穴が掘られていた。
「関係を持っていタと思われると厄介ダ。そこかラ帰るとイイ」
「これ、どこに繋がってるの?」
抜け穴から顔を出して忠道は尋ねる。
「…念じれば何処にでも繋がル、学園の能力結界の歪みが有るんダ」
「へえ…んじゃ、今度はご馳走してくれよ」
「分かっていル。達者でナ」
89 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:33:10 ID:H7Ypvn9Y
ガチャ
今度は遥が新聞部の戸を開いた。
開けた途端、インクとコーヒーの臭いにむせかえりそうになる。
「くっ…臭いによる導術か…その程度では」
「ただの生活臭ネ。ま、掛けて下さいナ」
先程まで回して遊んでいた回転椅子を嫌々差し出す。
臭うと言われてムッと来たのか部屋の窓を全開にして会談に臨んだ。
「短刀直入に言います、あなた方はどうしたいのですか?」
「あなた達こそどういうつもりだネ?見ろ、一方的暴力を受けたんだゾ」
そう言って右脇腹と背中の間に刻まれた痣を見せる。
遥は同性の裸なのだがいきなりのことに少し動揺した。
「…そ、その点については該当する委員を厳重に処罰しました。本当に申し訳有りません」
「…まァ、良いネ。私は委員会の躍進を願っているヨ」
「あんな火種をまき散らしてですか?」
「委員会を槍玉に挙げるのはそれからの対応次第だ。強い奴をトップに据えたところで
『悪』を討伐し切れなければ意味は無いしネ」
「…なら、あなた方自身は敵対する意志は無いのですか?」
「敵対じゃないなァ、中立ダ」
「あくまでマスコミの皮を被った政権批判ですか」
「批判されるようなことをする奴が悪い。それに批判だけじゃ中立とは言えないネ」
「あくまで時折賛同するような記事を書いていかにも『傍観者』を気取るつもりで?」
「偉そうにするつもりは…さほど無いネ。でも、気づいてるはずだヨ?
今や我が新聞部の影響力はもの凄いことになっていル」
「我らは独自路線で厳格にその血統を守ってきた。
ここで生徒の意見などと惰弱なモノに左右される軟弱な生徒会になど価値はない」
(あいやー…ハルハルも意外と頑なだねェ…ここは揺さぶって見るかナ)
「しかし、今回もそんな惰弱な意見達に振り回されたのでハ?」
「結局、周り回って我々に返ってくることならやるしかない。
…厳格な正義を見せなければこの気運は晴れない」
「どうして孤立しようとするんダ?何故、背負い込モうとするんだ?
結局それが余計な手間を増やしてるんじゃないのカ?」
「黙りなさい。生徒会は生徒のための一大機関である前に学園の代表機関であり、
他と互していては代表機関としての示しが付かなくなる」
「結局、生徒は置いてけぼりに成るんだナ」
「違う。ただ、生徒の…」
「それを詭弁って言うんだよ。大事なモノはどっちだ!学園か、生徒達か?」
「…生徒達だ。入れ物である学園にそこまでの恩義はない」
「なら、すべき事だって見えるんじゃないのカ…?」
いつの間にか遥の目尻には大粒の水滴が乗っかっていた。
そして、前回の生徒会長選挙のことを思い出して――
「…最初は、生徒のためだ何だと言ってあの壇上に上がったものだ」
「その時の会長選挙には落ちてたけど…凄く真っ直ぐな演説だったナ」
「それを…いつの間にか学園のためだとすり替えてしまっていた」
「まだ、変われるヨ」
「まだ…変わる?」
「一戸さンは凄く頭良いネ、とくに生徒会臨時副委員に就任してかラ
学園も随分と明るくなったし…この体質をブッ壊して行けるネ」
「出来るかな」
「出来るサ」
90 名前:新聞部 ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2009/11/11(水) 18:33:42 ID:H7Ypvn9Y
――会談後、二人は握手を交わした。
そして、遥公認で委員会会議の取材許可が下りることとなった。
慶はすぐさましらせを呼び戻し、取材の準備と打ち合わせに明け暮れる。
4週間後、無事取材終了。
情報が開かれたこの会議は議決に至るまで多くの生徒達の賛同を受け、
生徒会新体制の大きな一歩となった。
この事変以降、学園内メディアの規制は急速に緩くなっていく。
――ただ。
再び新聞部室。
相変わらず慶と忠道が空いたデスクチェアに座ってダベっている。
慶は相変わらず回転椅子をディスコのDJよろしくスクラッチ。
「ねえ、サイコロさン…いつになったら風紀委員分裂するのかネぇ」
「いやあ…生徒会がちょっとまともになっちまったからタカ派や独立派だった奴もポロポロハト派に戻ってきてな…
「一生懸命寝ながら考えタあの計画ハ…」
「まあ、人生そう上手くイカンよと言うことだ」
ガチャ
「あ、あの時の先輩。あの節は本当にみんなを助けていただいて…」
授業を終えて来たばかりのしらせが入ってくる。
「良いよ良いよ、子猫ちゃん。その代わり…」
「どうシた?ウチの可愛い部下に色目使うカ?死ぬカ?」
「しーましェーン!」
――僕のハッテン場初体験はくそみそな結果に終わったのでした。
「勝手に人の未来(?)…を捏造すんな!」
「やーい、未来って認めテやんノ」
「先輩…なんか近寄らないで欲しいです」
「うがあああああああっ OTL」
終
最終更新:2010年01月22日 19:10