りゅうのすでごろごろしませんか
竜の巣でごろごろしませんか

【分類】

シナリオ 本編 竜の巣でごろごろしませんか 魔王ゴロゴロ

+ ストーリー
国内随一の力量を持つ冒険者であるソードたちは、国からの依頼で、国内最大のダンジョンである『竜の巣』を攻略に来ていた。
度々苦戦はしながらも、とうとう6階層で巨大なドラゴンを討伐、攻略完了を果たした。
と思っていた。
7階層目にいたのは、まるで日光で溶かした黄金のような髪に、白銀をオーロラでなめしたような美しい肌を持つ小さな女の子だった。
女の子は戦いの騒音など意に介さずすやすやと眠っていた。
一行はその女の子を起こした、そして名前が『ゴロゴロ』ということを知り、このダンジョンの真の主は『ゴロゴロ』であることを理解した。
自分たちより遙かに強大な力を持つことを理解し、戦いを全力で回避する決定を下した一行は、仕方なくゴロゴロをつれて王国へ帰還する。
ダンジョンの最奥にいたドラゴンを倒したことを証明。ドラゴンの角、鱗、牙などを提出する。
英雄として賞賛を浴びた一行は、十分な報酬を受け取り、またダンジョンから持ち帰った金塊などを換金してひとときの穏やかな日々を過ごしていた。
ゴロゴロはお姫様に気に入られてお城でちょっと生活する。
ご飯食べつつ、お庭いじりしつつ、ソード達と会いに行ったり。
町の人々といろいろ話をしたり、盗賊団を壊滅させたり、お姫様に気に入られたり、
子供を救って感謝されたり、町の動物たちのボスとして君臨したり、学校に通ってみたり、
隣国との戦争が始まった時に進行してきた敵兵を皆殺しにしたり。
いろいろあったが割と平穏に過ごしている。

+ ゴロゴロのスケジュール
ゴロゴロのスケジュール
ゴロゴロのスケジュール
王国でのゴロゴロの1日のスケジュール
詳細な内容は日によって多少変化するがおおむね変わりない

0時
1時
2時
3時
4時
5時
もそもそと起床。
小鳥たちのさえずりを聞きながら場内を散策。
厨房で食器のメンテナンス。
何が食べたいかをリクエストする。
かるくつまみ食い。お土産を貰って正門へ。

6時
正門兵士詰め所へ行く。
預かっている手紙を受け取る。ついでに剣や鎧などの装備品を適当になで回す。
メイド詰め所に行く。
桶とタライを持って部屋に戻る。桶に水を入れる。

7時
姫様を起こす。
メイドが姫様の服を脱がし、体を拭く。
ベッドの上に立って髪を持ち上げて梳く。
着替えそれが終わったらメイドにベッドのシーツを回収させて下がらせる。
食事を持ってくるように命ずる。
姫様がゴロゴロの足を拭く、髪を梳く。
メイドが持ってきた朝食を2人で食べる。
姫様がゴロゴロに「あーん」する。

8時
朝議に参加。姫様と一緒にきのうまでの報告を聞く。
本来ゴロゴロは聞く必要はないが姫様の希望で部屋にいる。
椅子に座る姫様の膝の上が固定ポジション。
たまにゴロゴロも質問される事があって、そのときは答える
朝議が長引くこともある。

9時
姫様のところに講師がくる。
帝王学や地質学、経営学などを教わる。
ゴロゴロは教師から貰った絵本を部屋の隅っこで邪魔にならないように読んでいる。
手紙を読んで今日の予定を決定する。

10時
講師交代。
ゴロゴロが外にでかける。
姫様が講師をすがるような目で見る。
講師は却下する。
ゴロゴロは1人で城下町にでかける。「ひめさまお勉強がんばってね」「うん…」
城に来てた商人の荷馬車に乗って街に行く。
「あーるーはれたーひーるーさがりー。いちばーへつづくみちー」
「にーばーしゃーがゴーロゴロと講師をのせてゆくー」
「かーわーいーい講師ー」
「可愛くはありませんよ」と講師。
「うられてゆーくーのー」
「売られませんよ」と講師。
「売りませんよ」と承認。
「うふふふ」

