一巻肆ノ章、周囲の被害を一顧だにせず殺戮の限りを尽くすベルリッヒンゲンと、
隼人の願いを聞き入れ
柩を護る為参戦した
沖田の戦いが展開する。
闘いの神に愛されたかのような沖田の剣の鋭さを前にして、そうした“天才”を蹂躙する事に悦を覚えるベルリッヒンゲンは酷く興奮。
邪道によって正道を下す為の自らの墓碑銘によって、沖田の刀を破壊、その躰にも深い負傷を刻みこんで優位に立つ。
妄執に彩られた哄笑と共に、極東の若武者の命を喰らおうとする傭兵を、銀弾装填済の銃で武装した駐留軍が制止しようと立ちはだかるが……
自らの愉しみに水を差される形となったベルリッヒンゲンは、再度
墓碑銘を発動させ――
これまで見せた近接用の「剣」ではなく、米南北戦争にて生み出された「卑しく残酷で、無粋きわまりない」新兵器・ガトリング砲を右腕に形成。
死の風を周囲の空間に撒き散らし、その後現れ銃口を向けた薩摩藩の密偵にも銃弾の洗礼を浴びせた上で、その場を退くのだった。
血と暴虐に酔い痴れ他を顧みない――吸血種として強化された獣性の恐ろしさが示される場面。
本編より
「ふん……無粋な。有象無象の相手をしてやる謂われは、我が剣にはないわ。貴様らごときには、これで十分であろう」
「貴様らは、この武器を目にしたことはあるか? 米国に渡って初めて見たが、さしものワシもこれはどうかと思うほど卑しく残酷で、無粋きわまりないものだったわ……イッキッキ」
柩と沖田には、ベルリッヒンゲンの右腕がいきなり膨張したように見えた。
それは、長大な円筒形の構造体で、その先端部に蓮根の断面を思わせる環状に並んだ六つの穴――銃口が並んでいた。
――血飛沫を噴き上げて、駐留軍兵士たちが右から左へ次々なぎ倒されていく。ベルリッヒンゲンの鉄腕が変じた卑しき新兵器――ガトリング砲の猛威によって。
沖田も柩も、ひたすら頭を低くし荒れ狂う殺戮の暴風をやり過ごす以外になかった。
それはベルリッヒンゲン自身の血液を硬化させた弾丸であり、壁に穿たれた弾痕からは次々に赤い滴が飛び散っていく。
最終更新:2021年12月18日 23:09