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  • (158-175)聖龍伝説 冴木聖羅vs王将鬼

女が男を倒すスレまとめ

(158-175)聖龍伝説 冴木聖羅vs王将鬼

最終更新:2020年03月31日 20:05

wbmwbm

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だれでも歓迎! 編集
 一陣の風が吹く。

 真冬の寒気を貫くような強い西日が差す荒野で今、人知れず世界の死命を賭けた戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

 距離を挟んで対峙する影が二つ。

 片方は大柄な中年の男。服の上からでも筋肉の隆起がはっきりと分かる、鍛え抜かれた頑強な肉体を黒一色の中華服で包ませ、無骨で厳つい顔を縁取る髪を前はオールバックに、そして長く伸ばした後ろは三つ編みに結わえて背中へ垂らしている。
 名を王将鬼(ワンショウキ)と言った。中国三千年の遥か昔より邪悪の拳法の武力によって世界を支配せんと暗躍し続けてきた一団、幻龍拳(げんりゅうけん)の現総統。闇の武術に優れた屈強の兵達が集う幻龍拳においても歴代最強と畏怖され、絶対無比の力によって総てを統べる地位に就いた男だ。

 対するもう一方の影。それは驚くべき事に年端も行かぬ少女であった。王とは比べるべくもない小柄な少女。
 だが美しき少女だった。艶やかな黒髪を鎖骨の下辺りまで真っ直ぐに流し、全体的に整った顔立ちの中でも強い意思の光を湛えた二つの大きな瞳が一際目立つ。その小柄な身に薄いベージュのニットブルゾンを羽織らせ、ブルージーンズを履いている。
 名は冴木聖羅(さえきせいら)。十六歳の高校一年生だ。
 その美貌はともかく一見すると極々普通の女子高生にしか見えぬこの少女、しかし彼女は想像を絶する宿命の下に生まれ、故に今邪悪な野望を成就させ世界の覇権を握らんとする幻龍拳の前に、最後の砦として敢然と立ちはだからんとしている存在であった。

 聖羅の真なる正体、それは齢十六にして幻龍拳と表裏一体をなす伝説の秘拳・聖龍拳の血を引く、この世で唯一の継承者。
 邪悪な幻龍が世界を暗黒に染めんとする時、正しき聖龍がその野望を打ち砕かんとする。

 世に言う聖龍伝説。

 三千年の遥か昔より歴史の裏で苛烈に繰り広げられてきたこの聖幻の戦いは、現代へと舞台を移し、今全てに終止符を打つべく頂上決戦を迎えんとしているのだった。

 世界でただ一人巨大な幻龍に対抗しうる奇跡の存在として覚醒し、自ら過酷な運命へと身を投じて以降の聖羅の闘いぶりはまさに聖龍と呼ぶに相応しかった。
 放たれた幻龍の刺客達はその聖龍拳の秘技の前にことごとく打ち破られ、最高幹部たる四天王、三鬼神すらも既に倒された。
 勢力では遥かに優勢だったはずの幻龍に最早残されるは、総統たる王と僅かな手勢のみ。

 古の救世主伝説さながらに、たった一人の聖龍戦士によって滅亡の淵にまで追い詰められた幻龍は、遂に総統自らに戦いの場へと赴く決断を下させるのだった。

 かように鮮烈な衝撃と憎悪を幻龍に刻み込んだ眼前の少女を見据えながら、王は口元に薄笑いを浮かべる。

「どうやらお前もあの馬鹿な老いぼれと一緒に死にたいらしいな」

 出会い頭の殺し文句にも聖羅は微動だにしない。
 己より遥かに巨躯の男から向けられる、幾千、幾万の幻龍の強者達を問答無用で跪かせてきた、射殺すが如き視線に対しても、その双眸に静かな闘志を満たせながら、ただ正面から受け止め、跳ね返すのみ。

 見れば見る程、瓜二つだと王は思った。その澄んだ眼差し、そしてその美しい顔立ち。母親である聖華(せいか)の血を実によく引いていると。

 過去の因縁が一瞬にして王の脳裏をよぎる。

 幻龍拳総統として世界の全てに君臨せんと望む王が長年求め続けてきた伝説の秘宝、天使の涙。手にした者に神にも等しき力を授けるとも伝わるその秘宝を得ん為、王はこれまでありとあらゆる手を尽くしてきた。