11時
街の通りを荷馬車が進む。
荷馬車は商会へ戻る。講師は適当なところで降りる。
「それでは私はこの辺で。ゴロゴロどうですか、うちに寄っていきますか? 妻も喜ぶのですが」
誘いに乗ったり、断ったり。
荷馬車に近づいてゴロゴロに話しかける人がちらほら。商人は荷馬車の速度をゆるめる。
「きょうはどこに行くんだ?」とか「よかったらうちにこないか」とか適当にお誘い。
日によって途中で降りる。
あるいは馬車に乗ったまま商人ギルドへ。
ギルド前の露天で、屋台でお菓子とか買い食いしたり、異国からの珍品名品を見る。
とある魔王の日常記録01
とある魔王の日常記録02
とある魔王の日常記録03

12時
露天でチョコバナナを食べる。

13時

14時
15時
16時
17時
18時
19時
20時
寝る前に日記帳にきょうあったいろいろな出来事と、やりたいいろいろなことを記入する

21時
22時
23時
24時



テーマ

連れ帰った魔王
軒先貸して母屋獲られる
冒険者としての冒険より、王国内での平穏な日常

登場人物紹介


プロローグ
竜の巣最奥で冒険者と魔王が出会った

Episode.辰) 庭園 庭士(はいら)(辰)
Episode.01 ガーデニング お庭をつくることができる。
Episode.02 散歩 お庭を自由に移動できる。ぶらり。
Episode.03 植える お庭に何かを植えることができる。おはな、くだもの、やさいとか。
Episode.04 お庭の中に柵を立てることができる。柵をさくっと立てましょう。
Episode.05 埋める お庭に何かを埋めることができる。かくしかくし。
Episode.06 剪定 お庭の樹木などを切り取って整えたりすることができる。もさっ、しゅっ。
Episode.07 お庭のお手入れ お庭をお手入れすることができる。
Episode.08 土壌 お庭の土の状態を把握、調整できる。ほりほりさくさく。
Episode.09 水質 お庭の水の状態を把握、調整できる。ちゃぷちゃぷざぶざぶ。
Episode.10 空調 お庭の大気の状態を把握、調整できる。そよそよひゅーひゅー。
Episode.11 招待 お庭にだれかをお招きできる。遊びにおいでよ。
Episode.12 進入判定 お庭に進入するものに対して判定を行う。ここは入り口じゃありません。
Episode.13 掃除 お庭の中を掃除することができる。きれいきれい。
Episode.14 嵩上げ お庭の地面を高くすることができる。でこっ。
Episode.15 掘り下げ お庭の地面を低くすることができる。ぼこっ。
Episode.16 設置 お庭に何かを設置することができる。何を置こうかな。
Episode.17 除去 お庭にあるものを除去することができる。
Episode.18 庭籠 お庭に籠を設置できる。いるものいらないものぽいぽいぽぽい。
Episode.19 まったり お庭でまったりすることができる。ごろごろ。
Episode.20 お庭の大将 お庭の最高権力者になる。わたしがそんちょうです。
Episode.21 お庭番 お庭にいる生物を部下にできる。したがえー。
Episode.22 命令 お庭の中にいるものに命令することができる。ちょっと面白いことやって。
Episode.23 テラフォーム 荒れた土地にもお庭をつくることができる。やりがいはあるよ。
Episode.24 接収 お庭にいるものからマナを接収できる。しゅうきんでーす。
Episode.25 訪問 別のお庭に訪問することができる。あそびにいくよ。あーそーぼー。
Episode.26 お庭の情報把握 お庭の情報を把握できる。自分の庭のことは自分が一番わかる(ドヤッ)。
Episode.27 ひみつきち お庭の中にさらに自分だけの場所をつくることができる。セーフルーム
Episode.28 サンクチュアリ お庭の中にいる限り、他者から害されることがなくなる。バーリアッバーリアッ。
Episode.29 お庭の極意 お庭とはなんなのか、その極意を得る。
Episode.30 お庭の拡張 お庭をさらにつくることができる。次はどんなお庭にしようかな。



