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名も無い乱立
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名も無い乱立

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aa-ranritsu

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stella log S01

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川面は揺れて、その姿を映す。

「理想的な姿…か。」

「少なくとも、これが理想とは、思えないかな…。」


力無く、笑う。
見覚えの薄い姿は、顔は。
このゲームが始まる、ほんの数分前に見たもの。

指先を、その姿の鏡面に浸せば。

「…これが、ゲーム?」

冷たい水の感触が、走る。

天を、仰ぐ。

「…これじゃ、漫画だね。」

「もう少し、そういうの、見て置けば良かったかな。」

後悔、先に立つもので無し。
仮に、"そういうの"を良く知っていたところで、
お約束事を拾えるか如何かでしかないのだが。

さて。

「…ログアウト。やり方がわからない、な。はは。」

笑い事では無いが、笑うしか無い。

「ゲームをクリアしたら、出られるのかな、此処から。」

「出てきた敵を全部倒せばいい…か。」

拳を握り、その感触をまた確かめる。

「…オレに、出来るのかな。」

星々に答えは無く、川面は揺れ続けるだけであった。

stella log S02

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だから、その……い、いつでも頼って……ね!
(ENo.0661 シロツメクサ)

シロツメクサ、という名前の女の子。
アカウント名とか、色々と…花とか、植物が好きなんだろうか。
好きでもなきゃ、自分のアカウント名にはしないか。
いや、オレは別に、好きでも嫌いでも無いけど…。


幼い様に見えるけど、その姿が、そのままの姿が、理想どおりなら。
凄いな。
オレには、もう届かないものだ。



水も飲めるし、物も食べられる。
何なんだろうな、此処は、このゲームは。
それとも、何なんだろうは、"オレ"の方なんだろうか?
如何にも、リアリティの実感が無いけれど。
生きているのか、死んでいるのかも、よくわからない。
まぁ、死後の世界って事も無いんだろう。

少し、賑やか過ぎるから。


stella log S03

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温泉を掘っているひとが居た。
ひと…? ネコ…?
銅像を建てて欲しいと言っていたので(※ 言ってない)、建てておいた。 


(ENo.0221 ガトーネグロ)

神様になるらしい。
どういうことなんだろう。


夜中に狼さんになって戻ってきちゃダメですからね。
(ENo.0341 S-029 メメント)

メメント、という名前の女の子。
銃を扱っているそうだから、大人なのかも。
海外のひとなのかな、メメントっていうのも、本名だったりする?


取り留めのない、話をして。
いや。
取り留めのない、話をしただけだ。


これからなんて、無いさ。


朽ちる廃墟の道。
幽霊と名付けられた敵キャラクターを、打ち据えて。
幽霊なんてものが、本当にあるなら。


進む道の先にも、このゲームからの出口は、未だ見えない。
如何したものかな。
今年は、行けない理由が出来てしまいそうだ。


stella log S04

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卵が少し、足りないかな…。


出会い、というものが在れば。
別れ、というものが在る。
別れにも、笑って居られたのなら。
その出会いは、きっと。

キミの出会いと、そして別れとが、幸運である様に。
幸せで、ある様に。


(ENo.0661 シロツメクサ)


時間さえも、凍ってしまう様な景色。
時間だけは、止まることなんて無いのにな。


ただ、この静寂は、時間さえも凍ってしまった様で。


stella log S05

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……そうだな、この悩みは、オレだけのモンだ。
(ENo.0532 S-032 ノーチゥ)

ノーチゥという名の、土遁者。
埋まると、心地いいそうだ。
オレには、わからない。


悩みと、向き合い、逃げずにいる。
それは、誰にでも出来ることじゃない。
とても、強い。
いや。
とても強い、想いが、あるんだろう。



オレには、悩む資格だって、ありはしない。


生きてるキミのことでも見ていようかな。
(ENo.0250 ルクステラ)

科学者とか、子供とか、夢が多い子。
時々、声が大きい。びっくりする。


小さくても。
見据えるものは、大きく。
そして、優しさを持っている。
それに、甘えてしまいたくもなるけれど。


ダメだな。
やっぱり、オレには。


オレはまた、何も出来ないのだろう。
それどころか、きっと。
キミが望まないことを、キミに望んでしまうだろうから。

だから。
全て、忘れて。
キミの中から、オレのことを、消して欲しい。

オレ達は、出会わなかった。

それで、良い。


(ENo.0341 S-029 メメント)


stella log S06

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水は、全てを遮る様で。
なにかを拒絶するならば、この中に沈むのを、
心地良いと言うのだろうか。
だとしても。
水もまた、全てを拒絶するのだから。
この身体は、沈まずに、浮かぶ。
だから、オレは。
全てを遮ることなんて、許されていない。
忘れられないのでは無くて。
忘れることを、許されていないんだ。