 誘拐、殺戮、強奪。

 その過程で天使の涙の在り処の鍵と知り、王の前へと連れて来られたのが聖華であった。
 聖華は長きに渡り幻龍と一進一退の戦いを繰り広げた末、卑劣な罠によって無念の死を遂げた前代の聖龍戦士の妻であり、聖羅という娘子を宿すも、刺客達の執拗な追跡から我が子と共に果てなき逃亡生活を余儀なくされていた。しかし遂に聖華は刺客達に追い詰められ、苦渋の決断で幼き聖羅を谷底に突き落としてかろうじて逃したものの、自らは幻龍の手に落ちてしまったのだった。

 囚われの身となり暗い地下牢へと連れて来られた時、聖華は極度の恐怖と我が子への罪悪感の余り、過去の記憶の全てを失ってしまっていた。
 拷問の数々にかけるも、一向に天使の涙を含む記憶は甦らず。その美しい顔はただ赤子のように無垢に虚空を見据えているだけ。
 王はそこに倒錯を覚え、一層の美を見出してしまった程だ。

 結局肝心の聖華の記憶が甦らぬ内、聖羅の仲間達による救出を許してしまったが、策略を弄し続けた甲斐あって天使の涙の出現に必要とされる宝玉は、全て王の手元へと集められた。
 後は聖華の記憶さえ引き出せれば。しかも好都合な事に配下の者からの報告によれば、娘と再会を果たした聖華は既に過去の記憶を取り戻したそうではないか。ならば後僅か。後僅かで天使の涙は王のモノとなる。

 聖羅の仲間の一人を捕らえ、本拠としていた山荘の所在を突き止めた王は、直ちに残る全ての手勢を引きつれ、襲撃をかけた。

 背水の陣に追い詰められた幻龍拳の、総統自らが先頭に立った最大の攻勢を前に、聖羅は母の身を仲間に託して裏口から逃れさせると、己は敢えて単身、真正面から王を迎え討つ決断に出た。

 心配する母にたった一言、言い残して。

 ――私は大丈夫。

 ようやく幻龍の手から取り戻し、長年の誤解を克服して、親子の絆を甦らせる事が出来た母。
 二度と渡しはしない、幻龍に。総統自らが討って出てきたのなら、むしろこれは幻龍拳を完全に叩き潰し、壊滅させる最大のチャンスだ。

 今こそ聖龍拳の継承者である私の手で全てに決着を付け、終わらせる。

 その不退転の決意を胸に、気高き孤高の聖龍戦士冴木聖羅はただ一人、敢然と幻龍拳総統王将鬼の前に立ちはだかるのだった。

 再び風が吹いた。世界の命運を決する聖龍と幻龍の対決の刻を前に、空気は恐ろしいまでに張り詰め、震え、怯える。
 やがて聖羅が初めて、静かに口を開いた。

「お前だけは許さない……」

 幻龍拳の総統だろうと何も恐れる事はない、どこからでも受けて立つとばかりに、聖羅はその小柄な身を真っ向から王に向かい合わせたまま、敢えて誘い込むかのような余裕すら漂わせながら、ゆったりとした所作で両手をベージュのブルゾンにかけ、脱いだかと思うや――。

「私の血が!」

 一転、裂帛の気迫と共に鮮やかに上半身を翻し、脱いだブルゾンを放り投げると、軽やかに、しかし力強く、両腕で空を切りながら構えを取る。流れる長い黒髪が陽光を反射し、美しく艶めいた。

 手刀の形で真っ直ぐ眼前に突き出した左手をぎゅっと握り締め、拳を形作ると、ブルゾンを脱ぎ捨て素肌が露わになった聖羅の右の上腕部の外側に、緑の龍を象った紋章が神々しい光と共に浮かび上がる。

 これぞ聖羅が聖龍拳の真の継承者たる紛う事なき証。

 自らの意思によってこの紋章を腕に発現させた時にこそ、聖龍拳の継承者は歴史上の他の如何なる武芸家、武道家、格闘家もたどり着けなかった領域にまで己の潜在能力を引き出し、巨大な幻龍の前に単身立ちはだかる事を可能とせしめる最強の龍と化すのだ。

 そのまま聖羅は赤いヘアバンドを額に回して黒髪を括り、カチリと両手に黒光りするレザーの指貫グローブを嵌める。

 これも聖龍の胆力なのか、再び彼女の面持ちは静謐さを取り戻し、静と動の対比を際立たせながら、あたかも闘いの前の厳かな儀式の如くその身を闘衣に包ませていく。

 やがて王の前へと完全にさらけ出された聖羅の闘衣は燃え上がる炎のような真紅。白い半袖のTシャツの上に赤い袖無しベストを羽織らせた姿。

 これまで数え切れぬ幻龍の強者達を地獄へと叩き落とした聖龍戦士、聖羅の象徴たる装束だ。

 今ここに世界の救世主として気高く美しき聖龍が降臨し、聖龍伝説は遂に完結を迎えようとしているのだ。

 己の眼前に立つその美しき聖龍に、王は高揚と興奮と共に身震いを抑える事が出来なかった。
 この美しき聖龍を自らの龍、幻龍によって退け屈服させた瞬間にこそ、王は真に最強の覇者として世界に君臨し、絶対の秩序をもたらす事が出来るのだ。