+ お城でのゴロゴロの自己紹介
王国に連れ帰られたゴロゴロは、王の前に連れて行かれる。
その際、両手に枷をつけられる。
いたいけな幼女(見た目)に枷を付けることに仲間の1人抗議をする。
「連れて行く必要があるのか」
「報告しないわけにはいかない」
「なにかあったら」
「それを決めるのはオレ達じゃない」
と言って取り合わない。
リーダーは「リーダーは俺だ、糾弾は後でいくらでも聞く、今は従ってくれ」と言う。
そう言われて、納得はしないが黙るしかない。そしてゴロゴロは枷を付けられて「動きにくいよ」と不満げだが、「しばらく我慢してくれ」と言って、ゴロゴロを担ぎ上げる。
「わっ、すごーい高ーい」
と、無邪気に笑うその姿に、一行は罪悪感を覚える。
そして王の御前にでて、ゴロゴロをは床に下ろされる。
床におしりをぺたっと付けてお山座り。両手には枷。
ゴロゴロに、少し静かにしていてくれと頼みつつ、『沈黙キャンディ』を口に含ませる。甘い、ころころ。
全員膝をつき、が頭を垂れる。
「我ら『国の盾』ただいま帰還しました」
「連絡は聞いている。『竜の巣』の攻略大義であった。ところでそれは一体なんだ」
王の目が鋭く尖る、この国は人道に厚い国だ。冒険者活動も盛んで、経済が非常に活発だ。
多種族の交流も盛んで奴隷の売買も禁止されている。
そんな国策をしている国の最高責任者である国王の前で、いたいけな幼女にこのような仕打ち、厳罰は免れないだろう。
「これはリーダーである私、ソード・シルベストリの判断です。仲間の反対を押し切ってこのような手段を取りました。どうか罰するならば私1人めにお願いします」
「そうなのか、お前達」
王の視線が全員に向けられるが、帰ってくるのは沈黙だった。肯定と捉えるしかない。
「ふむ……シルベストリを名乗るものが何故そのような振る舞いをするのか。理由を延べよ」
「はい、実は、このものは竜の巣最奥にて眠っていたのです」
「眠っていた、とはどういうことだ。何かしら封印措置が行われていたというのか」
「いいえ、言葉どおりの意味で、天蓋付きの寝台で寝こけておりました。目覚めさせて話を聞き、この国に連れ帰るべきだと判断しました。討伐することができないと思ったものですから」
「なるほど……」
王の眼光がゴロゴロを貫く。ゴロゴロのまなざしが王を射返す。
こてっとゴロゴロが首をかしげる、その仕草はまるで子猫か子犬か、あるいは幼児そのものだった。
「……余には冒険者における機微などわからんが、竜の巣の概要は把握している。かのダンジョンの最奥にいたものを警戒しての措置ならばその意思を尊重しよう。だが討伐ができないとはどういうことだ」
「はい、実はこの者、ゴロゴロは……」
「おかわり!」
まるで子犬が主に呼びかけるような軽やかな呼びかけをゴロゴロがやった。
「さっきのあれ甘くて美味しかったよ。ボクあれ好き、もっとないの?」
「今大事な話をしているから後ででいいか」
「うん、いいよ。そういえばさっき声だそうとしたけどできなくなったんだけどなんで?」
「後で説明するから静かにしててくれるか」
「むぅ……わかった」
「ああそうだ、お前のほうからみんなに自己紹介してもらえるか。そのほうがわかりやすい」
「えー?静かにしてろって言ったりしゃべれって言ったりなんなのー?」
「甘いのやるから」
「に」
「3個やるから」
「わーい。じゃあやるね」
ゴロゴロはすっくと立ち上がり、背筋をぴんと伸ばして王へ向いた。
そのサファイヤの如き青碧の瞳には悲壮感など微塵もない。
「始めましてっ」
挨拶の基本である。
「ボクの名前はゴロゴロです!」
名乗りは挨拶の基礎である。
「『庭士』やってます」
身分を提示することは誠実さの証である。

