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花火に消された言葉

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花火に消された言葉


 季節:大学1年生夏

 今日は澪ちゃんとデート!
 といきたかったんだけど、恥ずかしくで出来ませんでした。
 でも澪ちゃんとどこかと行きたい。
 私が出した結論は、ムギちゃんりっちゃん含めた4人で旅行に行くことでした。
 まずはお買い物に観光、食べ物……。最後に水族館に行く予定です。
 水族館の近くには観覧車があって、今日と明日はなんと近くで花火が打ち上げられるとか。
 これに澪ちゃんを誘いたい……んだけど。

 集合場所の駅に着きました。誰もいません。
 えへへ。楽しみで早すぎちゃったのかも。
 澪ちゃんに笑われないように髪を整えて……よし準備万端。
 そうしてまだかまだかと待っていると、

  「ゆい~、早いじゃないか」
  「澪ちゃんおはよ~」

 澪ちゃんが到着しました。ふふ、今日もかわいいなぁ。

  「おはよ。どうしたんだ?今日は雨?」
  「ひどいよ澪ちゃん。楽しみで早く着ちゃったんだ」
  「私もそうだけど……。先越されるとは」
  「上には上がいるのですよ」

 澪ちゃんも楽しみだったみたいです。
 これだけでも誘った甲斐がありました。

  「澪ちゃん、飴あげるよ」
  「ん、ありがとう。服似合ってるぞ」
  「えへへ。これ、前澪ちゃんがかわいいって言ってた服だよ」
  「あぁ、やっぱり。私より唯の方がこういうの似合うよ。
   でも一緒に行った時に買えばよかったんじゃ」
  「帰ってから欲しくなることってない?」
  「あ~、あるある。……と律が来たな」

 りっちゃんが遠くの方で手を振っていました。
 りっちゃん。信号守らないと危ないよ。

  「おまたせ~」
  「おはよ~、りっちゃん」
  「今日は遅刻しなかったな」
  「澪だけの時はともかく、皆を待たせるわけにはいかないし?」
  「はぁ~。今度遅刻したら置いていくからな!」

 やっぱり澪ちゃんとりっちゃんはよく一緒にお出かけするみたいです。
 うらやましいなぁ~。

  「二人はよく一緒にお出かけするんだよね。いいなぁ~。
   私も澪ちゃんと一緒にお出かけしたい」
  「なぁ、唯?私はなし?」
  「あ~!忘れてた~!ごめんねりっちゃん!」
  「このこの~!」
  「あうう~」
  「やれやれ」
  「みんなお待たせ~」

 サングラスをつけたムギちゃんも到着しました。
 うう~ん。これくらいのネタ仕込むべきだったのでしょうか。

  「律、唯、忘れものないだろうな?」
  「うん、私は大丈夫。何回も確認したよ」
  「ばっちりだぜ!」
  「それじゃあ行きましょ~」

 目的地までの電車に揺られること数時間、高校生の頃の思い出話や憂やあずにゃん達の話をしたり
 話に疲れたりっちゃんは眠ったりして過ごしました。
 観光、買物などを楽しんだ後、次はいよいよ水族館です。
 その間澪ちゃんの顔を見つめてぼーっとしていると、ムギちゃんが私の顔をじっと見ていることもありました。
 気づかれてるのかなぁ?

 澪「じゃあ、次は水族館だな」
 律「そこってでっかい魚がいるんだろ?」
 唯「うん、ジンベイザメって言うんだって」
 紬「私知ってるわ。確か人間を襲うこともあるのよね。こう、ばきばきむしゃー!って」
 澪「こらむぎ!それはホオジロザメだろ。ジンベイザメはおとなしいから
   人間を襲ったりはしないって聞いたよ」
 唯「サメでも怖くないサメもいるんだね~。初めて知ったよ」
 律「サメって言ったらフカヒレだよな。ふふふふ」
 唯「た、食べられるのかな!?」
 澪「食べ物の話ばっかりしてないで早く行くぞ」
 紬「行きましょ行きましょ」

 ・
 ・
 ・

 唯「着いたー!」
 律「待ってろよフカヒレちゃん!」
 澪「中で大声出したら怒られるぞ~」
 紬「きゃ~きゃ~」
 澪「やれやれ、ムギまで」

 律「4人で固まって行動するのもなんだし、2-2で分かれようぜ」
 唯「分かれるの?やっぱりりっちゃんは澪ちゃんとだよねぇ……?」
 澪「私は別に誰とでもいいよ」
 紬「こういう時のためにアミダくじ作ってきたの」
 律「さすがムギ!わたしここ~」
 唯「あー!私もそこが良かったのに。じゃあここでいいや。澪ちゃんどこにする?」
 澪「もう二択だけど……。こっちかな」
 紬「じゃあ残りは私っと……。結果発表をします」

