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「なんだ、その顔は、蔵馬!?」

「いえ……飛影から、そのような言葉を聞くとは思っていなかったもので。大丈夫、八神はやてという女の子は、こちらで何とかしますよ」


蔵馬が驚くのも無理はなかった。冷徹と残酷という言葉を地でいくような妖怪が、一人の少女の安否を気にかけているのだ。飛影との付き合いが長い故に、蔵馬の心を動かした衝撃は大きかった。そしてその蔵馬の反応は、日頃の自分とのかけ離れた姿を飛影に実感させるものだ。急に面映ゆさを覚えた飛影は、先の自分ごまかすかのようにソッポを向いて歩き出していった。


「フンッ」

「おや、一緒に行かないのですか?」 


蔵馬は苦笑しながら、前を行く飛影に言葉をかけた。


「行かん」 


飛影の返答は素っ気無い。足も一切の躊躇いもなく前に進んでいっている。しかし、別段そこにからかわれたことに対する怒りの色はない。そういった反応の理由をすぐさま思い至った蔵馬は、思わず溜息を漏らしてしまった。飛影の興味が、まだ見ぬ強敵へと移ってしまったことを理解したからだ。


「どこへ……、と飛影に訊くのもおかしいか。先ほど感じた霊気とも妖気ともつかぬ強大なものは、あの戸愚呂ですらも及びつかないかもしれない。それでも行くのですか?」

「だからこそだ。この場所にはいい加減ウンザリしていたところだ」


その言葉と同時に飛影の姿は、視界から消え失せた。そしてその代わりにと、ユリアは蔵馬に声をかける。


「良かったのですか、一人で行かせてしまって?」

「大丈夫ですよ、ユリアさん。彼はあれで中々頼りになります。バーンを倒すまでは、決して無茶はしないでしょう…………多分」


笑顔で話していた蔵馬の表情が、言葉尻には翳り、頭に手をやっていた。その仕草は蔵馬の心配を如実に示すものだ。だけど、ユリアはそこからもう一つ別の想いを見て取っていた。


「信頼しているのですね」

「信頼…………ですか?」 


ユリアの言葉に蔵馬は再びキョトンとした顔を浮かべた。


「ええ。蔵馬は彼の強さが、間違いを犯すことを考えていない。もしその可能性が少しでも思い浮かぶようだったら、蔵馬は彼を止めていたはずです」


ユリアは力を単なる暴力として使う知り合いの面々を頭に浮かべた。もしここでシン、トキ、ラオウらと出会ったなら、とてもではないが彼らを一人になどできない。そういった考えがある故に、ユリアは飛影を一人で行かした蔵馬の相手に対する信に気がつき、そして羨ましく感じた。


「そんな大げさなものじゃありませんよ、ユリアさん」蔵馬はそう言いながら不安な面差しを浮かべているユリアと向き合った。「飛影は頼りになることは間違いありませんが、性格の面から言って不器用な人です。間違いを犯すこともあるでしょう」

「でしたら、何故蔵馬は笑顔でいられるのですか? もし彼が、飛影が、取り返しのつかないことをしてしまったら、どうなさるのですか?」

「具体的に何をするというのは、今の段階では俺にも分かりません。でも、仲間が何かを間違えたなら、正してやればいい。俺はそう思っています。それともユリアさんはトキのことを、このまま放っておくのが良いと思っているのですか?」

「蔵馬……」


自分の中に蹲る不安を、そのまま見透かされてしまったことに、ユリアは驚いた。確かにケンシロウと同じくらいに信頼していたトキの裏切りに、ユリアは信じることの無意味さを知った。自分の知らないところでトキは凶行に身を費やし、暴虐の徒と成り果てていたのだ。その衝撃は、ユリアの心を散り散りに引き裂くのには十分だった。だけど、蔵馬はそんなユリアを励ますように、これからの行動の大事さを説いてくれたのだ。その気遣いにユリアは素直に嬉しく思った。


「シッ!」と、そこに突然と蔵馬は静寂を促してきた。

「どうかしましたか?」

「近くで霊気を感じます」



      ――

   ――――

     ――――――――




その後の新たな邂逅で、ユリアは蔵馬が掛けてくれた言葉の意味を、もう一度考え直さなければならなかった。夏目貴志という闘いを知らぬやせ細った少年に負わされた両肩の怪我。それはトキの所業だという。間違いは正せばいい。それはまさしく至言だが、その方法はひょっとしたら、最悪のやり方で挑まなければならないことなのかもしれない。ユリアはそのことに思いを馳せ、一人その美しい顔を歪めた。



【一日目 黎明】
【現在地 C-4】
【ユリア@北斗の拳】
【状態】顔がヒリヒリ
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 殺し合いを止める
 1. 病院へ行く、トキの凶行を止める
 2. ケンシロウに会いたい
【備考】
アミバをトキだと思っています


【蔵馬@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】ローズウィップ@幽遊白書
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 とりあえずは情報を集め、現状を把握したい
 1. 夏目貴志の治療
 2. 病院へ行き、八神はやての治療
 3. 浦飯、桑原、飛影、幻海を探す
【備考】
※アミバをトキだと思っています


【夏目貴志@夏目友人帳】
【状態】両腕の筋肉増大、両肩がボンッ、負の感情増大
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
 基本 大切なものを守る
 1. 痛い
 2. 憎い
 3. 帰りたい
【備考】
※アミバをトキだと思っています


【飛影@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】飛影の剣@幽遊白書
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 強者と出会ったら戦う
 1. 強大な気を持つ敵(バラン)と戦う
 2. バーンを殺す
【備考】
※アミバをトキだと思っています



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04:Eat the Rich ユリア 66:Don't Worry Baby
04:Eat the Rich 蔵馬 66:Don't Worry Baby
18:Alone Again 夏目貴志 66:Don't Worry Baby
31:Don't Cry 飛影 43:Smells Like Teen Spirit



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最終更新:2012年11月06日 00:18