「冒険者レベルは627です」

ちなみにこの王国の騎士の冒険者レベルの平均は86である。

玉座の間がしいんと静まりかえった。警備の騎士の誰もが呼吸を止めた。
ゴロゴロの告白の意味がわからなかった、冒険者レベルが、なんだって、3桁?ははは、英雄クラスだな、言うだけならタダだ、どれ確認してみようか。
そんなことを思った騎士達が、すぐさまゴロゴロの冒険者レベルを確認しようとして失敗した。
ホワイ、何故だ、なぜレベルが確認できない?というかステータスに『称号:魔王』って書いてあるんだけどどういうことだ。だれか説明プリーズ。
「とまあ、そういうわけです」
ソードの発言で空気が再稼働した。
「どういうわけだ、説明しろ、騎士長」
「……は、いえ、あの、はい……ええと、説明いたします。私騎士長ヴィンセント・オーフェン・ヴィッテンハイムは『騎士』レベル150です」
「ほう、確か去年は145だったな、腕をあげたようだな」
「はっ、お褒めにあずかり光栄です。『冒険者の証』を持つ者同士は特に問題がない限りはそのステータスは任意で閲覧できます。
問題とは相手が自身のレベルが倍離れている場合です。そして私からそのゴロゴロとやらのステータスが確認できませんでした」
「落ち着け騎士長」
「失礼いたしました。端的に申し上げますと、そのゴロゴロとやらのレベルは300を超えます」
「627だってば。ほらちゃんと見て」
ゴロゴロがそう言って、自らのステータスの閲覧制限を解除した。騎士長が改めてゴロゴロのステータスを確認する。
「陛下、ゴロゴロとやらが言っていることは事実です。確かに627です」
「冒険者の事情には疎いのだが、それは凄いことなのか?」
「はっきり申し上げて前代未聞です。先代騎士長の引退時で確か230ほどだったかと」
「なるほどな……」
先代騎士長はこの王が最も信頼する大親友にして歴代最強の剣士だ。その強さは王が一番よく知っている。
「あやつより強いということか、なるほど、それで戦いを回避する決断をしたということな」
「そういうことです。戦いになれば全滅が目に見えていましたもので」
「なるほど……」
王は玉座に深く体を沈めた。親友のことは世界で最も信用し、最も強いやつだと思っていたが、それを遙かにしのぐらしい強さを持つものが目の前できょとんとしているのだ。多少混乱もやむなしだろう。
「なるほど、それで枷をはめて連れてきたというわけか、なるほど……」
ソード達は自分たちの手に余るから国の判断を仰ぐために連れてきたのだと事情は把握した。
「……事情は把握した、お前達の判断に不備はないと認め、不問とする」
「はっ、陛下の寛大な処置痛み入ります」
一行は深く頭を下げた。
「そして、ゴトゴトだったか」
「ゴロゴロだよ。あなたは?」
歯に衣着せぬ口調に誰もが息を飲む
「そうか、余の名は……」
「お父様!」
バァーーンと玉座の間の入り口の扉を無遠慮に開け放って入ってくるものがあった。

飛び込んで来たのはお姫様
飛び込んで来た理由は追々考える
お姫様は子供好きで、病気で親を失った子供のために孤児院を国につくった
そんなお姫様が、ゴロゴロの枷を見て憤慨する
「こんな幼い子になんてことをするのですか、お父様!」
「これには事情があるのだ」
「いかなる事情ですか!納得のゆく説明を!」
そんな渦中にいて、ゴロゴロが眉をひそめる。
「ねえ、ねえ」
「心配しないでね、私はあなたの味方よ」
「うるさいんだけど」
「えっ……あの……なんて……?」
「あー……陛下、枷を解いてもよいですか」
「……かまわん」
「ゴロゴロ、すまなかったな、外していいぞ」
「うん」(パキッ)
まるでチョコレートをブロークンする化のように枷がぶっ壊れた。
「……あぁ……すぐ外せるようになっていたのですね。申し訳ありません、私は早合点してしまっていたのですね、お恥ずかしい」
「動きにくかったよ」
ゴロゴロのその感想は、その場にいる者、王とお姫様を除く全ての者がその真意を悟った。

――壊さないように枷をつけたままにしていることが動きにくかったのだと。

+ お姫様の教育係マジク
お姫様の教育係として術士=マジクがやってくる。
マジクによる講義中、ゴロゴロはお姫様のベッドにねそべりつつ絵本を読んでいる
「『術士』とは、多種多様な魔術を行使することができる最高の職業です。
火、水、風といった神々を模したマナを用いた魔術が基本となります。
自身のマナから色つきのマナに変換し、魔術の行使を容易にします。
火炎魔術や風雪魔術による攻撃、魔獣を弱化させる補助もこなせる術士は最高です」
と、術士の魅力を熱く語った。

