今回のテーマは女ながらも大名に登り詰めた美少女剣士の物語です。
彼女の名前は直子です。
名の由来は、戦国時代に女ながらも美濃岩村城(現在の岐阜県恵那市にある古城)を守った織田信長の叔母の「おつやの方」の別名、「お直の方」です。
「直子」は、戦国大名「赤細家」(架空の存在です)に仕える武士・浦見成雅(これも架空)の一人娘です。
成雅は、直子が8歳のとき、領地を巡る争いから、遠い親族の小寺顕元(これも守護大名赤松家の家臣の名を改造した仮名)に弓で射殺されます。
小寺は、殺人を犯したのにも関わらず、武芸の腕を買われて赤細家の重臣に出世します。
男子の跡取りがいない浦見家はお家取り潰しの危機に瀕します。
直子は、父の仇を討つために身体を鍛え、剣の稽古に励みます。
18歳の時、仇の小寺を見事討った直子は、その孝心を赤細の当主に買われ、女の身ながらも浦見家相続を認められます。
それから、戦国の乱世を、彼女は荒れくれ者の大男たちと戦い、時には敵を斬りながら、「美しすぎる戦国大名」に成長していきます。
戦国時代唯一といっていい美女大名、直子が、初めて人を斬ったのは18歳の時のことだった。
直子はあの夜のことを、今でも想い出す。
自信と誇りと、ちょっとした心の痛みとともに。
彼女の名前は直子です。
名の由来は、戦国時代に女ながらも美濃岩村城(現在の岐阜県恵那市にある古城)を守った織田信長の叔母の「おつやの方」の別名、「お直の方」です。
「直子」は、戦国大名「赤細家」(架空の存在です)に仕える武士・浦見成雅(これも架空)の一人娘です。
成雅は、直子が8歳のとき、領地を巡る争いから、遠い親族の小寺顕元(これも守護大名赤松家の家臣の名を改造した仮名)に弓で射殺されます。
小寺は、殺人を犯したのにも関わらず、武芸の腕を買われて赤細家の重臣に出世します。
男子の跡取りがいない浦見家はお家取り潰しの危機に瀕します。
直子は、父の仇を討つために身体を鍛え、剣の稽古に励みます。
18歳の時、仇の小寺を見事討った直子は、その孝心を赤細の当主に買われ、女の身ながらも浦見家相続を認められます。
それから、戦国の乱世を、彼女は荒れくれ者の大男たちと戦い、時には敵を斬りながら、「美しすぎる戦国大名」に成長していきます。
戦国時代唯一といっていい美女大名、直子が、初めて人を斬ったのは18歳の時のことだった。
直子はあの夜のことを、今でも想い出す。
自信と誇りと、ちょっとした心の痛みとともに。
ある晩夏の夜、18歳の少女直子は、3尺近くもある長い太刀をもって、ある男が目の前に現れるのを待っていた。
これだけ長い太刀は、通常、男性でも持ちにくいのだが、普段から武芸で身体を極限まで鍛え抜いている直子にとっては苦ではなかった。
これだけ長い太刀は、通常、男性でも持ちにくいのだが、普段から武芸で身体を極限まで鍛え抜いている直子にとっては苦ではなかった。
間もなく、父の仇が来る。
10年前、我が父、浦見成雅を卑怯にも弓矢で後ろから射殺した、小寺顕元がやって来る。
人を殺しておいて、のうのうと赤細様の重臣に収まったあの男が、城を退出してこの道を通るはずだ。
10年前、我が父、浦見成雅を卑怯にも弓矢で後ろから射殺した、小寺顕元がやって来る。
人を殺しておいて、のうのうと赤細様の重臣に収まったあの男が、城を退出してこの道を通るはずだ。
林の向こうから足音がする。3人ほど歩いてくる。
刀は持っているが、あまり武装はしていないようだ。
刀は持っているが、あまり武装はしていないようだ。
直子は草履を脱ぎ捨てた。足袋なんていうやわな物は、父が殺された日から履かないと決めている。
着物の袖を肩までたくし上げる。
少女とは思えぬ筋肉質の腕と脚が、夜空の月に照らし出される。
「さあ、今こそお父上の仇を討つ時ですよ」母の声が天から聞こえた気がした。
着物の袖を肩までたくし上げる。
少女とは思えぬ筋肉質の腕と脚が、夜空の月に照らし出される。
「さあ、今こそお父上の仇を討つ時ですよ」母の声が天から聞こえた気がした。
直子は男たちの前に躍り出た。
3人の真ん中に、夢にまで見た仇の小寺顕元がいる。
「親のかたき!いざ尋常に勝負しなさい!」直子の口から、どこかで覚えた復讐の口上が飛び出す。
どこか間違って言っていないか不安だった。
3人の真ん中に、夢にまで見た仇の小寺顕元がいる。
「親のかたき!いざ尋常に勝負しなさい!」直子の口から、どこかで覚えた復讐の口上が飛び出す。
どこか間違って言っていないか不安だった。
満月で、辺りが明るかった。
3人の男はどっと笑い出す。
直子は顔が赤くなる。羞恥心でなく、怒りからだ。
「おなごが何を言うておる」
顕元が言う。その眼は笑っていなかった。
「私こそ、10年前にお前が殺した浦見成雅の娘、直子!小寺顕元、覚悟せい!」
その時、小寺の顔色が変わった。周りの従者2人も刀を抜いた。
「こんなおなご一人、我らで十分!」
小寺の右側の男が刀で直子に斬りつける。
だが、直子の運動神経を彼は知らなかった。
