「行くのか」
「うん、旦那の頼まれごとも済んだし」
一晩中泣いたはずなのに、目は全く腫れてはいないし、充血もしていない。
忍とはやはり便利なものだと思うと同時に、不憫な生き物だとも思った。
「うん、旦那の頼まれごとも済んだし」
一晩中泣いたはずなのに、目は全く腫れてはいないし、充血もしていない。
忍とはやはり便利なものだと思うと同時に、不憫な生き物だとも思った。
「大将への報告は済ませたから、もう甲斐には戻らないよ」
そう言った佐助は、いつもの忍装束ではなく、尼僧の姿をしていた。
その姿ならば、女性にしては短い髪も、奇異には映らない。
そのまま、里に一度帰るのだと言う。
そう言った佐助は、いつもの忍装束ではなく、尼僧の姿をしていた。
その姿ならば、女性にしては短い髪も、奇異には映らない。
そのまま、里に一度帰るのだと言う。
「片倉の旦那」
呼ばれて視線を下にすれば、背伸びをして首に腕を回してきた佐助に、唇を重ねられた。
呼ばれて視線を下にすれば、背伸びをして首に腕を回してきた佐助に、唇を重ねられた。
「好きだよ。……また会おうね」
「……ああ。また会おう」
口づけの合間に囁かれ、小十郎は承諾と共に頷いた。
「……ああ。また会おう」
口づけの合間に囁かれ、小十郎は承諾と共に頷いた。
それは、主たちが交わした、永遠に叶うことのない最期の約束と、同じ言葉。
精一杯の、別れの言葉だった。
「いいのか、小十郎」
「いいも悪いも。この小十郎は振られたのですよ、政宗様」
遥か彼方に消えた佐助を見つめながら笑う小十郎に、政宗は肩をすくめた。
「いいも悪いも。この小十郎は振られたのですよ、政宗様」
遥か彼方に消えた佐助を見つめながら笑う小十郎に、政宗は肩をすくめた。
「なら小十郎。失恋した同士呑むぞ付き合えっ!」
「はっ」
「はっ」
それから、数年の月日が流れた。
政宗は、幸村が亡くなった翌年に、妻を迎えていた。
来夏には、初めての子が生まれる予定である。
政宗は、幸村が亡くなった翌年に、妻を迎えていた。
来夏には、初めての子が生まれる予定である。
小十郎は、あれから一度も、佐助には会っていない。
それどころか、噂すら、耳にすることはなかった。
きっと、もう二度と会うことはないのだろう。
それどころか、噂すら、耳にすることはなかった。
きっと、もう二度と会うことはないのだろう。
風がそよぐ。
奥州の長い冬は、じきに終わる。
奥州の長い冬は、じきに終わる。
神職の子である小十郎は、人は死んだら神になるのだと、そう思っている。
それでも。
「いつか、生まれ変わったら。な……」
春の香りを風に感じながら、静かに空に向かって呟いた。
以上です。感想いただいて嬉しかったです。
政幸は破廉恥どころかキスすらしてないことに今気がつきました。政宗超ごめん。
政幸は破廉恥どころかキスすらしてないことに今気がつきました。政宗超ごめん。