 六十億を超える全人類の中でたった一人。たった一人、この女さえ倒せれば世界の全ては我がモノとなるのだ。

 女よ、我が足元に跪け。

 溢れ出す征服欲に誘われるがまま、先に仕掛けたのは王だった。
 唇の端に笑みを湛えつつ、滑るように体を側方へとスライドさせる。
 あたかも大地から浮遊するかの如く、その巨躯からは想像も付かぬ高速で残像を刻みながら、構えたままの聖羅の周囲を移動し、幻惑する。

「どうした! 早くかかってこい!」

 挑発しつつ、王は尚スピードを上げ、聖羅の四方八方に無数の影を現す。
 過去愚かにも王に闘いを挑み、死をもって制裁とされた者達ならばほぼ全て、既にこの時点で勝敗は決している。
 王の超スピードの前に翻弄され、完全に闘いの主導権を握られ、その姿を捉えるどころかかすめる事すら出来ぬまま、ただ一方的に嬲られ、屠られ、無様な骸を築くのだ。

 ならば眼前のこの小娘は。聖龍はどうか。
 如何に聖龍の継承者といえど、最強の幻龍の前では所詮落龍に過ぎぬか。
 小手調べの意味合いも含め、王は聖羅を幻惑し続ける。

 だが聖羅は変わらなかった。
 王が仕掛けた瞬間から何一つ変わらず、構えを維持したまま、前方のただ一点だけを見据え、黒のローファーで固めた両足でしかと大地を踏みしめている。

(……むっ)

 圧倒的に先手を取られながら、実に堂々とした聖龍の姿に王が初めて眉をしかめる。

 これだけのスピードを前にしてもまるで動じぬか。フンッ、面白い。

 超スピードの幻惑を維持し続けたまま、王はさざなみ立った己の心中を覇者の笑みで塗り消し、いよいよ一撃に出る。

 刹那、二つの強烈な眼光が真正面に重なり、両者大地を蹴った。

「むん!」

 凄まじき覇気と共に、王は右の拳を打ち込む。

 だが――。

 ビシィッ!っとレザーを弾く乾いた音が、荒野一体に響き渡った。

「……ぬうっ」

 低い呻きと共に、王は思わずその巨躯を後方へ泳がせ、数歩押し戻される。

 聖羅のその美しい相貌目がけ、鉄拳を打ち込んだはずの王だった。しかしそれと同じく、聖羅もまた拳を打ち込んだ。超スピードによる幻惑にも一切心乱される事なく、五感と五体を研ぎ澄まし互いの初撃の瞬間を見抜き、完璧なまでの踏み込みで打ち抜かれた少女の拳は、速く速く、そして体格差をもろともせず力においても王を勝ったのだ。

(――打ち負けただと、この私がっ)

 硬い骨を鉄槌で打ち付けられたような痛みを覚えながら、王は内心の衝撃を必死に抑えんとするが、動き始めた死闘は感情に囚われる暇を与えない。
 完全に機先を制した聖羅はそれまでの不動さから一転し、続け様に反対の拳を振り抜き、二撃目へと繋げる。更に後方へと巨躯を逃してかろうじてかわす王。

「ハッ! ハハッ!」

 構わず聖羅はその小柄な体躯の持つアドバンテージを最大限に生かし、バネのように全身を伸縮させながら次々と高速のラッシュを繰り出していく。
 空を薙ぐ音と共に、レザーの拳が右から左から王の顔面に襲いかかる。先程までの王を上回らんばかりのそのスピードの前に、王はガードを掲げる間もなく、ひたすら後退を強いられる。防戦一方ながらも、既に十発近く振り抜かれた聖羅の拳をどうにかかわし続け、クリーンヒットだけは許さぬ王だが、次第にそれもまた相手の想定内だと気付き始める。

 手数で圧倒しつつも敢えて深追いはせず、じわりじわりと相手を追い込みながらいずれ隙を誘い出すような、そんな攻め。

 これまで幻龍拳の数多の刺客達をことごとく返り討ちにし、聖龍拳の継承者としての潜在能力を覚醒させてきた聖羅は、十代の少女ながら既に戦いの駆け引きにおいても総統たる王すら翻弄せんとしていたのだ。

 小癪な、小娘がっ!

