HappyValentine!
by.メメントヴィータ
by.メメントヴィータ
「そうだ、くまさん作ろう……!」
去年の年が終わる頃、衝突に思い立ったのであった。
「来年のバレンタイン――はぁ……」
時は遡り10月。
もはや、秋という季節の概念を疑う程には寒くなってきた季節ではあるが、既に暖かくなり始めるだろう2月中旬に思いを馳せていた。
もはや、秋という季節の概念を疑う程には寒くなってきた季節ではあるが、既に暖かくなり始めるだろう2月中旬に思いを馳せていた。
お菓子作りは得意であるし、その他料理についても空いた時間に練習しているからどんな形でバレンタインのチョコをあげようか、という点で悩んでいる。普通の、よく市販であるような形状の在り来りなチョコレートなどは同僚から貰うだろう。あの人顔も性格もいいから。
あの人の担当ウマ娘としては、あの人の記憶に1番残るバレンタインプレゼントでありたい。
1種に絞らない、という意味合いではお菓子の詰め合わせでもいいかな、とは思うもののその程度でいいのかという自問自答が始まってしまうので特別なものを渡すより、渡し方を特別にしたらいいのではと思い立った。
1種に絞らない、という意味合いではお菓子の詰め合わせでもいいかな、とは思うもののその程度でいいのかという自問自答が始まってしまうので特別なものを渡すより、渡し方を特別にしたらいいのではと思い立った。
そう、思い立って年の瀬。
結局何も思いつかないのである……!
こうなったらもうネットの力に頼るしかないと思い、バレンタインプレゼント、もの、で調べてみる。
結局何も思いつかないのである……!
こうなったらもうネットの力に頼るしかないと思い、バレンタインプレゼント、もの、で調べてみる。
「小物入れ……フラワーボックス……テディベア……ベア……?」
くまさん。くまさんだ。
「そうだ、くまさん作ろう……!」
こうして2ヶ月と言う期限の戦いの末、テディベアと渡すようのマカロンも完成させた。テディベアに関してはハンドメイドが得意なクラフト先輩にも助言を貰った。だって、作るからには完璧に仕上げたいから。
今日の日付は2月14日、テディベアよし、マカロンよし。
どうせ、あの顔よし性格よしの優良物件トレーナーはどうせ渡された分のチョコとかは全部トレーナー室に持ってくるはずなので、連絡を入れたとて待ちぼうけを食らうのは予想出来ている。
先にお湯でも沸かしておこうかとトレーナー室の扉を開いた。
どうせ、あの顔よし性格よしの優良物件トレーナーはどうせ渡された分のチョコとかは全部トレーナー室に持ってくるはずなので、連絡を入れたとて待ちぼうけを食らうのは予想出来ている。
先にお湯でも沸かしておこうかとトレーナー室の扉を開いた。
「いらっしゃい、ヴィータ。カフェラテ飲む? 砂糖多め」
「……――飲みます」
「……――飲みます」
視線を机にやると、やっぱり箱の山。
いや、正直驚いたのは確かだ。こういうイベント事の際、トレーナーが私より早く部屋に来ていることなど無かったから。私もいつも通りの時間に到着したはずなのにも関わらず、だ。
箱の山に関しては嫉妬なんかしない、してやらない。だって、分かりきっていたことだし。
いや、正直驚いたのは確かだ。こういうイベント事の際、トレーナーが私より早く部屋に来ていることなど無かったから。私もいつも通りの時間に到着したはずなのにも関わらず、だ。
箱の山に関しては嫉妬なんかしない、してやらない。だって、分かりきっていたことだし。
「珍しいですね。トレーナーが早く来られるなんて」
「あぁ、大半は撒いてきたからね」
「あぁ、大半は撒いてきたからね」
――じゃないと君、待ち飽きただろ?
と言いながらコーヒー――まぁ恐らくエスプレッソだが――を飲んでいた。ついでになんで俺なんかに渡すんだろうな、との疑問も言っていたが自然な気遣いのせいだと私 は思います。後、やけに 整ってる顔。
その1番有り得そうな答えを口に出さずに、トレーナーの入れてくれたカフェラテと一緒に飲み込む。
その1番有り得そうな答えを口に出さずに、トレーナーの入れてくれたカフェラテと一緒に飲み込む。
「あ、と……トレーナーさん、これ」
「ん?」
「ん?」
紙袋からマカロンの入った箱を抱えている茶色のテディベアを取り出した。白と黄色の――私の耳飾りの予備リボンを左耳に付けたくまさん。限られた時間の中で完璧に仕上げた傑作品だ。
「えと、ぼ、『ボクが頑張って作ったから、食べて欲しいくまー』……なんて」
照れているのは気づかれている筈なのにせめて見られたくないからとテディベアの後頭部に顔を隠した。暫く、なんとも言えない空気が流れて、滑っちゃったかなと思い始めた時、近づいてくる足音が聞こえてきた。
「ありがとう、クマさん」
とりあえず、受け取ってはくれた事に安堵して少しだけくまさんの後頭部から顔をのぞかせてみると、以外と近くに顔があった。
「ぴ……っ!」
びっくりしてしまって、トレーナーさんの顔にくまさんを押し付けて退かすと、椅子から勢いよく立ち上がった。
「おかわり!……入れてくるので、待っていて下さい」
丁度エスプレッソを用意し始めた時、後ろから静かに笑う声が聞こえてきて、何笑ってるんだと思いもしたが、楽しそうにしている彼を見てまぁ、いいかと肩を落とした。
「マカロンと一緒にどうぞ」
どうか、どうか。この一時が続きますように。
メメントヴィータのマカロンボックスとくまさん
いつもお世話になっているトレーナーへのプレゼントです。
迷惑をかけている自覚は(一応)あるのでこれからもよろしくお願いします。
マカロンも箱もくまさんも全部手作りなんですけど、どうでしょうか?――完璧?ありがとうございます。
くまさん、頑張って作ったので大切にしてあげてくださいね。
迷惑をかけている自覚は(一応)あるのでこれからもよろしくお願いします。
マカロンも箱もくまさんも全部手作りなんですけど、どうでしょうか?――完璧?ありがとうございます。
くまさん、頑張って作ったので大切にしてあげてくださいね。
――せめて、このくまさんだけでも、あなたとずっと一緒に居させて下さい。