静かに、白が降りていく。
後ろ、続いた道を、覆い消す。
雪の中、消える様に。
忘れてくれたなら、きっと。
それだけが、オレに出来ることなのかも、知れない。


大切にしてくれたら……嬉しい、かな。
(ENo.0661 シロツメクサ)

願い祈る、想い。
その優しさが、オレに向けられても。
オレに、その資格は、きっとない。
約束を守れなかった、オレには。

――…嗚呼、それでも。
それでもキミは、その一歩を、その手を、
オレに向けるのだろうな。

それなら、せめて。
キミの幸運を。
幸せを、願い祈ろう。


この手の中に、眠った花は。
キミの幸せを、叶えてくれるだろうか。


交わした約束。
守れなかった約束。
焼き付く様な、記憶。
忘れたことなんて、無い。
今も、ずっと。

でも。如何してかな。

此処で、このゲームの中で。
出会ったひと。
交わした言葉が。
同じ様に、巡る様で。

オレは、もしかしたら、此処で。
そうすることを、そうなることを。
望んでいる、のだろうか。


stella log S-3

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▶ -2/03/24

やわらかな日差しが、中庭の緑を照らす。
通い慣れた病院。
ひとり待つ視線を、白い廊下に移すとき。

様子を伺う、小さな瞳に、暫しの間。

「――…オレ、かな?」

訊ねてみる、視線の相手に。
やや、身構えた声が、応える。

「おにいちゃん。」

幼い声は、間違いなく、オレを呼ぶ。

「おかあさん、まってるの。」

「そうか。オレと同じだね。」

いくつかの廊下と扉の先、その診療が終わるのを、待っていた。

「あの。」

少し、言い辛そうな表情。
短い声の、続きを待つが。

「…何だい?」

努めてやわらかく、声をかけるが、
それでもその先が言葉となるには、暫しの間があり。

「…まってるの。」

言い出せない何かを、飲み込む様に。

「…うん、オレも待ってるんだ。」

ゆっくり、近付く。
これが正解かは、わからないけれど。

「結構、退屈してたんだ。
 だから、良かったらさ。」

屈み、視線の高さを合わせる。

「待ってる間、オレと遊んでくれないか?」

幼い顔は、息を飲む様に。

「…うん!」

間もなくそれは、咲く様な笑顔に。

如何やら、正解だったみたいだと、オレも笑う。


▶ -2/04/15

「おにいちゃん。」

弾む声は、オレを呼ぶ。

「やあ。今日は。」

うん、と、応える笑顔。

「おかあさん、まってるの?」

「うん、今日もね。キミもだろ?」

頷く。

「おにいちゃん。あそぼ。」

そしてオレも、頷く。
笑顔は、二輪。

少しづつ、それは、オレ達の日常になっていた。


stella log S-2

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▶ -2/05/08

「おにいちゃんは、からて、してるの?」

「から…空手? 嗚呼、うん、まぁそうだね。」

空手とそれ以外の武術の違いは、わからないだろう。
だから、そのまま肯定をしておく。

「どうして?」

純粋な、疑問の声。

「そう、だね。色んな理由があるけど。」

「空手っていうのは、ひとを傷付ける為の、技なんだ。」

拳をひとつ、握って見せる。

「…きずつける、の?」

それは、いけないことだと、幼い瞳が訴えている。

「そうだよ。ひとを殴る…ぶったりするための技だ。
 こんな風に。」

拳を解き、ゆっくりとその頭に乗せる。

「……いたく、ないよ?」

受け入れたまま、疑問を重ねる。

「ひとを傷付ける方法を知っていれば、
 ひとを傷付けない方法もわかるんだ。」

やわらかに、撫でる。

「ひとを傷付けずに、守ることも出来る。
 そう、教わったよ。」

「……むずかしい。」

「はは。そうだね。
 オレも、全部理解出来てるかは、自信無いよ。」

幼い瞳は、笑顔に閉じられる。

「でも、おにいちゃんがやさしいのは、わかった。」


▶ -2/07/27

雨音が、ガラス越しに細く響く。
その様を、物言わず、幼い瞳が見詰めて居る。
遠く、何処かを見る様で、その背中に、声をかけるのを躊躇う。

「おにいちゃん。」

気付き、振り向くのは、何時もの笑顔。
いや、矢張り、陰りはある。

「…今日は少し、元気が無いかい?」

そう、真っ直ぐに尋ねられる程度には、オレ達の距離は縮まっている。

「へいきだよ。」

それでも、首を振って応える理由は、足りぬ信頼では無くて。

「あめは、ね。」

「ないてるみたい。」

さらさらと、浅い音。

「かなしそうなの。」

見上げる雲は、暗い顔か。

「…おかあさんは、へいきだよって、いうの。」

「でも、」

言葉は、続かない。
ただ、雨雲を見上げ続ける。

「……あの雲は、あの空はきっと、優しいんだな。」

え、と漏れた声が、オレを見る。
オレは、見上げたまま。

「誰かの代わりに、泣いてくれてるんだよ。」

涙を流せない、誰かの代わりに。

「…そうなの、かな。」

「…多分、ね。」

