概要
開発の歴史
ザールック3300年代、この世界を照らす2つの月、その月はそれぞれ自分たちで重力をコントロールする波動を放ち、
ザールック本星の力を借りずに独自の軌道で衛星活動を行っていた事が判明される。
その波動は本星にまでも届き、微かながら重力のバランスを自在に操る力を秘めている事が発見され、その力を特殊な水晶に閉じ込め、鏡合わせの要領で内部で増幅させる事により、
水晶を動力とした「天駆ける船」を生み出す事に成功。
開発者ダルスの名前からダルスバードと名付けられた。
物体を浮遊させるという技術は、過去の世界において
ノヴァが一度実現させたものの、その技術は失われ、後に
リグライナ帝国において
鉄の鎧兵が作られたときも、過去の技術の「発掘」であって、原理がわからないまま使われた。
そういった失われた技術に頼らず、現在を生きる人間の知恵と技術により作られたダルスバードは、まさに世界を変える人類の新発見であった。
軍事運用
しかし、その技術は開発者の期待を裏切り、軍事利用されることとなってしまう。
空駆ける船は、この世界における最強にして最高の部隊として産声をあげ、他部隊からの羨望と嫉妬の眼差しで見られることとなる。
主砲は魔力を蓄え、それを放出する
魔導砲が装備され、火器類は使用されていない。
法術と科学の両方において高水準を誇る
ザールックだが、あえて法術を選んだのは、艦の重量を少しでも抑えるためと、火薬の誘爆を避ける為である。
その意味でも空中艦隊は、
ザールックの
法術と科学、両方の最高峰の技術を結集させたものと呼べる。
この艦隊は動力維持の為、夜間には月光を水晶に受けなくてはならない。
その姿がさながら月の光を独り占めし、その姿すら奪うのではないかと思わせた為、空駆ける船を妬む者(主に自分の部隊に回されなかった者)達は、皮肉を込めて彼らを「
LOST MOON FLEET(失月艦隊)」と呼んだ。
利点と問題点
相手の攻撃が届かない上空から一方的な攻撃が可能だった為、当初ダルスバードは無敵の艦隊として敵軍を恐怖に陥れた。
しかし、高度はそれほど高くとれないため山岳地を無視して移動することはできず、また、動力となる
水晶が、海水の塩気に敏感で急激に魔力を漏洩するという性質をもつため、近距離なら問題はないが、海を横断するような長距離の海面移動もできない。
また、その動力となる水晶が希少価値な上に、個体として巨大なサイズでなければならない為、いかなる大国であっても軍事費にものをいわせて艦隊を無尽蔵に増やすことはできない。
そして、
対空魔導砲などによる迎撃技術の発達により、当初ほど無敵という存在ではなくなり、絶対的な神格化はされなくなったが、兵士や物資の輸送能力の高さと利便性は変わらず、「世界の距離を縮めた」とまで言われている。
開発系統
開発者であるダルスの二人の息子は、互いに自分こそが後継者と名乗り激しく対立、
アーズ国に身を寄せた長男による「アクセス・ダルス製」と、
アトレティア国に身を寄せた次男による「バルックス・ダルス製」の、二つの系統に別れることとなった。
これにより、当初は大国である
アーズ、
アトレティアのみが艦隊を所持していたが、やがてそれぞれの同盟国に売買、または譲渡されていく。
アトレティア国が所持し、国内における主力将軍と、彼らに忠誠を誓う属国的な
鬼龍一派が所持。
アクセス製と違い
水晶を密閉させる技術の開発に成功しているため、外部からは見えない。
月光を吸収するための金色の魔導板が設置されている。
艦隊の存在意義
空駆ける船は、それまでの地上戦と、若干の海上艦隊のみで行われていた戦略・戦術に新たな選択肢を与え、戦略そのものに影響を与える程時代に変革をもたらす要因となった。
しかし、艦隊の数と生産・維持・運用に対する財政的リスクを考えると、まだまだ艦隊は一部の限られた者が所有する戦力である。
また、相手が艦隊を持っていない戦場なら、一方的な攻撃が可能かと思われているが、現在の技術ではそこまで完璧な高度、移動距離、速度を持つことはできず、艦隊が実戦に配備された後にその対処法として製作された対空砲台により、互角とまではいかないが、相手の一方的な攻撃を回避することは可能である。
この様に、艦隊はその存在の輝かしさに対して、現実的には過剰な活躍は期待できないが、艦隊そのものを巨大な輸送船とみなすと、効果的かつ効率的に兵士を戦場に到着させることができる為、艦隊の存在意義はやはり大きなものとなる。
見方を変えると、空中艦隊戦とは、勝利した側が有利な条件で地上部隊を配備できる輸送路確保の戦いとも言えた。
艦隊編成
ザールックにおける基本的な艦隊編成は以下の通り。(国の規模によって差異は生じる)
艦隊基本編成
第1艦隊(国の規模より第1~第4艦隊まで存在)
旗艦×1
戦艦×30
巡洋艦×50
駆逐艦×150
その他輸送艦偵察艦など
戦艦
大型の
魔導砲を装備し、敵艦の
魔導砲の威力を多少なりとも減衰させる魔導フィールドを備えた大型艦。
攻防共に優れるが、その巨体により小回りが効かず、速度もそう速くないい上に、大型の水晶を必要とする。それでも装備の出力を担うには足りず、
魔導砲と魔導フィールドの出力を支えるために、中級水晶を複数装備することで出力を補う。
それ故に、建造
コスト、運用
コストともに小型艦の比ではない。
後世では、発達する対空火器に対抗する防御力との調整が限界に達したことと、さらに巨額になっていく
コストがネックとなり、戦艦という大型艦は徐々に廃れていくことになる。
巡洋艦
外見こそ差異はないが、戦艦に比べ小型であり、
魔導砲の出力も劣る。
基本的には魔導フィールドは持たず、その分、機動力に重点を置いた艦種である。
初めて大陸間を横断したのもこの艦種であり、
アーズ国の巡洋艦が
セロナバルス国までの渡航を成し遂げた。
戦艦ほどの巨艦を建造できなったころは、このクラスの艦が艦隊の主役であった。
駆逐艦
巡洋艦よりも、さらに小型の軍艦。
当初から小型艦は作られていたが、技術の発達にともない艦の大型化が進み、戦艦が登場するころになると、小型艦の火力では戦艦の装甲に太刀打ちできなくなってしまった。
そのため小型艦は哨戒や連絡、物資輸送等の後方任務に回され、艦隊戦からは姿を消していくことになる。
だが、対空技術が発達してくると、小回りの効かない戦艦では機動対空火器を排除することが難しくなってきた。
そこで再度注目されたのが、小回りの効く小型艦であった。
小型艦はその機動力を武器に、戦場へ突入して地上の対空火器を砲撃し、大きな戦果を挙げた。
敵の対空火器を駆逐する「駆逐艦」と呼ばれるようになり、火力も増強され、やがて艦隊の戦力として復活していくことになる。
関連項目
- ヴァン・フレイ国 アルファにおいて、独自の研究によりダルスバードと類似した空中艦の開発を行っていたが当時の技術では実現に至らなず、その後六界連合軍結成によってダルスバードの技術を知ることとなる。
- スレイヴギア 六界戦争終結後、レイトンへの帰還のため使われたダルスバードはそのまま保管されていた、科学レベルが劣っていたレイトンでは長年ただの展示品であったが、後に徹底的に技術が解明され、そこから急速に科学文明が花開きクレイドエネルギーという独自の研究結果に到達、これが後のスレイヴギア開発へと繋がる。
最終更新:2024年07月11日 12:48