アゾル国の
ラディアは、僅かな兵を引き連れて
ニィズ砦へと到着した。
既に三方向から
アゾル領土へと攻め込んだ連合軍は、各地の砦を陥落させ、町を落としながら首都へと向かっていた。その三軍の中で最も精鋭を揃えた主力をたった4000の兵で待ち構える
ラディア。誰もが砦に立て篭もると思われたが、
ラディアはバザルアン湖にまで布陣すると、
ゾリメック国の先陣
ナッシュに戦いを挑む、まだ他の部隊が到着していなかった
ナッシュ部隊は、砦に立て篭もると思われた
ラディア部隊の攻撃に戸惑うが、すぐに体勢を立て直すと反撃に出る。この攻撃に
ラディア部隊は後退、
ナッシュ部隊は追撃に入るが、そこに火攻めの罠が待ち構える。しかし
ナッシュは冷静に対処、付近のバザルアン湖に部隊を後退させるが、それは全て
ラディアの手の内にあり、湖に待ち構えた弓部隊の総攻撃を受けて
ナッシュ部隊は半壊する。
一定の戦果をあげると、連合軍の本隊が到着前に
ラディアも
ニィズ砦へと立て篭もる。
1月15日夜半、この地に長い間住んでいた一兵卒の「今夜から吹雪がくる」という進言を受け入れた
ラディアは、兵士に一杯の酒を振舞って体を温めさせると、深夜をまって城外の2万を越す軍勢の中に切り込んだ。
なれない土地の吹雪で凍えていた連合軍は、まさか打って出てくるとは思わなかった奇襲によって混乱、
リディアニーグは全軍をまとめて一時後退する。
数倍の兵数を擁しながら二度にわたって敗北した連合軍、総大将
マラの部隊も到着して全軍が揃うと、ついに総攻撃を開始した。
マラは四本の架け橋を用意すると、既に橋を落とされた川に新たな橋をかけ、一斉に軍勢を送り込んだ。
軍師でありながら
ラディアに惨敗し、
マラの不興をかっていた
リディアニーグは、汚名返上のため自ら前線へと赴き指揮をとり、
アゾル国兵を打ち破っていく。ところが、数時間たっても砦に軍勢が辿り着かず、業を煮やした
マラと
リディアニーグが最前線の様子を伺うと、橋の上で鬼神の如く立ちはだかる
ラディアがそこにいた。
鬼気迫るその迫力は、もはや少女のものではなく、先の敗戦の屈辱を晴らそうと、自ら剣を抜いて挑みかかった
リディアニーグも額に傷を負って後退する。
ラディアにのりうつった戦女神の気迫に後押しされて守備軍も息を吹き返すと、連合軍はついに三度目の後退を余儀なくされた。
しかし、18日深夜、
ラディアが恐れていた事態が起きた。三路に別れていた連合軍の別部隊が、首都に肉薄したとの報告が届いたのだ。
砦の存在理由そのものを無効化されてしまった以上、ここに踏みとどまる意味はなく、
ラディアは砦を捨てて、首都である
アゾル城へと向かった。その背後を
マラ部隊が追撃するが、
リン率いる200人の兵士が反転すると、
マラ部隊に突撃、これを食い止めて
ラディア脱出の時間を稼ぎ、全員が戦死する。(現在もこの忠魂碑がニィズ古戦場に残っている)