 ムギちゃんは用意周到というか、元々こういう予定だったのかな?
 ここで澪ちゃんとなれたら!
 その時はムギちゃんに感謝しなきゃ。

 紬「唯ちゃん?」
 唯「はい!」
 紬「澪ちゃんとみたい。おめでとう♪」
 唯「えへへ。澪ちゃんよろしく~」
 澪「よろしく。じゃあ私たちはあっちから行くか。
   ムギ~、律の監視頼んだからな」
 紬「任されました~!」
 律「監視ってなんだよー!よしムギ行くぞ!」
 ・
 ・
 ・
 なんと澪ちゃんと二人っきりで回ることになりました。
 思わず口元が緩みそうになるけど、我慢我慢。
 でも幸せだなぁ~。

  「唯~、この魚きれいだぞ」
  「ほんとだ。綺麗だし、小さくてかわいいね」
  「唯って本当、可愛いの好きだよな」
  「えへへ~。大好物ですよ」
  「大好物って言ったら食べ物みたいに聞こえるじゃないか」
  「そ、そうかなぁ?」

 澪ちゃんのツッコミは結構鋭いのです。
 可愛い澪ちゃんも大好物だよって言いたいけど、やっぱり言えません。

  「クラゲだ~。ぷにぷにしてそう」
  「クラゲって神秘的で、なんかいいよな。……いい歌詞が思い浮かびそう」
  「うん。なんか不思議な感じ。そういえば澪ちゃんの指もぷにぷにだよね」
  「うーん?……自分ではあんまり分からないよ」
  「久々にやっていい?」
  「こんな人前でか?……ちょっとだけだぞ?」
  「やったぁ!ぷにぷに。ぷにぷに」

  「なぁ、やっぱりちょっと恥ずかしいんだけど」
  「も、もうちょっとだけ!」
  「今度、人のいないところでならていいけど、今日はダメ」
  「えへへ。ちょっとやりすぎちゃった」

 久々に指をぷにぷにできました。
 前と変わらず、ぷにぷにしてて気持ちがいいです。

  「全く……。さ、次行こうか」
  「うん!……よく見るとカップルさんばっかり」
  「ほんとだ。手繋いだり、腕組んだり」
  「幸せそうだよね」
  「唯はこーいうことしてくれる人いないのか?」
  「いないよ~。憂とは手繋いだりしてるけど。澪ちゃんは?」
  「ん?唯と一緒でいないぞ」
  「そっかぁ。じゃあ、好きな人は?」
  「えぇ!?んー……、今のところはいない、かなぁ?そういう唯はどうなんだ」
  「わ、私?私ってそういうのには縁ないかなぁ……」

 いるけど本人の前で言えません。
 でもこういう時にさりげなく言ったほうが言いやすかったのかもしれません。

  「意外といたりして~と思ったけど。唯、あっちでいわしが回ってるぞ」
  「綺麗にまわってる~。たまに違う方向に回ってる子もいるね」
  「そんな凝視してたら目まわるぞ~」
  「大丈夫、大丈夫……あら?」ふらふら
  「言わんこっちゃない。よし、次行くぞ」
  「はぁ~い……」
 ・
 ・
 ・
  「そろそろ大水槽だよ、ジンベイザメがいるみたい」
  「唯詳しいな。調べてきたのか?」
  「そりゃあ私が誘ったんだし、楽しみで仕方なかったから」
  「でも調べてくるのはえらいぞ」よしよし
  「あは~。澪ちゃんに撫でられたよ~」
  「お!着いた」
  「おおおおお!大きい!!」
  「でっけ~」
  「かわいい顔してるよ~」
  「つぶらな瞳……トンちゃんみたい。って唯なら言いそう」
  「ほえ?あぁ!確かに似てるよね。でもそれ澪ちゃんが思ったんじゃないの~?」
  「う、うるさい……。まぁそうだけど……」
  「照れちゃって~」
  「もう!置いていくからな!」
  「だめ~。ゆっくり行こうよ~」
  「唯がおちょくるから……」
  「だって照れてる澪ちゃん可愛いんだもん。えへへ」
  「決めた。いつかし返すからな」
  「えぇ~……」
  「まぁ、それより、今日はこっちだろ」
  「そうだった」
  「エイもいっぱいいるぞ」
  「エイって尻尾に毒があるんだって。刺されて死ぬことも」
  「や、やめてくれえええ」
  「よ~し、じゃあ次いこ~!」
 ・
 ・
 ・
  「次はマンボウか」
  「ムギちゃんだね」
  「ああ、ムギだ」
 ・
 ・
 ・
 そんなこんなで澪ちゃんとの二人っきり水族館デート?も終わっていましました。
 結局今夜のこと言えなかったよ。
 りっちゃんとムギちゃんはもう見終わってみたいで二人でおみやげコーナーで騒いでいました。
 ムギちゃんは大きなジンベイザメのぬいぐるみを買ったみたいです。