 堪え切れず王の心に苛立ちが走った瞬間、聖羅の口元に小さな笑みが浮かんだ。
 この隙を待っていたとばかりに。

 ――来るっ!

 一気に懐へと踏み込んできた聖羅に、王は慌てて眼前に左手を掲げた。

 バチッ!っと鈍い音を立てて、聖羅の強烈なもろ手打ちが王の左手首を左右から捉えた。

「――ぬぐうっ!」

 激痛と共に手首がひしいだ感覚に王はたまらず膝を突きそうになるが、更なる聖羅の追撃を察し急ぎ身をひねらせる。

 鋭く刺すような聖羅の正面蹴りが王の中華服をかすめ、一条の裂き痕を走らせたのは一瞬差だった。惜しくも獲物を捉え損ねた蹴りは代わりに王の背後にあった巨木を叩き、轟音と共に根元からその太い幹を震わせる。

 電光石火の聖羅の攻めはそれだけに止まらない。

「ハッ!」

 軸足はそのままに、聖羅は流れるような身のこなしで木を蹴った足を反転させるや、鮮やかな後ろ回し蹴りへと繋げる。

「――ぐっ!」

 どうにか防御は間に合ったものの、硬いローファーの靴底で蹴られたその威力の前に、たまらずガードを弾かれ、よろめく王。
 一層の追撃の予感に、王は思わず致命打を覚悟した。

 だが聖羅はそこで一旦距離を取って、王と相対し直す。

 そのまま一気に勝負を決める事が出来たやも知れぬのに、手を変えるか?

 荒々しく息を吐き出しながら怪訝な視線を向ける王に、聖羅は向かい合ったまま黒光りするレザーと金属の小手に肘まで覆われた左右の腕をゆらめかせ、光り輝く聖龍の紋章を何とも妖しく美しく躍らせると、やがてチャキッ!と小気味良い音と共に両手首を曲げて、蟷螂の構えを取る。

「幻龍拳の総統も所詮その程度?」

 息の一つも乱さず、余裕綽々といった風情で挑発の言葉を投げる聖羅。

 王は今、全身を張り裂かんばりの怒りと屈辱と共に、美しき聖龍が見せ付けたるその無双なる力に戦慄せずにはいられなかった。

 確かにその実力は配下達から幾度も報告を受けていた。だがよもやこれ程までとは。この地上に幻龍拳総統たる己すら遥かに凌駕せんとする者が現実に存在しているなどと。

 しかもそれは女。年端も行かぬ少女。己より遥かに小柄な肉体しか持たぬはずの。

 ……これが、これが三千年の古より幻龍拳の天敵として立ちはだかり、歴史に伝説を轟かせた聖龍拳の継承者の真なる力なのか。

 その名の如く、聖龍戦士聖羅の聖なる力の衣が今まさに邪悪なる幻龍の力を余すところなく全て絡み取り、永遠に葬り去らんとしているのだ。

 ――なるか。後僅かで世界の全てを手に入れるところまでたどり着きながら、またも忌々しき聖龍によって阻まれる事など絶対にあってなるものか。

 確実に忍び寄りつつある破滅の予感に畏怖する己の心を、幻龍拳の総てを統べてきた男の意地と威厳で今一度奮い立たせ、王はしかと大地を踏みしめると眼前の少女を睨み返す。

「はああっ!」

 怒号に等しき気合いと共に、王は真っ向から聖羅の懐に飛び込む。

 今や最強の聖龍を宿したこの小娘の前では、下手な策など児戯も同然。
 ならば己の持てる全ての力と技を正面からぶつける事こそが唯一の勝機だ。

「せあっ!」

 痛めた拳にも構わず、王は丸太のように太い腕を振り抜き、聖羅の胸元目がけ渾身の正拳突きを放つ。

 しかし王の拳に走ったのは肋骨ごと聖羅の胸の膨らみを打ち貫いた感触ではなく、レザーと共に硬い鋼を弾いたような感触。

 唸りを上げる王の拳に対し、聖羅は真正面に立ちはだかったまま敢えて避けるのではなく、素早く二つの掌を構え、受けに出た。
 王の拳を双掌で完全に受け止めた瞬間、聖羅はまるで柳の如くしなやかに、そして軽やかに後方へと跳び、強烈なはずのその威力をいとも容易く散らし、逃してしまう。