「座学はこの辺にして、実際に魔術をご覧に入れましょう。中庭での実施の許可は取っていますので」
魔術の実演のために、マジクはお姫様とともに部屋を出る。
おつきのメイドと、ゴロゴロも絵本を閉じて、てとてと付いてくる。
メイドはお仕事で、ゴロゴロは好奇心。
中庭に出ると、おつきのメイドが周囲のメイドに集合をかけて、座る場所をつくる。
庭の中央、木材やら鉄くずやらが山もりになってる。
ゴロゴロが「おー、なんかお宝がいっぱいあるー」とか言って目をきらきらさせる。
「あれは一体?」
「つてを頼って城内の不用なものを集めてもらいました。処分する予定のものなので有効利用させてもらおうかと」
お姫様の質問にマジクがそう答える。
「いらないならもらってもいい?」
ゴロゴロの発言を却下する。今から使うから。
「ざんねん」
心底残念そうにする、ゴロゴロ。
姫様が「欲しいのならゴロゴロ用に用意させるけど?」って言うと、
「うーん、なんかそういうのは違うんだよねぇ。くれるならもらうけど……」
ゴロゴロなりのポリシーがあるようだった。
ゴロゴロが腰を下ろし、姫様がその隣に座る。
「ええと、前回の講義で各属性の攻撃魔術は教えましたから、次はちょっとした応用です。
マジクがマントの下から杖を取り出す。寄生樹の枝を使用し、大五斑結晶を用いて使用した魔術士の杖だ。小ぶりだが性能はなかなかよい。
マジクが術を構築して廃材へと放つ、すると木材や鉄くずがみるみる融合して形を変える。
「いわゆるゴーレム作成というやつです。素材は何でも良いですが一般的には土を使ったほうが安上がりですね。術士の適正にもよりますが」
「マジクの適正ってどうなの?」
「まあ見てのとおり土、木、金の3つともいけるよ。センスがないから造詣までには手が回らないけどね。
素材ありきの術だから火・水・風のゴーレムは聞かないね。できなくはないと思うけど」
そう言いながらマジクはゴーレムを動かす。マジクが作成したゴーレムは四肢はあるが頭がないという不格好なものだった。
「どうして頭がないのですか?」
「ゴーレムに頭は不用でしょう。脳があるわけでもないし。付けるとしても飾りですね」
そう言いながらマジクは術を行使して全てのゴーレムに頭をつけた。しかし顔の造詣はお察しくださいといったもんである。
「足は?」
「足? そういえば足なんて飾りですとか言ったゴーレムの専門家が居たなぁ。ゴーレムに浮遊能力持たせて特攻させたとかどうとか。
浮くとブレーキ掛けづらくなるし、浮かせるくらいなら形を鳥にするよ」