 律「お、唯、澪おかえり~」
 唯「二人共早いね~」
 紬「二人がクラゲの前でいちゃついてた時に抜いたの」
 澪「い、いちゃついてなんか!」
 律「ほんとか~?満更でもない顔してたぞ~?」   
 唯「ち、違うよ!あれは私がお願いしただけだから」
 澪「唯は気にしなくていいんだ。最近ムギも向こう側だから負けそうだよ」
 紬「ふふ♪ふふふふ♪」
 律「そろそろ宿に向かうとするか~」
 澪「そうだな。歩きっぱなしで足がパンパンだ」
 唯「すぐ近くだからちょっとだけ我慢してね」

 宿についた後はちょっとお話した後それぞれの部屋で休憩しました。
 花火は9時からです。今の時間は4時過ぎなのであと4時間くらいで……。
 なかなか落ち着かないので部屋をうろうろしたりベットにの転んだり。
 そうしているうちに8時を回ってしまうのでした。

 はぁ~。もうやめておこうかな。
 もしも部屋に行ったとしても、誘えなかったら変な子だと思われるし。
 りっちゃんと遊んでるのかもしれないし……。

 そんなことを考えながらベットで横になっているとメールが来ました。
 ムギちゃんからです。
 『占いしてみました~。唯ちゃんは思い切って行動すれば良いことがあるでしょう。
  って出たわ。よく分からないけど、なにかあるなら頑張ってね』 
 思い切ってかぁ……。
 よくよく考えてみるとこんなチャンスは滅多にないんだよね。
 折角、旅行に誘って、そして観覧車に乗りながら花火……。
 良い雰囲気になりやすいから上手く伝えられるかもしれない。 

 決心して澪ちゃんがいる部屋に向かいます。
 ドアの前で身だしなみを整えて……そっと扉に手を添えてドアをノックしました。

  「澪ちゃん起きてる?」
  「唯か?ちょっと待ってて、すぐ開けるから」ガチャ
  「あ、あの、こんばんは」
  「どうしたんだ?こんな遅くにかしこまって」
  「えっと……、この時間観覧車開放してるんだって。それと今から花火やるみたいだから。
   その……、良かったら一緒に見たいなぁって」
  「へぇ。良さそう。私だけでいいの?」
  「今日は澪ちゃんと乗りたい気分なんだよ~。えへへ」
  「分かった。じゃあちょっと準備してくるから待ってて」

 なんとか誘えた……でもこれからが本番。

  「お待たせ。ちょっと時間掛かっちゃった」
  「全然大丈夫だよ。足、疲れたって言ってたけど良いの?」
  「ちょっと休んだら元に戻ったから心配要らないよ」
  「良かった~。じゃあ行こっか」
  ・
  ・
  ・
 観覧車の方へ向かう私たち。澪ちゃんと私は少し離れて歩いています。
 『手、繋いでいい?』くらい言えたらなぁ。

  「なぁ唯、さっきからいつもの威勢がないけど、どうしたんだ?」
  「え、えぇ?そうかなぁ?」
  「何でもないならいいんだけどさ。木の根っ子でこけないよう気を付けなよ」
  「大丈夫だよ。ちゃんと見てるから……」

 そう言った矢先、足を段差に引っ掛けてしまいました。
 思わずこけそうになったものの澪ちゃんが支えてくれました。
 ふぅ~。危なかった。

  「どこが大丈夫なんだ。全く」
  「いやぁ、失礼しました」
  「手、繋ぐか?」
  「いいの?」
  「減るもんじゃないし。こけて怪我されたら困るし」

 私がためらっていると、澪ちゃんから手を握ってくれました。
 前、何度か手を繋いだことはあったけど、意識してると恥ずかしいなぁ。
 体温が上がって、顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かるほどです。