 怯むな。速さと技は向こうが遥かに上。一旦攻めの主導権を握られてしまえば、先程の二の舞だ。
 王は退路を捨てて聖羅の残像を追い、更なる連撃へと繋げていく。

「はっ! はあっ! せああっ!」

 荒野を震わせる雄叫びと共に、全力を込めた王の拳が、蹴りが、聖羅の小柄な肉体を粉砕せんと次から次へと打ち込まれる。

 だが王の表情に一向に会心の笑みは走らぬ。いやむしろ飛び散る汗と共に、驚愕と焦燥ばかりが王を蝕んでいく。

 まさに嵐の如く打ち込まれる王の拳と蹴りの数々を、聖羅は顔色一つ変える事なく、至って冷静に、その小柄な身を駆使したガードでことごとくさばき、いなしてしまうのだ。
 無数の拳全てが甲高い音だけを上げ、グローブの金属部によって弾き返されてしまう。蹴り技を幾ら放とうとしてもそのスピードで瞬時に間合いを詰められ、力を乗せられぬままブルージーンズの両脚で簡単にブロックされてしまう。

 そして王の攻撃の一つ一つを確実に跳ね返す度、聖羅の腕が、脚が、青白い輝きを放っていく。

 人間の体内に秘められた「気」。鍛錬によってその扱いを自覚出来るようになった者は、その力を格闘にも転じさせる事が出来る。体内を巡らせれば肉体の強化に、体外へと放出させれば気功波という物理的な力として。

 即ち、初撃の瞬間より聖羅が王との攻防で行っているのは「気」による肉体の強化。しかしそれは生半可な使い手による藁の楯程度のモノではない。

 過酷な鍛錬によって精神を統一し体内で膨大な「気」を練り、自由自在に巡らせる術を会得した聖羅は、人間の肉体が本来持つ潜在能力をほぼ100%まで引き出す事を既に可能としているのだ。

 肉体の望むがままの部位を、瞬時に、攻撃においては爆発的な破壊力を、防御においては鋼の如き硬度を。

 これぞ聖龍拳の神髄であり、聖羅がその真の継承者たる所以。三千年以上の歴史において有象無象の拳法家は愚か、幻龍拳ですらたどり着けなかった領域。

 今や世界でただ一人、聖龍拳継承者冴木聖羅だけが使えるこの術こそが、遥かに巨躯の王を前にした真っ向からの肉弾戦においても圧倒的優位に戦いを進めさせているのだ。

「ぜあっ! ぜいっ! どあっ!」 

 どれだけ王が気合いを込めた拳と蹴りを打ち込もうとも、絶え間なく青白い輝きを放つ、己よりも小柄なはずの聖羅の肉体は一向に砕けぬ。疲労と共に蟷螂の斧で鋼を打ち付けるような無力感ばかりが王の肉体と精神に蓄積されていく。

 それはまさに鉄壁の守り。この世界を幻龍拳の魔手から守り抜く最後の砦。幻龍より遥か高みを優雅に飛翔する聖龍。

「そんなチャチな攻撃じゃ私に通用しないよ」

 全ての攻撃を跳ね返しながら、不意に聖羅がそのかすり傷一つない美貌に浮かべた余裕の笑みに、王は一層屈辱感を刺激される。

「聖羅あっ!」

 疲労も構わず激怒の感情を爆発させ、王は今一度渾身の上段前蹴りを聖羅の顔面目がけて振り抜く。

 だが――。


 ――消えた⁉

 王の無骨な足が捉えたのはただ虚空だけ。
 動揺から遅れて視線をスライドさせると、真紅の闘衣を翻しながら滑らかな車輪のようにその全身を回転させ、再び体勢を戻す聖羅の姿があった。

 それまでの己の肉体を駆使した鉄壁の防御から一転、王が蹴りを放った瞬間、抜群の身体能力で聖羅は側転し、かすらせる事すらなく難なくかわしてしまったのだ。

「聖羅! 聖羅!」

 怯まず王は更なる蹴りを繰り出すが、今度は素早くバネのように身を反らしたバク転で、またも容易く聖羅にかわされてしまう。

「せええええらああああぁぁぁっっっ!」

 絶叫を迸らせ、狂ったように右に左に脚を振り続ける王。既に手負いの幻龍の激情ばかりが王を突き動かしていた。

 だが幾ら蹴撃を繰り返しても、聖羅のその身に一度も触れる事すら叶わない。

 側転、バク転、跳躍。

 つい先程までのバカ正直な打ち合いが前戯に過ぎなかったとばかりに、聖羅は真紅の闘衣と艶やかな長い黒髪を翻しながら、その鮮やか過ぎるまでの体術によって王の攻撃の全てをことごとくかわしてしまう。

