概要

サラ領土奪還作戦とは、ルーイガルド15429年、シャクティアナ帝国領内における大規模な内紛である。


戦闘に至るまでの背景

シャクティアナ帝国は、ラスブロスの統治により大規模な反乱は起きず、また蜂起したとしても瞬時に鎮圧されていた。
しかし、それぞれの領土を統治する領主たちにはそれぞれの野望があり、何かしらの理由をつけて自らの正当性を主張しながら隣接する領土を奪おうとする者は枚挙にいとまがなかった。

辺境の領主ギードもその中の一人であったが、彼は辺境の蛮族と呼ばれる男であり、カティの甘い言葉に誘われるがままサラ領土への侵攻を開始した。
表向きの理由は、「サラが自分たちの領内でおきた山賊事件をすべてギードの差し金だと言いがかりをつけてきた、これはいずれ我が領土に侵略する為の策謀であるため、自衛の為に兵を動かした」というものであったが、サラの人徳は帝都にまで聞こえるものであったため、それが嘘であることは誰の目にも明らかであった。

唯一真実があるとすれば、サラの領内で暴れていた山賊は、本当にギードが送り込んだ者であったということのみである。
こうして、サラ領土のオーティスの街は陥落し、サラは生け捕られ、ギードが領主となった。

しかし、隣接する領主ファルサスはこれを好機ととらえ、サラ領土奪還の軍勢を準備する。
サラに恩を売り、自身の操り人形とすることで実質上の支配権を握るという野心の元動くファルサスだが、ギードの二の舞にならない様に、出陣に至るまでの詳細を帝都に書状として送り、ラスブロスからの出陣の許可を待った。
また、それまでの時間を利用して傭兵を多く雇うが、ファルサスも所詮は辺境の領主であり、決して実戦経験が豊富なわけではなかったため、戦場を経験した傭兵の働きに期待してのことであった。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

ファルサス
軍勢
ギード
総兵力6000 兵力 総兵力4000
ファルサス 総指揮 ギード
ソフィア 軍師 カティ
主要参戦者

ファルサス

デュアー

ソフィア

エディス

ガズエリア

ギード

カティ

シュシュ



バルニア

エスクード

ディア


上陸戦

辺境の荒れた地と違い、緑と水に恵まれたサラ領土を手に入れたギード軍は、兵士たちも許された略奪を連日行い、完全に浮かれていた。
その実情を聞いたファルサスは、「所詮は辺境の蛮族」と、海上から一気に上陸を目指すが、そこにカティが用意していた火攻めの奇襲を受ける。
しかし、ソフィアがこれに果敢に立ち向かい、突撃を仕掛けるとギード軍の防御陣を突破して上陸を果たす。

この時、ソフィアの配下にはバルニアをはじめとする傭兵が多く配属されていたため、「ファルサスは娘に手柄を立てさせ、名実ともに後継者として信任させるため、あえて使い捨ての傭兵を彼女の部隊に多く配属させていた」と言われている。


アンゴラの戦い

上陸を果たしたファルサス軍は、アンゴラ砦に立て籠もるカティシュシュを中心としたギード軍との戦いに突入する。

この戦いでは、南の橋でファルサス軍を食い止めていた部隊に対して、バルニアたち傭兵部隊が川の浅瀬をひそかにわたって背後から奇襲を仕掛け混乱させる。
戦場での大きな手柄に飢えていたバルニアは作戦の成功に歓喜するが、南の橋での攻防そのものが「本命の主力部隊を北から攻め込ませるための陽動作戦」であったと知り落胆、それでも手柄を求めるバルニアはアンゴラ砦に突入する。
だが、既にカティシュシュは、それぞれのルートから脱出、戦意を失ったギード軍兵士も降伏した。

その日の夜、エディスは、「降伏した兵士に手を出す様なことはしない、だがこいつらは賊だから正規兵として扱わない」といい、ギード軍兵士たちの多くを処刑するが、その内容はあまりにも凄惨で、まるで処刑を見世物の様に楽しんでいたという。


ガルステルの戦い

ギード軍は既に軍勢としての体裁をなくし、逃走兵も後を絶たなかった。
それでも、最後の決戦の地として、入り組んだ地形で守りやすいオーティスの街の南にあるガルステルの地に全軍を布陣させる。
ファルサス軍は、手柄を争う様にギードの本陣に迫るが、前線が伸び切ったところで、山地を利用して伏していた部隊がファルサスの本陣に突撃、これがギード軍最後の賭けであった。

混乱するファルサス本陣と各部隊だが、最前線にいたソフィア隊は、本陣を救援するよりもそのままギードを討つ方が早いと突撃を仕掛け、混戦の末ギードを討ち取ることに成功する。
これにより奇襲部隊も戦意を失い四散、オーティスの街は奪還された。


戦いの結末

ファルサスの狙いは、サラを救出して恩を売り、自らの属領の様にすることで、ギードとは違う形で肥沃なサラ領土を手に入れることであった。
しかし、その目論見は思わぬ形で崩れることとなる。
サラファルサスに依存するほど惚れこみ、二人は結婚することとなるが、すっかりサラに篭絡されたファルサスは、彼女を利用するどころか、逆に彼女の懇願によって自分の領地の物資を次々とサラ領土に支援することとなる。

ファルサス本人は依然として自分の方がサラの上位にいると信じていたが、周囲の者からは、サラにいい様に利用されているのは誰が見ても明白であった。
それが彼女の計算だったのか、天然だったのかは不明であるが、結果的にファルサス領土の方が、サラ領土の属領にされてしまうこととなる。




最終更新:2024年07月18日 16:43