これぞ運命、などと決め付けるには早計すぎるぞ幼子よ、立ち向かってみるがいい。見出してみよ、己が意義を。

発言者:《伯爵》
対象者:トシロー・カシマ


アンヌの家族含め、市井の人間の命を奪い続けた“掟破り”の「三本指」を断罪すべく、
磨き上げられた同田貫の一振りを携え、静かに怒りを研ぎ澄ましたまま夜の街を進むトシロー。
そんな彼が目撃したのは、一撃で心臓を貫かれた犯人の骸と……殺害を実行した圧倒的な威圧感を放つ謎の縛血者(ブラインド)の姿であった。
一度も顔を合わせた記憶などないにもかかわらず、その巨大な存在感を、姿を、《伯爵》という名をなぜか知っていたトシロー。
こちらを観察するような視線を向ける《伯爵》に対し、近づかれるだけで隔絶した力の差を思い知らされながら……
それでもトシローは、己は“夜警”にして、公子に仕える一振りの剣であると宣言し、法に背くおまえを裁くと確たる意思を示す。
―――自身でも驚くほど強い熱情が、死への恐怖、不信や葛藤をねじ伏せて、これこそ己の理想だと言葉を紡がせるのだった。

その夜警の男の姿に対し、《伯爵》は彼の背負う「寿命」の存在すら見抜いた上で、
忠誠に命を賭す在り方に真の賞賛と、近づく死の刻限に足掻いてみせよと導きの言葉をかけ去っていくのだった………

本編より
「――すばらしい」


「賞賛したのだ、薔薇の心臓に相応しき者よ。おまえの姿は美しい」


「己が器を把握し、彼我の力量差を知り、逃れ得ぬ死を確信した。 
その鍛え上げた体躯に今も本能と経験則が逃亡を訴えているのも見て取れている」


「しかし、おまえは自らに課せられた役割を成し遂げようとした。
依存ではなく、足掻くと決めたその決意によってだ」


「死に蝕まれた身でありながら……いや、それ故か。生を上回る忠義、見事なり」


「だが、至らぬ箇所もあろう。生より忠義を取ったのであれば、残る死にも抗ってみることだ」

「これぞ運命、などと決め付けるには早計すぎるぞ幼子(・・)よ、
立ち向かってみるがいい。偽りの鼓動(いのち)が鳴り止む瞬間にこそ、我らの生は閉じる」


「言い換えるならば、おまえはまだ生きているのだ」


「見出してみよ、己が意義を。
黙して耐え、受け止めるのみが器量にあらずと思えたならば――」




  • なんというか…アイザックと《伯爵》 からだけは好かれてるなトシローさん……他の男達からは散々な評価なのに…w -- 名無しさん (2019-12-12 00:20:04)
  • ウジウジしてるのにイラつくか頑張ってるからこそと判断するかの違い あと他の男は恋敵やお嬢様にたかる悪い虫と立場が敵だからってのが前提にある善悪すら気にせず美醜に拘る伯爵は敵味方なんて気にしないし -- 名無しさん (2020-06-22 18:43:29)
  • 美醜で言うならトシローさんは美しいさ。他の誰にも出来ない在り方はやっぱり焦がれるし上位存在から見れば尚更美しく見える。只人からすれば面倒臭いし盛り上がってるところに冷や水浴びせるような男に見えるけど。 -- 名無しさん (2020-06-23 17:49:41)
  • 良くも悪くも出る杭だからなトシローさん -- 名無しさん (2020-06-23 18:55:09)
  • 芸術家肌ともいえる -- 名無しさん (2020-06-23 23:27:32)
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最終更新:2024年05月27日 00:57