  「おぉぉ!」
  「そんな驚かなくてもいいだろ。ほら行くぞ」
  「うん、ありがとね澪ちゃん」
  「お、花火上がり始めたぞ」
  「ほんとだ、きれ~」
  「ちょっと急ごうか」
  ・
  ・
  ・
  「見えてきた。あそこだよ~」
  「結構大きいな。高いところ大丈夫だったっけ」
  「うん。澪ちゃんは怖がりさんだけど大丈夫?」
  「高いところは大丈夫だぞ!」
  「怖いって言われたらどうしようかと思ったよ~」

 ムキになる澪ちゃんも……ふふふ。
 もうちょっといじってみようか、と考えているうちに観覧車に到着してしまいました。

  「2名様でよろしいですか?」
  「はい、2人です」
  「では、ごゆっくりお過しください」
  ・
  ・
  ・
 観覧車は半分くらいの高さまで上がったけど一言も声を掛けられません。
 このまま終わってしまうのでしょうか。
 澪ちゃんは花火をじっと眺めています。
 その花火じゃなく花火の手前の澪ちゃんを見ていると、こちらを振り返りました。

  「そっちじゃ遠くて見にくくないか?横、空いてるぞ」
  「いいの?じゃあ……」

 4人乗りで椅子に二人ずつ座れると言っても、横に並ぶとひっつきそうな程の幅です。
 ちょっと離れて座ると、もうちょっとこっちと言わんばかりに引っ張られました。

  「花火、綺麗だな」
  「うん、綺麗」
  「唯が誘ってくれて良かったよ」

 横に座ったのに、横に座ったから?
 花火よりも横にいる澪ちゃんが気になりじっと見ていました。

  「……」
  「唯?」
  「あ、ご、ごめん。澪ちゃんが喜んでくれたなら嬉しいな」
  「やっぱり今日の唯はちょっと変だぞ。悩み事か?」
  「ううん、私は元気だよ」
  「それならいいけど」
  「綺麗だね~」
  「ああ、観覧車に乗って見たの初めてだ」

 赤や青・黄色など彩り豊かな花火が夜空を飾り、観覧車の中は澪ちゃんと私だけ。
 「好きだよ」と伝える自分を何度もイメージしそして自分の気持ちを伝えようと声を掛けます。

  「あ、あのね。澪ちゃん」
  「うん?」
  「今日は付き合ってくれてありがとう」
  「こちらこそ」
  「それでね、澪ちゃんを誘ったのは言いたいことがあって……」
  「言いたいこと?」
  「うん……」
  「言い難いことなのか?」
  「そ、そんなことはないんだけど……あのね」
  「唯?」
  「私、澪ちゃんのこと……
 バン!バン!バババババン!
 私が『好き』という言葉を発した瞬間、花火が一斉に打ち上げられフィナーレを飾りました。
 私の声は澪ちゃんに届いたのでしょうか。
 もしも届いてなかったら……

  「わぁぁ、すごい迫力」
  「すごくきれい……」
  「……」
  「……」
  「なぁ唯、花火で聞こえなかったからもう一回言ってくれる?」

 届いていなかった。もう1回?
 えへへ。出来そうにないよ。

  「ええっと……なんでもないんだ」
  「何でもないってのはないだろ?」
  「んーー。今度、また今度ね」
  「うん?分かった。今度だな」
  「だからこれからもずっと仲良くして欲しいな」
  「あぁ、ずっとな」

 そっと澪ちゃんの手に自分の手を重ねると、澪ちゃんはその上から手を握ってくれました。
 気持ちは伝えられなかったけど、とても幸せになりました。
 手はそのままで、二人で海を進む船や夜景、水族館を眺めながら観覧車が元の位置に戻るまで
 二人の時間を過ごしました。

  「ほら、唯。着いたぞ~」
  「もう終わっちゃったね~残念だよ」
  「今日は唯が誘ってくれたから、今度は私の番だな」
  「わぁ、楽しみ~」
  「じゃあ、ちょっと寄り道して帰ろうか」
  「うん。……ねぇ腕組んでもいい?」
  「腕!?まぁ、いいぞ。ほら」
  「やったぁ~!」
  「顔、ひっつけ過ぎだ!」
  「だ~め!このままで。お願い」
  「全く……」

 こんな顔を澪ちゃんには見せられません。
 真っ赤で口元が緩みきった顔。
 そうして私達は部屋に戻っていくのでした……。

 完
続き1
続き2

 分かる人もいるかも知れませんが後半はFF7のゴールドソーサーでのデートイベントが元ネタです。
 唯メインは初めてでしたがなんとか完成できました。
 見てくれた人どうもです。


初出:2->>972

  • 堪らん...。 -- (名無しさん) 2011-09-19 00:37:20
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