ひれ伏せ人間───血袋の分際で頭が高いぞ

発言者:????
対象者:アリヤ・タカジョウ

命の炎が今にも消えかけた、その絶望と焦燥……
よく理解できるぞ。あの時の(・・・・)俺もそうだった。

だがそれこそが……真の不死者として覚醒する瞬間だったのだ。
ただの吸血者(ブラッドサッカー)から吸血鬼(ヴァンパイア)へと聖別された瞬間だ……

鎖を引き千切り、魂を開放しろ!闇夜に吼え猛る吸血鬼(ヴァンパイア)となれ!


発言者の代名詞にして決め台詞、そして自分を上回る達人級の戦闘者達を前にしても退かない、彼にとっての矜持、吸血鬼像が現れた台詞

共通ルートにおいては、三本指(トライフィンガー)を名乗る謎の包帯男が窮地にあるにもかかわらず、
闘いの技術において明らかに格上である白い杭(ホワイトパイル)の少女に対し、圧倒的な気魄と共に言い放った


特殊な打撃を打ち込み再生を鈍らせ、無数の小型爆薬を仕込み血肉を灼き……
パワーもスピードも並み程度の三流吸血鬼一匹相手に、己の優位を疑わなかったアリヤ。
しかし、火焔と爆発に身を砕かれつつも、嗤いながら接近してくる眼前の縛血者に、
存在ごと別物に切り替わったかのような、そう……まるで(・・・)
初めから夜を統べる怪物(ノスフェラトゥ)であったかのような――そんな信じがたい錯覚を覚えずにはいられなかった。


『杭を打ち込んで終わりにしてあげます――だと?』

『おまえは間違えている……今その杭を打ち込まなければ、
終わるのはおまえの方だ。そうだろう、人間(・・)?』

『来い……心臓だ……外せば、貴様の上に朝日は上らない……』


魂に刻まれた恐怖を否定し、振り払うように鋼の杭を撃ち込むために。
駆けだす少女の右腕から射出された閃光は、招き入れるように無防備を晒した男の心臓を貫いた──かに思われた


『くォ……ォ……ッ』


だが、即死したはずの男は、次の瞬間痙攣しながらも生存を示す呻き声を漏らしていたのだ。
左手でいつの間に掲げられていた、幾つも管のぶら下がった赤黒い肉塊が、裂けた腹腔へと突っ込まれる。
驚愕の中でアリヤは気づく、
あの肉塊は杭による即死を避けるために、男が自分で抉り出して射線から退避(・・)させていた奴の心臓だったと。

大きな隙を晒したままの未熟な狩人に対し、狂気の男は告げる。

『俺は不死身の吸血鬼(ヴァンパイア)――こんなものでやらせはせん……!』

そして、模造品(コピー)の返礼をくれてやると。血液で創り出した偽杭で、柔な人間止まりの肉体を急襲するのであった


『……これは、ただの警告だ。トシロー・カシマから手を引き、街を去れ……奴は、俺の物だ。
そしてこの逃れの街(フォギィボトム)は、奴と俺だけの舞台……邪魔者には、退場してもらおう』

『さらばだ……ホワイト・パイル』


+ 男の執念は止まらない―――
さらにアンヌルートにおいて、夜警であるトシローに追い詰められた男は、
縛血者としては異端であるはずの、磨き上げられた戦の技術に動きを見切られた末、
彼の賜力……絶戒闇手(ミッドナイトブルー)の磁界に動きを封じられてしまう

「終わりだ、超越者(・・・)。それが現実という、貴様に用意された牢獄だ
───おまえの夢見た吸血鬼(ヴァンパイア)など、この世の何処にも居はしない

ここに同族殺しの命運は尽きるか───だが、包帯の男はその現実(・・)に反逆する。

『これ、で……俺を、俺の魂を……縛った……つもりかッ……!』


吸血鬼(ヴァンパイア)を舐めんじゃねえ――ッ!!』


野獣めいた唸りと裂帛の怒号が地下道に轟き……男は全身から磁性化された己の血液を、急激に排出し戒めから逃れ出る。
その代償として明らかに弱体化しきった姿を目にしながらも、トシローは弱体化と死に直結する失血行為躊躇なく実行した
縛血者の定石を意にも介さないこの“敵”は、正気という括りが当て嵌まらない事を痛感させられていた。


『動ける……動けるぜ……俺は鎖を引き千切ったァ――ッ!!』

『どうだトシロー(・・・・)! おまえの絶戒闇手(ミッドナイト・ブルー)……この俺が破ってやったぜ!』



+ 逸脱者VS逸脱者
「救いがありませんね、同族殺し。同じモノさえ喰らう捕食者(イーター)ならば、衆道にでも浸っていればいい……!」

「そいつはこっちの台詞だぜ、白木の杭(ホワイト・パイル)。遅めの発情期に浸ってるんじゃねえよ……!」


アリヤルート、覚醒したアリヤの脅威を前にピンチとなったシェリル
そこに覆面を外し、欲望を隠さず“裸”となった男が現れる

真なる白木の杭の研鑽された技巧に、稚拙な防御しか取れない男の身体は崩れていく。
目が抉られる。指が斬り飛ばされる。胴に穴が空いた。瞬く間に惨殺死体(スクラップ)に変貌する。


「ク、ハ―――アッハッハッハハハハ……!」


だというのに、男は前進を続けていく。
止まらない、怯まない。肉体を端々から壊されながら、削り節のように血肉を削がれながら、尚も嗤って前進を続けていく。
あくまで効率を追求して戦い抜くアリヤに対し、彼は削岩機のように突貫し続ける。

抉られた傷から噴出する出血が、瞬く間に凝固して、針に、糸に、刃に変わる。
己の傷がそのまま攻撃に転化する……歪な領域で完成した狂戦士(ベルセルク)の攻防一体の戦闘法。


微塵に潰れろ、脆き人類(ヒト)よ。
舐めるな、吼えるな、崩れて墜ちろ───吸血鬼の前に跪け!


人類より生まれた殲滅者を前に、男の精神の抱えた純粋な狂騒は加速する一方だった。







  • こうしてみると、アイザック自身のスペックそのものは特別強い訳ではないんだな。だけど自分の負傷を知ったことかと突き進む姿勢と、血液操作能力が本当にマッチしているからその気になれば本当に強いや。 -- 名無しさん (2020-06-10 18:14:30)
  • 強さ自体はそのへんに幾らでもいる十人並みとアリヤが初見で見切ってるからね。バキで言えばまさに柴千春 -- 名無しさん (2020-07-25 23:47:44)
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最終更新:2023年08月09日 14:06