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したらばSS作品 ◆Yx1H.SDyn6 5

247 名前: ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2010/02/04(木) 00:39:21 ID:mqoorPSY
ある日の夕方。
明日の分の新聞を大方書き終え、屋上で夕涼みをしていた導慶の下に
島内100周を終えて『全力疾走で学園の階段を駆け登る』を消化した極ヶ原強也が現れた。
「ムン!この絶景は今日も俺の私物…ぬ、先客が居たか」
「暑苦しいネ、CO2だかNH3だか訳の分からない汗臭で屋上を汚染しないで欲しいヨ…」
少しムッと来た極ヶ原だったが、黙って常備していた制汗スプレー丸々一缶を全身に振りかける。

「導よ、少し愚痴につき合ってくれ」
「この私に言うなんてよっぽどだナ、良いだろヨ」
「最近『生徒会長で且つSランクのアクター』という肩書きの割に
戦(いくさ)での負けが込んでいる気がするのだ。
貴様に謀られたのも、Eランクのはずの謎の男装の麗人に手加減していたとは言え
我が拳のほぼ全てを受け流されたのも――一体、俺に何が足りんというのだ」
「…必殺技」
導は冗談半分のつもりだったが
「矢張り」
極ヶ原にとってそれはどうも思い詰めていた案件らしかった。

「そうだ、確かに俺には明確な必殺技というものがなかった。うむむ…」
「おーイ――」
「よし、まずは己が身を鍛え直すぞ!両手の小指だけで逆立ちして島内100周に…」
「少し待テくれ。この一部始終を記事に書かせてくれるなら私がアドバイスすルよ」
「…何かと思えば。必殺技とは他人から教わる物では――」
「最終的に他人からヒントを得て完成する物――ダろう?」
「OK、老師。早速このおr…ワタクシメニワザヲオシエテハクレマイカ」
「そう堅くならなくとも。ま、そうと決まればうちの可愛い助手を呼んでくるヨ」

「うわぁ、二回目だけど生で見るとやっぱり大きい」
助手の升目しらせは眼前の巨漢を前に目を見開きして唖然としていた
「…大丈夫か、この子は」
「大丈夫大丈夫、うちの念写撮影班ダ。…虐めてくれるなよ?」
「誰が虐めるか。…それで、まずは何をするんだ?」

「まずは合体技からダ。ゴレン○ャーのゴレン○ャーボールしかり、
仮面ラ○ダーのダブルキックしかり」
「待て、それらは一人じゃ出来ないだろ」
「最近の仮面ラ○ダーは一人でダブルキック出来るらしいかラ、
仮面ラ○ダー並のお前なら行けるだロ」
「無茶言うな!…しかし、確かにそうかもしれんな。少しやってみるか」
そう言って極ヶ原は森林エリアへと走り去っていった。

彼が思考したことは至極単純なことだ。
1、身体能力の限りを尽くし、超高速で分身を作りつつ敵を取り囲む
2、分身の動きを少しズラしつつ跳躍
3、宙空から回転しつつ一斉に蹴りを入れていく

しかし、考えては見たものの
  • 『走る事』に特化した身体でもないから分身にムラがある、数を作れない。
  • 分身=残像の蹴り自体は見た目だけで威力が無い。
  • 本体が降ってくるまで敵はジッとしているだろうか。
(悪の怪人はジッとしてくれるだろうがこの学園の蛮勇達はそうもいくまい)
実際、森林の大木相手にこの技を二度試し双方とも成功(粉砕)したが
これだけでは足りない。

248 名前: ◆Yx1H.SDyn6[] 投稿日:2010/02/04(木) 00:40:02 ID:mqoorPSY
新聞部コンビは森林エリアから少し離れた校舎のベランダから
符術越しに彼の修行を眺めていた。
「編集長、飛び上がって蹴るより普通に蹴りに行った方が…」
「ロマンをバカにするナ。それでは必殺技ではナイし…なにより面白くない」
「編集長だって楽しんでるんじゃ」
「言うナ。…ただ遊んでるだけじゃなイ。
生徒会戦力の上位としてガチムチさんには君臨していて貰わないと
一戸副会長率いる政務派の学園改革も揺らいでしまう。
戦力と政務、どちらもバランス良く機能しているからこそ
生徒会が勢力としてまかり通ってるんダ」
「…でも、会長で遊んでることは認めちゃうんですね」
「テヘッ☆」

20本目の大木を粉砕し、すっかり疲れ切った極ヶ原はあることに気が付いた。
「高速で直接蹴りに行った方が早いな…」
「――やっと気付いたカ、これは自分で無駄を発見するコトで…」
いつの間にか校舎に居た導が森林に、しかも極ヶ原の背後に姿を現していた。
「能書きはどうでも良い、さっさと核心を言え」
「コレが核心だヨ。会長の技の一撃一撃は既に他の生徒の必殺技クラスと言っても良い。
――しかし、無駄も多イんじゃないですカ?」
「無駄、とは?」
「慢心だヨ。ほんの最近まで自分を揺るがす相手が居なかった分の油断が
拳を鈍らせているんだと私は思うんダ」
「…真に拳を打ち据えるは巨悪ただ一つ!」
「それで良イ。手加減抜きの本気で挑んだ戦いで負けてから弱音を吐けばいいのサ」
「――参考になった。感謝するぞ、強敵(とも)よ」
二人が握手を交わすところで映像は途切れる。


「どうです、編集長?」
「アイデアをくれてやった割に良い絵が撮れなかったなァ
…あと、私の部分は後でモザイク編集を頼む」
「まぁまぁ。極ヶ原先輩も終わった後何処かイキイキしてましたし」
「何だかんだでショックだったんだろうネ、その長身男根の美少年とやらに負けたのが」
「…何か違いません?」
「うン?違うことを言った覚えは無いのだガ。
投書箱にも結構お頼りが来てるし、その謎のEランクの調査もぼちぼち始めるかネ。
さあ、12時までには仕上げルぞ」
「別に明後日の朝刊に回しても…」
「ネタは新鮮な内に、がうちのモットーだロ?
分かったらさっさと記事を打つんだヨ!」

完

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最終更新:2010年02月25日 16:46
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