 それはさながら華麗なる聖龍の演舞が如く。

 最早己とは比較にならぬ程の聖羅の超スピードの前に、ひたすらスタミナばかりを消耗させられ、王はいつしか幻影を相手にしているかのような錯覚に陥ってしまう。

 真紅の闘衣に身を包み、黒光りするレザーグローブを両手に装着し、ブルージーンズを履き、長い黒髪を流す聖羅の姿が王の視界には幾人、いや幾十人にも分裂して見える。
 どれだけ攻撃を浴びせようとしても捉えるのは幻影ばかり。

 幻龍の名すら奪うかのように、幻の姿を飛翔させる聖龍。

「フフッ。フッ……。そっちじゃないよ、こっちだよ」

 この世界の死命を賭けた戦いの場には相応しからぬ、年頃の少女の悪戯っぽい笑い声だけが今や王が唯一はっきりと認識出来る聖羅の存在。

 それでも幻影の中にあるはずの聖龍の正体をただ求め、疲弊し切った身を鞭打ち王が我武者羅に、闇雲に拳と蹴りを振るい続けてどれ程経っただろうか。

 疲弊の余り、思わず足がもつれ大振りの拳を振るってしまう王。

 その刹那だった。

 幅広の両肩をぎゅっとレザーで鷲掴みにされる感触。

 既に朦朧とする意識で緩慢に視線を追わせると、宙を舞う黒髪に強い西日を反射させ、王の肉体を支点として倒立する聖羅の姿があった。

 永遠にも思えた幻影から一転、再び攻めに出た聖羅。

 ブルージーンズの両脚とローファーの靴底が夕暮れの天を真っ直ぐに突き、美しい弧を描く。それと同時に王の両肩にその小柄な体躯からは信じられぬ程の握力と圧力が加えられ、疲弊し切った大柄の肉体は呆気なくバランスを崩されてしまう。

 反応はまるで追い付かずとも、聖羅に背中を取られたという直感。

 ようやく振り返った王の前に、美しいまでに無表情な聖羅の顔と、青白い光を放つ鉄拳が迫りつつあった。

 王は今、総毛立った。

「ぶははははああああああぁぁっ!」

 肋骨がまとめてへし折られる鈍い音と、濁った王の絶叫が荒野一体に響き渡る。

 まさに勝負を決する一撃。

 膨大な「気」で強化され、爆発的な速度と威力を伴った聖羅の右拳が、王の分厚い胸板を砕き、穿ち、その巨躯を大地から引き剥がし吹き飛ばして、数十メートル先の巨木へと背中から勢いよく叩き付けたのだ。

「がっ……、がはっ……、がはあっ……」

 溢れ出た血反吐がたちまち王の顎先から首元まで赤く染め上げる。
 文字通り胸は押し潰され、背骨はひしゃげる程に打ち付けられ、息の根が止まるような衝撃に、王はたまらず苦悶で顔を歪める。
 その様はまるで小さな巨人に弄ばれた玩具のようだ。

 飛びそうになる意識の中で、王はささくれ立った幹にズルズルと背をこすり付けながら、己の想像を遥かに超越した現実の前に、ガタガタとその巨躯を震えさせずにはいられなかった。

 三千年を超える歴史の中で、未だかつてこれ程までに幻龍拳の総統と聖龍拳の継承者との間で歴然たる力の差が生じた時代などあっただろうか?

 これが三千年以上に及ぶ聖幻の戦いに終止符を打つ者なのか。聖龍伝説を遂に完結させる者なのか。
 眼前のこの美しき少女こそが。

 限りない恐怖と絶望の前に、そのまま敗北と言う安らかな眠りに身を沈ませたい誘惑に駆られながら、しかしそれでも王はダラダラと血を流し続ける歯を食い縛り、震える身を無理矢理抑え込み、幹に片手を突いて確かに両足を立たせて、今一度ぼやけた視界の先の聖羅を見据える。

「まだ……、まだだっ!」

 最早己に万に一つの勝ち目もあるはずがない。
 だがそれでも、それでも悲愴なまでに王を聖龍へと立ち向かわせるのは、幻龍の総てを統べる者としての意地と誇りか、或いは一人の拳法家としてあくまで強き者を追い求める闘争心か。

 既に気力も体力も限界にまで追い詰められた王が思い付く、聖羅に唯一対抗出来る手段。

 それは気功波。幻龍拳奥義、幻龍魔空波(まくうは)。

 敗北間際の今の今まで王が温存していた切り札だ。

 聖龍拳とはたどり着いた領域こそ異なれど、幻龍拳もまた「気」の扱いを自覚し、独自に極めんとした一派である事に相違ない。
 長き幻龍の歴史において歴代総統を始め多くの梟雄達が試行錯誤を繰り返した末に、一つの到達点として編み出された技こそが幻龍魔空波。
 現代の幻龍拳においては総統たる王のみが会得し、数多の強者達を問答無用で跪かせ、その頂点に君臨させた根源。