さらさらと、絶えることなく。
涙の音は、続く。



stella log S-1

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▶ -2/08/20

「おにいちゃん。」

笑顔のまま。
ただ、何か。
何かの意志を、持った瞳で。

「何だい。」

呼吸ひとつの、間を置いて。

「おねがいしても、いい?」

頷く。
それが何であっても、応えはひとつだけなのだから。

「あのね。えっと。」

「へいきだよ。へいきだけど。」

「でも。」

「かなしかったり。いたかったり。
 くるしかったり、に、なったら。」

「……たすけて、くれる?」

頷く。
ひとつだけの応えを、伝えるために。

「オレに出来ることなら、何だってするよ。」

幼く、笑顔が咲く。

「だったら、そばにいてほしい。
 おにいちゃんが、いてくれたら、へいきだから。」

「…うん。キミが、助けて欲しいときは。
 必ず、キミの側にいるよ。」

「うん。ありがとう。」



「――やくそく、だよ。」





























▶ -2/08/31

その日の記憶は無い。


stella log S07

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何を考えるべきかも、わからなくなりそうで。
だけれど、何をか、考えなければならなくて。

あの願いに、祈りに、応えるためには。

無理だ、と、すぐに答えが出るのに。
それでも、と、何度もループする。

振り払えずに。
振り払うために。
振り払うことも出来ないと、わかっていながら。


オレは、何の為に。



(ENo.0250 ルクステラ)

キミは、オレ越しに、何を見ているのだろう。
いや。オレのことを見据えてくれているのは、わかっている。
それでも、なにか。
もっと大きな、なにかを見てる様だとも。
或いは、キミ自身の。

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ただ、キミが。
キミの優しさが、余りにもオレを。


だから。キミを、理由にして、もう一度だけ。


川辺。
水音は、記憶の音。
名前も知らない友と。
名前しか知らない友と。
そして……。

手製、花壇の様なものに、その種を植える。
これは、想いの種。
祈りに咲いて、願いの花を開く。
だけど、まだ、わからない。
想いに応える術を。
祈る言葉を。
願う結末を。

それでも。
それでも……。


オレは、どれだけのひとを、傷付けて。
悲しませて、痛ませて、苦しませてきたんだろうな。


stella log S08

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青く、輝く。
果てならば、この先こそが、この向こう側こそが、現実だろうか。
現実とは、こうも綺麗なものだったろうか。
その彩を、思い出せない。
あの日から、ずっと、曇り空の様で。
ずっと、ずっと。
現実感の無い現実を、歩いていたのかも知れない。
それなら。
今、オレが居る、此処は。
このゲームは。


青く、揺らめく。
それはただ、純粋に綺麗で。
その光景は、ただ綺麗なまま、思い出にして欲しいと思った。
逃げたのかも知れない。
だけど、そう思ったのも本当だから。
綺麗な景色に。
楽しい思い出に。
オレが居る必要は、無いから。
何処か、別の場所で。
キミを探そう。


stella log S09

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――いつでも頼って……ね!

誰かを頼れるなんて、思っても居なかった。
きっと、頼るべきだったんだろう。
だけど、オレには、出来なかった。
"約束"なんて、オレには。


――オレのけじめのひとつさ。

そうだな。
きっと、これがオレの、けじめ。
これ以上はもう、何も出来ないのだから。
だから、此処までで。


――キミもそうやって、諦めにたどり着いてしまうのかい。

そうなのかも、知れない。
この星空にひとり、目を閉じてしまう事を、そう言うのなら。
最初から、こう出来て居たのなら。
誰も、傷付けずに済んだんだろうな。


―― … … … 。

思い出せないのでは無くて。
思い出してはいけないのだろう。
オレに、その資格は無いだろうから。

全てを、忘れてしまったかの様に。
全てを、忘れることも出来ないまま。

届かないなら、きっと、それで良い。
如何か、幸せで、在ります様に。



stella log S00

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 ―― ひとりの少年が、行方不明となったことが報じられている。

    少年の名は、シノネ スズカ。

    やがてそれは、記憶にも残らず、消えていくことだろう。  ――


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