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◆ll4lON6OZk 4

219 名前: ◆ll4lON6OZk[] 投稿日:2010/01/30(土) 14:11:57 ID:5HMC0YW.
 その日の放課後も皆本 茉莉(みなもと まつり)は高等部の男子トイレに押し込まれた。
 彼女が同級生たちに輪姦されたのは、約半年前のことだ。一度脅迫の材料を握られてからは、
ずるずると身体を弄ばれる日が続いている。
「はぁ、あ、う」
 下半身の前後の穴を肉棒で掻き回されているうちに、卑猥な声が洩れてしまう。それを聞いた男
子たちは、さらに勢いづいて茉莉の身体を揺すり続ける。
「おい、早くフィニッシュフィニッシュ」
 順番待ちをしていた別の男子が手を伸ばし、茉莉の陰核を抓りあげた。
「ひぐ!」
 茉莉の痙攣がそのまま二本の肉棒の絶頂を促し、体内に精液がぶつかる。もう慣れた感覚が到来
した。
「こいつ本当にクリ弱いよな」
「分かりやすくていいんじゃない」
 白い糸を引きながら、濡れた肉棒が茉莉の身体から離れていく。陰核を抓りあげてきた男がすぐ
さま茉莉の膣内に一物を滑り込ませてくる。
あと四人。
 冷静に、そんなことを考えている。抵抗することも慈悲を請うことも忘れてしまった。
いや、三人か。
 出入り口のそばに立ち、見張り役をこなしているリーダー。男たちを扇動し指揮している彼だけ
は、茉莉の身体に興味を示したことが一度もないのだ。
 平然と学生生活を送っているふりをしながら、茉莉はその同級生、狩野章文(カノウアキフミ)
に、一度だけ尋ねたことがある。
「あなたは、私を……その……」
 最後まで待たず、彼は答えた。
「その気になれないな。お前は汚すぎる」

220 名前: ◆ll4lON6OZk[] 投稿日:2010/01/30(土) 14:13:03 ID:5HMC0YW.
 不思議なのは、その言葉を聞いてなお、自分が生きていることだった。彼の能力、誹謗中傷者(ク
リミナトレス)は、精神のダメージを肉体に変換するという性質を持っている。
 能力が発動したならば、私は間違いなく死んでいたはずなのに。
 再び胎内に粘液が放出される感触に耐えながら、洗面台に腰を預けて腕を組む、容姿端麗な優等
生を見つめ続けていた。

 半年と少し前。
「狩野章文君」
 授業を終え寮に帰ろうと校舎を出た矢先に、何者かの声に呼び止められた。
 フリルとリボンがごてごてと付いている、ピンク色のワンピースに身を包んだ女である。少なく
見積もっても二十代には差しかかっていそうなのに、年甲斐もないと、狩野は即座に思った。長い
黒髪を一本に束ねて、胸に垂らしている。
「どちらさまで」
「こういう者です」
 これまたどぎついピンク色のエナメルバッグから、女が名刺を取り出す。研究機関の所属らしい。
「御同行願えますか」
 言い終わる前に、女――鷹岡 朱嶺(たかおか あかね)だったか――は狩野の腕を引き、正門脇
に止められていた白の乗用車に押し込めた。腕力で負けるとは思わなかったが、あまり良い噂を聞
かない集団の構成員に即逆らうのも、それなりのリスクがあると判断して、狩野は大人しく従った。
 二人揃って後部座席に乗り込みドアを閉めると、女は運転席の白髪交じりの後頭部に指示を出す。
「金城さん、出してください」
「あ、ああ、はい。分かりました」
 明らかに年長者と思われる運転手は、おどおどと返事をしながら車を発進させた。普段徒歩で行くコースが、車窓を流れていく。
「どこへ向かうのですか」
 穏やかな声で狩野は隣の座席の女に尋ねた。こちらが指揮を執っているように見えたためだ。
「あなたの寮よ」
「何をしに?」
「学生を自宅まで送るためよ」
 冗談だろう。校舎から離れるということは、その隣にある寮からも、遠ざかっているということ
だ。
「と、それは冗談だけど」
 女が窓の外を見つめながら、面白くもなさそうに笑う。
「皆本 茉莉という女子を知っている?」
「ええ、同ランクの同学年ですから」
 その気になれば人を殺せる能力を持っている自分が高々D止まりなのは、納得のいかない話だと
常々思ってはいるが。

221 名前: ◆ll4lON6OZk[] 投稿日:2010/01/30(土) 14:13:51 ID:5HMC0YW.
「彼女を精神的に追い詰めて欲しい」 
「理由は」
 間髪入れずに尋ねる。
「研究員が職権を使ってあなたを拘束しているという事実から、察してもらえないかしら」
「仕事の一環ですか」
「肉体的に損傷を与えることは許可しない。性的暴行を加えることに関しては許可が出ている。彼
女は処女だけど、膣裂傷に限っては例外とする。妊娠の兆候があった場合、即この番号に電話を掛
けて連絡すること」
 一枚のメモ用紙を突きだされたところで、狩野は苦笑した。
「ストレートに彼女をレイプしろと言ってきたらどうですか」
「できれば多数での暴行が望ましい。素行が良く、頭の回転も速く、クラス内での地位もあるあな
たに是非とも音頭を取ってもらいたい」
「理由はそれだけですか」
 気付けば市街地を抜け、車は薄暗い山道に入って行こうとしている。
「あなたが適任だと判断した一番の決め手は、人の心を抉る言葉を探るのが上手だから」
「……依頼を断った場合は」
「計画を知られた以上、この山のどこかに埋まってもらうことになりますね」
 ミラー越しに、運転手が狩野を見ていた運転手の声だ。気が進まないという表情だが、面倒くさ
そうに彼が穴を掘る姿は容易に想像できる。躊躇なく彼は自分を殺そうとするだろう。
「その場合、火葬もサービスでやってあげるわよ」
 隣で微笑むゴスロリファッション女の唇の端に、微かな炎の揺らめきが見えた。

