悖理綿津見・呪海嘯

はいりわだつみ・じゅかいしょう

屍山血河の渚を前に不浄の灰が雨と降る

齎せ、界式───



その正体は絶望(キボウ)の共有共存。
縁や想いという繋がりを辿り、距離関係なく病魔のように傷と呪毒を広げていく通信網(ネットワーク)
効果範囲内で誰か一人でも傷つけば、呪われれば全員がそれを共有してしまう。
誰かが苦しめば自分も同じだけ苦しみ、自分が苦しめばその分の苦しみをそのままどこかの誰かに伝えてしまう。
出力を限定しなければ効果範囲という概念は無くなり、友人家族に呪いが広がったらその友人家族からまた別の友人家族に広がって…とキリがなくなり、術者を放置していればいずれは地球圏の裏側さえ射程圏に収めると言われた。


本編の一場面では呪いによる苦痛、吐血、心臓へのダメージ、発狂に耐えるべく噛み千切らんばかりに歯に指を立てる絶望やのたうちまわった時の地面の感触やその他にも他にも他にも他にも―――領域内の誰かの感じた全ての苦痛がダイレクトに伝播し合い、身を挺して仲間を庇った際のダメージも平等かつ公平に伝わってしまっていた。


人がいればいるほど、そして大切な人がいればいるほど、その繋がりを辿って凶悪性と必殺性を増していく。
一人は皆のために、皆は一人の為に、という言葉を限界まで悪い方向に捻じ曲げた最低最悪の術である。ーー界奏に謝れ






「どうした貴様らなぜ喜ばん?」

「他人が大事なのだろう?誰かのために戦うのだろう?ならば痛みも、苦しみも、喜んで手を取りながら背負って見せろよ。嘘つきどもめ」

「すなわち、魂の共有共存ーー拙僧が望みを叶えてやったのだ」

「一つに慣れてさぞ嬉しかろう?思う存分、感涙に咽ぶがいいぞ。ぎぃぃいひゃひゃひゃひゃひゃ!」




出力を限定している理由
+ ...
瞬間的に大虐殺成せたとしても、消極的な災害を世界各地で起こした方が、より多く、より長く、人間を苦しめることができるから…という理由もあるが、実際は射程無制限こそが最大の弱点でもあるからである。
界式とは負の絆を紡ぐ術。繋がる、という事はつまり相手側からも補足されてしまうのである。対象範囲を無限に広げれば、必ずどこかで強力な霊奏士やマガツと接触してしまう。結果として呪詛返し(カウンター)を受けるリスクは指数関数的に増大する。これが歴代の界式使いの主たる滅亡要因を占めていた。










ぎひひ、ぎひゃひゃひゃひゃひゃ!

+ ...
絶望せよ──これぞ星招術・界式、その真骨頂 

怨念の糸を縒り、増悪の絆を紡ぐ力。誰かと共に在る呪いの究極、眷属を用いての転生ーーつまり、界式を受けた被害者が、己の命を捨てていいと思える程術者を恨んでいた場合、その魂魄を依り代に現世へ舞い戻れるのである。

まさに共存共有が地獄の業。

自分を怨むものがいる限り、憎むものがいる限り、終焉は何があろうと訪れない。

悪魔は何度でも生贄を得て地上へ遊びに顕現する。

増悪と嘆きは海の如く広がり続け、次の犠牲者を生み出すのだ。



詠唱


我が誓願。聞き届けたまえ、極晃よ



声聞(しょうもん)足りず、縁覚(えんがく)届かず、菩薩に至れぬ衆生の悲哀
覚者の涙を贄と茹で、融解せしめん羅漢の悟り。嘆きの旅路に果ては無く

罪業こそが永久(とこしえ)よ。一切合切、穢れて堕ちろ

屍山血河の渚を前に不浄の灰が雨と降る



齎せ、界式--星招術
悖理綿津見(はいりわだつみ)呪海嘯(じゅかいしょう)







  • 今更ながら買ってしまった…そして本当クソだなこの術! -- 名無しさん (2022-09-19 00:07:12)
  • 星招術界式って「共有化・付与」って大枠の属性を灰厭が自分の色で最悪アレンジした(付属性→界奏的な)んじゃなくて、この広がる呪いにしかならないの? -- 名無しさん (2022-09-19 00:54:36)
  • 下ネタ的に言うなら快感共有とかありそうだよね。ある意味デバフのばら撒きだし -- 名無しさん (2022-09-19 02:50:29)
  • ↑ぶっちゃけそれだと快感=負ではなく正の共有になるから多分ないと思う。結果的に悪い方向ではなく単に「不快になれ」ってのがあるだろうし -- 名無しさん (2022-09-19 12:44:14)
  • 同じ付属性の極みでも灰厭の型は縁を辿る呪いで、アッシュの型は合意者同士の能力共有になるってことだろう。集束性スフィアが全部烈奏にならないのと同じ -- 名無しさん (2022-09-19 13:52:09)
  • 「界式を受けた被害者が、己の命を捨てていいと思える程術者を恨んでいた場合、その魂魄を依り代に現世へ舞い戻れる」というあたりで協力強制が成立してるのがヤバい -- 名無しさん (2022-09-24 20:21:46)
  • 流石にアッシュでもダッシュでぶんなぐるレベルまで。そしてその後涙ながらに抱きしめるんだろうけれども。 -- 名無しさん (2023-06-27 21:33:54)
  • かわゆいさんがペルセフォネモードで滅殺しにくるレベル -- 名無しさん (2024-04-10 22:08:43)
  • タチの悪さと言うならばなかなかにエグい術。ただこれ呪詛返しでカウンターできることはできるみたいなので脅威度は低め?苦痛だけなら気合と根性で糧にして踏破すればいいわけだし -- 名無しさん (2024-04-17 23:11:29)
  • ↑憎んだ相手を生け贄に復活できるのが厄介だからなー -- 名無しさん (2024-04-18 18:13:56)
  • そういう意味ではお隣の逆さ十字に近いとも言える -- 名無しさん (2024-04-18 22:52:20)
  • 効果範囲どんどん拡げる技なのに拡散性じゃなくて付属性のカテゴリなんだこれ -- 名無しさん (2024-06-22 22:15:20)
  • ↑人の縁を辿って拡がるウイルス感染みたいなものだからじゃ無い。拡散性の技なら発動地点を起点に延々と拡がる感じだと思う。 -- 名無しさん (2024-06-23 02:10:01)
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最終更新:2024年06月23日 02:10