概要

モルコアの戦いとは、ザールック3325年3月、アーズ国と、モルコア国を支配していたアトレティアゲルジュ部隊との間で起きた戦いである。


戦闘に至るまでの背景


▲3325年前後の勢力図

アトレティア国は、ダルスバード艦隊の圧倒的戦力を背景に、世界の各地に自国の部隊を駐屯させていた。
部隊が駐屯されていた各国は、一応独立した国ではあったが、実際はアトレティア国の属国に近い存在となっていた。

しかし、一度はアトレティア国の支配下となっていたセロナバルス国が、独立を宣言。
これによって、モルコア国に派遣されていたゲルジュ艦隊は、退路を断たれてモルコア国に孤立していた。

それでも、セロナバルス国が再び侵略を受ける可能性は高く、背後に存在するアトレティア国本国の影に脅えて、モルコア国はアトレティア国の属国としての立場を変えなかった。
これによって、アーズ国はリゼルバの北と、モルコアの東という二か所の進軍ルートを確保されていたが、まずは東ルートを封じ込めるべく、水面下でモルコア国と協議を重ね、ゲルジュ艦隊への総攻撃と同時に決起するように手筈を整えた。

こうして、モルコア国の独立と、駐屯するゲルジュ部隊の駆逐を目的とした戦いが幕を開けることとなる。

なお、大軍勢を派遣する拠点確保のため、国境で数百人規模の名もなき小競り合いがあったが、その戦いで父をサウラ打ち取られたセルカティーナは復讐を誓い、彼女が歴史の表舞台に立つきっかけとなっていた。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

アーズ国軍
軍勢
アトレティア国軍 ゲルジュ艦隊
総兵力54000 兵力 総兵力45000
サウラ 総指揮 ゲルジュ
サルファー 軍師
主要参戦者

サウラ

サルファー

アリン

トウリョ

ゴルドバ

ゲルジュ

ベルマ

ムガ

ガバゼ

ラシャ

ファルケ


戦闘経緯


サウラゲルジュは、互いにまだ若かった頃、一人の戦士として戦場で何度も衝突している。
やがて時は流れ、互いの立場は「指揮官」にまで上り詰め、ここに数年ぶりの再戦を行うこととなった。

両軍の艦隊の一斉射と同時に幕を開けた決戦は、同時に地上戦の開始の合図ともなる。
艦隊戦で勝利すれば、地上部隊支援に専念できるため、艦隊はなるべく早急かつ軽微な損害で勝利することを目指さなければならないが、それは両軍共通のことであり、必ずしも理想が現実のものになるわけではなかった。

地上ではガバゼの猛突撃をかろうじてファルケが受け止めていたが、その猛攻は続き、ラシャが救援に駆けつける。
その一方でサウラトウリョムガベルマの激戦はこの戦い最大の混戦となり、これを支援する部隊をゴルドバ部隊が遮断するべく出陣し、混戦に拍車をかけていた。

艦隊決戦は、アーズ国第1艦隊がゲルジュ艦隊に突撃、これをゲルジュ艦隊が半月の陣形で半包囲しようとするが、それこそが第1艦隊軍師サルファーの策であり、この突撃はあくまでも演技で、艦隊は防御に徹し、その間に第2艦隊を密かに大きく迂回させて、ゲルジュ艦隊の背後を取るべく動かしていた。
地上の戦いにおいては、サウラベルマを討ち取り、ムガ部隊も背走、そのまま一気に全軍を押し上げようとするが、アーズ国軍もファルケ部隊が半壊して後退、戦線を維持できなくなり、側面からの攻撃を警戒して、サウラトウリョは敵陣に踏み込めず、防御を固める。


アーズ国第1艦隊は、突撃を繰り返していたが、それは演技であり、実際は防御に徹していた為、半包囲された状態にしては軽微であったものの、それでも損害を蓄積させていた。
しかし、第2艦隊の隠密行動による移動が形となって現れ、ゲルジュ艦隊の背後に出現、一斉射を開始する。
完全に挟撃されたゲルジュ艦隊は混乱状態となり、それまで第1艦隊にあたえた損害を倍返しされる形となる。
ゲルジュは全軍の撤退を命じ、これに呼応して地上部隊も下がり、殿軍を勤めたガバゼが戦死する。

同時刻、アーズ国と呼応してモルコア国は独立を宣言、撤退するゲルジュ部隊を首都に入れず、迎撃した。


戦いの結末

ダルスバード艦隊は、海水の塩気を受けると動力である水晶から魔力が漏洩するという弱点をもち、海を横断することはできない。
そのため、孤立していたゲルジュにとってこの場合の撤退とは、アトレティア国までの大きな後退を意味し、敵地であるセロナバルス国を突破しなければならなかった。
この突破戦で、セロナバルス艦隊の追撃によって多大な損害を出しながらかろうじて脱出に成功したゲルジュであったが、ガザデルーに招集され、艦隊を没収され、一兵卒への降格が命じられる。
しかも、兵卒としての配属先は、手柄を争っていたライバルのジェルダー部隊という屈辱的な結末を迎える事となる。
また、半壊した彼の艦隊は、ガザデルー直属の部下であるガジャが引き継ぐ形となった。

アーズ国は、この勝利によってモルコア国の完全なる独立を支援するが、それは同時にモルコア国の新たな「主人」がアーズ国に変わるだけということも意味していた。
ただし、アーズ国はアトレティア国と異なり、部隊の駐屯はしなかった為、モルコア国の反発は「この時点では」なかった。





最終更新:2024年08月10日 16:05