忍ルート、零示に二度の敗北を喫した真栄城の、また別の未来を示した一幕。
忍と二人、《アンファング》の仲間から一向に仲が進展しない事を冷やかされていた零示は、路地裏の暗がりに見知った顔を見つけ……一人その場に向かった。
そこでは、真栄城が《シルバーゲイル》のメンバーだった者達数名から、負け犬として罵倒され暴行まで受けていた。
彼の行為で少なくない被害を被った零示には特段真栄城を助ける理由もないはずだったが、偶然目に留まった「胸糞悪い光景」を放置しても置けず……彼らの前に姿を現す。
以前その実力差を思い知らされた暴漢達は思いもよらぬ零示の登場に恐れをなして逃げ出していき、路地裏には彼と真栄城の二人が残された。
殴られた腹を抑え、制服の汚れを払い立ち上がる少年の目には、相容れないという敵意の意志が宿る。
それをいつもの調子で受け止めつつ、零示は「ここら辺りの道はもう通らない方がいい」と一声かけるが。
「……余計なお世話だ。上から目線で同情か?」
「僕は確かにあいつらから良いように小突き回されるほど落ちぶれた。それは事実さ……」
「けどな……だからと言って僕がおまえの下だと認めるのは別の話だろ」
そう吐き捨てる真栄城は、強く零示を睨みつけてみせる。
「ヘッ。てめえも、ひねくれ具合じゃオレといい勝負だな。まあ、好きにしろや」
敗北した身でありながら、意外な反応を見せた相手に僅かに関心した零示は、
「今後もこの道を通って下校する。何か見たとしても手出し無用」と言った少年に告げる。
「ああ。そりゃあ、おまえだけの現実なんだからな。
バグも狂ったバランスも、一切合切おまえのモンだ。オレにゃ何も手出しはできねえや」
その上で――
「――ただよ、そいつが二人同時プレイに対応しているかどうかは知らねえけどな?
どうしても手が足らねえ時は、声かけろや。地雷処理ならお手のモンだからよ」
そう、笑い飛ばして見せた。
六本木の伝説の不良の呼びかけに。
「……おまえは本当にムカつく奴だ」
一度だけ振り返った真栄城司は、中指を立てて返し……一人帰路へと着くのだった。
- このシーン好き -- 名無しさん (2020-09-17 14:37:27)
最終更新:2021年04月10日 00:24