共通√、
夜の世界に迷い込んでしまった
アンヌとの今後の関わり方をめぐって、
相棒と
どこか微妙な空気になってしまったトシロー。
????『夜の生活の不一致ですね!』『ルーシィーー?』
そんな彼が立ち寄った
『カサノヴァ』において、友人であるアイザックに相談を持ち掛け、返ってきた答えがこれである。
アイザックの声色は常と異なり、どこか陶酔するような響きを帯びており……
以後の物語にも意味を持ってくる意味深な台詞であるのだが――
それと同時に、アイザックの
肯定主義に応じるトシローの声も、どこか堅苦しさから解き放たれた印象を受けるものであり、
短い言葉のやり取りの中にも、トシロー・カシマとアイザック・フォレスト……
気質の正反対な二人の、確かな友情をうかがわせる一幕と言えるだろう。
本編より
「……なるほどなァ。それで何となく気まずくて夜の散歩ってわけか」
明らかに面白がっているアイザックの心情は、顔を見ればすぐ判った。
「俺らしくない行動……シェリルの不満は、どうやらそういう所にあるようだ」
「ふぅん。らしくない……ねえ。なあトシロー、
そのらしいとからしくないって、一体どういう事なんだろうな?」
煙草から立ちのぼる紫煙を見つめながら、アイザックが不意に呟く。
「それってつまり“キャラ”の事か? おまえはこういうキャラとして俺たちの中で立っている。
だから、そんな行動はしないはずだ……ってな」
「………」
半分ほど吸った煙草を、灰皿の上で揉み消して。
「俺の結論から言うぜ。トシロー、おまえは間違っちゃいない」
「おまえらしくないように見える行動だって、おまえの中に動機があるなら掛け値なしに真実だ。
他人が自分をどんな“キャラ”で見てるかなんて関係ねえ」
「やりたいようにやってみりゃいいんだ。自由なんだよ、俺たちはもっと……!」
「……そうか」
「それに、シェリルの事なら嫉妬の分も差っ引いて考えないとな。おまえがその娘に構いっきりなもんだから、妬けたんだろ」
意味深な含み笑いを浮かべるアイザックだが、話した事で俺も気が楽になったのは確かだった。
……他人は鏡であると人はよく言う。だが己の姿を鮮明に映し出すには、似た者同士では駄目なのかもしれない。
それが異なる人間であればあるほど、自身との差異をはっきりと見出せる。
翻って己の在り様を深く知れる……この男と言葉を交わす度、そんな気がしてくるからだ。
性格も、来歴も、立ち位置も、俺とは何もかもが違う男。
そんなアイザックだからこそ、俺にとっては理想的な“鏡”であるのかもしれなかった。
「すまんな、つまらない話を聞かせた……得難きは、肝胆照らす朋友というものか」
「へッ、よせよ……こんな軽い男の台詞、そう真面目に聞くもんでもないぜ」
無言で翳したグラスを合わせる。カチリという硬質な音が耳に心地よかった。
- 伯爵にも繋がる話だが、こいつはこういうキャラだろう?ってメタ目線を作中でよく皮肉ってるなぁ -- 名無しさん (2020-06-06 05:02:17)
- Maggot baitsの飯河さんの「人間はキャラじゃない」に通じる考えだよね -- 名無しさん (2020-06-06 12:59:48)
- ルーシーさん、何言ってんですか。確かに間違ってはいないのですが。 -- 名無しさん (2020-06-06 13:23:26)
- 夫婦喧嘩の相談に乗ってくれた親友がガチホモだった件 -- 名無しさん (2020-06-06 19:28:20)
- たとえガチホモでも命を狙われても親友 -- 名無しさん (2020-06-08 23:48:11)
最終更新:2022年01月07日 15:47