「佐助へ。 この前の事だが、それがし殴った事は謝らぬ。
もとはと言えば、佐助が破廉恥な事をそれがしに断りも無くしたからいけないのだ。
これでお互い様という事にしたい。
もとはと言えば、佐助が破廉恥な事をそれがしに断りも無くしたからいけないのだ。
これでお互い様という事にしたい。
…それで子の話だが、佐助がもし戯れではなく本気ならば、
それがしはいつでも受けて立つ所存でござる。
それがしはいつでも受けて立つ所存でござる。
佐助は最早、それがしにとってはお館様と同じくらい…
いや、比べる事など出来ぬが、とにかく大切な人だと思っている。
おなごに生まれたからには、それがしはそう心から思える相手の子しか産みたくはない。
だから佐助なら全く構わぬ。
いや、比べる事など出来ぬが、とにかく大切な人だと思っている。
おなごに生まれたからには、それがしはそう心から思える相手の子しか産みたくはない。
だから佐助なら全く構わぬ。
そしてもし戯れであったなら、この事は水に流して
またいつものように接して欲しい。
それがしもそのようにする。
またいつものように接して欲しい。
それがしもそのようにする。
では、また会おう。」
読み終わった後、俺はしばらくボサーっと突っ立っていた。
…あーもう!何?!何この手紙!旦那ったら本当の意味分かって書いてるの?!
それともこれは異国の言葉とかで、実は全然違う意味が有るとか…?!
なんだかもう、もんどり打って悶えたいような、
恥ずかしくて死にたいような…でも決して不愉快じゃない…いやむしろその逆?
みたいな感情の波に翻弄されて、しばらく身動きすらできなかった。
それともこれは異国の言葉とかで、実は全然違う意味が有るとか…?!
なんだかもう、もんどり打って悶えたいような、
恥ずかしくて死にたいような…でも決して不愉快じゃない…いやむしろその逆?
みたいな感情の波に翻弄されて、しばらく身動きすらできなかった。
…やっぱり旦那はすごいね。この稀代の天才忍者・猿飛佐助様を
ここまで翻弄したのは、たぶん旦那が最初で最後だよ。
ここまで翻弄したのは、たぶん旦那が最初で最後だよ。
それから、俺様と旦那の関係に特に変わりはない。
いつものように旦那は元気に戦場を駆け回り、俺はその世話を焼く。
何事も無かったみたいに、完全に元の鞘に収まったのだ。
…表面上は。
いつものように旦那は元気に戦場を駆け回り、俺はその世話を焼く。
何事も無かったみたいに、完全に元の鞘に収まったのだ。
…表面上は。
俺も旦那も以来一度もあの話には触れていない。
だから旦那は俺が冗談であんな事をしたのだと思っているんだろう。
それでいいと思う。
だから旦那は俺が冗談であんな事をしたのだと思っているんだろう。
それでいいと思う。
だって俺は忍だから、旦那みたいに日の当たる世界じゃ生きられないし…
かと言って旦那や生まれて来る子を
同じ闇の世界に引き摺り込むなんて、絶対に嫌だもんね。
かと言って旦那や生まれて来る子を
同じ闇の世界に引き摺り込むなんて、絶対に嫌だもんね。
「佐助ー!これ見てくれでござるー!」
「はいはいっと…おぉ、新しい具足ですか?」
旦那が着ているのは、いつもの赤い上着ではなく、
赤い細身の胴丸と長袖の着物だった。
…あーこりゃガッカリする奴多数だな。
赤い細身の胴丸と長袖の着物だった。
…あーこりゃガッカリする奴多数だな。
「うむ!兄上が身体を冷やさぬようにと
新調して下さったのでござる!」
新調して下さったのでござる!」
「なーるほど」
兄上様、ご英断ですよ。
そう内心感謝していると旦那は屈託なく聞いて来た。
そう内心感謝していると旦那は屈託なく聞いて来た。
「似合うでござるか?」
「よーくお似合いですよ。
戦場で求婚されないように気をつけなくっちゃねぇ。」
戦場で求婚されないように気をつけなくっちゃねぇ。」
「また佐助はそんな冗談ばかり言う!」
俺のふざけた応えに破廉恥でござる!と言ってちょっとふくれた後、
旦那はぱっと花が咲いたような、いつもの笑顔で笑った。
旦那はぱっと花が咲いたような、いつもの笑顔で笑った。
俺はその笑顔に何故か泣きたくなったけど、取り敢えず笑った。
(おわり)
幸村の新しい服は
第二衣装で想像していただけると幸いです。
幸村の新しい服は
第二衣装で想像していただけると幸いです。