 万全の状態においても全力で使用すれば王の命を危険に晒しかねないこの技だけが、今や聖龍に一矢報いる事を可能とさせる最強最後の手段なのだ。

 幻龍魔空波ならば。如何に聖龍といえど無傷で済むはずがない。

 意を決するや否や、王はボロボロの身を執念で動かし、構え、「気」を練り始める。
 両手を突き出し、空を切るにつれ、次第にその周囲へと「気」が集約され始める。敗北の淵に立たされた王のどこにこれだけの力が残されていたかと思わせる程の、強大な「気」。

 それはただただ敵を食らい、殺め、屠る為に幻龍が極めた魔性の「気」。

 これならば。これならばあの小娘とて。

 空と大地を震えさせながら強大さを増す己が魔性の「気」に、王は一片の希望を見出し、標的たる聖羅に狙いを定める。

 だがそこで王は目を見張った。

 最終手段に出たこちらに対し、距離を挟んで対峙する聖羅は些かも動じる気配がないばかりか、王が気功波の構えに出たのと呼応するように、両足を踏み込み、黒光りするレザーグローブと光輝く聖龍の紋章を揺らめかせながら、大きく円を描くように両腕を回し、独特の構えを取り始めたではないか。

 ――何っ⁉ 聖羅もまた気功波か。

 王は驚きを隠せない。
 何故ならばこれまでの配下達からの報告において、聖羅の驚異的な実力こそ幾度も知らされど、気功波の使用は一度も確認された事がなかったからだ。

 無論これだけ「気」の扱いに卓越し、王ですら赤子に等しい程己の肉体を強化する術を心得ている相手が、気功波においてだけ無知とは考え難い。過去三千年以上の聖幻の戦いにおいては、確かに聖龍拳独自の気功波の存在も知られてはいる。
 しかしそれでも幻龍魔空波を目論むこの局面において、初めて気功波を撃つ構えを見せた聖羅に、王は腸が煮えくり返るような思いに駆られずにはいられない。

 それは四天王、三鬼神を始め多くの強者達を退け、総統たる王すら敗北の淵にまで追い詰めた聖羅のこれまでの幻龍拳との戦いが、所詮は気功波といういわば奥の手を秘め続けたままの、本気ではなかったという事を意味するからだ。

 一体幻龍はどれだけの犠牲を払わば、聖羅のその秘めたる力の底の底まで知る事が出来ると言うのか?

 だが今は己の感情に囚われる愚を捨て、王は魔性の「気」を集約させる事に専心する。

 今に見るがいい、聖羅。如何に貴様もまた気功波の使い手と言えど、これまで実戦で一度も未使用ならばあくまで鍛錬の場だけの眠れる龍に過ぎぬ。

 聖龍拳の継承者は最早聖羅ただ一人で、この世界に幻龍拳を上回る強敵など他にいるはずもない以上、まともな実戦と呼べる場で己の気功波の真価を試せた事はないはず。
 ならば気功波の一点に賭ければ、こちらにも分はある。幻龍魔空波のその威力、その恐怖、その魔性を知り尽くしている王ならば。何よりも幻龍魔空波を極められたからこそ王は自らの父である前代の総統を闇に葬り、若くにしてその座に就く事が出来たのだ。

 王の巨躯を漲る魔性の「気」は赤く禍々しい輝きを放ちながらいよいよ極限にまで達し、発射の体勢を取らせる。

「思い知るがいい。幻龍魔空波を」

 睨み据え言い放った王に、対する聖羅もまたその小柄な身を巡る「気」を、まばゆい光と共に構える手の先へと集中させつつあった。

 それは青白く神々しい光。幻龍の魔性の「気」を滅さんとする、聖龍の聖なる「気」の光。

 聖羅はその大きな黒い瞳で王を真っ直ぐに睨み返すと、正義の心と絶対の意思で宣言する。

「正しき聖龍の名に賭けて、お前と幻龍の野望は今ここで永遠に打ち砕く!」

 両者、構えた。

「幻龍拳奥義」

「聖龍拳奥義」

 そして同時に王が両手を、聖羅が右手を目一杯前方に突き出す。

「幻龍魔空波!」

「聖龍風神掌(ふうじんしょう)!」

 絶叫と共に放たれた互いの「気」が正面から空中激突し、さながら龍の雄叫びが如き荒々しき唸りを上げながら、目がくらまんばかりの青と赤の光で荒野一体を包み込む。

 それは三千年以上に及ぶ聖龍伝説の最終章たる、聖龍と幻龍の相克。

 だがしかし、その結末は僅か一瞬後に訪れた。

 小柄な聖羅が右手一本で黒光りするレザーグローブから放った青き聖なる「気」は、王がその巨躯に全身全霊を込めて両手から放った赤き魔性の「気」よりも遥かに遥かに巨大で、激突するやたちまちに押し切って王もろとも飲み込んだのだ。