ゴロゴロも、王城につれて行かれ、姫に気に入られて可愛がられて。
王城の庭園を好きにいじったり、城の庭士と仲よくなったり、普通庭ってこういうものなんだと認識を改めたりあった。
ゴロゴロは姫とお風呂に入り、侍女に体を洗わせたりしたが、ゴロゴロがやりたいって言ったので侍女のお仕事奪ったりした。
「かゆいところはありませんかー」わしゃわしゃとお姫様の髪を洗うゴロゴロ。
お返しに姫様がゴロゴロを洗ってやると、その体の美しさに改めて驚嘆する。
その髪は、まるで黄金を太陽で溶かし、オーロラの櫛で梳いたようなつややかさ。
その肌は、まるで白銀を月光でほぐし、春の日差しで撫でたようななめらかさ。
お姫様は、自分の肌や髪に触れ、ゴロゴロの肌や髪に触れそのさわり心地の差に驚愕する。
お姫様とお風呂に入ったり、お姫様がゴロゴロの肌や髪の美しさに驚愕したり。
ゴロゴロの髪をいじるのが趣味になったり。
ゴロゴロがソード達に会いに街に行くって言ったら無理矢理ついていくって言ったり。
重臣に止められて、仕方なく見送ったけど全然諦めてなかったり。
何かあったら困りますって重臣が言うけど、我が王国はそんな不埒ものはいません!と謎の信頼を持っていたり。
全くいないわけではないし、魔が差すことも考えられるからダメですと重臣が言ったり。
じゃあ護衛が居ればいいんですねとお姫様が言ったり。
じゃあ王国トップの剣士を護衛に雇いますと言ったり。
剣士が呼ばれてお姫様に会いに行ったら、ゴロゴロが「あ、ソードだ。ボクに会いに来たの?」と言ったり。
ソードが「違う、お姫様に呼ばれた」と言ったら、「なんだつまんないの」って言って、お姫様がゴロゴロはこの剣士に会いに行ったんだと理解したり。
「ゴロゴロ、あなたが街に降りるのは彼に会いに行ってるのですか?」と聞いたり。
「ソードだけじゃないよ、ナックルとかマジクとかとか」一行の名前を挙げる。
お姫様は、自分が彼らを城に呼びつければゴロゴロは喜んでくれるのだろうか、と思ったり。
けど、そもそもゴロゴロと一緒に街に降りたいのが目的で、呼んでも解決しないことに気づいたり。
そのことをソードに話して、護衛の依頼をしたり。
「かくかくしかじかですが、重臣達が納得ないのです。護衛を引き受けてくれませんか」と言ったり。
するとソードが大爆笑。
「なぜ笑うのですか」とお姫様がぷりぷりと怒ったり。
「いや、そりゃ笑いもしますよ。ゴロゴロと一緒に街を降りるのに護衛が必要とか。この国で1番強いのはゴロゴロですよ?」
お姫様、おめめぱちくりで「どういうこと?」
「えっと、つまりですね」
部屋の装飾品の甲冑に近づき、脳天から剣で一刀両断。バラバラになって崩れ落ちる。
ソードの行動に衛兵が殺気立ったり。
「ゴロゴロちょっとこっちこい」
「はーい」
とことことゴロゴロが歩み寄る。
そして、甲冑をぶった切ったときよりも早く、ゴロゴロに剣を振り下ろす。
息を呑むお姫様の目の前で、ソードが振り下ろした剣はゴロゴロの頭にガキィンと激しい衝撃音を響かせ、中程からへし折れた。
折れた刀身はくるくると宙を舞ったが、ソードが差し出した鞘にすぽっと入った。
「とまあこんな感じで、俺が全力で振るった剣もこいつには効きません」
「ちょっと痛かったよ」
すまんな、とソードがゴロゴロの頭を撫でると、嬉しそうにゴロゴロは目を細めて許した。

+ お姫様と初めてのおでかけ
目の前の実演に、ゴロゴロと一緒なら街でも大丈夫と自信満々に重臣達を説得するお姫様。
立ち会った重臣達も、ゴロゴロの真の力量にガクブルしたり。
そんな強さを持つものがそばにいたら危険なんじゃないかと言う人もいたり。
「ゴロゴロがその気だったら私はすでにここにいません」と姫様が一括したり。
「そのうちその気になるかもしれない」と反論したり。
「そのときはその時です。けど私がそうはさせません!」と、お姫様は完全にゴロゴロの味方になってしまった。
しばらく後、ゴロゴロと一緒に外出することが認められるようになる。
「ねえゴロゴロ、私お城の外って初めてだから、迷子にならないように手を握っててくれる?」
「いいよ」
「お城の外ってどんな感じ?」
「えっとねえ、いろんな人がいっぱいいて、いろんなものがあって面白いよ」

ゴロゴロとお出かけすることになったけど、目立たないように背格好の近い侍女から普段着を買い取ったり。
しかし、そもそも町を歩くゴロゴロのほうが目立っているというオチだったり。
ゴロゴロが街を歩きながら知り合いに挨拶したり。
「いつも1人なのに珍しいな」って言われたり。
「うん、きょうはボクがエスコートするの」って言ったり。
お姫様が、エスコートって言葉にどきどきしたり。
ケバブみたいなものを露天で買って。
近くの酒場でヤギのミルクを飲みながら食べたり。
通り過ぎる人に、知り合いなのかちょいちょい手を振ったり。
露天のアクセサリー商のところに行ったり。
木を削った指輪を買ったり。
近所のちびっ子共にちょっかい出されたり。
「おーいゴロゴロ、遊ぼうぜ」
「今ボク忙しいの」
「そっか、じゃあまた今度な」
「うん、ばいばーい」
交友範囲の広さにお姫様びっくり。
「さっきの子、名前ルッチって言うんだけど、今度妹が産まれるんだって。すごい楽しみにしてるって。あのケバブ、ソースに自信があって大人気なんだよ。」


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最終更新:2019年05月03日 20:04