いい事を教えてあげるわ。トシローはね、胸のおっきくて脚の長~い女が好きなの。あんたみたいな発育不全のやせっぽちじゃエレクトしないんだって。おわかり?

発言者:シェリル・マクレガー
対象者:アリヤ・タカジョウ(尻で感じる変態ストーカー)


シェリル√、バイロンを斃したトシローとシェリルは、ギャラハッドの手引きでフォギィボトムを脱出、新天地を求め旅立った。
その道中、ふと立ち寄った古びた写真館において、新教徒の老夫婦に勧められる形で
シェリルの積極的な誘導もあり二人は結婚式を挙げることになった。
いきなりのイベントに戸惑うトシローの背をいつものように押し、シェリルはすこぶる上機嫌でドレスの着付けに向かう。

しかし一人になると、複雑な感情が心を埋め尽くすらしく。
この出来事も、句読点(ピリオド)の一つに過ぎないと……弁えているせいかシェリルの微笑もどこか儚げであり。

「あたしって、何処まで行ってもお姫様にはなれない女よね。んー……似合ってるとは思うんだけどなぁ」

――生まれて初めて袖を通した、真っ白な花嫁衣裳(ウェディングドレス)
緊張か、それ以外の何か別の思いからか、色々な愚痴が彼女の口から零れてしまう。
……それでも、最後に口元から漏れるのは、紛れもない多幸の笑み。

「あいつ……一体どんな顔するかな?」

一世一代の女の見目など、一片の関心も払っていないかのような朴念仁。
その鉄面皮の牙城を揺るがす、これはいわば最強の攻城兵器(・・・・)なのだ。

「ふふふふ、見てろよ。女は変わるのよ?怖いのよ?」

そうして不敵に呟いた声に―――予想できていた過去(・・)からの刺客が応じる。

「───死出の装束ですか?」

進み出て来た黒影こそは……白木の杭(ホワイトパイル)ことアリヤ・タカジョウ。
その薄い唇に浮かび上がるものは、三日月にも似た兇悪なる微笑み。

「いけませんね。()には私という者がいるんですよ?」

「他人の男を盗むなどと……流石は女吸血鬼(カーミラ)。とんだ性悪女(ヴァンプ)ですね」

……夕闇に鳴り渡った残響は、その右腕に落ちた鋼の杭の装填音。

「二度と私の獲物(おとこ)に手を出せないよう……
その心臓、きっちり穴を空けて塞いであげましょう。私の杭で」

以前よりも増した狩人の少女の殺意に、しかしシェリルは微塵も怯まない。
身に纏った花嫁衣裳の純白のスカート、その裾を大きく翻す。
露になったその下には、銃身を切り詰めた散弾銃と、長大なグルカナイフが黒光りしていた。


「やかましいわよ、このストーカー女。いい事を教えてあげるわ」

トシローはね、胸のおっきくて脚の長~い女が好きなの。
あんたみたいな発育不全のやせっぽちじゃエレクト(・・・・)しないんだって。おわかり?」


シェリルの言い放った、宣戦布告代わりのセリフに―――


「死ね───泥棒猫」


吊り上がったアリヤの唇から、地獄のような呟きが粛かに響くのだった。



  • これが正妻の余裕か -- 名無しさん (2020-07-15 01:20:39)
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最終更新:2021年12月03日 22:39