 その刹那、王は確かに己を喰らわんと眼前に迫る巨大な光の龍を見た。

「うがあああああぁぁぁぁぁっ!」

 神々しい光が地平線の彼方まで覆い付くし、断末魔と共にまたも王は背後の巨木まで吹き飛ばされ、叩き付けられる。王もろとも巨大な光に飲み込まれた巨木は、とうとう根元から傾いで倒れ、激しい轟音を上げながら大地を揺らす。

 気功波という、王の一縷の希望すら完膚なきまでに打ち砕く、聖龍風神掌のその凄まじき威力。

 ブスブスと己の服と肉が焦げる臭いを嗅ぎながら、最早精も根も尽き果てた王は、かろうじて膝立ちの姿勢で己の肉体を支えたまま、呆けたように白目を剥いてただ虚空を仰ぐ事しか叶わなかった。

 その姿はあたかも神に許しを乞う哀れな罪人のようにも見えた。

 聖龍風神掌を放ち終え、構えを解いた聖羅は、今この瞬間までの決戦が嘘のように、静謐な面持ちで無様な敗者たる王を見据える。

 荒野に一陣の風が吹く。

 そして聖羅は美しいまでに冷酷に言い放った。

「さあ、懺悔の時間だよ」

 それは聖羅の完全なる勝利の言葉。これまで敗者と化した数多の幻龍の刺客達が浴びせられ、地獄行きを告げられた。誰一人例外なく、幻龍拳総統たる王も今また。

「王、お前を倒したのは怒りだ。お前に無残に殺された人達の悲しみを背負った私の。そして愛だ。幼い私をお前達幻龍拳から命がけで守ってくれた母さんの。その怒りと愛にお前は倒されたんだ」

 万感の思いで聖羅は勝利の言葉を紡ぎ、毅然と宣言する。

「終わりだ、お前も幻龍拳も。この世界は三千年以上に渡る幻龍拳の恐怖からようやく解放され、新しい時代を迎えるんだ。聖龍拳の継承者であるこの私の手で」

 幻龍拳の総てを統べる地位にある男のプライドを欠片までズタズタにする言葉にも、今の王には反駁する余力など残されているはずもない。

 宣告を終えた聖羅は、半立ちのまま血反吐と涎を垂れ流しながら白目で虚空を仰ぎ続ける王の前へと一歩、また一歩と近付いていく。

 そして聖羅は王の眼前へと立ちはだかった。

 その最後に王が瞼に焼き付けた聖羅の姿は、天の裁きを下す女神に等しかった。

 次の瞬間、聖羅は言葉もなくブルージーンズの右脚を頭上へ一閃させた。顎骨が粉砕される鈍い音と共に王の顔面が跳ね上がり、天まで昇り切った黒のローファーは軌道を垂直落下に変えて、今度は高速で脳天目がけて叩き落とされる。

 硬いローファーの踵に頭蓋骨を割られ、脳髄が散り、目玉と舌が飛び出すような衝撃。

 声も上げられぬまま、その今際の際の記憶と共に、王の意識は永遠に途切れた。

 それは最後の総統王の死をもって、幻龍拳が完全に壊滅した瞬間。

 ズルズルと巨体を崩れさせ、うな垂れ跪くような姿勢でピクリとも動かなくなった眼下の骸を、聖羅は手向けの言葉もなくただ冷たく見下ろし、やがて踵を返す。

 聖羅は歩き出す。闘い終えて茜色に染まった夕暮れの荒野を。長い黒髪と真紅の闘衣を風になびかせながら。

 聖龍の宿命を背負い、伝説を現代に甦らせ、たった一人でこの世界を三千年以上に渡る邪悪な幻龍の野望と脅威から救った美しき少女は、ほぼ全ての人間にその英雄的偉業を知られずとも称えられずとも、確かに帰って行く。

 仲間の元へ、そして母の元へと。

 ――私は大丈夫。

 その言葉を真実として母に届ける為に。

 聖龍伝説、今ここに完結す――。

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