 夕刻近くに寮の部屋に返されてからは、狩野は食事もせずにベッドの上で状況の打開案を模索し
続けていた。
 拒否権はない。そして恐らく、要求に応えるのはさして困難でもないと思う。しかし依頼を完遂
すれば、それからは口封じの可能性がどこまでも付きまとってくる。
 大人に助けを求めるか。それも危ない賭けではある。能力研究関連の事業がこのコミュニティー
にもたらしている恩恵は巨大だ。どこの誰が研究所の機嫌取りのために動くか予測できない。
 なら教師は。それも恐ろしい。何も考えずに彼らが話を大きくすれば、確実に向こうの耳に入る。そうなれば密告者の疑いをかけられた自分が『変死』あるいは『失踪』させられるのがオチだ。
今死ぬか、後で死ぬか。逃げ道は既にない。
 結局狩野にできるのは、タイムリミットを遠ざけるための時間稼ぎだけだった。

222 名前: ◆ll4lON6OZk[] 投稿日:2010/01/30(土) 14:14:47 ID:5HMC0YW.
 屋外プレイがどうこうと、集めた人出がはしゃぎだしたので、その日の放課後は山林に移動して
いた。当然、皆本 茉莉も同行している。
 奇しくも、半年前に研究所の人間に連れてこられた山である。今にも雨が降りそうな天気だ。
 永久に妊娠しなければいい。数十メートル先の山道に注意を向けながら、見張り役に徹していた
狩野は切実にそう願っていた。恐らく彼女の妊娠が、一つのステップの終了なのだろう。そこから
先は、切り捨てられる可能性が跳ね上がる。
「おい!」
 男子の一人が大声を上げた。
「コイツ腹すげえ膨らんでるぞ!」
 来た。
 すぐさま振り向き、無数の手に服を剥かれようとしている皆本を凝視する。確かに腹部が盛り上
がっていた。
 どうする?
 冷静に予測と方針を立てていたつもりなのに、いざその状況が訪れると途端に思考力が鈍ってく
る。連絡すれば奴らが来る。しかし知らぬふりがいつまでもできるわけがない。
 連絡か、無視か。
 誰かが面白がって皆本の腹部を蹴りつけていた。皆本がぐずっている。彼女の性格から考えて、
妊娠の事実は誰にも伝えられなかったのだろう。
 ――もういい。
 唐突に、半年間溜め込んでいた疲れが噴出した。
 携帯電話を取り出し、肌身離さず持っていた番号にコールする。
『彼女に変化はあった?』
 電話に出た鷹岡 朱嶺は、出し抜けに尋ねてきた。こちらの番号など筒抜けなのだろう。
「ああ、間違いない。妊娠している」
『そう、お疲れ様。すぐに迎えに行くから、あなたたちは全員そこで待機していて』
 場所も聞かずに通話が切られる。発信機の類でもつけられているのだろうか。携帯が特に怪しい。
 男たちが盛り上がっているのを尻目に狩野は全裸になり、全ての物をその場に放棄した。そして
近くに脱ぎ捨ててあったサイズの近い学生服と靴に替える。
「おい、何やってんだよ狩野」
 皆本を抱きかかえ、全裸で下から突き上げている男に疑問を投げかけられた。持ち主か。
「悪い、ちょっとな。先に帰るから、お前らで自由にやっててくれ」
 空から大粒の雨が降り始めるのと、狩野が山を下るために全力で駆け出すのは同時だった。

223 名前: ◆ll4lON6OZk[] 投稿日:2010/01/30(土) 14:20:17 ID:5HMC0YW.
「狩野がいませんね。発信器を縫い付けてた制服も捨てて行ってる」
「まあ人並みの想像力があれば、この展開は予想できたでしょう」
「彼の処理は後々考えるとして……何が生まれると思います?」
 黒いパラソルを手にした鷹岡朱嶺に話を振られ、金城久郎(かねしろ くろう)は溜息をついた。
「興味ありませんよ。普通の子供が生まれる公算が一番大きいとは思いますけど」
「今日は機嫌が悪いんですね」
 当り前だと胸中で毒づく。失神した皆本 茉莉を車に乗せた後は、学生たちの燃えかすを処理しな
ければならない。汚れ役は全て自分なのだ。周囲を自らの能力、ジャミングダスト(阻害素子)で覆
っているので目撃者が出る恐れはゼロだが、疲れ仕事であることに変わりはない。
「皮肉な話ですよね。生物以外なら何でも産み落とせる能力を持った彼女に、研究所が一番産んで
もらいたかったのは、他ならぬ生物だったなんて」
 用意していたゴミ袋に目ぼしい遺留品となりそうな物を放りながら、金城も返す。黄金の卵(ガ
ンソ)と呼ばれる能力をその身に宿した全裸の少女は、目の前の虐殺を目撃して失禁したようだ。
「悪意が大好きな三滝さんからすれば、理想的な研究対象なんでしょうね。ここまで壊されきった
心が制約を無視して産み出すとしたら、間違いなく強力な生物兵器でしょうから」
 その金城の予想は当たる。
 翌日研究所内にて皆本 茉莉が一つの卵を産み落とす。黄金の卵は発動した。
 殻を破って出てきたのは、二人の赤子だった。

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最終更新:2010年01月30日 16:12
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