『EASTER DAY』より――覚醒した変態狩人、その本領発揮。
変化する鎖輪の状況。その中で多忙を極めるトシローに、強引にでも引っ付いてやろう……
そう決めたシェリルを扉の向こうで待ち構えていたのは、変態狩人の冷たい刃の切っ先であった。
「ああ、彼も、トシローも理解してくれるでしょうか? あなたのおかげだと見せてあげたい」
「そうでしょう? 不釣り合いな足枷さん。情をねだってしがみ付くのはやめたらどうですか、煩わしい」
「さあ……切除してあげましょう」
「お妾さん」と、シェリルを最早「敵」とすら見做していないアリヤの姿には、
ただ冷徹なだけの狩人という枠を超えた、身震いするほどの情念の焔が宿っており……
かつてならば、僅かも感じる事の無かった脅威……
しかし今のアリヤならば、自然体のまま己を狩れるだろうという想像が消えないのである。
警戒心を解かない女に、面白くなさげに口を尖らせるアリヤ。
それでも戦意を絶やさぬために、譲れぬ一線を守る為に。シェリルは言葉を投げつける。
「───黙りな、恋愛中毒」
「あんたさぁ、さっきから馴れ馴れしいのよ。トシロー、トシローって。何様のつもり?」
「分かる? こっちが正妻、2号はあんた。妾なのはあんたが先よ」
「こっちは何度もあいつと夜を共にしてんの。
小便臭い小娘ちゃんが頭の中のお花畑で思い描いているのとは違うわけ」
「面倒くさいのよ、処女っ子。妄想するのが好きならベッドの上でほざいてな」
血塗れになりながらも、中指をおっ立てる。
行くか、退くか。彼女に最後の決断の瞬間が迫っていることは間違いなかった。
その決意を嘲笑するのは、狩人の眼差し。
「何だ、そんなことですか。遅かれ早かれに過ぎないというのに」
「いいことを思いつきました。
四肢を落としたあなたの前で───彼に捧げてみるのもよさそうですね」
その「妄言」を前に、冷静さを欠いたシェリルは無策のまま突撃し……
「では、さようなら……前妻さん。
ああご安心を。彼との蜜月は、私が然りと引き継ぎますので」
容易く動きを縫い止められ、必殺の白杭が彼女の薔薇を刈らんと猛る。
相棒の男への届かぬ無念と謝罪を胸中に思い描き、自身の死を覚悟し瞼を閉じたシェリル。
だが、そこに思わぬ乱入者が現れる―――
鋼鉄の武装を弾き飛ばしたのは、血刀。
「な――あんた、っ」
姿を見せたのは……シェリルもよく知るあの男。
「さて……お生憎だが、にわかの信者には今から退場してもらおうか」
「あいつは、俺の目標だ。一目惚れなら、こっちが元祖なんだよ」
かつて霧の街に潜み、同族の命を散らしてきた三本指が、今白木の杭へと牙を鳴らす。
「そういうわけで……背伸びを止めたお祝いだ、
ご褒美をやるよ──永久にお休み」
- トシローさん大好き包囲網が完成した瞬間 -- 名無しさん (2019-09-18 21:27:16)
- へ、へんたいだー -- 名無しさん (2019-09-20 12:59:08)
- 自分が一番あいつを理解してるって面倒臭いファンしかいねぇ! -- 名無しさん (2019-09-20 14:38:30)
- トシローさんは何なの?男女問わないヤンデレ生産機なの? -- 名無しさん (2019-09-20 15:40:45)
- トシロー「美影助けて。」 -- 名無しさん (2019-09-20 15:57:55)
- 美影の中の人もヤンデレにするくらいの色男トシローさん -- 名無しさん (2019-09-20 18:27:03)
- 「白き杭」の先代から受け継いだ『熱くなってる所に更に燃え尽きろとばかりに燃料を注ぎ込まれる』という相手の感情を揺さぶり冷静さを失わせて隙をつくための挑発方法(先代『おめでとう、捨てる手間が省けたではないか』)自体はちゃんと受け継がれているんだが、先代の無慈悲さと冷酷さを滲み出せる言い回しと違って完全にド変態淑女の言葉に。いや、シェリルに対してはアイザック来なかったら退場確定とか言う一流品なんだけど -- 名無しさん (2019-09-20 19:54:40)
- お嬢もお嬢で大概だしなぁ……唯一の癒し枠アンヌ 不憫だけど -- 名無しさん (2019-09-20 20:58:28)
- この中だとシェリルがダントツでいい女なんだけど、だからこそか変態共にはついていけるはずもなく -- 名無しさん (2019-09-20 23:07:06)
最終更新:2021年12月06日 22:39