直子は男の刀をかわし、逆に彼の腹を太刀で横一線に斬った。
その時、もう一方の従者が短刀を片手に直子に背中から突っ込む。
だが、直子はそれを察知しており、前を向いたまま裸足の脚で後ろの男を蹴った。
これは幸運だったか、直子の踵が男の首に入り、彼は10メートル後ろの木まで飛ばされていった。
直子は母親から、今で言うなら空手の蹴りのような徒手格闘術を教わっていたのだ。
2人の従者を倒し、直子は前を向く。
3人の男はどっと笑い出す。
直子は顔が赤くなる。羞恥心でなく、怒りからだ。
「おなごが何を言うておる」
顕元が言う。その眼は笑っていなかった。
「私こそ、10年前にお前が殺した浦見成雅の娘、直子!小寺顕元、覚悟せい!」
その時、小寺の顔色が変わった。周りの従者2人も刀を抜いた。
「こんなおなご一人、我らで十分!」
小寺の右側の男が刀で直子に斬りつける。
だが、直子の運動神経を彼は知らなかった。
直子は男の刀をかわし、逆に彼の腹を太刀で横一線に斬った。
その時、もう一方の従者が短刀を片手に直子に背中から突っ込む。
だが、直子はそれを察知しており、前を向いたまま裸足の脚で後ろの男を蹴った。
これは幸運だったか、直子の踵が男の首に入り、彼は10メートル後ろの木まで飛ばされていった。
直子は母親から、今で言うなら空手の蹴りのような徒手格闘術を教わっていたのだ。
2人の従者を倒し、直子は前を向く。
小寺顕元は驚いていた。
だが、怯えてはいない。
「女だてらに出来る奴だ!だが、この俺に勝てまい。
父娘二代、命を断ってやる!」
小寺は着物を脱ぎ捨て、上半身裸になった。
まだ30歳になったばかり。筋骨隆々だった。
だが、肉体的には直子も負けてはいない。
「鍛えに鍛えた私のこの手で、今、お父上の無念を
晴らします。」
直子も血のついた着物を脱ぎ、肌着一枚になった。
小寺の身体と互角の筋肉を誇示し、恥ずかしくはなかった。
だが、怯えてはいない。
「女だてらに出来る奴だ!だが、この俺に勝てまい。
父娘二代、命を断ってやる!」
小寺は着物を脱ぎ捨て、上半身裸になった。
まだ30歳になったばかり。筋骨隆々だった。
だが、肉体的には直子も負けてはいない。
「鍛えに鍛えた私のこの手で、今、お父上の無念を
晴らします。」
直子も血のついた着物を脱ぎ、肌着一枚になった。
小寺の身体と互角の筋肉を誇示し、恥ずかしくはなかった。
2人は、徐々に距離を詰めていった。
最初に動いたのは直子だった。
「父上、ご照覧!」と叫んで小寺の胸に太刀を入れようとした。
だが、小寺はかわす。
直子の腰めがけて刀を振るった。
だが、直子も宙を跳んでかわす。
凄まじい身体能力だ。
そして、直子は小寺の右肩に太刀を切り下げた。
「う、う、あー」小寺が苦悶の表情を浮かべた。
「お父上の仇!」直子はもがく小寺の左脇腹に太刀を入れる。
びゅー、びゅー、という音がして血が噴き出す。
腸なのか内臓なのか、なにか出ている。
直子はそこから男勝りの怪力にまかせて、太刀の切っ先を小寺の体内に入れたまま、上にむかって切り込んだ。
ついに、さしものの小寺顕元もばったりと倒れてのびてしまった。
直子は「お父上の味わった苦しみを!」と叫びながら、
小寺の胸の上に馬乗りになって言った。
「じっくり味わいなさい!」
そういって、さっきの仕返しと言わんばかりに小寺の腰を力を込めて切り通したら、彼の身体は1分と経たぬ間に上と下に2つになった。
最初に動いたのは直子だった。
「父上、ご照覧!」と叫んで小寺の胸に太刀を入れようとした。
だが、小寺はかわす。
直子の腰めがけて刀を振るった。
だが、直子も宙を跳んでかわす。
凄まじい身体能力だ。
そして、直子は小寺の右肩に太刀を切り下げた。
「う、う、あー」小寺が苦悶の表情を浮かべた。
「お父上の仇!」直子はもがく小寺の左脇腹に太刀を入れる。
びゅー、びゅー、という音がして血が噴き出す。
腸なのか内臓なのか、なにか出ている。
直子はそこから男勝りの怪力にまかせて、太刀の切っ先を小寺の体内に入れたまま、上にむかって切り込んだ。
ついに、さしものの小寺顕元もばったりと倒れてのびてしまった。
直子は「お父上の味わった苦しみを!」と叫びながら、
小寺の胸の上に馬乗りになって言った。
「じっくり味わいなさい!」
そういって、さっきの仕返しと言わんばかりに小寺の腰を力を込めて切り通したら、彼の身体は1分と経たぬ間に上と下に2つになった。
いつの間にか、雨が降っていた。
父の嬉し涙だと、直子は思った。
父の嬉し涙だと、直子は思った。
次に記憶があるのは、小寺顕元の首を、そこから歩いて半時はかかる浦見家の墓前に供えた場面だった。
直子はそこで大粒の涙を流した。
嬉し涙だった。
自分の人生、今が一番幸せだと思った。
直子はそこで大粒の涙を流した。
嬉し涙だった。
自分の人生、今が一番幸せだと思った。
あのとき、直子はこれからたくさんの大男たちを、その夜と同じように斬っていくことになるとは思わなかった。